以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、図面及び以下の説明において、共通の又は対応する要素については、同一又は類似の符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施形態に係るプレス成形システム1の正面図である。また、図2−4は、プレス成形システム1の内部構造(後述する真空チャンバー10の右側壁を取り外した状態)を示す右側面図である。なお、図2及び図4において、後述する上金型23及び下金型24が図示省略されている。
また、以下の説明において、図1及び図2に座標軸で示されるように、プレス成形システム1の後方(図2にける右方向)をX軸正方向と定義し、左側方(図1における左方向)をY軸正方向と定義する。また、Z軸方向(図1における上下方向)は鉛直方向であり、上方をZ軸正方向と定義する。
プレス成形システム1は、例えば熱可塑性樹脂を含んだFRP(繊維強化プラスチック)等の板状の基材Mを加熱(予熱)及び加圧成形するための装置システムである。
プレス成形システム1は、真空チャンバー10、成形装置20、予熱装置30及び基材搬送装置Cを備える。成形装置20(但し、その一部を除く。)、予熱装置30及び基材搬送装置Cは、真空チャンバー10内に設置されている。基材Mは、予熱装置30により成形温度まで加熱されて軟化した後、成形装置20により所定の形状にプレス成形(ホットプレス成形又はコールドプレス成形)される。真空チャンバー10は真空制御部5(図23)に接続されていて、予熱及びプレス成形の際に真空制御部5によって真空チャンバー10内が真空引きされる。
真空チャンバー10の正面壁には開口11が形成されている。開口11は、正面ドア12によって開閉可能に塞がれる。正面ドア12は、開口11を塞ぐ閉位置(図3)と、開口11から退避した開位置(図2)との間で、ドア開閉器13によって昇降されることによって開閉される。正面ドア12は、プレス成形システム1への基材Mの供給やプレス成形システム1からの加工品(プレス成形後の基材M)の取り出しの際に開かれ、真空チャンバー10内が真空引きされる加工中に閉じられる。
図3に示されるように、成形装置20は、油圧シリンダー21、上定盤22、上金型23、下金型24及び下定盤25を備える。上定盤22、上金型23、下金型24及び下定盤25は、真空チャンバー10内に配置されている。油圧シリンダー21のシリンダーチューブ21aは、ラム21bを下方に向けて、真空チャンバー10の天板14に固定されている。ラム21bの下端には、上定盤22を介して、上金型23が取り付けられている。また、下金型24は、上金型23と対向するように配置され、下定盤25を介してベースBに固定されている。上定盤22の下部には、上金型23を加熱するための上熱板22aが設けられていて、下定盤25の上部には、下金型24を加熱するための下熱板25aが設けられている。上熱板22a及び下熱板25aには、電熱ヒーター221及び251と温度センサー222及び252がそれぞれ取り付けられている(図23)。なお、電熱ヒーターと温度センサーは、上金型23及び下金型24に取り付けてもよい。電熱ヒーター221、251及び温度センサー222、252は、後述するヒーター制御部6に接続されている。ヒーター制御部6は、上熱板22a及び下熱板25aにそれぞれ取り付けられた温度センサー222及び252の検出結果に基づいて、上熱板22aの電熱ヒーター221及び下熱板25aの電熱ヒーター251に供給する加熱用の電力を制御して、上金型23及び下金型24の温度を調整する。成形装置20は、上金型23及び下金型24の少なくとも一方を加熱した状態で、基材Mをホットプレス成形することが可能である。また、成形装置20は、上金型23及び下金型24のいずれも加熱せずに、基材Mをコールドプレス成形することも可能である。
基材搬送装置Cは、搬送部40と基材保持部50を備える。搬送部40は、基材保持部50を、真空チャンバー10外部の基材セット位置(図2)、予熱装置30内の予熱位置(図3)及び成形装置20内の成形位置(図4)の間でX軸方向に移動可能に構成されている。基材搬送装置Cは、基材セット位置(受け渡し位置)において基材保持部50上に載せられた基材Mを予熱位置及び成形位置へ順次搬送した後、成形位置において基材Mを下金型24上に投下する。基材Mは、予熱位置において基材保持部50の上で所定時間保持されることで成形温度以上に予熱され、軟化した基材Mが成形装置20に供給される。
<予熱装置>
図5は予熱装置30の正面図であり、図6は予熱装置30の右側面図である。予熱装置30には基材搬送装置Cが組み込まれている。図6は、基材搬送装置Cを最大に展開し、基材保持部50を基材セット位置(図2)まで移動した状態を示す。
予熱装置30は、メインフレーム31、昇降フレーム32、予熱高さ調整機構33(加熱領域高さ調整機構)、上部ヒーター昇降機構34、上部ヒーター35、下部ヒーター昇降機構36及び下部ヒーター37を備える。上部ヒーター35及び下部ヒーター37は、基材Mを非接触で加熱する赤外線放射型の加熱装置である。
図7は下部ヒーター37の平面図であり、図8は下部ヒーター37の正面断面図である。下部ヒーター37は、水平に配置された箱状のフレーム370と、フレーム370上に格子状に配列されて取り付けられた複数の赤外線ヒーター素子371と、赤外線ヒーター素子371を上方から覆う保護金網372と、保護金網372をフレーム370に取り付ける金網取付具373を備える。
なお、上部ヒーター35は、保護金網372及び金網取付具373を有しない点と、下部ヒーター37とは上下逆向きで配置される点を除いては、下部ヒーター37と同一構成の部材である。そのため、上部ヒーター35については、重複する説明を省略する。
上部ヒーター35及び下部ヒーター37は、被加熱物(基材M)と対向するヒーター面35a及び37a(図6)が、格子状に配列された複数のヒーター領域35d(図9−10)及び37d(図7−8)にそれぞれ分割されている。赤外線ヒーター素子351は上部ヒーター35の各ヒーター領域35dに設けられ、赤外線ヒーター素子371は下部ヒーター37の各ヒーター領域37dに設けられている。赤外線ヒーター素子351及び371には、例えばセラミックヒータ素子、カーボンヒータ素子、ニクロム線発熱体、ハロゲンランプ等を使用することができる。
各赤外線ヒーター素子351及び371の作動は、後述するヒーター制御部6によって制御される。ヒーター制御部6は、各赤外線ヒーター素子351及び371の作動/停止及び作動時の出力を個別に制御可能に構成されている。また、上下の対向するヒーター領域35dと37dに設けられた赤外線ヒーター素子351及び371の対は、作動/停止が連動するように制御される。これにより、例えば比較的に面積の小さな基材Mを加熱する場合、基材Mと対向する(すなわち、基材Mの加熱に必要な)ヒーター領域35d、37dのみを選択的に作動させ、基材Mと対向しない(すなわち、基材Mの加熱に不要な)ヒーター領域35d、37dを停止させることができ、基材Mの効率的な加熱が可能になる。また、上部ヒーター35及び下部ヒーター37の周縁部のヒーター領域35d及び37dの作動を停止することにより、上部ヒーター35及び下部ヒーター37から基材搬送装置Cへの熱伝達の抑制が可能になる。
図5−6に示されるように、メインフレーム31は、真空チャンバー10の床板15に立設された一対のシャフト312と、一対のシャフト312の上端同士を連結する梁311を備える。
昇降フレーム32は、互いに平行に配置された一対の脚部321と、一対の脚部321の上端同士を連結する連結部322を備える。脚部321は筒状の部材であり、その中空部にメインフレーム31のシャフト312が貫通する。脚部321の内周両端には、シャフト312を軸方向に移動可能に支持する軸受321a(図6)が設けられている。これにより、昇降フレーム32は、メインフレーム31の一対のシャフト312にガイドされて、鉛直方向のみに正確且つスムーズに移動可能になっている。なお、脚部321の一方には、基材Mの温度を非接触で検出する温度センサー38が取り付けられている。
昇降フレーム32の連結部322の下面中央には、上部ヒーター昇降機構34を介して上部ヒーター35が取り付けられている。
昇降フレーム32の一対の脚部321は、下端同士が基材搬送装置Cの固定フレーム41を介して連結されている。また、下部ヒーター37は、下部ヒーター昇降機構36を介して固定フレーム41に取り付けられている。
メインフレーム31の梁311の中央には、例えばウォームギア式のスクリュージャッキ33(予熱高さ調整機構)が設けられている。スクリュージャッキ33の可動シャフト332の下端は昇降フレーム32の連結部322に連結されている。そのため、スクリュージャッキ33のハンドル331(図6)を回すことにより、昇降フレーム32が上下に移動するようになっている。なお、スクリュージャッキ33はモーターで駆動できるようにしてもよい。
昇降フレーム32が昇降すると、昇降フレーム32に支持された基材搬送装置Cも昇降フレーム32と共に昇降する。従って、スクリュージャッキ33の操作により、上金型23及び下金型24の大きさや形状に合わせて、基材Mを保持及び搬送する高さを調整することができる。
また、昇降フレーム32が昇降すると、昇降フレーム32に支持された上部ヒーター35及び下部ヒーター37も昇降フレーム32と共に昇降する。従って、スクリュージャッキ33の操作により、基材Mを保持及び搬送する高さに合わせて、基材Mが予熱される予熱位置の高さが自動的に調整される。
<ヒーター昇降機構>
図9は上部ヒーター昇降機構34の正面図であり、図10はその側面図である。上部ヒーター昇降機構34及び下部ヒーター昇降機構36は、実質的に同一の構成を有するため、両者を代表して上部ヒーター昇降機構34の構成について以下に説明する。
上部ヒーター昇降機構34は、ハンドル341、固定板342、可動板343(フレーム370)、一対の第1リンク344a、一対の第2リンク344b、一対のジョイントピン345、ジョイントロッド346a、346b、346c、346d、各一対のロッドホルダ347a、347b、347c、347d及び送りねじ機構(送りねじ348a、ナット348b)を備える。
なお、本実施形態では、上部ヒーター35のフレーム350が上部ヒーター昇降機構34の可動板343を兼ねていて、下部ヒーター37のフレーム370が下部ヒーター昇降機構36の可動板363を兼ねている。
また、図5に示されるように、上部ヒーター昇降機構34の固定板342は昇降フレーム32の連結部322に固定され、可動板343には上部ヒーター35が設けられている。また、下部ヒーター昇降機構36の固定板362は基材搬送装置Cの固定フレーム41に固定され、可動板363には下部ヒーター37が設けられている。
図9−10に示されるように、第1リンク344aと第2リンク344bは同一構造の部材であり、それぞれ長手方向における両端部と中央部に連結用の孔が形成されている。第1リンク344aと第2リンク344bとは、それぞれの中央部の孔に挿し込まれたジョイントピン345によって旋回可能に連結されている。
各第1リンク344aは、一端部においてジョイントロッド346aと連結し、他端部においてジョイントロッド346dと連結する。また、各第2リンク344bは、一端部においてジョイントロッド346bと連結し、他端部においてジョイントロッド346cと連結する。
固定板342の下面の四隅には、ジョイントロッド346aを支持する一対のロッドホルダ347aと、ジョイントロッド346bを支持する一対のロッドホルダ347bが固定されている。
正面側(図10における左側)に配置されたロッドホルダ347aには、ジョイントロッド346aの先端部を収容する、X軸方向に延びる溝347acが形成されている。溝347acの幅はジョイントロッド346aの外径と略同じ大きさであり、ジョイントロッド346aは溝347acに沿ってX軸方向のみに移動可能に一対のロッドホルダ347aによって支持される。
背面側(図10における右側)のロッドホルダ347bには、ジョイントロッド346bの先端部と嵌合する丸穴が形成されている。ジョイントロッド346bは、その両端が一対のロッドホルダ347bの丸穴にそれぞれ挿し込まれ、一対のロッドホルダ347bによって固定的に支持される。
同様に、可動板343の上面の四隅には、ジョイントロッド346cを支持する一対のロッドホルダ347cと、ジョイントロッド346dを支持する一対のロッドホルダ347dが固定されている。
正面側に配置されるロッドホルダ347cは、ロッドホルダ347aと同一構成の部材であり、ジョイントロッド346cをX軸方向のみに移動可能に支持する。また、背面側のロッドホルダ347dは、ロッドホルダ347bと同様に、ジョイントロッド346dを固定的に支持する。
上記のリンク機構により、固定板342と可動板343とが、平行を維持しながら間隔が変えられるように連結されている。その結果、可動板343は固定板342との平行を維持しながら、上下に移動可能となっている。これにより、基材Wと上部ヒーター35との平行を維持しながら基材Wと上部ヒーター35との間隔を調整することが可能になっている。
固定板342の後端部(図10における右端部)には、送りねじ348aが回転可能に取り付けられている。送りねじ348aの一端には、送りねじ348aの回転を操作するためのハンドル341が取り付けられている。また、可動板343の後端には、送りねじ348aと係合するナット348bが固定されている。そのため、ハンドル341を回すことにより、ナット348bと共に可動板343が昇降するようになっている。
<基材搬送装置>
次に、基材搬送装置Cの構成について説明する。上述したように、基材搬送装置Cは、搬送部40及び基材保持部50を備える。
<搬送部>
図11、図12及び図13は、それぞれ搬送部40の平面図、右側面図及び正面図である。
搬送部40は、固定フレーム41、一対の中継フレーム42、可動フレーム43、一対のリニアガイドウェイ44及び各一対のロッドレスシリンダー45、46を備える。
固定フレーム41は、予熱装置30の昇降フレーム32に固定されている。固定フレーム41は、幅方向(Y軸方向)両端部に、X軸方向に延びる一対のアーム411を有している。各アーム411の上面には、略全長に亘って、リニアガイドウェイ44のレール441が取り付けられている。リニアガイドウェイ44は、転動体を使用して、比較的に大きな荷重を低摩擦で正確にX軸方向に直進移動可能に支持する。
可動フレーム43の下面の四隅には、一対のリニアガイドウェイ44の合わせて4つのキャリッジ442が取り付けられている。左側(図13における左側)のリニアガイドウェイ44の2つのキャリッジ442は左側のアーム411に取り付けられたレール441と係合し、右側(図13における右側)のリニアガイドウェイ44の2つのキャリッジ442は右側のアーム411に取り付けられたレール441と係合する。
ロッドレスシリンダー45は、X軸方向に延びるシリンダーチューブ451と、このシリンダーチューブ451に沿って走行可能なキャリッジ452を備える。シリンダーチューブ451は、固定フレーム41のアーム411に沿って配置され、アーム411の前後両端に取り付けられた一対のシリンダーホルダ412によって保持されている。ロッドレスシリンダー45のキャリッジ452には、ロッドレスシリンダー46を保持するシリンダーホルダ42の後端部(図12における右端部)が固定されている。なお、ロッドレスシリンダー46は、シリンダーチューブ461の長さを除いては、ロッドレスシリンダー45と同一構成の部材である。
ロッドレスシリンダー46も固定フレーム41のアーム411に沿って配置されている。ロッドレスシリンダー46のキャリッジ462は、可動フレーム43の側面に取り付けられている。すなわち、可動フレーム43は、ロッドレスシリンダー45、46を介して固定フレーム41に連結されている。そのため、可動フレーム43は、ロッドレスシリンダー45又はロッドレスシリンダー46によって、X軸方向に駆動されるようになっている。
なお、図11及び図12では、キャリッジ452及び462の両方が最前端(図中左端)まで移動した状態(図2及び図6と同じ状態)を示している。このとき、可動フレーム43に取り付けられる基材保持部50は基材セット位置に配置される。
この状態から、キャリッジ462のみを最後端(図12における右端)まで移動させると、図4と同じ状態となり、可動フレーム43に取り付けられる基材保持部50は成形位置に配置される。すなわち、ロッドレスシリンダー46のストローク(可動距離)が、基材セット位置から成形位置までの距離と一致するように調整されている。
この状態から、更にキャリッジ452を最後端まで移動させると、図3と同じ状態となり、可動フレーム43に取り付けられる基材保持部50は予熱位置に配置される。すなわち、ロッドレスシリンダー45のストロークが、成形位置から予熱位置までの距離と一致するように調整されている。
このように、直列に連結された二段のロッドレスシリンダー45、46の駆動により、基材保持部50を基材セット位置、成形位置及び予熱位置の間で移動可能となっている。
<基材保持部>
図14及び図15は、それぞれ基材保持部50の平面図及び正面図である。また、図16は、図14におけるA−A矢視図である。
基材保持部50は、基材Mの搬送中及び予熱中に基材Mを保持し、予熱された基材Mが成形位置まで搬送されたときに基材Mを投下して下金型24の上に載せる機構である。基材保持部50は、X軸方向に延びる一対の基材支持アーム52(右アーム52R、左アーム52L)と、この一対の基材支持アーム52を連結するアーム連結部60を備える。図17は、アーム連結部60(但し、可動フレーム43及び摺動プレート67を除く。)の底面図である。アーム連結部60は、各基材支持アーム52をY軸方向に移動可能に支持する。
一対の基材支持アーム52は、基材保持部50の幅方向(Y軸方向)における中心面CPY(ZX平面)に対して対称に配置される。また、右アーム52Rと左アーム52Lは、中心面CPYに対して実質的に(すなわち、ねじの巻き方等の些事を除いては)左右対称に構成されている。一対の基材支持アーム52は、中心面CPYに対する配置の対称性を保ちながら、間隔を変えられるように構成されている。
一対の基材支持アーム52に基材Mを載せた状態で、一対の基材支持アーム52の間隔を狭めると、基材Mは一対の基材支持アーム52の側壁(後述のガイドプレート77)に挟まれて基材保持部50の幅方向中央(中心面CPY)へ寄せられる。基材搬送装置Cは、基材Mを成形位置に搬送したときに、基材保持部50の中心面CPYが下金型24のY軸方向中央に位置するように構成されている。従って、基材Mを中心面CPYへ寄せることにより、成形位置において基材Mを投下したときに、基材Mが下金型24のY軸方向中央に載せることが可能になる。その結果、下金型24上への基材Mの配置誤差を補うために必要な基材Mのマージンを減らすことができ、基材Mの利用効率を上げることが可能になる。また、基材Mの位置ずれによる成形不良の発生を減らすことができる。
アーム連結部60は、可動フレーム43と、リニアガイドウェイ61と、一対のL字アングル68(フレーム部)と、第1基材センタリング機構60Aを備える。なお、本実施形態では、搬送部40の可動フレーム43が、アーム連結部60のフレームを兼ねている。
可動フレーム43、リニアガイドウェイ61及び一対のL字アングル68を含む複数の部材から、一対の基材支持アーム52をY軸方向に可動に支持する可動支持部60Bが構成される。また、第1基材センタリング機構60Aは、一対の基材支持アーム52の中心面CPYに対する配置の対称性を保ちながら、各基材支持アーム52をY軸方向に移動させて、一対の基材支持アーム52の間隔を変更可能な機構である。
第1基材センタリング機構60Aは、ギア機構Gと、連結板681及び682を備える。ギア機構Gは、ラックガイド62と、ラック63及び64と、ピニオン65と、操作ノブ651と、二対の摺動シュー661及び662と、摺動プレート67を備える。なお、図17において、摺動プレート67は図示省略されている。
リニアガイドウェイ61は、Y軸方向に延びる1本のレール611と、このレール611上を走行する2個のキャリッジ612(右キャリッジ612R、左キャリッジ612L)を備える。レール611は可動フレーム43の上面に固定され、各キャリッジ612にはL字アングル68を介してX軸方向に延びる基材支持アーム52の後端部が固定されている。また、ラック63及び64とピニオン65を収容するラックガイド62は、レール611に沿って配置され、可動フレーム43の上面に固定されている。
図17に示されるように、ラックガイド62の下面には、長手方向に延びる2つの溝621、622が形成されている。また、ラックガイド62の下面中央付近には、ラックガイド62を鉛直に貫通する貫通穴624が形成されている。貫通穴624の直径は、溝621と溝622とを隔てる隔壁625の幅よりも大きく、貫通穴624は溝621及び溝622と連絡している。
正面側(図17における下側)の溝621にはラック63が収容され、背面側(図17における上側)の溝622にはラック64が収容される。ラック63及び64は、歯を向い合わせて配置される。また、貫通穴624にはピニオン65が収容される。このようにラック63、64及びピニオン65をラックガイド62内に収容することにより、ピニオン65がラック63及び64のそれぞれと係合するようになっている。なお、ラック63とラック64の歯の形状は同一であり、ラック63とラック64とは、ピニオン65の回転に伴い、Y軸方向において互いに逆向きに等距離移動するようになっている。また、本実施形態では、ラック63とラック64は、これら2つの配置関係がピニオン65の回転軸を対称軸とする2回の回転対称性を有するように、配置されている。
なお、ラック63及びラック64は、それぞれ溝621及び溝622にガイドされて、Y軸方向のみに移動可能に保持されている。また、ピニオン65は、貫通穴624内で回転可能に保持されている。すなわち、ラック63、ラック64及びピニオン65から構成されるラックアンドピニオン機構が、ラックガイド62内に作動可能に収容されている。各ラック63、64の下面には、摺動シュー661及び662が取り付けられている。また、ピニオン65の下面には、ラック63、64とピニオン65の高さを合わせるためのスペーサ652が取り付けられている。図16に示されるように、摺動シュー661、662及びスペーサ652の下には、摺動プレート67が敷かれている。摺動プレート67は、例えば真鍮等の滑り性及び耐摩耗性に優れた材料から形成され、その上面に対して摺動シュー661、662及びスペーサ652を低摩擦で摺動可能にする。
ピニオン65に連結された操作ノブ651(ピニオン駆動部)は、貫通穴624を通ってラックガイド62の外部に突出している。そのため、ラックガイド62の外部から操作ノブ651を回すことにより、ラックガイド62内に収容されたピニオン65を回転させ、その結果、ピニオン65と係合するラック63及びラック64をY軸方向へそれぞれ逆向きにスライドさせることが可能になっている。
図17に示されるように、リニアガイドウェイ61の右キャリッジ612Rは、連結板681(第1作動片)によってラック63の右端部に連結されている。また、図16に示されるように、連結板681の一端は、ラック63と摺動シュー662とで挟まれて、ボルトで締め付けられて、ラック63に固定されている。摺動シュー662は、連結板681の厚さの分だけ、ラック63に直接固定される摺動シュー661よりも高さが低くなっている。また、連結板681の他端は、右キャリッジ612RとL字アングル68とで挟まれて、ボルトで締め付けられて、右キャリッジ612Rに固定されている。そのため、右キャリッジ612R及びこれに固定された右アーム52Rは、操作ノブ651の回転操作に応じて、ラック63と共にY軸方向に移動する。
リニアガイドウェイ61の左キャリッジ612Lは、連結板682(第2作動片)によってラック64の左端部に連結されている。そのため、左キャリッジ612L及びこれに固定された左アーム52Lは、操作ノブ651の回転操作に応じて、ラック64と共にY軸方向に移動する。
上述したように、ラック63とラック64は、操作ノブ651の回転操作に対して、Y軸方向に互いに逆向きに等距離移動する。そのため、操作ノブ651を回転操作することで、右アーム52Rと左アーム52Lとの間隔を、最小値W1と最大値W2(図15)の間で変化させることができる。このとき、右アーム52Rと左アーム52Lとは、中心面CPYに対して常に対称な位置に配置される。
また、図17に示されるように、連結板682は、ラックガイド62の隔壁625が形成されていない溝結合部623を横断して、左キャリッジ612Lとラック64とを連結する。そのため、連結板682は、溝結合部623が形成されている(すなわち、隔壁625が形成されていない)範囲内でY軸方向に移動可能になっている。
<基材支持アーム>
図18は、基材支持アーム52(左アーム52L)の正面図である。なお、右アーム52Rと左アーム52Lは中心面CPYに対して実質的に対称であるため、以下では代表して左アーム52Lについて説明する。
基材支持アーム52は、フレーム520と、フレーム520上に設けられた基材保持・投下機構70と、第2基材センタリング機構80を備える。第2基材センタリング機構80は、フレーム520の張出部520aの上面に取り付けられている。フレーム520は、横断面がL字形のX軸方向に延びる部材であり、溶接等によりアーム連結部60のL字アングル68に一体に固定される。左アーム52Lのフレーム520は、左側のL字アングル68を介してリニアガイドウェイ61の左キャリッジ612Lに固定される。また、右アーム52Rのフレーム520は、右側のL字アングル68を介して右キャリッジ612Rに固定される。
<基材保持・投下機構>
図19及び図20は、それぞれ左アーム52Lにおける基材保持・投下機構70の正面図及び右側面図である。基材保持・投下機構70は、シャフト72、一対の軸受73、複数の支持ピン74、押出しバー75、一対のクランプ76、ガイドプレート77及びモーター78を備える。モーター78、一対の軸受73及びシャフト72を含む複数の部材から、後述する投下位置と保持位置との間で支持ピン74を駆動する駆動部が構成される。
モーター78は、フレーム520とは反対側からL字アングル68に取り付けられる。
フレーム520に沿ってX軸方向に延びるシャフト72は、フレーム520に固定された一対の軸受73により回転可能に支持される。また、シャフト72の一端は、カップリングを介して、L字アングル68を貫通するモーター78の駆動軸に連結される。
シャフト72の側面には、基材Mを下方から支持する複数の支持ピン74(基材支持部)が、長手方向に等間隔に垂直に固定される。すなわち、複数の支持ピン74が、シャフト72から半径方向の一方向に突出し、シャフト72の長手方向に一列に整列している。複数の支持ピン74は、同一平面上に配置され、一つの平面部分を形成する。
押出しバー75(押出部)及びクランプ76(オフセット連結部)を含む複数の部材から基材押出部が構成される。押出しバー75は、丸棒を略U字状に折り曲げた平面形状の部材(平面部分)であり、その両端が一対のクランプ76を介してシャフト72に固定される。一対のクランプ76は支持ピン74と平行にシャフト72に取り付けられ、押出しバー75の両端が各クランプ76の先端部に垂直に取り付けられる。クランプ76を介して押出しバー75をシャフト72に取り付けることにより、平面形状の押出しバー75がシャフト72の回転軸Rcから支持ピン74の長手方向に所定距離D(図19)だけ離されて(オフセットさせて)シャフト72に連結される。
図19に示されるように、押出しバー75がシャフト72(より具体的にはクランプ76)から突出する方向(図19の実線図においては上方。)は、支持ピン74がシャフト72から突出する方向(図19の実線図においては右方向。)に対して、基材投下時におけるシャフト72の回転方向と逆向き(すなわち、図19における反時計回り)に90度ずれている。従って、保持位置から投下位置に切り替わる際に、押出しバー75は支持ピン74から90度位相が遅れて旋回する。
ガイドプレート77は、L字状に折り曲げられた板状部材であり、フレーム520との間でシャフト72を囲うように、フレーム520の張出部520aの下面に取り付けられる。ガイドプレート77の下垂部77aには、複数のZ軸方向に延びるU字状の細長い切込部(スロット)77bが、各支持ピン74に対応する位置に形成されている。ガイドプレート77の下垂部77aは、支持ピン74上に保持された基材Mの一端面(側面)と対向する位置に配置される。
本実施形態のモーター78には例えば空圧モーターが使用される。空圧モーターを使用することで、基材保持・投下機構70の軽量化と、作動時に発生する衝撃の緩和が可能になる。なお、モーター78には他の方式のモーター(例えば、油圧モーターやサーボモーター等の電気モーター)を使用することもできる。
モーター78は、シャフト72と、シャフト72に固定された支持ピン74及び押出しバー75を、X軸方向に延びる回転軸Rcの周りに90度の回転角で反転駆動する。これにより、支持ピン74及び押出しバー75は、図19において実線で示された保持位置と、破線で示された投下位置との間を往復移動(旋回)する。なお、右アーム52Rと左アーム52Lのモーター78の駆動は同期制御され、右アーム52Rと左アーム52Lは同時に保持位置から投下位置に(又は、投下位置から保持位置に)切り替えられる。
図19に示されるように、左右一対の基材支持アーム52の複数の支持ピン74が保持位置にあるとき、これら複数の支持ピン74が同一水平面上に配置されるため、複数の支持ピン74の上に基材Mを載せて保持することができる。基材Mの搬送中及び予熱中には、基材支持アーム52は保持位置に保たれる。
投下位置においては、支持ピン74が鉛直に配置されるため、支持ピン74上で基材Mを保持することができない。左右の基材支持アーム52の支持ピン74上に基材Mが載置された状態で、左右の基材支持アーム52の支持ピン74の位置が同時に保持位置から投下位置に切り替わると、基材Mは姿勢を維持したまま鉛直に落下する。
上述したように、シャフト72(より正確にはクランプ76)から押出しバー75が突出する方向は、支持ピン74が突出する方向から(図19において反時計回りに)90度ずれている。保持位置において、押出しバー75はシャフト72から上方(図19における0時の方向)に延び、基材Mと干渉しない位置に配置される。保持位置から投下位置に切り替わると、押出しバー75は、支持ピン74と入れ替わるように、図19における0時の方向から基材Mが配置される水平方向(3時の方向)に時計回りに旋回する。
また、上述したように、押出しバー75は、クランプ76を介することで、回転軸Rcから支持ピン74の長手方向(図19における3時の方向)に距離Dだけ離れてシャフト72に連結されている。そのため、図19において破線で示される投下位置における押出しバー75の高さは、実線で示される保持位置における支持ピン74(及び支持ピン74の上に載置される基材M)よりも低くなる。
保持位置から投下位置に切り替わる際の押出しバー75の移動速度は、基材Mが自由落下する速度よりも速い。そのため、基材Mは、旋回する押出しバー75により、上方から下方の下金型24に向けて押し出される。また、破線で示される投下位置において、押出しバー75は水平に配置される。従って、基材Mは押出しバー75により垂直下向きに押し出される。
押出しバー75を使用せずに、基材Mを初速ゼロで自由落下させた場合、基材Mの初速の僅かな分布(ばらつき)が、下金型24に到達する際の基材Mの高さの大きな分布を与える。そのため、下金型24に到達する際の基材Mの姿勢が大きく乱れて、基材Mが成形に適さない歪んだ状態で下金型24上に載ってしまう場合がある。押出しバー75によって、基材Mに所定の大きさの鉛直方向の初速を均一に与えることにより、基材Mを水平に保ったまま下金型24上に投下させることが可能になり、より確実に基材Mを適切な状態で下金型24上に載置することが可能になる。
また、基材Mが投下される際、支持ピン74や押出しバー75によって基材MにY軸方向の力が与えられる可能性があるが、ガイドプレート77によって基材MのY軸方向の移動が防止され、基材Mを正確に鉛直方向に投下させることが可能になっている。
<第2基材センタリング機構>
図21及び図22は、それぞれ左アーム52Lにおける第2基材センタリング機構80の平面図及び正面図である。第2基材センタリング機構80は、ギア機構80Gと押板881及び882を備える。ギア機構80Gは、第1基材センタリング機構60Aのギア機構Gと同一構成のものである。第2基材センタリング機構80では、第1基材センタリング機構60Aの連結板681及び682に替えて、押板881(第1作動片)及び押板882(第2作動片)が、ラック83及び84にそれぞれ固定されている。第2基材センタリング機構80は、ピニオン85に連結された操作ノブ851の回転操作に応じて、奥行方向(X軸方向)の中心面CPX(YZ平面)に対する押板881及び882の対称な位置関係を保ちながら、押板881及び882をX軸方向へ逆向きに移動させ、一対の押板881及び882の間隔を変えられるように構成されている。
一対の基材支持アーム52に基材Mを載せた状態で、押板881と押板882の間隔を狭めると、基材Mは一対の押板881と押板882とで挟まれて、基材支持アーム52の奥行方向中央(中心面CPX)へ寄せられる。基材搬送装置Cは、基材Mを成形位置に搬送したときに、基材保持部50の中心面CPXが下金型24のX軸方向中央に位置するように構成されている。従って、基材Mを中心面CPXへ寄せることにより、成形位置において基材Mを投下したときに、基材Mを下金型24のX軸方向中央に載せることが可能になる。すなわち、第2基材センタリング機構80は、第1基材センタリング機構60Aと同様に、基材Mの利用効率の向上を可能にすると共に、成形不良の防止を可能にする。
上述したように、基材Mは、第1基材センタリング機構60Aによって基材保持部50の幅方向中央に寄せられ、第2基材センタリング機構80によって基材保持部50(より具体的には、一対の基材支持アーム52)の奥行方向中央に寄せられる。その結果、基材Mは、基材保持部50の水平方向中央に配置される。また、基材搬送装置Cは、基材Mを成形位置に搬送したときに、基材保持部50の水平方向中央が、下金型24の水平方向中央の真上に位置するように構成されている。従って、基材Mは、成形位置に搬送されたときに下金型24の真上に配置されるため、成形位置において基材保持部50から投下されると、下金型24の中央に載せられる。
<制御システム>
図23は、プレス成形システム1の制御システムの概略構成を示すブロック図である。プレス成形システム1は、プレス成形システム全体を統合制御するコントローラー2と、油圧作動装置(油圧シリンダー21)への油圧の供給を制御する油圧制御部3と、空圧作動装置(ドア開閉器13、ロッドレスシリンダー45、46及びモーター78)への空圧の供給を制御する空圧制御部4と、真空チャンバー10の吸排気を制御する真空制御部5と、予熱装置30の赤外線ヒーター素子351及び371並びに上熱板22aの電熱ヒーター221及び下熱板25aの電熱ヒーター251の作動/停止を個別に制御するヒーター制御部6を備える。なお、ヒーター制御部6は、温度センサー38の検出結果に基づいて赤外線ヒーター素子351及び371に供給する電力を制御し、温度センサー222及び252の検出結果に基づいて伝熱ヒーター221及び251に供給する電力をそれぞれ制御する。油圧制御部3、空圧制御部4、真空制御部5及びヒーター制御部6は、コントローラー2と通信可能に接続されていて、コントローラー2の制御下で動作する。
<動作方法>
次に、プレス成形システム1の動作について説明する。
まず、スクリュージャッキ33のハンドル331を操作して、成形金型(上金型23、下金型24)の形状及び寸法に合わせて、予熱高さを調整する。
次に、上部ヒーター昇降機構34のハンドル341を操作して、基材の厚さに合わせて、基材Mの上面と上部ヒーター35の下面(ヒーター面)との高さを調整する。また、下部ヒーター昇降機構36のハンドル361を操作して、基材の厚さに合わせて、基材Mの下面と下部ヒーター36の上面(ヒーター面)との高さを調整する。
なお、プレス成形システム1の起動時(初期状態)において、基材保持部50は予熱位置に配置されている。また、支持ピン74は基材Mを保持可能な保持位置に配置されている。また、第1基材センタリング機構60A(及び、第2基材センタリング機構80)は、右アーム52Rと左アーム52L(及び、押板881と押板882)の間隔が最大のW2となる状態で保持されている。また、正面ドア12は開かれ、真空チャンバー10内は大気圧に保たれる。
次に、コントローラー2は、ヒーター制御部6により各ヒーター領域35d、37dの作動/停止を設定する。コントローラー2は、作動に設定されたヒーター領域35d、37dに対応する赤外線ヒーター素子351及び371のみに通電するよう、ヒーター制御部6を制御する。
予熱装置30の動作が安定したら、コントローラー2は、ロッドレスシリンダー45及び46を駆動させて、基材保持部50を基材セット位置に移動させる。
基材セット位置において、基材保持部50(支持ピン74)の上に基材Mが載せられる。次に、第1基材センタリング機構60Aの操作ノブ651の操作により、右アーム52Rと左アーム52Lが中心面CPYに近付けられ、右アーム52R及び左アーム52Lの各ガイドプレート77間で基材Mが挟み込まれて、Y軸方向における基材Mの中心が中心面CPYに寄せられる(Y軸基材センタリング工程)。
次に、各基材支持アーム52について、第2基材センタリング機構80の操作ノブ651の操作により、押板881と押板882が中心面CPXに近付けられ、押板881と押板882との間で基材Mが挟み込まれて、X軸方向における基材Mの中心が中心面CPXに寄せられる(X軸基材センタリング工程)。
次に、コントローラー2がロッドレスシリンダー45及び46を作動させて、基材Mを保持する基材保持部50を予熱位置に移動させる。また、コントローラー2は、ドア開閉器13を作動させて正面ドア12を閉じた後、真空制御部5を作動させて真空チャンバー10内を真空引きする。
コントローラー2は、基材Mが載せられた基材保持部50を上部ヒーター35と下部ヒーター36とで挟まれた予熱位置に真空下で所定の予熱時間だけ停留させた後、ロッドレスシリンダー45を作動させて予熱された基材Mを保持する基材保持部50を成形位置に移動させる。
コントローラー2は、成形位置において基材保持部50を停留させ、各基材支持アーム52のモーター78によりシャフト72を駆動させて、支持ピン74及び押出しバー75を保持位置から投下位置へ旋回させ、基材Mを下金型24の上に投下する。
次に、コントローラー2は、基材保持部50を予熱位置へ退避させた後、油圧シリンダー21を駆動して上金型23を降下させ、上金型23と下金型24との間で予熱された基材Mを所定時間だけ加圧する(プレス成形工程)。
プレス成形後、コントローラー2は、油圧シリンダー21を駆動して上金型23を上昇させると共に、真空制御部5を作動させて真空チャンバー10内を大気圧に戻す。そして、コントローラー2は、ドア開閉器13を作動させて正面ドア12を開き、作業者が下金型24から成形品Mを取り出す。
<自動化構造>
上記の実施形態では、予熱高さ調整機構33、上部ヒーター昇降機構34、下部ヒーター昇降機構36、第1基材センタリング機構60A及び第2基材センタリング機構80が、それぞれハンドル331、ハンドル341、ハンドル361、操作ノブ651及び操作ノブ851によって手動操作されるように構成されているが、本発明はこの構成に限定されない。これらのハンドル又は操作ノブの全部又は一部に替えて、各機構を駆動するサーボモーター等の駆動装置を設けて、各機構を自動化することもできる。
図24は、各機構を自動制御する機構制御システム(機構制御部7)の一例を示すブロック図である。予熱高さ調整機構33、上部ヒーター昇降機構34、下部ヒーター昇降機構36、第1基材センタリング機構60A及び第2基材センタリング機構80には、各機構を駆動するサーボモーター33m、34m、36m、60m及び80mがそれぞれ設けられる。サーボモーター33m、34m、36m、60m及び80mはサーボアンプ33a、34a、36a、60a及び80aをそれぞれ介して駆動制御部7に接続される。駆動制御部7は、コントローラー2の指令に基づいて各サーボアンプに制御信号を送信し、この制御信号に基づいて各サーボアンプは各サーボモーターに駆動電力を供給する。この構成により、予熱高さ調整機構33、上部ヒーター昇降機構34、下部ヒーター昇降機構36、第1基材センタリング機構60A及び第2基材センタリング機構80の自動化が可能になる。
なお、機構制御システムにおいて、サーボモーターの代わりにステッピングモータ等の駆動量の制御が可能な別の種類のモーターを使用してもよい。また、電動機に限らず、油圧又は空圧のアクチュエータを使用してもよい。また、回転モーターと回転−直動変換機構とを組み合わせたアクチュエータに限らず、リニアモーターやシリンダー等の他の種類の直動アクチュエータを使用してもよい。
また、基材保持部50上で基材が配置される領域を検出する基材配置領域検出手段を設け、基材配置領域検出手段によって検出された基材配置領域に基づいてヒーター制御部6が各ヒーター領域35d、37dの作動/停止を制御する構成としてもよい。基材配置領域検出手段は、例えば第1基材センタリング機構60A及び第2基材センタリング機構80のギア機構Gに、ピニオン65の回転角又はラック63及び64の位置を検出するセンサーとして設けることができる。また、例えばレーザー光の反射を使用した非接触式の判別変位センサーや、ビデオカメラの映像の画像解析により、基材Mの位置を直接検出する構成としてもよい。
上述した本発明の実施形態では、基材センタリング装置(機構)が搬送装置に組み込まれている。この構成により、搬送装置とは別に基材センタリング装置を設置するスペースが不要になるため、成形システムの設置に必要な面積を削減することが可能になる。また、搬送装置から基材センタリング装置に(基材センタリング装置から搬送装置に)基材を移し替える工程が不要になるため、基材の搬送及びセンタリングに要する時間の削減が可能になる。
また、上述した本発明の実施形態では、上部ヒーター35及び下部ヒーター37が、複数のヒーター領域35d及び37dにそれぞれ分割されており、加熱する基材Mのサイズに応じてヒーター領域35d及び37dの作動/停止を個別に切り替えることが可能になっている。この構成により、基材Mの加熱に必要なヒーター領域35d、37dのみを選択的に作動させることが可能になり、基材Mのサイズによらずエネルギー利用効率の良い基材Mの加熱が可能になる。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば、明細書中に例示的に記載された構成及び/又は明細書の記載から自明な構成を適宜組み合わせたものも本発明の実施形態の構成に含まれる。
上記の実施形態では、第1基材センタリング機構60A(第2基材センタリング機構80)は、一対の基材支持アーム52(押板881、882)の両方を移動させることで、基材Mのセンタリングを行う構成が採用されているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、基材Mの寸法精度が十分であれば、一対の基材支持アーム52(押板881、882)の一方を固定し、他方のみを移動させて基材Mのセンタリングを行うことも可能である。
上記の実施形態では、基材保持部に基材センタリング機構が備えられているが、基材保持部(あるいは搬送装置)と独立に基材センタリング機構を設けてもよい。
上記の実施形態では、基材Mが、第1基材センタリング機構60A及び第2基材センタリング機構80により、基材保持部50の水平方向中央に移動されるように構成されているが、水平方向中央以外の所定位置に基材Mが移動される構成としてもよい。この場合、基材Mが成形位置に搬送されたときに、所定位置が下金型24の水平方向中央の真上に位置するようにすることが望ましい。
上記の実施形態では、シャフト72から支持ピン74が突出する方向と押出しバー75が突出する方向とが90度ずれているが、この角度差は90度以外の任意の値(例えば、30度、45度、60度、120度)にすることができる。但し、この角度が90度から外れる程、保持位置において押出しバー75が基材Mやプレス成形システム1の他の部分に干渉したり、投下位置において支持ピン74が基材Mやプレス成形システム1の他の部分に干渉したりし易くなる。