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JP6799339B2 - フェニルアゾメチン型デンドリマーの金属塩化合物集積体の合成とサブナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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JP6799339B2 - フェニルアゾメチン型デンドリマーの金属塩化合物集積体の合成とサブナノ粒子の製造方法 - Google Patents

フェニルアゾメチン型デンドリマーの金属塩化合物集積体の合成とサブナノ粒子の製造方法 Download PDF

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本発明は、金属塩化合物を集積した新規フェニルアゾメチン型デンドリマー集積体の合成とサブナノ粒子の製造方法に関する。
酸化反応は、資源化学、燃料化学、有機合成化学、環境化学等の化学諸領域において基礎的で、基幹的な反応操作であることが知られている。この酸化反応については気相反応、液相反応のいずれにおいても様々な触媒を用いることが試みられており、各種の金属触媒が実用化されてもいる。しかしながら、これまでの触媒酸化反応では、空気あるいは酸素を酸化剤とする場合には、高温度条件とすることや、液相反応においては環境負荷の大きい有機溶媒の使用が必要であって、しかも触媒反応効率が必ずしも良好ではないという問題があった。
このような背景において、反応活性に優れた触媒として、マイクロ粒子やナノ粒子といった微粒化された不均一系の触媒構成が注目され、様々な観点とアプローチからの検討が進められている。10nm以下の微粒子では、量子効果に基づいてバンドギャップが大きくかつ離散的となることや、微粒子化によって活性表面積が増加することや、バルクとは異なる表面状態を取る原子が増えることによりバルクよりも高活性となることが期待できる。
このような触媒としても使用し得るナノスケールの微粒子の製造方法として、本発明者らによる独自の方法であるフェニルアゾメチンデンドリマーを鋳型として用いる方法が精力的に探索、開発されてきている(特許文献1)。本発明者らにより開発され、その検討が続けられているフェニルアゾメチンデンドリマーは、骨格に高い配位性を示すイミン部位を多数有していることからルイス酸と錯形成が可能である。フェニルアゾメチンデンドリマーは、イミンからの電子供与が末端から中心に向けて連続的に加算されることで、末端のイミンから中心に向かってイミンの電子密度が増加するという電子密度勾配を有している。この電子密度勾配によって、フェニルアゾメチンデンドリマーに金属塩が錯形成する際、最内層イミンから優先的に金属塩と錯形成していく段階的錯形成が起こる。フェニルアゾメチンデンドリマーの段階的錯形成能を利用することで、白金塩等の1種単独の一元系をはじめとして、各層にそれぞれ異なる金属種を集積する、2種金属塩を用いた二元系や、更には3種、4種、5種等の多元系の精密へテロ金属集積も可能となり、金属塩の個数および組成を規定したデンドリマー錯体を調製できる。この金属塩が配位したデンドリマー錯体を還元することで、粒径分布が極めて小さい精密に制御された金属サブナノクラスターの形成が可能となる(特許文献2〜5)。
金属原子数が十数個程度の金属サブナノクラスターは、本発明者らの研究によって、その物理的性質、化学的性質が、構成原子数に大きく依存し、種類に大きく依存することが明らかにされている(非特許文献1、2)。このような観点より、構成原子数とその種類を規定した合成法が望まれている。しかしながら、従来のフェニルアゾメチンデンドリマー錯体は、デンドリマーへの金属原子の結合の安定性や、錯体合成時における分解抑制等、精密に個数を規定した安定な錯体を得るには更に次の段階の課題がある。例えば、結合の安定性が必ずしも十分ではないため、従来のフェニルアゾメチンデンドリマー錯体は大気に曝すと水分の影響で分解が進行するので、空気中で取り扱うことは適切でない。水溶液中では、結合の解離によって錯体を形成した金属塩が再度分離してしまう。高原子数精度の金属クラスターの「超精密」合成を目指し、更に、異なる金属原子を1つのデンドリマーに同時集積することにより、合金クラスターの1原子精度での「超精密」合成を目指すには、金属原子が強固に結合したデンドリマーを用いることが必須である。
特許第4511125号公報 特開2010−18610号公報 特開2013−159588号公報 特開2007−23166号公報 特開2018−145172号公報
K. Yamamoto et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 9810-9815. K. Yamamoto et al. Sci. Adv. 2017, 3, e1700101.
本開示において、新規なフェニルアゾメチン型デンドリマーの金属塩化合物集積体とサブナノ粒子の製造方法を提供する。この集積体は、デンドリマーへ金属原子が強固な結合を形成する。この集積体は、大気中や水溶液中においても分解、解離等が抑制され、デンドリマーへの金属原子の結合の安定性に優れることから、イミンによる1:1錯形成反応、広範な金属への適用性、塩基性勾配による多金属集積、集積金属のクラスター化を特徴とするフェニルアゾメチン型デンドリマーを鋳型としたクラスター合成において、高い原子数精度の金属クラスターの「超精密」合成を可能とし、更に、異なる金属原子を1つのデンドリマーに同時集積することにより、合金クラスターの1原子精度での「超精密」合成を可能とする技術を提供する。
特に、新規なフェニルアゾメチン型デンドリマーの合成概念と組み合わせることによって「超精密」合成を達成し得る。この合成概念は、デンドリマーの“形”によってクラスターを作り分けることを特徴とし、デンドリマーのコアとなる有機分子と反応させるデンドロンのイミン窒素の数を選択できるため、デンドリマーにおける金属塩化合物が配位するイミン窒素の数を1個毎の段階で精密に制御できる。そのため、金属配位数を制御した個数制御型デンドリマーの合成が可能となる。すなわち、原子数・組成を制御した金属クラスターの創製を可能とする。
本発明の集積体は、フェニルアゾメチン型デンドリマーに、次式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が集積されている:
(式中、M−Rは前記金属塩化合物を示し、Mは金属原子、Rはその残余の化学構造を示す。フェニルアゾメチン構造におけるアゾメチン結合を形成するイミン窒素原子と炭素原子および該炭素原子に結合するフェニル環と、前記金属塩化合物の金属原子Mとの間で、前記環状構造を形成している。)。
本発明の集積体における好ましい態様では、次式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーに前記金属塩化合物が集積されている:
(式中、Aはデンドリマーのコアとなるn価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す。nが2以上の場合、n個のデンドロン単位の各々は独立である。Xは次式で表されるX1またはX2を示す。
(式中、Phaは置換基を有していてもよい2価のフェニル残基を示す。)
(式中、Phbは置換基を有していてもよい1価のフェニル残基を示す。)
繰り返し単位repにおいて、XがX1である場合には繰り返し単位repが繰り返され、繰り返し単位repの末端はX2であり、繰り返し単位repにおいて全てのXは各々独立である。全てのPhaとPhbの置換基は各々独立である。)。
また本発明のサブナノ金属粒子の製造方法は、前記集積体を還元することを特徴としている。
また本発明によれば、前記式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が集積された集積体を用いた、フェニルアゾメチン型デンドリマーに集積する金属原子の個数を制御する方法であって、前記式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーにおける、前記有機基Aの価数nと、前記繰り返し単位repを選択することにより、集積する金属原子の目的とする個数に応じた数の前記環状構造を形成する部位を持つ前記フェニルアゾメチン型デンドリマーを合成する工程と、前記目的とする個数の前記異種金属塩化合物を、前記環状構造を形成する部位に集積する工程とを含む方法が提供される。
また本発明によれば、異種金属塩化合物が集積された以下の集積体、および合金粒子の製造を可能とする以下の方法が提供される。
本発明の集積体は、異種金属塩化合物が集積されたものである。好ましい一例では、前記式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーにおけるnが2以上の整数であり、n個の各々のデンドロン単位のうち少なくとも1個は、他のデンドロン単位とは金属種が異なる異種金属塩化合物が集積されている。
本発明の集積体の製造方法は、互いに金属種が異なる複数種の金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体の製造方法であって、以下の[1]と[2]のいずれかの工程を含む。
[1]フェニルアゾメチン型デンドリマーに、次式(I):
(式中、M−Rは前記金属塩化合物を示し、Mは金属原子、Rはその残余の化学構造を示す。フェニルアゾメチン構造におけるアゾメチン結合を形成するイミン窒素原子と炭素原子および該炭素原子に結合するフェニル環と、前記金属塩化合物の金属原子Mとの間で、前記環状構造を形成している。)で表される環状構造で、互いに金属種が異なる金属塩化合物が個数を制御して集積された2種の集積体フラグメント(A1)、(A2)を、各々のフェニルアゾメチン型デンドリマーのコア同士で結合させ、一体化した集積体とする工程
[2]式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体フラグメント(A1’)と、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D1)とを各々のコア同士で結合させ、前記結合した集積体における、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D1)由来のイミン部位に、集積体フラグメント(A1’)由来のイミン部位に集積された金属塩化合物とは金属種が異なる異種金属塩化合物を、式(I)で表される環状構造で個数を制御して集積させる工程
好ましい一例において、前記集積体の製造方法は、さらに以下の[3]〜[5]のいずれかの工程を含む。
[3]フェニルアゾメチン型デンドリマーに、前記式(I)で表される環状構造で、前記[1]または[2]で得た集積体とは互いに金属種が異なる金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体フラグメント(A4)と、前記[1]または[2]で得た集積体である集積体フラグメントとを、各々のフェニルアゾメチン型デンドリマーのコア同士で結合させ、一体化した集積体とする工程
[4]前記[1]または[2]で得た集積体である集積体フラグメントと、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D2)とを各々のコア同士で結合させ、前記結合した集積体における、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D2)由来のイミン部位に、前記[1]または[2]で得た集積体由来のイミン部位に集積された金属塩化合物とは金属種が異なる異種金属塩化合物を、式(I)で表される環状構造で個数を制御して集積させる工程
[5]前記[3]または[4]の工程の後、任意でさらに前記[3]または[4]と同様の操作を繰り返す工程
好ましい一例において、前記集積体の製造方法は、前記[3]〜[5]の工程において、3個以上の各々の前記フラグメントにおけるコアを直列に結合する。
本発明の合金粒子の製造方法は、前記集積体の製造方法で集積体を得た後、この集積体を還元して個数が制御された合金粒子を得ることを特徴としている。
(a)は実施例1において合成した生成物のMALDI−TOF−MSによって測定された質量スペクトル、(b)は上記生成物とデンドリマーの部分構造となっている化合物G0の1H−NMRスペクトルである。 実施例1において酢酸ナトリウムの存在下に合成した生成物と、酢酸ナトリウムを添加せずに合成した生成物の1H−NMRスペクトルである。 実施例1において合成したイリジウム錯体の還元前後におけるX線光電子分光スペクトルである。 実施例3において合成したイリジウム2核錯体のX線結晶構造解析による結晶構造を示す。 (a)は実施例4において合成したイリジウム12核錯体のMALDI−TOF−MSによって測定された質量スペクトル、(b)は透過型電子顕微鏡像である。 実施例5において、MALDI−TOF−MSによって測定されたロジウム12核錯体の質量スペクトルである。 (a)は、実施例6において、MALDI−TOF−MSによって測定された白金12核錯体の質量スペクトル、(b)は、白金12核錯体を担持した表面のHAADF−STEM像である。 実施例7において、Siウェハー上に塗布し固定化したイリジウム12核錯体の水素還元後におけるX線光電子分光スペクトルである。 実施例4において合成したイリジウム12核錯体の還元前、真空処理後、水素還元後におけるX線光電子分光スペクトルである。 イリジウム12核錯体を担持した表面(左)と還元後の表面(右)のHAADF−STEM像である。 実施例9において、MALDI−TOF−MSによって測定されたイリジウム10〜17核錯体の質量スペクトルである。 実施例10において、MALDI−TOF−MSによって測定されたイリジウムとロジウムを同時に錯形成した錯体の質量スペクトルである。 実施例11において、MALDI−TOF−MSによって測定されたイリジウムとロジウムを逐次的に錯形成した錯体の質量スペクトルである。 実施例12において、水−メタノール溶液から得られたイリジウム錯体の結晶の顕微鏡写真である。 実施例13において、MALDI−TOF−MSによって測定されたイリジウム7核ロジウム7核錯体の質量スペクトルである。 (a)、(b)は実施例13のイリジウム7核ロジウム7核錯体の電子顕微鏡観察像(HAADF−STEM)である。 更に拡大して原子の個数を示した実施例13のイリジウム7核ロジウム7核錯体の電子顕微鏡観察像(HAADF−STEM)である。 (a)、(b)は実施例14で得たIr7Rh7合金クラスターの電子顕微鏡観察像(HAADF−STEM)である。 (a)〜(d)は実施例14で得たIr7Rh7合金クラスターのSTEM−EDXマッピングの結果を示す像である。 実施例14で得たIr7Rh7合金クラスターのSTEM−EDXスペクトル結果を示すグラフである。 実施例15におけるIrクラスターの水素発生反応(HER)活性の測定結果を示すグラフである(アニーリング前(raw))。 実施例15におけるIrクラスターのHER活性の測定結果を示すグラフである(アニーリング後(annealed))。 実施例16におけるIr7Rh7とIr14のHER活性の測定結果を示すグラフである(アニーリング前後)。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の集積体は、フェニルアゾメチン型デンドリマーに、前記式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が集積されている。
式(I)においては、フェニルアゾメチン構造におけるアゾメチン結合を形成するイミン窒素原子と炭素原子および該炭素原子に結合するフェニル環と、金属塩化合物の金属原子Mとの間で、環状構造を形成している。この環状構造は、デンドリマーへ金属原子が強固な結合を形成し、本発明の集積体は、大気中や水溶液中においても分解、解離等が抑制され、デンドリマーへの金属原子の結合安定性に優れる。
フェニルアゾメチンを樹状分岐構造の構成単位とするフェニルアゾメチン型デンドリマーは、π共役系による剛直な構造であるため硬いことを特徴とし、分子の内部には十分な広さの空間が確保され、金属塩と錯体を形成する配位サイトを多数有していることから、多数の金属塩化合物を内層から外層へ各段階の錯形成部位に精密集積するのに適している。
フェニルアゾメチン型デンドリマーは、金属塩化合物と相互作用する環境の異なる部位を持つ。ここで「環境の異なる部位」とは、デンドリマーにおける金属塩化合物を集積し得る部位、すなわち前記式(I)の環状構造を形成する部位であって、金属塩化合物との相互作用が互いに異なる部位を意味する。当該部位は、金属塩化合物との錯形成部位、イオン結合部位、共有結合部位を含む。「錯形成部位」とは、デンドリマーにおける金属塩化合物との錯体を形成する部位を意味し、シッフ塩基となる部分である。1方向の電子密度勾配型デンドリマーでは、錯形成強度等の相互作用の強度が内層から外層へ次第に弱くなるように段階的に変化し、環境の異なる部位を形成する。
1方向の電子密度勾配型デンドリマーでは、コアから末端にかけて塩基性勾配が生じているため、コアやそれに最も近い1世代目の錯形成部位の錯形成定数が最も高く、外側に向かって段階的に錯形成定数が減少していく。この錯形成定数の差が駆動力となって、金属塩化合物は段階的に中心に近い1世代目から2世代目、3世代目と集積されていく。従来における第4世代のフェニルアゾメチンデンドリマーでは、各層までが充填される数は、コアの分岐数が4の場合、4、12、28、60となる。一方、本発明のフェニルアゾメチン型デンドリマーは、前記式(II)で表される合成概念の適用によって、金属塩化合物を集積する個数は、1個ずつ制御することが可能である。
式(I)において、M−Rは金属塩化合物を示し、Mは金属原子、Rはその残余の化学構造を示す。
本発明において「金属塩化合物」とは、金属とアニオンとの塩、配位子との錯体等を含む広義のものである。また、フェニルアゾメチン型デンドリマーと反応させる金属塩化合物(a)の他、反応の結果、錯体等を形成して金属塩化合物(a)のRからアニオンや配位子等の一部が脱離した、集積状態の金属塩化合物(b)も「金属塩化合物」と総称する。
デンドリマーに集積させる金属塩化合物における金属元素としては、特に限定されず、例えば、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、錫、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ビスマス等が挙げられる。
金属塩化合物におけるカウンターアニオンもしくは配位子としては、特に限定されないが、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオンや、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、アセチルアセトン、サレン、シクロペンタジエニル等が挙げられる。
金属塩化合物M−RにおけるRは、金属原子Mの残余の化学構造を示す。Rとしては、上記のカウンターアニオンもしくは配位子等が挙げられ、Mの価数に応じて単数もしくは複数の結合形態であってよい。R全体の質量は、特に限定されないが、例えば、原子量換算で400以下、300以下、あるいは200以下であってよい。
金属塩化合物の具体的な例を示すと次のとおりである。
デンドリマーに金属塩化合物が集積された集積体を製造する際には、最初の工程として、デンドリマーを含む溶液を調製する。デンドリマーとその金属塩化合物集積体を溶解させる溶媒は、これらを溶解させることができるものであれば特に限定されない。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、四塩化炭素等の含塩素系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール、アセトフェノン等の芳香族系有機溶媒、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、リモネン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトニトリル等の有機溶媒が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次の工程として、金属塩化合物を溶液と混合し、金属塩化合物が集積したデンドリマーの金属塩化合物集積体を得る。金属塩化合物をデンドリマー溶液と混合する方法としては、特に限定されないが、金属塩化合物溶液のデンドリマー溶液への滴下等が挙げられる。
このとき、酢酸ナトリウム等の酢酸塩を添加すると、環化型錯体の生成を促進し、副生成物であるベンゾフェノンの生成が抑制される。
異種金属塩化合物を同時もしくは逐次的にデンドリマー溶液と混合することで、異種金属塩化合物を集積することも可能である。金属塩の配位力は、カウンターアニオンの電子的な効果、有機配位子における配位子の立体的効果や、その他、金属塩の酸化数を変更することによっても調整可能である。これらの手段によって、同一元素であっても金属集積における配位力のバリエーションを増やすことができ、2種の金属の集積順序を変化させることも可能である。本発明では、互いに金属種が異なる2種以上の異種金属塩化合物が、デンドリマーの環境の異なる部位ごとに集積されたデンドリマーの異種金属塩集積体を得ることができる。ここで集積する金属種と金属塩化合物の数は、特に限定されないが、例えば8種までの異種金属塩化合物を集積した例が知られている(特許文献5)。異種金属塩化合物をデンドリマーに集積する際に、金属塩化合物溶液を滴下する順番および金属溶液の混合については、デンドリマー部位との錯形成は可逆的であり、エネルギー的に最安定な配置に変化すると考えられ、すなわち自発的に、錯体結合強度の強い金属等が配位力の高い錯形成部位に、錯体結合強度の弱い金属等は配位力の弱い錯形成部位に結合すると考えられるため、この観点では任意であってよい。実際に錯形成強度の弱い金属を配位力の強い内層に集積させ、その後に錯形成強度の強い金属を入れた場合、結合部位が入れ替わることが報告されている。(Bull. Chem. Soc. Jpn. 2007, 80, 1563-1572.)
本発明の集積体は、式(I)で表される環状構造によってデンドリマーへ金属原子を強固な結合を形成して安定に保持すると共に、式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーの合成によって、金属配位数を制御した個数制御型デンドリマーの合成が可能となる。すなわち、原子数・組成を制御した金属クラスターの創製を可能とする。
式(II)において、Aはデンドリマーのコアとなるn価の有機基を示す。有機基としては、特に限定されず、従来のフェニルアゾメチン型デンドリマーに使用される有機基や、技術常識から導かれる類縁構造を持つ有機基が参照される。具体的には、例えば、単環または多環の芳香族基、ヘテロ芳香族基、ポルフィリン基、フタロシアニン基、サイクラム基等が挙げられ、これらは置換基を有してもよい。有機基の炭素数は、特に限定されないが、例えば50以下、40以下であってよい。
式(II)において、nは1以上の整数を示し、2以上が好ましい。nの上限は特に限定されないが、6以下が好ましく、4以下がより好ましい。nが2以上の場合、n個のデンドロン単位の各々は独立である。
式(II)において、XはX1またはX2を示す。
1において、Phaは置換基を有していてもよい2価のフェニル残基を示す。好ましくは、互いにパラ位にある1位と4位が結合部位となる2価のフェニル残基である。
Phaが有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基(例えば炭素数1〜6)、結合部位がヘテロ元素で炭素を含まないヘテロ元素含有基(ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基等)や、ハロゲン原子、酸素含有基(ヒドロキシ基、オキソ基、エーテル基、カルボキシル基、アルデヒド基等)、窒素含有基(シアノ基、1級〜3級アミノ基、ニトロ基等)、硫黄含有基、リン含有基等のヘテロ元素含有基で炭素原子が置換もしくは基端やC−C結合が中断されたアルキル基(例えば炭素数1〜6)等が挙げられる。これらの置換基は、1個または複数個有していてよい。その中でも、Phaの置換基は1個以下が好ましく、置換基を有しないことがより好ましい。
2において、Phbは置換基を有していてもよい1価のフェニル残基を示す。Phbが有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、上記において、Phaが有してもよい置換基として例示したもの等が挙げられる。これらの置換基は、1個または複数個有していてよい。その中でも、Phbの置換基は1個以下が好ましく、置換基を有しないことがより好ましい。
繰り返し単位repにおいて、全てのPhaとPhbの置換基は各々独立である。
繰り返し単位repにおいて、XがX1である場合には繰り返し単位repが繰り返され、繰り返し単位repの末端はX2であり、繰り返し単位repにおいて全てのXは各々独立である。その中でも、繰り返し単位repの繰り返しは、樹状構造のうち最も世代数の大きい分岐が第4世代までであることが好ましい。また式(I)で表される環状構造を形成する部位の数は、特に限定されないが、60個以下、30以下であってよく、また5以上、7以上であってよい。
一般にデンドリマーは、中心から規則的に分枝した構造を持つ樹状高分子であり、コアとなる中心分子と、側鎖部分となるデンドロンとから構成される。また、デンドロン部分の分岐回数は世代とも呼ばれる。デンドリマーの中心分子から一段階分岐した部分を第1世代、二段階分岐した部分を第2世代と呼ぶ。一般にデンドリマーはコアから規則正しく、完全に樹状分岐をしているポリマーであり、中心付近が疎、表面付近が密な球形構造をしており、中心から分岐を繰り返すごとに世代数が増えていく。これに対してハイパーブランチポリマーは、完全な樹状構造を持つデンドリマーとは異なり、不完全な樹状分岐を持つポリマーである。本発明のフェニルアゾメチン型デンドリマーは、このような部分的に分岐ユニットの欠陥をもつハイパーブランチ型高分子であってもよい。
本発明の集積体は、式(I)で表される環状構造によってデンドリマーに金属原子との結合が安定であることを特徴とし、更にデンドリマーのコアとなる有機分子と反応させるデンドロンのイミン窒素の数を選択できるため、デンドリマーにおける金属塩が配位するイミン窒素の数を1個毎に精密に制御できる。そのため、金属配位数を制御した個数制御型デンドリマーの合成が可能となる。以下、金属配位数を制御した個数制御型デンドリマーの合成が可能となる点について、具体的な例を挙げて説明する。この例においては、式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が集積された集積体を用いた、フェニルアゾメチン型デンドリマーに集積する金属原子の個数を制御する方法であって、式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーにおける、有機基Aの価数nと、繰り返し単位repを選択することにより、集積する金属原子の目的とする個数に応じた数の環状構造を形成する部位を持つフェニルアゾメチン型デンドリマーを合成する工程と、前記目的とする個数の前記異種金属塩化合物を、前記環状構造を形成する部位に集積する工程とを含む。
下記の例では、コアの価数が4個でイミン数が12個の第2世代デンドリマー、コアの価数が3個でイミン数が13個の第3世代デンドリマーを用いて、12核錯体から12原子クラスター、12核錯体から12原子クラスターを合成している。
下記の例では、更にデンドリマーに2種の金属塩A、Bを集積し、集積する両金属塩A、Bの配合比を選択することで、合金クラスターの組成を原子数レベルで(6個+6個)制御している。
下記の例では、コアの価数が1個でイミン数が6個の第3世代デンドリマー、コアの価数が1個でイミン数が7個の第3世代デンドリマーを用いて、前者にはイミン6箇所に金属塩Aを6個、後者にはイミン7箇所に金属塩Bを7個錯形成させ、その後、前者のコアにおけるアミノ基と後者のコアにおけるエステル基COORをペプチド結合し、デンドリマーに2種の金属塩A、Bを個数を制御して集積した錯体を形成している。このデンドリマー錯体を用いて、6+7原子クラスターを合成している。この方法によれば、合金クラスターの組成を原子数レベルで(6個+7個)制御できる。この方法では、2つのデンドリマーに金属を錯形成後、デンドリマー同士をペプチド結合してもよいし、1つのデンドリマーに金属を錯形成後、2つのデンドリマーをペプチド結合し、その後に異種金属を2つ目のデンドリマーに錯形成させてもよい。
次に、集積する金属の個数制御に10N−デンドリマー〜17N−デンドリマー、つまりイミン窒素を含む前記環状構造を形成する部位が10〜17個の下記デンドリマーを用いた場合について説明する。
個数制御に用いるデンドリマーは、コアとデンドロンの組み合わせで様々なイミン数Aのデンドリマーを実現可能である。下記の構造式の場合では、A=1×a+3×b+7×c+15×d(a〜dは0以上の整数)で表される組み合わせが可能である。
上記構造式の他、第1世代に結合する第2世代のフェニルアゾメチン構造を1個とすれば、イミン2個のデンドロン(2N−デンドロン)となる。下記においてはイミン2個のデンドロン(2N−デンドロン)、イミン3個のデンドロン(3N−デンドロン)、イミン7個のデンドロン(7N−デンドロン)、イミン15個のデンドロン(15N−デンドロン)を示している。
上記のような各デンドロンを組み合わせることで、各デンドリマーのイミン数を制御できる。下記の表には、2N、3N、7N、15N−デンドロンとこれらを組み合わせて合成し得るイミン数(10N−デンドリマー〜17N−デンドリマー)の関係を示している。
各デンドリマーの模式構造を示すと次のとおりである。
上記ではイミン数10〜17個の10N−デンドリマー〜17N−デンドリマーについて説明したが、式(I)で表される環状構造を形成する部位の数は、特に限定されず、以上のような組み合わせに基づいて、例えば60個以下、30以下であってよく、また5以上、7以上であってよい。
下記の例では、多種合金クラスターの製造方法として、デンドリマーを複数用い、Aフラグメントにはa個、Bフラグメントにはb個、Cフラグメントにはc個、異種金属をイミン部位に錯形成させる。次に、これらをコア同士で、リンカーによって結合する。これにより、デンドリマーに異種の金属塩A、B、C…を個数を制御して集積した錯体を形成している。このデンドリマー錯体を用いて、Aabcクラスターを合成している。この方法によれば、合金クラスターの組成を原子数レベルで(a+b+c個)制御できる。この方法では、2つのデンドリマーに金属を錯形成後、デンドリマー同士をペプチド結合してもよいし、1つのデンドリマーに金属を錯形成後、2つのデンドリマーをペプチド結合し、その後に異種金属を2つ目のデンドリマーに錯形成させてもよい。
前述のA67クラスターの合成例と、上記Aabcクラスターの合成例のように、本発明によれば、個数を制御した合金粒子の製造を可能とする以下の方法が提供される。
本発明の集積体の製造方法は、互いに金属種が異なる複数種の金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体の製造方法であって、以下の[1]と[2]のいずれかの工程を含む。
[1]フェニルアゾメチン型デンドリマーに、前記式(I)で表される環状構造で、互いに金属種が異なる金属塩化合物が個数を制御して集積された2種の集積体フラグメント(A1)、(A2)を、各々のフェニルアゾメチン型デンドリマーのコア同士で結合させ、一体化した集積体とする工程
[2]前記式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体フラグメント(A1’)と、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D1)とを各々のコア同士で結合させ、前記結合した集積体における、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D1)由来のイミン部位に、集積体フラグメント(A1’)由来のイミン部位に集積された金属塩化合物とは金属種が異なる異種金属塩化合物を、式(I)で表される環状構造で個数を制御して集積させる工程
上記において、コア同士の結合は、前述のリンカーによって達成できる。従ってコアには、リンカーによる結合を可能とする反応性の官能基を有することが好ましい。例えばリンカーがペプチド結合の場合には、1つのコアにアミノ基、他のコアにエステル基を有する。3個以上のコアを結合する場合には、この反応性の官能基を1個のコアに2つ以上有することが好ましい。
好ましい一例において、前記集積体の製造方法は、さらに以下の[3]〜[5]のいずれかの工程を含む。
[3]フェニルアゾメチン型デンドリマーに、前記式(I)で表される環状構造で、前記[1]または[2]で得た集積体とは互いに金属種が異なる金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体フラグメント(A4)と、前記[1]または[2]で得た集積体である集積体フラグメントとを、各々のフェニルアゾメチン型デンドリマーのコア同士で結合させ、一体化した集積体とする工程
[4]前記[1]または[2]で得た集積体である集積体フラグメントと、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D2)とを各々のコア同士で結合させ、前記結合した集積体における、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D2)由来のイミン部位に、前記[1]または[2]で得た集積体由来のイミン部位に集積された金属塩化合物とは金属種が異なる異種金属塩化合物を、式(I)で表される環状構造で個数を制御して集積させる工程
[5]前記[3]または[4]の工程の後、任意でさらに前記[3]または[4]と同様の操作を繰り返す工程
上記においても、コア同士の結合は、前述のリンカーによって達成できる。従ってコアには、リンカーによる結合を可能とする反応性の官能基を有することが好ましい。3個以上のコアを結合する場合には、この反応性の官能基を1個のコアに2つ以上有することが好ましい。
好ましい一例において、前記集積体の製造方法は、前記[3]〜[5]の工程において、3個以上の各々の前記フラグメントにおけるコアを直列に結合する。前述のAabcクラスターを合成する例に示すように、コアを直列に結合することで多数のフラグメントを直列のコアで結合することが可能となり、多種類の異種金属からなる合金粒子を容易に作製できる。
以上のような集積体の製造方法で集積体を得た後、この集積体を還元することで、個数が制御された合金粒子を得ることができる。集積体の還元は、例えば後述のとおり、金属塩化合物に対して還元作用を有し、これを0価の状態まで還元することができる還元剤を用いて気相もしくは溶液中で行うことができる。
合金粒子としては、その種類、組成は特に限定されない。合金粒子を構成する金属元素としては、特に限定されず、例えば、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、錫、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ビスマス等が挙げられる。これらのような金属元素を2種類以上有する合金粒子、そして3種類以上の多数種の金属元素からなる合金粒子を、デンドリマーの選択等によって異種金属の組成を制御して製造できる。合金粒子はサブナノ粒子に限定されず、例えば上記のコアを直列に結合する方法によれば、多数種の金属元素からなるサブナノ粒子より大きいサイズの合金粒子を製造し得る。
このように本発明の集積体は、異種金属塩化合物が集積されたものとすることができ、その中でも以上のような方法によれば、各異種金属の個数を制御することも可能である。以上のような方法が適用し得る好ましい一例では、前記式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーにおけるnが2以上の整数であり、n個の各々のデンドロン単位のうち少なくとも1個は、他のデンドロン単位とは金属種が異なる異種金属塩化合物が集積されている。
デンドリマーは、コンバージェント法等によって製造することができる。コンバージェント法は、外側から内側に枝を伸ばしていき、最後にコアに結合させて球状高分子にする方法であり、デンドリマーの外殻となる部分から内側に向かってデンドロンの合成を進めていき、最後にコアにいくつかのデンドロンを結合させる。その際には、例えば、アミノ基とカルボニル基との反応を利用し、特に、4,4'−ジアミノジフェニルメタンとカルボニル基含有化合物を反応させ、4,4'−ジアミノジフェニルメタンのメタン部分を酸化してカルボニル基とする工程を繰り返すことで、本発明に使用されるフェニルアゾメチン型デンドリマーを合成することができる。
本発明の集積体は、還元することによって、その金属元素のサブナノ粒子を製造することができる。
デンドリマーの金属塩化合物集積体の還元は、例えば、金属塩化合物に対して還元作用を有し、これを0価の状態まで還元することができる還元剤を用いて気相もしくは溶液中で行うことができる。
気相で還元する場合、担体に担持し、この担体を水素ガス雰囲気下で焼成する。デンドリマーの金属塩化合物集積体を担体に担持することによって、凝集せずにクラスターを生成できる。担体の形状は、特に限定されるものではなく、粒状、繊維状、顆粒状、膜状、板状等、各種のものであってよい。単位質量当たりの表面積が大きく触媒等の各種用途に適している点を考慮すると、粒状(粉末状)が好ましい。担体としては、炭素材料、無機材料等が挙げられる。これらの炭素材料は多孔質物質であってもよく、細孔表面にクラスターを担持できる。担体への担持は、例えば、デンドリマーの金属塩化合物集積体を有機溶媒等の適宜の溶媒に溶解した溶液を用いて、含浸、塗布、滴下等によって担体に接触させた後、乾燥することによって行うことができる。この担持体を水素ガス、あるいは水素を含む窒素やアルゴンとの混合ガス雰囲気下で焼成する。
溶液中で還元する場合、還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ヒドラジン類、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラn−ブチルアンモニウム、水素化ホウ素メチルアンモニウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、ボラン錯体類、トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化トリブチルホウ素リチウム、水素化トリブチルホウ素カリウム、Schwartz試薬、Stryker試薬、水素化トリブチルスズ、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、ベンゾフェノンケチルラジカル類、金属ナフタレニド類、過酸化水素等が挙げられる。
このようにしてデンドリマーの金属塩化合物集積体を還元することで、集積させた金属塩化合物の数に相当する大きさのサブナノ金属粒子を調製することができる。ここで「サブナノ」の用語は、粒子の粒径が例えば0.5〜2.5nmの範囲内にあること、特に0.8〜1.8nmの範囲内にあることを意味している。いくつかの原子が集まり、それらの一部もしくは全体が直接結合することによって作られる多面体型の原子集団は一般にクラスターと称されているが、その意味においてサブナノ金属粒子はクラスターである。
このようなサブナノ金属粒子は、担体に担持してもよい。サブナノ金属粒子を担体に担持することによって、サブナノ金属粒子の凝集等を抑え、例えば触媒に使用する際には、触媒活性の低下を効果的に抑えることが可能となる。
クラスターが担持される担体の形状は、特に限定されるものではなく、粒状、繊維状、顆粒状、膜状、板状等、各種のものであってよい。単位重量当たりの表面積が大きく触媒に適している点を考慮すると、粒状(粉末状)が好ましい。
担体としては、炭素材料、例えば、カーボンブラック(ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、ガスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等)、活性炭、カーボンファイバー等の非晶質(微結晶)カーボン、フラーレン、ナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン等のナノカーボン、グラファイト等の3次元結晶、グラファイト化メソポーラスカーボン等が挙げられる。これらの炭素材料は多孔質物質であってもよく、細孔表面に単一元素クラスターを担持できる。
この他、担体として無機材料を用いることができる。無機材料としては、例えば、シリカゲル、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、酸化銅、ガラス、珪砂、タルク、マイカ、クレイ、ウォラスナイト等が挙げられる。
担体の内部面積、親和性、汎用性、安定性、耐久性の点から好ましい担体として、ケッチェンブラック(KB)、グラファイト化メソポーラスカーボン(GMC)、酸化グラフェン(GO)、酸化アルミニウム(Al23)等が挙げられる。
担体への担持は、気相で還元する場合には、本発明の集積体を担体に担持し、この担体を水素ガス雰囲気下で焼成することで行うことができる。溶液中で還元する場合には、還元後のサブナノ金属粒子を内包したデンドリマーを有機溶媒等の適宜の溶媒に溶解した溶液を用いて、担体分散液との混合、含浸、塗布、滴下等によって担体に接触させた後、乾燥することによって行うことができる。必要に応じて粉砕処理を行ってもよい。
本発明のフェニルアゾメチン型デンドリマーの金属塩化合物集積体から得られるサブナノ金属粒子は、触媒をはじめとして各種の分野、例えば、医薬品、電子機能材料、環境適合材料、発光材料等のための素材としての応用が期待される。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
デンドリマーの部分構造となっている化合物(G0)と、ペンタシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*IrCl22)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に下記のスキームでイリジウム錯体を合成した。
図1(a)はMALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトル、図1(b)は生成物と化合物G0の1H−NMRスペクトルである。図2は、酢酸ナトリウムの存在下に合成した生成物と、酢酸ナトリウムを添加せずに合成した生成物の1H−NMRスペクトルである。
上記スキームでは単離収率52%で、反応はほぼ100%進行した。
合成の際に環化型錯体の生成を促進する酢酸ナトリウムを用いた場合と、用いなかった場合の生成物をNMRで確認すると、用いなかった場合ではデンドリマーの分解物であるベンゾフェノンが副生成物として多く生じていることが分かった(図2)。単純にデンドリマーのみの溶液ではベンゾフェノンは生じなかったため、これは反応中に生じたイリジウム錯体の分解によって生じたものと考えられる。一方、酢酸ナトリウムを用いた反応ではベンゾフェノンの生成は見られず、環化型錯体の水に対する安定性が非環化型錯体に比べて格段に上がっているといえる。
環化型錯体の安定性に関して、酢酸ナトリウムがあるときの反応メカニズムは次のように推定される。イリジウム上の酢酸配位子が速やかにC−H活性化による環化型錯体を形成する。酢酸イオンが環化反応を促進する例については多数の報告例がある(例えば、Lutz Ackermann Chem. Rev. 2011, 111, 1315-1345.)。
一方、酢酸ナトリウムがないときの反応メカニズムは次のように推定される。環化反応が遅いため残留水分による加水分解反応が競合し、ベンゾフェノンが生成すると考えられる。
上記以外に、下記のスキームで、デンドリマーの部分構造となっている化合物(G0)と、ペンタシクロペンタジエニルロジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*RhCl22)、ジクロロビス(ジメチルスルホキシド)白金(II)(PtCl2(dmso)2)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に合成を行った。上記イリジウム錯体以外にも(上段)、ロジウム錯体(中段)、白金錯体(下段)の合成を確認した。
<実施例2>
実施例1において合成したG0−Ir錯体を、3% H2/Ar、300℃、3hの条件で水素気流下に加熱焼成を行い、気相還元した。図3は、G0−Ir錯体の還元前後におけるX線光電子分光スペクトルである。X線光電子分光法によるIrの価数評価より、イリジウム錯体を金属イリジウムに変換可能であることを確認した。
<実施例3>
イミン窒素を2個有するデンドリマーと、ペンタシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*IrCl22)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に下記のスキームでイリジウム2核錯体を合成した。
図4は、X線結晶構造解析による生成物の結晶構造を示す。上記スキームの通りの構造でありCとIrが結合している。イリジウム2核錯体の合成を確認した。
<実施例4>
イミン数12個の第2世代フェニルアゾメチンデンドリマー(テトラフェニルメタンコア G2)と、ペンタシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*IrCl22)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に下記のスキームでイリジウム12核錯体を合成した。分液操作、カラムクロマトグラフィー、再沈殿を行い生成物を得た。
図5(a)はMALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトル、(b)は生成物の透過型電子顕微鏡像である。(b)において12個の輝点は12個のIr原子を示している。イリジウム12核錯体の合成を確認した。
<実施例5>
イミン数12個の第2世代フェニルアゾメチンデンドリマー(テトラフェニルメタンコア G2)と、ペンタシクロペンタジエニルロジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*RhCl22)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に反応を行った。分液操作、カラムクロマトグラフィー、再沈殿を行い生成物を得た。
図6は、MALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトルである。イリジウムと同様にロジウムのデンドリマーへの集積も確認した。
<実施例6>
イミン数12個の第2世代フェニルアゾメチンデンドリマー(テトラフェニルメタンコア G2)と、ジクロロビス(ジメチルスルホキシド)白金(II)(PtCl2(dmso)2)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に反応を行った。分液操作、カラムクロマトグラフィー、再沈殿を行い生成物を得た。
図7(a)は、MALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトル、図7(b)は、担持剤に生成物を担持した表面のHAADF―STEM像である。イリジウム、ロジウムと同様に白金のデンドリマーへの集積も確認した。
<実施例7>
イリジウム12核錯体の還元条件を検討した。実施例4で合成したイリジウム12核錯体をSiウェハー上に塗布し固定化した。次に、固定化したイリジウム12核錯体を、3% H2/Arで温度と時間を変更し、水素気流下に加熱焼成を行い、気相還元した。
図8は、水素還元後におけるX線光電子分光スペクトルである。270℃では5hで還元することができ、350℃以上の温度では10min.で還元することができる。
<実施例8>
実施例4で合成したイリジウム12核錯体を下記のスキームで担持剤に固定化した。担持剤はグラフェンナノパウダー、ケッチェンブラック等を用いた。
次に、担持剤に固定化したイリジウム12核錯体を、3% H2/Ar、350℃、10minの条件で水素気流下に加熱焼成を行い、気相還元した。
図9は、G2−Ir12核錯体の還元前、真空処理後、水素還元後におけるX線光電子分光スペクトルである。G2−Ir12核錯体の還元前、真空での加熱焼成処理後、3% H2/Ar気流下での加熱焼成処理後の結果を示している。水素気流下での加熱によりイリジウム12核錯体を金属イリジウムに変換可能であることを確認した。
図10は、イリジウム12核錯体を担持した表面(左)と還元後の表面(右)のHAADF−STEM像である。左の像では○で示した場所に錯体がある。イリジウム12核錯体のサブナノ粒子化を確認した。
<実施例9>
次の10N−デンドリマー〜17N−デンドリマーを用いて、イリジウム10〜17核錯体を合成した。
スキームS1:フェニルアゾメチンデンドロンの合成
Pre-LG2on (TiCl4による脱水反応の一般的手順)
ベンゾフェノン(19.9g、109.1mmol)、4-ベンジルアニリン(20g、109.1mmol)、4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)(73.4g、654.6mmol)をクロロベンゼン(500ml)に溶解し、90℃に加熱した。クロロベンゼン40mlに溶解したTiCl4(17.4ml、163.6mmol)を滴下し、滴下漏斗をクロロベンゼン5mlですすいだ。混合物を125℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で4.5時間撹拌した。反応混合物を室温で冷却し、空気中で一晩撹拌し、次いでセライトで濾過した。濾液を濃縮し、生成物をシリカゲルで濾過した。テトラヒドロフラン/メタノールからの再結晶によって生成物pre-LG 2 onを得た。
1HNMR(400 MHz, CDCL3, 21.0℃, TMS):δ = 7.73 (2H, d, J = 7.12 Hz), 7.44 (1H, t, J = 7.24 Hz), 7.38 (2H, t, J = 7.36 Hz ), 7.28 - 7.23 (5H, m), 7.16, (1H, t, J = 7.30 Hz) 7.09, (4H, t, J = 7.46 Hz), 6.94, (2H, d, J = 8.24), 6.65(2H, d, J = 8.28 Hz).
LG2on(KMnO4による酸化反応の一般的手順)
Pre-LG2on(23.0g、66.2mmol)およびTBABr(29.0g、90.0mmol)を1,2-ジクロロエタン(300ml)に溶解した。次いで、氷浴上の溶液にKMnO4(14.2g、90.0mmol)を添加した。反応を室温に徐々に戻し、1週間攪拌した。その後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止させた。混合物を分離し、クロロホルムで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、次いで亜硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。生成物をシリカゲルで濾過し、テトラヒドロフラン/メタノールから再結晶した。
1HNMR(400 MHz, CDCl3, 21.0℃, TMS):δ = 7.76 (2H, d, J = 7.04 Hz), 7.70 (2H, d, J = 8.48 Hz), 7.65 (2H, d, J = 8.48 Hz ), 7.54 - 7.41 (6H, m), 7.25, (3H, bs) 7.12, (2H, bs), 6.79 (2H, d, J = 8.48 Hz). 6.94, (2H, d, J = 8.24), 6.65(2H, d, J = 8.28 Hz).
G2onは、文献に従って調製した。
スキームS2: Half-フェニルアゾメチンデンドリマーの合成
Half-DPAG3の合成
脱水反応の一般的手順に従って、G3on(3.7g、2.9mmol)、p-フェニレンジアミン(1.08g、10mmol)およびDABCO(1.35g、12mmol)をクロロベンゼン(30mL)に溶解した。TiCl4(0.32ml、3mmol)を加え、混合物を125℃で3時間攪拌した。生成物(Half-DPAG3)を分取GPCにより単離した。 収率:43%(1.71g、1.27mmol)。生成物(Half-DPAG3)を分取GPCにより単離した。収率:43%(1.71g、1.27mmol)。
G2-DPAG3の合成
Half-DPAG3on(0.67g、0.5mmol)、G2on(0.27g、0.5mmol)およびDABCO(0.42g、3.7mmol)をクロロベンゼン(20mL)に溶解した。TiCl4(0.1ml、0.94mmol)を滴下し、混合物を125℃で2.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、空気中で激しく撹拌して反応を停止させた。セライトおよびシリカによる濾過によって沈殿物を除去し、濾液を濃縮した。生成物(G2-DPAG3)を分取GPCにより単離した。収率:44%(0.41g、0.22mmol)。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ= 7.81- 6.46 (96H, m).
スキームS4:トリフェニルベンゼンコア(TPB)フェニルアゾメチンデンドリマーの合成
TPB コアの合成
G3on(1.65g、1.31mmol)、トリス(4-アミノフェニル)ベンゼン(0.92g、2.62mmol)およびDABCO(1.03g、9.2mmol)をクロロベンゼン(30mL)に溶解した。TiCl4(0.25ml、2.36mmol)を滴加し、混合物を125℃で3.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、空気中で激しく撹拌して反応を停止させた。セライトおよびシリカによる濾過によって沈殿物を除去し、濾液を濃縮した。生成物(NH2-TPB2G3, 2NH2-TPBG3)を分取GPCにより単離した。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ= 7.70-6.41 (143H, m), 3.70 (2H, s).
2NH2-TPBG3;
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ= 7.31-6.42 (96H, m) 3.72 (4H, s).
R-DPB2G3 (R=LG2on, G2on)の一般的合成手順
NH2-TPB2G3on(0.28g、0.1mmol)、G2on(0.16g、0.2mmol)およびDABCO(0.6g、5.4mmol)をクロロベンゼン(20mL)に溶解した。反応液を125℃のオイルバスで加熱した後、クロロベンゼン(3ml)とTiCl4(95μl、0.9mmol)を滴下した。さらに2時間後、混合物を室温に冷却し、空気中で激しく撹拌して反応を停止させた。セライトおよびシリカによる濾過によって沈殿物を除去し、濾液を濃縮した。生成物(G2-TPB2G3)を分取GPCにより単離した。
G2-TPB2G3; 1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ= 7.80-6.55 (171H, m).
LG2-TPB2G3; 1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ 7.82-6.55 (162H, m).
2R-DPBG3 (R=LG2on, G2on)の一般的合成手順
2NH2-TPBG3on(0.24g、0.15mmol)、G2on(0.21g、0.4mmol)およびDABCO(0.6g、5.4mmol)をクロロベンゼン(20mL)に溶解した。反応混合物を125℃の油浴中で加熱し、次いでクロロベンゼン(3ml)およびTiCl4(95μl、0.9mmol)を滴下した。さらに3.5時間後、混合物を室温に冷却し、空気中で激しく撹拌して反応を停止させた。セライトおよびシリカによる濾過によって沈殿物を除去し、濃縮した。生成物(2G2-TPBG3)を分取GPCにより単離した。
2G2-TPBG3; 1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ= 7.81-6.55 (193H, m).
2LG2-TPBG3; 1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, 21.5 oC, TMS): δ= 7.67-6.40 (117H, m).
各フェニルアゾメチンデンドリマーと、ペンタシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*IrCl22)を用いて、酢酸ナトリウムの存在下に反応を行った。分液操作、カラムクロマトグラフィー、再沈殿を行い生成物を得た。
図11は、MALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトルである。イミン数が10〜17個であるデンドリマーに対してIrがほぼ定量的に錯形成することを確認した。
<実施例10>
イミン数4個の第1世代フェニルアゾメチンデンドリマー(テトラフェニルメタンコア G1)を用いて、ペンタシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*IrCl22)およびペンタシクロペンタジエニルロジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*RhCl22)と、1段階で酢酸ナトリウムの存在下に反応を行った。分液操作、カラムクロマトグラフィー、再沈殿を行い生成物を得た。
図12は、MALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトルである。イリジウムとロジウムを同時に錯形成させることで1分子のデンドリマーに異なる金属原子を集積できることを確認した。(2,2)はイリジウムとロジウムが2個づつ配位し、(3,1)はイリジウムとロジウムが3個と1個配位し、(4,0)はイリジウムが4個配位していることを示している。2種類の金属の塩の種類を変えることで、2種類の金属の組み合わせの制御も可能である。
<実施例11>
イミン数4個の第4世代フェニルアゾメチンデンドリマー(ベンゼンコア G4)を用いて、ペンタシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*IrCl22)およびペンタシクロペンタジエニルロジウム(III)ジクロリドダイマー([Cp*RhCl22)と、逐次的に2段階で酢酸ナトリウムの存在下に反応を行った。分液操作、カラムクロマトグラフィー、再沈殿を行い生成物を得た。
図13は、MALDI−TOF−MSによって測定された生成物の質量スペクトルである。イリジウムとロジウムを逐次的に錯形成させることで1分子のデンドリマーに異なる金属原子を集積できることを確認した。2種類の金属の塩の種類を変えることで、2種類の金属の組み合わせの制御も可能である。
<実施例12>
イリジウム錯体の安定性を調べるために、実施例1で合成したイリジウム錯体の単結晶を作製した。図14は、水−メタノール溶液から得られた結晶の顕微鏡写真である。水や大気中での酸化や分解が起きにくく、安定な単結晶が得られた。
<実施例13>
次の7N−デンドリマーを用いて、イリジウム7核ロジウム7核錯体を合成した。
G3−NH2と(IrCl2Cp*2をNaOAcの存在下、溶媒のDMF/MeOH中で室温にて1週間反応させ、7IrClCp*@G3−NH2を得た。次に、7IrClCp*@G3−NH2とテレフタル酸ジクロリドを、溶媒のジクロロメタン中、DMAP(N,N−ジメチル−4−アミノピリジン)の存在下、室温で20時間反応させ、7IrClCp*@G3−COClを得た。7IrClCp*@G3−COClとG3−NH2を、溶媒のジクロロメタン中、DMAPの存在下、室温で20時間反応させ、7IrClCp*@G3−CONH−G3を得た。
7IrClCp*@G3−CONH−G3と(RhCl2Cp*2をNaOAcの存在下、溶媒のDMF/MeOH中で室温にて1週間反応させ、合金錯体の7IrClCp*@G3−CONH−7RhClCp*@G3を得た。粗生成物収量で16.9mg(89%)を回収した。
図15はMALDI−TOF−MSによって測定されたイリジウム7核ロジウム7核錯体の質量スペクトル、図16(a)、(b)はイリジウム7核ロジウム7核錯体の電子顕微鏡観察像(HAADF−STEM)、図17は更に拡大して原子の個数を示したイリジウム7核ロジウム7核錯体の電子顕微鏡観察像(HAADF−STEM)である。これらは次の手順で試料を作製し観察を行った。担持剤をアセトン中に超音波照射により分散させた。担持剤としてはグラフェンナノパウダー、ケッチェンブラック等を用いた。この分散液(0.5mg/mL)にイリジウム7核ロジウム7核錯体のアセトン溶液を加え、さらに超音波分散処理を1時間行った。分散液をろ過・真空乾燥して試料を得た。
<実施例14>
イリジウム7核ロジウム7核錯体のクラスター化を次の手順で行った。担持剤に固定したイリジウム7核ロジウム7核錯体をH2雰囲気下、450℃、10 minの条件で加熱処理を行い、気相還元した。
図18(a)、(b)はIr7Rh7合金クラスターの電子顕微鏡観察像(HAADF−STEM)、図19(a)〜(d)、図20は合金クラスターのSTEM−EDX分析の結果を示す。STEMの写真は、クラスター化した溶液をSTEMグリッドに直接添加して観察した。
<実施例15>
IrクラスターのHER活性を測定した。実施例9等の上記実施例に準じて作製した、イリジウム金属数を11から17まで精密に制御したサブナノ粒子を用い、水素発生反応活性の比較を行った。測定は電気化学測定法を用いた。
・サンプル Irn/K.B.(0.2wt% Ir,n=11〜17 K.B.はケッチェンブラック)
・測定サンプル調製
(1) 使用する器具(メスフラスコやビーカー、バイアル、専用のピンセット、電気化学セル類)を25%希硝酸水溶液により煮沸洗浄した。上記器具を超純水により3回煮沸洗浄した。
(2) バイアルに超純水19mL、2−propanol (分光グレード)、5%Nafion分散液0.1mLを加え、超音波で5分攪拌した。
(3) バイアルにIrクラスターサンプル(Irn/K.b.)を3.5mg量り取った。そこに上記混合溶媒を4.750mL加え、超音波で5分攪拌した。大きな塊が残っている場合は更に超音波での攪拌を追加した。全体が均一となり、塊がない状態になるまで行った。
(4) アルミナペーストで研磨したグラッシーカーボン(GC)電極を回転速度500rpmで回転させながら、その中心にマイクロピペットを用いて触媒インクを4.8μL滴下した。回転させたまま15分放置した(インクが乾くまで)。同じ操作を後2回(合計3回)行い、計14.4μL滴下した。
・測定機器
ポテンシオスタット:ALS 440 Electrochemical Analyzer & ALS 750A Electrochemical Analyzer (BAS株式会社製)
作用電極:Irn/K.B.修飾GC電極(φ6mm)
対電極:Pt線
参照電極:標準水素電極
電解質:0.1M HClO4水溶液(MERCK社製のSuprapurグレードの過塩素酸(60%)1.088mLを100mLメスフラスコに加え、超純水を用いてメスアップし、電解質溶液を調製した。)
・測定手順
(1) 電解質溶液をセルに加え、アルゴンで15分脱気を行った後に、下記条件下で水素発生反応測定を行った。(Raw)
初期電位:0.2V
最終電位:0.3V
掃引速度:2mV/s
電極の回転速度:3000rpm
(2) 触媒の電気化学アニーリングを以下の条件でのサイクリックボルタンメトリー測定により行った。
初期電位:0.1V
高電位:1.0V
低電位:0.06V
掃引速度:100mV/s
スイープセグメント:21
再度、水素発生反応測定を次の条件で行った。(Annealed)
初期電位:0.2V
最終電位:0.3V
掃引速度:2mV/s
電極の回転速度:3000rpm
図21、図22はIrクラスターのHER活性の測定結果を示す。図21はアニーリング前(raw)、図22はアニーリング後(annealed)である。その結果、Ir13のサブナノ粒子が最も活性が高かった。金属数を正確に制御することで、金属数による触媒活性の違いが正確に確認できた。
<実施例16>
Ir単一金属サブナノ粒子と、IrとRhの2種類の金属合金サブナノ粒子のHER活性を比較した。金属原子数は14個に統一した。Ir7Rh7サブナノ粒子は実施例14に準じて作製した。
図23はIr7Rh7とIr14のHER活性の測定結果を対比して示す。合金化したIr7Rh7はIr14に比べて水素発生反応活性が向上した。

Claims (10)

  1. フェニルアゾメチン型デンドリマーに、次式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が集積された集積体:
    (式中、M−Rは前記金属塩化合物を示し、Mは金属原子、Rはその残余の化学構造を示す。フェニルアゾメチン構造におけるアゾメチン結合を形成するイミン窒素原子と炭素原子および該炭素原子に結合するフェニル環と、前記金属塩化合物の金属原子Mとの間で、前記環状構造を形成している。)。
  2. 次式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーに前記金属塩化合物が集積された請求項1に記載の集積体:
    (式中、Aはデンドリマーのコアとなるn価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す。nが2以上の場合、n個のデンドロン単位の各々は独立である。Xは次式で表されるX1またはX2を示す。
    (式中、Phaは置換基を有していてもよい2価のフェニル残基を示す。)
    (式中、Phbは置換基を有していてもよい1価のフェニル残基を示す。)
    繰り返し単位repにおいて、XがX1である場合には繰り返し単位repが繰り返され、繰り返し単位repの末端はX2であり、繰り返し単位repにおいて全てのXは各々独立である。全てのPhaとPhbの置換基は各々独立である。)。
  3. 異種金属塩化合物が集積された請求項1または2に記載の集積体。
  4. 前記式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーにおけるnが2以上の整数であり、n個の各々のデンドロン単位のうち少なくとも1個は、他のデンドロン単位とは金属種が異なる異種金属塩化合物が集積されている請求項2に記載の集積体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の集積体を還元する、サブナノ金属粒子の製造方法。
  6. 請求項3または4に記載の集積体を用いた、フェニルアゾメチン型デンドリマーに集積する金属原子の個数を制御する方法であって、
    前記式(II)で表されるフェニルアゾメチン型デンドリマーにおける、前記有機基Aの価数nと、前記繰り返し単位repを選択することにより、集積する金属原子の目的とする個数に応じた数の前記環状構造を形成する部位を持つ前記フェニルアゾメチン型デンドリマーを合成する工程と、
    前記目的とする個数の前記異種金属塩化合物を、前記環状構造を形成する部位に集積する工程とを含む方法。
  7. 以下の[1]と[2]のいずれかの工程を含む、互いに金属種が異なる複数種の金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体の製造方法。
    [1]フェニルアゾメチン型デンドリマーに、次式(I):
    (式中、M−Rは前記金属塩化合物を示し、Mは金属原子、Rはその残余の化学構造を示す。フェニルアゾメチン構造におけるアゾメチン結合を形成するイミン窒素原子と炭素原子および該炭素原子に結合するフェニル環と、前記金属塩化合物の金属原子Mとの間で、前記環状構造を形成している。)で表される環状構造で、互いに金属種が異なる金属塩化合物が個数を制御して集積された2種の集積体フラグメント(A1)、(A2)を、各々のフェニルアゾメチン型デンドリマーのコア同士で結合させ、一体化した集積体とする工程
    [2]式(I)で表される環状構造で金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体フラグメント(A1’)と、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D1)とを各々のコア同士で結合させ、前記結合した集積体における、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D1)由来のイミン部位に、集積体フラグメント(A1’)由来のイミン部位に集積された金属塩化合物とは金属種が異なる異種金属塩化合物を、式(I)で表される環状構造で個数を制御して集積させる工程
  8. さらに以下の[3]〜[5]のいずれかの工程を含む、請求項7に記載の集積体の製造方法。
    [3]フェニルアゾメチン型デンドリマーに、前記式(I)で表される環状構造で、前記[1]または[2]で得た集積体とは互いに金属種が異なる金属塩化合物が個数を制御して集積された集積体フラグメント(A4)と、前記[1]または[2]で得た集積体である集積体フラグメントとを、各々のフェニルアゾメチン型デンドリマーのコア同士で結合させ、一体化した集積体とする工程
    [4]前記[1]または[2]で得た集積体である集積体フラグメントと、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D2)とを各々のコア同士で結合させ、前記結合した集積体における、金属塩化合物が集積されていないフェニルアゾメチン型デンドリマーフラグメント(D2)由来のイミン部位に、前記[1]または[2]で得た集積体由来のイミン部位に集積された金属塩化合物とは金属種が異なる異種金属塩化合物を、式(I)で表される環状構造で個数を制御して集積させる工程
    [5]前記[3]または[4]の工程の後、任意でさらに前記[3]または[4]と同様の操作を繰り返す工程
  9. 前記[3]〜[5]の工程において、3個以上の各々の前記フラグメントにおけるコアを直列に結合する、請求項8に記載の集積体の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の方法で集積体を得た後、この集積体を還元して個数が制御された合金粒子を得る、合金粒子の製造方法。
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