[第1実施形態]
以下、本開示の実施の形態の一例である第1実施形態について図を用いて説明する。図1は、本開示に係る位置判定システム1の概略的な構成の一例を示す図である。図1に示すように位置判定システム1は、車両Vに搭載された車載システム10と、当該車両Vのユーザによって携帯される通信端末である携帯端末20と、を備えている。便宜上、本明細書では、車両Vは右側に運転席(換言すればハンドル)が設けられている車両とするが、これに限らない。車両Vは左側に運転席が設けられている車両であってもよい。
携帯端末20は、通信範囲が例えば最大でも数十メートル程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信(以降、近距離通信とする)を実施する機能を備えた通信端末である。ここでの近距離無線通信規格としては、例えばBluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を採用することができる。
携帯端末20は、上述の近距離通信機能を備えていればよく、例えばスマートフォンを携帯端末20として用いることができる。もちろん、携帯端末20は、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、携帯用音楽プレーヤ、携帯用ゲーム機等であってもよい。ウェアラブルデバイスは、脈拍等の生体情報をセンシングする機能を備えるものであっても良い。携帯端末20が近距離通信として送信する信号には、送信元情報が含まれている。送信元情報は、例えば携帯端末20に割り当てられた識別情報(以降、端末IDとする)である。端末IDは他の通信端末と携帯端末20とを識別するための情報として機能する。
また、携帯端末20は、送信元情報を含む通信パケットを所定の送信間隔で無線送信することで、近距離通信機能を備えた周囲の通信端末に対して、自分自身の存在を通知する(つまりアドバタイズする)。以降では便宜上、アドバイズを目的として定期的に送信される通信パケットのことをアドバタイズパケットと称する。
なお、携帯端末20は、アドバタイズパケットを所定の送信間隔(例えば100ミリ秒)で無線送信するように構成されている。アドバタイズパケットの送信間隔は携帯端末20の動作状況に応じて可変であってもよい。例えば携帯端末20において近距離通信機能を利用する所定のアプリケーションがフォアグラウンドで動作している場合、送信間隔は相対的に短い時間(例えば50ミリ秒)に設定される。一方、当該アプリケーションがフォアグラウンドで動作していない場合、送信間隔は相対的に長い時間(200ミリ秒)に設定される。携帯端末20は、位置判定システム1が規定する所定の時間(例えば200ミリ秒)に少なくとも一回はアドバタイズパケットを送信するように構成されていればよい。
車載システム10もまた、上述の近距離通信機能を備えている。車載システム10は、携帯端末20から送信されてくる信号(例えばアドバタイズパケット)を受信することによって、携帯端末20が車載システム10と近距離通信可能な範囲内に存在することを検出する。以降では、車載システム10が携帯端末20と近距離通信可能な範囲のことを通信エリアとも記載する。車載システム10が車載器に相当する。
<車載システム10の構成について>
次に、車載システム10の構成及び作動について述べる。車載システム10は、図2に示すように、認証ECU100、近距離通信モジュール140、タッチセンサ110、始動ボタン120、施錠ボタン130、エンジンECU200、ボディECU300を備える。なお、部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。
近距離通信モジュール140は、認証ECU100と相互通信可能に接続されている。タッチセンサ110、始動ボタン120、及び施錠ボタン130のそれぞれは認証ECU100と電気的に接続されている。認証ECU100は、エンジンECU200及びボディECU300のそれぞれと、車両内に構築された通信ネットワーク(以降、LAN:Local Area Network)400を介して相互通信可能に接続されている。
認証ECU100は、概略的に、近距離通信モジュール140との連携(換言すれば協働)によって、携帯端末20の位置を推定し、その推定結果に応じた車両制御を他のECUとの協働によって実現するECUである。
この認証ECU100は、コンピュータを用いて実現されている。すなわち、認証ECU100は、CPU101、RAM102、フラッシュメモリ103、I/O104、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。
CPU101は、CPU101は種々の演算処理を実行する演算処理装置である。RAM102は揮発性の記憶媒体であり、フラッシュメモリ103は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。I/O104は、認証ECU100が、近距離通信モジュール140や、車両Vに搭載されている図示しない他のデバイスと通信するためのインターフェースとして機能する回路モジュールである。I/O104は、アナログ回路素子やICなどを用いて実現されればよい。
フラッシュメモリ103には、ユーザが所有する携帯端末20に割り当てられている端末IDが登録されている。便宜上以降では、携帯端末20の端末IDとしてフラッシュメモリ103に登録されている端末IDのことを登録IDとも記載する。また、フラッシュメモリ103には、通常のコンピュータを認証ECU100として機能させるためのプログラム(以降、位置判定プログラム)等が格納されている。なお、上述の位置判定プログラムは、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。CPU101が位置判定プログラムを実行することは、位置判定プログラムに対応する方法が実行されることに相当する。
この認証ECU100の詳細については別途後述する。なお、車両Vの走行用電源(例えばイグニッション電源)がオフになっている場合も、認証ECU100には、後述する位置判定処理を実施するために必要十分な電力が車載バッテリから供給されるように構成されている。
タッチセンサ110は、車両Vの各ドアハンドルに装備されており、ユーザがそのドアハンドルを触れていることを検出する。各タッチセンサ110の検出結果は、認証ECU100に逐次出力される。
始動ボタン120は、ユーザが駆動源(例えばエンジン)を始動させるためのプッシュスイッチである。始動ボタン120は、ユーザによってプッシュ操作がされると、その旨を示す制御信号を認証ECU100に出力する。なお、ここでは一例として車両Vは、エンジンを動力源として備える車両とするがこれに限らない。車両Vは、電気自動車やハイブリッド車であってもよい。車両Vがモータを駆動源として備える車両である場合には、始動ボタン120は駆動用のモータを始動させるためのスイッチである。
施錠ボタン130は、ユーザが車両Vのドアを施錠するためのボタンである。車両Vの各ドアハンドルに設けられればよい。施錠ボタン130は、ユーザによって押下されると、その旨を示す制御信号を、認証ECU100に出力する。
近距離通信モジュール140は、近距離通信を実施するための通信モジュールである。近距離通信モジュール140が受信部に相当する。近距離通信モジュール140は、より細かい構成要素として図3に示すように、アンテナ141、送受信部142、及び通信マイコン143を備える。
アンテナ141は、近距離通信に用いられる周波数帯(例えば2.4GHz帯)の電波を送受信するためのアンテナである。本実施形態では一例としてアンテナ141は無指向性アンテナとする。他の態様としてアンテナ141は指向性を備えるものであってもよい。
送受信部142は、アンテナ141で受信した信号を復調し、通信マイコン143に提供する。また、通信マイコン143を介して認証ECU100から入力された信号を変調して、アンテナ141に出力し、電波として放射させる。
また、送受信部142は、アンテナ141で受信した信号の強度(以降、RSSI:Received Signal Strength Indication)を逐次検出するRSSI検出部1421を備える。RSSI検出部1421が検出したRSSIは、受信データに含まれる端末IDと対応付けられて通信マイコン143に逐次提供される。なお、RSSIは、例えば電力の単位[dBm]で表現されればよい。便宜上、RSSIと端末IDとを対応づけたデータをRSSIデータと称する。
通信マイコン143は、認証ECU100とのデータの受け渡しを制御するマイクロコンピュータであり、MPUやRAM等を用いて実現されている。通信マイコンは、送受信部142から入力された受信データを順次又は認証ECU100からの要求に基づいて認証ECU100に提供する。つまり、送受信部142が受信したデータは、通信マイコン143を介して認証ECU100に提供される。
また通信マイコン143は、RSSI検出部1421からRSSIデータを取得すると、図示しないRAMに蓄積していく。逐次取得されるRSSIデータは、例えば、最新の受信データのRSSIが先頭となるように時系列順にソートされてRAMに保存されれば良い。保存されてから一定時間経過したデータは順次破棄されていけば良い。つまり、RSSIデータはRAMに一定時間保持される。通信マイコン143は、認証ECU100からの要求に基づいてRAMに蓄積されているRSSIデータを提供する。
なお、認証ECU100に提供したRSSIデータについてはRAMから削除されれば良い。通信マイコン143におけるRSSIデータの保存期間は、所定のサンプリング周期よりも長い値に設定されれば良い。サンプリング周期は、携帯端末20から送信された信号のRSSIを認証ECU100が取得(換言すればサンプリング)する間隔である。本実施形態では、サンプリング周期は、認証ECU100が通信マイコンに対してRSSIデータの提供を要求する間隔に相当する。サンプリング間隔の具体的な値は適宜設計されればよく、ここでは一例として200ミリ秒に設定されているものとする。
なお、本実施形態では送受信部142が出力するRSSIデータはRAMにいったん保持され、通信マイコン143が認証ECU100からの要求に基づいてRAMに蓄積されているRSSIデータを認証ECU100に提供するものとするが、これに限らない。RSSIデータは、認証ECU100に逐次提供される構成を採用しても良い。
アンテナ141を含む近距離通信モジュール140は、少なくとも運転席や助手席といった前部座席周辺の車室内空間(以降、前部座席空間)が通信エリアとなるように、車室内の適宜設計される位置に配置されていればよい。或る近距離通信モジュール140にとっての通信エリアとは、当該近距離通信モジュール140が携帯端末20と双方通信可能な範囲である。通信エリアは、近距離通信モジュール140での信号の送信電力や受信感度、取り付け姿勢などのパラメータを調整することで調整することができる。また、アンテナ141は、ドアの外側領域(すなわち車室外)が見通し外領域となるように配置されていることが好ましい。
アンテナ141にとっての見通し外領域とは、アンテナ141から送信された信号が直接到達しない領域である。なお、無線信号の伝搬経路には可逆性があるため、アンテナ141にとっての見通し外領域は、換言すれば、アンテナ141が携帯端末20から送信された信号を直接受信可能な領域に相当する。携帯端末20が見通し外領域に存在する場合であっても携帯端末20から送信された信号は、種々の構造物で反射されることによって、見通し外領域にも到達しうる。
本実施形態では一例として近距離通信モジュール140は、車室内空間の全域が通信エリアとなるように、図4に示すようにセンターコンソール2とインストゥルメントパネル3との境界付近に配置されているものとする。なお、近距離通信モジュール140の設置位置は、これに限らない。車室内の運転席付近が見通し内となり、かつ、車室外が見通し外となるように、例えば運転席の足元や、運転席用のドアの車室内側の側面に配置していても良い。なお、図4では、車両Vの概念的な上面図であって、センターコンソール2等を図示するために屋根部を透過させて示している。
また、車室外への電波の漏れを許容する場合、アンテナ141は、車室内天井部分の中央に配置してもよい。なお、アンテナ141を指向性アンテナとする場合には、車室内の天井に設ける場合であっても、指向性の中心が車両Vの床面に向く姿勢で配置すれば、車室外への電波の漏れを抑制することができる。本実施形態では一例として近距離通信モジュール140は車室内に1つだけ設けられているものとする。他の実施態様として後述するように、近距離通信モジュール140は車室内に複数設けられていても良い。
エンジンECU200は、車両Vに搭載されたエンジンの動作を制御するECUである。ボディECU300は、種々の車載アクチュエータ310や、種々の車載センサ320と通信可能に接続されており、認証ECU100からの要求に基づいて車載アクチュエータ310を制御するECUである。ここでの車載アクチュエータ310とは、例えば、各ドアのロック機構を構成するドアロックモータや、座席位置を調整するためのアクチュエータ(以降、シートアクチュエータ)などである。また、ここでの車載センサ320とは、ドア毎に配置されているカーテシスイッチなどである。カーテシスイッチは、ドアの開閉を検出するセンサである。このボディECU300は、例えば認証ECU100からの要求に基づいて、車両Vの各ドアに設けられたドアロックモータに所定の制御信号を出力することで各ドアを施錠したり開錠したりする。
<認証ECU100の機能について>
認証ECU100は、上述した位置判定プログラムを実行することで、図5に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、認証ECU100は機能ブロックとして、車両情報取得部F1、送信処理部F2、受信処理部F3、RSSI取得部F4、認証処理部F5、位置判定部F6、及び車両制御部F7を備えている。
なお、認証ECU100が実行する機能の一部又は全部は、論理回路等を用いたハードウェアとして実現されていてもよい。ハードウェアとして実現される態様には1つ又は複数のICを用いて実現される態様も含まれる。また、認証ECU100が備える機能ブロックの一部又は全部は、CPU101によるソフトウェアの実行と電子回路の組み合わせによって実現されていてもよい。
また、認証ECU100は、RSSI記憶部M1と、位置記憶部M2とを備える。RSSI記憶部M1は、携帯端末20から送信された信号のRSSIを保存するための記憶領域である。位置記憶部M2は、携帯端末20が車室内に存在するのか否かといった、携帯端末の位置を示すデータが保存される記憶領域である。
RSSI記憶部M1及び位置記憶部M2は、車両Vの走行用電源がオフになっている間もデータが保持されるメモリ(例えば不揮発性メモリ)であればよい。走行用電源がオフとなっている間もRAM102のデータは車載バッテリから供給される電力によって保持される。故に、本実施形態では一例としてRSSI記憶部M1及び位置記憶部M2はRAM102が備える記憶領域の一部を用いて実現されているものとする。なお、他の態様として、RSSI記憶部M1及び位置記憶部M2は、フラッシュメモリ103等の書き換え可能な不揮発性の記憶媒体を用いて実現されてもよい。また、位置記憶部M2はCPU101が備えるレジスタを用いて実現されていても良い。
車両情報取得部F1は、車両Vに搭載されたセンサ(例えばタッチセンサ110)やECU(例えばボディECU300)から、車両Vの状態を示す種々の情報(以降、車両情報)を取得する。車両情報としては、例えば、ドアの開閉状態や、各ドアの施錠/開錠状態、ドアハンドルへのタッチの有無、始動ボタン120の押下の有無等が該当する。なお、車両情報に含まれる情報は、上述したものに限らない。図示しないシフトポジションセンサが検出するシフトポジションや、ブレーキペダルが踏み込まれているか否かを検出するブレーキセンサの検出結果なども車両情報に含まれる。なお、各ドアの施錠/開錠状態を示す情報を取得することは、各ドアの施錠/開錠状態を判定することに相当する。
また、車両情報取得部F1は、上述した種々の情報に基づいて、車両Vの現在の状態を特定する。例えば車両情報取得部F1は、エンジンがオフであり、全てのドアが施錠されている場合に、車両Vは駐車されていると判定する。もちろん、車両Vが駐車されていると判定する条件は適宜設計されればよく、多様な判定条件等を適用することができる。車両情報取得部F1が車両状態判定部に相当する。
送信処理部F2は、携帯端末20宛のデータを生成し、近距離通信モジュール140に出力する。これにより、所望のデータに対応する信号を電波として送信させる。受信処理部F3は、近距離通信モジュール140から受信データを取得する構成である。
RSSI取得部F4は、近距離通信モジュール140からRSSIデータを取得する構成である。本実施形態のRSSI取得部F4は、近距離通信モジュール140に対して所定のサンプリング間隔でRSSIデータの提供を要求することにより、RSSIデータを取得する。
そして、近距離通信モジュール140から取得したRSSIデータの中に、携帯端末20から送信された信号のRSSIが含まれている場合には、そのRSSIをRSSI記憶部M1に保存する。つまり、RSSI取得部F4は、携帯端末20から送信されてくる信号のRSSIを収集する。なお、携帯端末20から送信された信号のRSSIとは、携帯端末20の端末IDと対応付けられているRSSIである。以降では、携帯端末20から送信された信号のRSSIのことを、携帯端末20のRSSIと略して記載する。
なお、携帯端末20以外からの信号のRSSIは破棄されれば良い。また、携帯端末20以外からの信号のRSSIを破棄する処理は、近距離通信モジュール140(例えば通信マイコン143)で実施されても良い。その場合、近距離通信モジュール140にも携帯端末20の端末IDが登録されているものとする。
携帯端末20が車両Vの周辺に存在する場合、RSSI記憶部M1には、携帯端末20のRSSIが蓄積されていく。取得時刻が異なる複数のRSSIは、例えば、最新の受信データのRSSIが先頭となるように時系列順にソートされてRAM102に保存されれば良い。RAM102に格納されてから一定時間経過したRSSIは順次削除されていけばよい。そのような構成によれば、RAM102には、直近一定時間以内に受信した信号のRSSIが保存される。RSSIを保持する時間は、例えばサンプリング間隔を5倍〜10倍した時間とすればよい。
なお、複数の携帯端末20が車載システム10に登録されている場合であって、かつ、複数の携帯端末20からのRSSIを取得できている場合には、RSSI取得部F4は各携帯端末20のRSSIを端末ID毎に区別して保存していく。
認証処理部F5は、近距離通信モジュール140と連携して、携帯端末20を認証する処理(以降、認証処理)を実施する。認証のための近距離通信は、暗号化されて実施されるものとする。つまり、認証処理は暗号通信によって実施される。認証処理自体は、チャレンジ−レスポンス方式など多様な方式を用いて実施されればよい。ここではその詳細な説明は省略する。なお、認証処理に必要なデータ(例えば照合用のコード)などは携帯端末20と認証ECU100のそれぞれに保存されているものとする。
なお、車載システム10は、携帯端末20の位置を特定するための近距離通信モジュールと、携帯端末20とのデータ通信を実施するための近距離通信モジュール(データ通信用モジュール)とを別個に備えていてもよい。その場合にはデータ通信用モジュールが、携帯端末20との認証処理を実施する役割を担う。データ通信用モジュールは、ゲートウェイとしての役割を担う。
位置判定部F6は、RSSI取得部F4によって収集されている携帯端末20のRSSIに基づいて、携帯端末20が車室内に存在するのか否かを判定する構成である。フラッシュメモリ103には、位置判定部F6が携帯端末20のRSSIに基づいて携帯端末20が車室内に存在するか否かを判定するための判定用閾値として、ハイレベル閾値と、ローレベル閾値の2つのパラメータが予め用意されている。
ハイレベル閾値は、携帯端末20は車室内に存在すると判定するための閾値である。ハイレベル閾値は、ローレベル閾値よりも相対的に高い値に設定されている。例えばハイレベル閾値は、試験等によって特定される、携帯端末20が車室内(特に運転席周辺)に存在する場合のRSSIを基準として設計されればよい。
図6は、前部座席空間及び車室外の運転席用のドア周辺領域における携帯端末20のRSSIと携帯端末20の位置との関係を試験した結果を表した図である。図6に示す試験結果は、車両Vのドアを閉めた状態において、携帯端末20を車両Vの窓部と同じ程度の高さ、具体的には路面からの高さが1.1mとなる位置に配置した時のRSSIを表している。なお、ここでは一例として車両右側に運転席が設けられているものとする。
図6に示すように、車両Vのドアを閉めている場合には、携帯端末20が車室内の前部座席に存在する場合のRSSIは、携帯端末20が車室から数メートル程度離れた地点に存在する場合のRSSIよりも相対的に大きい値となる。前部座席空間において周辺に比べてRSSIが10dBm以上低下している地点は、マルチパスの影響によってRSSIが急激に低下する地点、すなわちヌルポイントを表している。なお、車室外領域であっても窓部近傍領域は、図7に示すように、アンテナ141の見通し内となりうるため、車室外の他の領域よりも相対的に高い値となる場合がある。
ハイレベル閾値は、上述した試験結果に基づいて、携帯端末20が車両Vから数メートル程度離れた地点に存在する場合のRSSIよりも十分に大きい値に設定されていればよい。本実施形態では一例としてハイレベル閾値は、−40dBmに設定されているものとする。なお、ハイレベル閾値を、携帯端末20が車室内に存在する場合に観測されるRSSIに基づいて決定する場合、他の領域に比べて極端に低い値、換言すればヌルポイントと想定される地点での観測値は除外した上で決定することが好ましい。
ローレベル閾値は、携帯端末20は車室外に存在すると判定するための閾値である。ローレベル閾値の具体的な値も、ハイレベル閾値と同様に、携帯端末20の位置とRSSIとの対応関係を試験した結果に基づいて適宜設計されればよい。ローレベル閾値は、ハイレベル閾値よりも10dBm以上低い値に設定されていることが好ましい。ここでは一例として−50dBmに設定されているものとする。
位置判定部F6は、上述したハイレベル閾値及びローレベル閾値を用いて、携帯端末20が車室内に存在するのか否かを判定する。この位置判定部F6の作動については別途後述する。位置判定部F6の判定結果は、位置記憶部M2に保存される。位置判定部F6の判定結果とは、携帯端末20が車室内と車室外のどちらに存在するかといった、携帯端末20の位置情報である。位置判定部F6の判定結果は、車両制御部F7によって参照される。
なお、位置記憶部M2に登録されている携帯端末20の位置情報は、工場出荷時等の初期状態においては車室外に設定されているものとする。また、本実施形態ではより好ましい態様として、携帯端末20からの信号を受信できなくなった場合には、位置記憶部M2に登録されている携帯端末20の位置情報を車室外に設定するものとする。その他、車両Vが駐車されている状態が一定時間(例えば1時間)以上継続した場合には、位置記憶部M2に登録されている携帯端末20の位置情報を車室外に設定してもよい。車両Vが駐車された状態であるか否かは、種々のセンサから入力される信号に基づいて車両情報取得部F1が特定すればよい。このような態様によれば、位置記憶部M2に登録されている携帯端末20の位置情報を定期的/所定のタイミングでリセットすることができる。
車両制御部F7は、認証処理部F5による携帯端末20の認証が成功した場合、一定時間(例えば10秒間)、スタンバイ状態となる。そして、スタンバイ状態となっている間に所定のユーザ操作が実施されたことを車両情報取得部F1が検出した場合に、そのユーザ操作の内容に応じた車両制御を実施する。つまり、車両制御部F7は、認証処理部F5による携帯端末20の認証処理が成功してから所定時間以内に、車両情報取得部F1が所定のユーザ操作を検出した場合に、当該ユーザ操作に応じた車両制御を実施する構成である。なお、車両制御の実行条件には、位置判定部F6の判定結果も用いられることが好ましい。
例えば車両Vが駐車されている状況において、位置判定部F6によって携帯端末20は車室外に存在すると判定されており、かつ、スタンバイ状態となっているときに、タッチセンサ110によってユーザによるハンドルにタッチする操作が検出された場合には、ボディECU300と連携してドアを開錠する。
また、例えば位置判定部F6によって携帯端末20が車室内に存在すると判定されており、かつ、スタンバイ状態となっているときに、始動ボタン120がユーザによって押下された場合には、エンジンECU200と連携してエンジンを始動させる。その他、車両制御部F7が実施する車両制御の内容は、実施条件と合わせて適宜設計されれば良い。
<位置判定処理>
次に、図8に示すフローチャートを用いて認証ECU100が実施する位置判定処理について説明する。位置判定処理は、携帯端末20の位置を判定するための処理である。この位置判定処理は、例えば所定のサンプリング間隔で実施されればよい。
まずステップS101ではRSSI取得部F4が、近距離通信モジュール140からRSSIデータを取得してステップS102に移る。ステップS102ではRSSI取得部F4が、携帯端末20の端末ID(つまり登録ID)と対応付けられているRSSIデータを取得できたか否かを判定する。ステップS101の処理の結果、登録IDと対応付けられているRSSIを取得できている場合には、ステップS102が肯定判定されてステップS103に移る。一方、登録IDと対応付けられているRSSIを取得できなかった場合には、ステップS102が否定判定されて本フローを終了する。
なお、ステップS101で登録IDと対応付けられているRSSIを取得できている場合とは、携帯端末20が車両Vの周辺(車室内を含む)に存在し、携帯端末20から送信された信号を近距離通信モジュール140が受信できていることを意味する。また、携帯端末20が車両Vの近くに存在せず、携帯端末20から送信された信号を近距離通信モジュール140が受信していない場合には、ステップS102が否定判定されることとなる。つまり、ステップS102での判定処理は、携帯端末20が車両Vの周辺に存在するか否かを判定する処理に相当する。
ステップS103ではRSSI取得部F4が、ステップS101で取得した携帯端末20のRSSIをRSSI記憶部M1に保存してステップS104に移る。ステップS104では位置判定部F6が、RSSI記憶部M1に保存されているデータに基づいて、携帯端末20のRSSIの移動平均値を算出する。具体的には、RSSI記憶部M1に保存されている直近N個のRSSIを母集団とする平均値を算出する。Nは2以上の自然数であればよく、本実施形態では5とする。この場合、直近5つの時点でサンプリングされた携帯端末20のRSSIを用いて移動平均値を算出することとなる。もちろん、Nは10や20などであってもよい。
以降では、ステップS104で算出された携帯端末20のRSSIの移動平均値のことを平均強度と称する。ステップS104での算出処理が完了するとステップS105に移る。
ステップS105では位置判定部F6が、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出す。前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合、ステップS106が肯定判定されてステップS107に移る。一方、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合、ステップS106は否定判定されてステップS111に移る。
ステップS107では位置判定部F6が、ステップS104で算出されている平均強度とハイレベル閾値とを比較して、平均強度がハイレベル閾値以上であるか否かを判定する。平均強度がハイレベル閾値以上である場合にはステップS107が肯定判定されてステップS108に移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室内であるという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS109に移る。
なお、携帯端末20は車室内に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存する処理は、位置記憶部M2に保存されている携帯端末20の位置情報を車室外から車室内に書き換える処理に相当する。ステップS109では次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定してステップS115に移る。
一方、ステップS107において、平均強度がハイレベル閾値未満である場合にはステップS110に移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。ステップS110での処理は、携帯端末20は車室外に存在するという前回の判定結果を維持することに相当する。前回の判定結果を維持する場合には、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更せずに(つまりハイレベル閾値に設定したまま)、ステップS115に移る。
このように前回の位置判定処理において携帯端末20が車室外に存在すると判定されている場合には、判定用閾値としてハイレベル閾値を用いて携帯端末20が車室外に存在する状態が継続しているか否かを判定する。そして、平均強度がハイレベル閾値以上となっている場合には、携帯端末20の位置は、車室外から車室内に遷移したと判定する。つまり、ハイレベル閾値は、携帯端末20が車室内に持ち込まれたか否かを判定する閾値として機能する。
ステップS111では位置判定部F6が、ステップS104で算出されている平均強度とローレベル閾値とを比較して、平均強度がローレベル閾値以下であるか否かを判定する。平均強度がローレベル閾値以下である場合にはステップS111が肯定判定されてステップS112に移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS113に移る。なお、携帯端末20は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存する処理は、位置記憶部M2に保存されている携帯端末20の位置情報を車室内から車室外に書き換える処理に相当する。ステップS113では次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をハイレベル閾値に設定してステップS115に移る。
一方、ステップS111において、平均強度がローレベル閾値を超過している場合にはステップS114に移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。ステップS114での処理は、携帯端末20は車室内に存在するという前回の判定結果を維持することに相当する。前回の判定結果を維持する場合には、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更せずに(つまりローレベル閾値に設定したまま)、ステップS115に移る。
このように前回の位置判定処理において携帯端末20が車室内に存在すると判定されている場合には、判定用閾値としてローレベル閾値を用いて携帯端末20が車室内に存在する状態が継続しているか否かを判定する。そして、平均強度がローレベル閾値以下となった場合には、携帯端末20の位置は車室内から車室外に遷移したと判定する。つまり、ローレベル閾値は、携帯端末20が車室外に持ち出されたか否かを判定する閾値として機能する。なお、携帯端末20が車室外に持ち出されたと判定することは、携帯端末20のユーザが車室外に出たことを示唆している。
ステップS115では認証処理部F5が、携帯端末20と暗号通信による認証処理を実施する。認証処理が成功した場合にはステップS116に移る一方、認証処理が失敗した場合には本フローを終了する。ステップS116では車両制御部F7が、スタンバイ状態に移行して本フローを終了する。なお、スタンバイ状態となっている間に携帯端末20の位置に応じたユーザ操作が実行されたことを検出した場合には、当該状況に応じた所定の車両制御(例えばドアの施錠)などを実施する。
<第1実施形態の効果>
次に、以上で述べた本実施形態の作動及び効果について、比較構成を導入して説明する。ここでの比較構成とは、1種類の判定用閾値を用いて携帯端末20が車室内に存在するか否かを判定する構成である。比較構成では、RSSIの平均強度が判定用閾値以上である場合に携帯端末20は車室内に存在すると判定し、RSSIの平均強度が判定用閾値未満である場合に携帯端末20は車室外に存在すると判定する。比較構成において判定用閾値の設定値が低すぎると、携帯端末20が実際には車室外に存在するにも関わらず、車室内に存在すると誤判定する恐れが高まる。一方、比較構成において判定用閾値の設定値が高すぎると、携帯端末20が実際には車室内に存在するにも関わらず、車室外に存在すると誤判定する恐れが高まる。したがって、比較構成では、それらの事情を鑑みて、判定用閾値を、誤判定が生じにくい値に設定する必要がある。
しかしながら、図6を用いて説明したように、車室内にはマルチパスによるヌルポイントが存在するため、1つの閾値では車室外領域とヌルポイントとなっている車室内領域とを切り分けることは困難である。故に、比較構成では、図9に示すように、携帯端末20が実際には車室内に存在するにも関わらず、車室外に存在すると誤判定してしまう領域が幾つか発生してしまう。
また、車室外の窓部付近に携帯端末20が配置された場合には、RSSIは想定的に高いレベルを推移する。そのため、比較構成では、車室外の窓部付近に携帯端末20が存在する場合、実際には車室外に存在するにも関わらず、携帯端末20は車室内に存在すると判定してしまう場合がある。なお、図9は、図6に示した試験環境において、比較構成の判定用閾値を−45dBmに設定した場合の、比較構成による携帯端末20の位置の判定結果を示したものである。
これに対し、本実施形態では、平均強度がハイレベル閾値以上となった場合に、携帯端末20の位置は車室外から車室内に遷移したと判定し、平均強度がローレベル閾値以下となるまでその判定結果を保持する。また、平均強度がローレベル閾値以下となった場合には、携帯端末20の位置は車室内から車室外に遷移したと判定し、平均強度がハイレベル閾値以上となるまでその判定結果を保持する。
したがって、図10に示すように、携帯端末20のRSSIがマルチパスの影響で一時的に低下しても、ローレベル閾値以下とならなければ、携帯端末20は車室内に存在するという判定結果が維持される。なお、図10に示す時刻t1は携帯端末20が車室内に持ち込まれてRSSIの平均強度がハイレベル閾値以上となった時点を表しており、時刻t3は携帯端末20が車室外に持ち出されてRSSIの平均強度がローレベル閾値以下となった時点を表している。時刻t2は、マルチパスの影響で平均強度が一時的に低下した時点を表している。
その結果、本実施形態の構成によれば、マルチパスによって誤判定してしまう恐れや、車室外窓際付近での誤判定を抑制することができる。図11は、図6に示した試験環境において、ハイレベル閾値を−40dBm、ハイレベル閾値を−50dBmに設定した場合の携帯端末20の位置の判定結果を示したものである。図11と図9とを比較すれば分かるように、本実施形態によれば比較構成よりも誤判定している領域を抑制することができる。
なお、ハイレベル閾値とローレベル閾値のギャップは、本実施形態として上述したように、10dB以上設けられていることが好ましい。ハイレベル閾値とローレベル閾値とのギャップを大きく設定しておけば、判定結果を保持しやすくなる。つまり、マルチパスや電波漏れ等に起因して携帯端末20の位置を誤判定してしまう恐れをより一層低減することができる。ただし、ハイレベル閾値とローレベル閾値のギャップを大きく設定しすぎると、背反としてハイレベル閾値を越えにくくなったり、ローレベル閾値を下回りにくくなったりする。その結果、誤判定してしまう可能性が相対的に増加してしまう。故に、ハイレベル閾値とローレベル閾値のギャップは、上記のトレードオフを鑑みて、10dBを基準とする所定範囲内の値に設定されることが好ましい。
また、図6や図11での評価結果は、窓部相当の高さでの評価結果である。窓部よりも低い空間、例えば、座面相当の高さや車室内の床面相当の高さでは、より一層誤判定は生じにくくなる。それは、窓部よりも低い空間では、携帯端末20が車室外に存在する場合、携帯端末20とアンテナ141との間にドア等の金属体が介在することになり、携帯端末20が車室内に存在するか否かによってRSSIが大きく異なる値を取るようになるためである。
さらに、上述した実施形態ではサンプリング間隔を数百ミリ秒(具体的には200ミリ秒)に設定した。車両周辺でのユーザの移動速度は1m/秒程度と想定されるため、サンプリング間隔を200ミリ秒に設定することにより、概略的にはユーザが20cm程度移動する度に携帯端末20のRSSIを採取することができる。このように相対的に密に携帯端末20のRSSIをサンプリングすることによって、携帯端末20のRSSIがハイレベル閾値を超過している瞬間を見逃してしまう恐れを低減できる。その結果、携帯端末20が車室内に持ち込まれたことを精度良く検出することができる。なお、サンプリング間隔は、人の動きに対して十分早い時間間隔であればよい。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の実施形態や変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態に係る位置判定システム1について、図を用いて説明する。本実施形態と第1実施形態との主たる相違点は、車室内に設置された近距離通信モジュールでのRSSIと、車室外の所定領域が見通し内領域となるように設置された近距離通信モジュールでのRSSIとの差を用いて携帯端末20の位置を推定する点にある。
以降では、第2実施形態における位置判定システム1のうち、主として車載システム10の構成及び作動について説明する。なお、前述の第1実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。車載システム10が備える種々の近距離通信モジュールを区別しない場合には、符号を付けずに単に近距離通信モジュールとも記載する。
本実施形態における車載システム10は、図12に示すように、近距離通信モジュールとして、車室内用モジュール150と、車室外用モジュール160と、を備える。図12においてエンジンECU200等の図示は省略している。
車室内用モジュール150は、主として車室内に存在する携帯端末20と近距離通信を実施するための近距離通信モジュールであり、第1実施形態における近距離通信モジュール140に相当する。車室内用モジュール150は、センターコンソール2付近や運転席の足元など、車室外が見通し外領域となる位置に設けられていることが好ましい。車室内用モジュール150が受信部、特に、車室内受信部に相当する。また、車室内用モジュール150が備える近距離通信用のアンテナが車室内アンテナに相当する。
車室外用モジュール160は、主として車室外に存在する携帯端末20と近距離通信を実施するための近距離通信モジュールである。車室外用モジュール160の構成や機能は、車室内用モジュール150と同様である。車室外用モジュール160は、車室外の所定範囲が見通し内となるように、例えば、運転席用ドアの外側面や、車両Vの屋根部、ボンネット、ピラー等に配置されれば良い。車室外用モジュール160が受信部、特に、車室外受信部に相当する。また、車室外用モジュール160が備える近距離通信用のアンテナが車室外アンテナに相当する。車室外用モジュール160は、車室内が見通し外となる位置に取り付けられることが好ましい。また、車室外アンテナは指向性アンテナを用いて実現されていても良い。本実施形態では一例として車室外用モジュール160は1つだけ設けられているものとする。他の実施態様として後述するように、車室外用モジュール160は複数設けられていても良い。
本実施形態におけるRSSI取得部F4は、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160のそれぞれからRSSIデータを取得するとともに、取得したRSSIデータを、取得元毎に区別してRSSI記憶部M1に保存する。つまり、車室内用モジュール150から取得した携帯端末20のRSSIと、車室外用モジュール160から取得した携帯端末20のRSSIとを区別してRSSI記憶部M1に保存する。
また、位置判定部F6は、車室内用モジュール150から取得した携帯端末20のRSSIと、車室外用モジュール160から取得した携帯端末20のRSSIの差に基づいて、携帯端末20が車室内に存在するのか否かを判定する。具体的には、車室内用モジュール150から取得した携帯端末20のRSSIの平均強度である車室内平均強度と、車室外用モジュール160から取得した携帯端末20のRSSIの平均強度である車室外平均強度のそれぞれを算出する。そして、車室内平均強度から車室外平均強度を減算した値である強度差ΔRSSIを算出し、当該強度差と、判定用閾値としてのハイレベル閾値やローレベル閾値との比較によって携帯端末20の位置を判定する。強度差ΔRSSIは、携帯端末20から送信された無線信号の車室内での信号強度と、車室外(特に車両近傍)での信号強度の差を表す。強度差ΔRSSIが強度差分値に相当する。
ところで、本実施形態では、携帯端末20の位置判定に用いる指標が、受信強度そのものを表すものではなく、車室内用モジュール150での受信強度と、車室外用モジュール160での受信強度との差である。そのため、本実施形態でのハイレベル閾値やローレベル閾値は、携帯端末20が車室外に存在する場合の車室内用モジュール150での受信強度と車室外用モジュール160での受信強度との差、及び、携帯端末20が車室内に存在する場合の車室内用モジュール150での受信強度と車室外用モジュール160での受信強度との差に基づいて決定されている。
携帯端末20が車室内に存在する場合には、車室内用モジュール150での受信強度は、車室外用モジュール160での受信強度よりも大きくなりやすい。それ故、強度差ΔRSSIは正の値となることが期待できる。一方、携帯端末20が車室外に存在する場合には、車室内用モジュール150での受信強度は、車室外用モジュール160での受信強度よりも小さくなりやすい。それ故、強度差ΔRSSIは負の値となることが期待できる。
ハイレベル閾値やローレベル閾値は、上述した傾向を鑑みて決定されれば良い。本実施形態では一例として、ハイレベル閾値は+5dBに設定されており、ローレベル閾値は−5dBに設定されているものとする。もちろん、他の態様として、ハイレベル閾値を+10dBに設定し、ローレベル閾値を0dBに設定してもよい。ハイレベル閾値及びローレベル閾値の具体的な値は適宜設計されれば良い。
次に、図13に示すフローチャートを用いて、第2実施形態の認証ECU100が実施する位置判定処理について説明する。図13に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートと同様に、所定のサンプリング間隔で実施されれば良い。
まず、ステップS201ではRSSI取得部F4が、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160のそれぞれからRSSIデータを取得してステップS202に移る。ステップS202ではRSSI取得部F4が、ステップS211での処理の結果、登録IDと対応付けられているRSSIデータを取得できたか否かを判定する。
ステップS201の処理の結果、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の少なくとも何れか一方で、登録IDと対応付けられているRSSI(つまり携帯端末20のRSSI)を取得できている場合には、ステップS202が肯定判定されてステップS203に移る。一方、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の何れにおいても、登録IDと対応付けられているRSSIを取得できなかった場合には、ステップS202が否定判定されて本フローを終了する。
なお、本実施形態では一例として、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の少なくとも何れか一方で携帯端末20のRSSIを取得できた場合には、ステップS203等の後続する処理を実施するものとするが、これに限らない。車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の少なくとも何れか一方で携帯端末20のRSSIを取得できていない場合には、ステップS202が否定判定されて本フローを終了させても良い。
ステップS203ではRSSI取得部F4が、ステップS201で取得した携帯端末20のRSSIをRSSI記憶部M1に保存してステップS204に移る。なお、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の何れか一方で携帯端末20のRSSIを取得できていない場合、RSSI記憶部M1には携帯端末20のRSSIを取得できていない方の近距離通信モジュールでの最新のRSSIとして、RSSI検出部1421が出力可能なRSSIの下限値(換言すれば最小値)を登録するものとする。このような構成によれば、車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の少なくとも何れかが携帯端末20からの信号を受信できている場合には、位置判定処理を継続でき、その結果として携帯端末20の位置を判定することができる。
ステップS204では位置判定部F6が、RSSI記憶部M1に保存されている各近距離通信モジュールと対応付けられているRSSIに基づいて、各近距離通信モジュールでのRSSIの移動平均値(つまり平均強度)を算出する。具体的には、車室内用モジュール150で取得した直近N個のRSSIに基づいて、車室内用モジュール150でのRSSIの移動平均値(つまり車室内平均強度)を算出する。また、車室外用モジュール160で取得した直近N個のRSSIに基づいて、車室外用モジュール160でのRSSIの移動平均値(つまり車室外平均強度)を算出する。ステップS204での算出処理が完了するとステップS205に移る。
ステップS205では位置判定部F6が、車室内平均強度から車室外平均強度を減算することによって、強度差ΔRSSIを算出してステップS206に移る。ステップS206では位置判定部F6が、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出す。前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合、ステップS207が肯定判定されてステップS208に移る。一方、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合、ステップS207は否定判定されてステップS212に移る。
ステップS208では位置判定部F6が、ステップS205で算出されている強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定する。強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合にはステップS208が肯定判定されてステップS209に移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室内であるという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS210に移る。ステップS210では次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS208において、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合にはステップS211に移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。ステップS211での処理は、携帯端末20は車室外に存在するという前回の判定結果を維持することに相当する。前回の判定結果を維持する場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更せずに本フローを終了する。
ステップS212では位置判定部F6が、ステップS205で算出されている強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定する。強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合にはステップS212が肯定判定されてステップS213に移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS214に移る。ステップS214では次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をハイレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS212において、平均強度がローレベル閾値を超過している場合にはステップS215に移る。ステップS215では、携帯端末20は車室内に存在すると判定して本フローを終了する。ステップS215での処理は、携帯端末20は車室内に存在するという前回の判定結果を維持することに相当する。前回の判定結果を維持する場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更せずに本フローを終了する。
なお、図13では省略しているが、ステップS210や、ステップS211、ステップS214、ステップS215の後続処理として、前述の第1実施形態と同様に、認証処理等を実施してもよい。認証処理は、複数の近距離通信モジュールのうちの何れか1つを用いて実施されれば良い。
<第2実施形態の効果>
上述した構成によっても第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態によれば、第1実施形態が奏する効果に加えて下記の効果も奏する。
一般的にスマートフォンなどの携帯端末は、機種によって近距離通信用の無線信号の送信電力が異なる。そのため、第1実施形態の構成では、判定精度を高めるためには、携帯端末20の機種に応じたハイレベル閾値及びローレベル閾値を設定する必要がある。これに対し、第2実施形態の構成によれば、強度差ΔRSSIを用いることで、携帯端末20の機種による送信電力の違いを相殺できる。そのため、第2実施形態によれば、機種毎のハイレベル閾値及びローレベル閾値の設定作業が不要となる。故に、第2実施形態の構成によれば、開発工数の抑制と判定精度の向上を両立させることができる。
また、強度差ΔRSSIは、車室内用モジュール150でのRSSIと車室外用モジュール160でのRSSIでの差であるため、単純なRSSIや平均強度に比べて、携帯端末20が車室内に存在するか車室外に存在するかに応じて急峻に変化する。そのため、第2実施形態の構成によれば、第1実施形態に比べて早期に携帯端末20が車室内に持ち込まれたことを検出することができる。携帯端末20が車室外に持ち出された場合も同様である。また、第2実施形態の構成によれば、車室外の窓際に携帯端末20が継続的に位置している場合においてもより正しく判定できる。
ところで、第2実施形態の位置判定部F6は、その応用例として、携帯端末20は車室外に存在していると判定している場合、車室外平均強度に基づいて携帯端末20が所定の施開錠エリア内に存在するか否かを判定しても良い。具体的には、車室外平均強度が所定の閾値(以降、施開錠用閾値)以上である場合には携帯端末20が施開錠エリア内に存在すると判定する一方、車室外平均強度が施開錠用閾値未満である場合には、携帯端末20は施開錠エリア内には存在しないと判定する。
施開錠エリアは、当該エリア内に携帯端末20が存在する場合にのみタッチセンサ110へのタッチ操作や施錠ボタン130の押下操作に基づいたドアの施開錠制御を実行するように適宜設定されるエリアである。施開錠エリアは、トランクドアを含む車両Vに設けられた種々のドアから1〜2メートル以内となるエリアに設定される。このような構成によれば、携帯端末20が、車室外領域の中でも施開錠エリアに存在する場合にのみ、施開錠制御を実施するようになるため、車両Vの防犯性を高めることができる。
なお、以上では、車室内平均強度から車室外平均強度を減算した値を強度差ΔRSSIとして採用する態様を開示したが、これに限らない。車室外平均強度から車室内平均強度を減算した値を強度差ΔRSSIとして採用し、当該強度差ΔRSSIと、判定用閾値としてのハイレベル閾値やローレベル閾値との比較によって携帯端末20の位置を判定してもよい。
その場合、認証ECU100は図14に例示する手順で位置判定処理を実行すればよい。図14は、車室外平均強度から車室内平均強度を減算してなる強度差ΔRSSIを用いて携帯端末20の位置を推定する場合の位置判定処理についてのフローチャートである。図14に示すフローチャートは、図13に示すフローチャートと同様に、所定のサンプリング間隔で実施されれば良い。図14に示すステップS201a〜S204aの処理は、前述のステップS201〜S204の処理と同様である。
ステップS205aでは位置判定部F6が、車室外平均強度から車室内平均強度を減算することによって、強度差ΔRSSIを算出してステップS206aに移る。ステップS206aでは位置判定部F6が、ステップS206と同様に、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出す。前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合、ステップS207aが肯定判定されてステップS208aに移る。一方、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合、ステップS207aは否定判定されてステップS212aに移る。
ステップS208aでは位置判定部F6が、ステップS205で算出されている強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定する。このとき用いられるハイレベル閾値は、0よりも大きい値である。ハイレベル閾値は、例えば+10dBなど、+5dBよりも大きい値に設定されていることが好ましい。
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合にはステップS208aが肯定判定されてステップS209aに移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室外であるという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS210aに移る。ステップS210aでは次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS208aにおいて、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合にはステップS211aに移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。ステップS211での処理は、携帯端末20は車室内に存在するという前回の判定結果を維持することに相当する。前回の判定結果を維持する場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更せずに本フローを終了する。
ステップS212aでは位置判定部F6が、ステップS205aで算出されている強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定する。このとき用いられるローレベル閾値は、ローレベル閾値は0よりも小さい値である。ローレベル閾値は、例えば−10dBなど、−5dBよりも小さい値に設定されていることが好ましい。
強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合にはステップS212aが肯定判定されてステップS213aに移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室内に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS214aに移る。ステップS214aでは次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をハイレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS212aにおいて、平均強度がローレベル閾値を超過している場合にはステップS215aに移る。ステップS215aでは、携帯端末20は車室外に存在すると判定して本フローを終了する。ステップS215aでの処理は、携帯端末20は車室外に存在するという前回の判定結果を維持することに相当する。前回の判定結果を維持する場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更せずに本フローを終了する。
図15は、上記の判定アルゴリズムを用いた場合の位置判定部F6の作動を説明するための図である。図15の(A)は、携帯端末20を所持している車両Vに搭乗していたユーザが降車して、車両Vから離れる際(以降、離脱過程)の強度差ΔRSSIと位置判定部F6の判定結果の対応関係を示している。図15の(B)は、携帯端末20を所持しているユーザが車両Vに接近し乗り込む際(以降、エントリー過程)の強度差ΔRSSIと位置判定部F6の判定結果の対応関係を示している。
図15の(A)に示すように、ユーザが車室内に存在する場合には車室外強度代表値よりも車室内強度代表値のほうが十分に大きい値を取るため、強度差ΔRSSIは、ハイレベル閾値以下(主としてローレベル閾値以下)の領域で推移する。離脱過程として、ユーザがドアを開けて車室外に出てドアを閉めると、一転して車室外強度代表値のほうが車室内強度代表値よりも大きくなり、強度差ΔRSSIはハイレベル閾値以上となる。位置判定部F6はこのような強度差ΔRSSIの挙動に基づいて携帯端末20は車室内から車室外に持ち出されたことを検出する。なお、ユーザが車両Vから離れるにつれて車室外用モジュール160での携帯端末20のRSSIは小さくなっていくため、強度差ΔRSSIは0に収束していく。ただし、上記の判定アルゴリズムによれば強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下となるまでは携帯端末20は車室外に存在するという判定結果が維持される。
また、エントリー過程においては、ユーザが車両に近づくにつれて車室外用モジュール160での携帯端末20のRSSIが大きくなっていくため、強度差ΔRSSIは0付近から徐々に大きくなっていく。その際、強度差ΔRSSIはハイレベル閾値以上となりうる。そして、ユーザがドアを開けて車両Vに乗り込みドアを閉めると、一転して車室外強度代表値よりも車室内強度代表値のほうが大きくなり、強度差ΔRSSIはローレベル閾値以下となる。位置判定部F6はこのような強度差ΔRSSIの挙動に基づいて携帯端末20は車室外から車室内に持ち込まれたことを検出する。
このような態様によれば、強度差ΔRSSIがマルチパスの影響で一時的に低下しても、ハイレベル閾値以上とならなければ、携帯端末20は車室内に存在するという判定結果が維持される。また、いったん車室外に存在すると判定した以降においては強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下とならなければ携帯端末20は車室外に存在するという判定結果が維持される。故に、車室内平均強度から車室外平均強度を減算した値を強度差ΔRSSIとして採用する態様と同様の効果を奏する。
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態に係る位置判定システム1について、図を用いて説明する。先に説明した第2実施形態と本実施形態との主たる相違点は、車載システム10が車室内用モジュール150及び車室外用モジュール160をそれぞれ複数備えている点である。以降では、第3実施形態における位置判定システム1のうち、主として車載システム10の構成及び作動について説明する。なお、前述の第1実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した種々の実施形態の構成を適用することができる。
本実施形態における車載システム10は、図16に示すように、複数の車室内用モジュール150と、複数の車室外用モジュール160とを備える。図12においてエンジンECU200等の図示は省略している。各近距離通信モジュールは、基本的には、同じ構成、機能を有するものを採用することができる。ここでは一例として各近距離通信モジュールは、図3に示す構成を有しているものとする。
本実施形態では一例として、車載システム10は、車室内用モジュール150として、図17に示すように、前部座席用モジュール150A、及び、後部座席用モジュール150Bを備える。前部座席用モジュール150Aは、主として前部座席空間を通信エリアにするための車室内用モジュール150である。前部座席用モジュール150Aは、例えば第1実施形態の車室内用モジュール150と同様に、センターコンソール2付近に配置されている。
後部座席用モジュール150Bは、主として後部座席周辺の車室内空間(以降、後部座席空間)を通信エリアにするための車室内用モジュール150である。後部座席用モジュール150Bは、例えば後部座席の車幅方向中央部において着座面に埋設されている。もちろん、前部座席用モジュール150Aや後部座席用モジュール150Bの設置位置は、適宜設計されればよく、上述した態様に限らない。また、車載システム10は、車室内用モジュール150を3つ以上備えていても良い。各車室内用モジュール150は、認証ECU100と相互通信可能に接続されている。
また、車載システム10は、車室外用モジュール160として図17及び図18に示すように、右側第1モジュール160A、右側第2モジュール160B、右側第3モジュール160C、左側第1モジュール160D、左側第2モジュール160E、左側第3モジュール160F、及び、後端部用モジュール160Gとを備える。
右側第1モジュール160Aは、車両右側の側面部のうち、前部座席用のドアよりも前端部側に配置されている車室外用モジュール160である。本実施形態では一例として右側第1モジュール160Aは、右側前輪付近に配置されているものとする。
右側第2モジュール160Bは、車両右側の側面部のうち、車両前後方向中央部付近に配置されている車室外用モジュール160である。本実施形態では一例として前部座席用のドアの外側側面部に配置されているものとする。なお、他の態様として右側第2モジュール160Bは、右側前部座席用のドアハンドル内部や、後部座席用のドアの外側の側面部、右側後部座席用のドアハンドル内部に配置されていてもよい。また、ドア下のロッカー部分や、屋根部の右側縁部に配置されていてもよい。
右側第3モジュール160Cは、車両右側の側面部のうち、後部座席用のドアよりも後端部側に配置されている車室外用モジュール160である。本実施形態では一例として右側第3モジュール160Cは、右側後輪付近に配置されているものとする。車両Vの右側面に配置されている複数の車室外用モジュールのうち、最も前側に位置するものと、最も後ろ側に位置するものとは、車両前後方向において1m以上離れた位置に配置されていることが好ましい。なお、本実施形態において、車両Vの右側面に配置されている複数の車室外用モジュールのうち、最も前側に位置するものとは右側第1モジュール160Aであり、最も後ろ側に位置するものとは右側第3モジュール160Cである。ここでは一例として右側第1モジュール160Aと右側第3モジュール160Cとの距離Dは3m程度に設定されている。距離Dは2mや1.5mなどであってもよい。
左側第1モジュール160D、左側第2モジュール160E、及び左側第3モジュール160Fは、既に説明した右側第1モジュール160A、右側第2モジュール160B、及び右側第3モジュール160Cのそれぞれと対をなす車室外用モジュール160である。左側第1モジュール160Dは、車両Vの左側の側面部において、右側第1モジュール160Aと反対側となる位置に配置されている。左側第2モジュール160E及び左側第3モジュール160Fについても同様に、車両Vの左側の側面部において、右側第2モジュール160B、右側第3モジュール160Cと反対側となる位置に配置されていれば良い。例えば左側第2モジュール160Eは、左側前部座席用のドアハンドル内部や、右側後部座席用のドアハンドル内部、ドア下のロッカー部分、屋根部の右側縁部など、右側第2モジュール160Bの搭載位置に対応する場所に配置される。後端部用モジュール160Gは、車両後端部の車幅方向中央部付近に配置されている車室外用モジュール160である。例えば後端部用モジュール160Gは、トランク用のドアハンドル付近に配置されていればよい。
もちろん、各車室外用モジュールの設置位置は、適宜設計されればよく、上述した態様に限らない。また、車載システム10が備える車室外用モジュール160の数は、5個以下であっても良いし、8個以上であってもよい。各車室外用モジュール160は、認証ECU100と相互通信可能に接続されている。
本実施形態におけるRSSI取得部F4は、複数の近距離通信モジュールのそれぞれからRSSIデータを取得するとともに、取得したRSSIデータを、取得元毎に区別してRSSI記憶部M1に保存する。
また、位置判定部F6は、各近距離通信モジュールで取得されているRSSIに基づいて、近距離通信モジュール毎のRSSIの移動平均値(つまり平均強度)を算出し、近距離通信モジュール毎の平均強度に基づいて、携帯端末20の位置を判定する。この位置判定部F6の作動の詳細については別途後述する。
次に、図19に示すフローチャートを用いて、第3実施形態の認証ECU100が実施する位置判定処理について説明する。図19に示すフローチャートは、図8に示すフローチャート同様に、所定のサンプリング間隔で実施されれば良い。
まず、ステップS301ではRSSI取得部F4が、複数の近距離通信モジュールのそれぞれからRSSIデータを取得してステップS302に移る。ステップS302ではRSSI取得部F4が、ステップS312での処理の結果、登録IDと対応付けられているRSSIデータを取得できたか否かを判定する。
ステップS301の処理の結果、複数の近距離通信モジュールの少なくとも何れか1つで、登録IDと対応付けられているRSSI(つまり携帯端末20のRSSI)を取得できている場合には、ステップS302が肯定判定されてステップS303に移る。一方、何れの近距離通信モジュールにおいても、登録IDと対応付けられているRSSIを取得できなかった場合には、ステップS302が否定判定されて本フローを終了する。
なお、本実施形態では一例として、複数の近距離通信モジュールの少なくとも何れか1つで携帯端末20からの信号を受信できている場合には、ステップS303等の後続する処理を実施するものとするが、これに限らない。車室内用モジュール150と車室外用モジュール160の両方で携帯端末20のRSSIを取得できていない場合には、ステップS302が否定判定されて本フローを終了させても良い。
ステップS303ではRSSI取得部F4が、ステップS301で取得した携帯端末20のRSSIをRSSI記憶部M1に保存してステップS304に移る。なお、携帯端末20からの信号を受信できていない近距離通信モジュールでの最新のRSSIについては、実際の観測値の代わりに、RSSI検出部1421が出力可能なRSSIの範囲の下限値(換言すれば最小値)を登録するものとする。このような構成によれば、複数の近距離通信モジュールの少なくとも何れか1つが携帯端末20からの信号を受信できている場合には、携帯端末20の位置を判定することができる。
ステップS304では位置判定部F6が、RSSI記憶部M1に保存されている各近距離通信モジュールと対応付けられているRSSIに基づいて、各近距離通信モジュールでの平均強度を算出する。近距離通信モジュール毎の平均強度の算出方法は前述の通りである。ステップS304での算出処理が完了するとステップS305に移る。
ステップS305では位置判定部F6が、車室内用モジュール150毎の平均強度に基づいて、車室内用モジュール150に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値(以降、車室内強度代表値)を算出する。具体的には、前部座席用モジュール150Aでの平均強度と、後部座席用モジュール150Bでの平均強度とを比較して高い方の平均強度を車室内強度代表値として採用する。なお、他の態様として、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の平均値であってもよい。また、車載システム10が3つ以上の車室内用モジュール150を備えている場合、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の中央値であってもよい。その他、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の最小値であってもよい。
また、ステップS305において位置判定部F6は、車室外用モジュール160毎の平均強度に基づいて、車室外用モジュール160に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値(以降、車室外強度代表値)を算出する。ここでは一例として、車室外用モジュール160毎の平均強度の中で最も大きい値(つまり最大値)を、車室外強度代表値として採用する。
なお、他の態様として、車室外強度代表値は、車室外用モジュール160毎の平均強度の平均値であってもよい。また、本実施形態のように車載システム10が3つ以上の車室外用モジュール160を備えている場合、車室外強度代表値は、車室外用モジュール160毎の平均強度の中央値であってもよい。その他、車室外強度代表値は、車室外用モジュール160毎の平均強度の最小値であってもよい。
なお、車室内強度代表値と車室外強度代表値とは、同じ基本統計量を用いて決定されるものとする。例えば、車室内強度代表値を車室内用モジュール150毎の平均強度の平均値とする場合には、それに合わせて、車室外強度代表値は車室外用モジュール160毎の平均強度の平均値とするものとする。車室内強度代表値及び車室外強度代表値の算出処理が完了するとステップS306に移る。
ステップS306では位置判定部F6が、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値を算出してステップS307に移る。なお、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値は、車室内用モジュール150での受信強度と、車室外用モジュール160での受信強度の差を表すパラメータとして機能する。そのため、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値のことを以降では、強度差ΔRSSIと記載する。
ステップS307では位置判定部F6が、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出す。前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合、ステップS308が肯定判定されてステップS309に移る。一方、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合、ステップS308は否定判定されてステップS313に移る。
ステップS309では位置判定部F6が、ステップS306で算出されている強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定する。ここで用いられるハイレベル閾値は第2実施形態で用いられるハイレベル閾値と同様の技術的思想に基づいて設定されている。
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合にはステップS309が肯定判定されてステップS310に移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室内であるという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS311に移る。ステップS311では次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS309において、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合にはステップS312に移る。ステップS312では携帯端末20は車室外に存在すると判定して本フローを終了する。この場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更されない。
ステップS313では位置判定部F6が、ステップS306で算出されている強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定する。ここで用いられるローレベル閾値は第2実施形態で用いられるローレベル閾値と同様の技術的思想に基づいて設定されている。
強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合にはステップS313が肯定判定されてステップS314に移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室外に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS315に移る。
一方、ステップS313において、強度差ΔRSSIがローレベル閾値を超過している場合にはステップS316に移る。ステップS316では、携帯端末20は車室内に存在すると判定して本フローを終了する。この場合次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更されず、ローレベル閾値に設定されたままとなる。なお、図19では省略しているが、ステップS311や、ステップS312、ステップS315、ステップS316の後続処理として、前述の第1実施形態と同様に、認証処理等を実施してもよい。
<第3実施形態の効果>
上述した構成によっても第2実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態によれば、第2実施形態が奏する効果に加えて下記の効果も奏する。
上述した第3実施形態では、車室内に設けられた近距離通信モジュールでの受信強度の代表値(つまり車室内強度代表値)と、車室外に設けられた近距離通信モジュールでの受信強度の代表値(つまり車室外強度代表値)との差を強度差ΔRSSIとして採用する。このような構成によれば、ユーザの携帯端末20の所持形態によって誤判定が生じる恐れを低減することができる。
ここで、図20及び図21を用いてユーザの携帯端末20の所持形態がRSSIに与える影響について説明する。図20は、ユーザが、ズボンの後ろ側に設けられたポケットに携帯端末20を収容した状態で車両Vに体の正面部を向けている時の、携帯端末20から送信される信号の強度の分布をシミュレーションした図を表している。また、図21は、ユーザが、携帯端末20をジャケットの胸ポケットに収容した状態で車両Vに体の正面部を向けている時の、携帯端末20から送信される信号の強度の分布をシミュレーションした図を表している。
図20、図21を比較すれば分かるように、携帯端末20から送信された信号は人体によって大きく減衰されてしまうため、相対的にユーザから近い位置に存在する近距離通信モジュールでのRSSIは、ユーザの携帯端末20の所持携帯に応じて大きく変動する。例えば、具体的には、図20、図21に示すようにユーザの正面に位置する右側第2モジュール160BでのRSSIは、ユーザの背中側に位置する所持形態で携帯されているか否かによって大きく変動する。一方、ユーザから相対的に離れた位置に存在する右側第3モジュール160CでのRSSIの変動量は、右側第2モジュール160BでのRSSIの変動量ほど大きくない。
このような傾向を鑑みると、複数の車室外用モジュール毎の平均強度を母集団として、強度差ΔRSSIを算出する上で用いる車室外強度代表値を決定することで、ユーザの携帯端末20の所持形態が強度差ΔRSSIに与える影響を抑制することができる。その結果、第2実施形態に比べて、より精度良く携帯端末20の位置を判定することができる。
特に、本実施形態のように、車両Vの側面部において、複数の車室外用モジュール160を車両前後方向に2m以上に渡って分散して配置することにより、複数の車室外用モジュール160の何れかは、ユーザの人体の影響を受けずに携帯端末20からの信号を受信することが期待できる。故に、車両Vの側面部において、複数の車室外用モジュール160を車両前後方向に2m以上に渡って分散して配置することにより、携帯端末20が車室内に存在するか否かの判定精度をより一層高めることができる。
なお、車両Vの側面部において複数の車室外用モジュール160を車両前後方向に2m以上に渡って分散して配置する構成は、側面視において車室外用モジュール160をドア付近に存在するユーザを挟み込むように配置した構成に相当する。その他、上記構成によれば、複数の車室内用モジュール150や、複数の車室外用モジュール160を用いて強度差ΔRSSIを決定するため、マルチパスの影響も抑制できる。
ところで、第3実施形態の位置判定部F6は、その応用例として、携帯端末20は車室外に存在していると判定している場合、車室外強度代表値に基づいて携帯端末20が所定の施開錠エリア内に存在するか否かを判定しても良い。具体的には、車室外強度代表値が所定の閾値以上となっている場合に、携帯端末20が施開錠エリア内に存在すると判定する一方、車室外強度代表値が所定の閾値未満となっている場合に、携帯端末20は施開錠エリア内には存在しないと判定する。施開錠エリアは、第2実施形態の応用例として上述したエリアである。
位置判定部F6が、携帯端末20が施開錠エリア内に存在する場合のみ施開錠状態を制御する処理を実施する場合において、仮に車室外用モジュール160が1つだけの場合には、図20を用いて説明したように人体の影響によって、実際には携帯端末20が施開錠エリア内に存在するにも関わらず、携帯端末20は施開錠エリア外に存在すると判定される場合がある。
そのような課題に対し、複数の車室外用モジュール160を車両前後方向に2m以上に渡って分散して配置することによって、人体の影響による誤判定が生じる恐れを低減することができる。複数の車室外用モジュール160の何れかは、人体の影響を受けずに携帯端末20からの信号を受信でき、その結果、車室外強度代表値が、携帯端末20が施開錠エリア内に存在すると判定するための閾値以上となることが期待できるためである。
なお、以上では、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値を強度差ΔRSSIとして採用する態様を開示したが、これに限らない。車室外強度代表値から車室内強度代表値を減算した値を強度差ΔRSSIとして採用し、当該強度差ΔRSSIを用いて携帯端末20の位置を判定してもよい。
その場合、認証ECU100は図22に例示する手順で位置判定処理を実行すればよい。図22は、車室外強度代表値から車室内強度代表値を減算してなる強度差ΔRSSIを用いて携帯端末20の位置を推定する場合の位置判定処理についてのフローチャートである。図22に示すフローチャートは、図19に示すフローチャートと同様に、所定のサンプリング間隔で実施されれば良い。図22に示すステップS301a〜S305aの処理は、前述のステップS301〜S305の処理と同様である。
ステップS306aでは位置判定部F6が、強度差ΔRSSIとして、車室外強度代表値から車室内強度代表値を減算した値を算出してステップS307aに移る。ステップS307aでは位置判定部F6が、位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を読み出す。前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室内であると判定されている場合、ステップS308aが肯定判定されてステップS309aに移る。一方、前回の位置判定処理において携帯端末20の位置は車室外であると判定されている場合、ステップS308aは否定判定されてステップS313aに移る。
ステップS309aでは位置判定部F6が、ステップS306aで算出されている強度差ΔRSSIとハイレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上であるか否かを判定する。ここで用いられるハイレベル閾値は+5dBなど、ローレベル閾値よりも大きい範囲において適宜設計されればよい。
強度差ΔRSSIがハイレベル閾値以上である場合にはステップS309aが肯定判定されてステップS310aに移り、携帯端末20は車室外に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室外であるという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS311aに移る。ステップS311aでは次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をローレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS309aにおいて、強度差ΔRSSIがハイレベル閾値未満である場合にはステップS312aに移る。ステップS312aでは携帯端末20は車室内に存在すると判定して本フローを終了する。この場合、次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更されない。
ステップS313aでは位置判定部F6が、ステップS306aで算出されている強度差ΔRSSIとローレベル閾値とを比較して、強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下であるか否かを判定する。ここで用いられるローレベル閾値は−5dBなど、ハイレベル閾値よりも小さい範囲において、ハイレベル閾値とローレベル閾値とのギャップが所定の値(例えば5dB)以上となるように適宜設計されればよい。
強度差ΔRSSIがローレベル閾値以下である場合にはステップS313aが肯定判定されてステップS314aに移り、携帯端末20は車室内に存在すると判定する。そして、携帯端末20の位置は車室内に存在しているという判定結果を位置記憶部M2に保存してステップS315aに移る。ステップS315aでは次回の位置判定処理で用いる判定用閾値をハイレベル閾値に設定して本フローを終了する。
一方、ステップS313aにおいて、強度差ΔRSSIがローレベル閾値を超過している場合にはステップS316aに移る。ステップS316aでは、携帯端末20は車室外に存在すると判定して本フローを終了する。この場合次回の位置判定処理で用いる判定用閾値の設定は変更されず、ローレベル閾値に設定されたままとなる。このような態様によっても、車室内強度代表値から車室外強度代表値を減算した値を強度差ΔRSSIとして採用する態様と同様の効果を奏する。
[第4実施形態]
上述した第1実施形態では1つの車室内用モジュール150での受信強度を用いて、携帯端末20が車室内に存在するのか否かを判定する態様を開示したが、これに限らない。第1実施形態に対して第3実施形態で言及している車室内強度代表値の概念を導入し、車室内強度代表値によって携帯端末20が車室内に存在するのか車室外に存在するのかを判定してもよい。便宜上、そのような実施の形態を第4実施形態と称する。
第4実施形態の車載システム10は、車室内用モジュール150として図23に示すように、運転席用モジュール150D、助手席用モジュール150P、第1後部座席用モジュール150Q、及び、第2後部座席用モジュール150Rを備える。運転席用モジュール150D、助手席用モジュール150P、第1後部座席用モジュール150Q、及び第2後部座席用モジュール150Rのそれぞれが備えるアンテナ141は、限定的な通信エリアを形成するために指向性アンテナとすることができる。
運転席用モジュール150Dは、運転席エリアを通信エリアとする車室内用モジュール150である。運転席エリアは、運転席に着座している乗員が使用するエリア(実態としては空間)である。運転席エリアは前述の前部座席空間の一部に相当する。運転席エリアは、例えば、センターコンソール2から運転席側であって、かつ、運転席の背もたれ部よりも前側の空間とすればよい。運転席の背もたれ部の位置としては、様々な体格の人物の平均的なシートポジションに基づいて予め設計された位置を適用することができる。また、インストゥルメントパネル3の上方やセンターコンソール2部分も運転席エリアに含めることができる。
運転席用モジュール150Dは、車室内の天井部分において運転席の上方に該当する領域に、アンテナ141の指向性の中心が運転席(主としてその着座面)に向いた姿勢で配置されている。なお、運転席用モジュール150Dの搭載位置はこれに限らない。運転席用ドアの車室内側の側面部分や、運転席の足元、センターコンソール2、インストゥルメントパネル3において運転席と対向する部分などに配置されていてもよい。運転席の内部に埋没されていても良い。
助手席用モジュール150Pは、助手席エリアを通信エリアとする車室内用モジュール150である。助手席エリアは、助手席に着座している乗員が使用するエリア(換言すれば空間)である。助手席エリアは概略的には助手席周辺に設定される。助手席エリアは前部座席空間から運転席エリアを除外した残りのエリアとすることができる。助手席エリアは、例えば、センターコンソール2から助手席側であって、かつ、助手席の背もたれ部よりも前側の空間とすればよい。
例えば助手席用モジュール150Pは、車室内の天井部分において助手席の上方に該当する領域に、アンテナ141の指向性の中心が助手席(主としてその着座面)に向いた姿勢で配置されている。なお、助手席用モジュール150Pの搭載位置はこれに限らない。助手席用ドアの車室内側の側面部分や、助手席の足元、センターコンソール2、インストゥルメントパネル3において助手席と対向する領域などに配置されていてもよい。助手席の内部に埋没されていても良い。なお、センターコンソール2の代わりに、車両を車幅方向に(換言すれば右半分と左半分に)2等分する線を、運転席エリアと助手席エリアの境界として採用しても良い。
第1後部座席用モジュール150Qは、後部座席空間のうち、助手席の後ろに該当する領域(以降、第1後部座席エリア)を通信エリアとする車室内用モジュール150である。第1後部座席用モジュール150Qは、例えば車室内の天井部分において、アンテナ141の指向性の中心が第1後部座席エリアに向いた姿勢で配置されていればよい。なお、第1後部座席用モジュール150Qの搭載位置はこれに限らない。助手席の背もたれ部の後部座席側の側面部分や、後部座席の足元などに配置されていてもよい。後部座席の内部に埋没されていても良い。
第2後部座席用モジュール150Rは、後部座席空間のうち、運転席の後ろに該当する領域(以降、第2後部座席エリア)を通信エリアとする車室内用モジュール150である。第2後部座席用モジュール150Rも、第1後部座席用モジュール150Qと同様に車室内において適宜設計される位置に配置されれば良い。なお、運転席用モジュール150D及び助手席用モジュール150Pは、前述の前部座席用モジュール150Aに相当する。また、第1後部座席用モジュール150Q及び第2後部座席用モジュール150Rは、前述の後部座席用モジュール150Bに相当する。
本実施形態の認証ECU100のRSSI取得部F4は、各車室内用モジュール150での受信強度(つまりRSSIデータ)を逐次取得する。また、位置判定部F6は、各車室内用モジュール150での平均強度に基づいて、車室内用モジュール150に該当する近距離通信モジュールでのRSSIの代表値(以降、車室内強度代表値)を算出する。具体的には、運転席用モジュール150D、助手席用モジュール150P、第1後部座席用モジュール150Q、及び、第2後部座席用モジュール150Rのそれぞれでの平均強度の中で最も大きい値を、車室内強度代表値として採用する。
もちろん、他の態様として、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の平均値としてもよいし、車室内用モジュール150毎の平均強度の中央値であってもよい。その他、車室内強度代表値は、車室内用モジュール150毎の平均強度の最小値であってもよい。
そして、位置判定部F6は、図8のフローチャートを構成するステップS106〜S114と同様の判定ロジックによって、携帯端末20が車室内に存在するか車室外に存在するかを判定する。すなわち、携帯端末20は車室外に存在すると判定している状態において、車室内強度代表値がハイレベル閾値以上となった場合には携帯端末20は車室内に存在すると判定する。一方、携帯端末20は車室内に存在すると判定している状態において、車室内強度代表値がローレベル閾値以下となった場合には携帯端末20は車室外に存在すると判定する。
上記の構成では、複数の車室内用モジュール150でのRSSIを組み合わせてなる車室内強度代表値を用いて判定を行うことにより、携帯端末20が車室内に存在するのか否かの判定をより一層精度良く実施することができる。なお、以上では4つの車室内用モジュール150を備える態様を開示したが、車室内強度代表値を算出するために使用する車室内用モジュール150の数は4つに限らない。2個や、3個でも良いし、5個以上でも良い。
[変形例1]
上述した種々の実施形態では移動平均値の概念(つまり平均強度)を用いることによって、RSSIの時変動成分を抑制して、携帯端末20の位置を判定する態様を開示したが、これに限らない。移動平均値ではなく、検出値をそのまま用いて携帯端末20の位置を判定してもよい。当該変形例1は上述した第1〜第4実施形態に限らず、後述する第5実施形態など、種々の実施形態や変形例に適用可能である。
[変形例2]
以上では、近距離通信に用いられる電波として、2.4GHz帯の電波を想定して説明したが、これに限らない。近距離通信は、その他の周波数帯の電波を用いて実現されても良い。
ところで、周波数が低い電波ほど(換言すれば波長が長い電波)ほど、物体を回り込んで伝搬する性質を有する。つまり、RSSIに対する人体の影響が顕著に表れる周波数とは、人体を回り込めないほど高い周波数である。また、マルチパスの影響が顕著に表れる電波とは、車両Vのサイズに対し十分長くない波長を提供する周波数を用いて実現される電波である。車両Vのサイズに対し十分長くない波長とは、例えば車体の前後方向の長さを10倍した長さ(以降、車両拡張長)よりも短い波長である。仮に車両Vのサイズを5mと想定する場合には、車両Vのサイズに対し十分長くない波長とは、50m以下の波長である。そのような波長を有する電波であれば、電波が遠方界として作用するため、マルチパスの影響が顕著に表れる。換言すれば、車両Vのサイズに対し十分長くない波長とは、車両周辺において近傍界モードで動作しない波長に相当する。
なお、波長が50mとなる周波数とは、約6MHzである。故に車両Vのサイズに対し十分長くない波長を提供する周波数とは6MHzよりも高い周波数である。したがって、上述した種々の実施形態は、近距離通信が6MHzよりも高い周波数の電波を用いて実施される場合により有用性が高まる。なお、車両拡張長は、車体の前後方向の長さよりも十分に長い値であればよく、その倍率(以降、拡張倍率)は10倍に限らない。拡張倍率は5倍以上の範囲で適宜設計されればよい。当該変形例2もまた上述した第1〜第4実施形態に限らず、後述する第5実施形態など、種々の実施形態に適用可能である。
[変形例3]
上述した種々の実施形態では、ハイレベル閾値とローレベル閾値の2つの判定用閾値を用いて携帯端末20が車室内に存在するのか否かを判定する位置判定システム1を例示したが、位置判定システム1の判定対象とするエリア(以降、対象エリア)の設定態様はこれに限らない。
例えば、位置判定システム1は、施開錠エリアLx内に携帯端末20が存在するか否かを、ハイレベル閾値とローレベル閾値の2つの判定用閾値を用いて判定するものであってもよい。つまり、対象エリアは施開錠エリアLxであってもよい。
施開錠エリアLxは、車両制御部F7が車両Vに設けられているドアの施開錠状態を制御する処理を実行するための条件として設定されているエリアである。車両制御部F7は、携帯端末20が当該施開錠エリアLxに存在すること、及び、携帯端末20の認証が成功していることに基づいて、ドアの施開錠状態を制御する処理を実行する。
施開錠エリアは、車室外のうち、車両Vに設けられた種々のドアから数メートル以内となるエリアに設定される。ここでのドアとは、運転席用のドアや、助手席用のドアに限らず、トランクドアなども含まれうる。
施開錠エリアLxは図24に示すように、車室外において互いに重ならないように複数設定されていてもよい。換言すれば、車両Vには複数のドアのそれぞれに対応するように複数の施開錠エリアLxが設定されていても良い。図24は、施開錠エリアを概念的に表した図であって、図24中のドットパターンのハッチングを施している部分が、施開錠エリアを概念的に表している。
図24に示す施開錠エリアL1は、運転席用のドアの施開錠状態を制御するための施開錠エリアLx(以降、第1施開錠エリア)を表しており、施開錠エリアL2は助手席用のドアの施開錠状態を制御するための施開錠エリアLx(以降、第2施開錠エリア)を表している。施開錠エリアL3はトランクドアの施開錠状態を制御するための施開錠エリアLx(以降、第3施開錠エリア)を表している。第1施開錠エリアL1は運転席用ドア付近に設定されており、第2施開錠エリアL2は助手席用ドア付近に設定されている。第3施開錠エリアL3は、トランクドア付近に設定されている。なお、ドア付近とはドアハンドルから所定距離(例えば0.7mや1m、1.5m)以内となる領域である。
車載システム10は、1つの施開錠エリアLxに対応する車室外用モジュール160が少なくとも1つ存在するように構成されている。或る施開錠エリアLxに対応する車室外用モジュール160とは、当該施開錠エリアを通信エリアの中心に含む車室外用モジュール160である。通信エリアの中心とは通信品質(例えばRSSIや信号品質等)が所定のレベルとなる領域であって、車室外用モジュール160からの距離が数メートル以内となる領域である。
なお、無指向性のアンテナ141では、所望の施開錠エリアL1を形成することが困難となることが予見される。そのため、施開錠エリアLxなど車室外の所定領域を対象エリアに設定する場合、車室外用モジュール160は、指向性アンテナを用いて実現することが好ましい。
本変形例3では第1施開錠エリアL1、第2施開錠エリアL2、及び第3施開錠エリアL3が車両Vに設定されているものとする。また、車載システム10は、各施開錠エリアLxに対応する車室外用モジュール160として、第1車室外用モジュール160L、第2車室外用モジュール160M、及び第3車室外用モジュール160Nを備えている。
第1車室外用モジュール160Lは、第1施開錠エリアL1を通信エリアに含むように配置された車室外用モジュール160である。つまり、第1車室外用モジュール160Lは、第1施開錠エリアL1に対応する車室外用モジュール160である。本変形例3のように運転席が車両右側に配置されている場合、前述の右側第2モジュール160Bを第1車室外用モジュール160Lとして利用することができる。なお、第1車室外用モジュール160Lは、車室外において第1施開錠エリアL1に設定されている領域を通信エリアに含むように配置されていればよく、例えば、車両右側のAピラーやBピラーに配置する事ができる。また、第1車室外用モジュール160Lが備えるアンテナ141を指向性アンテナとする場合には、指向性の中心が運転席用ドアの窓部に向いた姿勢で車室内の天井部分の窓部近傍に配置されていても良い。第1車室外用モジュール160Lが右側受信部に相当する。
第2車室外用モジュール160Mは、第2施開錠エリアL2を通信エリアに含むように配置された車室外用モジュール160である。つまり、第2車室外用モジュール160Mは、第2施開錠エリアL2に対応する車室外用モジュール160である。本変形例3のように運転席が車両右側に配置されている場合、前述の左側第2モジュール160Eを第2車室外用モジュール160Mとして利用することができる。なお、第2車室外用モジュール160Mは、車室外において第2施開錠エリアL2に設定されている領域を通信エリアに含むように配置されていればよく、例えば、車両左側のAピラーやBピラーに配置する事ができる。また、第2車室外用モジュール160Mが備えるアンテナ141を指向性アンテナとする場合には、指向性の中心が助手席用ドアの窓部に向いた姿勢で車室内の天井部分の窓部近傍に配置されていても良い。第2車室外用モジュール160Mが左側受信部に相当する。
第3車室外用モジュール160Nは、第3施開錠エリアL3を通信エリアに含むように配置された車室外用モジュール160である。つまり、第3車室外用モジュール160Nは、第3施開錠エリアL3に対応する車室外用モジュール160である。第3車室外用モジュール160Nは、前述の後端部用モジュール160Gに相当する。
上記の構成において位置判定部F6は、複数の施開錠エリアLxのそれぞれを対象として、前述の第1実施形態等と同様の位置判定処理を実施する。例えば位置判定部F6は第1車室外用モジュール160LでのRSSIを用いて、携帯端末20が第1施開錠エリアL1内に存在するのか否かを判定する。
具体的には、位置判定部F6は、携帯端末20は第1施開錠エリアL1外に存在すると判定している状態において、第1車室外用モジュール160Lによって検出されているRSSIが所定のハイレベル閾値以上となった場合には携帯端末20は第1施開錠エリアL1内に存在すると判定する。また、携帯端末20は第1施開錠エリアL1内に存在すると判定している状態において、第1車室外用モジュール160Lによって検出されているRSSIがローレベル閾値以下となった場合には携帯端末20は第1施開錠エリアL1外に存在すると判定する。もちろん、RSSIの代わりに平均強度を用いて判定を行っても良い。
携帯端末20が第2施開錠エリアL2に存在するのか否かは、第2施開錠エリアL2に対応する車室外用モジュール160である第2車室外用モジュール160MでのRSSIを用いて判定することができる。携帯端末20が第3施開錠エリアL3に存在するのか否かは、第3施開錠エリアL3に対応する車室外用モジュール160である第3車室外用モジュール160NでのRSSIを用いて判定することができる。
上記の構成によれば位置判定部F6は、携帯端末20が、第1施開錠エリアL1、第2施開錠エリアL2、第3施開錠エリアL3、及びその他のエリアのいずれに存在するのかを特定することができる。その他のエリアとは、第1施開錠エリアL1、第2施開錠エリアL2、及び第3施開錠エリアL3の何れにも該当しない領域である。また、車両制御部F7は、位置判定部F6が携帯端末20は第1施開錠エリアL1内に存在すると判定しており、且つ、携帯端末20の認証が成功している場合には、ドアハンドルに対する所定のユーザ操作に基づいて運転席用ドアを施錠又は開錠する車両制御を実施する。
また、複数の携帯端末20が車載システム10に登録されている場合であって、かつ、複数の携帯端末20からのRSSIを取得できている場合には、位置判定部F6は各携帯端末20のRSSIに基づいて、携帯端末20毎の存在エリアを特定すればよい。例えばユーザAの携帯端末20Aと、ユーザBの携帯端末20Bが車載システム10に登録されている構成において、図25に示すように携帯端末20Aが第1施開錠エリアL1内に存在し、且つ、携帯端末20Bが第2施開錠エリアL2内に存在する場合には、運転席用ドアと助手席用ドアの両方を施錠又は開錠する車両制御を実施する。そのような態様によれば1つの車両Vを複数のユーザで共用する場合における利便性を向上することができる。また、各座席に着座するユーザを携帯端末20の端末IDから特定することができるため、ユーザに応じたサービスの提供を実施することができる。ユーザに応じたサービスとは、例えば、シートポジションの自動調整や、空調の温度及び風量の調整などである。
なお、1つの携帯端末20が複数の施開錠エリアLxに存在する判定した場合、つまり、判定結果に競合が生じた場合には、第5実施形態として別途後述する判定アルゴリズムを用いて携帯端末20の位置を特定すれば良い。
さらに、本変形例3に対して第4実施形態に開示の概念を適用し、1つの施開錠エリアLxに対応する車室外用モジュール160が複数配置されていても良い。例えば図26に示すように第1施開錠エリアL1に対応する車室外用モジュール160が複数配置されていても良い。そのような構成は換言すれば第1車室外用モジュール160Lを複数設けた構成に相当する。図26に示すように複数の第1車室外用モジュール160Lが存在する場合、位置判定部F6は複数の第1車室外用モジュール160LでのRSSIに基づいて代表値(例えば平均値や最大値)を算出し、当該代表値とハイレベル閾値、ローレベル閾値との比較によって携帯端末20が第1施開錠エリアL1に存在するか否かを判定する。このような態様によれば、第3実施形態や第4実施形態と同様に、ユーザによる携帯端末20の所持態様に起因して携帯端末20の位置を誤判定する恐れを低減することができる。
[変形例4]
また、位置判定システム1は、所定のウェルカム処理を実行するエリア(以降、ウェルカムエリア)Wx内に携帯端末20が存在するか否かをハイレベル閾値とローレベル閾値の2つの判定用閾値を用いて判定するものであっても良い。つまり、位置判定システム1の判定対象とするエリアである対象エリアは、ウェルカムエリアWxであっても良い。
ウェルカム処理は、ユーザの接近を検知した場合に、車室内/外の照明を点灯させたり、空調装置を作動させたりする処理である。ウェルカムエリアWxは、例えば車両Vから5m以内となるエリアである。ウェルカムエリアWxは前述の施開錠エリアLxを含むように設定されることが好ましい。
図27はウェルカムエリアWxを概念的に表した図である。図27中のドットパターンのハッチングを施している部分が、ウェルカムエリアWxを概念的に表している。なお、図27において一点鎖線で囲まれる領域は、車載システム10と携帯端末20とが近距離通信可能な範囲を概念的に表している。
車両VにウェルカムエリアWxが設定されている場合、車載システム10は、ウェルカムエリアWxを通信エリアに含む車室外用モジュール160を少なくとも1つ備える。ウェルカムエリアWxは複数の車室外用モジュール160を用いて形成されていても良い。ここでは一例としてウェルカムエリアWxは、1つの車室外用モジュール160Pを用いて形成されているものとする。車室外用モジュール160Pの搭載位置は適宜設計されればよい。例えば、車両Vの屋根部などとすることができる。
本変形例4の構成において位置判定部F6は、車室外用モジュール160PでのRSSIを用いて、携帯端末20がウェルカムエリアWx内に存在するのか否かを判定する。具体的には、位置判定部F6は、携帯端末20はウェルカムエリアWx外に存在すると判定している状態において、車室外用モジュール160Pによって検出されているRSSIが所定のハイレベル閾値以上となった場合には携帯端末20はウェルカムエリアWx内に存在すると判定する。
また、携帯端末20はウェルカムエリアWx内に存在すると判定している状態において、車室外用モジュール160PでのRSSIがローレベル閾値以下となった場合には携帯端末20はウェルカムエリアWx外に存在すると判定する。RSSIの代わりに平均強度を用いて判定を行っても良い。このようにハイレベル閾値とローレベル閾値といった2つの閾値を用いて携帯端末20の位置を判定する構成によれば、携帯端末20がウェルカムエリアWx内に存在するのか否かを精度よく判定することができる。
なお、ウェルカムエリアWxは複数の車室外用モジュール160を用いて形成されていても良い。例えば図27に示すように合計5個の車室外用モジュール160を用いて形成されていても良い。図27に示す車室外用モジュール160A、160B、160D、160E、及び160Gは何れも第3実施形態で言及した同符号の車室外用モジュール160に対応している。
右側第1モジュール160A及び右側第2モジュール160Bは、車両右側方を通信エリアとする車室外用モジュール160である。左側第1モジュール160D及び左側第2モジュール160Eは、車両左側方を通信エリアとする車室外用モジュール160である。後端部用モジュール160Gは、車両後方に通信エリアを形成する車室外用モジュール160である。
なお、ウェルカムエリアWxの形成に供される車室外用モジュール160の数は5個に限らず、2個や3個、7個などであっても良い。また、仮に車載システム10が図17に示す右側第3モジュール160Cや左側第3モジュール160Fを備える場合には、これらの車室外用モジュール160でのRSSIもまたウェルカムエリアWx内/外の判定に利用してもよい。
図27に示すようにウェルカムエリアWx内/外の判定に利用可能な車室外用モジュール160が複数存在する場合には、位置判定部F6は複数の車室外用モジュール160のそれぞれでのRSSIに基づいて車室外強度代表値を算出し、車室外強度代表値とハイレベル閾値、ローレベル閾値との比較によって携帯端末20がウェルカムエリアWx内に存在するか否かを判定する。このような態様によれば、ユーザによる携帯端末20の所持態様に起因して携帯端末20の位置を誤判定する恐れを低減することができる。なお、3以上の車室外用モジュール160を用いてウェルカムエリアWxを形成する態様においては、車室外強度代表値は、各車室外用モジュール160での最大値とすることが好ましい。ウェルカムエリアWxのうちのユーザが存在するサブエリアを特定することにより、例えばユーザが存在する側の照明の点灯など、ユーザが存在する方向に応じたウェルカム処理を実施することができる。
また、車室外のそれぞれ異なる領域を通信エリアとする複数の車室外用モジュール160を用いてウェルカムエリアWxを形成している構成においては、位置判定部F6は、携帯端末20がウェルカムエリアWx内に存在すると判定している場合、複数の車室外用モジュール160のそれぞれでのRSSIに基づいて、ウェルカムエリアWx内での携帯端末20の詳細位置を判定することができる。
例えば本変形例の位置判定部F6は、複数の車室外用モジュール160のそれぞれでのRSSIに基づいて、携帯端末20が車両右側に相当する右側エリアW1、車両左側に相当する左側エリアW2、及び車両後方に相当する後方エリアW3の何れに存在するのかを判定する。便宜上、右側エリアW1や左側エリアW2、後方エリアW3といった、ウェルカムエリアWxを分割してなる小区画をサブエリアと称する。図28はサブエリアを概念的に示した図である。
なお、各車室外用モジュール160は、その車室外用モジュール160が主たる通信エリアとする領域と対応するサブエリアと対応付けられている。例えば右側第1モジュール160A及び右側第2モジュール160Bは、車両右側方を通信エリアとする車室外用モジュール160であるため、右側エリアW1に対応する車室外用モジュール160として登録されている。左側第1モジュール160D及び左側第2モジュール160Eは、車両右側方を通信エリアとする車室外用モジュール160であるため、左側エリアW2に対応する車室外用モジュール160として登録されている。後端部用モジュール160Gは、車両後方を通信エリアとする車室外用モジュール160であるため、後方エリアW3に対応する車室外用モジュール160として登録されている。
上記設定において位置判定部F6は、携帯端末20がウェルカムエリアWx内に存在すると判定している場合、複数の車室外用モジュール160のうち、平均強度が1番大きい車室外用モジュール160である最大モジュールと、平均強度が2番目に大きい車室外用モジュール160である準最大モジュールとを特定する。そして、最大モジュールと準最大モジュールが同じサブエリアに該当する車室外用モジュール160である場合には、携帯端末20は当該サブエリアに存在すると判定する。
例えば最大モジュールと準最大モジュールの両方が右側エリアW1と対応付けられている車室外用モジュール160である場合には携帯端末20は右側エリアに存在すると判定する。このような態様は、換言すれば最大モジュールと準最大モジュールの両方が車両右側方を通信エリアとする車室外用モジュール160である場合に、携帯端末20が車両右側に存在すると判定する構成に相当する。
一方、最大モジュールと準最大モジュールが同じサブエリアに該当しない場合には、それらの差分を算出する。そして、その差分が所定の閾値以上である場合には、携帯端末20は最大モジュールに対応するサブエリアに存在すると判定すればよい。差分が所定の閾値未満である場合には、携帯端末20の詳細位置は不明とすればよい。或いは、差分が所定の閾値未満である場合には、携帯端末20がそれらのサブエリアの境界付近に存在するとみなし、携帯端末20が存在するエリアとして最大モジュールに対応するサブエリアと準最大モジュールに対応するサブエリアの両方を採用しても良い。なお、最大モジュールと準最大モジュールが同じサブエリアに該当しない場合とは、例えば最大モジュールが右側第2モジュール160Bであって、準最大モジュールが後端部用モジュール160Gである場合などである。以上では、携帯端末20が右側、左側、後方の何れに存在するのかを特定する態様を開示したがこれに限らない。携帯端末20が前方、後方のどちらに存在するのかを特定するように構成されていても良い。携帯端末20が左側、右側のどちらに存在するのかを特定するように構成されていても良い。
[第5実施形態]
変形例3では、位置判定部F6は、複数の施開錠エリアLxのそれぞれを対象として、前述の第1実施形態等と同様の位置判定処理を実施する態様を開示したが、携帯端末20の存在エリアを特定する方法はこれに限らない。ここでは携帯端末20の存在エリアを特定するための他の実施態様を、第5実施形態として開示する。
一例として本実施形態の車載システム10は、図24に示すように、対象エリアとしての施開錠エリアLxが車室外において互いに重ならないように複数設定されており、且つ、車室外用モジュール160が施開錠エリアLx毎に少なくとも1つずつ設けられている。すなわち、第1施開錠エリアL1が通信エリアの中心に位置するように配置されている第1車室外用モジュール160Lと、第2施開錠エリアL2が通信エリアの中心に位置するように配置されている第2車室外用モジュール160Mと、第3施開錠エリアL3が通信エリアの中心に位置するように配置されている第3車室外用モジュール160Nと、を備える。
なお、第1施開錠エリアL1は運転席ドア付近に設定されており、且つ、運転席が車両Vの右側に配置されているため、第1車室外用モジュール160Lは、車両Vの右側を通信エリアとする車室外用モジュール160に相当する。また、第2施開錠エリアL2は助手席ドア付近に設定されており、且つ、助手席が車両左側に配置されているため、第2車室外用モジュール160Mは、車両Vの左側を通信エリアとする車室外用モジュール160に相当する。
同様に、第1施開錠エリアL1は運転席ドア付近に設定されており、且つ、運転席が車両Vの右側に配置されているため、第1施開錠エリアL1は右側エリアに相当する。第1施開錠エリアL2は助手席ドア付近に設定されており、且つ、助手席が車両Vの左側に配置されているため、第2施開錠エリアL2は左側エリアに相当する。
上記の設定における位置判定部F6の作動について図29に示すフローチャートを用いて説明する。図29は本実施形態における位置判定処理を説明するためのフローチャートである。なお、図29に示すフローチャートの事前処理として位置判定部F6は、例えば図19のステップS301〜S304に相当する処理が実行しているものとする。
上記の設定における位置判定部F6は、まずステップS401として、施開錠エリアLx毎に、その施開錠エリアLxに対応づけられている車室外用モジュール160でのRSSIの代表値(以降、エリア代表値)を決定する。或る施開錠エリアLxについてのエリア代表値は、当該施開錠エリアLxと対応付けられている少なくとも1つの車室外用モジュール160でのRSSIの最大値とすればよい。エリア代表値は平均値、中央値であってもよい。
本実施形態では各施開錠エリアLxに対応する車室外用モジュール160は1つずつであるため、各車室外用モジュール160でのRSSI(より具体的には平均強度)がそのままエリア代表値として適用される。具体的には第1車室外用モジュール160Lでの平均強度を第1施開錠エリアL1でのエリア代表値として採用する。第2車室外用モジュール160Mでの平均強度を第2施開錠エリアL2でのエリア代表値として採用する。第3車室外用モジュール160Nでの平均強度を第3施開錠エリアL3についてのエリア代表値として採用する。
次に、位置判定部F6はステップS402として、複数のエリア代表値のうち、1番大きいエリア代表値である第1強度と2番目に大きいエリア代表値である第2強度の差である候補強度差を算出する。ステップS402での処理が完了すると、ステップS403を実行する。
ステップS403では位置記憶部M2を参照し、前回の位置判定処理の結果を参照し、前回の位置判定処理において携帯端末20は第1強度に対応する施開錠エリアLx(以降、強度最大エリア)に存在すると判定しているか否かを判定する。前回の位置判定処理において携帯端末20は強度最大エリアに存在すると判定している場合、ステップS403を肯定判定してステップS404を実行する。一方、前回の位置判定処理において携帯端末20は強度最大エリアに存在するとは判定していない場合、ステップS403を否定判定してステップS407を実行する。
ステップS404では、ステップS402で算出されている候補強度差とローレベル閾値とを比較して、候補強度差がローレベル閾値以下であるか否かを判定する。ここで用いられるローレベル閾値の具体的な値は適宜設計されれば良い。例えば+5dBなど、第1強度と第2強度に優位な差がないとみなせる値に設定されていることが好ましい。
候補強度差がローレベル閾値以下である場合にはステップS404を肯定判定してステップS405を実行する。ステップS405では携帯端末20は強度最大エリア外に存在すると判定し、当該判定結果を位置記憶部M2に保存して本フローを終了する。
一方、ステップS404において、候補強度差がローレベル閾値を超過している場合にはステップS406に移り、携帯端末20は強度最大エリア内に存在すると判定して本フローを終了する。つまり、携帯端末20は強度最大エリア内に存在するという前回の判定結果を維持する。
ステップS407では、ステップS402で算出されている候補強度差とハイレベル閾値とを比較して、候補強度差がハイレベル閾値以上であるか否かを判定する。ここで用いられるハイレベル閾値の具体的な値はローレベル閾値よりも大きい範囲において適宜設計されれば良い。ハイレベル閾値は前述のローレベル閾値よりも例えば5dB以上大きい値に設定されていることが好ましい。
候補強度差がハイレベル閾値以上である場合にはステップS407を肯定判定してステップS408を実行する。一方、候補強度差がハイレベル閾値未満である場合にはステップS407を否定判定してステップS409を実行する。
ステップS408では携帯端末20は強度最大エリア内に存在すると判定し、当該判定結果を位置記憶部M2に保存して本フローを終了する。ステップS409では、携帯端末20の位置(換言すれば端末位置)は不明であると判定する。そして、携帯端末20の位置は不明であるという判定結果を位置記憶部M2に保存して本フローを終了する。なお、端末位置は不明であると判定している状態は、端末位置の特定を保留にしている状態に相当する。
以上の構成によれば、携帯端末20が例えば第1施開錠エリアL1に存在する場合には、その旨を精度良く検出することができる。また、いったん携帯端末20は第1施開錠エリアL1に存在すると判定した場合には、候補強度差が所定のローレベル閾値以下となるまではその判定結果が保持される。故に、携帯端末20が第1施開錠エリアL1に存在するにも関わらず、マルチパス等の影響によって第1車室外用モジュール160Lでの受信強度が低下し、携帯端末20は第1施開錠エリアL1には存在しないと誤判定する恐れを低減できる。換言すれば、携帯端末20の位置の判定結果の安定性を高めることができる。第2施開錠エリアL2等、他の施開錠エリアLxについても同様である。換言すれば、本実施形態の構成によれば携帯端末20が存在するエリアの判定精度を高める事ができる。
[変形例5(第5実施形態の変形例)]
上述した第5実施形態では、対象エリアとして、第1施開錠エリアL1と、第2施開錠エリアL2と、第3施開錠エリアL3とが設定されている態様を開示したが、これに限らない。第3施開錠エリアL3は設定されていなくとも良い。
また、対象エリアは、ウェルカムエリアとしての右側エリアW1、左側エリアW2等に相当するものであってもよい。位置判定部F6は携帯端末20が車両Vの右側、左側のどちらに存在するのかを判定するように構成されていても良い。携帯端末20が車両Vの前側、後ろ側のどちらに存在するのかを判定するように構成されていても良い。換言すれば車両Vの前方所定範囲が対象エリアとして設定されていてもよい。なお、車両Vの前方所定範囲を対象エリアとして設定する場合には、車両Vの前端部にも車室外用モジュール160が配置されていることが好ましい。
[変形例6]
上述した第5実施形態では、複数の対象エリアが車室外において互いに重ならないように設定されている態様を開示したが、これに限らない。複数の対象エリアは、図30に示すように車室内に設定されていても良い。図30は、対象エリアとして、運転席エリアR1、助手席エリアR2、第1後部座席エリアR3、及び第2後部座席エリアR4が設定されている態様を示している。運転席エリアR1、助手席エリアR2、第1後部座席エリアR3、及び第2後部座席エリアR4は順に、前述の運転席エリア、助手席エリア、第1後部座席エリア、及び第2後部座席エリアに相当する。運転席用モジュール150Dが運転席用受信部に相当する。助手席用モジュール150Pが助手席用受信部に相当する。
このような対象エリアの設定態様によれば、車室内での携帯端末20の位置を精度良く判定することができる。なお、第1後部座席エリアR3と第2後部座席エリアR4は1つの対象エリアに統合して取り扱っても良い。
また、第5実施形態や変形例6とは組み合わせて実施することができる。つまり対象エリアとして、第1施開錠エリアL1、第2施開錠エリアL2、第3施開錠エリアL3、運転席エリアR1、助手席エリアR2、第1後部座席エリアR3、及び第2後部座席エリアR4が設定されていても良い。その他、本変形例6として開示のエリア設定に対して、変形例3として例示した判定アルゴリズムを適用し、携帯端末20が何れのエリアに存在するのかを特定しても良い。