<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、(A)樹脂層と(B)80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重が90g/mm超500g/mm以下であるフィルム(以下「(B)フィルム」とも称する)とを有し、前記(A)樹脂層の80℃における溶融粘度が10〜10000dPa・sであることを特徴とするものである。上記のような樹脂層のしわが発生する主な原因は、加熱条件下で真空ラミネートした際に、または、その後の熱プレスの際に、未剥離のフィルムに生じるしわであると考えられる。即ち、樹脂層が配線基板と接するように積層フィルムをラミネートした後、通常、支持フィルムを樹脂層から剥離する前に、加熱条件下での真空ラミネートが行われるが、この工程で支持フィルムにしわが生じると、これが樹脂層に転写されることによって樹脂層にもしわが生じると考えられる。80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重が90g/mm超500g/mm以下であるフィルムを用いた場合、熱ラミネートの温度条件でもフィルムにしわが生じにくく、その結果、樹脂層にもしわが生じにくいと考えられる。
なお、(B)80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重の値は、最大値である。
本発明の積層フィルムは、(A)樹脂層と(B)フィルムが積層した構造を有する(図1)。本発明の効果を損なわない範囲で、(B)フィルムと(A)樹脂層との間に他の樹脂層を設けてもよい。本発明の積層フィルムは、(A)樹脂層が配線基板側に、また、(B)フィルムが表層側、即ち、(A)樹脂層から見て配線基板と反対側に位置するように、配線基板に対してラミネートすることによって用いることができる。これによって、加熱条件下で真空ラミネートを行っても、(A)樹脂層にしわが生じにくい。
本発明の積層フィルムにおいて、(A)樹脂層の表面を保護するために、(B)フィルムとは反対側に、さらに(C)フィルムを積層することが好ましい(図2)。このように積層した(C)フィルムは、(A)樹脂層を配線基板にラミネートする際に剥離すればよい。必要に応じて、(A)樹脂層と(C)フィルムとの間に他の樹脂層を設けてもよい。
本発明の積層フィルムは、(B)フィルムの前記5%伸び荷重を90g/mm超としたことによって、上記のように加熱条件下での真空ラミネート時にしわが発生しにくいだけでなく、オートピーラーのような機械的手段で(B)フィルムを剥がしてもフィルム残りが生じにくい。また、(B)フィルムの前記5%伸び荷重を90g/mm超としたことによって、図2に示す積層フィルムのように、(B)フィルムとは反対側に(C)フィルムを有していても、積層フィルムをロール巻きした際に(B)フィルムと(C)フィルムとの張力のバランスで生じるしわが発生しにくい。
また、本発明の積層フィルムは、前記伸び荷重を500g/mm以下としたことによって、図2に示す積層フィルムのように、(B)フィルムとは反対側に(C)フィルムを有していても、積層フィルムをロール巻きした際に(B)フィルムと(C)フィルムとの張力のバランスで(C)フィルム側の(A)樹脂層の表面に生じるしわが発生しにくく、また、(A)樹脂層の回路追従性が良好となり、狭ピッチ間に樹脂が入り込みやすくなる。
前記伸び荷重は90g/mm超400g/mm以下であることが好ましく、90g/mm超300g/mm以下であることがより好ましい。
本発明の積層フィルムは、(A)樹脂層の80℃における溶融粘度が10〜10000dPa・sである。上記溶融粘度が10dPa・s以上の場合、加熱条件下での真空ラミネート時に熱ラミネート時の樹脂層の流動性が高くなり過ぎないため、しわがより発生しにくくなる。上記溶融粘度が10000dPa・s以下の場合、加熱条件下での真空ラミネート時の樹脂層の流動性が良好であって回路追従性がより良好となるため、狭いピッチ間にも樹脂が入り込みやすい。上記溶融粘度は50〜5000dPa・sであることが好ましく、100〜4000dPa・sであることがより好ましく、200〜2500dPa・sであることがさらに好ましい。
以下、各構成要件について詳細に記載する。
[(A)樹脂層]
本発明の積層フィルムの樹脂層は、支持フィルムに樹脂組成物を塗布後、乾燥工程を経て得られる。前記樹脂組成物は特に限定されず、従来公知のソルダーレジスト、層間絶縁層およびカバーレイ等のプリント配線板に設けられる保護層や絶縁層の形成に用いられる樹脂組成物を用いることができる。樹脂層の膜厚は特に限定されないが、乾燥後の膜厚が1〜200μmであることが好ましい。感光性の硬化性樹脂層の場合、200μm以下の場合、深部硬化性の低下を抑えることができる。樹脂層は、硬化性樹脂とフィラーとを含み、溶剤を除いたドライフィルムの樹脂層全量基準で、フィラーの配合量が10質量%以上であることが好ましい。下記に樹脂組成物の具体例として、光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物、光硬化性熱硬化性樹脂組成物、光塩基発生剤を含有する光硬化性樹脂組成物、光酸発生剤を含有する光硬化性樹脂組成物、ネガ型光硬化性樹脂組成物、ポジ型光硬化性樹脂組成物、アルカリ現像型光硬化性樹脂組成物、溶剤現像型光硬化性樹脂組成物等の感光性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、膨潤剥離型樹脂組成物、溶解剥離型樹脂組成物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも感光性樹脂組成物が好ましく、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和結合を有する化合物および熱硬化性樹脂を含む感光性樹脂組成物であることがより好ましい。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
光硬化性熱硬化性樹脂組成物の一例として、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和結合を有する化合物および熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物について、下記に説明する。
アルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液に可溶な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂やフェノール系水酸基含有樹脂を用いることができるが、カルボキシル基含有樹脂が好ましい。
カルボキシル基含有樹脂は、光照射により重合ないし架橋して硬化する成分であり、カルボキシル基が含まれることによりアルカリ現像性とすることができる。また、光硬化性や耐現像性の観点から、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和結合を有することが好ましいが、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを使用してもよい。エチレン性不飽和結合としては、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来のものが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の中でも、共重合構造を有するカルボキシル基含有樹脂、ウレタン構造を有するカルボキシル基含有樹脂、エポキシ樹脂を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂、フェノール化合物を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂が好ましい。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーまたはポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
(2)2官能エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
(3)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等の1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(9)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)後述するような多官能オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上述した(1)〜(10)のいずれかのカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、以下他の類似の表現についても同様である。
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、正常なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50〜130mgKOH/gである。
アルカリ可溶性樹脂の配合量は、溶剤を除いた樹脂層全量基準で、例えば、15〜60質量%であり、20〜60質量%であることが好ましい。15質量%以上、好ましくは20質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり加工性が向上する。より好ましくは、30〜50質量%である。
上記したアルカリ可溶性樹脂を光重合させるために使用される光重合開始剤としては、公知のものを用いることができるが、なかでも、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
光重合開始剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましい。この範囲であると、銅上での光硬化性が十分であり、塗膜の硬化性が良好となり、耐薬品性などの塗膜特性が向上し、また、深部硬化性も向上するからである。より好ましくは、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.5〜15質量部である。
オキシムエステル系光重合開始剤を使用する場合の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上とすることにより、銅上での光硬化性がより確実となり、耐薬品性等の塗膜特性が向上する。また、5質量部以下とすることにより、塗膜表面での光吸収が抑えられ、深部の硬化性も向上する傾向がある。より好ましくは、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部である。
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤またはアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いる場合のそれぞれの配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部以上とすることにより、銅上での光硬化性がより確実となり、耐薬品性等の塗膜特性が向上する。また、15質量部以下とすることにより、十分なアウトガスの低減効果が得られ、さらに硬化被膜表面での光吸収が抑えられ、深部の硬化性も向上する。より好ましくはアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部である。
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物には、耐熱性、絶縁信頼性等の特性を向上させる目的で熱硬化性樹脂が含まれる。熱硬化性樹脂としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂等の公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。これらの中でも好ましい熱硬化性樹脂は、1分子中に複数の環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略称する)の少なくともいずれか一方を有する熱硬化性樹脂である。これら環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂は、市販されている種類が多く、その構造によって多様な特性を付与することができる。これら熱硬化性樹脂としては軟化点もしくは融点が100℃以下のものを含むことが好ましい。軟化点もしくは融点が100℃以下のエポキシ樹脂を使用した場合には、ラミネート時の加熱による樹脂層粘度の低下にかかる時間が短くなり、樹脂層の回路追従性が向上し、樹脂層が平坦化しやすいことにより、耐熱性が向上するため好ましい。これら熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、軟化点もしくは融点が100℃を超える熱硬化樹脂と併用してもよい。
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂の配合量は、アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性基1当量に対して、好ましくは0.3〜2.5当量、より好ましくは、0.5〜2.0当量となる範囲である。分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂の配合量を0.3当量以上とすることにより、硬化被膜にアルカリ可溶性基が残存せず、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性等が向上する。また、2.5当量以下とすることにより、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存せず、硬化被膜の強度等が向上する。
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
熱硬化触媒の配合量は、分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部である。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物には、上記したアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および熱硬化性樹脂に加えて、感光性モノマーとして、分子中に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が含まれていてもよい。感光性モノマーは、活性エネルギー線照射によるアルカリ可溶性樹脂の光硬化を助けるものである。
エチレン性不飽和結合を有する化合物として用いられる化合物としては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール等のポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物等を感光性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物の配合量は、好ましくはアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、5〜100質量部、より好ましくは、5〜70質量部の割合である。エチレン性不飽和結合を有する化合物の配合量を5質量部以上とすることにより、光硬化性熱硬化性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を100質量部以下とすることにより、塗膜硬度を向上させることができる。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物は、上記した成分以外にも、フィラー、着色剤、エラストマー、熱可塑性樹脂等の他の成分が含まれていてもよい。以下、これら成分についても説明する。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の物理的強度等を上げるためや、粘度調整のために、フィラーを配合することが好ましい。フィラーとしては、公知慣用の無機または有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ、酸化チタン、ノイブルグ珪土粒子、およびタルクが好ましく用いられる。また、難燃性を付与する目的で、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト等も使用することができる。これらを単独でまたは2種以上配合することができる。
無機フィラーの平均粒径(D50)は、25μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは3μm以下であることが望ましい。ここで、D50とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる体積累積50%における粒径のことである。より具体的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、微粒子の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、微粒子を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製LA−500等を使用することができる。
フィラーの形状としては、球状、針状、板状、鱗片状、中空状、不定形、六角状、キュービック状、薄片状等が挙げられる。
フィラーの添加量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは500質量部以下、より好ましくは0.1〜350質量部である。フィラーの添加量が500質量部以下の場合、光硬化性熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎず、印刷性が良く、硬化物が脆くなりにくい。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
着色剤の添加量は特に制限はないが、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、特に好ましくは0.1〜7質量部の割合で充分である。
また、光硬化性熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物に対する柔軟性の付与、硬化物の脆さの改善等を目的にエラストマーを配合することができる。エラストマーとしては、例えばポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー等が挙げられる。また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部または全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂等も使用できる。更にはエポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマー等も使用することができる。エラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上の混合物として使用してもよい。
エラストマーの添加量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは、5〜30質量部である。エラストマーの添加量が50質量部以下の場合、光硬化性熱硬化性樹脂組成物のアルカリ現像性が良好となり、現像可能な可使時間が短くなりにくい。
また、光硬化性熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、ブロック共重合体、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくとも何れか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、防錆剤、蛍光増白剤等のような公知慣用の添加剤類の少なくとも何れか1種を配合することができる。
使用できる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等が挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、2−メトキシプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の他、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラクロロエチレン、テレビン油等が挙げられる。また、丸善石油化学社製スワゾール1000、スワゾール1500、スタンダード石油大阪発売所社製ソルベッソ100、ソルベッソ150、三共化学社製ソルベント#100、ソルベント#150、シェルケミカルズジャパン社製シェルゾールA100、シェルゾールA150、出光興産社製イプゾール100番、イプゾール150番等の有機溶剤を用いてもよい。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層フィルムを用いたプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。例えば、図2に示すような(A)樹脂層が(B)フィルムと(C)フィルムに挟まれた積層フィルムを用いる場合は、下記のような方法でプリント配線板を製造することができる。積層フィルムから(C)フィルムを剥離して、(A)樹脂層を露出させ、回路パターンが形成された基板上に、真空ラミネーター等を用いて前記積層フィルムの(A)樹脂層を加熱条件下で真空ラミネートし、(A)樹脂層にパターン露光を行う。(B)フィルムは、ラミネート後または露光後のいずれかに、剥離すればよい。その後、アルカリ現像を行うことにより、前記基板上にパターニングされた樹脂層を形成し、前記パターニングされた樹脂層を光照射ないし熱により硬化させて、硬化被膜を形成することによりプリント配線板を製造することができる。
(熱硬化性樹脂組成物)
熱硬化性樹脂組成物の一例として、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物について、下記に説明する。
熱硬化性樹脂は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂は特に限定されず、エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等を用いることができる。
上記エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、従来公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ化合物、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ化合物等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂等が用いられる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独または2種類以上を組合せて用いることができる。
エポキシ化合物は、固形エポキシ樹脂、半固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂の何れであってもよい。本明細書において、固形エポキシ樹脂とは40℃で固体状であるエポキシ樹脂をいい、半固形エポキシ樹脂とは20℃で固体状であり、40℃で液状であるエポキシ樹脂をいい、液状エポキシ樹脂とは20℃で液状のエポキシ樹脂をいう。液状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。
熱硬化性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化性樹脂の配合量は、溶剤を除いた樹脂層全量基準で、10〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、10〜35質量%がさらにより好ましい。また、液状エポキシ樹脂を配合する場合の、液状エポキシ樹脂の配合量は、硬化物のガラス転移温度(Tg)およびクラック耐性がより良好となるため、熱硬化性樹脂全質量あたり、0〜45質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜5質量%であることが特に好ましい。
熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。フィラーとしては、特に制限はないが、例えば、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示したフィラーが挙げられる。フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
使用できる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示した有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物は硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂、マレイミド化合物、脂環式オレフィン重合体等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記硬化剤は、熱硬化性樹脂のエポキシ基等の熱硬化反応が可能な官能基と、その官能基と反応する硬化剤中の官能基との比率が、硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)=0.2〜2となるような割合で配合することが好ましい。硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)を上記範囲内とすることで、デスミア工程におけるフィルム表面の粗化を防止することができる。より好ましくは硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)=0.2〜1.5であり、さらに好ましくは硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)=0.3〜1.2である。
熱硬化性樹脂組成物は、得られる硬化被膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルムの柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂の配合量は、溶剤を除いた樹脂層全量基準で、0.5〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の割合が好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が上記範囲外になると、均一な粗化面状態を得られ難くなる。
さらに、熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてゴム状粒子を含有することができる。このようなゴム状粒子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロピレンゴム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基または水酸基で変性したアクリロニトリルブタジエンゴム、およびそれらの架橋ゴム粒子、コアシェル型ゴム粒子等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのゴム状粒子は、得られる硬化被膜の柔軟性を向上させたり、クラック耐性が向上したり、酸化剤による表面粗化処理を可能とし、銅箔等との密着強度を向上させるために添加される。
ゴム状粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜1μmの範囲がより好ましい。本発明におけるゴム状粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することが出来る。例えば、適当な有機溶剤にゴム状粒子を超音波等により均一に分散させ、FPRA−1000(大塚電子社製)を用いて、ゴム状粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
ゴム状粒子の配合量は、溶剤を除いた樹脂層全量基準で、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。0.5質量%以上の場合、クラック耐性が得られ、導体パターン等との密着強度を向上できる。10質量%以下の場合、熱膨張係数(CTE)が低下し、ガラス転移温度(Tg)が上昇して硬化特性が向上する。
熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、BHAST耐性が得られることから、ホスホニウム塩類が好ましい。
硬化促進剤は、1種を単独または2種以上混合して用いることができる。硬化促進剤の使用は必須ではないが、特に硬化を促進したい場合には、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜5質量部の範囲で用いることができる。金属触媒の場合、熱硬化性樹脂100質量部に対して金属換算で10〜550ppmが好ましく、25〜200ppmが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の従来公知の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤、チタネート系、アルミニウム系の従来公知の添加剤類を用いることができる。
熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層フィルムを用いたプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。例えば、図2に示すような(A)樹脂層が(B)フィルムと(C)フィルムに挟まれた積層フィルムを用いる場合は、下記のような方法でプリント配線板を製造することができる。積層フィルムから(C)フィルムを剥離し、真空ラミネーター等を用いて回路パターンが形成された回路基板に加熱条件下でラミネートした後、熱硬化させる。熱硬化は、オーブン中で硬化、もしくは熱板プレスで硬化させてもよい。回路が形成された配線基板と本発明の積層フィルムをラミネートもしくは熱板プレスする際に、銅箔もしくは回路形成された配線基板を同時に積層することもできる。回路パターンが形成された基板上の所定の位置に対応する位置に、レーザー照射またはドリルでパターンやビアホールを形成し、回路配線を露出させることで、プリント配線板を製造することができる。この際、パターンやビアホール内の回路配線上に除去しきれないで残留した成分(スミア)が存在する場合にはデスミア処理を行う。(B)フィルムは、ラミネート後、熱硬化後、レーザー加工後またはデスミア処理後のいずれかに、剥離すればよい。
(光塩基発生剤含有組成物)
光塩基発生剤含有組成物の一例として、アルカリ現像性樹脂と、熱反応性成分と、光塩基発生剤とを含む組成物について、下記に説明する。
アルカリ現像性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有樹脂としては、公知のカルボキシル基を含む樹脂を用いることができる。カルボキシル基の存在により、樹脂組成物をアルカリ現像性とすることができる。また、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いてもよいが、本発明においては、カルボキシル基含有樹脂として、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いることが好ましい。
前記カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物に含まれるカルボキシル基含有樹脂として挙げた(1)〜(11)の他に、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(12)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(13)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(14)上記(12)または(13)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(15)上記(12)または(13)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(16)多官能エポキシ樹脂に飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。ここで、多官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
(17)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(18)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(19)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に飽和モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(20)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に飽和モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(21)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(22)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、飽和モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(23)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(24)上記(12)〜(23)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有樹脂。
上記のようなアルカリ現像性樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基やヒロドキシ基等を有するため、アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、上記アルカリ現像性樹脂のヒドロキシル基当量またはカルボキシル基当量は、80〜900g/eq.であることが好ましく、さらに好ましくは、100〜700g/eq.である。ヒドロキシル基当量またはカルボキシル基当量が900g/eq.以下の場合、パターン層の密着性が得られ、アルカリ現像が容易となる。一方、ヒドロキシル基当量またはカルボキシル基当量が80g/eq.以上の場合には、現像液による光照射部の溶解が抑えられ、必要以上にラインが痩せたりせずに、正常なレジストパターンの描画が容易となるため好ましい。また、カルボキシル基当量やフェノール基当量が大きい場合、アルカリ現像性樹脂の含有量が少ない場合でも、現像が可能となるため、好ましい。
アルカリ現像性樹脂の酸価は、40〜150mgKOH/gであることが好ましい。アルカリ現像性樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、正常なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50〜130mgKOH/gである。
アルカリ現像性樹脂の配合量は、溶剤を除いたドライフィルムの樹脂層全量基準で、20〜60質量%であることが好ましい。20質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり塗布性が向上する。より好ましくは、30〜50質量%である。
熱反応性化合物は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂である。エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
エポキシ樹脂は、エポキシ当量が90以上であることが好ましい。エポキシ当量が90以上であることにより、硬化膜の反りを抑制し、長時間高湿度下に放置した場合でも現像性に優れる。
上記熱反応性化合物の配合量としては、アルカリ現像性樹脂との当量比(熱反応性基:アルカリ現像性基)が、1:0.1〜1:10であることが好ましく、1:0.2〜1:8であることがより好ましい。このような配合比の範囲内である場合、現像が良好になる。
光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、上記の熱反応性化合物の付加反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
光塩基発生剤として、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。
上記光塩基発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光塩基発生剤含有組成物中の光塩基発生剤の配合量は、好ましくは熱反応性化合物100質量部に対して1〜50質量部であり、さらに好ましくは、1〜40質量部である。1質量部以上の場合、現像が容易になるため好ましい。
光塩基発生剤含有組成物には、得られる硬化物の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。フィラーとしては、特に制限はないが、例えば、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示したフィラーが挙げられる。フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
使用できる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示した有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
光塩基発生剤含有組成物には、必要に応じてさらに、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
また、上記の光塩基発生剤含有組成物には、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤等のような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
光塩基発生剤含有組成物からなる樹脂層を有する積層フィルムを用いたプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。例えば、図2に示すような(A)樹脂層が(B)フィルムと(C)フィルムに挟まれた積層フィルムを用いる場合は、下記のような方法でプリント配線板を製造することができる。積層フィルムから(C)フィルムを剥離して、(A)樹脂層を露出させ、回路パターンが形成された基板上に、真空ラミネーター等を用いて積層フィルムの(A)樹脂層を加熱条件下で真空ラミネートする。その後、ネガ型のパターン状の光照射にて光塩基発生剤含有樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化し、アルカリ現像により未照射部を除去することによりネガ型のパターン層を形成することができる。(B)フィルムは、ラミネート後または露光後のいずれかに、剥離すればよい。また、光照射後かつ現像前に、(A)樹脂層を加熱することが好ましい。これにより、(A)樹脂層を十分に硬化して、さらに硬化特性に優れたパターン層を得ることができる。尚、光照射後かつ現像前の加熱は、未照射部が熱硬化しない温度であることが好ましい。また、現像後に、熱硬化(ポストキュア)を行うことが好ましい。現像後、紫外線照射を行うことで、光照射時に活性化せずに残った光塩基発生剤を活性化させた後に、熱硬化(ポストキュア)を行ってもよい。
(ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物)
ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物の一例として、光照射によりカルボキシル基を発生する化合物を含む樹脂組成物について、下記に説明する。
光照射によりカルボキシル基を発生する化合物の中でも、ナフトキノンジアジド化合物を用いることが好ましい。ナフトキノンジアジド化合物は、従来より、カルボキシル基やフェノール性水酸基と錯体を形成することによりカルボキシル基等のアルカリ可溶性を抑え、その後の光照射によって錯体が解離して、アルカリ可溶性を発現させる系に用いられている。この場合、ナフトキノンジアジド化合物が膜中に残存していると、光照射によって錯体が解離し可溶性が発現するおそれがあるため、半導体分野等では、残存するナフトキノンジアジド化合物は、最終的に高温で飛ばすことで除去されていた。しかし、プリント配線板の分野ではこのような高温をかけることができず、安定性の観点から永久皮膜として使用できないために、ナフトキノンジアジド化合物は、実際上、用いられていなかった。本発明において、光照射によりカルボキシル基を発生する化合物としてナフトキノンジアジド化合物を用いた場合には、未露光部に残存するナフトキノンジアジド化合物は、熱硬化反応時に架橋構造に取り込まれて安定化するので、従来のような除去の問題を生ずることなく、膜強靭性、すなわち、耐屈曲性や、電気特性を向上させることができる。特に、光照射によりカルボキシル基を発生する化合物としてのナフトキノンジアジド化合物を、ポリアミドイミド樹脂と熱硬化成分とを併用することで、現像性や解像性を良好に確保しつつ、屈曲性を効果的に向上することができるものとなり、好ましい。
ナフトキノンジアジド化合物としては、具体的には例えば、トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のTS533,TS567,TS583,TS593)や、テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のBS550,BS570,BS599)等を使用することができる。
ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。フィラーとしては、特に制限はないが、例えば、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示したフィラーが挙げられる。フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物が含有するアルカリ現像性樹脂の具体例としては、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示したカルボキシル基含有樹脂、および、前記光塩基発生剤含有組成物で例示したアルカリ現像性樹脂等が挙げられる。
ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物には、耐熱性、絶縁信頼性等の特性を向上させる目的で熱硬化性成分が含まれていてもよい。熱硬化性成分としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂等の公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。これらの中でも好ましい熱硬化性成分は、1分子中に複数の環状エーテル基および/または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略称する)を有する熱硬化性成分である。これら環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、市販されている種類が多く、その構造によって多様な特性を付与することができる。
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂のカルボキシル基1当量に対して、好ましくは0.3〜2.5当量、より好ましくは、0.5〜2.0当量となる範囲である。分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量を0.3当量以上とすることにより、硬化被膜にカルボキシル基が残存せず、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性等が向上する。また、2.5当量以下とすることにより、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存せず、硬化被膜の強度等が向上する。
使用できる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、前記光硬化性熱硬化性樹脂組成物で例示した有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物は、上記した成分以外にも、ブロック共重合体、フィラー、着色剤、エラストマー、熱可塑性樹脂等の他の成分が含まれていてもよい。また、ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくとも何れか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、防錆剤、蛍光増白剤等のような公知慣用の添加剤類の少なくとも何れか一種を配合することができる。
ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層フィルムを用いたプリント配線板の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。例えば、図2に示すような(A)樹脂層が(B)フィルムと(C)フィルムに挟まれた積層フィルムを用いる場合は、下記のような方法でプリント配線板を製造することができる。積層フィルムから(C)フィルムを剥離し、(A)樹脂層を露出させ、回路パターンが形成された基板上に、真空ラミネーター等を用いて積層フィルムの(A)樹脂層を加熱条件下で真空ラミネートする。その後、(A)樹脂層に光をポジ型のパターン状に照射し、樹脂層をアルカリ現像して、光照射部を除去することによりポジ型のパターン層を形成することができる。(B)フィルムは、ラミネート後または露光後のいずれかに、剥離すればよい。また、現像後に、樹脂層を加熱硬化(ポストキュア)し、未照射部を硬化することによって、プリント配線板を製造することができる。ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物においては、光照射により発生する酸によって、アルカリ現像液に対して可溶な組成に変化するので、アルカリ現像によるポジ型のパターン形成が可能となる。
[(B)フィルム]
本発明の積層フィルムにおいて、(B)フィルムは、80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重が90g/mm超500g/mm以下である。支持フィルムと保護フィルムとの間に挟まれた樹脂層を有する積層フィルムをラミネートする際には、多くの場合、保護フィルムを剥離して、保護フィルムと接していた側の樹脂層の面が配線基板と接触するようにラミネートされる。しかしながら、支持フィルムを剥離して、支持フィルムと接していた側の樹脂層の面が配線基板と接触するようにラミネートされる場合もある。本発明においては、(B)フィルムとは反対側の(A)樹脂層の面が配線基板と接触するように配線基板にラミネートされればよいため、(B)フィルムは80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重が90g/mm超500g/mm以下であるフィルムであれば、支持フィルムと保護フィルムのどちらであってもよい。好ましくは、(B)フィルムは、支持フィルムである。
支持フィルムとは、積層フィルムの樹脂層を支持する役割を有するものであり、該樹脂層を形成する際に、樹脂組成物が塗布されるフィルムである。支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。支持フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10〜150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。支持フィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。また、支持フィルムの樹脂層を設ける面には、スパッタもしくは極薄銅箔が形成されていてもよい。
保護フィルムとは、積層フィルムの樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに取扱性を向上させる目的で、樹脂層の支持フィルムとは反対の面に設けられる。保護フィルムとしては、例えば、前記支持フィルムで例示した熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができるが、これらの中でも、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10〜150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。保護フィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
(B)フィルムとしては、80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重が90g/mm超500g/mm以下である市販のフィルムを用いてもよい。例えば、三菱樹脂社製ダイアホイルR310、東レ社製ルミラーT6AM、東洋紡社製東洋紡エステルフィルムE5041、ユニチカ社製エンブレットPTHA等が挙げられる。
((C)フィルム)
(C)フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等を用いることができる。(A)樹脂層を基板にラミネートする際に(C)フィルムを剥離することを考慮して、(A)樹脂層と(B)フィルムとの接着力よりも、(A)樹脂層と(C)フィルムとの接着力が小さくなるようにすることが好ましい。また、(B)フィルムの例示で挙げたフィルムも、(C)フィルムとして用いることができる。(C)フィルムは好ましくは、保護フィルムである。
本発明の積層フィルムは、プリント配線板の永久保護膜の形成に好ましく用いることができ、中でもソルダーレジスト層、層間絶縁層、フレキシブルプリント配線板のカバーレイの形成に好ましく用いることができる。また、本発明の積層フィルムは、配線を貼り合わせることによって配線板を形成してもよい。また、半導体チップ用の封止樹脂としても用いることができる。
本発明の積層フィルムは、積層フィルムの貼着方法として加熱条件下、例えば40〜160℃での真空ラミネートを採用した場合でも、樹脂層にしわが生じにくいため、好適に用いることができる。前記加熱条件は、好ましくは50〜150℃、より好ましくは50〜130℃である。また、回路追従性の観点から加熱条件下での真空ラミネートが採用される、微細なパターン状の回路を備えたプリント配線板の形成に好適に用いることができる。本発明の積層フィルムは配線基板にラミネートした後、熱プレスによる平坦化処理を行うことが好ましい。熱プレスは、例えば40〜160℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは50〜130℃で行う。
以下、本発明の実施例、比較例および試験例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
(カルボキシル基含有樹脂A−1の合成)
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(昭和電工社製ショーノールCRG951、OH当量:119.4)119.4gと、水酸化カリウム1.19gとトルエン119.4gとを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。得られたノボラック型クレゾール樹脂は、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0gと、アクリル酸43.2gと、メタンスルホン酸11.53gと、メチルハイドロキノン0.18gとトルエン252.9gとを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルホスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物62.3gを徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させて、固形分酸価88mgKOH/gの、固形分71%としてカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスA−1と称す。
(カルボキシル基含有樹脂A−2の合成)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却した。このようにして、固形分酸価89mgKOH/g、固形分65%の樹脂溶液を得た。以下、これをワニスA−2と称す。
(感光性樹脂組成物の調整)
下記の表中に示す配合に従い、各成分を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで分散させ、混練して、第1液および第2液を調整した。得られた第1液と第2液を配合して感光性樹脂組成物I〜Vを調整した。表中の配合量は、質量部を示す。
A−1:上記で得たカルボキシル基含有樹脂ワニスA−1
A−2:上記で得たカルボキシル基含有樹脂ワニスA−2
*1:C.I.Pigment Blue 15:3
*2:C.I.Pigment Yellow147
*3:IRGANOX1010:BASFジャパン社製
*4:2−メルカプトベンゾチアゾール(アクセルM:川口化学工業社製)
*5:シリカ
*6:硫酸バリウム(B−30:堺化学社製)
*7:タルク(SG−2000:日本タルク社製)
*8:ハイドロタルサイト(DHT−4A:共和化学工業社製)
*9:1−メトキシプロピル−2−アセテート
*10:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*11:ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(NC3000HCA75:日本化薬社製:軟化点70℃)
*12:ビキシレノール型エポキシ樹脂(YX−4000:三菱化学社製:融点105℃)
*13:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(RE306CA90:日本化薬社製:軟化点50℃)
*14:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907:BASFジャパン社製)
*15:2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE DETX−S:日本化薬社製)
*16:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ルシリンTPO:BASFジャパン社製)
*17:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(イルガキュア OXE02::BASFジャパン社製)
*18:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
(樹脂層材料の溶融粘度測定)
上記で得た感光性樹脂組成物I〜Vをそれぞれメチルエチルケトンで希釈した混合希釈液を、90μmのアプリケーターで厚み25μmのポリエチレンテレフタレート性のフィルムに塗布し、80℃15分で乾燥させて樹脂層1〜Vを得た。得られた樹脂層I〜Vからフィルムを剥離し、重ね合わせることで厚み300μmのサンプルを形成した。このサンプルを用いて、Rheo Stress RS−6000(HAAKE社製)を使用し、オシレーションモード、応力制御方式、昇温速度5℃/分、制御応力3Pa、ギャップ260μm、周波数1Hzの条件にて80℃での溶融粘度を測定した。結果を表2に示す。
(フィルムの80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重(EL80値)の測定)
下記表3に記載の(B)フィルムを、長さ50mm、幅3mmの短冊形に切り取り、常温にてTA社製RSA−G2にチャック間30mmで取り付け、80℃に昇温保持した後、引っ張り速度30mm/minで引張試験を行い、試料が5%の伸びを示した時の荷重を試料の幅で除した値をEL80値(g/mm)とした。試験はフィルムの縦方向および横方向に各5回を行い、最大から二番目の値を最大値と、最小から2番目の数値を最小値として記録した。
(積層フィルムの作製)
下記表3に記載の(B)フィルムの上に、上記で得られた感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈した混合希釈液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、80℃15分間温風乾燥し感光性の(A)樹脂層を得た。次いで、(C)フィルムとして厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(王子エルファン社製、MA)を前記(A)樹脂層の上に積層して積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを、(C)フィルムが外側となるように巻き取り、実施例1〜8および比較例1の積層フィルムとした。
(貼着性能評価用の評価基板aの作製)
銅厚25μmで最小回路間幅が100μmである回路パターン基板を、メック社製メックエッチボンドCZ−8101を用いて銅表面粗化処理した後、水洗し、乾燥した。得られた乾燥基板に実施例1〜8および比較例1の積層フィルムを、真空ラミネーター(CVP−300:ニチゴーモートン社製)を用いて温度80℃の第一のチャンバーにて、真空圧3hPa、バキューム時間30秒の条件で真空下でラミネートした後、プレス圧0.5MPa、プレス時間30秒の条件でプレスを行い貼着性能評価用の評価基板aを作製した。
(貼着性能評価用の評価基板bの作製)
上記で作製した貼着性能評価用の評価基板aを、温度80℃の第二のチャンバーにて8kgf/m2のプレス圧で60秒間ステンレスプレートを用いてプレスを行うことによって平坦化処理し、貼着性能評価用の評価基板bを作製した。
(加熱条件下での真空ラミネート後のしわ評価)
上記で作製した貼着性能評価用の評価基板aの表面におけるしわの発生の有無を(B)フィルムごしに、目視にて確認し、以下の基準で評価を行った。評価は5回行った。結果を表2に示す。
○:全ての評価基板でしわの発生なし
×:1つ以上の評価基板で長さ1cm以上のしわの発生あり
(熱プレスによる平坦化処理後のしわ評価)
上記で作製した貼着性能評価用の評価基板bの表面におけるしわの発生の有無を(B)フィルムごしに、目視にて確認し、以下の基準で評価を行った。評価は5回行った。結果を表2に示す。
○:全ての評価基板でしわの発生なし
×:長さ1cm以上しわの発生あり
(貼着性能評価用の評価基板cの作製)
板厚0.8mmの銅ベタ基板を用いた以外は評価基板bと同様の方法で作製した基板に対して、高圧水銀灯搭載の露光装置を用いて全面を露光して評価用基板cを作製した。
(オートピーラー試験)
評価基板cを用いて、日立プラントメカニクス製プリント基板用フィルム剥離装置にて、キッカケロール圧0.4MPa、剥離テープ押し付け圧0.4MPa、剥離速度15m/minの条件にて、(B)フィルムを剥離し、以下の条件で評価を行った。評価は5回
行った。
○:全ての評価基板で(B)フィルムが樹脂層から剥離できた
×:(B)フィルムが裂けて感光後の(A)樹脂層に残存した
(硬化物特性評価用の評価基板dの作製)
上記で作製した貼着性能評価用の評価基板bに対して、高圧水銀灯搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光した。現像(30℃、0.2MPa、1質量%炭酸ナトリウム水溶液)を90秒で行い、残存するステップタブレットのパターンが7段の時の露光量を最適露光量とし、最適露光量にてパターン状の硬化物を形成した。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で90分加熱して硬化させ、パターン状の硬化物が形成された硬化物特性評価用の評価基板dを作製した。
(解像性)
銅厚25μmで最小回路間幅が100μmである回路パターン基板にかえて、全面銅張積層基板を用いた以外は、貼着性能評価用の評価基板bと同様に評価基板b’を作製した。この作製した評価基板b’に対して、開口形成用パターンとして150μmの開口パターンを用いた他は硬化物特性評価用の評価基板dと同様に硬化物特性評価用の評価基板eを作製した。作製した硬化物特性評価用の評価基板eの開口形状をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、以下の基準で評価を行った。評価は5回行った。結果を表2に示す。
○:ハレーションおよびアンダーカットがなく安定した開口形状が得られた
×:ハレーションまたはアンダーカットが生じて安定した開口形状が得られなかった
(はんだ耐熱性)
上記で作製した硬化物特性評価用の評価基板dに、ロジン系フラックスを塗布した後、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬した。そして、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ剥がれを観察し、以下の基準で評価を行った。結果を表2に示す。
◎:10秒間浸漬を4回以上繰り返してもレジスト層に剥がれが認められない
○:10秒間浸漬を2回繰り返してもレジスト層に剥がれが認められない
×:10秒間浸漬を1回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある
*19:三菱樹脂社製ダイアホイルR310(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
*20:東レ社製ルミラーT6AM(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
*21:東洋紡社製東洋紡エステルフィルムE5041(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
*22:ユニチカ社製エンブレットPTHA(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
*23:東レ社製ルミラー12F68(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
上記表3に示す結果から、実施例の積層フィルムの場合、加熱条件下での真空ラミネート後であってもしわが発生しにくく、また、オートピーラーでフィルムを剥離しても、フィルムが樹脂層上に残存しにくいことがわかる。一方、80℃における単位幅あたりの5%伸び荷重が90g/mm超500g/mm以下を満たさないフィルムを用いた比較例1の場合、加熱条件下での真空ラミネート後にはしわが生じ、しわ部分の膜厚低下を起因とする解像性およびはんだ耐熱性の低下がみられ、また、オートピーラーでフィルムを剥離すると、フィルムが樹脂層上に残存することがわかる。