以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」は建物に形成された開口部に納められた建具における戸体の面方向を意味し、見付面は正面側から見たときに見える面である。また、「見込方向」は建具の奥行方向であり、戸体の厚み方向を意味し、見込面は奥行方向の面(見付方向を向く面)である。
まず、図1〜図9を参照して本発明の第1実施形態の建具としての枠付ドア1の外観について説明する。
図1〜図7に示すように、枠付ドア1は、建物の開口部に固定される枠体2と、枠体2に取り付けられる戸体3と、を主要な構成として備える建具であり、室内外の出入口を構成する玄関ドアである。
枠体2は、上枠21と、吊元側縦枠22と、戸先側縦枠23と、下枠24と、が矩形に枠組みされて構成される。図3の背面視に示すように、戸体3は、枠体2の吊元側縦枠22に3個のヒンジ部70を介して取り付けられる。なお、ヒンジ部70の構成については後述する。
戸体3は、その上部に上枠21を隠す上部枠カバー41が設けられる。図8は、本実施形態の枠付ドア1における図2のA−A線端面図である。図8に示すように、上部枠カバー41は、戸体3における枠体2の内側を閉鎖する部分から上方に延出する壁状に形成されており、上枠21の見付面に対して見込方向で対面している。
戸体3は、その吊元側に吊元側縦枠22を隠す吊元側枠カバー42が設けられるとともに、その戸先側に戸先側縦枠23を隠す戸先側枠カバー43が設けられる。図9は、本実施形態の枠付ドア1における図2のB−B線端面図である。図9に示すように、吊元側枠カバー42は、戸体3における枠体2の内側を閉鎖する部分の戸先側から壁状に延出して吊元側縦枠22の枠体見付面221に対して見込方向で対面している(図13参照)。同様に、戸先側枠カバー43は、戸体3における枠体2の内側を閉鎖する部分の吊元側から壁状に延出して戸先側縦枠23の枠体見付面231に対して見込方向で対面している(図14参照)。
図2の正面視に示すように、閉鎖位置の戸体3の上部枠カバー41、吊元側枠カバー42及び戸先側枠カバー43は、上枠21、吊元側縦枠22及び戸先側縦枠23をそれぞれ隠す枠隠しとして機能し、枠体2の3方(上左右)が隠れる状態となる。
また、本実施形態では、戸体3の板状部分である戸体本体30の室外側の表面を構成する室外側表面部31と、室内側の表面を構成する室内側表面32と、板状の外形をなす戸体本体30と、が一体的な部材となっている。
戸体3の室外側表面部31の戸先側には、見込方向に凹む凹部50が形成される。本実施形態の凹部50は、戸体3の上面から下面まで途切れることなく延びる溝状に形成されている。図2に示すように、凹部50における正面を向く底面51の下部にはシリンダ錠5が配置される。なお、部率的な鍵で開け閉めするシリンダ錠5に替えて電気錠を用いることもできる。例えば、暗証番号やバイオメトリクス認証等を行うための操作部を戸体に配置し、暗証番号や指紋認証に連動して錠機構が動作(開け閉め)する構成や、リーダ等の受信部を戸体に配置し、ICカードやスマートフォン等の通信により錠機構が動作する構成としてもよい。
図9に示すように、戸体3の室外側表面部31の裏側には凹部50に連通するスペース53が形成される。このスペース53に戸体3を閉鎖位置で固定するラッチ機構55を操作するための室外側操作部54が配置される。
図1に示すように、本実施形態のスペース53は、凹部50の戸先側の内側面52から見付方向の戸先側に延びる空間となっている。図2に示すように、スペース53は、少なくとも正面視において外側から見えない死角に位置している。また、図3の背面視に示すように、戸体3の室内側表面32の戸先側には、室内側操作部60が配置される。また、室外側表面部31において、裏側にスペース53がある部分が手掛け部9として機能する。そして、凹部50は、手掛け部9に対して相対的に戸体3の内部側に位置するように構成される。図9に示すように、室内側操作部60は、室内側表面32と略面一になるように埋設されている。なお、ラッチ機構55、室外側操作部54、及び室内側操作部60の構成については後述する。
次に、建物に設置される枠付ドア1及び戸体3を開閉するための構造について説明する。図10は、本実施形態の枠付ドア1の使用状態の正面図である。図11は、本実施形態の枠付ドア1の戸体3が開いた状態の正面図である。図12は、本実施形態の枠付ドア1の戸体3が開いた状態の横断面図である。
図10〜図12に示すように、枠体2のうち、上枠21、吊元側縦枠22、戸先側縦枠23は壁4に固定されている。下枠24は、その下部が地面又は床面に埋設されている。上述のように、戸体3が閉鎖位置にある状態では、上枠21、吊元側縦枠22及び戸先側縦枠23が戸体3の上部枠カバー41、吊元側枠カバー42及び戸先側枠カバー43によって正面側から隠れる位置関係となる。そして、図10及び図11に示すように、戸体3が閉鎖位置から90度開いた状態では上枠21及び戸先側縦枠23については正面側から見える状態となる。なお、本実施形態の下枠24については、戸体3が閉鎖位置及び開放位置の何れに位置するかに関わらず外側からほとんど見えない位置関係となっている。
図10に示すように、戸体3の開閉範囲及び回転速度をコントロールするドアクローザ6が戸体3の吊元側の上部と上枠21を連結固定している。ドアクローザ6により戸体3の開閉範囲は略90度に設定されている。また、図11に示すように、枠体2の戸先側縦枠23の吊元側を向く見込面90には、ラッチ受け具7及びシリンダ錠受け具8が設けられる。
次に、ヒンジ部70の構成について説明する。図13は、本実施形態の枠付ドア1のヒンジ部70及びその周囲の拡大横断面図である。
図13に示すように、本実施形態の吊元側縦枠22には、戸先側を向く見込面91に吊元側戸当たり27が配置される。吊元側戸当たり27には、緩衝材としてパッキン部材28が配置される。また、吊元側縦枠22と壁4の間にはコーキング部92等が設けられる。
本実施形態のヒンジ部70は、いわゆる隠し丁番であり、枠側固定部71と、戸体側固定部72と、ヒンジ連結部73と、主要な構成として備える。
枠側固定部71は、縦長のブロック状に形成されており、吊元側縦枠22の枠体見付面221に埋設される。
戸体側固定部72は、縦長のブロック状に形成されており、閉鎖位置において戸体3の吊元側枠カバー42の枠体見付面221に対向する部位に埋設される。以下、吊元側枠カバー42の枠体見付面221に対向する部位を枠カバー対向面421とする。
ヒンジ連結部73は、枠側固定部71と戸体側固定部72を連結する連結部材であり、複数の垂直軸(5軸)を有するリンク機構である。本実施形態のヒンジ連結部73は、戸体側固定部72を回転させつつ、吊元側枠カバー42の吊元側端面422が壁4の見付面450に対面する位置まで回動させて戸体3を開放状態(閉鎖位置から90度開いた状態)にするように構成される。
戸体3が閉鎖位置にある状態では、平面視において、枠側固定部71の内側面(外側に露出している面)711と戸体側固定部72の内側面(外側に露出している面)721は対面している状態である。図13の鎖線に示すように、戸体3が開放位置にある状態では、平面視において、枠側固定部71の内側面と戸体側固定部72の内側面は対面することなく、直交する位置関係となっている。即ち、枠カバー対向面421が、枠体見付面221から離間して戸先側を向くことにより、戸体3が開いた状態になっている。
なお、ヒンジ連結部73の構造は、一般的な隠し丁番に使用されるものを利用することができ、本実施形態では、ヒンジ連結部73自体は180度回転可能なものが用いられており、ドアクローザ6によって回転範囲が設定されている。
次に、ラッチ機構55、室外側操作部54、及び室内側操作部60の構成について説明する。図14は、本実施形態の枠付ドアのラッチ機構55及びその周囲の拡大横断面図である。
図14に示すように、本実施形態の戸先側縦枠23には、吊元側を向く見込面90に戸先側戸当たり25が配置される。戸先側戸当たり25には、緩衝材としてパッキン部材26が配置される。また、戸先側縦枠23と壁4の間にはコーキング部92等が設けられる。戸体3の閉鎖位置では、戸先側縦枠23の枠体見付面231と戸先側枠カバー43が見込方向で対向する位置関係となる。以下、閉鎖位置において、戸先側縦枠23の枠体見付面231に対面する戸先側枠カバー43の部位を枠カバー対向面431として説明する。
戸先側枠カバー43を含む戸体3の戸先側の内部には、ラッチ機構55、室外側操作部54、及び室内側操作部60を配置するための配置スペース80が形成される。この配置スペース80には、ラッチ機構55、室外側操作部54、及び室内側操作部60を保持するための室内側ブラケット58及び室外側ブラケット65が設けられる。室内側ブラケット58及び室外側ブラケット65により、ラッチ機構55、室外側操作部54、及び室内側操作部60が戸体3内部の戸先側で固定される。
ラッチ機構55は、戸体3を枠体2に固定する固定機構である。本実施形態のラッチ機構55は、本体ケース551と、該本体ケース551から突出して戸体3を固定するラッチ部552と、を主要な構成として備える。本体ケース551の内部には、本体ケース551から突出させて戸体3を固定する固定位置と、本体ケース551に退避させる解除位置と、の間でラッチ部552を移動させるための機構が内蔵される。
室外側操作部54について説明する。室外側操作部54は、戸体3のスペース53を形成する裏側面56に配置されており、室外側表面部31の裏側に位置する。室外側操作部54は、室外側連動部材59を介してラッチ機構55に連結される。室外側連動部材59は、平面視において室外側操作部54から見込方向の室内側に延びた後、見付方向の吊元側に屈曲し、更に見込方向の室内側に延びた後、本体ケース551に接続されている。
室外側操作部54は、配置スペース80における戸先側枠カバー43の内側の空間を利用して配置されている。室外側操作部54及び室外側連動部材59の一部が戸先側枠カバー43の内部空間に入り込むレイアウトになっている。本実施形態では、戸先側縦枠23における見込面90に対面する戸先面311よりも室外側操作部54の戸先側の端部が吊元側から離れており、吊元側から室外側操作部54までの距離を長く確保できるようになっている。
使用者が、室外側からロックを解除する場合は、スペース53に手を差し入れて室外側操作部54を手前に押す(操作する)ことにより、室外側操作部54に連動する室外側連動部材59が可動してラッチ機構55のロックが解除される。図2の正面視では、室外側操作部54は、外部から見えない死角に位置している。
室内側操作部60について説明する。室内側操作部60は、戸体3の室内側表面32に形成される室内側凹部66に埋設される。本実施形態の室内側凹部66は、室外側ブラケット65によって構成される。
室内側操作部60は、室内側凹部66の内側に配置される垂直軸61と、垂直軸61によって回転自在に支持される回転板62と、回転板62の回転をラッチ機構55に伝達する室内側連動部材63と、を主要な構成として備える。
回転板62は、上下方向に細長の板状に形成される。回転板62は、戸先側に配置される垂直軸61によって軸支されている。回転板62は、戸体3を固定する固定位置では、室内側表面32に略面一の状態となっている。
使用者が、室内側からロックを解除する場合は、回転板62の吊元側の端部を室内側凹部66の見込方向の室外側に押す(操作する)ことにより、回転板62の吊元側が室内側凹部66に回転し、この回転に連動する室内側連動部材63によりラッチ機構55のロックが解除される。
以上説明した第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
枠付ドア1は、枠体2と、枠体2に開閉可能に取り付けられる戸体3と、閉鎖位置の戸体3を枠体2に固定するラッチ機構55と、戸体3の表面を構成する室外側表面部31によって形成される手掛け部9と、ラッチ機構55による戸体3の固定を解除する室外側操作部54と、を備える。室外側表面部31における手掛け部9の隣接部分57が、手掛け部9に対して見込方向で相対的に戸体3の内部側に位置するとともに戸体本体30と手掛け部9の間に見込方向でスペース53が形成され、室外側操作部54は、手掛け部9の裏側のスペース53に配置される。
これにより、手掛け部9が戸体3の室外側表面部31により構成されるので、手掛け部9を独立した部品で構成する場合に比べ、枠付ドア1の構造をシンプルにすることができる。また、手掛け部9が戸体3の室外側表面部31と一体的になるとともに、室外側操作部54が手掛け部9の裏側に隠れるので、統一感のあるデザイン性の高い建具を実現できる。
また、第1実施形態では、以下のような効果も奏する。
枠付ドア1は、枠体2と、枠体2を構成する戸先側縦枠23に回転可能に取り付けられ、その室外側表面部31に見込方向に凹む凹部50及び凹部50の内側面52から室外側表面部31の裏側で見付方向に延びるスペース53が形成される戸体3と、戸体3の戸先側に配置され、閉鎖位置の戸体3を枠体2に固定するラッチ機構55と、戸体3の室外側表面部31の裏側でスペース53を形成する部分に配置され、ラッチ機構55の固定解除を操作する室外側操作部54と、を備える。
これにより、室外側表面部31に形成された凹部50に連通し、戸体3の裏側に延びるスペース53に室外側操作部54が配置されることになるので、室外側表面部31から突起物(例えば、従来のハンドル)を取り除くことができる。突起物がないので、人や物が突起物に引っ掛かったりすることもなくなり、安全性をより向上させることができる。また、突起物がなく、室外側操作部54は正面からは見死角に位置するので、デザイン性を向上させることができる。ハンドル等の突起物に左右されなくなってデザインの選択の幅を広げることができる。
また、本実施形態の戸体3は、閉鎖位置において枠体2を構成する戸先側縦枠23の枠体見付面231を覆う戸先側枠カバー43を有する。
これにより、戸体3が閉鎖位置にある状態では、建物に固定される戸先側縦枠23が戸先側枠カバー43によって隠れるので戸体3と建物が一体的なデザインを行うことができ、より一層意匠性を向上させることができる。
また、本実施形態の戸先側枠カバー43は、その内側に中空の配置スペース80が形成され、室外側操作部54が配置スペース80に配置される。
これにより、従来のハンドル位置よりも戸先側に室外側操作部54を設けることができるので、戸体3の支点であるヒンジ部70から作用点である室外側操作部54までの距離を長くとることができ、開閉力を軽減することができる。
また、本実施形態の戸体3の室内側表面32には、ラッチ機構55に連動する室内側操作部60を埋設する第2凹部としての室内側凹部66が形成される。
これにより、室内側表面32においても、ラッチ機構55を操作するための室内側操作部60が戸体3に内蔵されることになり、ラッチ機構55を操作する機能を保持したまま突起物をなくして室内側表面32をフラットにすることができる。これによって、意匠性及び安全性を向上させることができる。また、図11に示すように、突起物に左右されることなく、有効開口を利用できるので、車椅子使用者の出入りの利便性も向上させることができる。
また、本実施形態の枠付ドア1は、枠体2と、枠体2を構成する吊元側縦枠22の枠体見付面221を覆う吊元側枠カバー42を有する戸体3と、枠体2に対して戸体3を開閉可能に支持するヒンジ部70と、を備える。ヒンジ部70は、枠体2の吊元側の枠体見付面221に配置される枠側固定部71と、枠体見付面221に対向する枠カバー対向面421に配置される戸体側固定部72と、枠カバー対向面421が枠体見付面221に対向する閉鎖位置と枠カバー対向面421が戸先側を向く開放位置との間を移動できるように、枠側固定部71と戸体側固定部72を連結するヒンジ連結部73と、を有する。
これにより、ヒンジ部70の納め方を従来とは異なる位置、即ち、枠体見付面221に枠側固定部71を埋設(配置)するとともに、枠カバー対向面421に戸体側固定部72を埋設(配置)することにより、戸体3を開放位置にしても吊元側枠カバー42が枠体2や壁4に干渉する事態を回避する構成を実現できる。これによって、従来はできなかった吊元側枠カバー42付の戸体3の開閉が可能となり、外部に露出しない隠し丁番であるヒンジ部70を使用しつつ、吊元側枠カバー42により吊元側縦枠22を隠すことができ、吊元側の意匠性を向上させることができる。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において戸体3の戸先側に内蔵されるラッチ機構55、室外側操作部54及び室内側操作部60の構成は上記実施形態の戸体3と同様の構成である。また、既に説明した構成と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略することがある。
図15は、第1変形例の枠付ドア101の一部を模式的に示す横断面図である。図15に示すように、第1変形例の枠付ドア101は、戸先側縦枠131の枠体見付面135が正面視において外部から見えるにように構成されている。戸体153の戸先側枠カバー43は、戸先側縦枠131の一部を隠す部材として機能している。
吊元側縦枠121についてもその枠体見付面125が外部から視認できるように構成される。第1変形例の戸体153の吊元側端面は、吊元側縦枠121に左右方向(見付方向)で対面しており、上記実施形態における吊元側枠カバー42の構成が省略されている。また、戸体153を支持するヒンジ部170は、従来の隠し丁番の納め方と同様の配置となっている。なお、戸体153の吊元側に吊元側枠カバー42がないので、戸体153を開放位置にしたときも吊元側枠カバー42が吊元側縦枠121に干渉することもない。即ち、第1変形例では、吊元側縦枠121を隠す機能を省略する一方、ヒンジ部170については外部から見えない隠し丁番が採用されている。
図16は、第2変形例の枠付ドア102の一部を模式的に示す横断面図である。図16に示すように、第2変形例の枠付ドア102は、隠し丁番ではなく、いわゆる旗丁番がヒンジ部171として用いられている。このように、第2変形例では、上述の旗丁番、五管丁番、ピボットヒンジ、段付き丁番等、隠し丁番以外の外観上見える丁番がヒンジ部171として採用されている。
図17は、第3変形例の枠付ドア103の一部を模式的に示す横断面図である。図17に示すように、第3変形例のヒンジ部172は、第2変形例と同様に、旗丁番等の外部に露出する丁番であり、上記実施形態のヒンジ部70と同様の配置で吊元側枠体122及び戸体3に固定される。即ち、ヒンジ部172の枠側固定部は吊元側枠体122の枠体見付面126に固定され、戸体側固定部は戸体3の吊元側枠カバー42の枠カバー対向面421に固定される。なお、第3変形例における戸先側枠体132の枠体見付面136は、戸先側枠カバー43によって隠れるように構成される。
なお、第1実施形態では、スペース53の戸先側が閉塞する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、スペース53を延長して戸体3の室外側表面部31に開口するようなトンネル状に構成することもできる。また、凹部50は上下方向に細長く構成されているが、戸体の端面まで達しないようなブロック状の凹部としてもよいし、横方向(水平方向)に延びるように構成することもできる。このように凹部50に関する構成についても、事情に応じて適宜変更することができる。
次に、第1実施形態とは、ラッチ機構(固定機構)や室外側操作部の構成が異なる別実施形態について説明する。なお、以下の説明においても上記実施形態及び変形例で説明した構成と共通又は同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
図18は、第2実施形態に係る枠付ドア10の斜視図である。図19は、第2実施形態の枠付ドア10の正面図である。図20は、第2実施形態の枠付ドア10が備える戸体12の手掛け部17の様子を模式的に示す拡大側面図である。
図18から図20に示す枠付ドア10は、建物の開口部に固定される枠体11と、枠体11に開閉可能に取り付けられる戸体12と、を主要な構成として備える建具であり、室内外の出入口を構成する玄関ドアである。
枠体11は、見付面の幅が一般的なものよりも細めのものが用いられる。枠体11は、上枠111、吊元側縦枠112、戸先側縦枠113、下枠114が矩形に枠組みされて構成される。
戸体12は、閉鎖位置において見えなくなる構造のいわゆる隠し丁番(図示省略)を介して枠体11に開閉可能に連結される開き戸である。隠し丁番は、図15のヒンジ部170と同様の構造である。
第2実施形態の戸体12は、戸体本体13と、戸体12の室外側の表面を構成する室外側面材14と、戸体12の室内側の表面を構成する室内側面材15と、光を透過させる採光窓16と、室外側に配置される手掛け部17と、戸体12を閉鎖位置で固定するラッチ機構18と、ラッチ機構18に連動する室外側操作部19と、ラッチ機構18に連動する室内側操作部(図示省略)と、錠機構(図示省略)と、を主要な構成として備える。
戸体本体13は、その外形が板状に形成されており、前述の隠し丁番によって枠体11の内側に回転可能に支持される。室外側面材14は戸体本体13の室外側の面に固定され、室内側面材15は室内側の面に固定される。
採光窓16は、戸体本体13の内部に埋設されるガラス等の透光性の部材によって構成される。本実施形態の採光窓16は、戸体12の戸先側で上下方向に細長く延びるように構成されている。
手掛け部17は、室外側面材14における採光窓16より戸先側であって上下方向の中央よりやや下部に配置される。第2実施形態の手掛け部17は、室外側面材14の一部が見込方向室外側に隆起することにより形成される。正面視において、室外側面材14と手掛け部17の間には明確な境界がないシームレスな形状となっている。
図20の側面視に示すように、手掛け部17は、滑らかな山型の形状に盛り上がっている。手掛け部17は室外側面材14の一部が盛り上がることによって形成されるので、室外側面材14における手掛け部17の吊元側の隣接部分82が手掛け部17に対して相対的に見込方向室内側(戸体12の内部側)に位置する段差構造となっている。本実施形態では、隣接部分82が採光窓16の一部となっている。
室外側面材14の一部である手掛け部17が戸体本体13に対して見込方向室外側に位置することにより、手掛け部17と戸体本体13の室外側の面との間に見込方向のスペース20が形成される。第2実施形態のスペース20は、見付方向(左右方向)に貫通する貫通孔となっている。
ラッチ機構18は、戸体本体13内部の戸先側に内蔵される固定機構である。ラッチ機構18により、戸体12が閉鎖位置で枠体11に固定される。ラッチ機構18の基本的な構成は、第1実施形態のラッチ機構55と同様である。
室外側操作部19は、手掛け部17の裏側に形成されるスペース20に配置される操作レバーである。室外側操作部19は、室外側連動部材81により機械的にラッチ機構18に連動接続される。室外側操作部19が手前側に引かれることにより、ラッチ機構18による戸体12の固定が解除される。なお、第2実施形態のラッチ機構18は、室外側操作部19の回転軸が水平方向を向いている点が第1実施形態と異なっているが基本的な構成は同様である。
室内側操作部(図示省略)は、第1実施形態と同様の構成であり、戸体本体13に埋設され、ラッチ機構18に連動接続される。
第2実施形態の室外側操作部19は、スペース20に配置されることにより、正面視において手掛け部17によって隠れる死角に位置することになる。第2実施形態のスペース20は左右方向に貫通しているので、使用者は左右両側からスペース20に手を差し入れて室外側操作部19を操作できるようになっている。
錠機構(図示省略)は、ラッチ機構18とは別に、鍵を用いて閉鎖位置の戸体12を枠体11にロックする機構である。例えば、錠機構としては、第1実施形態と同様のシリンダ錠5を配置し、物理的な鍵によって鍵の開け閉めを行う構成を用いることができる。
なお、錠機構は電気錠を用いることもできる。例えば、暗証番号やバイオメトリクス認証等を行うための操作部を戸体に配置し、暗証番号や指紋認証に連動して錠機構が動作(開け閉め)する構成や、リーダ等の検知部を戸体に配置し、ICカード、スマートフォン、リモートコントローラ等の通信により錠機構が動作する構成としてもよい。また、シリンダ錠と電気錠を併用する構成としてもよい。
以上説明した第2実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
枠付ドア10は、枠体11と、枠体11に開閉可能に取り付けられる戸体12と、閉鎖位置の戸体12を枠体11に固定するラッチ機構18と、戸体12の表面を構成する室外側面材14によって形成される手掛け部17と、ラッチ機構18による戸体12の固定を解除する室外側操作部19と、を備える。室外側面材14における手掛け部17の隣接部分82が、手掛け部17に対して見込方向で相対的に戸体12の内部側に位置するとともに戸体本体13と手掛け部17の間に見込方向でスペース20が形成され、室外側操作部19は、手掛け部17の裏側のスペース20に配置される。
この第2実施形態の構成においても、手掛け部17が戸体12の室外側面材14によって構成されるので、手掛け部17を独立した部品で構成する場合に比べて建具の構造をシンプルにすることができる。また、手掛け部17が戸体12の室外側面材14と一体的になるとともに、室外側操作部19が手掛け部17の裏側に隠れるので、統一感のあるデザイン性の高い枠付ドア10を実現できる。
また、第2実施形態では、スペース20が見付方向で吊元側から戸先側に貫通している。これにより、使用者は左右どちら側からでもスペース20に手を差し入れて室外側操作部19を操作できるので、利き腕に関係なく開き易い枠付ドア10を実現できる。
また、本実施形態の手掛け部17は、室外側面材14から継ぎ目なく一体的に形成される。これにより、手掛け部17が戸体12の表面に溶け込むようなノイズレスなデザインを実現でき、意匠性をより一層向上させることができる。
第2実施形態では、室外側面材14及び室内側面材15と戸体本体13の別体として説明したが、室外側面材14及び室内側面材15と戸体本体13が同一の材料で構成される一体的なものとすることもできる。この場合、戸体の室外側面に同様の手掛け部が構成されることになる。
次に、第3実施形態の戸体250について説明する。図21は、第3実施形態の戸体250の斜視図である。図22は、第3実施形態の戸体250の正面図である。なお、第3実施形態の説明において、枠体の図示を省略しているが、第3実施形態の戸体250が用いられる枠体は第1実施形態や第2実施形態のものと同様のものである。
戸体250は、戸体本体251と、戸体本体251の表面を構成する化粧材260と、光を透過させる透過部255と、室外側に配置される手掛け部270と、戸体250を閉鎖位置で固定するラッチ機構18と、ラッチ機構18に連動する室外側操作部19と、ラッチ機構18に連動する室内側操作部(図示省略)と、錠機構(図示省略)と、を主要な構成として備える。
第3実施形態では、戸体本体251の表面には、和式の障子を模した化粧材260が固定される。化粧材260は、和紙に相当する障子部261と、組子に相当する組子部262と、を備える。障子部261は、その材質が紙製に限られるわけではなく、樹脂等の適宜の材料を用いることができる。
障子部261の室外側に組子部262が固定される。組子部262は、上下方向に延びる複数の縦組子263と、左右方向に延びる複数の横組子264と、が格子状に配列されて構成される。格子状に構成される組子部262により区画された空間は、戸体250の凹部265となる。
凹部265は、その底面に相当する障子部261が、組子部262の見込方向室外側の端面(見付面)に対して見込方向室内側(戸体本体251の内部側)に位置する。即ち、組子部262と障子部261は、段差構造を構成している。
図23は、第3実施形態の戸体250の透過部255の領域を模式的に示す正面図である。図23では、障子部261における非透光性の部分をドットの網掛けで表現している。図23に示すように、障子部261における中央部分(網掛けされていない部分)が透光性の材料で構成される透過部255となっている。この透過部255により、光を透過させることで、障子の持つ心地よい透過光が再現されている。
手掛け部270は、組子部262によって構成される。本実施形態の手掛け部270は、化粧材260における透過部255よりも戸先側に配置され、組子部262の他の部分よりも幅や厚みが大きく形成されている。本実施形態の手掛け部270は、裏側に切欠き部275が形成される。手掛け部270が化粧材260の一部(組子部262)によって構成されることにより、戸体250のまとまりあるデザインが実現されている。
図24は、第3実施形態の戸体250の手掛け部270の様子を模式的に示す拡大側面図である。図24に示すように、組子部262によって形成される凹部265のうち、手掛け部270の左右両側の隣接部分281は、手掛け部270に対して見込方向で室内側に位置している。これによって手掛け部270の室内側の部位と障子部261の間には見込方向のスペース280が形成される。スペース280は、左右方向(見付方向)に貫通しており、第2実施形態と同様に、使用者は左右どちら側からでもスペース20に手を差し入れることができるようになっている。
ラッチ機構18に連動する室外側操作部19は、手掛け部270と戸体本体251の間に形成される見込方向のスペース280に配置される。本実施形態では、手掛け部270の裏側に配置されており、正面視において室外側操作部19が手掛け部270に隠れる構造となっている。使用者は、第2実施形態と同様に、室外側操作部19を操作することでラッチ機構18を解除することができる。なお、室内側操作部及び錠機構(何れも図示省略)は、第2実施形態と同様の構成である。
以上説明した第3実施形態では、表面部材としての化粧材260によって手掛け部270が形成される。また、手掛け部270の隣接部分281である凹部265が、手掛け部270に対して見込方向で相対的に戸体250の内部側に位置するとともに戸体本体251と手掛け部270の間に見込方向でスペース280が形成され、このスペース280に室外側操作部19が配置される。
この第3実施形態では、手掛け部270が化粧材260の一部となることにより、手掛け部270が戸体250から独立した存在ではなくなっており、戸体250として統一感のあるデザインが実現される。
なお、第3実施形態では、障子部261の一部が透光性を有する材料で構成されている例が示されたが障子部261の全部を透光性材料で構成してもよい。また、透光性を求めない場合は、透光性を有しない材料で障子部261全体を構成することもできる。また、化粧材は、和式の障子を模したものに限られず、種々のデザインの化粧材を用いることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
また、第2実施形態の戸体12及び第3実施形態の戸体250は、枠カバーを備えない構成であるが、第1実施形態の戸体3と同様の枠カバー(上部枠カバー41、吊元側枠カバー42、戸先側枠カバー43)を備える構成とすることもできる。この構成においても枠体の見付面が枠カバーによって隠れる状態となる。
また、上記実施形態及び変形例では、固定機構としてのラッチ機構と、使用者が操作する触れる室外側操作部と、が連動部材によって機械的に連結される構造を例として説明したがこの構成に限定されない。例えば、操作部を静電容量式タッチセンサで構成するとともにラッチ機構に駆動部(モータやソレノイド等のアクチュエータ)を配置し、静電容量式タッチセンサの検出信号に基づいてラッチ機構による戸体の固定を解除する構成としてもよい。この構成では、使用者が操作部に触れたことが検知されると、操作部から検知信号がラッチ機構の駆動部に送信され、検知信号に基づいて駆動部が動作して戸体の開錠を行う。このように戸体を固定する固定機構の構成は、事情に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施形態及び変形例の構成において、室内側と室外側の形状を入れ替えることも可能である。例えば、第1実施形態において、室内側に上記実施形態の凹部50や室外側操作部54に相当する構造を配置し、室外側に室内側操作部60に相当する構造を配置することも可能である。また、室内側の操作部を室外側の操作部と同じ構造にすることもできる。室内側を従来のハンドルを取り付けることもできる。更に、玄関ドアだけでなく室内ドアに本発明を適用することもできる。
また、上記実施形態及び変形例では、枠体に対して戸体が回転する構造の建具を例として説明したが、この構成に限定されるわけではない。閉鎖位置の状態から手前に引き出した後、横方向にスライドさせるようなスライドドア構造にも本発明を適用することができる。また、ラッチ機構を変更し、横方向にスライド移動可能な引戸や引違い戸等にも適用できる。
上記実施形態及び変形例は、ヒンジ部の構成や枠カバーの構成等も事情に応じて適宜変更することができ、各実施形態及び各変形例の構成を組み合わせることも可能である。