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JP6803766B2 - 強度評価方法、構造体の製造方法、強度評価装置、及び強度評価プログラム - Google Patents
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強度評価方法、構造体の製造方法、強度評価装置、及び強度評価プログラム Download PDF

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Description

本発明は、強度評価方法、構造体の製造方法、強度評価装置、及び強度評価プログラムに関する。
電力機器には、電力の経路となる導体や電気部品を支持する構造体が設けられる。この構造体は、絶縁性および機械強度が要求され、エポキシ系樹脂等で製造される。このような構造体の強度を推定、評価する方法として、最大主応力説による評価方法が知られている。この評価方法は、エポキシ樹脂等の脆性破壊する材料の構造体に働く最大主応力の最大値が材質により定まる強度に達すると破壊が発生すると仮定した評価方法である。また、樹脂製部の破壊を数値シミュレーションによって予測する手法が提案されている(例えば、下記の特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1では、破壊状態を予測すべき樹脂部品に対応する有限要素モデルに、樹脂部品の実装状態に基づいて複数の節点を選定する。そして、有限要素モデルに対して強制変位を与えて静的構造計算を行なう。そして、静的構造計算により得られた塑性歪分布に基づいて、塑性歪が基準値を越えたとき節点を破壊部位と判定する。
また、特許文献2では、評価対象であるタイヤにおける結合界面の界面ポテンシャルエネルギ関数のパラメータを、引張剥離実験又はせん断剥離実験の少なくとも一方に基づいて決定する。そして、タイヤを有限個の要素に分割して作成した解析モデル中の結合界面に、決定した界面ポテンシャルエネルギを含む界面要素を作成し、配置する。そして、界面ポテンシャルエネルギ関数に基づいて界面要素の剛性を計算する。そして、計算した剛性を解析モデルの全体連立方程式に代入して、所定の解析条件に基づいて前記全体連立方程式を解くことにより、解析を実行する。そして、全体連立方程式を解いて得られた界面の物理量の大きさから、亀裂の進展の可否を判定し、タイヤの破壊を評価する。
特開2005−147806号公報 特開2008−145200号公報
上述のような強度評価方法は、強度の予測精度に改善の余地がある。例えば、最大主応力説に基づいて構造体が破壊すると予測される応力に対して、実際の試験では70%程度の応力で部材が破壊する場合がある。その要因として、例えば、最大主応力説や最大主ひずみ説では寸法効果や応力分布の影響が加味されないことが考えられる。そのため強度の予測精度が低く、試作回数の増加に繋がり、コストアップや商品開発の遅延を招く。また、強度の予測精度が低いと、安全率を過度に設定することなどで小型化の妨げとなる。
本発明は、上述の事情に鑑みなされたものであり、構造体の強度を精度よく評価可能な強度評価方法、構造体の製造方法、強度評価装置、及び強度評価プログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、強度評価方法が提供される。強度評価方法は、脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素が破壊しない確率を示す信頼度を、各要素に働く応力を用いて算出することを含んでよい。強度評価方法は要素の信頼度を乗算した結果を1から減算することで、複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出することをんでよい
本発明の第2の態様によれば、構造体の製造方法が提供される。構造体の製造方法は、脆性破壊する材料を含んで構成される構造体を設計することを含んでよい。構造体の製造方法は、設計に基づいて、構造体の強度を上記強度評価方法によって評価することをんでよい構造体の製造方法は、強度が特定の条件を満たすときに構造体を製造することを含んでよい。
本発明の第3の態様によれば、強度評価装置が提供される。強度評価装置は、脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素に働く応力を用いて各要素が破壊しない確率を示す信頼度を算出する信頼度算出部を備えてよい。強度評価装置は要素の信頼度を乗算した結果を1から減算することで、複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出する破壊確率算出部を備えてよい
本発明の第4の態様によれば、強度評価プログラムが提供される。強度評価プログラムは、コンピュータに、脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素に働く応力を用いて各要素が破壊しない確率を示す信頼度を算出することを実行させてよい。強度評価プログラムは、コンピュータに要素の信頼度を乗算した結果を1から減算することで、複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出することを実行させてよい
また、脆性破壊する材料はエポキシ系樹脂であってもよい。また、構造体の強度のワイブル分布を表す形状パラメータ、尺度パラメータ、及び位置パラメータをそれぞれm、σ、σとし、複数の要素のそれぞれに割り付けられる番号がiの要素の応力および体積をそれぞれσ、Vとし、複数の要素の基準となる体積をVとし、番号がiの要素の信頼度であるR(σ)は、下記の式(1)で表されてもよい。
また、信頼度を算出する対象要素を構造体の数値モデルにおける複数の要素から選択することを含んでもよい。また、構造体の要素に働く応力をσとし、構造体の強度のワイブル分布における位置パラメータをσとし、予め定められた0以上の閾値をσthとしたときに、σ−σ>σthを満たす要素を対象要素として選択してもよい。また、信頼度の算出よりも前に、構造体に働く応力の分布を算出することを含み、応力の分布に基づいて複数の要素のそれぞれに働く応力の代表値を算出し、代表値を用いて信頼度を算出してもよい。
本発明によれば、構造体の数値モデルにおける複数の要素の各要素が破壊しない確率に基づいて、複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を算出するので、構造体の強度を精度よく評価可能である。
また、各要素の信頼度が上記の式(1)で表される場合、ワイブル分布に基づいて各要素の信頼度を算出するので、各要素の信頼度を精度よく予測することができ、複数の要素に関する破壊確率を精度よく予測することができる。また、信頼度を算出する対象要素を構造体の複数の要素から選択する場合、処理の負荷を低減することができる。また、σ−σ>σthを満たす要素を対象要素として選択する場合、処理の負荷を低減することができる。また、構造体に働く応力の分布を算出し、各要素に働く応力の代表値を用いて信頼度を算出する場合、各要素に働く応力を精度よく評価することができるので、信頼度および破壊確率を精度よく予測することができる。
実施形態に係る強度評価装置を適用した製造システムを示す図である。 評価対象の一例を示す図である。 応力分布算出部の処理を示す図である。 信頼度算出部および破壊確率算出部の処理を示す図である。 実施形態に係る強度評価方法を示すフローチャートである。 実施形態に係る強度評価方法を適用した評価例とを示す図である。 実施形態に係る構造体の製造方法を示すフローチャートである。
実施形態について説明する。図1は、実施形態に係る強度評価装置を適用した製造システムを示す図である。この製造システムは、絶縁性および機械強度が要求される構造体の製造に利用される。上記の構造体は、例えば、変流器、変圧器などの電力機器に設けられるモールドなどであり、電力の経路となる導体や電気部品を支持する。製造システム1は、設計装置2、強度評価装置3、及び加工装置4を備える。
設計装置2は、例えば、CADアプリケーションが実装されたコンピュータなどである。設計装置2は、製造の対象の構造体を設計することに利用される。設計装置2は、構造体の形状および寸法などを定めた設計データ(例、CADデータ)を出力する。この設計データは、強度評価装置3および加工装置4のそれぞれに供給される。例えば、設計装置2は、強度評価装置3および加工装置4のそれぞれと、有線または無線によって通信可能に接続され、通信により設計データを供給する。なお、設計データは、USBメモリなどの記憶媒体に格納されて、設計装置2の外部(例、強度評価装置3、加工装置4)に供給されてもよい。
加工装置4は、例えば、構造体の成型に利用される金型の製造に利用される装置である。加工装置4は、構造体の設計データに基づいて、金型の母材に対して切断、曲げ、接合などの各種加工を施す。例えば、加工装置4は、設計装置2から供給される設計データを用いた数値制御(NC)によって、各種加工を実行する。加工装置4は、各種加工を行う複数の装置(例、レーザ加工機、パンチプレス機、溶接機)のうち1つでもよいし、2以上の装置を含む加工システムでもよい。また、加工装置4は、金型の製造以外の加工を行う装置でもよく、例えば、金型を用いて構造体を成型する装置でもよい。
強度評価装置3は、脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の強度を、最弱リンクモデルによって評価(予測、推定)する。構造体の材質は、例えばエポキシ樹脂をベースとした樹脂であり、硬化剤あるいは充填剤(例、石英)が添加された樹脂でもよい。強度評価装置3は、構造体の形状、寸法、及び材質に基づいて、構造体の強度を評価する。構造体の形状および寸法は、上記の設計データに含まれており、強度評価装置3は、例えば設計データを用いて、構造体の強度を評価する。
強度評価装置3の評価結果は、構造体が所定の強度を有するか否かの判定に利用される。この判定は、強度評価装置3あるいは他の装置が行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。構造体が所定の強度を有する(例、強度が十分である)と判定された場合、加工装置4によって、構造体を製造する上での加工が実行される。構造体が所定の強度を有しない(例、強度が不足する)と判定された場合、設計装置2を用いた構造体の再設計が行われる。なお、強度評価装置3は、設計装置2の一部であってもよいし、製造システム1の外部の装置でもよい。
強度評価装置3は、応力分布算出部5、選択部6、信頼度算出部7、破壊確率算出部8、及び記憶部9を備える。強度評価装置3は、概略すると以下のように動作する。応力分布算出部5は、構造体に所定の負荷をかけた際の構造体における応力分布を算出する。選択部6は、応力分布算出部5の算出した応力分布に基づいて、強度評価の対象要素を選択する。信頼度算出部7は、選択部6が選択した要素について、数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて要素が破壊しない確率を示す信頼度を算出する。本実施形態における数値モデルは、有限要素法を適用した有限要素解析モデルである。破壊確率算出部8は、数値モデルにおける複数の要素で信頼度を乗算してこれら複数の要素が破壊しない確率(非破壊確率)を算出し、非破壊確率を用いて、これら複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出する。記憶部9は、強度評価装置3の各部の処理に必要とされる情報(例、計算条件、ワイブルパラメータ)、強度評価装置3の各部の処理結果(例、計算結果)などを記憶する。以下、強度評価装置3の各部について、図2から図4を参照しつつ説明する。
応力分布算出部5は、構造体の形状、寸法、及び機械特性に基づいて、構造体に所定の負荷をかけた際に構造体に働く応力の分布を算出する。上記の機械特性は、構造体の材質(エポキシ系樹脂の組成)によって定まる値である。応力分布算出部5は、有限要素法(FEM)などによって、構造体に応じた計算格子の節点(格子点)における応力の向き、及び大きさを算出する。
図2は、評価対象の一例を示す図である。図2(A)にはワイブルパラメータを求めるときの試験片の構造例を構造体11として、JIS規格の引張試験に用いられる試験片を示した。この構造体11は、ダンベル型であり、その両端部11aがそれぞれ引張試験機に支持される。構造体11の中央部は、直方体状の平行部11bになっており、この平行部11bがワイブルパラメータを求めるための対象の領域となる。
図2(B)には強度評価をするときの構造体の一例として、座標系、計算格子及び計算条件を示した。この座標系において、X方向は、両端部11aを結ぶ長さ方向であり、引張試験機で引張荷重が働く方向に相当する。Y方向は板厚方向であり、Z方向は幅方向である。ここでは、計算格子12として構造格子を例示するが、計算格子が非構造格子でもよい。符号12aは、Y方向およびZ方向に拘束された位置である。また、符号12bは、評価対象の構造体(計算格子12で表される構造体)にかける負荷である。なお、評価結果の例については後に図6で説明する。
図3は、応力分布算出部の処理を示す図である。図3(A)には、応力分布算出部5が算出した応力分布を概念的に示した。図3(B)には、要素の1つを拡大して示した。要素Eは、4つの節点Epに囲まれており、応力分布算出部5の計算結果には、4つの節点Epのそれぞれにおける応力の向き、及び大きさが含まれている。
応力分布算出部5は、応力分布に基づいて、複数の要素のそれぞれに働く応力の代表値(代表応力)を算出する。代表応力は、強度評価に用いられる値である。応力分布算出部5は、代表応力として、4つの節点Epにおける応力の平均値(例、加算平均)を算出する。なお、要素Eに働く応力の代表値は、加重平均によって算出されてもよい。加重平均の係数(重み付け係数)は、例えば、要素Eの中心Ecと各節点Epとの距離の逆数などでもよい。また、要素Eに働く応力の代表値は、複数の節点Epのうち応力の最大値、あるいは最小値でもよいし、最大値あるいは最小値を除外して算出した平均値などでもよい。
図3(C)には、各要素の代表応力σの分布を概念的に示した。図3(C)において、符号15は、強度評価に用いる計算格子であり、符号Eは、強度評価の対象要素である。強度評価に用いる計算格子15は、応力分布を算出する際の計算格子12(図2(b)参照)と同じでもよいし、異なってもよい。強度評価用の計算格子15が応力分布の算出用の計算格子12と異なる場合、応力分布の算出結果を用いた補間などによって、代表応力を算出することができる。応力分布算出部5は、算出した代表応力を記憶部9(図1参照)に記憶させる。
図1の選択部6は、信頼度を算出する対象要素を構造体から選択する。選択部6は、構造体の要素に働く応力をσとし、構造体の強度のワイブル分布における位置パラメータをσとし、予め定められた0以上の閾値をσthとしたときに、σ−σ>σthを満たす要素を対象要素として選択する。位置パラメータσは、ワイブル分布を表すパラメータ(ワイブルパラメータ)の一つである。ワイブルパラメータは、形状パラメータ(m)、尺度パラメータ(σ)、及び位置パラメータ(σ)を含む。ワイブルパラメータは、予め試験などにより求められており、図1の記憶部9に記憶されている。
選択部6は、応力分布算出部5が算出した代表応力、及び位置パラメータσを記憶部9から読み出す。選択部6は、要素ごとに代表応力と位置パラメータσの差分を閾値σthと比較して、信頼度を算出するか否かを要素ごとに判定する。閾値σthは、例えば0に設定されるが、位置パラメータσの1%の値、5%の値などのように0よりも大きい値に設定されてもよい。
図1の信頼度算出部7は、構造体のうち選択部6が選択した複数の要素E((図3(C)参照))のそれぞれについて、信頼度を算出する。信頼度は、構造体11における要素が破壊しない確率(非破壊確率)である。信頼度算出部7は、各要素に働く応力の代表値(図3(C)の代表応力σ)を用いて信頼度を算出する。ここで、複数の要素のそれぞれに割り付けられる番号をi(整数)とする。また、番号がiの要素(以下、Eで表す)の代表応力をσとし、要素Eの体積をVとする。また、複数の要素の基準となる体積をVとする。Vは、例えば、複数の要素での体積の平均値である。要素Eが破壊する確率Fは、σの関数であり下記の式(2)で表される。式(2)において、m、σ、はワイブルパラメータである。mは形状パラメータであり、σは尺度パラメータであり、σは位置パラメータである。
また、要素Eの信頼度であるR(σ)は、下記の式(3)で表される。信頼度算出部7は、代表応力およびワイブルパラメータを記憶部9から読み出し、下記の式(3)に従って、信頼度を算出する。
図4は、信頼度算出部および破壊確率算出部の処理を示す図である。図4(A)には、信頼度算出部7が算出した信頼度の分布を概念的に示した。図4(A)を図3(C)と比較すると、代表応力σが相対的に大きい要素(例、図3(C)の中心部分)については、信頼度Rが相対的に小さい。また、代表応力σが同じでも、強度評価に用いる計算格子の大きささが相対的に大きいと、信頼度Rが相対的に小さい。
破壊確率算出部8は、各要素の信頼度を用いた最弱リンクモデルによって、破壊確率を算出する。図4(B)には、最弱リンクモデルを概念的に示した。最弱リンクモデルにおいては、複数の要素(E〜E)の少なくとも1つが破壊すると全体が破壊したとする。複数の要素(E〜E)の少なくとも1つが破壊する確率(破壊確率F)は、下記の式(4)で表される。式(4)の右辺における第2項は、複数の要素(E〜E)がいずれも破壊しない確率であり、RからRまでの乗算値で表される。破壊確率算出部8は、信頼度算出部7が算出した信頼度(R)を用いて、式(4)に従って破壊確率Fを算出する。
上述のような強度評価装置3は、要素ごとに信頼度を算出し、複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を算出するので、寸法効果や応力分布の影響を加味することができ、構造体の強度を精度よく評価することができる。その結果、構造体の製造に先立ち、構造体の強度が十分であるか否かを知ることができるので、例えば、構造体の試作品を製造して試験を行う頻度を減らすことができる。
また、本実施形態の強度評価装置3は、応力分布算出部5を備える。この場合、例えば、応力分布を算出用の計算格子と強度評価用の計算格子とを共通化することができる。その結果、例えば、座標系の変換に要する処理を減らすこと、座標系を変換する際の数値の丸めによる誤差の発生を抑えることなどができる。強度評価用の計算格子は、応力分布の算出用の計算格子が異なってもよい。例えば、強度評価用の計算格子は、応力分布の算出用の計算格子に比べて、格子数が少なくてもよい。
なお、応力分布算出部5は、強度評価装置3の外部の装置に設けられてもよい。例えば、強度評価装置3は、外部の装置から供給される応力分布に基づいて、構造体の強度を評価してもよい。この場合、要素の代表応力の算出は、強度評価装置3(例、選択部6)において行ってもよいし、外部の装置が行ってもよい。また、要素の代表応力を強度評価装置3で算出する場合、代表応力の算出は、選択部6によって実行されてもよいし、他の部分(例、信頼度算出部7)によって実行されてもよい。
また、本実施形態の強度評価装置3は、選択部6を備える。この場合、選択部6が選択しない要素について、信頼度算出部7の処理および破壊確率算出部8の処理が省略されるので、処理の負荷を低減することができる。上記の閾値σthが0である場合、強度評価を高精度に行う上で必要十分な要素を選択することができる。また、閾値σthよりも大きい場合、対象要素の数が減少するので処理の負荷を低減することができる。なお、強度評価装置3は、選択部6を備えなくてもよく、例えば、ユーザから指定された部分に含まれる全ての要素のそれぞれについて、信頼度を算出してもよい。この場合、信頼度算出部7は、σ−σ≦0を満たす要素Eについては、信頼度Rを所定値(例、1)としてもよい。
次に、上述の強度評価装置3の構成に基づき、実施形態に係る強度評価方法について説明する。図5は、実施形態に係る強度評価方法を示すフローチャートである。ステップS1において、例えばユーザは、構造体のうち強度を評価する部分(例、図2(A)の平行部11b)を設定する。ステップS2において、選択部6は、評価の対象要素を選択する。例えば、選択部6は、代表応力σ、位置パラメータσと、及び閾値σthを記憶部9から読み出し、信頼度を算出するか否かを要素ごとに判定する。
ステップS3において、信頼度算出部7は、対象要素の数(n)を取得する。強度評価装置3は、ステップS4からステップS7の処理において各要素の信頼度を算出し、ステップS4からステップS7の処理を繰り返すことによって全ての対象要素について信頼度を算出する。ステップS4において、強度評価装置3は、iに1をセットする。ステップS5において、応力分布算出部5は、対象要素(E)に属する節点の応力値から、対象要素(E)の代表応力(σ)を計算する。
ステップS6において、信頼度算出部7は、上記の式(3)に従って、対象要素(E)の信頼度(R)を計算する。ステップS7において、強度評価装置3は、iの値が対象要素の数(n)に達したか否かを判定する。強度評価装置3は、iの値がn未満であると判定した場合、iを値をインクリメント(+1)して、ステップS5からステップS7の処理を繰り返す。強度評価装置3は、iの値がnあると判定した場合、ステップS8の処理へ進む。
ステップS8において、破壊確率算出部8は、全ての対象要素が破壊しない確率Rを計算する。破壊確率算出部8は、R1からRnを乗算することで確率Rを計算する。ステップS9において、破壊確率算出部8は、上記の式(4)に従って、いずれかの対象要素が破壊する破壊確率Fを算出する。
図6は、実施形態に係る強度評価方法を適用した評価例を示す図である。図6のグラフにおいて、横軸は荷重[N]であり、縦軸は累積破壊確率である。「樹脂A」は、電力機器の絶縁に広く用いられているエポキシ樹脂であり、ベースとなる樹脂、硬化剤の他に充填材として石英などを含む。「樹脂B」は、「樹脂A」に比べて低弾性であり、ベースとなる樹脂、硬化剤、充填剤としての石英の他に、コアシェル構造の粒子を含む。「解析値」は、本実施形態に係る強度評価方法による評価結果である。「測定値」は、複数のサンプルを用いた試験の測定結果である。「推定値」は、最大応力説に基づく推定値である。
図6から分かるように、「樹脂A」および「樹脂B」のいずれについても、本実施形態に係る強度評価方法を用いた解析値は、最大応力説に基づく推定値に比べて、測定値に非常に近い値が得られた。以下の[表1]は、「樹脂A」および「樹脂B」の評価結果を示す表である。「実施例の予測精度」は、実施形態に係る評価結果から算出される平均破壊荷重を、「測定値」から算出される平均破壊荷重を基準としてパーセントで表した値である。また、「比較例の予測精度」は、最大主応力説評価に基づく平均破壊荷重を、「測定値」から算出される平均破壊荷重を基準としてパーセントで表した値である。
「樹脂A」の予測精度に着目すると、比較例で68.7%であるのに対して、実施例では97.7%であり、実施形態に係る評価結果が測定値(実測値)とよく合致することが分かる。また、「樹脂B」の予測精度に着目すると、比較例で72.4%であるのに対して、実施例では98.4%であり、実施形態に係る評価結果が測定値(実測値)とよく合致することが分かる。また、「樹脂A」および「樹脂B」のそれぞれについて、要素数を約3500から約37000まで系統的に変更した複数の計算条件で強度評価を行った。その結果、「樹脂A」については、予測精度が97.7%から100.3%であり、「樹脂B」については、予測精度が98.4%から99.4%であった。要素数が増加すると予測精度が100%に近づく傾向にあるが、要素数が3500の条件であっても強度を把握する上で十分な予測精度が得られた。
なお、ワイブルパラメータは、例えば、最尤推定法などを用いて推定可能である。この推定方法は、測定データを用意し、測定データが得られる確率が最大になるようにワイブルパラメータを求める方法である。まず、図2(A)に示したような試験片を用いて複数回数の引張試験を行って、測定データ群(σ)を得る。そして、下記の式(5)の示す連立方程式に対してニュートンラプソン法などを用いて、形状パラメータ(m)および位置パラメータ(σ)を求める。
そして、式(5)から得られた形状パラメータ(m)および位置パラメータ(σ)を下記の式(6)に代入することによって、尺度パラメータ(σ)が得られる。
次に、図1に示した製造システムの構成に基づき、実施形態に係る構造体の製造方法について説明する。図7は、実施形態に係る構造体の製造方法を示すフローチャートである。ステップS11において、ユーザは、設計装置2を用いて構造体を設計する。ステップS12において、強度評価装置3は、ワイブルパラメータがあるか否かを判定する。例えば、強度評価装置3は、ユーザからワイブルパラメータの入力があった場合に、ワイブルパラメータがあると判定する(ステップS12;Yes)。この場合、強度評価装置3は、ユーザから入力されたワイブルパラメータを以下の処理で用いる。
強度評価装置3は、ワイブルパラメータがない(指定されていない)と判定した場合(ステップS12;No)、ステップS13において記憶部9に記憶されているワイブルパラメータを取得する。例えば、記憶部9には、構造体の材質に応じたワイブルパラメータがテーブルデータとして格納されている。強度評価装置3は、ユーザから指定された材質に応じたワイブルパラメータを読み出し、以下の処理で用いる。
ステップS14において、応力分布算出部5は、構造体における応力分布を算出する。例えば、応力分布算出部5は、ユーザから指定された計算条件(例、要素数)に応じて、計算格子を生成し、FEMなどによって応力分布を算出する。ステップS15において、強度評価装置3は、構造体の強度を評価する。ステップS15の処理は、実施形態に係る強度評価方法を適用した処理であり、図5に示した処理と同様である。
ステップS16において、ユーザは、構造体の強度が所定の条件を満たすか否かを判定する。例えば、ユーザは、安全率を加味した上で構造体に要求される強度(以下、要求強度という)と、ステップS15の評価結果とを比較し、評価結果から得られる強度が要求強度以上である場合に、強度が所定の条件を満たすと判定する(ステップS16;Yes)。
なお、ステップS16の処理は、強度評価装置3または他の装置が自動で行ってもよい。例えば、上記の要求強度は、強度評価装置3の記憶部9に予め記憶されており、強度評価装置3は、記憶部9に記憶された要求強度を閾値として、評価結果から得られる強度を閾値と比較して、ステップS16の処理を行ってもよい。ステップS16において、強度が所定の条件を満たさない(例、評価結果による強度が要求強度未満)と判定された場合(ステップS16;No)、ステップS11からステップS16の処理が繰り返される。
ステップS16において、強度が所定の条件を満たす(例、評価結果による強度が要求強度以上)と判定された場合(ステップS16;Yes)、加工装置4は金型を製作する。例えば、ステップS17において、加工装置4には設計データが供給され、設計データを用いた数値制御(NC)によって金型を製作する。ステップS17で製作された金型を用いて、ステップS18において、構造体の試作品が製作される。製作された試作品は、ステップS19において試験によって強度が検証される。ステップS20において、強度が所定の条件を満たすか否かを判定する。ステップS16においては、評価結果から得られる強度と要求強度とを比較したが、ステップS20では、評価結果から得られる強度の代わりに試験結果(測定値)から得られる強度を用いて、ステップS16と同様の処理を行う。
ステップS20において、強度が所定の条件を満たさない(例、試験結果から得られる強度が要求強度未満)と判定された場合(ステップS20;No)、ステップS11からステップS20の処理が繰り返される。ステップS20において、強度が所定の条件を満たす(例、試験結果による強度が要求強度以上)と判定された場合(ステップS20;Yes)、設計データに基づいて構造体の製品を製造する。
なお、図7では、ステップS18で構造体の試作品を製作(製造)し、ステップS21で構造体の製品を製造する例を説明したが、実施形態に係る構造体の製造方法は、試作品と製品との一方のみを製造することに適用してもよい。例えば、ステップS18で試作品の代わりに製品を製造し、ステップS19からステップS21の処理を省略してもよい。また、実施形態に係る構造体の製造方法は、ステップS18において試作品を製造し、試作品を提供することに利用されてもよい。また、実施形態に係る構造体の製造方法は、ステップS20までの処理で構造体の設計データを確定し、確定した設計データを提供することに利用されてもよい。
なお、図7では、実施形態に係る強度評価方法を構造体の製造方法に適用した例を説明したが、実施形態に係る強度評価方法を構造体の製造以外に適用してもよい。例えば、実施形態に係る強度評価方法は、既存の構造体に対する破壊の予測などにも利用可能である。また、実施形態に係る強度評価方法は、既存の構造体が破損した場合などに、その要因の解明などにも利用可能である。
上述の実施形態において、強度評価装置3は、例えばコンピュータシステムを含む。強度評価装置3は、記憶部9に記憶されている強度評価プログラムを読み出し、この強度評価プログラムに従って各種の処理を実行する。この強度評価プログラムは、コンピュータに、エポキシ系樹脂でモールドされたを含む構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素に働く応力を用いて各要素が破壊しない確率を示す信頼度を算出することと、複数の要素で信頼度を乗算し、複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出することと、を実行させる。この強度評価プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
なお、上述の実施形態において、脆性破壊する材料は、エポキシ系樹脂であるが、エポキシ系樹脂以外の材料でもよい。例えば、実施形態に係る強度評価は、絶縁性および機械強度が要求される構造体に広く適用可能である。例えば、実施形態に係る強度評価は、電力の経路となる導体や電気部品を支持する構造体であって、脆性破壊する材料を含んで構成される構造体に広く適用可能である。上述の実施形態において、数値モデルとして有限要素解析モデルを用いるが、数値モデルは、その他の離散化法(例、有限体積法、境界要素法)を適用した数値モデルでもよい。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
1・・・製造システム
2・・・設計装置
3・・・強度評価装置
4・・・加工装置
5・・・応力分布算出部
6・・・選択部
7・・・信頼度算出部
8・・・破壊確率算出部
9・・・記憶部

Claims (9)

  1. 脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素が破壊しない確率を示す信頼度を、各要素に働く応力を用いて算出することと、
    前記要素の信頼度を乗算した結果を1から減算することで、前記複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出することと、を含む強度評価方法。
  2. 前記脆性破壊する材料はエポキシ系樹脂である、請求項1に記載の強度評価方法。
  3. 前記構造体の強度のワイブル分布を表す形状パラメータ、尺度パラメータ、及び位置パラメータをそれぞれm、σ0、σuとし、前記複数の要素のそれぞれに割り付けられる番号がiの要素の応力及び体積をそれぞれσi、Viとし、前記複数の要素の基準となる体積をV0とし、前記番号がiの要素の前記信頼度であるRi(σi)は、下記の式(1)で表される、請求項1又は請求項2に記載の強度評価方法。
  4. 前記信頼度を算出する対象要素を前記構造体から選択することを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の強度評価方法。
  5. 前記構造体の要素に働く応力をσとし、前記構造体の強度のワイブル分布における位置パラメータをσuとし、予め定められた0以上の閾値をσthとしたときに、σ−σu>σthを満たす要素を前記対象要素として選択する、請求項4に記載の強度評価方法。
  6. 前記信頼度の算出よりも前に、前記構造体に働く応力の分布を算出することを含み、
    前記応力の分布に基づいて前記複数の要素のそれぞれに働く応力の代表値を算出し、前記代表値を用いて前記信頼度を算出する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の強度評価方法。
  7. 脆性破壊する材料を含んで構成される構造体を設計することと、
    前記設計に基づいて、前記構造体の強度を請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の強度評価方法によって評価することと、
    前記強度が特定の条件を満たすときに前記構造体を製造することと、を含む構造体の製造方法。
  8. 脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素に働く応力を用いて各要素が破壊しない確率を示す信頼度を算出する信頼度算出部と、
    前記要素の信頼度を乗算した結果を1から減算することで、前記複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出する破壊確率算出部と、を備える強度評価装置。
  9. コンピュータに、
    脆性破壊する材料を含んで構成される構造体の数値モデルにおける複数の要素のそれぞれについて、各要素に働く応力を用いて各要素が破壊しない確率を示す信頼度を算出することと、
    前記要素の信頼度を乗算した結果を1から減算することで、前記複数の要素の少なくとも1つが破壊する確率を示す破壊確率を算出することと、を実行させる強度評価プログラム。
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