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JP6828404B2 - スポット溶接方法 - Google Patents
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本発明は、複数枚の鋼板を重ね合せてスポット溶接するスポット溶接方法に関する。さらに詳しくは、表面に有機皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板のスポット溶接方法に関する。
従来、家電、自動車、建材等の分野において、亜鉛系めっき鋼板が広く使用されている。これらの用途に用いられる亜鉛系めっき鋼板には、加工性、後塗装性、防眩性等を向上させるため、めっき層表面に有機皮膜が塗装される。
有機皮膜は絶縁性を有するため、表面に有機皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板をスポット溶接する際には、一般的な溶接条件では通電不良を起こし溶接することが困難である。
そのため、電極の先端を曲率半径50mm以下の球面形状とし、被溶接部における電極の加圧力の作用する面積を制限して、単位体面積あたりの加圧力を高めることにより、電極先端で有機皮膜を破壊して通電経路を確保し、スポット溶接する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−219578号公報
しかしながら、有機皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板において、より好適にスポット溶接を行える技術が求められている。
従って、本発明は、このような絶縁性の高い有機皮膜を表面に有する亜鉛系めっき鋼板においてスポット溶接を可能とするため、より適切な溶接条件を備えるスポット溶接方法を提供することを目的とする。
本発明は、複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、片面又は両面に0.1μm以上3μm以下の厚みの有機皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板であり、前記亜鉛系めっき鋼板に接触する電極の形状は、先端に円状の平坦部を備えるフラット形状、又は、先端が球面で構成されるラジアス形状であり、前記電極の形状が前記フラット形状の場合は下記(1)式で、前記ラジアス形状の場合は下記(1)´式で算出される前記電極の先端周長で、前記電極の加圧力を除した下記(2)式で定義される前記電極の先端における線荷重の値が400N/mm以上となる条件で溶接するスポット溶接方法に関する。
L=πD ・・・・・(1)
L=2π(2Rh−h1/2 ・・・・・(1)´
p=F/L ・・・・・(2)
ここで、L:電極の先端周長(mm)、D:電極の先端がフラット形状の場合の円状の平坦部の直径(mm)、R:電極の先端がラジアス形状の場合の球面の曲率半径(mm)、h:電極の先端がラジアス形状の場合の電極の先端における等価先端直径を求めるための定数(母材強度、めっき付着量に応じて0.05mm以上0.2mm以下)、p:線荷重(N/mm)、F:電極の加圧力(N)
また、前記線荷重の値が550N/mm以下となる条件で溶接することが好ましい。
また、前記線荷重の値が500N/mm以上となる条件で溶接することが好ましい。
また、前記電極の前記亜鉛系めっき鋼板への衝突速度を500mm/sec以上とすることが好ましい。
また、前記複数枚の鋼板は、両面に0.1μm以上3μm以下の厚みの有機皮膜を有する2枚の亜鉛系めっき鋼板であることが好ましい。
本発明によれば、表面に有機皮膜を有する亜鉛めっき系鋼板であっても、電極加圧力を電極の先端周長で除した線荷重を適切な条件とすることにより、スポット溶接が可能となる。
本発明のスポット溶接方法によるフラット形状の電極及び被溶接鋼板の配置関係を示す模式図である。 本発明のスポット溶接方法によるラジアス形状の電極及び被溶接鋼板の配置関係を示す模式図である。 ラジアス形状の電極における等価先端周長を算出するための説明図である。 線荷重と通電率との関係を示す図である。 線荷重と引張せん断荷重との関係を示す図である。
以下、本発明のスポット溶接方法の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
一般的に、抵抗スポット溶接においては、被溶接部の冷却やナゲット成長を適正に制御することを目的に、溶接電極の先端で被溶接部を保持する。そのため、溶接電極には加圧力が付与される。
また、有機皮膜を表面に備える亜鉛系めっき鋼板においては、溶接電極の先端で被溶接部に荷重をかけることにより、高い絶縁性を有する有機皮膜を破壊して通電経路を確保する必要がある。
本発明者らは、抵抗スポット溶接に広く用いられている先端に平坦部を備えるコーンフラット型(CF型)電極を亜鉛系めっき鋼板に押し付けた場合、電極先端の平坦部における周辺部位が亜鉛系めっき鋼板と強く接触することに着目した。そして、電極先端の平坦部周辺の狭い範囲に生じる高い接触荷重によって、絶縁性の高い有機皮膜を破壊して通電経路を確保できることを見出した。すなわち、電極の加圧力をこの電極先端の平坦部の面積ではなく、電極先端の平坦部の外周長(電極の先端周長)で除した値を一定値以上とすることにより通電経路を確保することが可能なことを見出して本発明に到ったものである。
図1は、本発明のスポット溶接方法によるフラット形状の溶接電極及び被溶接鋼板の配置関係を示す模式図である。図1(a)は、両面に有機皮膜110を備える2枚の亜鉛系めっき鋼板10を重ね合わせる。重ね合わせられた2枚の亜鉛系めっき鋼板10を上下から一対のCF型電極20Aで挟んだ状態を示す。図1(b)は、2枚の亜鉛系めっき鋼板10の被溶接部を挟持するように、CF型電極20Aに加圧力Fが付与された状態を示す。このように適正な電極の加圧力Fが付与された状態で、一対のCF型電極20Aに通電させる。
上述したように、適正なCF型電極20Aの加圧力は電極先端の平坦部における面積ではなく電極先端の輪郭の長さ、すなわちCF型電極20Aの先端周長に比例する。従って、CF型電極20Aに付与される加圧力をF(N)とし、電極の先端における円状の平坦部の直径をD(mm)とすると、CF型電極20Aの先端周長Lは下記(1)式で算出され、CF型電極20Aの先端における線荷重pは下記(2)式で定義され、線荷重pの値が算出される。
L=πD(mm) ・・・・・(1)
p=F/L(N/mm) ・・・・・(2)
次に、先端が球面で構成されるラジアス形状の電極について、図2及び図3を参照して説明する。スポット溶接においては、電極の先端がラジアス形状のラジアス型(R型)電極も広く用いられている。
図2は、本発明のスポット溶接方法によるラジアス形状の溶接電極及び被溶接鋼板の配置関係を示す模式図である。図2(a)、(b)に示すように、溶接電極としてR型電極20Bを用いる以外は、図1の場合と同様であるので、説明を省略する。
図3(a)に示すように、ラジアス形状のR型電極20Bにおいては、先端に平坦な部分が存在しないため、電極先端のうち、被溶接部に接触する球面の外周長さを近似計算して、電極の等価先端周長Lとする。ここでは、図3(b)に示すように、電極先端よりh(mm)入った部分を通る平面で半径R(mm)の球を切断した切断面の直径を電極の等価先端直径D(mm)とする。等価先端直径Dは、下記(3)式で算出され、電極の等価先端周長Lは下記(1)´式で算出される。よって、R型電極20Bの先端における線荷重pの値は、下記(1)´式及び上記(2)式を用いて算出される。
このように電極の先端がラジアス形状の場合であっても、電極の先端直径として、電極の等価先端直径D(mm)を用いることにより、CF型の電極と同様に扱うことができる。
D=(2Rh−h1/2(mm) ・・・・・(3)
L=2π(2Rh−h1/2(mm) ・・・・・(1)´
上述のhは、鋼板の母材の強度及びめっき付着量に応じて、0.05mm以上0.2mm以下の範囲で定められる定数である。母材の強度が大きいほど、また、めっきの付着量が少ないほど、R型電極20Bの先端の沈み込みが小さくなるので定数hを小さく設定すればよく、反対に母材の強度が小さいほど、また、めっきの付着量が多いほど、定数hを大きく設定すればよい。
このような指標を用いて適正な電極の加圧条件を検討したところ、電極先端の線荷重pを400N/mm以上とすることで良好な通電状態が得られることがわかった。さらに安定的な通電状態を確保するためには線荷重を500N/mm以上とすることが好ましい。
なお、線荷重pを高くし過ぎると、被溶接部の凹みが顕著となり、かえって接合強度が低下することがある。そのため、線荷重pの最大値は550N/mm以下とすることが好ましい。
また、亜鉛系めっき鋼板10の表面が接触する際の衝撃も有機皮膜110を破壊する一因となることから、亜鉛系めっき鋼板10への衝突速度を500mm/sec以上とすることが好ましく、1,000mm/sec以上とすることがさらに好ましい。
また、本発明はスポット溶接において通電を可能とする方法に関するものであるが、実際のスポット溶接作業において鋼板の板厚tに対して、電極の先端周長Lが小さすぎると形成されるナゲット径が小さくなり、設計上十分な強度が得られない。そのため、一定以上の電極の先端径が必要である。
溶接ニュース第2614号(2005年4月12日発刊)によれば、めっき処理が施されていない裸鋼板をスポット溶接するための条件は、板厚t(mm)の鋼板をCF型の電極を用いて溶接する場合、電極の直径を5√t(mm)とし、電極の加圧力を2.5√t(kN)とすることが推奨されている。また、めっき鋼板の場合は裸鋼板に比べて電極の加圧力を高め、電流、通電時間共に増加させることが一般的である。本実施形態においては、一般的な条件であるCF型電極の先端直径5√t(mm)から、十分な強度を有することができる直径の範囲の中で、電極の加圧力F(N)を変化させて線荷重pが400N/mm以上となるように溶接条件を設定する。
以下に実施例を示す。
両面に厚さ1.6μmの有機皮膜を備える板厚が1.6mmの溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板(めっき付着量60g/mm)2枚を重ねたものを試験材として準備し、定置式直上加圧型の単相交流溶接機を用いて抵抗スポット溶接を行い、通電率を測定した。
なお、本実施例では、溶接電極はクロム銅製で、前述したCF型(コーンフラット型)電極およびR型(ラジアス型)電極を用いた。初期加圧時間を35/60秒、通電時間を12/60秒、冷却水流量を3L/minに設定して溶接した。
溶接電流は、電極の形状ごとに予め適正溶接電流範囲を調査して、ナゲット径≧4√t(t:板厚)となる下限電流を求め、下限電流+0.5kAに設定した。また、通電率は次のように測定し、80%以上となるものについて評価を○とした。通電率は、電極の形状ごとに少なくとも10回以上の溶接試行のうち通電した回数を溶接試行回数に対して百分率で表した。なお、通電率が電極の加圧力を電極先端の面積で除した面荷重qに依存しないことを示すため、参考として面荷重qの値も示した。
それらの結果を表1に、通電率と線荷重との関係を図4に示した。また、実施例の試料No.1〜4、比較例の試料No.11について、線荷重と引張せん断荷重との関係について図5に示した。
Figure 0006828404
表1に示すように、本発明の条件を満たす試料No.1〜6の実施例では、いずれの条件でも良好な通電状態が得られた。一方、線荷重pが400N/mm未満となる試料No.7〜14の比較例では、通電率は改善されなかった。なお表1の電極の種類における3CFの表記は、先端直径が3mmのCF型電極であることを表し、6Rの表記は、曲率半径が6mmのR型電極であることを表す。他の数値の表記についても同様である。
また、面荷重qと通電率の関係についてみると、比較例の試料No.13においては、面荷重qの値が604N/mmとなっており、実施例の試料No.1〜6の面荷重qと同程度に大きい値にもかかわらず、通電率は50%で評価は×となった。すなわち、単に面荷重qを大きくするだけでは、有機皮膜を破壊して通電経路を確保すること困難であることが示された。
図4に示すように、線荷重pの増加につれて、通電率も増加する傾向を示した。また、線荷重pが400N/mm以上においては、通電率が80%以上となり、良好な通電状態を示した。
図5に示すように、線荷重pが550N/mm付近で、接合強度の指標となる引張せん断荷重はピークを示した。これは、前述したように線荷重qを高くし過ぎると、被溶接部の凹みが顕著となることが原因と考えられる。そのため、線荷重pの最大値は550N/mm以下とすることが好ましい。
以上、本発明のスポット溶接方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、実施形態におけるフラット形状を備える電極として、コーンフラット型(CF型)のものを示したが、これに限らない。フラット型(F型)の電極を用いてもよい。また、電極の先端が曲率半径の大きい曲面を備えるドームラジアス型(DR型)の電極を用いる場合には、先端の曲面はほぼ平坦であるので、先端径を先端直径Dとして用いればよい。
また、上述の実施形態及び実施例においては、両面に有機皮膜を備える亜鉛系めっき鋼板を2枚重ね合わせてスポット溶接する一例を示したが、これに限らない。複数枚の鋼板のうち、少なくとも1枚の鋼板が、片面に有機皮膜を備える亜鉛系めっき鋼板であっても、本発明を適用可能である。
10 亜鉛系めっき鋼板
20A コーンフラット型電極
20B ラジアス型電極
110 有機皮膜

Claims (5)

  1. 複数枚の鋼板を重ね合わせてスポット溶接するスポット溶接方法であって、
    前記複数枚の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板は、片面又は両面に0.1μm以上3μm以下の厚みの有機皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板であり、
    前記亜鉛系めっき鋼板に接触する電極の形状は、先端に円状の平坦部を備えるフラット形状、又は、先端が球面で構成されるラジアス形状であり、
    前記電極の形状が前記フラット形状の場合は下記(1)式で、前記ラジアス形状の場合は下記(1)´式で算出される前記電極の先端周長で、前記電極の加圧力を除した下記(2)式で定義される前記電極の先端における線荷重の値が400N/mm以上となる条件で溶接するスポット溶接方法。
    L=πD ・・・・・(1)
    L=2π(2Rh−h1/2 ・・・・・(1)´
    p=F/L ・・・・・(2)
    ここで、L:電極の先端周長(mm)、D:電極の先端がフラット形状の場合の円状の平坦部の直径(mm)、R:電極の先端がラジアス形状の場合の球面の曲率半径(mm)、h:電極の先端がラジアス形状の場合の電極の先端における等価先端直径を求めるための定数(母材強度、めっき付着量に応じて0.05mm〜0.2mm)、p:線荷重(N/mm)、F:電極の加圧力(N)
  2. 前記線荷重の値が550N/mm以下となる条件で溶接する請求項1に記載のスポット溶接方法。
  3. 前記線荷重の値が500N/mm以上となる条件で溶接する請求項1又は2に記載のスポット溶接方法。
  4. 前記電極の前記亜鉛系めっき鋼板への衝突速度を500mm/sec以上とする請求項1〜3のいずれかに記載のスポット溶接方法。
  5. 前記複数枚の鋼板は、両面に0.1μm以上3μm以下の厚みの有機皮膜を有する2枚の亜鉛系めっき鋼板である請求項1〜4のいずれかに記載のスポット溶接方法。
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