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JP6834132B2 - 分離材及びカラム - Google Patents
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本発明は、分離材及びカラムに関する。
従来、タンパク質に代表される生体高分子を分離精製する場合、一般的には、多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体、親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とするイオン交換体等が用いられている。
多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体は、塩濃度による体積変化が小さいため、カラムに充填してクロマトグラフィーで用いる場合、通液時の耐圧性に優れる傾向がある。しかし、このイオン交換体をタンパク質等の分離に用いる場合、疎水的相互作用に基づく不可逆吸着等の非特異吸着が起こり、ピークの非対称化が発生する、又は非特異的に吸着されたタンパク質が吸着されたまま回収できない、という問題点がある。
一方、デキストラン、アガロース等の多糖に代表される親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とするイオン交換体の場合、タンパク質の非特異吸着がほとんどないという利点がある。ところが、このイオン交換体は、水溶液中で著しく膨潤し、溶液のイオン強度による体積変化、及び遊離酸形と負荷形との体積変化が大きく、機械的強度も充分ではないという欠点を有する。特に、架橋ゲルをクロマトグラフィーで使用する場合、通液時の圧力損失が大きく、通液によりゲルが圧密化するという欠点がある。
親水性天然高分子の架橋ゲルが持つ欠点を克服するため、これをいわば「骨格」となる剛直な物質と組み合わせる試みがこれまでになされている(例えば、特許文献1〜7)。
米国特許第4965289号明細書 米国特許第4335017号明細書 米国特許第4336161号明細書 米国特許第3966489号明細書 特開平1−254247号公報 米国特許第5114577号明細書 特開2009−244067号公報
しかしながら、上記のような分離材は、カラムに充填してクロマトグラフィーで用いた場合、充分な動的吸着量を得られない等の問題があり、分離材としての充分な性質を兼ね備えていなかった。
そこで、本発明は、カラムに充填してクロマトグラフィーで用いた場合にも、充分な動的吸着量を得られる分離材及び該分離材を備えるカラムを提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]〜[10]に記載の分離材を提供する。
[1]多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層と、を備える分離材であって、上記被覆層が、水酸基を有する高分子を含み、上記水酸基を有する高分子が架橋されており、当該分離材の5%重量減少温度が200〜350℃である、分離材。
[2]上記多孔質ポリマ粒子が、スチレン系モノマに由来するモノマ単位を含有する、[1]に記載の分離材。
[3]上記水酸基を有する高分子が、多糖類又はその変性体である、[1]又は[2]に記載の分離材。
[4]上記水酸基を有する高分子が、アガロース又はその変性体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離材。
[5]上記多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10〜300μmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離材。
[6]当該分離材の細孔径分布におけるモード径が0.05〜0.5μmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材。
[7]空隙率30〜70体積%の粒子である、[1]〜[6]のいずれかに記載の分離材。
[8]比表面積が30m/g以上の粒子である、[1]〜[7]のいずれかに記載の分離材。
[9]上記多孔質ポリマ粒子の粒径の変動係数が3〜15%である、[1]〜[8]のいずれかに記載の分離材。
[10]上記多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜500mgの前記被覆層を備える、[1]〜[9]のいずれかに記載の分離材。
[11]当該分離材が充填されたカラムに、該カラム内の圧力が0.3MPaとなるように水を通液させたときに、水の線流速が800cm/h以上である、[1]〜[10]のいずれかに記載の分離材。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の分離材を備えるカラム。
本発明によれば、カラムに充填してクロマトグラフィーで用いた場合にも、充分な動的吸着量が得られる分離材及び該分離材を備えるカラムを提供できる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態の分離材は、多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備える。該被覆層は、水酸基を有する高分子を含み、該水酸基を有する高分子は架橋されている。分離材の5%重量減少温度は、200〜350℃である。本明細書中、「多孔質ポリマ粒子の表面」とは、多孔質ポリマ粒子の外側の表面のみでなく、多孔質ポリマ粒子の内部における細孔の表面も含むものとする。
本実施形態の多孔質ポリマ粒子は、ポリマを含む多孔質粒子である。この多孔質粒子は、例えば、水性媒体中に分散させたモノマ及び多孔質化剤を含む液滴を重合させることによって得られるものである。重合方法としては、例えば、従来の懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。モノマとしては、特に限定されないが、耐久性及び耐アルカリ性に優れるという観点から、スチレン系モノマが好ましい。すなわち、多孔質ポリマ粒子は、スチレン系モノマに由来するモノマ単位を含有することが好ましい。具体的なモノマとしては、例えば、以下のような多官能性モノマ及び単官能性モノマが挙げられる。
多官能性モノマとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン及びジビニルフェナントレン等のジビニル化合物が挙げられる。これらの多官能性モノマは、1種又は2種以上組み合わせることができる。これらの中でも、より耐久性、耐酸性及び耐アルカリ性に優れるという観点から、ジビニルベンゼンが好ましい。
単官能性モノマとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等のスチレン並びにその誘導体が挙げられる。これらの単官能性モノマは、1種又は2種以上組み合わせることができる。これらの中でも、耐酸性及び耐アルカリ性に優れるという観点から、スチレンが好ましい。モノマは、例えば、カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びアルデヒド基等の官能基を有するスチレン誘導体であることもできる。
水性媒体としては、例えば、水及び水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合溶媒が挙げられる。水性媒体には、界面活性剤が含まれていることができる。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性イオン系の界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム及びヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、アルケルニルコハク酸塩(ジカリウム塩)、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩及びポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート及びステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩並びにラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールアルキルアミン及びアミド等の炭化水素系ノニオン界面活性剤、シリコンのポリエチレンオキサイド付加物及びポリプロピレンオキサイド付加物等のポリエーテル変性シリコン系ノニオン界面活性剤並びにパーフルオロアルキルグリコール等のフッ素系ノニオン界面活性剤が挙げられる。
両性イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の炭化水素界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤及び亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせることができる。これら界面活性剤の中でも、モノマ重合時の分散安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましい。
多孔質化剤としては、例えば、重合時に相分離を促し、粒子の多孔質化を促進する有機溶媒である、脂肪族又は芳香族の炭化水素、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールが挙げられる。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン、オクタン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、メチルエチルケトン、ジブチルエーテル、1−ヘキサノール、2−オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール及びシクロヘキサノールが挙げられる。これらの多孔質化材は、1種又は2種以上組み合わせることができる。
多孔質化剤は、モノマ全質量に対して0〜200質量%であることができる。多孔質化剤の量によって、多孔質ポリマ粒子及び分離材の粒子の空隙率をコントロールできる。多孔質化剤の種類によって、多孔質ポリマ粒子及び分離材の細孔径及び形状をコントロールすることができる。
多孔質化剤として、水性媒体である水を使用することができる。水を多孔質化剤とする場合は、水に油溶性界面活性剤を添加することができる。
油溶性界面活性剤としては、例えば、炭素数16〜24の分岐脂肪酸、炭素数16〜22の鎖状不飽和脂肪酸又は炭素数12〜14の鎖状飽和脂肪酸のソルビタンモノエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート又はヤシ脂肪酸から誘導されるソルビタンモノエステル);炭素数16〜24の分岐脂肪酸、炭素数16〜22の鎖状不飽和脂肪酸又は炭素数12〜14の鎖状飽和脂肪酸のジグリセロールモノエステル(例えば、炭素数18で二重結合数1である脂肪酸のジグリセロールモノエステル等のジグリセロールモノオレエート);ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート又はヤシ脂肪酸のジグリセロールモノエステル;炭素数16〜24の分岐アルコール(例えば、ゲルベアルコール)、炭素数16〜22の鎖状不飽和アルコール又は炭素数12〜14の鎖状飽和アルコール(例えば、ヤシ脂肪アルコール)のジグリセロールモノ脂肪族エーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち、ソルビタンモノラウレート(例えば、SPAN(スパン、登録商標)20、好ましくは純度40%以上、より好ましくは純度50%以上、さらに好ましくは純度70%以上のソルビタンモノラウレート);ソルビタンモノオレエート(例えば、SPAN(スパン、登録商標)80、好ましくは純度40%以上、より好ましくは純度50%以上、さらに好ましくは純度70%以上のソルビタンモノオレエート);ジグリセロールモノオレエート(例えば、好ましくは純度40%以上、より好ましくは純度50%以上、さらに好ましくは純度70%以上のジグリセロールモノオレエート);ジグリセロールモノイソステアレート(例えば、好ましくは純度40%以上、より好ましくは純度50%以上、さらに好ましくは純度70%以上のジグリセロールモノイソステアレート);ジグリセロールモノミリステート(例えば、好ましくは純度40%以上、より好ましくは純度50%以上、さらに好ましくは純度70%以上のソルビタンモノミリステート);ジグリセロールのココイル(例えば、ラウリル基及びミリストイル基)エーテル;又はこれらの混合物が好ましい。
これらの油溶性界面活性剤は、粒子を多孔質化する観点から、モノマ全質量に対して、5〜80質量%の範囲で用いることが好ましい。油溶性界面活性剤の含有量が5質量%以上であると、粒子の多孔質化が良好であるため好ましい。油溶性界面活性剤の含有量が80質量%以下であると、重合後に多孔質ポリマ粒子が形状をより保持し易くなる。
必要に応じて、水性媒体に、重合開始剤をさらに添加することができる。重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート及びジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;並びに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤の量は、モノマ100質量部に対して、0.1〜7.0質量部であることができる。
重合温度は、モノマ及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、25〜110℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
粒子の分散安定性を向上させるために、水性媒体中に、さらに高分子分散安定剤を添加することができる。高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース)及びポリビニルピロリドンが挙げられる。これらのうち、高分子分散安定剤としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが好ましい。トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物を併用することもできる。高分子分散安定剤の添加量は、モノマ100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
モノマが単独で重合することを抑えるために、例えば、亜硝酸塩、亜硫酸塩、ハイドロキノン、アスコルビン酸、水溶性ビタミンB、クエン酸及びポリフェノール等の水溶性の重合禁止剤を用いることができる。
多孔質ポリマ粒子及び分離材の平均粒径は、分離性向上の観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。多孔質ポリマ粒子及び分離材の平均粒径は、通液性を向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上である。
多孔質ポリマ粒子及び分離材の粒径の変動係数(C.V.)は、通液性を向上させる観点から、3〜15%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましく、5〜10%であることがさらに好ましい。粒径のC.V.を低減する方法としては、例えば、マイクロプロセスサーバー(株式会社日立製作所製)等の乳化装置によりモノマの液滴を単分散化することが挙げられる。
多孔質ポリマ粒子又は分離材の、平均粒径及び粒径のC.V.は、以下の測定法により求めることができる。
1)粒子を、超音波分散装置によって水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の多孔質ポリマ粒子を含む分散液を調製する。
2)粒度分布計(シスメックスフロー、株式会社シスメックス製)を用いて、上記分散液中の粒子約1万個の画像により平均粒径及び粒径のC.V.を測定する。
本実施形態の分離材の細孔径分布におけるモード径(細孔径分布の最頻値、最大頻度径)は、0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmであることがより好ましい。細孔径分布におけるモード径がこの範囲にあると、粒子中に液が流れやすくなり、動的吸着量を多くしやすい。
多孔質ポリマ粒子及び分離材の粒子の細孔容積は、それぞれ多孔質ポリマ粒子及び分離材の全体積基準で30〜70体積%であることが好ましく、40〜70体積%であることがより好ましい。多孔質ポリマ粒子及び分離材は、マクロポアー(マクロ孔)を有することが好ましい。マクロポアーの平均細孔径は、0.1〜0.5μmの細孔であることが好ましく、0.2〜0.5μmの細孔がより好ましい。平均細孔径が0.1μm以上であると、細孔内に物質が入り易くなる傾向にあり、平均細孔径が0.5μm以下であると、粒子の比表面積が充分なものになる。多孔質ポリマ粒子の細孔容積及び平均細孔径は、上述の多孔質化剤により調整できる。
多孔質ポリマ粒子及び分離材の粒子の比表面積は、分離する物質の吸着量の向上させる観点から、30m/g以上であることが好ましく、実用性を向上させる観点から、35m/g以上であることがより好ましく、40m/g以上であることがさらに好ましい。
多孔質ポリマ粒子及び分離材は、空隙率30〜70体積%であることが好ましく、40〜70体積%であることがより好ましく、50〜70体積%であることがさらに好ましい。空隙率がこの数値範囲内にあると、タンパク質等の吸着量を向上させることができる。
多孔質ポリマ粒子及び分離材の粒子の、細孔径分布におけるモード径、比表面積及び空隙率は、水銀圧入測定装置(オートポア:株式会社島津製作所製)を用いて以下のように測定することができる。試料約0.05gを、標準5mL粉体用セル(ステム容積0.4mL)に加え、初期圧を21kPa(約3psia、細孔直径約60μm相当)とする。水銀パラメータは、水銀接触角130degrees及び水銀表面張力485dynes/cmとする。モード径を0.1〜3μmの範囲に限定して、多孔質ポリマ粒子及び分離材の粒子の、細孔径分布におけるモード径、比表面積及び空隙率を算出する。モード径及び比表面積等は、多孔質ポリマ粒子の原料、多孔質化剤及び水酸基を有する高分子等を適宜選択することによって調整できる。
被覆層は、水酸基を有する架橋された高分子を含む。水酸基を有する架橋された高分子で多孔質ポリマ粒子を被覆することにより、分離材が充填されたカラムに液体を通したときのカラム内部の圧力(カラム圧)の上昇を抑制することができる。また、分離材へのタンパク質の非特異吸着を抑制するとともに、優れた分離材のタンパク質吸着性が得られる傾向にある。
水酸基を有する高分子は、2個以上の水酸基を有することが好ましく、親水性高分子であることがより好ましい。水酸基を有する高分子としては、例えば、多糖類及びポリビニルアルコール、並びにこれらの変性体が挙げられる。多糖類としては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロース及びキトサンが挙げられる。
ここで、変性体とは、分子中に疎水性基が導入されたものを指す。疎水性基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。疎水性基は、水酸基と反応する官能基(例えば、エポキシ基)及び疎水性基を有する化合物(例えば、グリシジルフェニルエーテル)を、水酸基を有する高分子と従来公知の方法で反応させることにより、導入することができる。
水酸基を有する高分子は、タンパクの非特異吸着を低減する観点から、多糖類であることが好ましく、界面吸着能を向上させる観点から、多糖類の変性体であることが好ましい。なかでも、アガロース又はその変性体であることがより好ましい。水酸基を有する高分子の重量平均分子量は、1万〜30万程度のものが使用できる。
水酸基を有する高分子の疎水性基の含有量は、多孔質ポリマ粒子の表面に吸着するための疎水的相互作用力の保持とタンパク質の非特異吸着の抑制のバランスをとる観点から、5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましく、12〜17質量%がさらに好ましい。
水酸基を有する高分子を含む被覆層は、例えば、以下に示す方法により形成することができる。まず、水酸基を有する高分子と溶媒とを含む溶液を多孔質ポリマ粒子に含浸させる。その後、この粒子をろ過し、例えば、水及びアルコール等の溶媒で洗浄し、未吸着の高分子を除去する。
水酸基を有する高分子の溶液の溶媒は、水酸基を有する高分子を溶解することのできるものであれば特に限定されず、例えば、水であることができる。溶液中の水酸基を有する高分子の濃度は、5〜20mg/mLが好ましい。含浸方法としては、特に限定されないが、水酸基を有する高分子の溶液に多孔質ポリマ粒子を加えて一定時間放置する方法が挙げられる。含浸時間は多孔質体の表面状態にもよるが、通常、一昼夜含浸すれば、高分子濃度が多孔質体の内部で外部濃度と平衡状態となる。
次いで、水溶液中に架橋剤を加えて、多孔質ポリマ粒子表面に吸着された水酸基を有する高分子を架橋反応させて、架橋体を形成する。架橋体は、水酸基を有する3次元架橋網目構造を有する。
架橋反応終了後、生成した被覆層を有する多孔質ポリマ粒子をろ別し、次いで、メタノール、エタノール等の親水性有機溶媒、水又は水溶液で洗浄し、未反応の高分子及び懸濁用媒体等を除去することで、多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部が、水酸基を有する架橋された高分子を含む被覆層により被覆された分離材が得られる。
架橋剤としては、例えば、エピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物、メチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物及びエチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジル化合物のように、水酸基に対して反応性を示す官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。水酸基を有する高分子として、キトサンのようにアミノ基を有する化合物を使用する場合には、例えば、ジクロロオクタン等のジハライド化合物を架橋剤とすることができる。
架橋反応は、水酸基を有する高分子の溶液を含浸させた多孔質ポリマ粒子を、適当な媒体中に分散及び懸濁させ、これに架橋剤を添加することによって行うことができる。架橋剤の添加量は、水酸基を有する高分子として多糖類を使用した場合、1当量の単糖類に対して0.1〜100当量の範囲内で、分離材の性能に応じて選定することができる。架橋剤の添加量が上記下限値以上であると、被覆層が多孔質ポリマ粒子上に良好に保持される傾向にある。架橋剤の添加量が上記上限値以下であれば、架橋剤と水酸基を有する高分子との反応率が高い場合でも、水酸基を有する高分子の特性が損なわれにくい。
架橋反応には触媒を用いることができる。触媒としては、架橋剤の種類に合わせて適宜従来公知のものを用いることができる。例えば、架橋剤がエピクロルヒドリンの場合には、触媒として水酸化ナトリウム等のアルカリが有効であり、ジアルデヒド化合物の場合には塩酸等の鉱酸が有効である。
触媒の使用量は、架橋剤の種類にもよるが、例えば、水酸基を有する高分子として多糖類を使用する場合は、1当量の多糖類に対して0.01〜10当量の範囲であることができ、0.1〜5モル倍の範囲であることが好ましい。
架橋剤と水酸基を有する高分子との架橋反応が触媒等の添加により制御可能な場合、予め架橋剤を混合した水酸基を有する高分子の溶液を多孔質ポリマ粒子に含浸させ、この多孔質ポリマ粒子を適当な媒体中で分散及び懸濁させ、ここに触媒等を添加することで、架橋剤と水酸基を有する高分子とを架橋反応させることができる。触媒等を用いない場合、温度等の架橋反応条件を変化させることにより、架橋反応を生起させることができる。例えば、水酸基を有する高分子及び架橋剤が溶解された溶液を含浸させた多孔質ポリマ粒子を、適当な媒体に分散及び懸濁させてから、架橋反応条件(例えば温度)を反応が進行する条件に調整することで、架橋剤と水酸基を有する高分子との架橋反応を行うことができる。架橋反応条件を温度条件とした場合、反応系の温度を上げ、その温度が反応温度に達すれば架橋反応が生起する。
水酸基を有する高分子の溶液を含浸させた多孔質ポリマ粒子を分散及び懸濁させる媒体は、多孔質ポリマ粒子に含浸させた水酸基を有する高分子及び架橋剤等を抽出してしまうことなく、且つ、架橋反応に不活性なものであることができる。媒体としては、例えば、トルエン、ジクロルベンゼン及びニトロメタンが挙げられる。
架橋反応は、5〜90℃で1〜10時間かけて行うことができる。架橋反応の温度は、30〜90℃が好ましい。
架橋度を調整する場合、架橋反応を段階的に行うことができる。例えば、一度架橋反応させた分離材を再度架橋反応させることによって、架橋の進行度を調整できる。
分離材の熱分解による5%重量減少温度を測定し、その値から、被覆層中の水酸基を有する高分子の架橋度を判断することができる。架橋度が高い場合、重量減少開始温度が高くなり、架橋度が低い場合、重量減少開始温度が低くなる。5%重量減少温度は、水酸基を有する高分子の特性を保つ観点から、200〜350℃であり、220〜330℃が好ましく、230〜320℃がより好ましい。5%重量減少温度が上記の数値範囲の下限値以上であると、被覆層が多孔質ポリマ粒子上に良好に保持され、5%重量減少温度が上記の数値範囲の上限値以下であると、多孔質ポリマ粒子の膨潤性及び官能基量が充分であるため、分離材を充填したカラムにタンパク質溶液等の溶液を流したときに、同一流速下でのタンパク質等の吸着量(動的吸着量)が優れたものとなる。
ここで、5%重量減少温度は、窒素雰囲気下で、試料を昇温速度10℃/分で加熱しながら、試料の重量変化を連続的に測定したときに、試料の重量が、初期の重量100%に対して5%減少した時点の温度を意味する。
被覆層の量は、多孔質ポリマ粒子1gに対して30〜500mgであることが好ましく、50〜500mgであることがより好ましく、100〜500mgであることがさらに好ましい。被覆層の量が上記上限値以下であると、被覆層を薄膜とすることができ、カラムとして用いたときの通液性がより向上する傾向にある。被覆層の量が上記下限値以上であると、タンパク質等の吸着量及び動的吸着量がより高まる傾向にある。被覆層の量は、例えば、分離材の熱分解の重量減少で測定できる。
分離材は、イオン交換基又はリガンド(例えば、プロテインA)を有していてもよい。イオン交換基又はリガンドは、例えば、分離材表面上の水酸基等を介して導入することができる。分離材がイオン交換基又はリガンドを有することにより、該分離材をイオン交換精製及びアフィニティ精製等に使用することができる。イオン交換基の導入方法として、例えば、ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法が挙げられる。
イオン交換機としては、例えば、弱塩基性基であるアミノ基、強塩基性基の4級アンモニウム基、弱酸性基であるカルボキシ基及び強酸性基であるスルホン酸基が挙げられる。
ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法としては、例えば、湿潤状態の分離材の粒子をろ過等により水切りした後、所定濃度のアルカリ性水溶液に一定時間浸漬し、水−有機溶媒混合系で、ハロゲン化アルキル化合物を添加して反応させることが挙げられる。この反応は、40〜90℃で0.5〜12時間行うことが好ましい。ハロゲン化アルキル化合物の種類により、付与されるイオン交換基が決定される。
ハロゲン化アルキル化合物としては、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等のモノハロゲノカルボン酸及びこれらのナトリウム塩、ジエチルアミノエチルクロライド等のハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する1級、2級又は3級アミン並びにハロゲン化アルキル基を有する4級アンモニウムの塩酸塩が挙げられる。これらのハロゲン化アルキル化合物は、臭化物又は塩化物であることが好ましい。ハロゲン化アルキル化合物の添加量は、イオン交換基を付与する分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。
イオン交換基として、弱塩基性基であるアミノ基を導入する場合、ハロゲン化アルキル化合物としては、例えば、アルキル基のうちの少なくとも1つがハロゲン化アルキル基で置換されている、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン、モノ−、ジ−又はトリ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、ジ−アルキル−モノ−アルカノールアミン及びモノ−アルキル−ジ−アルカノールアミンが使用できる。
イオン交換基として、強塩基性基の4級アンモニウム基を導入する方法としては、例えば、まず、3級アミノ基を導入し、この3級アミノ基にエピクロルヒドリン等のハロゲン化アルキル化合物を反応させ、4級アンモニウム基に変換する方法及び4級アンモニウムの塩酸塩等を分離材に反応させる方法が挙げられる。
イオン交換基として、弱酸性基であるカルボキシ基を導入する場合、ハロゲン化アルキル化合物としては、例えば、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等のモノハロゲノカルボン酸及びこれらのナトリウム塩が使用できる。
イオン交換基として、強酸性基であるスルホン酸基を導入する方法としては、例えば、分離材に対してエピクロロヒドリン等のグリシジル化合物を反応させ、亜硫酸ナトリウム若しくは重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩の飽和水溶液に分離材を添加する方法が挙げられる。反応条件は、30〜90℃で1〜10時間であることが好ましい。
イオン交換基の導入方法としては、例えば、アルカリ性雰囲気下で、分離材に1,3−プロパンスルトンを反応させる方法も挙げられる。1,3−プロパンスルトンの量は、分離材の全質量に対して0.4質量%以上であることが好ましい。反応条件は、0〜90℃で0.5〜12時間であることが好ましい。
イオン交換基の導入には、反応を促進させるために、有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール及びイソペンタノール等のアルコールが挙げられる。
本実施形態の分離材は、タンパク質の静電的相互作用による分離又はアフィニティ精製に好適である。例えば、タンパク質を含む溶液の中に本実施形態の分離材を添加し、静電的相互作用によりタンパク質を分離材に吸着させた後、分離材を溶液からろ別し、塩濃度の高い水溶液中に添加すれば、分離材に吸着しているタンパク質を容易に脱離、回収できる。本実施形態の分離材は、カラムクロマトグラフィーにおいて使用することができる。すなわち、本実施形態のカラムは、本実施形態の分離材を備えるものである。
本実施形態の分離材をカラムに充填した場合、カラム圧が0.3MPaとなるように水を通液させたときに、水の通液速度は800cm/h以上であることが好ましい。本明細書における通液速度は、本実施形態の分離材が充填された、サイズがφ7.8×300mmのステンレスカラムに、該カラム内の圧力が所定の値となるように水を通液させたときの水の線流速を表す。従来一般に使用されている分離材を用いてカラムクロマトグラフィーでタンパク質等の分離を行う場合、タンパク質溶液等の通液速度は、一般的に、400cm/h以下の範囲である。一方、本実施形態の分離材を使用した場合、通液速度が従来のタンパク質分離用の分離材よりも速い800cm/h以上であっても、高い動的吸着量を維持することができる。
本実施形態の分離材を用いて分離する生体高分子は、水溶性物質が好ましい。具体的には、例えば、血清アルブミン及び免疫グロブリン等の血液タンパク質、生体中に存在する酵素、バイオテクノロジーにより生産されるタンパク質生理活性物質、DNA並びに生理活性を有するペプチド等の生体高分子が挙げられる。生体高分子の分子量は、200万以下が好ましく、50万以下がより好ましい。分離材の性質及び条件等は、タンパク質の等電点及びイオン化状態等によって、公知の方法に従い選ぶことができる。公知の方法としては、例えば、特開昭60−169427号公報に記載の方法が挙げられる。
本実施形態の分離材は、タンパク質等の生体高分子の分離において、天然高分子からなる粒子及び合成ポリマからなる粒子のそれぞれの利点を有し、分離材表面にイオン交換基及びリガンド等を導入することにより、より顕著な効果を得ることができる。本実施形態の分離材は、耐久性及び耐アルカリ性を有する。また、タンパク質の非特異吸着を低減するとともに、タンパク質の吸脱着が起こり易い傾向にある。更に、本実施形態の分離材は、動的吸着量が大きい傾向にある。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、イオン交換基を有さない分離材を、ゲルろ過クロマトグラフィーに利用することができる。
以下、実施例に基づき発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1−1.多孔質ポリマ粒子の合成
500mLの三口フラスコ中、モノマとして純度96%のジビニルベンゼン(株式会社新日鉄住金製、商品名:DVB960)16g、多孔質化剤としてヘキサノール16g及びジエチルベンゼン16g、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.64gを、分散剤を含有するポリビニルアルコール(0.5質量%)水溶液に加えて混合液を調製した。この混合液を、マイクロプロセスサーバーを使用して乳化後、乳化液をフラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、攪拌機を用いて約8時間撹拌をした。生成した粒子をろ過後、アセトンで洗浄し、多孔質ポリマ粒子1を得た。多孔質ポリマ粒子1の粒径をフロー型粒径測定装置で測定し、平均粒径及び粒径のC.V.を算出した。結果を表1に示す。
1−2.水酸基を有する高分子への疎水性基の導入
アガロース水溶液(濃度2質量%)480mLに水酸化ナトリウム0.98g、グリシジルフェニルエーテル4.90gを加えて60℃で6時間反応させ、アガロースにフェニル基を導入した。得られた変性アガロースをイソプロピルアルコールで再沈殿させ、洗浄した。変性アガロースの疎水性基含有量を下記方法により算出したところ、14.2%であった。
乾燥状態の粉末アガロース(変性されていないアガロース)及び揮発分を0.1質量%未満まで乾燥させた変性アガロースをそれぞれ70℃の純水に溶解させ、0.05質量%の水溶液サンプルを調製した。分光光度計により各水溶液の269nmの吸光度を測定して濃度を求め、下記式より疎水性基含有量を算出した。下記において、アガロース構成単位とは、アガロースの二糖単位のことを意味し、変性アガロース構成単位とは、アガロースの二糖単位中の水酸基のうち少なくとも1つにフェニル基が導入されたものを意味する。
・疎水性基含有量(%)=(CAG/(CHAG+CAG))×100
・CAG:変性アガロース構成単位の濃度(mmol/L)
=A/εGPE×1000
・CHAG:変性されていないアガロース構成単位の濃度(mmol/L)
=(変性されてないアガロース構成単位の濃度(g/L)/アガロース構成単位(306g/mol))×1000
・A:変性アガロースの真の吸光度=変性アガロースの吸光度−変性されていないアガロースの吸収
・εGPE:グリシジルフェニルエーテルの吸光係数=1372(L/(mol・cm))
・変性されていないアガロースの吸収=変性されてないアガロースの吸光度×(変性アガロースのサンプル濃度(mmol/L)/変性されてないアガロースのサンプル濃度(mmol/L))
・変性されてないアガロース構成単位の濃度(g/L)=変性アガロースのサンプル濃度(質量%)×10−変性されているアガロース構成単位の濃度(g/L)
・変性されているアガロース構成単位の濃度(g/L)=(CAG×変性されているアガロース構成単位(456g/mol))/1000
2−1.被覆層の形成
20mg/mLの変性アガロース水溶液70mLに多孔質ポリマ粒子1を1gの割合で加え、55℃で24時間攪拌して、多孔質ポリマ粒子1に変性アガロースを吸着させた。吸着後、変性アガロースを吸着させた多孔質ポリマ粒子1をろ別して、熱水で洗浄した。
2−2.水酸基を有する高分子の吸着量の評価
多孔質ポリマ粒子1への変性アガロースの吸着量を、ろ液中の変性アガロースの濃度から算出した。多孔質ポリマ粒子1g当たりの変性アガロース吸着量が、50mg以上である場合を「○」、30mg以上50mg未満である場合を「△」、30mg未満である場合を「×」として、変性アガロースの吸着量を評価した。
2−3.被覆層の架橋
多孔質ポリマ粒子1の表面に吸着した変性アガロースを次のようにして架橋した。変性アガロースが吸着した粒子10gを0.4M水酸化ナトリウム水溶液に分散させ、0.02Mのエピクロロヒドリンを添加し、10時間室温で攪拌した。その後、2質量%の熱ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、純水で洗浄し、80℃の乾燥機で1時間乾燥させることで分離材を得た。
2−4.5%重量減少温度の測定
得られた分離材(80℃の乾燥機で1時間乾燥した後に、重量変化が5%以内であるものを使用した)を示差熱熱重量測定装置(EXTRA6300、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/minで5%重量減少温度を測定し、架橋度を評価した。結果を表2に示す。
2−5.タンパク質の非特異吸着能の評価
分離材0.2gをBSA(Bovine Serum Albumin)濃度24mg/mLのTris−塩酸緩衝液(pH8.0)20mLに加え、24時間室温で攪拌を行った。その後、遠心分離で上澄み液をとり、分光光度計で上澄み液の280nmの吸光度を測定することによって求めた上澄み液のBSA濃度より、分離材に吸着したBSA量を算出した。分離材1mLあたりのBSA吸着量が、1mg未満である場合を「○」、1mg以上10mg未満である場合を「△」、10mg以上である場合を「×」として、非特異吸着量を評価した。結果を表3に示す。
3−1.イオン交換基の導入
分離材(乾燥質量20g)を5Mの水酸化ナトリウム水溶液100mLに加え、室温で10分間放置した。その後、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩20gを溶解させた水溶液100mLを添加し、70℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過し、分離材を水/エタノール(体積比5/1)で3回洗浄し、ジエチルアミノエチル(DEAE)基をイオン交換基として有するDEAE変性分離材を得た。以下の評価には、DEAE変性分離材を用いた。
3−2.モード径、比表面積及び空隙率の測定
DEAE変性分離材を乾燥後、水銀圧入法にて細孔径分布におけるモード径、比表面積及び空隙率を測定した。結果を表1に示す。
3−3.イオン交換量容量の評価
5mL容量のDEAE変性分離材を0.1N水酸化ナトリウム20mLに浸漬し、室温で1時間攪拌した。その後、フィルタを用いて吸引ろ過を行い、フィルタ上の粒子を洗浄液が中性になるまで洗浄した。洗浄後の粒子を0.1N塩酸水溶液10mLに浸漬し、室温で1時間撹拌した。その後、フィルタを用いて吸引ろ過を行い、フィルタ上の粒子を洗浄液が中性になるまで洗浄した。この洗浄液について、自動電位差滴定装置を使用して0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定を行うことによって、分離材のイオン交換容量(mmol/mL)を求めた。結果を表3に示す。
3−4.カラム特性の評価
DEAE変性分離材を、メタノールと混合して濃度30質量%のスラリーを得た。このスラリーを、φ7.8mm×300mmのステンレスカラムに15分間かけて充填し、以下の評価に用いた。
3−5.通液性の評価
DEAE変性分離材を充填したカラムに通液速度を変えながら水を通し、通液速度とカラム圧の関係を測定した。カラム圧が0.3MPaであるときの通液速度(線流速)を求めた。結果を表2に示す。
3−6.動的吸着量の評価
DEAE変性分離材を充填したカラムに、20mmol/LのTris−塩酸緩衝液(pH8.0)を10カラム容量流した。その後、BSA濃度2mg/mLの20mmol/LのTris−塩酸緩衝液を流しながら、UV吸光度測定によってカラム出口での溶出液中のBSA濃度を測定した。通液速度は、上記通液性評価にてカラム圧が0.3MPaとなるときの速度と同様とした。カラム入口と出口のBSA濃度が一致するまで緩衝液を流した後、5カラム容量分の1M NaCl Tris−塩酸緩衝液を流した。10%ブレイクスルーにおける動的吸着量を下記の式を用いて算出した。結果を表2に示す。10%ブレイクスルーにおける動的吸着量とは、通液したBSA溶液の初期濃度に対してBSAが10%溶出した時点での吸着量のことを指す。
・q10=cF(t10−t)/V
・q10:10%ブレイクスルーにおける動的吸着量(mg/分離材mL)
・c:注入液のBSA濃度(mg/mL)
・F:流速(mL/min)
・V:ベッド体積(mL)
・t10:10%ブレイクスルーにおける時間(min)
・t:BSA注入開始時間(min)
3−7.耐アルカリ性評価
DEAE変性分離材を、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液中で24時間撹拌した後、リン酸緩衝液で洗浄し、上記カラム特性評価の場合と同様の方法でカラムに充填して、BSAの10%ブレイクスルーにおける動的吸着量を測定した。アルカリ処理前の10%ブレイクスルーにおける動的吸着量と比較し、アルカリ処理後の動的吸着量の減少割合が3%未満である場合を「○」、3%以上20%未満である場合を「△」、20%以上である場合を「×」として、耐アルカリ性を評価した。結果を表3に示す。
3−8.耐久性評価
800cm/hの通液速度で水をカラムに流し、カラム圧を測定後、3000cm/hに通液速度を上昇させ、1時間通液させた。再度、通液速度を800cm/hに下げ、カラム圧が初期値(3000cm/hに通液速度を上げる前)より10%以上上昇した場合を「×」、10%未満である場合を「○」として、耐久性を評価した。結果を表3に示す。
(実施例2)
架橋材として0.04Mのエピクロロヒドリンを使用した以外は多孔質ポリマ粒子1と同様にして、多孔質ポリマ粒子2を合成した。得られた多孔質ポリマ粒子2を実施例1と同様の方法で処理することによって分離材を得た。多孔質ポリマ粒子2及び分離材について実施例1と同様の評価を行った。
(実施例3)
架橋材として0.08Mのエピクロロヒドリンを使用した以外は多孔質ポリマ粒子1と同様にして、多孔質ポリマ粒子3を合成した。得られた多孔質ポリマ粒子3を実施例1と同様の方法で処理することによって分離材を得た。多孔質ポリマ粒子3及び分離材について実施例1と同様の評価を行った。
(実施例4)
多孔質ポリマ粒子1と同様にして、多孔質ポリマ粒子4を合成した。得られた多孔質ポリマ粒子4について、実施例1と同様に被覆層を形成し、架橋処理後の粒子を再び0.4M水酸化ナトリウム水溶液に分散させ、0.02Mエピクロロヒドリンを添加し、24時間室温で攪拌した。その後、2質量%の熱ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、純水で洗浄し、乾燥させた。多孔質ポリマ粒子4及び分離材について実施例1と同様の評価を行った。
(実施例5)
架橋材として0.04Mのエチレングリコールジグリシジルエーテルを使用した以外は多孔質ポリマ粒子1と同様にして、多孔質ポリマ粒子5を合成した。得られた多孔質ポリマ粒子5を実施例1と同様の方法で処理することによって分離材を得た。多孔質ポリマ粒子5及び分離材について実施例1と同様の評価を行った。
(比較例1)
架橋材として0.001Mのエピクロロヒドリンを使用した以外は多孔質ポリマ粒子1と同様にして、多孔質ポリマ粒子6を合成した。得られた多孔質ポリマ粒子6を実施例1と同様の方法で処理することによって分離材を得た。多孔質ポリマ粒子6及び分離材について実施例1と同様の評価を行った。
(比較例2)
架橋材として1Mのエピクロロヒドリンを使用した以外は多孔質ポリマ粒子1と同様にして、多孔質ポリマ粒子7を合成した。得られた多孔質ポリマ粒子7を実施例1と同様の方法で処理することによって分離材を得た。多孔質ポリマ粒子7及び分離材について実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0006834132
Figure 0006834132
Figure 0006834132
表3に示すように、実施例1〜5の分離材は良好な動的吸着量を有していた。表2及び3に示すように、実施例1〜5の分離材は、耐アルカリ性及び耐久性を維持しながら、充分な線流速、非特異吸着量及びイオン交換容量を兼ね備えていることがわかった。

Claims (11)

  1. 多孔質ポリマ粒子と、
    該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層と、を備える分離材であって、
    前記被覆層が、水酸基を有する高分子を含み、
    前記水酸基を有する高分子が架橋されており、
    前記水酸基を有する高分子が、多糖類の変性体であり、前記変性体は分子中に疎水性基が導入されたものであり、
    当該分離材の5%重量減少温度が200〜350℃であり、
    前記5%重量減少温度は、窒素雰囲気下で、試料を昇温速度10℃/分で加熱しながら、前記試料の重量変化を連続的に測定したときに、前記試料の重量が、初期の重量100%に対して5%減少した時点の温度である、
    分離材。
  2. 前記多孔質ポリマ粒子が、スチレン系モノマに由来するモノマ単位を含有する、請求項1に記載の分離材。
  3. 前記多糖類が、アガロースである、請求項1又は2に記載の分離材。
  4. 前記多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10〜300μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  5. 当該分離材の細孔径分布におけるモード径が0.05〜0.5μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  6. 空隙率30〜70体積%の粒子である、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  7. 比表面積が30m/g以上の粒子である、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  8. 前記多孔質ポリマ粒子の粒径の変動係数が3〜15%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  9. 前記多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜500mgの前記被覆層を備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  10. 当該分離材が充填されたカラムに、該カラム内の圧力が0.3MPaとなるように水を通液させたときに、水の線流速が800cm/h以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の分離材。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の分離材を備えるカラム。
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