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JP6805699B2 - 医薬組成物、医薬組成物の製造方法、及び非晶質体の安定性を向上させる方法 - Google Patents
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JP6805699B2 - 医薬組成物、医薬組成物の製造方法、及び非晶質体の安定性を向上させる方法 - Google Patents

医薬組成物、医薬組成物の製造方法、及び非晶質体の安定性を向上させる方法 Download PDF

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本発明は、医薬組成物、医薬組成物の製造方法、及び非晶質体の安定性を向上させる方法に関する。
ソリフェナシンの非晶質体は、過活動膀胱剤の有効成分として知られているが、その非晶質体の安定性が低く、経時的に結晶体に変化したり、分解して類縁体が発生するため、非晶質体の安定性を向上させるために様々なソリフェナシンの非晶質体含有医薬組成物が開発されている。
そのようなソリフェナシンの非晶質体含有医薬組成物として、特許文献1には、ソリフェナシン又はその塩の非晶質体と、クエン酸と、ピロ亜硫酸ナトリウムと、エチレンジアミン四酢酸塩とを含む医薬組成物が開示されている。
特許第4816828号公報
しかしながら、特許文献1の医薬組成物は、ソリフェナシンの非晶質体の安定性の点で未だ十分なものとはいえず、改善の余地があった。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、ソリフェナシンの非晶質体の安定性の高い医薬組成物、及びソリフェナシンの非晶質体の安定性を向上させる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ソリフェナシンの非晶質体とともに、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体を医薬組成物中に含有させることで、ソリフェナシンの非晶質体の安定性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体と、を含有する、医薬組成物。
(2) 前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体が、前記共重合体中に分散した固体分散体の形態を含む、(1)に記載の医薬組成物。
(3) 前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ソリフェナシンの結晶体及び/又はその塩の結晶体との合計含有量に対する、前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の含有量が、77質量%超である、(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(4) 前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、前記共重合体との質量比が、1:2〜1:20である、(1)から(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5) 剤形が、錠剤である、(1)から(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6) 前記ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体が、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーである(1)から(5)のいずれか記載の医薬組成物。
(7) ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体を含有する医薬組成物中に、
さらに、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体を含有させることによって、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の安定性を向上させる方法。
(8) 前記ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体が、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーである(7)に記載の安定性を向上させる方法。
本発明によれば、ソリフェナシンの非晶質体の安定性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、何ら本発明を限定するものではない。
<医薬組成物>
本発明の医薬組成物は、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体と、を含有する。このように、上記共重合体を医薬組成物中に含有させることで、高いソリフェナシンの非晶質体の安定性を得ることが可能である。なお、本発明において、ソリフェナシンの非晶質体の安定性とは、非晶質体から結晶体に変換されるのを抑制することで、非晶質体の形態を維持する安定性と、ソリフェナシンの非晶質体の分解(分解の結果、ソリフェナシンの類縁体が生じることも含む)に対する安定性の両方を含む。
本発明の医薬組成物は、有効成分として、ソリフェナシンの非晶質体を含んでもよく、ソリフェナシンの塩の非晶質体を含んでもよい。
ソリフェナシンの非晶質体の塩は、薬学上に許容される塩であれば特に限定されず、例えば、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸との塩、コハク酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等の有機酸との塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属との塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属との塩、エチレンジアミン塩、ジエタノールアミン塩、N−メチルグルカミン塩等の有機塩基との塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。薬学上許容される塩は、有機酸との塩であることが好ましく、有機酸との塩のうち、コハク酸塩を用いることがより好ましい。また、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体は、これらの無水物であってもよく、水和物等の溶媒和物であってもよい。
本発明の医薬組成物において、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の含有量は、特に限定されず、例えば、医薬組成物全体の質量に対して、0.01〜90.0質量%の範囲内で適宜変更してもよいが、0.05〜85質量%であることが好ましく、0.05〜80質量%であることがより好ましく、0.05〜50質量%であることがさらに好ましく、0.05〜10質量%であることがより一層好ましく、1.5〜3.5質量%であることが特に好ましい。なお、医薬組成物中のソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の含有量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定する。また、本発明の医薬組成物を錠剤に製剤化し、核粒子と、核粒子を覆う原薬層と、これらを覆うコーティング層を設けて構成する場合、本発明の「医薬組成物全体の質量」とは、「核粒子と原薬層とコーティング層の全てを含む製剤全体の質量」であってよい。
なお、本明細書において、「核粒子」とは、錠剤の核となる粒子のことを指し、目的に応じて、適宜公知の成分を用いることができるが、例えば、結晶セルロース、精製白糖球状顆粒、カルメロースナトリウム等を用いることができる。また、「原薬層」とは、「ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体(以下、本明細書において「共重合体」と略称する場合がある)とを含有する組成物」からなる層のことを指す。核粒子への原薬層による被覆は、原薬層を構成する成分を溶媒に溶解した後、核粒子に噴霧して乾燥することで行うことができる。また、核粒子と原薬層との間に、核粒子を保護するための保護層を設けてもよい。保護層とは、例えば、核粒子を水等によるゲル化から保護するための層を指し、このような場合には、タルク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等から保護層を構成することができる。コーティング層とは、原薬層を覆う錠剤の最外層のことを指し、後述にて詳細に説明するコーティング層と同様のものを用いることができるが、例えば、コーティング層を、ソリフェナシンの苦みをマスキングするマスキング層として用いた場合は、コーティング層をエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等により構成することができる。
本発明の医薬組成物において、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の他に、ソリフェナシンの結晶体及び/又はその塩の結晶体を含んでいてもよいが、結晶体の量が少なく、非晶質体の量が多い方が好ましい。より具体的には、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ソリフェナシンの結晶体及び/又はその塩の結晶体との合計含有量に対する、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の含有量が、77質量%超であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましく、95質量%以上であることがさらに一層好ましく、99質量%以上であることが特に好ましく、99.5質量%以上であることが最も好ましい。本発明において、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ソリフェナシンの結晶体及び/又はその塩の結晶体との割合は、X線回折法により測定する。
本発明の医薬組成物は、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体を含有する。本発明における共重合体が、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有することで、ソリフェナシンの非晶質体の安定性を向上させる理由は、以下のとおりと推測される。すなわち、一般的に、ポリマーを用いて薬物等を非晶質体に維持する場合、用いるポリマーのガラス転移点が高ければ高い程、非晶質状態を維持しやすいと知られております。しかしながら、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー等は比較的低いガラス転移点を有しながらも、想定外にコハク酸ソリフェナシン(薬物)を非晶質状態に維持する効果を示した。ソリフェナシンの非晶質体の安定性を向上させる理由は、薬物が結晶核前駆体を形成する際に、結晶核前駆体内部にポリマーが取り込まれ、結晶核前駆体から結晶核への転移が抑制されるため(転移に必要な活性化エネルギーを増加させる)であり、おそらく、薬物とポリマーの疎水性、親水性バランスが近く、また、官能基等による相互作用をしやすい組み合わせであったためであると、推測される。
本発明の医薬組成物に含有される共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)は、例えば、本発明における共重合体がビニルアルコールを有する場合、アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)等をモノマーとして有することが好ましい。本発明における共重合体が、エチレングリコールを有する場合、アルケニルアルコール(エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等のアルケニル基を有するアルコール)、アルキニルアルコール(エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等のアルキニル基を有するアルコール)等をモノマーとして有することが好ましい。ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体は、ビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーであることが特に好ましい。
本発明の医薬組成物に含有される共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)は、ビニルアルコール及びエチレングリコールの両方を構成モノマーとして有するものである方が好ましい。ビニルアルコールとエチレングリコールとのモノマーの質量比は、特に限定されないが、1:0.01〜10であることが好ましく、1:0.1〜2であることがより好ましく、1:0.15〜1であることがさらに好ましく、1:0.3〜0.5であることが特に好ましい。
本発明の医薬組成物に含有される共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)の重量平均分子量は、5000〜100000Daであることが好ましく、10000〜80000Daであることがより好ましく、20000〜60000Daであることがさらに好ましく、40000〜50000Daであることが特に好ましい。
本発明における共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等であってよいが、ブロック共重合体であることが好ましく、特に、グラフト共重合体であることが好ましい。
本発明の医薬組成物に含まれる共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)の有効成分(ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体)に対する量は、特に限定されないが、例えば、有効成分(ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体)100質量部に対して、2〜500質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることが特に好ましい。
本発明における共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)の粘度は、例えば、20質量%水溶液の23℃における粘度が、100〜500mPa・sであるものが好ましく、120〜450mPa・sであるものがより好ましく、150〜350mPa・sであるものがさらに好ましく、170〜300mPa・sであるものがより一層好ましく、200〜270mPa・sであるものが特に好ましい。本発明において、共重合体の20質量%水溶液の23℃における粘度は、EN ISO 2555に従って20質量%水溶液の23℃における粘度を100rpmの剪断力で測定する。
本発明の医薬組成物に含まれるソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、上記共重合体(ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体)との質量比は、特に限定されないが、1:1〜1:20であることがより好ましく、1:1〜1:18であることがさらに好ましく、1:4〜1:15であることがさらに好ましく、1:6〜1:12であることが特に好ましい。
本発明の医薬組成物は、固体分散体の形態を含むことが好ましい。「固体分散体」とは、不活性担体の中に薬物が単分子状に分散した固体を意味する。本発明における固体分散体は、上述の共重合体を不活性担体とすることが好ましい。
本発明の医薬組成物は、製剤化されていてもよい。製剤化される場合の剤形としては、例えば、錠剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられるが、本発明の剤形は、錠剤であることが好ましく、錠剤のうち、特に、口腔内崩壊錠であることが好ましい。
本発明の医薬組成物は、製剤化するために、適宜、添加剤を加えてもよい。そのような添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、防腐剤、抗酸化剤、酸味料、香料、人工甘味料、界面活性剤等が挙げられる。賦形剤としては、特に限定されず、例えば、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム水和物、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、二酸化ケイ素等を用いることができる。結合剤は、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤は、特に限定されず、例えば、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられる。滑沢剤は、特に限定されず、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ等が挙げられる。着色剤としては、特に限定されず、例えば、黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄等が挙げられる。抗酸化剤としては、特に限定されず、例えば、酢酸トコフェロール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸等が挙げられる。酸味料は、特に限定されず、例えば、リンゴ酸等が挙げられる。香料は、特に限定されず、例えば、メントール、レモン等が挙げられる。人工甘味料としては、特に限定されず、例えば、アスパルテーム、ステビア等が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル等が挙げられる。
また、本発明の医薬組成物を錠剤とする場合、錠剤本体を被覆するコーティングを備える製剤としてもよい。この場合において、錠剤本体は、上記で述べた錠剤の形態である医薬組成物と同様のものを用いることができる。コーティングを構成する成分としては従来の錠剤のコーティング剤として用いられる成分を用いることができ、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、酸化チタン、タルク、乳糖等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の医薬組成物は、水を含んでもよく、含まなくてもよいが、水の量が少ない方が好ましく、例えば、水の含有量が、医薬組成物全体の質量に対し、1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、水を含まないことがより一層好ましい。
本発明の医薬組成物の投与方法は、経口投与であってもよく、非経口投与(静脈投与等)であってよく、医薬組成物の剤形に応じて、適宜選択することができる。また、投与量は、ソリフェナシンの従来の公知の有効量を、投与方法、疾患の症状、投与対象の年齢等を考慮して適宜選択され、例えば、成人に対して、有効成分(ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体)を、0.01〜100mg/kg/日の量で投与してもよい。
<医薬組成物の製造方法>
本発明は、上述した医薬組成物の製造方法は、例えば、以下のような方法で製造することができる。
具体的に製法を例示すれば、(1)医薬組成物の粒子をそのまま糖又は糖アルコール類や選択された崩壊剤とともに混合して加圧圧縮することにより錠剤に製する方法、(2)医薬組成物の粒子を糖又は糖アルコール類や選抜した崩壊剤などと混合し結合剤溶液で造粒して製した粒子に、適切なその他の錠剤用添加剤を混合して加圧圧縮することにより錠剤に製する方法、(3)医薬組成物の粒子に成形性の低い糖類を混合し、かかる混合物を成形性の高い糖類を結合剤として噴霧し被覆及び/または造粒したものを低圧圧縮成形した後、加湿、乾燥して錠剤に製する方法など、様々な製法がある。なお、医薬組成物の粒子を配合した口腔内崩壊錠の場合、粒子の破壊、錠剤の硬度、崩壊性、含量均一性などへの特別な配慮が必要であり、口腔内崩壊錠の製造方法については、ここで述べた方法に限定するべきではなく、鋳型法、湿式成形乾燥法など、錠剤化に際していかなる方法が採用されても差し支えはない。
本発明の医薬組成物の製法は、特に限定されないが、以下により具体的な製法の一例を示す。
エチルセルロース(エトセルSTD−7)をとりエタノールに溶解したものにタルクを懸濁させて防水膜溶液を調製する。コハク酸ソリフェナシン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーをとり、エタノールと精製水の混液に溶解させて薬物被覆液を調製する。エトセルSTD−7、TC−5Eをとり、エタノールと精製水の混液に溶解させて外層溶液を調製する。
転動流動型コーティング造粒機(株式会社パウレック製:MP−01型)にカルメロースナトリウムを投入し、撹拌流動させながら防水膜溶液を噴霧・コーティングし乾燥して、防水膜被覆粒子を調製する。防水膜被覆粒子を転動流動型コーティング造粒機(MP−01型)に投入し、撹拌流動させながら薬物被覆液を噴霧・コーティングし乾燥して、薬物被覆粒子を調製する。
次いで、転動流動型コーティング造粒機(MP−01型)に薬物被覆粒子を投入し、攪拌流動させながら外層溶液を噴霧コーティングし乾燥させて、外層被覆した医薬組成物の粒子を得ることができる。
<ソリフェナシンの非晶質体の安定性を向上させる方法>
本発明は、ソリフェナシンの非晶質体の安定性を向上させる方法を包含する。
本発明の方法は、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体を含有する医薬組成物中に、さらに、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体を含有させることによって、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の安定性を向上させる方法である。
ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体は、上述の本発明の医薬組成物におけるものと同様のものを例示することができる。
<非晶質体の安定性評価1>
(実施例1)
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(KOLLICOAT(登録商標)IR)10.0gを溶解させた水475.0gに、コハク酸ソリフェナシンを2.0g溶解した。転動流動型コーティング造粒機(株式会社パウレック製:MP−01型)に結晶セルロース(粒)(セルフィアCP102)200.0gを投入し、撹拌流動させながら調製した液を噴霧・コーティングし乾燥して、実施例1に係る医薬組成物を調製した。医薬組成物中のコハク酸ソリフェナシンとポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーとの質量比は、1:5であった。
(実施例2)
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(KOLLICOAT(登録商標)IR)10.0gを溶解させた水475.0gに、コハク酸ソリフェナシンを1.0g溶解した。転動流動型コーティング造粒機(株式会社パウレック製:MP−01型)に結晶セルロース(粒)(セルフィアCP102)200.0 gを投入し、撹拌流動させながら調製した液を噴霧・コーティングし乾燥して、実施例2に係る医薬組成物を調製した。医薬組成物中のコハク酸ソリフェナシンとポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーとの質量比は、1:10であった。
(実施例3)
上記実施例1と同様に調製し、医薬組成物中のコハク酸ソリフェナシンとポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーとの質量比が、1:1となるように製した。
(実施例4)
上記実施例1と同様に調製し、医薬組成物中のコハク酸ソリフェナシンとポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーとの質量比が、1:3となるように製した。
(比較例1)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5(登録商標)E)10.0gを溶解させた水475.0gに、コハク酸ソリフェナシンを2.0g溶解した。転動流動型コーティング造粒機(株式会社パウレック製:MP−01型)に結晶セルロース(粒)(セルフィアCP102)200.0gを投入し、撹拌流動させながら調製した液を噴霧・コーティングし乾燥して、比較例1に係る医薬組成物を調製した。医薬組成物中のコハク酸ソリフェナシンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの質量比は、1:5であった。
(比較例2)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5(登録商標)E)10.0gを溶解させた水475.0gに、コハク酸ソリフェナシンを1.0g溶解した。転動流動型コーティング造粒機(株式会社パウレック製:MP−01型)に結晶セルロース(粒)(セルフィアCP102)200.0gを投入し、撹拌流動させながら調製した液を噴霧・コーティングし乾燥して、比較例2に係る医薬組成物を調製した。医薬組成物中のコハク酸ソリフェナシンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの質量比は、1:10であった。
(評価)
上記の実施例1、2、比較例1、2に係る医薬組成物について、安定性の評価を行った。まず、実施例1、2、比較例1、2に係る医薬組成物をそれぞれチャック付きアルミ袋に入れ、60℃、75%RH条件下で14日保存した。保存後、実施例1、2、比較例1、2に係る医薬組成物におけるコハク酸ソリフェナシンの結晶状態と、主分解物の量を評価した。保存後、実施例1、2、比較例1、2に係る医薬組成物におけるコハク酸ソリフェナシンの結晶状態は、非晶質体の形態を維持しているか否かという観点で、X線回折により評価し、ソリフェナシンに特異的なピークが確認された場合を、一部結晶体に変化したものと評価し、ハローピークの場合を、非晶質状態を維持したものと評価した。「主分解物の量」とは、保存開始時のコハク酸ソリフェナシンの非晶質体の量に対する、保存後のコハク酸ソリフェナシンの非晶質体の主分解物の量の割合(質量%)を意味する。「主分解物」とは、コハク酸ソリフェナシンの非晶質体の分解物のうち、最も分解量の多い分解物を意味する。各コハク酸ソリフェナシンの非晶質体の主分解物の量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。その結果を、以下の表1に示す。
Figure 0006805699
表1に示すように、比較例1、2の医薬組成物は、コハク酸ソリフェナシンの非晶質体の形態を維持できるものの、主分解物の量が多くなってしまい、分解に対する安定性の点では、良好でなかった。他方、実施例1〜4医薬組成物は、いずれも非晶質体の形態を維持しており、しかも、主分解物の量がいずれも低い値であった。このことから、コハク酸ソリフェナシンとともに、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーを用いる事で、非晶質体の形態を維持する安定性と、分解に対する安定性のいずれもが向上することが確認された。特に、コハク酸ソリフェナシンの含有量とポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーの含有量との質量比を1:1から1:10と、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーの量を多くすることで、より一層非晶質体の分解に対する安定性が向上することがわかった。

Claims (6)

  1. ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体と、を含有し、
    前記ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体が、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーである、医薬組成物。
  2. 前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体が、前記共重合体中に分散した固体分散体の形態を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、ソリフェナシンの結晶体及び/又はその塩の結晶体との合計含有量に対する、前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の含有量が、77質量%超である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 前記ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体と、前記共重合体との質量比が、1:1〜1:20である、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 剤形が、錠剤である、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体を含有する医薬組成物中に、
    さらに、ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体を含有させることによって、ソリフェナシンの非晶質体及び/又はその塩の非晶質体の安定性を向上させる方法であって、
    前記ビニルアルコール及び/又はエチレングリコールを構成モノマーとして有する共重合体が、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマーである、方法
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