本発明の種々の実施形態は、結晶性ポリプロピレンと、架橋衝撃改質ポリマーとを含むポリマーブレンドに関する。ポリマーブレンドは、任意選択的に、非架橋相溶化剤をさらに含むことができる。ポリマーブレンドはまた、1つ以上の添加剤を含有してもよい。そのようなポリマーブレンドは、光ファイバーケーブル保護構成要素を形成するように押し出され得る。
結晶性ポリプロピレン
種々の実施形態における使用に好適な結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチックまたはシンジオタクチックのいずれかのホモポリマーポリプロピレンであってもよい。1つ以上の実施形態において、ポリマーの結晶化度を最大にするために、結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチックホモポリマーポリプロピレンであってもよい。「ポリマー」は、同じかまたは異なる種類のモノマーを反応させる(すなわち、重合する)ことによって調製される高分子化合物である。「ポリマー」は、ホモポリマー及びインターポリマーを含む。本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」は、単一のモノマー種に由来する反復単位を含むポリマーを意味するが、連鎖移動剤等のホモポリマーの調製に使用される残留量の他の化合物を除外しない。
本発明に使用されるポリプロピレンは、文献において周知であり、既知の技術によって調製することができる。一般に、ポリプロピレンは、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いて作製することができる。「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」(2001)は、これらの触媒、及び結晶性ポリプロピレンを作製するためのそれらの対応する反応器プロセスについて記載している。
ポリプロピレンの結晶化度は、示差走査熱量測定(「DSC」)によって測定される。この測定において、少量のプロピレンポリマーの試料がアルミニウム製DSCパンに封入される。試料は、25センチメートル/分で窒素パージされたDSCセルに入れられ、約−100℃まで冷却される。10℃/分で225℃まで加熱することによって、試料の標準的な熱履歴が確立される。次いで、試料は、約−100℃まで再冷却され、10℃/分で225℃まで再加熱される。2回目の走査で観察される融解熱(ΔHobserved)が記録される。観察される融解熱は、以下の等式によってポリプロピレン試料の重量に基づく重量パーセントでの結晶化度の程度に関連し、
結晶化度パーセント=(ΔHobserved)/(ΔHisotactic pp)X100
式中、アイソタクチックポリプロピレンの融解熱(ΔHisotactic pp)は、B.Wunderlich,Macromolecular Physics,Volume 3,Crystal Melting,Academic Press,New York,1960,p48中に、ポリマー1グラム当たり165ジュール(J/g)として報告されている。種々の実施形態において、結晶性ポリプロピレンは、少なくとも55重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、または少なくとも73重量パーセントの結晶化度を有することができる。2003年10月7日に出願された米国特許第7,087,680号は、本発明の種々の実施形態において有用な高結晶性ポリプロピレンの例を開示している。
1つ以上の実施形態において、結晶性ポリプロピレンは、1〜20グラム/10分(「g/10分」)、1〜12g/10分、2g〜9g/10分、2〜8g/10分、または3〜6g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)を有することができる。本明細書に提供されるメルトインデックスは、ASTM法D1238に従って決定される。別途記載のない限り、メルトインデックス(すなわち、I2)は、190℃及び2.16Kgで決定される。
種々の実施形態において、結晶性ポリプロピレンは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて45〜95重量パーセント(「重量%」)、55〜90重量%、60〜90重量%、または70〜90重量%の範囲の量でポリマーブレンド中に存在してもよい。
種々の実施形態において、核形成剤が、結晶性ポリプロピレンとともに用いられてもよい。好適な核形成剤の例として、Asahi Denim Kokaiから市販されているADK NA−11及びADK NA−21が挙げられる。他の例として、米国特許第3,367,926号及び5,574,816号に記載される核形成剤が挙げられる。当業者であれば、他の有用な核形成剤を容易に特定することができる。核形成剤は、典型的には、少なくとも500ppm、少なくとも650ppm、または少なくとも750ppmのレベルで結晶性ポリプロピレン中に組み込まれる。
架橋衝撃改質ポリマー
上で述べたように、ポリマーブレンドは、架橋衝撃改質ポリマーを含む。本明細書で使用される場合、「衝撃改質ポリマー」は、前述の結晶性ポリプロピレンの種々の特性を改質するポリマーである。例えば、衝撃改質ポリマーは、破砕することなく機械的エネルギーを吸収することができ、それによって光ファイバーケーブルに十分な衝撃靭性を付与するように、結晶性ポリプロピレンを改質することができる。
1つ以上の実施形態において、架橋衝撃改質ポリマーは、エラストマーである。架橋エラストマーは、オレフィンエラストマー、オレフィンマルチブロックインターポリマー、オレフィンブロック複合体、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ等の、任意の既知のまたは今後見出されるエラストマーから調製することができる。そのようなエラストマー成分は、シラン架橋及び無水マレイン酸/アミノ化架橋等の既知の架橋技術を用いて架橋されてもよい。種々の実施形態において、架橋される衝撃改質ポリマー(すなわち、「架橋性」衝撃改質ポリマー)は、まず、前述の結晶性ポリプロピレン及び任意の他の所望の成分と合わせてポリマーブレンドにされ得、その後、衝撃改質ポリマーは、ポリマーブレンド中の原位置で架橋され得る。したがって、好ましい架橋法は、衝撃改質ポリマーを選択的に架橋する一方で、結晶性ポリプロピレンもしくは他の任意選択的なポリマー成分等のポリマーブレンドの他の成分を架橋しないか、またはさもなければそれに悪影響を及ぼさないものである。種々の実施形態において、用いられる架橋法は、過酸化物誘発架橋を含まない。
上で述べたように、架橋される衝撃改質ポリマーは、オレフィンエラストマーあってもよい。オレフィンエラストマーは、ポリオレフィンホモポリマー及びインターポリマーの両方を含む。これらのオレフィンエラストマーは、後述されるオレフィンマルチブロックインターポリマーエラストマー、及びオレフィンブロック複合体エラストマーを除外する。ポリオレフィンホモポリマーの例は、エチレン及びプロピレンのホモポリマーである。ポリオレフィンインターポリマーの例は、エチレン/α−オレフィンインターポリマー及びプロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。そのような実施形態において、α−オレフィンは、C3−20直鎖、分岐、または環状α−オレフィンであってもよい(プロピレン/α−オレフィンインターポリマーの場合、エチレンはα−オレフィンであると見なされる)。C3−20α−オレフィンの例として、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタン等の環状構造を含有してもよく、その結果、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサン等のα−オレフィンを生じる。この用語の従来の意味でのα−オレフィンではないが、本発明の目的のために、ノルボルネン及び関連するオレフィン等の特定の環状オレフィンは、α−オレフィンであり、前述のα−オレフィンのいくつかまたは全ての代わりに用いられてもよい。同様に、スチレン及びその関連するオレフィン(例えば、α−メチルスチレン等)は、本発明の目的のためのα−オレフィンである。例示的なポリオレフィンコポリマーとして、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−へキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン等が挙げられる。例示的なターポリマーとして、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、及びエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。コポリマーは、ランダムまたはブロック状であってもよいが、それらは、前述のように、オレフィンマルチブロックコポリマーまたはオレフィンブロック複合体ではない。
オレフィンエラストマーはまた、不飽和エステルもしくは酸またはシラン等の1つ以上の官能基を含むことができ、これらのエラストマー(ポリオレフィン)は、周知であり、従来の高圧技術によって調製することができる。不飽和エステルは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはビニルカルボキシレートであってもよい。アルキル基は、1〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。カルボキシレート基は、2〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する。エステルコモノマーに起因するコポリマーの部分は、コポリマーの重量に基づいて1パーセント〜最大50重量パーセントの範囲であってもよい。アクリレート及びメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。ビニルカルボキシレートの例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び酪酸ビニルである。不飽和酸の例として、アクリル酸またはマレイン酸が挙げられる。不飽和シランの一例は、ビニルトリアルコキシシランである。
官能基はまた、当該技術分野で一般的に既知であるように達成され得るグラフト化によってオレフィンエラストマー中に含まれてもよい。一実施形態において、グラフト化は、典型的には、オレフィンポリマー、フリーラジカル開始剤(過酸化物等)、及び官能基を含有する化合物を溶融ブレンドすることを含む、フリーラジカル官能化によって行われてもよい。溶融ブレンド中、フリーラジカル開始剤は、オレフィンポリマーと反応して(反応性溶融ブレンド)ポリマーラジカルを形成する。官能基を含有する化合物は、ポリマーラジカルの主鎖に結合して官能化ポリマーを形成する。官能基を含有する例示的な化合物として、アルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン)、及びビニルカルボキシレート、ならびに無水物(例えば、無水マレイン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において有用な任意選択的なオレフィンエラストマーのより具体的な例として、超低密度ポリエチレン(「VLDPE」)(例えば、The Dow Chemical Companyによって作製されるFLEXOMER(商標)エチレン/1−へキセンポリエチレン)、均一に分岐した、直鎖エチレン/α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedによるTAFMER(商標)及びExxon Chemical CompanyによるEXACT(商標))、ならびに均一に分岐した、実質的に直鎖のエチレン/α−オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)ポリエチレン)が挙げられる。
オレフィンエラストマーはまた、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(「EPDM」)エラストマー及び塩素化ポリエチレン(「CPE」)を含むことができる。市販されている好適なEPDMの例として、The Dow Chemical Companyから入手可能なNORDEL(商標)EPDMが挙げられる。市販されている好適なCPEの例として、The Dow Chemical Companyから入手可能なTYRIN(商標)CPEが挙げられる。
本明細書において有用なオレフィンエラストマーはまた、プロピレン、ブテン、及び他のアルケン系コポリマー、例えば、プロピレンに由来する大多数の単位と、別のα−オレフィン(エチレンを含む)に由来する少数の単位とを含むコポリマーも含む。本明細書において有用な例示的なプロピレン系ポリマーとして、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、及びExxonMobil Chemical Companyから入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマーが挙げられる。
オレフィンエラストマー、特にエチレンエラストマーは、グラフト化前に、0.91g/cm3未満または0.90g/cm3未満の密度を有することができる。本明細書における使用に好適なオレフィンエラストマー、特にエチレンコポリマーは、0.85g/cm3超または0.86g/cm3超の密度を有することができる。
オレフィンエラストマー、特にエチレンエラストマーは、グラフト化前に、0.10g/10分超、または1g/10分超のメルトインデックス(I2)を有することができる。オレフィンエラストマー、特にエチレンエラストマーは、500g/10分未満または100g/10分未満のメルトインデックスを有することができる。
上で述べたように、架橋される衝撃改質ポリマーは、オレフィンマルチブロックインターポリマーであってもよい。「オレフィンマルチブロックインターポリマー」は、好ましくは直線状に結合した2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、吊り下げ様式またはグラフト化様式ではなく、重合したオレフィン官能基、好ましくはエチレン官能基に対して末端‐末端で結合した化学的に区別される単位を含むポリマーである。種々の実施形態において、ブロックは、組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、そのような組成のポリマーに起因する微結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、レジオ規則性もしくはレジオ不規則性、分岐(長鎖分岐もしくは超分岐を含む)の量、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。逐次モノマー付加、流動触媒、またはアニオン重合技術によって生成されるインターポリマーを含む従来技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明の実施において使用されるマルチブロックインターポリマーは、好ましい実施形態において、それらの調製に使用される複数の触媒と組み合わせたシャトリング剤(複数可)の影響に起因して、両方のポリマーの多分散性(PDIもしくはMw/MnもしくはMWD)の特有の分布、ブロック長分布、及び/またはブロック数分布を特徴とする。より具体的には、連続プロセスで生成される場合、ポリマーは、1.4〜3.5、1.5〜2.5、1.6〜2.5、または1.6〜2.1のPDIを有することができる。バッチまたはセミバッチプロセスで生成される場合、ポリマーは、1.4〜2.9、1.4〜2.5、1.4〜2.0、または1.4〜1.8のPDIを有することができる。
種々の実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、エチレンマルチブロックインターポリマーであってもよい。「エチレンマルチブロックインターポリマー」という用語は、エチレンと1つ以上の共重合可能なコモノマーとを含むマルチブロックインターポリマーを意味し、エチレンは、ポリマー中に少なくとも1つのブロックまたはセグメントの複数の重合したモノマー単位を構成し、ブロックの少なくとも90、少なくとも95、または少なくとも98モルパーセント(「mol%」)を構成することができる。ポリマーの総重量に基づいて、本明細書で使用されるエチレンマルチブロックインターポリマーは、25〜97mol%、40〜96mol%、55〜95mol%、または65〜85mol%のエチレン含有量を有することができる。コモノマー(単数)またはコモノマー(複数)は、インターポリマーの残りを構成することができる。1つ以上の実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、オレフィンマルチブロックコポリマーであってもよい。
いくつかの実施形態において、エチレンマルチブロックインターポリマーは、以下の式によって表すことができ、
(AB)n
式中、nは、少なくとも1であり、好ましくは、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上等の1より大きい整数であり、「A」は、硬質ブロックまたはセグメントを表し、「B」は、軟質ブロックまたはセグメントを表す。好ましくは、A及びBは、分岐または星形の様式ではなく、直線的な様式で連結される。「硬質」セグメントは、エチレンが95重量パーセント超、好ましくは98重量パーセント超の量で存在する重合した単位のブロックを指す。換言すると、硬質セグメント中のコモノマー含有量は、5重量パーセント未満、好ましくは2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、硬質セグメントは、全てまたは実質的に全てのエチレンを含む。その一方で、「軟質」セグメントは、コモノマー含有量が5重量%超、8重量%超、10重量%超、または15重量%超である、エチレンとα−オレフィンコモノマーとの重合した単位のブロックを指す。いくつかの実施形態において、軟質セグメント中のコモノマー含有量は、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超、50重量%、または60重量%超であってもよい。
いくつかの実施形態において、Aブロック及びBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布される。換言すると、ブロックインターポリマーは、通常、以下のような構造を有しない。
AAA−AA−BBB−BB.
他の実施形態において、ブロックインターポリマーは、通常、第3の種類のブロックを有しない。さらに他の実施形態において、ブロックA及びブロックBの各々が、ブロック内にランダムに分布されるモノマーまたはコモノマーを有する。換言すると、ブロックA及びブロックBのどちらも、ブロックの残りの部分とは異なる組成を有する先端セグメント等の、異なる組成の2つ以上のセグメント(またはサブブロック)を含まない。
2つ以上のモノマーから形成されるそれぞれの識別可能なセグメントまたはブロックは、単一のポリマー鎖に結合されるため、標準的な選択的抽出技術を使用してポリマーを完全に分取することはできない。例えば、比較的結晶性である領域(高密度セグメント)及び比較的非晶質である領域(低密度セグメント)を含有するポリマーは、異なる溶媒を使用して選択的に抽出または分取することができない。種々の実施形態において、ジアルキルエーテルまたはアルカン溶媒のいずれかを使用して抽出可能なポリマーの量は、ポリマーの総重量の10パーセント未満、7パーセント未満、5パーセント未満、または2パーセント未満である。
いくつかの実施形態において、マルチブロックインターポリマーは、ポアソン分布よりもむしろシュルツ・フローリー分布に適合するPDIを有する。インターポリマーは、多分散ブロック分布及びブロックサイズの多分散分布の両方を有し、かつ、ブロック長の最確分布を有することをさらに特徴とする。好ましいマルチブロックインターポリマーは、末端ブロックを含む4つ以上のブロックまたはセグメントを含有するものである。より好ましくは、インターポリマーは、末端ブロックを含む少なくとも5個、10個、または20個のブロックまたはセグメントを含む。
さらなる実施形態において、本発明のオレフィンマルチブロックインターポリマー、特に、連続的な溶液重合反応器内で作製されるものは、ブロック長の最確分布を有する。本発明の一実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、約1.7〜約3.5のMw/Mn、ならびに、
(A)少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立方センチメートル)を有するとして定義され、この場合、Tm及びdの数値は、以下の関係に対応するか、
Tm>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)2、または
(B)融解熱ΔH(J/g)、及び最高示差走査熱量測定(「DSC」)ピークと最高結晶化分析分画(「CRYSTAF」)ピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)を特徴とし、この場合、ΔT及びΔHの数値は、以下の関係を有するか、
ゼロより大きく、かつ最大130J/gのΔHの場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gより大きいΔHの場合、ΔT>48℃
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され(すなわち、ピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを意味しなければならない)、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である、または
(C)オレフィンマルチブロックインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される、300パーセントの歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(パーセント)、かつ密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、この場合、オレフィンマルチブロックインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、Re及びdの数値は、以下の関係を満たすか、
Re>1481−1629(d)、または
(D)画分が、同じ温度で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー画分のものよりも少なくとも5パーセント高いか、または少なくとも10パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とする昇温溶出分画(「TREF」)を用いて分取された場合、40℃〜130℃で溶出する分子量画分を有し、この場合、比較可能なランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、かつ、オレフィンマルチブロックインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有するか、または
(E)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、この場合、G’(25℃)対G’(100℃)の比率は、約1:1〜約9:1の範囲であるか、または
(F)ゼロより大きく、かつ最大約1の平均ブロックインデックスを特徴とする。
オレフィンマルチブロックインターポリマーは、(A)〜(F)の特性のうちの1つ、いくつか、全て、または任意の組み合わせを有してもよい。
本発明の実施において使用されるオレフィンマルチブロックインターポリマーの調製における使用に好適なモノマーは、エチレンと、エチレン以外の1つ以上のさらなる重合可能なモノマーとを含む。好適なコモノマーの例として、3〜30個、好ましくは3〜20個の炭素原子の直鎖または分岐α−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン、3〜30個、好ましくは3〜20個の炭素原子のシクロオレフィン、例えば、シクロペンテン、シクロへプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、ジオレフィン及びポリオレフィン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、及び5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、ならびに3−フェニルプロペン、4−フェニルプロペン、1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、及び3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンが挙げられる。
オレフィンマルチブロックインターポリマーは、例えば、グラフト化、水素化、ニトレン挿入反応、または当業者に既知のもの等の他の官能化反応によって改質されてもよい。好ましい官能化は、フリーラジカル機構を用いたグラフト化反応である。様々なラジカルによってグラフト化可能な種が、個々に、または比較的短いグラフトとして、ポリマーに付着してもよい。これらの種は、各々が少なくとも1個のヘテロ原子を含有する不飽和分子を含む。これらの種は、無水マレイン酸、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジシクロヘキシル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジオクタデシル、N−フェニルマレイミド、シトラコン酸無水物、テトラヒドロフタル無水物、ブロモマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジエチル、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、及びそれぞれのエステル、イミド、塩、ならびにこれらの化合物のディールスアルダー付加物を含むが、これらに限定されない。これらの種は、シラン化合物も含む。
オレフィンマルチブロックインターポリマーは、0.90g/cm3未満、0.89g/cm3未満、0.885g/cm3未満、0.88g/cm3未満、または0.875g/cm3未満の密度を有することができる。オレフィンマルチブロックインターポリマーは、少なくとも0.85g/cm3、少なくとも0.86g/cm3、または少なくとも0.865g/cm3の密度を有することができる。密度は、ASTM D792の手順によって測定される。
オレフィンマルチブロックインターポリマーは、少なくとも0.1g/10分、少なくとも0.2g/10分、または少なくとも0.3g/10分のメルトインデックスを有することができる。種々の実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、20g/10分未満、10g/10分未満、7g/10分未満、または1g/10分未満のメルトインデックスを有することができる。1つ以上の実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、0.38〜0.62g/10分の範囲のメルトインデックスを有することができる。
本明細書において有用なオレフィンマルチブロックインターポリマーは、ASTM法D790に従って測定した場合、150MPa未満、100MPa未満、50MPa未満、または10MPa未満の2%割線係数を有することができる。オレフィンマルチブロックインターポリマーは、ゼロより大きい2%割線係数を有することができる。
本明細書において有用なオレフィンマルチブロックインターポリマーは、125℃未満であるが、60℃超、70℃超、80℃超、90℃超、100℃超、または110℃超の融点を有することができる。融点は、国際公開第2005/090427号(米国特許出願公開第2006/0199930号)に記載される示差走査熱量測定(「DSC」)法によって測定される。
オレフィンマルチブロックインターポリマーは、1,000〜5,000,000g/mol、1,000〜1,000,000g/mol、10,000〜500,000g/mol、または10,000〜300,000g/molの重量平均分子量(「Mw」)を有することができる。
1つ以上の実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、10〜40重量%、15〜25重量%、または15〜17重量%の硬質セグメントを含有する。硬質セグメントは、コモノマーに由来する単位を含まないか、または0.5mol%含有する。オレフィンマルチブロックインターポリマーはまた、60〜90重量%、または75〜85重量%、または83重量%〜85重量%の軟質セグメントも含有する。軟質ブロック中のα−オレフィンの含有量は、20〜40mol%、25〜35mol%、または23〜30mol%の範囲であってもよい。種々の実施形態において、モノマーは、エチレンであってもよく、コモノマーは、ブテンまたはオクテンであってもよい。いくつかの実施形態において、コモノマーはオクテンである。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法によって測定される。
種々の実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、中間相分離していてもよい。本明細書で使用される場合、「中間相分離」は、ポリマーブロックが局所的に分離して規則正しいドメインを形成するプロセスを意味する。これらの系におけるエチレンセグメントの結晶化は、主として、結果として生じる中間相に限定され、そのような系は「中間相分離した」と称されてもよい。これらの中間相は、球体、円柱、ラメラ、またはブロックインターポリマーについて既知の他の形態を取ることができる。例えば、ラメラの平面に垂直な方向のドメインの最も狭い寸法は、一般的に、本発明の中間相分離したオレフィンマルチブロックインターポリマーにおいて約40nmを超える。
ドメインのサイズは、ラメラの平面に垂直な方向、または球体もしくは円柱の直径等の最小寸法によって測定された場合に40〜300nm、50〜250nm、または60〜200nmの範囲であってもよい。さらに、60nm超、100nm超、及び150nm超の最小寸法を有してもよい。ドメインは、円柱、球体、ラメラ、またはブロックインターポリマーについて既知の他の形態として特徴づけられてもよい。
中間相分離したポリマーは、オレフィンマルチブロックインターポリマーを含み、硬質セグメント中のコモノマーの量と比較した場合の軟質セグメント中のコモノマーの量は、ブロックインターポリマーが溶融物中で中間相分離を経験するような量である。必要なコモノマーの量は、モルパーセントで測定されてもよく、各コモノマーによって異なる。中間相分離を達成するために必要な量を決定するために、任意の所望のコモノマーについて計算を行うことができる。これらの多分散ブロックインターポリマーにおいて中間相分離を達成するための最低レベルの不適合性は、χNとして表され、χN=2.0であると予測される(I.I.Potemkin,S.V.Panyukov,Phys.Rev.E.57,6902(1998))。通常、変動によって、市販のブロックコポリマーの秩序−無秩序転移がわずかにより高いχNに押し上げられることを認識し、値χN=2.34が、以下の計算において最小値として用いられている。D.J.Lohse,W.W.Graessley,Polymer Blends Volume 1:Formulation,ed.D.R.Paul,C.B.Bucknall,2000のアプローチに従って、χNをχ/vとM/ρとの積(式中、vは基準体積であり、Mは数平均ブロック分子量であり、ρは溶融密度である)に変換することができる。溶融密度は0.78g/cm3であると見なされ、典型的なブロック分子量の値は、全体の分子量が51,000g/molであるジブロックに基づいて約25,500g/molである。コモノマーがブテンまたはプロピレンである場合のχ/vは、130℃を温度として用い、次いで、Lohse and Graessleyによる参考文献中の表8.1に提供されるデータの内挿または外挿を行うことによって決定される。各コモノマーの種類ごとに、コモノマーのモルパーセントにおいて線形回帰が行われた。オクテンがコモノマーである場合、Reichart,G.C.et al,Macromolecules(1998),31,7886のデータを用いて同じ手順が行われた。413K(約140℃)での絡み合い分子量(kg/mol)は、1.1であると見なされる。これらのパラメータを用いると、コモノマーが、オクテン、ブテン、またはプロピレンである場合、コモノマー含有量の最小差は、それぞれ、20.0、30.8、または40.7モルパーセントであると決定される。コモノマーが1−オクテンである場合、硬質セグメントと軟質セグメントとの間のオクテンのモルパーセントの差(Δオクテン)は、少なくとも20.0mol%、少なくとも22mol%、少なくとも23mol%、少なくとも24mol%、少なくとも25mol%、または少なくとも26mol%であり得る。さらに、Δオクテン値は、20.0〜60mol%、または22〜45mol%の範囲であってもよい。コモノマーが1−ブテンである場合、硬質セグメントと軟質セグメントとの間のブテンのモルパーセントの差(Δブテン)は、少なくとも30.8mol%、少なくとも33.9mol%、少なくとも35.4mol%、少なくとも36.9mol%、少なくとも38.5mol%、または少なくとも40.0mol%であり得る。さらに、Δブテン値は、30.8〜80mol%、33.9〜60mol%、36〜50mol%、または37〜40mol%の範囲であってもよい。コモノマーがプロピレンである場合、硬質セグメントと軟質セグメントとの間のプロピレンのモルパーセントの差(Δプロピレン)は、少なくとも40.7mol%、少なくとも44.7mol%、少なくとも46.8mol%、少なくとも48.8mol%、少なくとも50.9mol%、または少なくとも52.9mol%である。さらに、Δプロピレン値は、40.7〜95mol%、44.7〜65mol%、または48.8〜60mol%の範囲であってもよい。
いくつかの実施形態において、オレフィンマルチブロックインターポリマーは、ゼロよりも大きいが0.4未満または0.1〜0.3の平均ブロックインデックス(「ABI」)を有することができる。他の実施形態において、ABIは、0.4よりも大きく最大1.0であってもよい。いくつかの実施形態において、ABIは、0.4〜0.7、0.5〜0.7、または0.6〜0.9の範囲であってもよい。さらに他の実施形態において、ABIは、0.3〜0.9、0.3〜0.8、または0.3〜0.7、0.3〜0.6、0.3〜0.5、または0.3〜0.4の範囲であってもよい。さらに他の実施形態において、ABIは、0.4〜1.0、0.5〜1.0、0.6〜1.0、0.7〜1.0、0.8〜1.0、または0.9〜1.0の範囲であってもよい。
本発明の実施において使用されるオレフィンマルチブロックインターポリマー、それらの調製及び使用、ならびに特定の特性(ABI等)を算出するための方法は、米国特許第7,947,793号及び米国特許出願公開第2010/0113698A1号に完全に記載されている。
本明細書における使用に好適な市販のオレフィンマルチブロックインターポリマーは、The Dow Chemical Company(米国、ミシガン州ミッドランド)から入手可能なINFUSE(商標)9077を含むが、これに限定されない。
上で述べたように、架橋される衝撃改質ポリマーは、オレフィンブロック複合体であってもよい。「ブロック複合体」という用語は、(1)軟質コポリマー、(2)硬質ポリマー、及び(3)軟質セグメント及び硬質セグメントを有するブロックコポリマーの3つの成分を含むポリマー組成物を指す。ブロックコポリマーの硬質セグメントは、ブロック複合体中の硬質ポリマーと同じ組成物であり、ブロックコポリマー中の軟質セグメントは、ブロック複合体の軟質コポリマーと同じ組成物である。
オレフィンブロック複合体中に存在するブロックコポリマーは、直鎖または分岐であってもよい。より具体的には、連続プロセスで生成される場合、ブロック複合体は、1.7〜15、1.8〜3.5、1.8〜2.2、または1.8〜2.1のPDIを有することができる。バッチまたはセミバッチプロセスで生成される場合、ブロック複合体は、1.0〜2.9、1.3〜2.5、1.4〜2.0、または1.4〜1.8のPDIを有することができる。「オレフィンブロック複合体」という用語は、2つ以上のα−オレフィン系モノマーから単独でまたは実質的に単独で調製されるブロック複合体を指す。種々の実施形態において、オレフィンブロック複合体は、2つのα−オレフィン系モノマー単位のみからなってもよい。オレフィンブロック複合体の例として、プロピレンモノマー残基のみまたは実質的にそれのみを含む硬質セグメント及び硬質ポリマーと、エチレン及びプロピレンのコモノマー残基のみまたは実質的にそれのみを含む軟質セグメント及び軟質ポリマーとが挙げられる。
オレフィンブロック複合体を説明する際、「硬質」セグメントは、単一のモノマーが95mol%超、または98mol%超の量で存在する重合した単位の高結晶性ブロックを指す。換言すると、硬質セグメント中のコモノマー含有量は、5mol%未満、または2mol%未満である。いくつかの実施形態において、硬質セグメントは、全てまたは実質的に全てのプロピレン単位を含む。その一方で、「軟質」セグメントは、10mol%超のコモノマー含有量を有する重合した単位の非晶質、実質的に非晶質、またはエラストマーのブロックを指す。いくつかの実施形態において、軟質セグメントは、エチレン/プロピレンインターポリマーを含む。
ブロック複合体に言及する場合、「ポリエチレン」という用語は、エチレンのホモポリマーと、エチレンが少なくとも50モルパーセントを占めるエチレンと1つ以上のC3−8α−オレフィンとのコポリマーとを含む。「プロピレンコポリマー」または「プロピレンインターポリマー」という用語は、プロピレンと1つ以上の共重合可能なコモノマーとを含むコポリマーを意味し、ポリマー中の少なくとも1つのブロックまたはセグメント(結晶性ブロック)の複数の重合したモノマー単位が、少なくとも90モルパーセント、少なくとも95モルパーセント、または少なくとも98モルパーセントの量で存在することができるプロピレンを含む。主として4−メチル−1−ペンテン等の異なるα−オレフィンから作製されるポリマーも、同様に称される。「結晶性」という用語は、オレフィンブロック複合体を説明するために使用される場合、示差走査熱量測定(「DSC」)または均等の技術によって決定される一次転移または結晶融点(「Tm」)を有するポリマーまたはポリマーブロックを指す。「結晶性」という用語は、「半結晶性」という用語と同義に使用されてもよい。「非晶質」という用語は、結晶融点を有しないポリマーを指す。「アイソタクチック」は、13C−核磁気共鳴(「NMR」)分析によって決定された場合に少なくとも70パーセントのアイソタクチックペンタッドを有するポリマー反復単位を意味する。「高度にアイソタクチック」とは、少なくとも90パーセントのアイソタクチックペンタッドを有するポリマーを意味する。
オレフィンブロック複合体に言及する場合、「ブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、直線状に結合した2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、吊り下げ様式またはグラフト化様式ではなく、重合したエチレン官能基に対して末端‐末端で結合した化学的に区別される単位を含むポリマーを指す。実施形態において、ブロックは、その中に組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、そのような組成のポリマーに起因する微結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、レジオ規則性もしくはレジオ不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。本明細書において用いられるオレフィンブロック複合体は、好ましい実施形態において、ブロック複合体の調製に使用される触媒(複数可)と組み合わせたシャトリング剤(複数可)の影響に起因して、ポリマーPDIの特有の分布、ブロック長分布、及び/またはブロック数分布を特徴とする。
本明細書において用いられるオレフィンブロック複合体は、付加重合可能なモノマーまたはモノマーの混合物を、付加重合条件下で、少なくとも1つの付加重合触媒、共触媒、及び鎖シャトリング剤(「CSA」)を含む組成物と接触させることを含むプロセスによって調製することができ、このプロセスは、定常状態重合条件下で動作する2つ以上の反応器内、またはプラグフロー重合条件下で動作する反応器の2つ以上のゾーン内で、異なるプロセス条件下で成長するポリマー鎖のうちの少なくともいくつかの形成を特徴とする。
本発明のオレフィンブロック複合体の調製における使用に好適なモノマーは、任意のα−オレフィンを含む任意のオレフィンまたはジオレフィンモノマー等の、任意の付加重合可能なモノマーを含む。好適なモノマーの例として、2〜30個、または2〜20個の炭素原子の直鎖または分岐α−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等、ならびに、ジオレフィン及びポリオレフィン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、及び5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンが挙げられる。種々の実施形態において、エチレン及び少なくとも1つの共重合可能なコモノマー、4〜20個の炭素を有するプロピレン及び少なくとも1つの共重合可能なコモノマー、2個もしくは5〜20個の炭素を有する1−ブテン及び少なくとも1つの共重合可能なコモノマー、または4〜20個の炭素を有する4−メチル−1−ペンテン及び少なくとも1つの異なる共重合可能なコモノマーが用いられてもよい。実施形態において、オレフィンブロック複合体は、プロピレン及びエチレンモノマーを用いて調製される。
結果として得られるブロック複合体中のコモノマー含有量は、NMR分光法等の任意の好適な技術を使用して測定されてもよい。いくつかまたは全てのポリマーブロックが、非晶質または比較的非晶質のポリマー、例えば、プロピレン、1−ブテン、または4−メチル−1−ペンテン及びコモノマーのコポリマー、特に、エチレンを含むプロピレン、1−ブテン、または4−メチル−1−ペンテンのランダムコポリマーを含み、存在する場合、任意の残りのポリマーブロック(硬質セグメント)が、重合した形態のプロピレン、1−ブテンまたは4−メチル−1−ペンテンを主に含むことが非常に望ましい。好ましくは、そのような硬質セグメントは、高結晶性または立体特異性ポリプロピレン、ポリブテンまたはポリ−4−メチル−1−ペンテン、特にアイソタクチックホモポリマーである。
さらに、ブロック複合体のブロックコポリマーは、10〜90重量%の硬質セグメント及び90〜10重量%の軟質セグメントを含む。
軟質セグメント内で、コモノマーのモルパーセントは、5〜90重量%、または10〜60重量%の範囲であってもよい。コモノマーがエチレンである場合、それは10〜75重量%、または30〜70重量%の量で存在してもよい。実施形態において、プロピレンは、軟質セグメントの残りの部分を構成する。
実施形態において、オレフィンブロック複合体のブロックコポリマーは、80〜100重量%のプロピレンである硬質セグメントを含む。硬質セグメントは、90重量%超、95重量%超、または98重量%超のプロピレンであってもよい。
本明細書に記載されるブロック複合体は、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、及び逐次モノマー付加によって調製されるブロックコポリマーとは区別されてもよい。ブロック複合体は、後述するように、同じ量のコモノマーより高い溶融温度、ブロック複合体指数等の特徴によってランダムコポリマーから、より低い温度でのブロック複合体指数、より優れた引張強度、改善された破壊強度、より微細な形態、改善された光学特性、及びより大きな衝撃強度等の特徴によって物理的ブレンドから、分子量分布、レオロジー、ずり流動化、レオロジー比によって、かつブロック多分散性が存在することから、逐次モノマー付加によって調製されるブロックコポリマーと区別されてもよい。
いくつかの実施形態において、ブロック複合体は、以下に定義されるような、すなわち、ゼロより大きく0.4未満、または0.1〜0.3のブロック複合体指数(「BCI」)を有する。他の実施形態において、BCIは、0.4より大きく、かつ最大1.0である。さらに、BCIは、0.4〜0.7、0.5〜0.7、または0.6〜0.9の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、BCIは、0.3〜0.9、0.3〜0.8、0.3〜0.7、0.3〜0.6、0.3〜0.5、または0.3〜0.4の範囲であってもよい。他の実施形態において、BCIは、0.4〜1.0、0.5〜1.0、0.6〜1.0、0.7〜1.0、0.8〜1.0、または0.9〜1.0の範囲であってもよい。BCIは、本明細書において、100%で除したジブロックコポリマーの重量パーセント(すなわち、重量分率)に等しいと定義される。ブロック複合体指数の値は、0〜1の範囲であってもよく、1は、100%ジブロックに等しく、ゼロは、従来のブレンドまたはランダムコポリマー等の材料である。BCIを決定するための方法は、例えば、米国公開特許出願第2011/0082258号の段落[0170]〜[0189]で見つけることができる。
オレフィンブロック複合体は、100℃超、120℃超、または125℃超のTmを有することができる。ブロック複合体のメルトインデックス(「I2」)は、0.1〜1000g/10分、0.1〜50g/10分、0.1〜30g/10分、または1〜10g/10分の範囲であってもよい。ブロック複合体は、10,000〜2,500,000、35,000〜1,000,000、50,000〜300,000、または50,000〜200,000g/molの重量平均分子量(「Mw」)を有することができる。
本発明における使用に好適なオレフィンブロック複合体の生成に有用なプロセスは、例えば、2008年10月30日に公開された米国特許出願公開第2008/0269412号で見つけることができる。オレフィンブロック複合体の調製における使用に好適な触媒または触媒前駆物質は、国際公開第2005/090426号に、具体的には20ページの30行目から53ページの20行目に開示されるもの等の金属錯体を含む。好適な触媒はまた、米国特許出願公開第2006/0199930号、同第2007/0167578号、同第2008/0311812号、同第2011/0082258号、米国特許第7,355,089号、及び国際公開第2009/012215号にも開示されている。好適な共触媒は、国際公開第2005/090426号に開示されるもの、具体的には54ページの1行目〜60ページの12行目に開示されるものである。好適な鎖シャトリング剤は、国際公開第2005/090426号に開示されるもの、具体的には19ページの21行目から20ページの12行目に開示されるものである。特に好ましい鎖シャトリング剤は、ジアキル亜鉛化合物である。オレフィンブロック複合体自体は、米国特許第8,476,366号に完全に記載されている。
上で述べたように、衝撃改質ポリマーは、種々の方法を用いて架橋され得る。実施形態において、前述のエラストマーは、(i)エラストマーをシラングラフト化し、それによってシラングラフト化エラストマーを形成し、その後、水分硬化触媒及び水の存在下で、シラングラフト化エラストマーを架橋することか、または(ii)無水マレイン酸(「MAH」)でエラストマーをグラフト化し、その後アミノ化架橋によってMAHグラフト化エラストマーを架橋することにより架橋され得る。
たった今述べたように、衝撃改質ポリマーを架橋する一方法は、エラストマーへのシラン官能基の組み込みを含む。前述のものから選択されるエラストマーと効果的に共重合するか、またはそれにグラフト化するであろう任意のシランを、本明細書で使用することができる。種々の実施形態において、以下の式を有するシランコモノマーが、前述のエラストマー内に組み込まれ(すなわち、グラフト化または共重合され)得る:
式中、R1は、水素原子またはメチル基であり、xは、0または1であるが、但し、xが1のとき、nは少なくとも1であることを条件とし、m及びnは独立して、0〜12の整数(境界値を含む)、好ましくは1〜4であり、各R2は独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノ基もしくは置換アミノ基(例えば、アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1〜6個(境界値を含む)の炭素原子を有する低級アルキル基等の加水分解性有機基であるが、但し、3つのR基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする。そのようなシランは、反応器内で前述のエラストマー化合物を形成するモノマーと共重合してもよい。そのようなシランはまた、好適な量の有機過酸化物の使用によって、好適なエラストマーにグラフト化され得る。また、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン等のフリーラジカルプロセスによってエラストマー中に不飽和を付加するシランが含まれる。
好適なシランには、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、またはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基等のエチレン性不飽和ヒドロカルビル基、及び例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、またはヒドロカルビルアミノ基等の加水分解基を含む、不飽和シランが挙げられる。加水分解基の例には、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロプリオニルオキシ基、及びアルキルアミノ基またはアリールアミノ基が挙げられる。好ましいシランは、ポリマー上にグラフト化できるか、反応器内で(エチレン及びアクリレート等の)他のモノマーと共重合できる不飽和アルコキシシランである。これらのシラン及びこれらの調整方法は、Meverdenらの米国特許第5,266,627号にさらに完全に記載されている。ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びこれらのシランの混合物が、本発明の使用に好ましいシランコモノマーである。
使用されるシランコモノマーの量は、ポリマーの性質、シラン、処理または反応器の条件、グラフト化または共重合の効率、最終用途、及び同様因子によって大きく異なり得る。しかしながら、典型的には、エラストマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5、または少なくとも0.7重量%が使用される。便宜性及び経済性の配慮は、使用されるシランコモノマーの最大量への主要な制限のうちの2つであり、典型的には、シランコモノマーの最大量は、5重量%または3重量%を超えない。
シランコモノマーは、任意の従来のまたは今後見出される方法により、典型的には、フリーラジカル開始剤(例えば、過酸化物またはアゾ化合物)の存在下、または電離放射線などによって、エラストマーにグラフト化され得る。好適なフリーラジカル開始剤の例には、過酸化物開始剤、例えば、ジクミル過酸化物、ジ−tert−ブチル過酸化物、t−ブチルペルベンゾエート、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトン過酸化物、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウリル過酸化物、及びtert−ブチルペルアセテートのうちの任意の1つ等の、有機開始剤が挙げられる。好適なアゾ化合物は、2,2−アゾビスイソブチロニトリルである。開始剤の量は、異なり得るが、典型的には、少なくとも0.04部/樹脂100部(「phr」)、または少なくとも0.06phrの量で存在する。典型的に、開始剤は、0.15phr、または0.10phrを超えない。シランコモノマーの、開始剤に対する重量比もまた大きく異なり得るが、典型的には、コモノマー:開始剤の重量比は、10:1〜500:1、または18:1〜250:1である。部/樹脂100部またはphrで使用される場合、「樹脂」は、前述のエラストマーを意味する。
従来の方法が、シランコモノマーをエラストマーにグラフト化するために使用できる一方で、例示的な方法は、Buss混練機等の反応器押出機の第1の段階で、2つの成分を開始剤とブレンドすることを含む。グラフト化条件は、異なり得るが、溶融温度は、開始剤の滞留時間及び半減期によって、典型的には、160〜260℃、または190〜230℃である。
前述のエラストマーの調製で用いられるモノマーとのシランコモノマーの共重合は、前述のエラストマーを調製するために使用される反応器(単数)または反応器(複数)内で行われてもよい。そのような共重合技術は、当業者には既知である。
加水分解性シラン官能基を含有するエラストマーは、縮合触媒の使用により架橋され得る。縮合触媒は、加水分解性シラン基との水分架橋反応に触媒作用を及ぼす、任意の化合物であってもよい。縮合触媒は、錫、亜鉛、鉄、鉛、及びコバルト等の金属のカルボキシレート、有機塩基、無機酸、ならびに有機酸を含むことができる。そのような触媒の例には、ジブチル錫ジラウレート(「DBTDL」)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸錫、カプリル酸錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸及び塩酸等の無機酸、ならびにスルホン酸(例えば、トルエンスルホン酸)、酢酸、ステアリン酸、及びマレイン酸等の有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。種々の実施形態において、触媒は、錫系触媒及びスルホン酸から選択される。さらに他の実施形態において、触媒は、錫カルボキシレートであってもよい。さらに、ある実施形態において、触媒は、DBTDLである。触媒は、未希釈またはマスターバッチの一部として用いられてもよい。そのようなマスターバッチは、例えば、ポリオレフィン担体(例えば、ポリエチレン)、酸化防止剤、及び/または金属不活性化剤を、追加的に含んでもよい。好適な市販の触媒含有マスターバッチの例は、The Dow Chemical Company(米国、ミシガン州ミッドランド)から入手可能なDFDA−5480NT(商標)を含む。
用いられる縮合触媒の最小量は、触媒量である。典型的には、この量は、衝撃改質ポリマーと縮合触媒とを合わせた重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.02重量%、または少なくとも0.03重量%である。衝撃改質ポリマー中の架橋触媒の最大量への唯一の限度は、経済性及び実用性(例えば、収穫逓減)によって課せられたものであるが、典型的には、一般的な最大限度は、衝撃改質ポリマーと縮合触媒とを合わせた重量に基づいて、5重量%未満、3重量%未満、または2重量%未満である。種々の実施形態において、縮合触媒は、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、0.01〜0.5重量%の範囲の量でポリマーブレンド中に存在してもよい。
上で述べたように、代替架橋法は、架橋性衝撃改質ポリマーを作製するために、無水マレイン酸を前述のエラストマーでグラフト化するか、それに共重合させることを含む。グラフト化技術は、当該技術分野で既知であり、MAHコモノマーは、当該技術分野で任意の既知の方法または今後見出される方法を用いて、前述のエラストマーでグラフト化することができる。MAHコポリマーが使用されるとき、エチレン、無水マレイン酸、及び任意選択的にさらなるコモノマーを含有する、高圧反応器ポリマーが、用いられてもよい。例えば、エチレン/無水マレイン酸/ブチルアクリレートターポリマーは、MAH含有コポリマーとして使用することができる。市販されているそのようなターポリマーの例は、ArkemaによるLotader AX 8840である。
共重合されているかグラフト化されているかにかかわらず、MAHコモノマーは、衝撃改質ポリマー中に、エラストマーの総重量に基づいて、0.25重量%未満〜1.0重量%超、0.25〜1.5重量%、または0.5〜1.25重量%の範囲の量で存在することができる。
結果として得られるMAH官能化エラストマーは、アミノ化プロセスによって架橋され得る。そのようなプロセスにおいて、MAH官能化エラストマーは、ジアミン架橋剤と、(後述のように)原位置で架橋を行う場合は、前述の結晶性ポリプロピレン及び任意の他の所望の成分と合わせられる。次いで、MAH官能化エラストマーの選択的架橋は、高温(例えば、180℃)またはアミン触媒のいずれかを用いて、達成することができる。種々の実施形態において、MAH官能化エラストマーは、高温でのポリマーブレンドの押出により原位置で選択的に架橋され得る。
任意の既知のまたは今後見出されるジアミン架橋剤が、MAH官能化エラストマーを選択的に架橋するのに、用いられてもよい。好適な例には、1,12−ジアミノドデカン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、及び1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)が挙げられるが、これらに限定されない。種々の実施形態において、用いられるジアミン架橋剤の量は、MAH官能化エラストマー中に、1つの無水マレイン酸官能基当たり、0.8〜1.3、0.9〜1.2、または1.0〜1.1モル当量のアミン基の範囲であってもよい。1つ以上の実施形態において、用いられるジアミン架橋剤は、1つの無水マレイン酸官能基当たり約1.1モル当量のアミン基の量で、MAH官能化エラストマー中に存在してもよい。
1つ以上の実施形態において、架橋衝撃改質ポリマーは、ポリマー組成物の総重量に基づいて、4〜50重量%、4〜30重量%、4〜25重量%、4〜20重量%、または4〜15重量%の範囲の量でポリマー組成物中に存在してもよい。
任意選択的な相溶化剤
種々の実施形態において、ポリマーブレンドは、1つ以上の相溶化剤を、任意選択的に含むことができる。種々の実施形態において、任意選択的な相溶化剤は、架橋されない1つ以上の追加的エラストマー成分であってもよい。例えば、ポリマーブレンドは、前述のもの等の、オレフィンエラストマー、オレフィンマルチブロックインターポリマー、及びオレフィンブロック複合体からなる群から選択される非架橋エラストマーを含むことができる。任意選択的な相溶化剤は、存在する場合、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、1〜30重量%、2〜20重量%、または3〜10重量%の範囲の量で使用されてもよい。
相溶化剤は、非架橋かつ非架橋性(例えば、非シラングラフト化、非MAHグラフト化)の形態の前述のエラストマーのうちのいずれか1つ以上であってもよい。1つ以上の実施形態において、相溶化剤は、オレフィンブロック複合体であってもよい。さらに、種々の実施形態において、前述のように、相溶化剤は、アイソタクチック−ポリプロピレン/エチレン−プロピレンオレフィンブロック複合体でもよい。
添加剤
種々の実施形態において、炭化水素油もポリマーブレンドに含まれてもよい。この追加成分は、典型的には光ファイバケーブルグリース中に見られる望ましくない低分子量種のその後の拡散及び吸収を減少させ得、それによって衝撃性能とゲル適合性とのバランスを改善する。
用いられる場合、炭化水素油は、ポリマーブレンド中に存在する全てのポリマー成分の100重量部に基づいて、0.2〜10部/樹脂100部(「phr」)、または0.3〜3.0phrの範囲の量でポリマーブレンド中に存在してもよい。より高い分子量の炭化水素油が、低分子量炭化水素油よりも好ましい。種々の実施形態において、炭化水素油は、ASTM D−445によって測定された場合に400センチストーク超の粘度を有することができる。さらに、炭化水素油は、ASTM D−1250によって測定された場合に0.86〜0.90の比重を有することができる。また、炭化水素油は、ASTM D−92によって測定された場合に300℃超の引火点を有することができる。さらに、炭化水素油は、ASTM D−97によって測定された場合に−10℃超の流動点を有することができる。さらに、炭化水素油は、ASTM D−611によって測定された場合に80〜300℃のアニリン点を有することができる。
種々の実施形態において、ポリマーブレンドは、1つ以上の微粒子充填剤、例えば、ナノ複合体を含むガラス繊維または種々の鉱物充填剤等を含むことができる。充填剤、特に、より高いアスペクト比(長さ/厚さ)を提供する細長い粒子または血小板状粒子を有するものは、弾性率及び押出後収縮特性を改善する。充填剤は、ポリマーブレンド中に存在する全てのポリマー成分の100重量部に基づいて0.1〜20phrの範囲の量でポリマーブレンド中に含まれてもよい。
ポリマーブレンドはまた、他の種類の添加剤を含有してもよい。代表的な添加剤は、酸化防止剤、共架橋剤、硬化促進剤及びスコーチ防止剤、加工補助剤、カップリング剤、紫外線安定剤(紫外線吸収剤を含む)、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、潤滑剤、粘度調節剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸掃去剤、難燃剤、金属不活性化剤を含むが、これらに限定されない。これらの添加剤は、典型的には、従来の様式で、従来の量で、例えば、ポリマーブレンド中に存在する全てのポリマー成分の100重量部に基づいて0.01phr以下〜20phr以上で使用される。
好適な紫外線安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤(「HALS」)及び紫外線吸収剤(「UVA」)添加剤を含む。代表的なUVA添加剤は、Ciba,Inc.から市販されているTinuvin 326及びTinuvin 328等のベンゾトリアゾール種を含む。HALとUVA添加剤のブレンドも効果的である。
酸化防止剤の例として、ヒンダードフェノール、例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタン、ビス[(β−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メチルカルボキシエチル)]−スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)−ヒドロシンナメート、ホスファイト及びホスホナイト、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイト、チオ化合物、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネート、種々のシロキサン、重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルベンジル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン、ならびに他のヒンダードアミン分解防止剤または安定剤が挙げられる。
加工補助剤の例として、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウム等のカルボン酸の金属塩、ステアリン酸、オレイン酸、またはエルカ酸等の脂肪酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、またはN,N’−エチレンビス−ステアリン酸アミド等の脂肪アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化エチレンのポリマー、酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマー、植物性ワックス、石油ワックス、非イオン性界面活性剤、シリコーン液、及びポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
調合
1つ以上の実施形態において、本発明の実施において使用されるポリマーブレンドの成分は、溶融ブレンドのためにバッチミキサーまたは連続ミキサーに添加することができる。成分は、任意の順序で添加されてもよいか、または他の成分とブレンドするために1つ以上のマスターバッチを最初に調製してもよい。添加剤は、通常、バルク樹脂及び/または充填剤に添加される前に1つ以上の他の成分とブレンドされる。一実施形態において、添加剤は、事前に調製したマスターバッチを使用することなく調合ラインに直接添加することができる。典型的には、溶融ブレンドは、溶融ポリマーの最高融点よりは高いが、過酸化物(存在する場合)の活性化温度よりも低い温度で行われる。次いで、溶融ブレンドされた組成物は、所望の物品に成形するために、押出機もしくは射出成形機に供給されてもよいか、または金型を通過させてもよく、または保管のために、もしくは次の成形もしくは加工に供給する材料を調製するために、ペレット、テープ、ストリップ、フィルム、もしくは何らかの他の形状にされてもよい。任意選択的に、ペレットまたは何らかの同様の構造に成形されると、次いで、ペレット等の保存中の扱いを容易にするために粘着防止剤でコーティングされてもよい。
組成物の調合は、当業者に既知の標準設備によって実行することができる。調合設備の例は、Banbury(商標)またはBolling(商標)内部ミキサー等の内部バッチミキサーである。代替として、Farrel(商標)連続ミキサー、Werner and Pfleiderer(商標)二軸ミキサー、またはBuss(商標)混錬連続押出機等の単軸または二軸ミキサーを使用することもできる。用いられるミキサーの種類、及びミキサーの動作条件は、粘度、体積抵抗率、及び押出表面平滑性等の組成物の特性に影響を及ぼす。
本発明のポリマーブレンドを含む成形電気物品は、所与の設計の成型部品を製造するために、調合された材料が射出成形機に供給される射出成形プロセスによって作製することができる。
原位置架橋
上で述べたように、架橋衝撃改質ポリマーは、前述のように、調合後、任意の所望の架橋触媒を含むポリマーブレンドの他の成分で架橋され得る。種々の実施形態において、そのような架橋段階は、ペレット、粒状、または他の形態(すなわち、最終物品に成形する前)の化合物で行われてもよい。他の実施形態において、衝撃改質ポリマーの架橋は、後述されるもの等の光ケーブル保護構成要素の形成後に行われてもよい。
例えば、シラン官能化エラストマーが架橋性衝撃改質ポリマーとして用いられる場合、このエラストマーは、当該技術分野で既知の周囲条件で架橋され得る。必須ではないが、所望により、ポリマーブレンド、押出されたブレンド、または光ケーブル構成要素は、高温及び外部の水分のいずれか、または両方に曝露されてもよい。高温が用いられる場合、高温は、典型的には、衝撃改質ポリマーが所望の架橋度に達するような期間、周囲と50℃であり得る温度、またはさらにはそれ以上の温度との間である。別の例のように、MAH官能化エラストマーが架橋性衝撃改質ポリマーとして用いられる場合、衝撃改質ポリマーは、ポリマーブレンドの押出中に用いられる高温で架橋されてもよい。
光ファイバーケーブル
種々の実施形態において、本明細書に記載のポリマーブレンドから作製される少なくとも1つの押出光学保護構成要素を含み、かつ少なくとも1つの光ファイバー伝送媒体を組み込んだ光ファイバーケーブルを調製することができる。
一般的なルースバッファチューブ光ファイバーケーブルの設計の断面図が図1に示される。この光ファイバーケーブル1の設計では、バッファチューブ2は、チューブに対して軸方向長に螺旋回転しながら、中心強度部材4の周囲に放射状に位置付けられる。螺旋回転は、チューブまたは光ファイバー6を著しく伸長することなく、ケーブルの屈曲を可能にする。
少数のバッファチューブを必要とする場合、ケーブル形状を維持するために1つ以上のバッファチューブの位置を占める低コストのスペーサーとして、発泡充填剤ロッド10を使用することができる。ケーブルジャケット14は、一般的にポリエチレン系材料から製造される。
バッファチューブは、典型的には、光ケーブル用グリースまたはゲルで充填される。種々のゲル化合物が市販されており、その多くは、炭化水素油を組み込んだ炭化水素系グリースである。他はポリマーベースであり、炭化水素油とともに配合される低粘度ポリマーと、充填を容易にするようにさらに低い粘度のための他の添加剤とを使用する。これらのグリース及びゲルは、空隙を排除することを含むファイバーを取り囲む直接的な環境に必要とされる浮遊及び保護を提供する。この充填化合物(「ゲル」または「グリース」とも称される)は、光伝送性能に有害な水の浸透に対する障壁を提供する。
より低い粘度のために油とともに配合された油ベースのグリースまたはポリマーのいずれにおいても、炭化水素油は典型的には低分子量炭化水素油であり、ポリマーのバッファチューブに吸収される場合がある。吸収は、典型的には曲げ弾性率及び耐圧壊性等のチューブの機械的特性に有害な影響を及ぼす。耐圧壊性の低下により、光ファイバーが機械的応力をより受けやすくなり、それによってシグナル減衰の増加を許容し、壊滅的な故障の可能性を増加させる。したがって、一般的に「グリース適合性」と称される最小限の油吸収値に加えて、弾性率及び耐圧壊性の良好な保持は、押出光学保護構成要素を作製するために使用されるポリマー材料の重要な性能特性である。
多くの他のバッファケーブルの設計が可能である。中心強度及び引張部材のサイズ及び構築材料、バッファチューブの寸法及び数、金属外装及び複数層のジャケット材料の使用は、設計要素に含まれる。
「中心チューブ」としても知られる典型的なコアチューブ光ファイバーケーブルの断面図を図2に例示する。光ファイバー22の束24は、中心の円柱状コアチューブ28内で光ケーブル20の中心付近に位置付けられる。束は、充填材料26に埋め込まれる。止水テープ32は、コアチューブの表面上にあるリップコード30を取り囲む。波形のコーティングされたスチールシリンダー34が束を保護するためにテープを取り囲む。ワイヤ強度部材36は、ケーブルに強度及び剛性を提供する。一般的にポリエチレン系材料から製造されるジャケット38は、全ての構成要素を取り囲む。この設計では、コアチューブ、ポリオレフィンジャケット層、引張及び圧縮強度部材、金属外装、コアラップ、止水構成要素、ならびに他の構成要素からなる外側シースシステムに機械的機能が組み込まれる。
コアチューブは、ファイバーの束、または光ファイバーを含むリボン構成要素の使用に対応するように、典型的にはバッファチューブよりも直径が小さい。ファイバーを束ねて識別するために、色分けされた結束具が典型的には使用される。コアチューブは、光ファイバー構成要素を取り囲む止水グリースまたは超吸収ポリマー要素を含む。コアチューブ構成要素の最適な材料特性は、バッファチューブ用途のものに類似することが多い。
典型的なスロット付きコアケーブル設計の断面図が図3に示される。光ファイバーケーブル30は、ジャケット48、及び中心部材34を有するスロット付きコア32を含む。中心部材は、座屈を防ぎ、押出スロット付きコアのプロファイル形状の軸方向の縮小を制御する。ジャケット及びスロット付きコアは、典型的には、ポリオレフィン系材料から作製される。
スロット付きコアは、光ファイバー38が位置するスロット36を有する。充填剤ロッド40も1つ以上のスロットを占有してもよい。1つ以上のリップコード44を有してもよい止水層42は、スロット付きコア32を取り囲む。誘電体強度部材層46は、止水層を取り囲む。
上記のような光ファイバーケーブルは、典型的には一連の逐次製造段階において作製することができる。光伝送ファイバーは、一般的に初期段階で製造される。ファイバーは、機械的保護のためにポリマーコーティングを有することができる。これらのファイバーは、束構成もしくはリボンケーブル構成に組み立てることができるか、またはケーブルの製造に直接組み込むことができる。
光学保護構成要素は、押出製造プロセスを用いて製造することができる。典型的には、単軸可塑化押出機が、圧力下で溶融及び混合したポリマーをワイヤ及びケーブル用クロスヘッドに吐出する。クロスヘッドは、溶融流れを押出機に対して垂直に変化させ、その流れを溶融構成要素に成形する。バッファ及びコアチューブの場合、1つ以上の光ファイバーまたはファイバーアセンブリ及びグリースがクロスヘッドの背面に供給され、溶融チューブ内でクロスヘッドから出て、次いで、水トラフシステムで冷却及び固化される。この構成要素は、最終的には巻き取りリール上で最終構成要素として回収される。
2つ以上の材料層からなる構成要素を製造するために、典型的には、溶融成分を多層クロスヘッドに供給する別個の可塑化押出機が存在し、そこで所望の多層構築物に成形される。
スロット付きコアチューブ及び他の異形押出構成要素は、典型的には、適切な成形金型を組み込んだ同様の異形押出プロセスにおいて押し出され、続いて、最終的なケーブルを製造するために光ファイバー構成要素と組み合わせられる。
余分なファイバー長を制御するために、張力システムを使用してファイバー構成要素をチューブ製造プロセスに供給する。さらに、構成材料の選択、チューブの押出、及びクロスヘッド機器、ならびに加工条件を最適化して、押出後収縮が光ファイバー構成要素に過剰な緩みをもたらさない最終構成要素を提供する。
押出光学保護構成要素は、中心構成要素、外装、ラップ等の他の構成要素とともに、最終的なケーブル構築物を生産するために1つ以上の段階において加工される。これは、典型的には、製造押出機/クロスヘッドによって構成要素が組み立てられ、次いで、ポリマージャケットを適用するために使用されるケーブル生産ライン上での加工を含む。
試験方法
脆化温度
ASTM D746に従って脆化温度を決定する。
密度
密度は、ASTM D792に従って決定される。
曲げ(ヤング)弾性率
ASTM D790に従って曲げ(ヤング)弾性率を決定する。
3.5%歪みにおける曲げ応力
ASTM D790に従って曲げ応力を決定する。
アイゾット衝撃強度
ASTM D256に従ってノッチ付きアイゾット衝撃強度を決定する。
メルトインデックス
メルトインデックス、またはI2は、ASTM D1238に従って190℃/2.16kgの条件で測定され、10分当たりに溶出されるグラム数で報告される。
分子量分布
ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)システムは、Polymer ChAR(Valencia,Spain)のIR4赤外検出器を装備したPolymer Char GPC−IR High Temperature Chromatographから構成される。データの収集及び処理は、Polymer Charソフトウェアを使用して行われる。このシステムはまた、オンライン溶媒脱気デバイスも装備している。
長さ30cmShodex HT803 13ミクロンカラム4本、または13ミクロン混合孔径充填の30cmのPolymer Labsカラム4本(Olexis LS,Polymer Labs)等の、好適な高温GPCカラムを使用することができる。試料回転コンパートメントは140℃で操作され、カラムコンパートメントは150℃で操作される。溶媒50ミリリットル中ポリマー0.1グラムの濃度で試料を調製する。クロマトグラフィー溶媒及び試料調製溶媒は、200ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(「BHT」)を含有する1,2,4−トリクロロベンゼン(「TCB」)である。溶媒を窒素でスパージする。ポリマー試料を160℃で4時間撹拌する。射出容積は200マイクロリットルである。GPCを通る流速は1mL/分に設定される。
GPCカラムセットは、21の狭分子量分布ポリスチレン標準物を流すことによって較正される。標準物の分子量(「MW」)は、580g/mol〜8,400,000g/molの範囲であり、標準物は、6つの「カクテル」混合物に含有される。各標準物混合物は、個々の分子量間に少なくとも10の隔たりを有する。標準物混合物は、Polymer Laboratoriesから購入する。ポリスチレン標準物は、1,000,000g/mol以上の分子量の場合は50mLの溶媒中に0.025gで、1,000,000g/mol未満の分子量の場合は50mLの溶媒中に0.05gで調製する。ポリスチレン標準物を、30分間撹拌しながら80℃で溶解する。分解を最小限に抑えるために、狭い分布の標準物混合物を、最初に、かつ最大分子量成分の少ない順序で流す。Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Letters,6,621(1968)に記載されるような等式(1)を用いて、ポリスチレン標準物のピーク分子量を、ポリエチレンの分子量に変換し:
Mポリエチレン=Ax(Mポリスチレン)B (等式1)
式中、Mは、ポリエチレンまたはポリスチレンの分子量(記載される分子量)であり、Bは1.0に等しい。Aが約0.38〜約0.44の範囲であってもよく、広い分布のポリエチレン標準物を用いて較正時に決定されることは、当業者には既知である。分子量分布(MWDまたはMw/Mn)等の分子量値、及び関連する統計値を得るためのこのポリエチレン較正法の使用は、本明細書においてWilliams and Wardの改変法として定義される。数平均分子量、重量平均分子量、及びz−平均分子量は、以下の等式から算出される。
引張弾性率(割線1%)
ASTM D638に従って引張弾性率を決定する。
引張強度
ASTM D638に従って引張強度を決定する。
引張伸び
ASTM D638に従って引張伸びを決定する。
重量増加(耐グリース性)
YD/T1118.1−2001に従って重量増加を決定する。
1.6つの引張試験片(ASTM D638 I型)を選択し、各試験片の質量を計測してmfreshで示す。
2.引張試験片にグリースをコーティングする。
a.最初に、80℃の真空オーブン内でゲルを脱気し、グリース中のあらゆる気泡またはエアポケットを排除する。
b.ブレードを使用して、試験片の片側のみに慎重にグリースをコーティングし、グリースの厚さを1mm未満とする。
c.次いで、コーティングした試験片を、グリース面を上にしてプレートに載せる。
3.オーブンでエージングする:その後、試験片を含むプレートを、エージングのために空気循環させたオーブンに入れる。エージング条件は、80℃で360時間である。
4.エージング後、引張試験片の質量を計測する:エージング後、オーブンから試験片を取り出し、ティッシュペーパーで拭き、室温まで冷却し、計測まで24時間調整する。エージングした引張試験片の質量をmagingで示し、以下の等式に従って重量増加を算出する:
材料
以下の材料が、以下の実施例に用いられる。
用いられるポリブチレンテレフタレート(「PBT」)は、250℃及び2.16kgで1.3g/cm3の密度及び9cm3/10分のメルトボリュームフローレート(MVR)を有する、BASF Chemical Company SE、Ludwigshafen,Germanyから入手可能なUltradur B6550 LNである。
用いられる結晶性ポリプロピレンは、230℃/2.16kgで55.3%の結晶化度、0.903g/cm3の密度、及び5.5g/10分のメルトインデックスを有するGlobalene PC366−5である。PC366−5は、LCY Chemical Corporation(台湾、台北)から市販されている。
シラングラフト化ポリオレフィンエラストマーは、シラングラフト化されている、ENGAGE(商標)8200とENGAGE(商標)8402ポリオレフィンエラストマーとのブレンドであり、これらの両方とも、The Dow Chemical Company(米国、ミシガン州ミッドランド)から入手可能である。エラストマーブレンドは、シラングラフト化ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、59重量パーセントのENGAGE(商標)8200及び38重量パーセントのENGAGE(商標)8402を含む。ENGAGE(商標)8200は、4.0〜6.0g/10分の範囲のメルトインデックス及び0.867〜0.873g/cm3の範囲の密度を有するエチレン/オクテンポリオレフィンエラストマーである。ENGAGE(商標)8402は、22.5〜37.5g/10分の範囲のメルトインデックス及び0.899〜0.905g/cm3の範囲の密度を有する、エチレン/オクテンポリオレフィンエラストマーである。シラングラフト化ポリオレフィンエラストマーは、5.0〜8.0g/10分の範囲のメルトインデックス、20ppmの最大水分含有量、及び1.40〜1.90重量%の(FTIRによって決定される)シランモノマー含有量を有する。
シラングラフト化ポリオレフィンエラストマーブレンドを、反応性押出段階で、250rpm、20kg/時間のスループット率、及び供給バレルから開始して金型まで以下のような温度プロファイル、100℃/190℃/230℃/230℃/230℃/230℃/230℃/230℃/190℃/190℃/190℃/190℃で動作する27mmの48L/D共回転インターメッシュ二軸押出機上で、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)と過酸化物とのグラフト化反応によって調製する。グラフト化温度を、230℃に設定する。真空度を、0.08MPaに設定する。VTMS充填レベルは、2重量%で、過酸化物(Luperox 101)充填レベルは0.1重量%である。VTMS及び過酸化物を、押出機内に注入する前に、よく混合する。ポリオレフィンエラストマーのグラフト化レベルは、1.62重量%である。
オレフィンマルチブロックインターポリマーは、エチレン/オクテンインターポリマーであり、0.870g/cm3の標的密度及び0.5g/10分の標的メルトインデックスを有する。エチレン/オクテンマルチブロックインターポリマーは、米国特許第7,947,793号で実施例番号24〜28及び29〜40について詳述される手順に従って調製される。エチレン/オクテンマルチブロックインターポリマーは、以下の特性を有する。
密度:0.873g/cm3
I2:0.57g/10分
I10:6.06g/10分
I10/I2:10.63
重量平均分子量(「Mw」)(g/mol):148,600
数平均分子量(「Mn」)(g/mol):53,590
多分散指数(「Mw/Mn」):2.77
融解熱(J/g):38.23
溶融温度(「Tm」):118.4℃
結晶化温度(「Tc」):92.0℃
全体的なオクテン含有量(mol%):18.9
軟質セグメント中のオクテン含有(mol%):27.1
硬質セグメント中のオクテン含有量(mol%):1.4
Δオクテン:25.7
シラングラフト化オレフィンマルチブロックインターポリマーは、直前に記載されるように、エチレン/オクテンインターポリマーと同じであるが、シラン官能基でグラフト化されている。シラングラフト化エチレン/オクテンインターポリマーのシランモノマー含有量は、1.62重量%である。シラングラフト化エチレン/オクテンインターポリマーは、非グラフト化エチレン/オクテンインターポリマーと実質的に同じ密度を有する。
シラングラフト化エチレン/オクテンマルチブロックインターポリマーを、230℃の溶融調合温度の下、27mm二軸押出機で調製する。VTMSを、1,000ppm(0.1%)のLuperox 101過酸化物の存在の下、2重量%で添加した。
DFDA−5480は、約0.927g/cm3の密度、約3.05g/10分のメルトインデックスを有し、1.7重量%の量の錫系触媒、3.5重量%の量の酸化防止剤、及び1.67重量%の量の金属不活性化剤を含有する、ポリエチレン/触媒マスターバッチである。DFDA−5480は、The Dow Chemical Company(米国、ミシガン州ミッドランド)から市販されている。
DHT−4Aは、化学式
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O(0<x≦5)
を有する酸掃去剤であり、水酸化アルミニウムマグネシウム炭酸塩水和物として説明される。HDT−4Aは、Kisuma Chemicals B.V.(オランダ)から市販されている。
NA−11Aは、ADEKA Corporation(日本、東京都)から市販されている、化学名ナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート(CAS NO.85209−91−2)を有する核形成剤である核形成剤である。
IRGANOX(商標)1010は、BASF SE(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)から市販されている、化学名ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を有する酸化防止剤である。
IRGANOX(商標)168は、BASF SE(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)から市販されている、化学名亜リン酸トリス(2,4−ジtert−ブチルフェニル)を有する酸化防止剤である。
BC Bは、0.905g/cm3の密度及び230℃で6のメルトインデックスを有するアイソタクチック−ポリプロピレン/エチレン−プロピレンオレフィンブロック複合体である。
BC Bは、以下の手順に従って調製する。触媒−1([[rel−2’,2’’’−[(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ−κO)]ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−メチル[1,1’−ビフェニル]−2−オラト−κO]](2−)]ジメチル−ハフニウム)、及び共触媒−1、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレーのメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物(実質的に米国特許第5,919,983号の実施例2に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Akzo−Nobel,Inc.から入手可能なArmeen(商標)M2HT)、HCl、及びLi[B(C6F5)4]の反応によって調製されたもの)は、Boulder Scientificから購入され、さらに精製することなく使用される。
CSA−1(ジエチル亜鉛またはDEZ)及び共触媒−2(修飾メチルアルモキサン(「MMAO」))は、Akzo Nobelから購入され、さらに精製することなく使用される。重合反応用溶媒は、ExxonMobil Chemical Companyから入手可能な炭化水素混合物(ISOPAR(登録商標)E)であり、使用前に13X分子ふるい床を通して精製される。
ブロック複合体は、直列に接続された2つの連続撹拌タンク反応器(「CSTR」)を使用して調製される。第1の反応器の容積は約12ガロンであり、第2の反応器は約26ガロンである。各反応器を流体で満たし、定常状態条件で動作するように設定する。モノマー、溶媒、水素、触媒−1、共触媒−1、共触媒−2、及びCSA−1は、表1に概説されるプロセス条件に従って第1の反応器に供給される。表1に記載される第1の反応器の内容物は、直列する第2の反応器に流れる。追加のモノマー、溶媒、水素、触媒−1、共触媒−1、及び任意選択的に共触媒−2は、第2の反応器に添加される。
前述のように調製されたブロック複合体は、表2に示される以下の特性を有する。
例1(比較)
下の表3に提供される配合を用いて5つの比較試料[CS1〜CS5]を調製する。CS1中のPBTを受け取ったままの状態で用いる。比較試料CS2〜CS5を、600rpm及び12kg/時間のスループット率、ならびに供給バレルから開始して金型まで以下のような温度プロファイル、100℃/130℃/200℃/200℃/200℃/200℃/200℃で動作する18mmの48L/D二軸押出機上で成分をブレンド及び押し出すことによって調製する。
前述の試験方法に従って比較試料CS1〜CS5を分析する。結果を下の表4に提供する。
実施例2
下の表5に示される配合を用いて2つの試料(S1及びS2)を調製する。試料S1及びS2を、上の実施例1に記載した手順に従って調製する。
前述の試験方法に従って試料S1及びS2を分析する。結果を下の表6に提供する。
表6の結果から分かるように、架橋衝撃改質ポリマーは、特に対応する非架橋比較試料CS5と比較して優れた耐グリース性を提供する一方で、CS1及びCS2等の従来の材料と比較して、改善された衝撃強度及び脆化温度も維持する。
参考例3
下の表7に示される配合を用いて6つの試料(S3〜S8)を調製する。試料S3〜S8は、上の実施例1に記載した手順に従って調製する。
前述の試験方法に従って試料S3〜S8を分析する。結果を下の表8に提供する。
表8の結果から分かるように、架橋衝撃改質ポリマーは、実施例2と同様にジ−ブロック相溶化剤を用いなくても、特に対応する非架橋比較試料CS5と比較して、より低い濃度で優れた耐グリース性を提供する。さらに、試料S3〜S8もまた、CS1及びCS2等の従来の材料と比較して、改善された衝撃強度及び脆化温度を維持した。しかしながら、衝撃改質ポリマー(25〜50重量%)のより高い濃度では、引張及び曲げ弾性率の低下が観察される。
実施例4
下の表9に示される配合を用いて3つの試料(S9〜S11)を調製する。試料S9〜S11は、上の実施例1に記載した手順に従って調製する。
前述の試験方法に従って試料S9〜S11を分析する。結果を下の表10に提供する。
表10の結果から分かるように、架橋衝撃改質ポリマーは、特に対応する非架橋比較試料CS4(S9をS4と比較する)と比較して優れた耐グリース性を提供する一方で、CS1及びCS2等の従来の材料と比較して、改善された衝撃強度及び脆化温度も維持する。しかしながら、衝撃改質ポリマー(25重量%)のより高い濃度では、引張及び曲げ弾性率の低下が観察される。
実施例5
下の表11に示される配合を用いて2つの試料(S12及びS13)を調製する。試料S12及びS13を、上の実施例1に記載した手順に従って調製する。
前述の試験方法に従って試料S12及びS13を分析する。結果を下の表12に提供する。
表12の結果から分かるように、架橋衝撃改質ポリマーは、CS1及びCS2等の従来の材料と比較して、改善された衝撃強度及び脆化温度を提供する。S12及びS13は、実施例4と同様にジ−ブロック相溶化剤を用いることなく、比較可能な耐グリース性をさらに提供する。しかしながら、衝撃改質ポリマー(25重量%)のより高い濃度では、引張及び曲げ弾性率の低下が観察される。
なお、本発明には、以下の態様が含まれることを付記する。
〔1〕
押出光ケーブル保護構成要素であって、
(a)少なくとも55パーセントの結晶化度を有する結晶性ポリプロピレンと、
(b)架橋衝撃改質ポリマーと、を含む、押出ポリマーブレンドを含み、
前記架橋衝撃改質ポリマーは、架橋シラン官能化エラストマー、架橋無水マレイン酸官能化エラストマー、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるエラストマーである、前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔2〕
前記結晶性ポリプロピレンは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて45〜95重量パーセントの範囲の量で存在し、前記架橋衝撃改質ポリマーは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて4〜50重量パーセントの範囲の量で存在する、〔1〕に記載の前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔3〕
前記架橋衝撃改質ポリマーの前記エラストマーは、ポリオレフィンエラストマー、オレフィンマルチブロックインターポリマー、オレフィンブロック複合体、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔4〕
オレフィンエラストマー、非オレフィンエラストマー、オレフィンマルチブロックインターポリマー、オレフィンブロック複合体、及びそれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される非架橋エラストマー成分をさらに含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔5〕
前記ポリマーブレンドは、16日後にLT−410Aにおいて10パーセント未満の重量増加を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔6〕
前記ポリプロピレンは、1〜20グラム/10分(溶出)の範囲のメルトフローインデックス(I2)を有し、前記ポリマーブレンドは、23℃で少なくとも100ジュール/メートル(「J/m」)のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有し、前記ポリマーブレンドは、23℃で少なくとも1,200メガパスカル(「MPa」)の1パーセント割線係数を有する、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔7〕
酸化防止剤、安定剤、核形成剤、酸掃去剤、充填剤、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のさらなる成分をさらに含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の前記押出光ケーブル保護構成要素。
〔8〕
光ファイバーケーブルであって、
(a)〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の前記押出光ファイバーケーブル保護構成要素と、
(b)少なくとも1つの光ファイバー伝送媒体と、を備える、前記光ファイバーケーブル。
〔9〕
ポリマーブレンドであって、
(a)少なくとも約55パーセントの結晶化度を有する結晶性ポリプロピレンと、
(b)シラングラフト化ポリオレフィンエラストマー、シラングラフト化オレフィンマルチブロックインターポリマー、シラングラフト化オレフィンブロック複合体、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される衝撃改質ポリマーと、
(c)オレフィンマルチブロックインターポリマー、オレフィンブロック複合体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非シラングラフト化エラストマーと、
(d)縮合触媒と、を含む、前記ポリマーブレンド。
〔10〕
前記結晶性ポリプロピレンは、前記ポリマーブレンド中に前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて50〜90重量%の範囲の量で存在し、前記衝撃改質ポリマーは、前記ポリマーブレンド中に前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて4〜45重量%の範囲の量で存在し、前記非シラングラフト化相溶化剤は、前記ポリマーブレンド中に前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて1〜10重量%の範囲の量で存在し、前記縮合触媒は、前記ポリマーブレンド中に前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する、〔9〕に記載の前記ポリマーブレンド。