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JP6830763B2 - 耐震補強材 - Google Patents
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Description

本発明は、棒状の耐震補強材に関するものである。
鉄筋コンクリート製の建物や木造住宅などの建築物の耐震補強として、既存の建築物に鉄骨製の筋交を用いて補強したり、梁、土台、柱や筋交等の接合部を金物によって補強したり、鋼板を柱に巻きつけたりといったことが行われている。
また、寺社、仏閣、古民家、駅舎をはじめとした伝統的建築物では、外観の美観を維持しながら、耐震性を高める必要がある。そのため、一般の建築物に施されているような大きな鉄骨を用いた補強などは好まれず、あまり目立たない接合部についての金具などの検討がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2013−170373号公報
しかしながら、接合部の金具だけでは、伝統的な建築物の美観を維持しながら、十分な耐震性を付与することが困難である。そのため、柱に鋼板を巻きつけるといった美観を犠牲にした耐震補強が行われているところもある。
一方で、鋼板等を巻き付けるなどの耐震補強が行える建物物はまだよいが、補強が行えない建築物もある。たとえば、鋼板や鋼鉄製などの耐震補強材の質量が大きいため、伝統建築物自体がその耐震補強材の質量に対し、耐えることができないものが挙げられる。このような問題は、特に建築物の屋根や梁部などの建築物の上層部に耐震補強材を用いる際に問題となる。
また、鋼板や鋼鉄製の筋交などは、その質量が大きいため、重機を用いて工事現場への搬入や施工が必要となるが、伝統的な建築物が建てられている場所は、重機の乗りいれができない個所も多々あり、特に、高層の建築物にてこのような事項が問題となり、とくに改善が望まれている。
よって、本発明は、軽量でかつ強度があり、伝統建築物の外観品位の悪化を抑制することが可能な耐震補強材を提供することを目的とする。
本発明は、以下を提供する。
<1>繊維強化複合材からなる継手であり、少なくとも一方の端部に中空部を有する継手と、前記継手の中空部に挿入され、接合された第1の棒状繊維強化複合材とを有し、前記第1の棒状繊維強化複合材が、固化剤により一体化された繊維束を含む素線を撚り合わせたストランド構造体、または、前記ストランド構造体を撚り合わせたマルチストランド構造体である耐震補強材。
<2>前記継手と前記第1の棒状繊維強化複合材とが接着剤で接合されている<1>に記載の耐震補強材。
<3>前記継手は、前記第1の棒状繊維強化複合材が接合されていない他の一方の端部にも中空部を有し、当該他の一方の端部の中空部に、第2の棒状繊維強化複合材または金属製の材料が挿入され、接合された<1>または<2>に記載の耐震補強材。
>前記継手の密度が、1.0〜5.0g/cm3である<1>から<3>のいずれかに記載の耐震補強材。
>前記継手の質量が、50〜5000g/mである<1>から<4>のいずれかに記載の耐震補強材。
>前記第1の棒状繊維強化複合材の密度が、1.0〜2.5g/cm3である<1>から<>のいずれかに記載の耐震補強材。
>前記第1の棒状繊維強化複合材の質量が、2〜150g/mである<1>から<>のいずれかに記載の耐震補強材。
>前記第1の棒状繊維強化複合材の引張強さが、100〜5000MPaである<1>から<>のいずれかに記載の耐震補強材。
>破断荷重が、3〜300kNである<1>から<>のいずれかに記載の耐震補強材。
10>全体の質量が、5kg以下である<1>から<>のいずれかに記載の耐震補強材。
本発明の耐震補強材によれば、耐震補強材が軽量でありながら優れた引張強さや破断荷重などの引張強度を有しているため、クレーン車などの重機の入ることができない場所に建てられた伝統建築物や従来の耐震補強材の質量に耐えることができず耐震補強できなかった伝統建築物の耐震補強を行うことができ、また、耐震補強による外観の悪化も抑制することができる。
本発明の実施の形態における耐震補強材の端部を示す斜視図である。 棒状繊維強化複合材の第1変形例を示す図である。 他の拘束材による結束の例を示す図である。 他の拘束材による結束の例を示す図である。 他の拘束材による結束の例を示す図である。 棒状繊維強化複合材の第2変形例を示す図である。
以下、本発明に係る耐震補強材の実施形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。また、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
(耐震補強材)
図1は本発明の実施の形態における耐震補強材の端部を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施形態における耐震補強材10は、繊維強化複合材からなる継手11と、継手11に接合された棒状繊維強化複合材12とからなる。継手11は、少なくとも一方に中空部11aを有する。棒状繊維強化複合材12は、この継手11の中空部11aに挿入されて接合される。
なお、本実施形態の耐震補強材10は、破断荷重が3〜300kNであることが望ましい。耐震補強材として使用される場所や施工方法にもよるが、下限値は5kN以上であることが好ましく、10k以上であることがより好ましく、30kN以上であることがさらに好ましい。破断荷重が3kN以上であれば、優れた強度を有する耐震補強材10が得られる。
一方、上限値は200kN以下であることが好ましく、100kN以下であることがより好ましい。300kNを超えると、継手11や棒状繊維強化複合材12が太くなり、耐震補強材10が重くなる。また、継手11の太さを太くしたり、長さを長くしたり、継手11と棒状繊維強化複合材12との接合部や、継手11と他の部材との接合部の強度を高める必要がでてくるおそれがあり、耐震補強された建築物の外観品位を損なうおそれがある。
棒状繊維強化複合材12は、その密度が、1.0〜2.5g/cm3であることが望ましい。下限値は、好ましくは1.2g/cm3以上、より好ましくは1.4g/cm3以上がよい。1.0g/cm3以上であれば、優れた強度を有する耐震補強材10が得られる。一方、上限値は、好ましくは2.2g/cm3以下、より好ましくは2.0g/cm3、さらに好ましくは1.8g/cm3以下がよい。2.5g/cm3以下であれば、軽い耐震補強材10が得られる。
また、棒状繊維強化複合材12の質量は、2〜150g/mであることが望ましい。下限値は、好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m、さらに好ましくは40g/m以上がよい。2g/m以上であれば、優れた強度を有する耐震補強材10が得られる。一方、上限値は、好ましくは120g/m以下、より好ましくは100g/m以下である。150g/m以下であれば軽い耐震補強材10が得られる。
また、棒状繊維強化複合材12は、引張強さが100〜5000MPaであることが望ましい。下限値について、好ましくは500MPa以上が良く、より好ましくは1000MPa以上であるとよい。100MPa以上であれば、優れた強度を有する耐震補強材10が得られる。一方、上限値について、好ましくは4000MPa以下が良く、より好ましくは3000MPa以下がよい。5000MPaを超えると耐震補強材が重くなってしまったり、柔軟性を失ってしまったりして、巻き取っての移動や保管ができなくなるおそれがある。
継手11と棒状繊維強化複合材12の接合は、接着剤を用いて接合することができる。接着剤としては、エポキシ系、メラミン系、シリコーン系、フェノール系、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム系、α―オレフィン系、アクリル系、酢酸ビニル系、ウレタン系などが挙げられる。
また、継手11の中空部11aや棒状繊維強化複合材12の継手11との接合部に凹凸を設けて接合してもよい。たとえば、継手11の中空部11aに凹部、棒状繊維強化複合材12に凸部を設けて接合してもよい。また、継手11の中空部11aと棒状繊維強化複合材12の中空部11aの挿入部分に螺子を切って、雌螺子と雄螺子を形成し、接合してもよい。
なお、仮に、金属の継手と棒状繊維強化複合材とを接合する場合には、接着剤の金属に対する接着力と棒状繊維強化複合材に対する接着力とが大きく異なるため、金属の継手の中空部に螺子を切るなどして凹凸を設けないと、金属の継手と棒状繊維強化複合材の接合部の強度が十分ではないおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、後述するように、継手11にも棒状繊維強化複合材12にもそれぞれ樹脂が使用されているため、それぞれの樹脂に対し、共に接着力の優れた接着剤を用いることにより、継手11の中空部11aに螺子を切るなどの凹凸を付与しなくとも、優れた強度を有する耐震補強材10が容易に得られる。そのため、継手11と棒状繊維強化複合材12およびこれらの接合部の強度のバランスがとりやすく、外観品位に優れ、強度の安定した耐震補強材10が得られる。
また、継手11が繊維強化複合材であるため、金属に比べて軽く、得られる耐震補強材10も軽い物が得られる。
また、継手11と棒状繊維強化複合材12の接着には、もちろん接着剤と凹凸を有するものを併用して接合してもよい。
また、継手11の端部の開放された中空部11aは、継手11の棒状繊維強化複合材12が接合されていない他の一方の端部にも有していてもよい。また、継手11の両端に中空部11aを有し、棒状繊維強化複合材12が継手11の両端に接合されていてもよい。また、継手11の一方に棒状繊維強化複合材12が接合され、他の一方に、金属製の材料、たとえば、丸鋼の鉄筋や丸鋼に螺子を切った鉄筋、異形鉄筋や、柱や梁などに本実施形態の耐震補強材10を取り付けるための定着治具が接合されていてもよい。
なお、金属製の筋材を用いる場合には、継手11との接着強度の観点より、筋材の表面に凹凸を有するものが好ましい。
また、継手11の一方に金属製の材料を接合して用いる場合には、当該金属製の材料は、柱や梁に溶接やボルト、釘、ワイヤー、プレートなどを用いて直接接続するように用いることにより、建築物の負荷が軽減される。
また、継手11は、一方の端部付近、また、両方の端部付近などの一部が中空であって、他の部分は中空で無い物であってもよいし、一方の端から他方の端まで貫通している管状物であってもよい。
本実施形態の継手11の長さは、必要とする強度に応じて設定すればよいが、10mm〜1000mmがよい。また、外径の太さも必要とする強度に応じて設定すればよいが、3mm〜500mmがよい。なお、施工後の建築物の外観上の観点からは継手11の長さは短い方が、継手11の太さは細い方が好ましく、長さは50cm以下、30cm以下、20cm以下がより好ましく、太さは、10cm以下、5cm以下、3cm以下がより好ましい。また、中空部11aの継手11の長さ方向の長さや太さも、耐震補強材10として必要とされる強度および棒状繊維強化複合材12の太さや強度に応じて設定すればよいが、中空部11aの継手11の長さ方向の長さは10mm〜500mm、中空部11aの太さは2mm〜250mmがよい。
なお、一般的なM12の鋼材製のボルトを利用した引張材では、破断荷重として46kNのものが用いられているが、本実施形態にて46kNの破断荷重を得るためには、継手の長さは20cm以上が好ましい。
継手の長さが20cm未満の場合、46kNの荷重がかかると、継手の内層と外層の間で滑りが発生するなどして、継手が破壊されるおそれがある。46kN破断荷重に耐える耐震補強材の場合には継手の長さは、好ましくは25cm以上がよい。
また、その際の棒状繊維強化複合材12の継手11への挿入長さは8cm以上が好ましい。より好ましくは10cm以上、さらに好ましくは12cm以上がよい。挿入長さが8cm未満の場合、46kNの荷重がかかった場合に、棒状繊維強化複合材12が、継手11から抜けるおそれがある。
また、継手11の他の一方に一般的なM12の鋼材製のボルトを挿入する場合には、その挿入長さは6cm以上であるとよく、8cm以上であるとより好ましい。挿入長さが6cm未満の場合、M12の鋼材製ボルトが継手11から抜けるおそれがある。
また、一定以上の力がかかった場合に、耐震補強材10が壊れるようにして、建築物に免震性を付与する場合には、継手11と棒状繊維強化複合材12や継手11に接続された部材との少なくとも一方が、一定の力以上で継手11から抜けるようにしたり、継手11が破壊されるような強度としたり、他の部材として極低降伏鋼を用いるなどしてもよい。
また、本実施形態の耐震補強材10は、継手11および棒状繊維強化複合材12の少なくとも一方が着色されているとよい。継手11および棒状繊維強化複合材12は、後述するように、繊維と樹脂との複合材料であることより着色が容易であり、任意の色に着色することができる。そのため、耐震補強を行う建築物の補強部分の色に合わせるなどすることにより、より外観品位の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の耐震補強材10の全体の質量は、5kg以下であるとよい。好ましくは3kg以下、より好ましくは1kg以下がよい。棒状繊維強化複合材12の長さ、太さや材質、継手11の太さ、長さや材質、また、その他接合される材料により、耐震補強材10の全体の質量は変わるが、重機等をもちいなくとも、運搬が可能で、高所での作業性の観点より、5kg以下が好ましい。本実施形態の耐震補強材であれば容易に上記の質量以下の耐震補強材が得られる。また、下限は、特に限定されないが、強度の観点からは5g以上が好ましい。
(継手)
本実施形態の継手11は、棒状繊維強化複合材12と他の部材とを接合するための部材であって、繊維強化複合材からなり、少なくとも一方が開放された中空状の中空部11aを有する柱状物である。
継手11の密度は1.0〜5.0g/cm3であるとよい。上限値は、好ましくは4.0g/cm3以下であるとよく、より好ましくは3.0g/cm3以下、さらに好ましくは2.0g/cm3以下であるとよい。密度が5.0g/cm3以下であれば軽い耐震補強材10が得られる。
一方、下限値は、好ましくは1.3g/cm3以上であるとよく、より好ましくは1.5g/cm3以上であるとよい。密度が、1.0g/cm3以上であると耐震補強材10として十分な強度を有するものを得ることができる。
また、質量は50g/m〜5000g/mであるとよい。上限値は、好ましくは2000g/m以下がよく、より好ましくは1000g/m、さらに好ましくは500g/m以下がよい。質量が5000g/m以下であれば、軽い耐震補強材10を得ることができる。一方、下限値は、好ましくは100g/m以上がよく、より好ましくは200g/m以上、さらに好ましくは300g/m以上がよい。質量が50g/m以上であれば、十分な強度を有する耐震補強材が得られる。
継手11は、繊維強化複合材からなり、繊維材料と固化剤とを成形し、固化し、一体化したものである。
用いられる繊維材料としては、例えば、炭素繊維、バサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリビニルアルコール(PVA繊維)などが使用できる。用いられる繊維材料は、特に、難燃性、強度、耐光性の観点より、炭素繊維またはガラス繊維が好ましい。難燃性の観点からはガラス繊維が好ましい。また、得られる耐震補強材10の破断強度の向上の観点からは、棒状繊維強化複合材12に用いられる繊維材料と同じものを用いるとよい。
また、継手11に用いられる固化剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。また、繊維材料と親和性の高い固化剤が好ましい。特に加熱することにより可変性を持たせることができるため、また、継手11と棒状繊維強化複合材12とを、接着剤を用いて接合した場合の接着性に優れるとの観点からは、固化剤として熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
固化剤として、具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン42等)、ABS樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、レゾルシノール樹脂などが挙げられるが、これに制限されない。接着性の観点からは熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。また、棒状繊維強化複合材12にて用いた樹脂と同様のものが接着性の観点から好ましい。
また、上記の材料の他に硬化剤、触媒、架橋剤、顔料などの着色剤、触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐光向上剤などを含んでいてもよい。
また、本実施形態の継手11の形状は、柱状が好ましく、その長さ方向の断面形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形など特に限定されものではないが、強度の観点からは円形が好ましい。
なお、継手11として、具体的にはAGCマテックス株式会社から提供されているプラアロイ(登録商標)などを用いることができる。
また、本実施形態の継手11は、継手11の形状を凹部形成した型を用いて、型の中に樹脂と任意の長さにカットした繊維材料を含むものを注入し、加熱、加熱および加圧や、冷却等を行い製造する方法が挙げられる。また、複数本の長繊維の繊維材料を平行に中空状に配置し、繊維材料を繊維軸方向に移動させながら、樹脂溶液に浸漬し、中空部を形成するための型を通過させ、長尺の中空の管状部を製造した後に、任意の長さに切断し、継手を得る製造方法が挙げられる。当該方法によれば繊維材料の繊維軸方向が、継手11の長さ方向と同じ向きに配置される。得られる耐震補強材10の破断強度などの引張強度向上の観点からは、繊維材料の繊維軸方向が、継手11の長さ方向と同じ向きに配置されているものが好ましい。
なお、本実施形態の継手11の製造方法は、上記の製造方法に限定されるものではない。
(棒状繊維強化複合材)
本実施形態の棒状繊維強化複合材12は、繊維材料を束ねてなる繊維束を固化剤により一体化したものである。
用いられる繊維材料としては、例えば、炭素繊維、バサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリビニルアルコール(PVA繊維)などが使用できる。用いられる繊維材料は、特に、難燃性、強度、耐光性の観点より、炭素繊維またはガラス繊維が好ましい。難燃性の観点からはガラス繊維が好ましい。また、耐震補強材の引張強度の観点からは、継手に用いられる繊維材料と同じものを用いるとよい。
以下、繊維材料として炭素繊維、特に炭素繊維を棒状繊維強化複合材12の芯材として用いたものを例として、詳細に説明を行う。以下、炭素繊維を芯材として用いた棒状繊維強化複合材12を棒状炭素繊維複合材12ともいう。なお、炭素繊維以外の繊維材料を用いたものを除くものではない。
炭素繊維を複数本(通常、数千本から数十万本、あるいは数百万本)束ねた炭素繊維束を用いる。炭素繊維束は、炭素繊維束の長さ方向に垂直に切断した場合のその断面は円形状、扁平状等任意であってもよいが、円形状が好ましい。本実施形態の棒状炭素繊維複合材12では、炭素繊維の束は所定の回数の撚りがかけられた状態で固化剤により、一体化されていると好ましい。炭素繊維束の撚り数は、得られる棒状繊維強化複合材12の曲げ応力に対する耐性、炭素繊維束のバラケ防止性、炭素繊維束の撚りに対する強度(撚りにより炭素繊維糸が切れない)や後に説明する棒状繊維強化複合材12−1を得る工程において、固化剤が付与され炭素繊維束と拘束材とが一体化される前の状態のときに拘束材の間から炭素繊維束が飛び出す(目むき)ことが無いようにすることを考慮して決定される。
炭素繊維束の撚り数は、0〜100回/m、好ましくは2〜50回/mであり、より好ましくは5〜40回/mであり、さらに好ましくは10〜30回/mである。
棒状繊維強化複合材12は、直径0.5〜20mmであることが好ましく、直径1〜5mmであることがより好ましい。なお、本実施形態の棒状繊維強化複合材12の直径は、固化剤で一体化した棒状繊維強化複合材12の長さ方向に垂直に切断した断面の直径あり、目的とする直径になるように炭素繊維束の直径、固化剤の付与量が選択される。棒状繊維強化複合材12の長さ方向に垂直に切断した際の断面が円でない場合は、その断面の長径を直径という。
また、棒状繊維強化複合材12の長さ方向に垂直に切断した際の断面は、円形状、扁平状等任意であってもよいが、円形状が好ましい。得られる棒状繊維強化複合材12の強度が安定するとともに、後に説明を行う棒状繊維強化複合材12−1や棒状繊維強化複合材12−2のストランド構造体やマルチストランド構造体とする場合にも、安定したストランド構造体を得ることができる。
また、棒状繊維強化複合材12の直径が直径0.5〜20mm(より好適には1〜5mm)であると、棒状繊維強化複合材12および後に説明する棒状繊維強化複合材12−1、棒状繊維強化複合材12−2(ストランド構造体やマルチストランド構造体)がドラムに巻きやすくなり、また、任意の形状に追従するなどのフレキシブル性を高めることができる。
本実施形態の炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系のいずれの炭素繊維も使用できる。この中でも、得られる棒状繊維強化複合材12の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維糸が好ましい。
また、この炭素繊維を束ねた炭素繊維束は、炭素繊維メーカーから供給される炭素繊維を3000本(3K)、6000本(6K)、12000本(12K)、24000本(24K)、40000本(40K)、60000本(60K)などに束ねた炭素繊維束を、必要とされる強度に応じて1本、または複数本(2本以上)束ねたものを用いることができる。炭素繊維を束ねた炭素繊維束を複数本束ねる場合の炭素繊維束の本数に特に制限はなく、目的用途に応じで適宜決定されるが、通常、100本以下である。
本実施形態の固化剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。また、炭素繊維と親和性の高い固化剤が好ましい。特に加熱することにより可変性を持たせることができるため、また、継手11と棒状繊維強化複合材12とを接着剤を用いて接合した場合の接着性に優れるとの観点からは、固化剤として熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
好適な具体例としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン42等)、ABS樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、レゾルシノール樹脂などが挙げられるが、これに制限されない。
この中でも酸やアルカリに対する耐久性の観点から、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、レゾルシノール樹脂が好適であり、特に耐衝撃性に優れ、エポキシ樹脂が好適である。また、熱可塑性エポキシ樹脂であれば、ケトン溶剤に溶解が可能で素材分別しリサイクルができる。また、耐熱性の観点より、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂が好ましい。
また、継手11と棒状繊維強化複合材12とを接着剤を用いて接合した場合の接着性に優れるとの観点からは、固化剤として熱可塑性エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、特に熱可塑性エポキシ樹脂の中でも、炭素繊維束に付与した後、重合する重合型の熱可塑性エポキシ樹脂が好ましく、特に直鎖状に重合する重合型の熱可塑性エポキシ樹脂がこのましい。
棒状炭素繊維複合材12の芯材に用いられる炭素繊維束に撚りがかけられたものや、後に説明を行う棒状炭素繊維複合材12−1のように炭素繊維束の周りが拘束材で覆われているものでは、炭素繊維束の内部にまで樹脂を含侵させることが困難である。
一方、重合型の熱可塑性エポキシ樹脂は、重合させる前の熱可塑性エポキシ樹脂を有機溶剤で希釈することができるので粘度調整が容易である。
そのため、有機溶媒で希釈した低粘度の樹脂溶液を用いることにより、撚りがかけられている炭素繊維束の内部まで(さらには拘束材で覆われている棒状炭素繊維複合材12−1であっても外周の拘束材から内部の炭素繊維束まで)重合前の熱可塑性エポキシ樹脂を含浸させることができる。重合前の熱可塑性エポキシ樹脂を炭素繊維束の内部に含侵させた後、当該重合型の熱可塑性エポキシ樹脂を重合させることにより炭素繊維束と拘束材が熱可塑性エポキシ樹脂で一体化された、強度の優れた棒状炭素繊維複合材12が得られる。
また、加熱溶融することにより流動性を付与し用いられる一般的な熱可塑性樹脂は、粘度調整が困難であると共に、一般に結晶性樹脂であるためか加熱溶融を行うことにより結晶配列が変化し、当初の樹脂が有している強度などの性質が変質するおそれがあるが、重合型の熱可塑性エポキシ樹脂は、重合前および重合後も非晶質であるため、加熱溶融や加熱変形させても変質のリスクが小さい。
炭素繊維束への上述の樹脂(固化剤)を付与する方法は、スプレーコート法や刷毛で炭素繊維に樹脂をコートする方法などでもよいが、生産性の観点から、ディップ−ニップ法や樹脂(固化剤)溶液にディップした後、ダイスを通して余分な樹脂を除去し、また、炭素繊維束の長さ方向に垂直な断面の断面形状を整える方法が好適である。
また、棒状繊維強化複合材12は、固化剤により一体化した炭素繊維束のさらにその外周の全面を覆うように別途樹脂層が設けられていてもよい。不燃性向上の観点からは、ポリイミド樹脂やシリコーン樹脂や塩化ビニル樹脂を用いた樹脂層を設けるとよい。また、意匠性の観点からは、着色のための顔料などの着色剤を含む樹脂層を設けるとよい。これらの樹脂層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれであっても用いることはできるが、固化剤として、熱可塑性樹脂を用いた場合には、別途層に用いられる樹脂も熱可塑性樹脂が好ましい。
(棒状繊維強化複合材の変形例1)
本発明の他の実施形態の棒状繊維強化複合材について説明する。図2は棒状繊維強化複合材の第1変形例を示す図である。
図2に示す棒状繊維強化複合材12−1は、繊維材料を束ねてなる繊維束2がその周囲に拘束材3aを巻き回して結束され、当該繊維束2と当該拘束材3aとが共に固化剤(図示せず。)によって一体化されたものである。
なお、繊維束2がその周囲に拘束材3aを巻き回して結束される構造とすることにより、棒状繊維強化複合材12−1と接着剤との接触面積や構造的な抵抗が増加し、継手11と棒状繊維強化複合材12−1との接着力が向上し、得られる耐震補強材の引張強さ、破断荷重の大きさの観点より好ましい。
拘束材3a以外の基本的構成は、上記棒状繊維強化複合材12と同様であるため、適宜説明を省略する。
また、棒状繊維強化複合材12−1では、棒状繊維強化複合材12と同様に、繊維材料として炭素繊維、特に炭素繊維を芯材として用いたものを例として、詳細に説明を行う。以下、炭素繊維を束ねてなる繊維束2を炭素繊維束2ともいう。なお、炭素繊維以外の繊維材料を用いたものを除くものではない。
また、棒状繊維強化複合材12−1を棒状炭素繊維複合材12−1ともいう。なお、炭素繊維以外の繊維材料を用いたものを除くものではない。
拘束材3aは、炭素繊維束2を周囲面から炭素繊維がばらばらにならないように結束するとともに棒状繊維強化複合材12−1の形状を安定させることができるものである。本実施形態では、棒状繊維強化複合材12−1は、炭素繊維束2を拘束材3aで拘束して、そこに固化剤を付与することで、炭素繊維束2と拘束材3aとが固化剤によって一体化している。棒状繊維強化複合材12と同様に炭素繊維束2は撚りがかかっていると好ましい。
本実施形態の棒状繊維強化複合材12−1では、拘束材3aとなる繊維を炭素繊維束の外周に巻きまわして筒状の組紐(丸打)を組むことで、組紐状の拘束材3aを形成している。拘束材3aを組紐状にすることで、炭素繊維束2を結束すると共に、得られる棒状繊維強化複合材12−1の形状をより安定させることができ、また、拘束材3aが内部の炭素繊維束2を構成する炭素繊維の保護を行う保護層として機能する。また、日本伝統の組紐技術が用いられているため、伝統建築物に用いても外観品位の低下を抑制することができる。
そのため、このような構成の棒状繊維強化複合材12−1を引張材等の耐震補強材として用いた場合では、安定した強度を発揮し、外観品位も良く、砂利などの鋭利物と接触しても断線することを防ぐことができる。
また、拘束材3aで拘束された炭素繊維束2を樹脂(固化剤)溶液にディップした後、ダイスで扱いて余分な樹脂を絞るときに炭素繊維束2の長さ方向に張力がかかるが、拘束材3aが組紐構造であれば編物のように目が開いてしまうのではなく、目が閉じた状態で組紐の径が細くなる。そのため、内部の炭素繊維束2の露出を抑えつつ、拘束材3aと炭素繊維束2の密着性を高めることができるので、得られる耐震補強材の強度の観点より好ましい。
なお、拘束材3aは炭素繊維束2を構成する炭素繊維がばらばらにならないように結束できればよく、拘束材3aの配置は組紐状に限定されない。また、炭素繊維束2の表面を拘束材3aで完全に被覆する必要もなく、炭素繊維束2の表面の一部が被覆されていなくてもよい。
他の拘束材による結束の例として、1本の拘束材を螺旋状に巻きつけて炭素繊維束を結束したり(図示せず。)、図3に示すように、炭素繊維束2の周囲面に拘束材3bとなる繊維を巻き回して目の粗い筒状の丸編を編んだ編紐状の拘束材3bによって炭素繊維束2を結束したり、図4に示すように、繊維等を所定間隔に配置した拘束材3cによって炭素繊維束2を結束したりする形態であってもよい。
一方で、炭素繊維束2の保護、棒状繊維強化複合材12−1の形状の安定による強度の安定、外観品位の低下の抑制との観点からは、図5に示すように、拘束材3dを組紐状にして、炭素繊維束2の表面全体を被覆することが好ましい。
拘束材3a〜3dとしては、柔軟なものが好ましく、ポリアミド(ナイロン等)、ビニロン、ポリアクリル、ポリプロピレン、塩化ビニル、アラミド、セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール等の合成繊維や、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、絹、羊毛、麻、綿などの天然繊維等が使用できる。また、熱安定性に優れる繊維が好ましく、ガラス繊維、バサルト繊維が好ましく、特にはガラス繊維が好ましい。ガラス繊維のように熱安定性に優れる繊維を用いることにより、熱がかかったときに、不燃性に優れるとともに、炭素繊維束2と拘束材3a〜3dとのずれの発生を抑制し、安定した引張に対する強度と不燃性を発現することができる。
なお、繊維強化複合材12−1においては、炭素繊維束2をより強固に結束するために、特に拘束材3a〜3dにより結束した炭素繊維束2に固化剤を含浸させ、拘束材3a〜3dと共に炭素繊維束2を硬化させることが好ましい。そうすることで、炭素繊維束2および拘束材3a〜3dを強固に一体化させることができる。
棒状繊維強化複合材12−1の太さは、直径1〜25mm、より好適には1〜10mm、さらにより好ましくは1〜5mmであると、棒状繊維強化複合材12−1および後に説明する棒状繊維強化複合材12−2(ストランド構造体やマルチストランド構造体)がドラムに巻きやすくなり、また、任意の形状に追従するなどのフレキシブル性を高めることができる。なお、本実施形態の棒状繊維強化複合材12−1の直径は、炭素繊維束2と当該拘束材3a〜3dと共に固化剤によって一体化した棒状繊維強化複合材12−1の長さ方向に垂直に切断した断面の直径であり、目的とする直径になるように炭素繊維束2の直径、固化剤の付与量が選択される。棒状繊維強化複合材12−1の長さ方向に垂直に切断し際の断面が円でない場合は、その断面の長径を直径という。
また、棒状繊維強化複合材12−1は、拘束材3a〜3dおよび固化剤が付与された炭素繊維束2の外周の全面を覆うように別途層(繊維材料からなる筒状体や樹脂層等)が設けられていてもよい。不燃性向上の観点から、ポリイミド樹脂やシリコーン樹脂や塩化ビニル樹脂を用いた樹脂層を設けるとよい。また、意匠性の観点からは、着色のための顔料などの着色剤を含む樹脂層を別途設けてもよい。これらの樹脂層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれであっても用いることはできるが、固化剤として、熱可塑性樹脂を用いた場合には、別途層に用いられる樹脂も熱可塑性樹脂が好ましい。
(棒状繊維強化複合材の変形例2)
本発明の他の実施形態の棒状繊維強化複合材12−2について説明する。図6は棒状繊維強化複合材の第2変形例を示す図である。
棒状繊維強化複合材12−2は、上記の棒状繊維強化複合材12および棒状繊維強化複合材12−1のいずれか一方または両方を芯線として用い、これらを複数本、引き揃えたり、撚り合せたりして形成したストランド構造体である。
例えば、図6に示すように、棒状繊維強化複合材12−2が、上記の棒状繊維強化複合材12−1を7本備えてなり、中心に配置された1本の棒状繊維強化複合材12−1を他の6本の棒状繊維強化複合材12−1が取り囲む構造を有するストランド構造とすることにより、継手11と棒状繊維強化複合材12−2の接合において、棒状繊維強化複合材12−2と接着剤との接触面積や構造的な抵抗が増加し、継手と棒状繊維強化複合材12−2との接着力が向上し、得られる耐震補強材の引張強度の向上および安定性の観点より好ましい。
ストランド構造体を構成する芯線としては、棒状繊維強化複合材12、棒状繊維強化複合材12−1を例示したがこれに限定されず、本発明の棒状繊維強化複合材の構成のものであればいずれものでもよい。また、本実施形態における芯線おいて、芯線を構成する芯線は同一の芯線であるが、本発明の芯線の要件を満たす芯線であれば、異なる芯線を複合して用いてもよい。
本実施形態に係る棒状繊維強化複合材12−2では、芯となる芯線と、芯となる芯線を取り囲む他の6本の芯線が撚り合されているストランド構造を有していることで、樹脂を用いて7本の芯線を一体化しなくとも、バラケを防ぎ一体化できる。棒状繊維強化複合材12−2は、さらにドラムに巻き曲げ応力がかけられた後、伸ばして用いた場合や、曲げ応力がかかる箇所にもちいても優れた引張強度を維持することができる。
また、撚りを形成する方向として、
炭素繊維束×ストランド構造体=S方向×Z方向、S方向×S方向、Z方向×Z方向、Z方向×S方向、のいずれでも可能である。
ストランド構造体の撚り数は、目的に応じて1.1〜50回/mで選択される。撚り数が少なすぎると、芯材単位でバラケやすくなる。一方、撚り数が多くなりすぎると引張強度が低下するおそれがある。芯線の本数が7〜37本の場合には、1.5〜20回/mが好ましい。より好ましくは2〜10回/mがよい。
また、ストランド構造体を構成する芯線の本数は7本であるが、これに限定されず、目的とする性能(特に破断荷重)、用途を考慮して適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常、2〜50本である。好ましくは、7〜37本がよい。
例えば、炭素繊維を24000本束ねたもの(24k)1本を炭素繊維束として用いた棒状炭素繊維複合材12または棒状炭素繊維複合材12−1の場合には、ストランド構造体を構成する芯線の本数は2本〜50本程度であるとブレース材等の用途として好適である。
なお、本実施形態の棒状繊維強化複合材12−2は、芯線として用いた一本の棒状炭素繊維複合材12または棒状炭素繊維複合材12−1を取り囲むように芯となる棒状炭素繊維複合材12または棒状炭素繊維複合材12−1と他の芯線とが撚り合わせられているが、ストランド構造体の構造として、芯となる芯線を設けず、必要本数(例えば、2〜50本)の芯線を束ね、束ねられた芯線全体に撚りを掛けてもよい。
棒状繊維強化複合材12−2の直径が直径2〜100mm、より好適には4〜50mm、さらにより好適には6〜20mmであると、棒状繊維強化複合材12−2がドラムに巻きやすくなり、また、任意の形状に追従するなどのフレキシブル性を高めることができる。
なお、棒状炭素繊維複合材12−2として、前記ストランド構造体をさらにより合せた、マルチストランド構造体であってもよい。
また、棒状繊維強化複合材12−2は、ストランド構造体やマルチストランド構造体の外周の全面を覆うように別途層(繊維材料からなる筒状体や樹脂層等)が設けられていてもよい。
ストランド構造体やマルチストランド構造体は撚られた芯線と芯線の間に埃等が付着しやすいが、これらの埃の付着を抑制することができる。
また、不燃性向上の観点からは、前記の全面を覆うように別途層は、ポリイミド樹脂やシリコーン樹脂や塩化ビニル樹脂を用いた樹脂層を設けるとよい。
また、意匠性の観点からは、全面を覆うように別途層として着色のための顔料などの着色剤を含む樹脂層を別途設けてもよい。
これらの樹脂層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれであっても用いることはできるが、固化剤として、熱可塑性樹脂を用いた場合には、別途層に用いられる樹脂も熱可塑性樹脂が好ましい。
以上の構成を有する本実施形態の棒状繊維強化複合材12は、軽量でかつ優れた強度を有することにより、クレーン車などの重機の入れない場所に建てられた伝統建築物や従来の耐震補強材の質量に耐えることができず耐震補強できなかった伝統建築物の耐震補強を行うことができ、また、細い耐震補強材を用いるため伝統建築物の外観の悪化も抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の技術的思想の範囲内で上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
また、本実施例における各種データは以下の方法で測定を行った。
<直径>
棒状繊維強化複合材体および継手の直径(外径、内径)はノギスで測定した。
<質量>
棒状繊維強化複合材および継手を10cmに切断し、電子天秤を用いて質量を測定し、その値を10倍して、1m当たりの質量を求めた。また、実施例で得られた耐震補強材全体の質量も天秤を用いて測定した。
<密度>
JIS K7112:1999 A法(水中置換法)に準じて測定をおこなった。
<引張強さおよび破断荷重>
引張強さおよび破断荷重は、インストロンジャパンカンパニリミテッドから供給されている5980フロア型高容量万能試験機 型式5985を使用し、2mm/minの条件で測定した。試料が破断したときの荷重(kN)を破断荷重とし、破断荷重を棒状繊維強化複合材の長さ方向に垂直に切断した断面積(有効断面積)で割ったものを引張強さ(MPa)とした。耐震補強材は、場所により太さが異なり、場所により断面積が異なるため破断荷重のみを測定した。
なお、耐震補強材の破断荷重を測定するため、継手に接続された棒状繊維強化複合材の継手から出ている部分を22cmの長さとなるように切断し、ねじを切った鋼管(長さ20cm、内径18mm、外径27mm)に当該棒状繊維強化複合材の継手に接続されていない端部を挿入し、ウレタン系接着剤を用いて鋼管と接合した。棒状繊維強化複合材の鋼管内に接合された長さは20cmであった。
当該鋼管と実施例1に記載の耐震補強材のボルト部を試験機のつかみ部分でつかみ引張強さおよび破断荷重を求めた。
また、棒状繊維強化複合材の引張強さおよび破断荷重を測定するため、棒状繊維強化複合材の両端に、ウレタン系接着剤を用いてねじを切った鋼管(長さ20cm、内径23mm、外径31mm)と接合した。棒状繊維強化複合材の鋼管内に接合された長さは各端部それぞれ20cmであった。
当該鋼管を試験機のつかみ部分でつかみ棒状繊維強化複合材の引張強さおよび破断荷重を求めた。
(実施例1)
24Kの炭素繊維束(PAN系炭素繊維。東レ株式会社製。T700SC。)を3本束ね、S方向に10回/m撚りをかけたもの1本を炭素繊維束として用い、拘束材としてガラス繊維を用い、製紐機(24打機)を用いて、8打ちの石目打にて、炭素繊維束の周りの全面を組紐状にガラス繊維で拘束した。
次に、
重合型の熱可塑性エポキシ樹脂(DENATITE XNR6850V、固形分85質量%、ナガセケムテックス株式会社製)100質量部、
硬化剤(DENATITE XNH6850V、固形分30質量%、ナガセケムテックス株式会社製) 6.5質量部、
メチルエチルケトン(MEK)10質量部
からなる溶液(粘度80mPa・s)にデッピングし、ダイスを通し、余分な溶液を除去するとともに、炭素繊維束の長さ方向に対し垂直に切断した際の断面形状が円形になるように形状を整え、拘束された炭素繊維束に対し、固化剤を付与した。その後、熱処理(150℃、20分間)を行うことで、前記重合型の熱可塑性エポキシ樹脂を重合させて、炭素繊維束と拘束材と熱可塑性エポキシ樹脂(固化剤)を一体化させて棒状繊維強化複合材を得た。
得られた実施例1の棒状炭素繊維複合材の断面は円形状で、直径3mmであった。
棒状炭素繊維複合材は、室温で直径100cmのドラムに3000m巻きとったところ、折れることなく、スムーズに巻き取ることができた。得られた棒状炭素繊維複合材を芯線として用いた。
次に、得られた芯線を7本用い、中心に1本の芯線、その周りを6本の芯線で覆うように、120℃に加熱しながら撚り合わせて、ストランド構造とし、棒状繊維強化複合材を得た。
得られた実施例1の棒状繊維強化複合材は、直径9mm、密度は1.6g/m3、質量は80g/mであった。破断荷重90kN、引張強さは1800MPa(有効断面積50mm2)であった。
次に、継手として、ガラス繊維を繊維軸方向が継手の長さ方向と同じ向きになるように、また、中空の管状となるように配置し、不飽和ポリエステル樹脂と複合した管状物を得た。管状物はその一端から他方端まで貫通した中空部を有していた。また、継手の外径は27mm、内径は21mm、長さが26cm、密度が1.8g/m3、質量は460g/mである。
次に、前記継手の中空部に、一方の端部から長さ8mに切断した棒状繊維強化複合材を挿入し、また、もう一方の端部から長さ20cmの螺子M12(外径12mm。質量700g/m)のボルト(鋼材)を挿入し、これらを、ウレタン系接着剤を用い接合し耐震補強材を得た。
なお、棒状繊維強化複合材の継手内に挿入され接着剤で接合された部分は15cmであった。また。ボルトの継手内に挿入され接着剤で接合された部分は、11cmであった。
得られた耐震補強材の全体の質量を測定したところ、約8mの耐震補強材で1.0kgととても軽いものであった。当該耐震補強材を20本まとめて運搬しても20kgである。
また、破断荷重47kN(ボルト部が破断)であった。
また、今回の破断荷重と同等の強度を有する棒状の鋼材(実施例1に用いた鋼材製のボルト)のみからなる耐震補強材8mでは、その全体の質量が5.6kg以上となる。当該耐震補強材を20本まとめて運搬すると112kgとなり、重機なしには運搬できない。
したがって、本願発明の耐震補強材は、軽量でかつ強度に優れるため、クレーンなどの重機を用いなくとも、施工現場に、多くの耐震補強材を容易に運びこみ、施工することがで、耐震補強される建築物への負荷も小さく、種々の伝統的建築物に用いることができる。また、耐震補強材が細く伝統建築物のイメージの変化を抑え、意匠性の低下も抑制することができる。
本発明の耐震補強材は、鉄筋コンクリート製の建物や木造住宅などの建築物に耐震補強を施すための耐震補強材として有用である。特に、本願発明の耐震補強材は、伝統的な建築物の美観を維持しながら、十分な耐震性を付与することができるものとして好適である。
2 繊維束(炭素繊維束)
3a〜3d 拘束材
10 耐震補強材
11 継手
11a 中空部
12,12−1,12−2 棒状繊維強化複合材(棒状炭素繊維複合材)

Claims (6)

  1. 繊維強化複合材からなる継手であり、両方の端部に中空部を有する管状物である継手と、
    前記継手の一方の端部の中空部に挿入され、接合された第1の棒状繊維強化複合材と、
    前記継手の他の一方の端部の中空部に挿入され、接合された金属製の材料とを有し、
    前記第1の棒状繊維強化複合材が、固化剤により一体化された繊維束を含む芯線を撚り合わせたストランド構造体、または、前記ストランド構造体を撚り合わせたマルチストランド構造体であり、
    前記継手と、前記第1の棒状繊維強化複合材および前記金属製の材料とが接着剤で接合されており、
    前記接着剤がウレタン系接着剤であり、
    前記固化剤が熱可塑性エポキシ樹脂であり、
    破断荷重が、3〜300kNであり、
    全体の質量が、5kg以下である耐震補強材。
  2. 前記継手の密度が、1.0〜5.0g/cm3である請求項に記載の耐震補強材。
  3. 前記継手の質量が、50〜5000g/mである請求項1または2に記載の耐震補強材。
  4. 前記第1の棒状繊維強化複合材の密度が、1.0〜2.5g/cm3である請求項1からのいずれか1項に記載の耐震補強材。
  5. 前記第1の棒状繊維強化複合材の質量が、2〜150g/mである請求項1からのいずれか1項に記載の耐震補強材。
  6. 前記第1の棒状繊維強化複合材の引張強さが、100〜5000MPaである請求項1からのいずれか1項に記載の耐震補強材。
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