以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1及び図2を参照して、一実施形態に係るパルス電源装置を含むプラズマ光源について説明する。図1は、一実施形態に係るパルス電源装置を含むプラズマ光源の概略構成図である。図2は、中心軸線に垂直な断面に沿った同軸状電極の断面図である。図1に示されるプラズマ光源1は、対向型プラズマフォーカス方式の光源であり、たとえば、半導体素子を製造するための露光装置に適用される。プラズマ光源1は、たとえば波長13.5nmの極端紫外光(EUV光)を発生可能に構成されている。プラズマ光源1は、EUV光を発生させることにより、微細なパターンを生成するフォトリソグラフィを可能にする。プラズマ光源1が露光装置に用いられる場合には、連続的なEUV光が必要となるので、プラズマ光源1にはパルス的に発光するEUV光を高い周波数で繰り返し出力することが要求される。
プラズマ光源1は、プラズマを発生させる一対の同軸状電極10と、同軸状電極10に電位差を生じさせる電圧印加装置20と、プラズマ媒体にレーザ光を照射するレーザ装置30と、プラズマ媒質を保持するプラズマ媒質供給部41と、を備える。
一対の同軸状電極10は、極端紫外光を放射するプラズマを発生し、プラズマを閉じ込める。一対の同軸状電極10は、チャンバ2内に収容されており、互いに対向するように配置されている。一対の同軸状電極10は、これらの間に延在する仮想の中央面Pに関して面対称に配置されている。一対の同軸状電極10の間には、一定の間隔(空間)が設けられている。チャンバ2には一又は複数の排気管3が設けられており、排気管3には真空ポンプ(図示せず)が接続される。チャンバ2内は所定の真空度に維持される。チャンバ2は、接地されている。
図1及び図2に示されるように、各同軸状電極10は、1本の中心電極11と、複数の外部電極12と、1つの絶縁体13とを備える。一方の同軸状電極10と、他方の同軸状電極10とは、共通かつ単一の中心軸線AXを有している。
中心電極11は、中心軸線AXに沿って延びる棒状の導電体である。中心軸線AXは、中心電極11の中心に位置している。中心電極11は、高温に対して損傷され難い金属からなる。中心電極11は、たとえばタングステン及びモリブデン等の高融点金属からなる。一対の同軸状電極10において、中心軸線AXは共通である。中心電極11の中心軸線AXは、上記した中央面Pに直交する。中央面Pに対向する中心電極11の先端面は、たとえば半球状をなしている。中心電極11の側面は、たとえば円錐状をなしている。
外部電極12は、中心電極11の周囲に配置された棒状の導電体である。外部電極12は、高温に対して損傷され難い金属からなる。外部電極12は、たとえばタングステン及びモリブデン等の高融点金属からなる。中央面Pに対向する外部電極12の先端面は、半球状等の曲面であってもよく、平面であってもよい。
外部電極12は、中心電極11に対して所定の間隔を有している。複数の外部電極12は、中心軸線AXを軸とした周方向に等間隔に(すなわち回転対称に)配置されている。具体的には、プラズマ光源1には、6本の外部電極12が設けられている。6本の外部電極12は、中心軸線AXを基準として60°ごとに配置されている。なお、外部電極12の本数は6本に限定されず、中心電極11及び外部電極12の大きさ及び形状、これらの間隔等に応じて適宜設定され得る。
中心電極11の周りに複数の外部電極12が配置されることにより、初期放電が、中心電極11と外部電極12との間に発生し得る。この初期放電は、面状放電に至る。面状放電は、電流シート又はプラズマシートとも呼ばれる。
絶縁体13は、たとえばセラミックからなる。絶縁体13は、たとえば円板状をなしている。絶縁体13は、中心電極11及び外部電極12の各基部を支持し、これらの間隔を規定する。絶縁体13は、中心電極11と外部電極12とを電気的に絶縁する。
電圧印加装置20は、各同軸状電極10に同極性又は逆極性の放電電圧を印加することにより、電位差を生じさせる。電圧印加装置20は、2台のパルス電源装置21,21を備える。パルス電源装置21の詳細は後述する。
レーザ装置30は、プラズマ媒質供給部41にレーザ光32を照射するレーザ発生装置31を備える。レーザ発生装置31は、レーザ光32の照射により、プラズマの媒体を放出させ、プラズマの初期放電(すなわち面状放電)を発生させる。レーザ発生装置31はたとえばYAGレーザであり、アブレーションを行うために基本波又は基本波の二倍波を短パルスのレーザ光として出力する。このレーザ光は、ビームスプリッタ(ハーフミラー)34及びミラー35等の光学素子により、少なくとも2本のレーザ光32a,32bに分岐する。レーザ光32a,32bは、プラズマ媒質供給部41に照射される。レーザ光32a,32bが照射されたプラズマ媒質43の表面では、アブレーションによってプラズマ媒質43の一部がプラズマ媒体である中性ガス又はイオン(媒質蒸気MV)となって、中心電極11と外部電極12との間に放出される。
レーザ光32a,32bの照射時には、各同軸状電極10の中心電極11と外部電極12とに対し、電圧印加装置20による放電電圧が印加されている。上述したアブレーションが発生すると、中心電極11と各外部電極12との間の放電が誘発され、さらに、この放電によって面状放電が形成される。複数の(少なくとも2本の)レーザ光が、中心軸線AXの周方向に間隔をあけて、同時に照射されることが好ましい。レーザ光の照射箇所が少ないほど、レーザ光は、中心電極11に対して回転対称な位置に照射されることが望ましい。プラズマ光源1では、レーザ照射点は、対向する2箇所に設定されている(図2参照)。なお、複数のレーザ光の同時照射は、ビームスプリッタ及びミラー等の光学素子を用い、光路長を合わせた複数の光路を形成することによって容易に達成され得る。
プラズマ媒質供給部41は、プラズマ光の発生に用いられるプラズマ媒質を保持する。プラズマ媒質供給部41は、固体又は液体であるプラズマ媒質43と、当該プラズマ媒質43を保持する保持部42と、を有する。プラズマ媒質43は、必要とされる紫外線の波長に応じて選択され得る。たとえば、13.5nmの紫外光が必要な場合は、プラズマ媒質43は、リチウム(Li)、キセノン(Xe)、及びスズ(Sn)等の少なくとも1つが用いられる。また、6.7nmの紫外光が必要な場合は、プラズマ媒質は、ガドリニウム(Gd)、及びテルビウム(Tb)等の少なくとも1つが用いられる。
プラズマ光源1は、1個の同軸状電極10に対して2個のプラズマ媒質供給部41を有する。なお、プラズマ媒質供給部41の個数は2個に限定されず、同軸状電極10の大きさ及び形状等に応じて適宜設定され得る。一対のプラズマ媒質供給部41は、同軸状電極10の周囲に配置されている。
次に、図3及び図4を参照してパルス電源装置の詳細を説明する。図3は、一実施形態に係るパルス電源装置の概略回路図である。図4は、図3に示されるパルス電源装置のうち、一対の電極に出力電力を供給する部分の概略回路図である。なお、パルス電源装置21,21は同一の回路構成を有するので、ここでは一方のパルス電源装置21を用いて説明する。
パルス電源装置21は、中心電極11と中心電極11から離間するように配置された複数の外部電極12(外部電極12a〜12f)のそれぞれとの間にパルス放電のための出力電力を供給する装置である。なお、以下の説明において、各外部電極12a〜12fに対応して設けられる要素を区別する場合には、当該要素を表す符号にa〜fを付して表現することがある。
パルス電源装置21は、1つの端子22と複数の端子23(端子23a〜23f)とを備える。端子22は、同軸状電極10の中心電極11に接続され、端子23a〜23fは、各端子23に対応する外部電極12に接続されている。パルス電源装置21は、中心電極11の電位が外部電極12の電位よりも高くなるように放電電圧を印加することによって、出力電力を供給する。なお、パルス電源装置21は、中心電極11の電位が外部電極12の電位よりも低くなるように放電電圧を印加することによって、出力電力を供給してもよい。
パルス電源装置21は、複数の電力蓄積回路24(電力蓄積回路24a〜24f)と、単一の高圧電源25(第1電源、第3電源)と、複数の低圧電源26(低圧電源26a〜26f)と、制御装置27と、を備える。
電力蓄積回路24は、プラズマを発生させるための一対の電極(中心電極11及び外部電極12)にパルス放電のための出力電力を供給する回路である。電力蓄積回路24は、外部電極12に印加するための放電電圧を出力電力として蓄積する。電力蓄積回路24は、複数の外部電極12のそれぞれに対応して設けられる。本実施形態では、外部電極12の本数が6本であるので、6つの電力蓄積回路24(電力蓄積回路24a〜24f)が設けられる。たとえば、電力蓄積回路24a(第1電力蓄積回路)は、プラズマを発生させるための一対の電極である中心電極11及び外部電極12a(第1外部電極)にパルス放電のための出力電力を供給する回路である。電力蓄積回路24b(第2電力蓄積回路)は、プラズマを発生させるための別の一対の電極である中心電極11及び外部電極12b(第2外部電極)にパルス放電のための出力電力を供給する回路である。電力蓄積回路24c〜24fについても同様である。各電力蓄積回路24は、コンデンサC1,C2と、ダイオードD1,D2と、電圧計28と、を備える。
コンデンサC1は、高圧電源25によって充電される。コンデンサC2は、低圧電源26によって充電される。コンデンサC1,C2に蓄積された電力が出力電力として出力される。ダイオードD1,D2は、電流I5(図8参照)の逆流防止用のダイオードである。コンデンサC1の一端は、ダイオードD1のアノードに接続されている。コンデンサC1,C2は、電気的に直列に接続されている。つまり、コンデンサC1の他端とコンデンサC2の一端とは互いに接続されている。コンデンサC2の他端は、ダイオードD2のカソードに接続されている。ダイオードD1のカソードは、端子22を介して中心電極11に接続されている。ダイオードD2のアノードは、各電力蓄積回路24に対応する端子23(端子23a〜23f)を介して、各電力蓄積回路24に対応する外部電極12(外部電極12a〜12f)に接続されている。
つまり、電力蓄積回路24aは、電気的に直列に接続されたコンデンサC1(第1出力コンデンサ)及びコンデンサC2(第2出力コンデンサ)を有し、コンデンサC1及びコンデンサC2に蓄積された電力を出力電力(第1出力電力)として供給する。具体的には、電力蓄積回路24aのコンデンサC1の他端と電力蓄積回路24aのコンデンサC2の一端とは互いに接続されており、電力蓄積回路24aは、電力蓄積回路24aのコンデンサC1の一端から一対の電極(中心電極11及び外部電極12a)を介して電力蓄積回路24aのコンデンサC2の他端に戻るように、出力電力を供給する。電力蓄積回路24bは、電気的に直列に接続されたコンデンサC1(第3出力コンデンサ)及びコンデンサC2(第4出力コンデンサ)を有し、コンデンサC1及びコンデンサC2に蓄積された電力を出力電力(第2出力電力)として供給する。具体的には、電力蓄積回路24bのコンデンサC1の他端と電力蓄積回路24bのコンデンサC2の一端とは互いに接続されており、電力蓄積回路24bは、電力蓄積回路24bのコンデンサC1の一端から別の一対の電極(中心電極11及び外部電極12b)を介して電力蓄積回路24bのコンデンサC2の他端に戻るように、出力電力を供給する。電力蓄積回路24c〜24fも同様である。なお、1本の中心電極11と1本の外部電極12の対を電極対と呼ぶことがある。
電圧計28は、コンデンサC1,C2と並列に接続されており、直列に接続されたコンデンサC1,C2の両端の電圧を計測する。電圧計28は、種々の手法によって電圧を計測する。電圧の計測は、たとえば、抵抗分圧を利用して行われる。電圧計28は、コンデンサC1の一端の電位がコンデンサC2の他端の電位よりも高い場合を正の値(正電圧)とし、コンデンサC2の他端の電位がコンデンサC1の一端の電位よりも高い場合を負の値(負電圧)として電圧値を出力する。電圧計28は、計測した電圧値を制御装置27に出力する。
高圧電源25は、充電電流を流し続けることにより充電を行う第1充電方式でコンデンサC1を充電する。第1充電方式は、チョッパ方式ともいう。高圧電源25は、電力蓄積回路24a〜24fに対して共通に用いられる。つまり、高圧電源25は、第1充電方式で、電力蓄積回路24aのコンデンサC1、電力蓄積回路24bのコンデンサC1、電力蓄積回路24cのコンデンサC1、電力蓄積回路24dのコンデンサC1、電力蓄積回路24eのコンデンサC1、及び電力蓄積回路24fのコンデンサC1を同時に充電する。高圧電源25は、直流電源51と、チョッパ回路52と、トランス53と、複数の回生制御回路54と、電流計55と、コンデンサC11と、を備える。
直流電源51は、コンデンサC11を充電するための電源である。直流電源51は、コンデンサC11に直流の電圧(たとえば、550V)を供給する。コンデンサC11は、直流電源51によって充電された電力をコンデンサC1に供給するための電力蓄積部である。
チョッパ回路52は、電力変換回路であって、コンデンサC11に蓄積された電力をトランス53を介してコンデンサC1に供給する。本実施形態では、チョッパ回路52は、電圧可逆チョッパ回路であり、スイッチング素子SW11,SW12と、ダイオードD11〜D14と、を備える。
スイッチング素子SW11,SW12は、電気的な開閉を切り替え可能な要素である。すなわち、スイッチング素子SW11,SW12の両端(コレクタ及びエミッタ)の間が導通状態であるオン状態と、遮断状態であるオフ状態と、に切り替えられる。スイッチング素子SW11,SW12としては、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)及びバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチが用いられる。図4に示される例では、スイッチング素子SW11,SW12は、IGBTである。スイッチング素子SW11,SW12のゲート(制御端子)には、制御装置27から駆動信号がそれぞれ供給される。スイッチング素子SW11,SW12は、制御装置27から出力される駆動信号に応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。
ダイオードD11,D12は、スイッチング素子SW11,SW12とそれぞれ電気的に並列に接続されている還流ダイオードである。具体的には、ダイオードD11,D12のカソードはそれぞれスイッチング素子SW11,SW12のコレクタに接続され、ダイオードD11,D12のアノードはそれぞれスイッチング素子SW11,SW12のエミッタに接続されている。ダイオードD13,D14は、コイル部L11の誘起エネルギーを回生するためのダイオードである。
スイッチング素子SW11のコレクタ及びダイオードD13のカソードがコンデンサC11の一端に接続され、スイッチング素子SW12のエミッタ及びダイオードD14のアノードがコンデンサC11の他端に接続されている。スイッチング素子SW11のエミッタとダイオードD14のカソードとは互いに接続され、スイッチング素子SW12のコレクタとダイオードD13のアノードとは互いに接続されている。スイッチング素子SW11のエミッタとダイオードD14のカソードとの接続点と、スイッチング素子SW12のコレクタとダイオードD13のアノードとの接続点とは、コイル部L11を介して接続されている。
トランス53は、コイル部L11と、コイル部L12(第1コイル部、第2コイル部)と、を備える。コイル部L11は、チョッパ回路52を介してコンデンサC11の一端と他端との間に設けられる。コイル部L12は、各回生制御回路54を介して各電力蓄積回路24(電力蓄積回路24a〜24f)のコンデンサC1の一端と他端との間に設けられる。コイル部L11及びコイル部L12は、互いに電力を送受信する。コイル部L11及びコイル部L12は、同一のコアに巻き付けられた(巻き回された)導線であり、コアを介して互いに磁気的に結合されている。トランス53によって、一次側の電圧は昇圧され、二次側の電圧(たとえば、4.9kV)が供給される。
複数の回生制御回路54は、複数の電力蓄積回路24のそれぞれに対応して設けられる。各回生制御回路54は、対応する電力蓄積回路24のコンデンサC1に蓄積された電力の回生を制御するための回路である。回生制御回路54は、ダイオードD15と、ダイオードD16と、スイッチング素子SW13と、を備える。
スイッチング素子SW13は、電気的な開閉を切り替え可能な要素である。すなわち、スイッチング素子SW13の両端(コレクタ及びエミッタ)の間が導通状態であるオン状態と、遮断状態であるオフ状態と、に切り替えられる。スイッチング素子SW13としては、たとえばIGBT、MOSFET及びバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチが用いられる。図4に示される例では、スイッチング素子SW13は、IGBTである。スイッチング素子SW13のゲート(制御端子)には、制御装置27から駆動信号が供給される。スイッチング素子SW13は、制御装置27から出力される駆動信号に応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。
ダイオードD15は、回生電流(図9の電流I6)の逆流防止用のダイオードである。ダイオードD16は、スイッチング素子SW13と電気的に並列に接続されている還流ダイオードである。具体的には、ダイオードD16のカソードはスイッチング素子SW13のコレクタに接続され、ダイオードD16のアノードはスイッチング素子SW13のエミッタに接続されている。
ダイオードD15のカソードは、スイッチング素子SW13のコレクタに接続され、スイッチング素子SW13のエミッタは、各電力蓄積回路24のコンデンサC1の一端に接続されている。ダイオードD15のアノードは、コイル部L12を介して各電力蓄積回路24のコンデンサC1の他端に接続されている。
電流計55は、各電力蓄積回路24のコンデンサC1の他端とコイル部L12との間に直列に設けられており、コンデンサC1の他端から一端に向かう電流を計測する。電流計55は、種々の手法によって電流を計測する。電流の計測は、たとえば、CT方式、ホール素子方式、及びロゴスキーコイル方式等によって行われる。電流計55は、各電力蓄積回路24のコンデンサC1の他端から一端に向かう電流を正として計測した値を、電流値として制御装置27に出力する。
各低圧電源26は、所定の周期で充電電流を流すことにより充電を行う第2充電方式でコンデンサC2を充電する。第2充電方式は、高周波充電方式ともいう。各低圧電源26は、高圧電源25によりコンデンサC1が充電された後に、コンデンサC2を充電する。低圧電源26は、複数の外部電極12のそれぞれに対応して設けられる。本実施形態では、外部電極12の本数が6本であるので、6つの低圧電源26(26a〜26f)が設けられる。低圧電源26a(第2電源)は、高圧電源25により電力蓄積回路24aのコンデンサC1が充電された後に、第2充電方式で電力蓄積回路24aのコンデンサC2を充電する。低圧電源26b(第4電源)は、高圧電源25により電力蓄積回路24bのコンデンサC1が充電された後に、第2充電方式で電力蓄積回路24bのコンデンサC2を充電する。低圧電源26c〜26fについても同様である。低圧電源26a〜26fは、同一の構成を有するので、ここでは低圧電源26aについて説明する。
低圧電源26aは、直流電源61と、インバータ回路62と、トランス63と、整流回路64(第1ダイオード部)と、回生制御回路65と、電流計66と、コンデンサC21と、を備える。
直流電源61は、コンデンサC21を充電するための電源である。直流電源61は、コンデンサC21に直流の電圧(たとえば、100V)を供給する。コンデンサC21は、直流電源61によって充電された電力をコンデンサC2に供給するための電力蓄積部である。
インバータ回路62は、コンデンサC21から供給される直流電力を交流電力に変換する回路である。本実施形態では、インバータ回路62は、フルブリッジインバータであり、スイッチング素子SW21〜SW24と、ダイオードD21〜D24と、を備える。
スイッチング素子SW21〜SW24は、電気的な開閉を切り替え可能な要素である。すなわち、スイッチング素子SW21〜SW24の両端(ドレイン及びソース)の間が導通状態であるオン状態と、遮断状態であるオフ状態と、に切り替えられる。スイッチング素子SW21〜SW24としては、たとえばIGBT、MOSFET及びバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチが用いられる。図4に示される例では、スイッチング素子SW21〜SW24は、Nチャネル型MOSFETである。スイッチング素子SW21〜SW24のゲート(制御端子)には、制御装置27から駆動信号がそれぞれ供給される。スイッチング素子SW21〜SW24は、制御装置27から出力される駆動信号に応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。
スイッチング素子SW21,SW23のドレインはコンデンサC21の一端に接続され、スイッチング素子SW22,SW24のソースはコンデンサC21の他端に接続されている。スイッチング素子SW21のソースとスイッチング素子SW22のドレインとは互いに接続され、スイッチング素子SW23のソースとスイッチング素子SW24のドレインとは互いに接続されている。スイッチング素子SW21のソースとスイッチング素子SW22のドレインとの接続点と、スイッチング素子SW23のソースとスイッチング素子SW24のドレインとの接続点とは、コイル部L21を介して互いに接続されている。
ダイオードD21〜D24は、スイッチング素子SW21〜SW24とそれぞれ電気的に並列に接続されている還流ダイオードである。具体的には、ダイオードD21〜D24のカソードはそれぞれスイッチング素子SW21〜SW24のドレインに接続され、ダイオードD21〜D24のアノードはそれぞれスイッチング素子SW21〜SW24のソースに接続されている。
トランス63は、コイル部L21と、コイル部L22と、を備える。コイル部L21は、インバータ回路62を介してコンデンサC21の一端と他端との間に設けられる。コイル部L22は、整流回路64及び回生制御回路65を介してコンデンサC2の一端と他端との間に設けられる。コイル部L21及びコイル部L22は、互いに電力を送受信する。コイル部L21及びコイル部L22は、同一のコアに巻き付けられた導線であり、コアを介して互いに磁気的に結合されている。トランス63によって、一次側の電圧は変換され、二次側の電圧(たとえば、100V)が供給される。
整流回路64は、トランス63を介してインバータ回路62から供給された交流電力を整流する回路である。本実施形態では、整流回路64は、ブリッジ方式の全波整流回路であり、ダイオードD25〜D28を備える。
ダイオードD25のアノード及びダイオードD26のカソードは互いに接続され、ダイオードD27のアノード及びダイオードD28のカソードは互いに接続されている。ダイオードD25のアノードとダイオードD26のカソードとの接続点P1と、ダイオードD27のアノードとダイオードD28のカソードとの接続点P2とは、コイル部L22を介して互いに接続されている。ダイオードD25,D27のカソードは、回生制御回路65を介して電力蓄積回路24aのコンデンサC2の一端に接続され、ダイオードD26,D28のアノードは、電力蓄積回路24aのコンデンサC2の他端に接続されている。
回生制御回路65は、コンデンサC2に蓄積された電力の回生を制御するための回路である。回生制御回路65は、ダイオードD29と、スイッチング素子SW25と、を備える。
スイッチング素子SW25は、電気的な開閉を切り替え可能な要素である。すなわち、スイッチング素子SW25の両端(コレクタ及びエミッタ)の間が導通状態であるオン状態と、遮断状態であるオフ状態と、に切り替えられる。スイッチング素子SW25としては、たとえばIGBT、MOSFET及びバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチが用いられる。図4に示される例では、スイッチング素子SW25は、IGBTである。スイッチング素子SW25のゲート(制御端子)には、制御装置27から駆動信号が供給される。スイッチング素子SW25は、制御装置27から出力される駆動信号に応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。スイッチング素子SW25のコレクタは、ダイオードD25,D27のカソードに接続され、スイッチング素子SW25のエミッタは、電力蓄積回路24aのコンデンサC2の一端に接続されている。
ダイオードD29は、スイッチング素子SW25と電気的に並列に接続されている還流ダイオードである。具体的には、ダイオードD29のカソードはスイッチング素子SW25のコレクタに接続され、ダイオードD29のアノードはスイッチング素子SW25のエミッタに接続されている。
電流計66は、コンデンサC2の他端とダイオードD26のアノード及びダイオードD28のアノードとの間に直列に設けられており、コンデンサC2の他端から一端に向かう電流を計測する。電流計66は、種々の手法によって電流を計測する。電流の計測は、たとえば、CT方式、ホール素子方式、及びロゴスキーコイル方式等によって行われる。電流計66は、コンデンサC2の他端から一端に向かう電流を正として計測した値を、電流値として制御装置27に出力する。
制御装置27は、高圧電源25及び低圧電源26を制御するコントローラである。制御装置27は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、並びに、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリといったハードウェアを含むコンピュータである。メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくCPUの制御のもとで各ハードウェアを動作させることにより、制御装置27の機能が実現される。
具体的には、制御装置27は、各電圧計28によって計測された電圧値、及び各電流計55,66によって計測された電流値に基づいて、高圧電源25及び低圧電源26を制御する。たとえば、制御装置27は、スイッチング素子SW11〜SW13を制御することによって、第1充電方式でコンデンサC1を充電する。制御装置27は、スイッチング素子SW21〜SW25を制御することによって、第2充電方式でコンデンサC2を充電する。制御装置27は、スイッチング素子SW11〜SW13を制御することによって、コンデンサC1に蓄積されている電力の極性を反転させる回生処理を行う。制御装置27は、スイッチング素子SW21〜SW25を制御することによって、コンデンサC2に蓄積されている電力の極性を反転させる回生処理を行う。なお、コンデンサC1,C2の他端の電位が一端の電位よりも高い状態でコンデンサC1,C2に蓄積されている電力の極性を、コンデンサC1,C2の他端から一端に電流を流すことによって反転させ、コンデンサC1,C2の一端の電位が他端の電位よりも高くするための充電を回生充電という。
次に、図5〜図9を参照して、パルス電源装置21の動作を説明する。図5は、図3に示されるパルス電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。図6は、図3に示されるパルス電源装置の第1充電方式による充電時の動作を説明するための図である。図7は、図3に示されるパルス電源装置の第2充電方式による充電時の動作を説明するための図である。図8は、図3に示されるパルス電源装置の放電時の動作を説明するための図である。図9は、図3に示されるパルス電源装置の回生充電時の動作を説明するための図である。
プラズマ光源1の動作を開始したとき、各電力蓄積回路24のコンデンサC1,C2には電力が蓄積されていない。そこで、まず、パルス電源装置21は、コンデンサC1を充電する。具体的に説明すると、制御装置27が、まずスイッチング素子SW11〜SW13をオン状態とすることで、高圧電源25により第1充電方式でコンデンサC1の充電が開始される(時刻t0)。すると、図6に示されるように、コンデンサC11の一端からスイッチング素子SW11、コイル部L11、及びスイッチング素子SW12を順に通ってコンデンサC11の他端に戻る経路に電流I1が流れる。コイル部L11に電流I1が流れると、電磁誘導によってコイル部L12に誘導起電力が生じ、コンデンサC1の他端から、コイル部L12、ダイオードD15、及びスイッチング素子SW13を順に通ってコンデンサC1の一端に戻る経路に充電電流I2が流れる。この状態が維持されることにより、充電電流I2が流れ続け、コンデンサC1の一端の電位が他端の電位よりも次第に高くなる。このようにして、第1充電方式によるコンデンサC1の充電が行われる。
パルス電源装置21では、各電力蓄積回路24において、コンデンサC1とコンデンサC2とが直列に接続されているので、コンデンサC1の電荷量とコンデンサC2の電荷量とは同じになる。したがって、コンデンサC1及びコンデンサC2のいずれかが充電されると、コンデンサC1の電荷量とコンデンサC2の電荷量とが同じになるように電荷が移動し、コンデンサC1及びコンデンサC2が充電されることになる。
コンデンサC1の充電を行っている間、制御装置27は、各電圧計28のうちの少なくとも1つによって計測される電圧値が、切替閾値に達したか否かを判定する。この電圧値は、電力蓄積回路24の電圧VPを電圧計28によって計測した値である。電圧VPは、直列接続されたコンデンサC1,C2の電圧であり、具体的にはコンデンサC2の他端の電位を基準とした、コンデンサC1の一端とコンデンサC2の他端との間の電圧である。切替閾値は、第1充電方式から第2充電方式に切り替えるための電圧の閾値である。切替閾値は、後述の規定値よりも低い値に設定され、たとえば、4.9kVに設定される。この判定は、電圧値が切替閾値に達するまで定期的に繰り返される。そして、電圧値が切替閾値に達したと判定されると、制御装置27は、スイッチング素子SW11〜SW13をオフ状態とし、第1充電方式によるコンデンサC1の充電を停止する(時刻t1)。
続いて、制御装置27は、スイッチング素子SW25をオン状態とする。そして、制御装置27は、インバータ回路62の状態を、スイッチング素子SW21,SW24をオン状態とするとともにスイッチング素子SW22,SW23をオフ状態とする第1状態と、スイッチング素子SW21,SW24をオフ状態とするとともにスイッチング素子SW22,SW23をオン状態とする第2状態と、で周期的に切り替える。この切替周期は、たとえば、50マイクロ秒程度である。
図7に示されるように、第1状態では、コンデンサC21の一端からスイッチング素子SW21、コイル部L21、及びスイッチング素子SW24を順に通ってコンデンサC21の他端に戻る経路に電流I3が流れる。第2状態では、まず、コイル部L21の誘導起電力によって、第1状態と同じ方向にコイル部L21に電流が流れようとする。このため、コンデンサC21の他端からスイッチング素子SW22、コイル部L21、及びスイッチング素子SW23を順に通ってコンデンサC21の一端に戻る経路に電流I3が流れる。その後、コイル部L21の誘導起電力がなくなり、コイル部L21には反対方向に電流が流れる。つまり、コンデンサC21の一端からスイッチング素子SW23、コイル部L21、及びスイッチング素子SW22を順に通ってコンデンサC21の他端に戻る経路に電流I3が流れる。
その後、インバータ回路62が第1状態にされると、コイル部L21の誘導起電力によって、第2状態と同じ方向にコイル部L21に電流が流れようとする。このため、コンデンサC21の他端からスイッチング素子SW24、コイル部L21、及びスイッチング素子SW21を順に通ってコンデンサC21の一端に戻る経路に電流I3が流れる。このような動作が繰り返されることによって、インバータ回路62は、コンデンサC21に蓄積されている直流電力を交流電力に変換する。この動作により、コイル部L21には、交流の電流I3が流れる。つまり、電流I3の波形は正弦波状となる。
そして、コイル部L21に交流の電流I3が流れると、電磁誘導によってコイル部L22に交流の誘導起電力が生じる。この誘導起電力により、整流回路64では、コンデンサC2の他端からダイオードD28、コイル部L22、ダイオードD25、及びスイッチング素子SW25を順に通ってコンデンサC2の一端に戻る経路と、コンデンサC2の他端からダイオードD26、コイル部L22、ダイオードD27、及びスイッチング素子SW25を順に通ってコンデンサC2の一端に戻る経路と、に交互に充電電流I4が流れる。この充電電流I4の波形は、正弦波の負の半周期が正側に折り返された波形、つまり正弦波の正の半周期が繰り返される形状となる。正弦波の正の半周期を1周期とすると、充電電流I4の周期は、切替周期(電流I3の周期)の半分になる。つまり、充電電流I4の周波数は、電流I3の周波数の2倍になる。充電電流I4が交互に流れることにより、コンデンサC2の一端の電位が他端の電位よりも次第に高くなる。このようにして、コンデンサC2の他端からコンデンサC2の一端に高周波で繰り返し充電電流I4を流すことにより、第2充電方式によるコンデンサC2の充電が行われる。
第2充電方式によるコンデンサC2の充電を行っている間、制御装置27は、各電圧計28によって計測される電圧値が、規定値に達したか否かを判定する。規定値は、放電に用いられる規定電力が電力蓄積回路24に充電された場合のコンデンサC1,C2の電圧値であり、たとえば、5kVに設定される。この判定は、電圧値が規定値に達するまで定期的に繰り返される。そして、電圧値が規定値に達したと判定されると、制御装置27は、その電力蓄積回路24に対応する低圧電源26のスイッチング素子SW21〜SW25をオフ状態とし、第2充電方式によるコンデンサC2の充電を停止する(時刻t2)。すべての低圧電源26による充電が停止されるまで、上記処理が繰り返される。
このとき、パルス電源装置21は、中心電極11と外部電極12との間に出力電力を供給している。つまり、パルス電源装置21は、中心電極11と外部電極12との間に放電電圧を印加している。そして、制御装置27は、放電(プラズマ光の放射)が行われたか否かを判定する。
ここで、プラズマ光の放射は、以下のように行われる。放電電圧が印加された状態で、レーザ装置30によって、プラズマ媒質供給部41のプラズマ媒質43にレーザ光32a,32bが照射される。その直後、複数の外部電極12のそれぞれと中心電極11との間で放電が生じる(時刻t3)。これにより、図8に示されるように、コンデンサC1の一端から、ダイオードD1、中心電極11、外部電極12、及びダイオードD2を順に通ってコンデンサC2の他端に戻る経路に電流I5(放電電流)が流れ、中心電極11の全周に亘って分布する面状放電が得られる。なお、図8では、図面の都合上、電流I5の経路を簡略化して示しているので、電流I5は中心電極11及び外部電極12を経由しないように描かれているが、実際には中心電極11及び外部電極12を経由する。その後、面状放電は中心電極11の先端に達したことで、その放電電流の出発点は中心電極11の側面から先端面に移行する。この電流の移行によって、一対の面状放電に伴って移動してきたプラズマは収束し、高密度かつ高温になる。
この現象は中央面P(図1参照)を挟んだ同軸状電極10で進行するため、初期プラズマは、一方の同軸状電極10から他方の同軸状電極10に向かって押し出される。その結果、初期プラズマは、中心軸線AX(図1参照)に沿う両方向からの圧力を受けて同軸状電極10が対面する中間位置(すなわち中央面Pの位置)に移動し、プラズマ媒質を成分とする単一のプラズマが形成される。面状放電が発生している間は、プラズマの高密度化及び高温化が進行し、イオンの電離が進行する。その結果、プラズマからはプラズマ光が放射される。このプラズマ光はパルス的に放射されるので、上記一連の放電をパルス放電と呼ぶこともある。
このようにしてプラズマ光が放射され、コンデンサC2の他端の電位がコンデンサC1の一端の電位よりも高くなる。制御装置27は、放電(プラズマ光の放射)が行われたか否かを判定するために、たとえば、各電圧計28のうちの少なくとも1つによって計測される電圧値が、所定の電圧閾値よりも低くなったかを判定する。電圧閾値は、放電が終了したことを判定可能な電力蓄積回路24の電圧値であり、たとえば、0Vに設定される。この判定は、電圧値が電圧閾値よりも低くなるまで定期的に繰り返される。
そして、電圧値が電圧閾値よりも低くなったと判定されると、制御装置27は、放電が行われたと判定し得るので、タイマ(不図示)を動作させる。そして、制御装置27は、放電の終了から所定の時間が経過したかを判定する。所定の時間は、コンデンサC1,C2の回生充電が行われた際の再放電を防止するための時間であり、パルス放電のパルス幅(時間幅)よりも長く設定される。パルス放電は、たとえば、2マイクロ秒程度継続される。この判定は、所定の時間が経過するまで定期的に繰り返される。
そして、所定の時間が経過したと判定されると、制御装置27は、各高圧電源25のスイッチング素子SW13をオン状態とし、コンデンサC1の回生充電を開始するとともに、各低圧電源26のスイッチング素子SW25をオン状態とし、コンデンサC2の回生充電を開始する(時刻t4)。このとき、スイッチング素子SW11,SW12,SW21〜SW24はオフ状態のままである。これにより、図9に示されるように、高圧電源25では、コンデンサC1の他端から、コイル部L12、ダイオードD15、及びスイッチング素子SW13を順に通ってコンデンサC1の一端に戻る経路に電流I6(回生電流)が流れる。コンデンサC1の他端から一端に電流I6が流れることで、コンデンサC1に負電圧で充電されている電力が反転して正電圧に充電されていく。コイル部L12に電流I6が流れると、電磁誘導によってコイル部L11に誘導起電力が生じ、コンデンサC11の他端から、ダイオードD14、コイル部L11、及びダイオードD13を順に通って、コンデンサC11の一端に戻る経路に電流I7が流れる。これにより、コンデンサC11の回生充電も行われる。
また、各低圧電源26では、主に、コンデンサC2の他端から、ダイオードD28、ダイオードD27、及びスイッチング素子SW25を順に通ってコンデンサC2の一端に戻る経路、並びに、コンデンサC2の他端から、ダイオードD26、ダイオードD25、及びスイッチング素子SW25を順に通ってコンデンサC2の一端に戻る経路に、電流I8(回生電流)が流れる。なお、ダイオードD25〜D28は同一であるので、理想的には、接続点P1と接続点P2とは同電位である。しかし、実際には、ダイオードのばらつき等によって、接続点P1と接続点P2との間に電位差が生じる。この場合、コイル部L22にも電流I8が流れる。
たとえば、ダイオードD26のインピーダンスがダイオードD28のインピーダンスよりも大きい場合、接続点P1の電位が接続点P2の電位よりも低くなる。このため、接続点P2からコイル部L22を通って接続点P1に電流I8が流れる。接続点P2からダイオードD27に流れる電流と、接続点P2からコイル部L22に流れる電流とは、ダイオードD27のインピーダンスと、トランス63の2次側から見たインピーダンス及びダイオードD25のインピーダンスの和との比率に応じて定まる。
一方、ダイオードD28のインピーダンスがダイオードD26のインピーダンスよりも大きい場合、接続点P2の電位が接続点P1の電位よりも低くなる。このため、接続点P1からコイル部L22を通って接続点P2に電流I8が流れる。接続点P1からダイオードD25に流れる電流と、接続点P1からコイル部L22に流れる電流とは、ダイオードD25のインピーダンスと、トランス63の2次側から見たインピーダンス及びダイオードD27のインピーダンスの和との比率に応じて定まる。
コンデンサC2の他端から一端に電流I8が流れることで、コンデンサC2に負電圧で充電されている電力が反転して正電圧に充電されていく。接続点P2から接続点P1に向かってコイル部L22に電流I8が流れると、電磁誘導によってコイル部L21に誘導起電力が生じ、コンデンサC21の他端から、ダイオードD22、コイル部L21、及びダイオードD23を順に通って、コンデンサC21の一端に戻る経路に電流I9が流れる。これにより、コンデンサC21の回生充電も行われる。
回生充電を開始した後、制御装置27は、回生充電が終了したか否かを判定する。この判定は、たとえば、各電圧計28のうちの少なくとも1つによって計測される電圧値の時間変化を用いて行われる。具体的には、制御装置27は、電圧値の時間変化が、所定の第1範囲内であるか否かを判定する。回生充電が終了すると、電力蓄積回路24の電圧変化はほとんどなくなるので、第1範囲は、回生充電が終了したと判定し得る電圧値の時間変化に設定される。制御装置27は、電圧値の時間変化が第1範囲内であれば、回生充電が終了したと判定し、第1範囲外であれば、回生充電が終了していないと判定する。
また、制御装置27は、各低圧電源26の電流計55,66によって計測された電流値と予め定められた電流閾値とを比較することによって、回生充電が終了したか否かを判定してもよい。回生充電が終了すると、電流I6,I8はほとんど流れなくなるので、電流閾値は、回生充電が終了したと判定し得る電流値に設定される。具体的には、制御装置27は、電流計55,66によって計測された電流値が電流閾値よりも小さい場合に回生充電が終了したと判定し、電流計55,66によって計測された電流値が電流閾値以上である場合に回生充電が終了していないと判定する。
制御装置27は、上記電圧値を用いた判定と上記電流値を用いた判定とを組み合わせて、回生充電が終了したか否かの判定を行ってもよい。また、制御装置27は、電圧値及び電流値から電力値を計算し、電力値に基づいて、回生充電の終了を判定してもよい。
この判定は、回生充電が終了するまで定期的に繰り返される。そして、回生充電が終了したと判定されると、制御装置27は、スイッチング素子SW25をオフ状態とするとともに、スイッチング素子SW11,SW12をオン状態とし、第1充電方式によるコンデンサC1の充電を開始する(時刻t5)。このとき、スイッチング素子SW13はオン状態のままである。そして、制御装置27は、各電圧計28によって計測される電圧値が、切替閾値に達したか否かを判定する。以降、上述の動作が繰り返される。
このように、複数の電力蓄積回路24のそれぞれは、コンデンサC1の一端から中心電極11及び対応する外部電極12を介してコンデンサC2の他端に戻るように、電力蓄積回路24に蓄積された電力を供給することによって出力電力を供給している。制御装置27は、スイッチング素子SW13をオン状態とすることによって、放電後にコンデンサC1に戻った電力を他端から一端に戻す回生充電を行い、スイッチング素子SW25をオン状態とすることによって、放電後にコンデンサC2に戻った電力を他端から一端に戻す回生充電を行う。そして、回生充電後に電力蓄積回路24に蓄積されている電力が規定電力となるまでコンデンサC1,C2を充電するように、高圧電源25及び低圧電源26を制御する。このとき、第1充電方式では、充電電流I2を連続的に流し続けることにより充電を行うので、電圧VPを規定値に正確に合わせることができない。このため、第1充電方式で電力蓄積回路24がある程度充電された後、第2充電方式で電圧VPの微調整が行われる。
以上説明したように、パルス電源装置21は、中心電極11と中心電極11から離間するように配置された複数の外部電極12(外部電極12a〜12f)のそれぞれとの間にパルス放電のための出力電力を供給するために、各外部電極12に対して電力蓄積回路24を備えている。つまり、パルス電源装置21では、中心電極11と外部電極12aとの電極対、中心電極11と外部電極12bとの電極対、中心電極11と外部電極12cとの電極対、中心電極11と外部電極12dとの電極対、中心電極11と外部電極12eとの電極対、及び中心電極11と外部電極12fとの電極対にそれぞれ出力電力が供給される。
パルス電源装置21では、単一の高圧電源25によって、各電力蓄積回路24のコンデンサC1が充電電流を流し続けることにより充電を行う第1充電方式で同時に充電された後、各低圧電源26によって、対応する電力蓄積回路24のコンデンサC2が所定の周期で充電電流を流すことにより充電を行う第2充電方式で充電される。
第1充電方式では、充電電流I2を流し続けることでコンデンサC1の充電を行うので、電力蓄積回路24に充電される電力(電圧)を微調整することが難しい。また、高圧電源25は、複数の電力蓄積回路24のコンデンサC1を同時に充電することから、充電開始前に各電力蓄積回路24に蓄積されている電力が異なる場合には、それぞれの電力蓄積回路24に蓄積されている電力が同一となるように充電することはできない。一方、第2充電方式では、充電電流I4を繰り返し流すことによってコンデンサC2の充電を行うので、電力蓄積回路24が少しずつ充電されていく。このため、第2充電方式では、電力蓄積回路24に充電される電力(電圧)を微調整することができる。また、低圧電源26は、電力蓄積回路24ごとに設けられているので、充電開始前に各電力蓄積回路24に蓄積されている電力が異なっていても、それぞれの電力蓄積回路24に蓄積されている電力を所望の電力まで充電することができる。このため、たとえば、第1充電方式で、所望の電力付近まで充電を行った後で、第2充電方式で残りの電力の充電を行うことにより、電力蓄積回路24に蓄積される電力を所望の電力に合わせることが可能となる。
具体的に説明すると、パルス電源装置21では、各電力蓄積回路24において、コンデンサC1の一端から中心電極11及び外部電極12を介してコンデンサC2の他端に戻るように、出力電力が供給される。このため、出力電力が供給された後、各電力蓄積回路24には、供給前の電力とは極性が反対の電力が蓄積される。電力蓄積回路24a〜24fのコンデンサC1の一端と他端との間には、共通のコイル部L12が設けられている。これにより、コンデンサC1の他端からコイル部L12を介してコンデンサC1の一端に向けて電流I6が流れ、コンデンサC1が回生充電される。
電力蓄積回路24aのコンデンサC2の一端と他端との間には、当該コンデンサC2の他端からコンデンサC2の一端に向けて電流を流すように配置された低圧電源26aの整流回路64(第1ダイオード部)が設けられている。電力蓄積回路24bのコンデンサC2の一端と他端との間には、当該コンデンサC2の他端からコンデンサC2の一端に向けて電流を流すように配置された低圧電源26bの整流回路64(第2ダイオード部)が設けられている。同様に、電力蓄積回路24c〜24fのコンデンサC2の一端と他端との間には、各コンデンサC2の他端からコンデンサC2の一端に向けて電流を流すように配置された低圧電源26c〜26fの整流回路64が設けられている。これにより、各電力蓄積回路24では、コンデンサC2の他端から、対応する低圧電源26の整流回路64を介してコンデンサC2の一端に向けて電流I8が流れ、コンデンサC2が回生充電される。
このようにして電力蓄積回路24に回生される電力の電力量は、パルス放電ごとに異なることがある。さらに、同じパルス放電でも、電力蓄積回路24a〜24fに回生される電力の電力量は、互いに異なることがある。そのような場合でも、各電力蓄積回路24において、第1充電方式で、所望の電力付近まで充電を行った後で、第2充電方式で残りの電力の充電を行うことにより、電力蓄積回路24a〜24fに充電される電力を所望の電力に合わせることが可能となる。これにより、パルス放電ごとに電極対に供給される出力電力の均一化、及び同一パルス放電における各電極対に供給される出力電力の均一化が可能となる。その結果、パルス放電ごとの電力のばらつきを低減することが可能となるとともに、同一パルス放電における電極対ごとの電力のばらつきを低減することが可能となる。
低圧電源26では、インバータ回路62によって生成された交流電力が、整流回路64により整流されることによって、所定の周期の充電電流I4が生成される。これにより、第2充電方式が実現される。
インバータ回路62では、スイッチング素子SW21〜SW24が半導体スイッチで構成されている。このため、インバータ回路62を高速に動作させることができる。これにより、第2充電方式における充電電流I4の周期を短くすることが可能となる。
各外部電極12に対して共通の高圧電源25が設けられている。このため、電力蓄積回路24a〜24fに対して、1つの高圧電源25を用いて第1充電方式で充電が行われる。そして、低圧電源26a〜26fによって、電力蓄積回路24a〜24fに充電される電力が微調整され得る。このため、パルス電源装置21が備える高圧電源25の個数を減らすことができるので、パルス電源装置21の小型化及びコストの削減が可能となる。
高圧電源25は、コイル部L12を介してコンデンサC1の一端と他端とを電気的に接続し、又は電気的に切り離すためのスイッチング素子SW13を備えている。このスイッチング素子SW13により、コンデンサC1の一端と他端とをコイル部L12を介して電気的に接続することによって、LC回路が構成される。これにより、コンデンサC1の回生充電を開始させることが可能となる。コンデンサC1の一端と他端とがコイル部L12を介して常に接続されている場合には、パルス放電を行っている際に、コンデンサC1に戻った電力が回生充電されて、再放電を行う可能性がある。このため、パルス放電が開始されてから、パルス放電に要する時間よりも遅いタイミングで、制御装置27がスイッチング素子SW13をオン状態とすることにより、再放電を確実に防止することができる。
同様に、各低圧電源26は、整流回路64を介してコンデンサC2の一端と他端とを電気的に接続し、又は電気的に切り離すためのスイッチング素子SW25を備えている。このスイッチング素子SW25により、コンデンサC2の一端と他端とが整流回路64を介して電気的に接続される。これにより、コンデンサC2の回生充電を開始させることが可能となる。コンデンサC2の一端と他端とが整流回路64を介して常に接続されている場合には、パルス放電を行っている際に、コンデンサC2に戻った電力が回生充電されて、再放電を行う可能性がある。このため、パルス放電が開始されてから、パルス放電に要する時間よりも遅いタイミングで、制御装置27がスイッチング素子SW25をオン状態とすることにより、再放電を確実に防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、パルス電源装置21は、プラズマ光源1以外にも用いられ得る。パルス電源装置21は、パルス的に繰り返し充電し、かつ1又は複数の電極対に電圧を印加するような装置(高い繰り返し周期でパルス電力を必要とする装置)に適用可能である。
また、上記実施形態では、パルス電源装置21は、単一の高圧電源25を備えているが、低圧電源26と同様に、複数の外部電極12のそれぞれに対応して設けられた複数の高圧電源25を備えていてもよい。
外部電極12の本数は、6つに限られない。外部電極12の本数は、1本でもよく、2本以上でもよい。外部電極12の本数に応じて、端子23の個数、電力蓄積回路24の個数、及び低圧電源26の個数も適宜変更され得る。外部電極12の本数が1本である場合、他の電極対が存在しないので、同じパルス放電において各電極対に供給される出力電力の均一化はなされないが、パルス放電ごとに電極対に供給される出力電力の均一化が可能となる。その結果、パルス放電ごとの電力のばらつきを低減することが可能となる。
また、パルス電源装置21は、中心電極11の電位が外部電極12の電位よりも低くなるように放電電圧を印加することによって、出力電力を供給してもよい。この場合、端子22が電力蓄積回路24ごとに設けられ、各ダイオードD1のカソードは、対応する端子22に接続される。そして、各端子22は、電力蓄積回路24と対応する外部電極12に接続される。また、パルス電源装置21が有する端子23の数は1つであり、各ダイオードD2のアノードは端子23に接続される。そして、端子23は中心電極11に接続される。
パルス放電のパルス幅と比較して、コンデンサC1の他端から一端に電流I6が戻るのに要する時間(たとえば、数百μ秒程度)は長い。このため、パルス放電中に再放電が起こる可能性は低いので、高圧電源25は、スイッチング素子SW13及びダイオードD16を備えていなくてもよい。同様に、各低圧電源26は、スイッチング素子SW25及びダイオードD29を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、電力蓄積回路24の電圧VPを用いて、第1充電方式から第2充電方式への切替、及び第2充電方式による充電の停止が行われている。つまり、各電力蓄積回路24の電圧VPを規定値に揃えることは、結果的に、各電力蓄積回路24に蓄積されている電力を、放電に用いられる規定電力に揃えることと同じである。このため、各電力蓄積回路24は、コンデンサC1及びコンデンサC2に蓄積された電力を計測する電力計を備えていてもよい。この場合、制御装置27は、第1充電方式から第2充電方式への切替、及び第2充電方式による充電の停止を、電力計によって計測された電力に基づいて行ってもよい。また、制御装置27は、回生充電の終了を電力計によって計測された電力に基づいて行ってもよい。
図10に示されるように、各低圧電源26は、インダクタ部L23をさらに備えてもよい。インダクタ部L23は、スイッチング素子SW25のエミッタと、電力蓄積回路24のコンデンサC2の一端との間に設けられる。インダクタ部L23は、電流制限用の要素であって、電流のピーク値を抑える。インダクタ部L23は、所定のインダクタンスを有する。インダクタ部L23は、コイルでもよく、電線でもよい。この場合、ダイオードD25〜D28に流れる電流がダイオードD25〜D28の定格を超えないように調整され得る。