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JP6835631B2 - 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック - Google Patents
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JP6835631B2 - 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック - Google Patents

電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック Download PDF

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Description

本明細書に開示される技術は、電気化学反応単セルに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物を含む電解質層を備える固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの最小構成単位である燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)は、電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを含む。燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス(例えば、イットリア安定化ジルコニア(以下、「YSZ」という))とを含有し、電解質層に隣接する活性層を有する(例えば、特許文献1参照)。
このような単セルにおいて、各層のグリーンシートを焼成して得られたハーフセルについて、活性層の平均厚さおよび気孔率と電解質層の平均厚さおよび気孔率とからなるパラメータの値を所定の数値範囲内に調整することにより、優れた発電性能を発揮する単セルを得ようとする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−207487号公報
このような単セルにおいて、電解質層と燃料極の活性層との間で剥離が発生することがある。例えば電解質層と燃料極の活性層との間の熱膨張係数差に起因する応力が電解質層と燃料極との界面付近に集中することが原因であると想定される。上記従来の技術では、電解質層と燃料極の活性層との間の剥離について十分に検討されていないため、電解質層と燃料極の活性層との間の剥離の抑制と、単セルの特性(発電性能)の低下抑制とを両立することができないおそれがある。例えば、燃料極の活性層の気孔率が低いほど、単位体積当たりのNiおよびYSZの絶対量が増えることに伴って、活性層における反応場が増加することにより、活性層における活性化分極が低減するため、単セルの特性の低下を抑制することができる。しかし、その反面、燃料極の活性層の気孔率が低いほど、活性層の硬度が高い分だけ、界面への応力集中による剥離(クラック)の進展を抑制できなくなる。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という)の構成単位である電解単セルにも共通の課題である。本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルという。
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応単セルは、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、前記燃料極は、前記電解質層に隣接する活性層を有し、前記活性層の前記第1の方向の平均厚さ(α)と、前記活性層の気孔率(β)と、前記電解質層の前記第1の方向の平均厚さ(γ)と、前記電解質層の気孔率(δ)とは、以下の式(1)により規定される条件を満たす。
3500 ≦ |(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))| ≦ 6500
電解質層と燃料極が有する活性層との間の剥離発生の主な要因として、電解質層と活性層との熱膨張率の差によって電解質層と活性層との界面に応力が発生することが挙げられる。電解質層と活性層との界面に発生する応力の大きさを定める主な要素は、電解質層および活性層のそれぞれについての第1の方向(空気極と燃料極とが対向する方向)の平均厚さおよび気孔率である。第1の方向の平均厚さについては、当該平均厚さが厚いほど、界面に集中する応力が増大するからである。気孔率については、気孔率が高いほど、界面に生じた応力が緩和されるからである。一方、各層における第1の方向の平均厚さと気孔率とは、電気化学反応単セルの特性に影響する。例えば、電解質層の第1の方向の平均厚さは、厚いほど、電気化学反応単セルのIR抵抗が大きくなる。また、電解質層の気孔率が高いほど、空気極に面する空気室と燃料極に面する燃料室との間のガスリークが発生する可能性が高くなる。また、活性層の気孔率が高いほど、電解質層から供給される酸化物イオンと燃料室から供給される燃料ガスに含まれる水素との反応の場が減少する。そこで、本願発明者は、第1の方向の平均厚さと気孔率とに基づく新たなパラメータとして、「第1の方向の平均厚さ/気孔率×0.01)」を見出した。そして、本電気化学反応単セルによれば、上記の式(1)を満たすことにより、電解質層と燃料極が有する活性層との間の剥離の抑制と、電気化学反応単セルの特性の低下抑制とを両立することができる。
(2)上記電気化学反応単セルにおいて、前記活性層の前記第1の方向の平均厚さ(α)と、前記活性層の気孔率(β)と、前記電解質層の前記第1の方向の平均厚さ(γ)と、前記電解質層の気孔率(δ)とは、さらに、以下の式(2)により規定される条件を満たす構成としてもよい。
|(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))| ≦ 6300
本電気化学反応単セルによれば、電解質層と燃料極が有する活性層との間の剥離を抑制しつつ、電気化学反応単セルの特性の低下を、より効果的に抑制することができる。
(3)上記電気化学反応単セルにおいて、前記電解質層の前記第1の方向の平均厚さ(γ)は、6.4(μm)未満である構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、電解質層の第1の方向の平均厚さ(γ)が6.4(μm)以上である場合に比べて、電解質層と燃料極が有する活性層との間の剥離を抑制しつつ、電気化学反応単セルの特性の低下を、より効果的に抑制することができる。
(4)上記電気化学反応単セルにおいて、前記活性層の気孔率(β)は、40(%)未満である構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、活性層の気孔率(β)が40(%)以上である場合に比べて、電解質層と燃料極が有する活性層との間の剥離を抑制しつつ、電気化学反応単セルの特性の低下を、より効果的に抑制することができる。
(5)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単セルの少なくとも1つは、上記(1)から(4)までのいずれか一つの電気化学反応単セルであることを特徴とする構成としてもよい。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池単セル、複数の燃料電池単セルを備える燃料電池スタック、燃料電池スタックを備える発電モジュール、発電モジュールを備える燃料電池システム、電解セル、複数の電解セルを備える電解セルスタック、電解セルスタックを備える水素生成モジュール、水素生成モジュールを備える水素生成システム等の形態で実現することが可能である。
実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 単セル110の詳細構成を示す説明図である。 性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。燃料電池スタック100は、特許請求の範囲における電気化学反応セルスタックに相当する。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112の上下方向の一方側(下側)に配置された燃料極(アノード)116と、電解質層112の上下方向の他方側(上側)に配置された空気極(カソード)114とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で単セル110を構成する他の層(電解質層112、空気極114)を支持する燃料極支持形の単セルである。単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルに相当する。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、少なくともZrを含んでおり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、CaSZ(カルシア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。燃料極116の構成については、後に詳述する。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とは一体の部材として形成されているとしてもよい。また、空気極側集電体134は、導電性のコートによって覆われていてもよく、空気極114と空気極側集電体134との間には、両者を接合する導電性の接合層が介在していてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.燃料極116の詳細構成:
図6は、単セル110の詳細構成を示す説明図である。図6に示すように、燃料極116は、活性層(機能層ともいう)350と、活性層350に対して電解質層112側とは反対側に配置された基板層360とを備える。本実施形態では、活性層350は、電解質層112に隣接して配置されており、基板層360は、活性層350に隣接して配置されている。活性層350と基板層360とは、いずれも、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスであるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)とを含むサーメットにより形成されている。
活性層350は、主として、電解質層112から供給される酸化物イオンと燃料ガスFGに含まれる水素とを反応させて、電子と水蒸気とを生成する機能を発揮する層である。また、基板層360は、主として、活性層350と電解質層112と空気極114とを支持する機能を発揮する層である。なお、基板層360の強度を高めるため、基板層360のZ方向の平均厚さは、活性層350のZ方向の平均厚さより厚いことが好ましい。また、基板層360のガス拡散性を高めるため、基板層360の気孔率は、活性層350の気孔率より高いことが好ましい。
本実施形態では、燃料極116の活性層350と電解質層112とについて、次の式(1)により規定される条件が満たされている。
3500 ≦ |(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))| ≦ 6500 ・・・(1)
α:燃料極116の活性層350のZ方向の平均厚さ
β:燃料極116の活性層350の気孔率
γ:電解質層112のZ方向の平均厚さ
δ:電解質層112の気孔率
また、燃料極116の活性層350と電解質層112とについて、さらに、次の式(2)により規定される条件が満たされていることがより好ましい。
|(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))| ≦ 6300 ・・・(2)
また、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)は、6.4(μm)未満であることがより好ましい。また、活性層350の気孔率(β)は、40(%)未満であることがより好ましい。
A−4.燃料電池スタック100の製造方法:
本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法の一例は、以下の通りである。
(燃料極基板層用グリーンシートの作製)
NiO粉末(50重量部)とYSZ粉末(50重量部)との混合粉末(100重量部)に対して、造孔材である有機ビーズ(混合粉末に対して15重量%)と、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン+エタノール混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどの高分子により形成された球状粒子である。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、厚さ250μmの燃料極基板層用グリーンシートを作製する。なお、燃料極基板層用グリーンシートのNiO粉末とYSZ粉末との比率は、その性能を満足する限り適宜変更可能であり、例えばNiO粉末:YSZ粉末が60:40や40:60であっても構わない。つまり、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末が100重量部となるように、NiO粉末は40〜60重量部の間で適宜変更でき、残りをYSZ粉末とすることができる。
(燃料極活性層用グリーンシートの作製)
NiO粉末(60重量部)とYSZ粉末(40重量部)との混合粉末(100重量部)に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン+エタノール混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。なお、例えば、NiO粉末の粒径を調整することにより、後述する還元後の単セル110におけるNiの平均粒径を調整することができる。また、上記混合粉末に、更に、造孔材である有機ビーズ(混合粉末に対して3.9重量%)を加えて、ボールミルにて混合して、スラリーを調整することにより、気孔率が燃料極基板層用グリーンシートより高い燃料極活性層用グリーンシートを作製することができる。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、厚さ6μm〜36μmの燃料極活性層用グリーンシートを作製する。なお、燃料極活性層用グリーンシートのNiO粉末とYSZ粉末との比率は、その性能を満足する限り適宜変更可能であり、例えばNiO粉末:YSZ粉末が50:50や40:60であっても構わない。つまり、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末が100重量部となるように、NiO粉末は40〜60重量部の間で適宜変更でき、残りをYSZ粉末とすることができる。
(電解質層用グリーンシートの作製)
YSZ粉末(100重量部)に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン+エタノール混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、厚さ10μmの電解質層用グリーンシートを作製する。
(電解質層112と燃料極116との積層)
燃料極基板層用グリーンシートと燃料極活性層用グリーンシートと電解質層用グリーンシートとを貼り付けて約280℃で脱脂する。さらに、約1350℃にて焼成を行い、電解質層112と燃料極116との積層体を得る。
(空気極114の形成)
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作成する。作成した混合液を、上記積層体における電解質層112の表面に噴霧塗布し、1100℃で焼成することによって空気極114を形成する。
以上の工程により、上述した構成の単セル110が製造される。その後、複数の単セル110が製造された後、複数の単セル110および他の部品を組み立ててボルト22により締結することにより、上述した燃料電池スタック100が製造される。なお、活性層の気孔率(β)と電解質層の気孔率(δ)とを調整する方法として、例えば以下の3つの方法を採用することができる。
a)原料粉末として用いる粉末の粒径を調整する方法
b)原料粉末に、樹脂ビーズやカーボン粉末といった焼成時に焼き飛んで気孔を形成する造孔材の添加量を調整する方法
c)焼結温度を調整することにより焼結収縮の程度を調整する方法
例えば、a)の方法では、原料粉末として用いる粉末の粒径を調整する際、粒径を小さくすると気孔率が低下し、粒径を大きくすると気孔率が高くなる。b)の方法では、樹脂ビーズやカーボン粉末などの造孔材を添加することによって気孔を形成する際、造孔材の添加量を多くするほど気孔率が高くなる。また、c)の方法では、焼結温度を高くすると、より焼結が進むため気孔率が低下し、焼結温度を低くすると気孔率は高くなる傾向がある。
A−5.性能評価:
複数の単セル110のサンプルを作製し、作製された複数の単セル110のサンプルを用いて各種性能評価を行った。図7は、性能評価結果を示す説明図である。なお、図7中の計算値Pは、上記式(1)(2)における「|(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))|」の値である。以下、この性能評価について説明する。
A−5−1.各サンプルについて:
図7に示すように、各種性能評価は、サンプル1〜10を対象として行った。各サンプルでは、燃料極116の活性層350と電解質層112との構成が互いに異なっている。より具体的には、各サンプルは、活性層350のZ方向の平均厚さ(α)と、活性層350の気孔率(β)と、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)と、電解質層112の気孔率(δ)との組合せが、互いに異なっている。なお、各層(活性層350、電解質層112)の平均厚さは、次のようにして算出した。各サンプルについて、活性層350と電解質層112との両方の上下方向における全体が確認できるSEM画像を取得する。このSEM画像において、基板層360と活性層350との第1の境界B1と、活性層350と電解質層112との第2の境界B2とから、活性層350のZ方向の平均厚さ(α)を算出した。また、第2の境界B2と、電解質層112と空気極114との第3の境界B3とから、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)を算出した。平均厚さ(γ)は、次のように求めることができる。すなわち、基板層360の少なくとも一部と、活性層350と電解質層112との配列方向(Z方向)における全体が視野範囲に入る断面のSEM画像において、配列方向に平行な任意の仮想直線を10本以上引き、各仮想直線と、第1の境界B1、第2の境界B2および第3の境界B3とそれぞれが交差する点同士を結ぶ2つの線分長さを、各層の厚みとし、10本以上の仮想直線における各層の厚みの平均値を平均厚さとする。なお、第1の境界B1は、SEM画像において、活性層350と基板層360とのNiの含有率、Niの平均粒径、気孔径、気孔率の相違等に基づき特定することができる。第2の境界B2は、上記SEM画像において、活性層350と電解質層112との構成物質の相違や視認等に基づき特定することができる。また、第3の境界B3は、上記SEM画像において、電解質層112と空気極114との構成物質の相違や視認等に基づき特定することができる。また、各層の気孔率は、各層のSEM断面写真を用い、インターセプト法(例えば、水谷惟恭著、「セラミックプロセシング」、技報堂出版、1985年3月、p.193−p.195参照)によって算出した。
具体的には、計算値Pに関して、サンプル1〜7では、計算値Pが3500以上、かつ、6500以下であるため、上記式(1)に規定される条件が満たされている。さらに、サンプル1〜5では、計算値Pが3500以上、かつ、6300以下であるため、上記式(2)に規定される条件が満たされている。一方、サンプル8〜10では、計算値Pが3500未満、または、6500を超えるため、上記式(1)(2)に規定される条件が満たされていない。
また、燃料極116の活性層350の気孔率(β)に関して、サンプル7のみ、気孔率(β)が40(%)以上であり、その他のサンプルでは、気孔率(β)が40(%)未満である。また、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)に関して、サンプル1〜5では、平均厚さ(γ)が6.4(μm)未満であり、サンプル6,7では、平均厚さ(γ)が6.4(μm)以上である。また、電解質層112の気孔率(δ)に関して、サンプル1〜7,10では、気孔率(δ)が0.1(%)であり、サンプル8では、気孔率(δ)が0.1(%)より高く、サンプル9では、気孔率(δ)が0.1(%)より低い。
A−5−2.評価項目および評価方法:
本性能評価では、電解質層112と燃料極116の活性層350との剥離の有無、電解質層112のガスリークの有無、初期特性についての評価を行った。
(電解質層112と燃料極116の活性層350との剥離の有無の評価方法)
各サンプルについて、燃料極116の活性層350と電解質層112との第2の境界B2の近傍が確認できる断面のSEM画像を取得し、そのSEM画像の断面観察を行い、視認にて、電解質層112と活性層350との剥離の有無を判定した。
(電解質層112のガスリークの有無の評価方法)
各サンプルにおける燃料極116と電解質層112との積層部分について、ヘリウムリークディテクタ(島津エミット株式会社製 MSE−2000型)を用いて、ヘリウムリーク試験を行った。ヘリウムリーク量が10−7(Pa・m/sec)以上である場合にはリーク有り「×」と判定し、ヘリウムリーク量が10−7(Pa・m/sec)未満である場合にはリーク無し「○」と判定した。
(初期特性の評価方法)
各サンプルを用いた燃料電池スタック100について、約700℃で空気極114に酸化剤ガスOGを供給し、燃料極116に燃料ガスFGを供給し、電流密度が0.55(A/cm)のときの単セル110の出力電圧を測定し、その測定値を初期電圧Vo(定格発電運転前の出力電圧)とした。初期電圧Voが0.92(V)以上である場合には良(○)と判定し、初期電圧Voが0.90(V)以上、0.92(V)未満である場合には合格(△)と判定し、初期電圧Voが0.90(V)未満である場合には不合格(×)と判定した。
A−5−3.評価結果:
(計算値Pについて)
図7に示すように、サンプル1〜7では、計算値Pが3500以上、かつ、6500以下であり、剥離試験の評価結果は「剥離無し」であり、初期特性の評価結果は「合格(△)」以上であった。このことは、計算値Pが3500以上、かつ、6500以下である場合、電解質層112と燃料極116の活性層350との間の剥離の抑制と、単セル110の特性(初期特性)の低下抑制とを両立することができることを意味する。また、サンプル1〜6については、計算値Pは6400以下であり、単セル110の特性低下を抑制できるため、より好ましい。さらに、サンプル1〜5では、計算値Pが3500以上、かつ、6300以下であり、初期特性の評価結果は「良(○)」であった。このことは、計算値Pが6300以下である場合、単セル110の特性の低下を、より効果的に抑制できることを意味する。さらに、本評価結果によると、サンプル1〜5の計算値Pは3529以上である場合、単セル110の特定低下を抑制できており、より好ましいといえる。計算値Pが6218以下である場合、単セル110の特性低下を、さらに効果的に抑制できるため、より好ましい。サンプル1〜5では、特に、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)が6.4(μm)未満であることによって単セル110のIR抵抗が相対的に小さいことが、単セル110の特性低下の抑制に貢献したと考えられる。
また、電解質層112の気孔率(δ)が比較的に高い場合、電解質層112内の気孔を介して一方の電極側から他方の電極側へのガスリーク(クロスリーク)が発生し、単セル110の特性(発電性能)が低下するおそれがある。したがって、単セル110の特性向上の面では、電解質層112に気孔が存在しないことが好ましい。しかし、サンプル1〜7では、電解質層112の気孔率(δ)が0.1(%)であり、電解質層112に気孔が存在するにもかかわらず、リーク試験の評価結果が「リーク無し(○)」であり、剥離試験の評価結果は「剥離無し」であった。すなわち、気孔が閉気孔として電解質層112に少量存在する程度であれば、気孔の存在が単セル110の特性に与える影響は比較的に小さく、むしろ、気孔の存在によって、電解質層112と活性層350との界面への応力集中が緩和され、クラックの進行の抑制に貢献すると言える。また、活性層350の気孔率(β)が40(%)未満であれば、活性層350における反応場の減少による初期特性の低下を抑えることができる。
一方、サンプル8では、計算値Pが3500未満であり、剥離試験の評価結果は「剥離無し」であるが、リーク試験の評価結果は「リーク有り(×)」であり、初期特性の評価結果は「不合格(×)」であった。サンプル8では、電解質層112の気孔率(δ)がサンプル1〜7より高いことによって、ガスリークが発生し、その結果、単セル110の初期特性が低下したと考えられる。また、サンプル8では、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)が相対的に厚いため、単セル110のIR抵抗が増大したことによって初期特性が低下したと考えられる。
サンプル9では、計算値Pが6500を超えており、リーク試験の評価結果は「リーク無し(○)」であるが、剥離試験の評価結果は「剥離有り」であり、初期特性の評価結果は「不合格(×)」であった。サンプル9では、電解質層112の気孔率(δ)が相対的に低く、電解質層112が過度に緻密であるため、剥離が発生し易くなったと考えられる。したがって、剥離抑制のため、電解質層112の気孔率(δ)は、0.06(%)より大きいことが好ましい。
サンプル10では、計算値Pが、サンプル9より小さいが、6500を超えており、剥離試験の評価結果は「剥離無し」であり、リーク試験の評価結果は「リーク無し(○)」であるが、初期特性の評価結果は「不合格(×)」であった。サンプル10では、電解質層112の厚み(γ)が相対的に厚いため、IR抵抗が増大し、初期特性が低下したと考えられる。したがって、IR抵抗の増大の抑制のため、電解質層112の厚み(γ)は6.7(μm)より薄いことが好ましい。
A−6.本実施形態の効果:
電解質層112と燃料極116が有する活性層350との間の剥離発生の主な要因として、電解質層112と活性層350との熱膨張率の差によって電解質層112と活性層350との界面に応力が発生することが挙げられる。電解質層112と活性層350との界面に発生する応力の大きさを定める主な要素は、電解質層112および活性層350のそれぞれについてのZ方向の平均厚さおよび気孔率である。Z方向の平均厚さについては、当該平均厚さが厚いほど、例えば各層における上側と下側とで体積変動量の差が大きくなることによって、界面に集中する応力が増大するからである。気孔率については、気孔率が高いほど、例えば各層の硬度が低下し、気孔によって界面への応力が吸収されることによって界面に生じた応力が緩和されるからである。
一方、各層におけるZ方向の平均厚さと気孔率とは、単セル110の特性に影響する。例えば、電解質層112のZ方向の平均厚さは、厚いほど、単セル110のIR抵抗が大きくなる。また、電解質層112の気孔率が高いほど、空気極に面する空気室と燃料極に面する燃料室との間のガスリークが発生する可能性が高くなる。また、活性層350の気孔率が高いほど、単位体積当たりのNiおよびYSZの絶対量が減少することに伴って、電解質層112から供給される酸化物イオンと燃料室から供給される燃料ガスに含まれる水素との反応の場が減少する。反応場が減少すると、活性層350における活性化分極が増大するため、単セル110の特性が低下する。
以上のように、活性層350のZ方向の平均厚さ(α)と、活性層350の気孔率(β)と、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)と、電解質層112の気孔率(δ)とを適切に設定しなければ、電解質層112と燃料極116の活性層350との間の剥離の抑制と、単セル110の特性の低下抑制とを両立できない。そこで、上述したように、本願発明者は、電解質層112と活性層350とにおけるZ方向の平均厚さと気孔率とに基づく新たなパラメータ(計算値P)として、「Z方向の平均厚さ/気孔率×0.01)」を見出した。そして、本実施形態の単セル110によれば、電解質層112と活性層350との間について、上記式(1)により規定される条件を満たすように、Z方向の平均厚さ/気孔率×0.01)のバランスを調整することにより、電解質層112と燃料極116の活性層350との間の剥離の抑制と、単セル110の特性の低下抑制とを両立することができる。
また、本実施形態の単セル110によれば、電解質層112と活性層350との間について、上記式(2)により規定される条件を満たすことにより、電解質層112と活性層350との間の剥離を抑制しつつ、単セル110の特性の低下を、より効果的に抑制することができる。また、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)が6.4(μm)未満であれば、6.4(μm)以上である場合に比べて、電解質層112と活性層350との間の剥離を抑制しつつ、単セル110の特性の低下を、より効果的に抑制することができる。また、活性層350の気孔率(β)が40(%)未満であれば、40(%)以上である場合に比べて、電解質層112と活性層350との間の剥離を抑制しつつ、単セル110の特性の低下を、より効果的に抑制することができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、燃料極116は、活性層350と基板層360とを含むとされていたが、これに限定されず、燃料極116は、活性層350のみを含む単層であるとしてもよいし、活性層350と基板層360とに加えてさらに別の層を含むとしてもよい。
上記実施形態において、単セル110は、燃料極116の活性層350と電解質層112とについて、式(1)により規定される条件を満たすが、式(2)により規定される条件を満たさないとしてもよい。また、単セル110は、式(1)により規定される条件を満たせば、電解質層112のZ方向の平均厚さ(γ)が6.4(μm)以上であってもよいし、活性層350の気孔率(β)が40(%)以上であってもよい。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110の個数は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の単セル110の内、少なくとも1つについて、上記式(1)により規定された条件を満たせばよい。
また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。例えば、上記実施形態では、電解質層112がYSZを含むとしているが、電解質層112は、YSZに代えて、あるいはYSZに加えて、例えばScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)やCaSZ(酸化カルシウム安定化ジルコニア)等の他の固体酸化物を含むとしてもよい。
また、上記実施形態では、燃料電池スタック100は複数の平板形の単セル110が積層された構成であるが、本発明は、他の構成、例えば国際公開第2012/165409号に記載されているように、複数の略円筒形の燃料電池単セルが直列に接続された構成にも同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルや、複数の電解単セルを備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号公報に記載されているように公知であるため、ここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解単セルおよび電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様に、燃料極116の活性層350と電解質層112とについて、上記式(1)により規定される条件を満たす構成を採用すれば、電解質層と燃料極の活性層との間の剥離の抑制と、単セルの特性の低下抑制とを両立することができる。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 250:厚さ 350:活性層 360:基板層 B1:第1の境界 B2:第2の境界 B3:第3の境界 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス P:計算値

Claims (3)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と、
    前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、
    前記燃料極は、前記電解質層に隣接する活性層を有し、
    前記活性層の前記第1の方向の平均厚さ(α)と、前記活性層の気孔率(β)と、前記電解質層の前記第1の方向の平均厚さ(γ)と、前記電解質層の気孔率(δ)とは、以下の式(1)により規定される条件を満たし、
    前記活性層の前記第1の方向の平均厚さ(α)は、10(μm)以上、20(μm)以下であり、
    前記活性層の気孔率(β)は、40(%)未満であり、
    前記電解質層の前記第1の方向の平均厚さ(γ)は、6.4(μm)未満であり、
    前記電解質層の気孔率(δ)は、0.1(%)以下であることを特徴とする、電気化学反応単セル。
    3500 ≦ |(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))| ≦ 6500
  2. 請求項1に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記活性層の前記第1の方向の平均厚さ(α)と、前記活性層の気孔率(β)と、前記電解質層の前記第1の方向の平均厚さ(γ)と、前記電解質層の気孔率(δ)とは、さらに、以下の式(2)により規定される条件を満たすことを特徴とする、電気化学反応単セル。
    |(α/β×0.01))−(γ/δ×0.01))| ≦ 6300
  3. 前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数の電気化学反応単セルの少なくとも1つは、請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単セルであることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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