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JP6841010B2 - ロータリ圧縮機 - Google Patents
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Description

本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
冷媒を圧縮する圧縮機を含む冷凍サイクル装置では、冷媒としてR410A冷媒が広く用いられている。R410A冷媒は、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が大きいため、GWPが比較的小さい冷媒として、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)1123を含む冷媒(以下、HFO1123冷媒と称する)を用いる関連技術が知られている。
国際公開第2014/057036号
上述したHFO1123冷媒は、一定条件下でエネルギーが与えられたときに不均化反応を起こす性質を有する。冷媒に不均化反応が起きたときには、大きな発熱を伴うので、冷凍サイクル装置内で不均化反応が発生した場合、圧縮機を含む冷凍サイクル装置の動作信頼性を低下させたり、急激な圧力の上昇を招き、冷媒の配管を損傷したりするおそれがある。
また、ロータリ圧縮機は、冷媒を圧縮するシリンダ内でのピストンの摺動性を確保し、圧縮室の気密性を確保するためのオイル(潤滑油)に、圧縮部が浸漬されている。このようなロータリ圧縮機では、低外気温で長時間停止した場合、オイルへ冷媒が多量に溶け込む、いわゆる冷媒の寝込み現象が発生する。冷媒の寝込み状態で圧縮機を起動させた場合、冷凍サイクル装置の冷媒循環経路における低圧側の冷媒が、ロータリ圧縮機内へ供給されたときに、液冷媒が圧縮される液圧縮が発生するおそれがある。上述のような不均化反応を起こす性質を有する冷媒を用いるロータリ圧縮機では、液圧縮が発生した場合、圧縮室内での冷媒の圧力が局所的に例えば30Mpa程度まで上昇する可能性があり、この高圧力によって冷媒に不均化反応を引き起こすおそれがある。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、液圧縮が発生したときに冷媒に不均化反応が生じることを抑制することができるロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
本願の開示するロータリ圧縮機の一態様は、上部に冷媒の吐出部が設けられ下部に冷媒の吸入部が設けられ密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体内の下部に配置され前記吸入部から吸入された冷媒を圧縮し前記吐出部から吐出する圧縮部と、前記圧縮機筐体内の上部に配置され前記圧縮部を駆動するモータと、を有し、前記圧縮部は、環状のシリンダと、前記シリンダの上側を閉塞する上端板と、前記シリンダの下側を閉塞する下端板と、偏芯部を有し前記モータにより回転される回転軸と、前記偏芯部に嵌合され前記シリンダの内周面に沿って公転し前記シリンダ内にシリンダ室を形成するピストンと、前記シリンダに設けられたベーン溝から前記シリンダ室内に突出し前記ピストンに先端部が当接することで前記シリンダ室を吸入室と圧縮室に区画するベーンと、前記ベーン溝の一端側に配置され前記ベーンを前記シリンダ室へ付勢するスプリングと、前記ベーン溝の一端側と前記圧縮機筐体内とを連通する圧力導入路と、前記圧縮室内で圧縮された冷媒を前記圧縮室内から吐出する吐出孔と、を有するロータリ圧縮機において、前記冷媒は、HFO1123冷媒、またはHFO1123冷媒を含む混合冷媒であり、前記ベーンは、前記ベーン溝の一端側の前記圧力導入路内の第1圧力よりも、前記圧縮室内の第2圧力が所定の圧力以上に大きいときに、前記ベーンの前記先端部と前記ピストンの外周面との間に所定の間隙が開くことを特徴とする。
本願の開示するロータリ圧縮機の一態様によれば、液圧縮が発生したときに冷媒に不均化反応が生じることを抑制することができる。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。 図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。 図3は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を上方から見た横断面図である。 図4は、実施例のロータリ圧縮機において、上ベーンの先端部と上ピストンの外周面との間に生じる間隙、下ベーンの先端部と下ピストンの外周面との間に生じる間隙を説明するための横断面図である。
以下に、本願の開示するロータリ圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示するロータリ圧縮機が限定されるものではない。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。図3は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を上方から見た横断面図である。
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10内の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10内の上部に配置され回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、圧縮機筐体10の外周面に固定され密閉された縦置き円筒状のアキュムレータ25と、を備えている。
アキュムレータ25は、吸入部としての上吸入管105及びアキュムレータ上湾曲管31Tを介して上シリンダ121Tの上シリンダ室130T(図2参照)と接続され、吸入部としての下吸入管104及びアキュムレータ下湾曲管31Sを介して下シリンダ121Sの下シリンダ室130S(図2参照)と接続されている。本実施例では、圧縮機筐体10の周方向において、上吸入管105と下吸入管104の位置が重なっており、同一位置に位置する。
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を備えている。ステータ111は、圧縮機筐体10の内周面に焼嵌め状態で固定されている。ロータ112は、回転軸15に焼嵌め状態で固定されている。
回転軸15は、下偏芯部152Sの下方の副軸部151が、下端板160Sに設けられた副軸受部161Sに回転自在に支持され、上偏芯部152Tの上方の主軸部153が上端板160Tに設けられた主軸受部161Tに回転自在に支持されている。回転軸15には、上偏芯部152T及び下偏芯部152Sが、互いに180度の位相差をつけて設けられており、上偏芯部152Tに上ピストン125Tが支持され、下偏心部152Sに下ピストン125Sが支持されている。これにより、回転軸15は、圧縮部12全体に対して回転自在に支持されるとともに、回転によって上ピストン125Tを上シリンダ121Tの内周面に沿って公転運動させ、下ピストン125Sを下シリンダ121Sの内周面に沿って公転運動させる。
圧縮機筐体10の内部には、圧縮部12において摺動する上ピストン125T及び下ピストン125S等の摺動部の潤滑性を確保し、上圧縮室133T(図2参照)及び下圧縮室133S(図2参照)をシールするために、潤滑油18が圧縮部12をほぼ浸漬する量だけ封入されている。圧縮機筐体10の下側には、ロータリ圧縮機1全体を支持する複数の弾性支持部材(図示せず)を係止する取付脚310(図1参照)が固定されている。
図2に示すように、圧縮部12は、上吸入管105及び下吸入管104から吸入された冷媒を圧縮し、後述する吐出部としての吐出管107から吐出する。図2に示すように、圧縮部12は、上から、内部に中空空間が形成された膨出部を有する上端板カバー170T、上端板160T、環状の上シリンダ121T、中間仕切板140、環状の下シリンダ121S、下端板160S及び平板状の下端板カバー170Sを積層して構成されている。圧縮部12全体は、上下から略同心円上に配置された複数の通しボルト174,175及び補助ボルト176によって固定されている。図2及び図3に示すように、下端板160S、下端板カバー170S、下シリンダ121S、中間仕切板140、上シリンダ121T、上端板160T及び上端板カバー170Tには、略同心円上における同一位相位置に、通しボルト174,175及び補助ボルト176が通される複数のボルト通し孔137が設けられている。
図3に示すように、上シリンダ121Tには、モータ11の回転軸15と同心円上に沿って、上シリンダ内壁123Tが形成されている。上シリンダ内壁123T内には、上シリンダ121Tの内径よりも小さい外径の上ピストン125Tが配置されており、図3に示すように、上シリンダ内壁123Tと上ピストン125Tとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する上圧縮室133Tが形成される。同様に、下シリンダ121Sには、モータ11の回転軸15と同心円上に沿って、下シリンダ内壁123Sが形成されている。下シリンダ内壁123S内には、下シリンダ121Sの内径よりも小さい外径の下ピストン125Sが配置されており、図3に示すように、下シリンダ内壁123Sと下ピストン125Sとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する下圧縮室133Sが形成される。
図3に示すように、上シリンダ121Tは、円形状の外周部から、回転軸15の径方向に張り出した上側方突出部122Tを有する。上側方突出部122Tには、上シリンダ室130Tから放射状に外方へ延びる上ベーン溝128Tが設けられている。上ベーン溝128T内には、上ベーン127Tが摺動可能に配置されている。下シリンダ121Sは、円形状の外周部から、回転軸15の径方向に張り出した下側方突出部122Sを有する。下側方突出部122Sには、下シリンダ室130Sから放射状に外方へ延びる下ベーン溝128Sが設けられている。下ベーン溝128S内には、下ベーン127Sが摺動可能に配置されている。
上側方突出部122T及び下側方突出部122Sは、回転軸15の周方向に沿って、所定の突出範囲にわたって形成されている。上側方突出部122T及び下側方突出部122Sは、上シリンダ121T及び下シリンダ121Sの加工時に加工治具に固定するためのチャック用保持部として用いられる。
上シリンダ121Tには、上側方突出部122Tの外側面から上ベーン溝128Tに連通する上スプリング穴124Tが、上シリンダ室130Tに貫通しない深さで設けられている。上スプリング穴124T内には、上ベーン127Tの背面を押圧する上スプリング126Tが配置されている。下シリンダ121Sには、下側方突出部122Sの外側面から下ベーン溝128Sに連通する下スプリング穴124Sが、下シリンダ室130Sに貫通しない深さで設けられている。下スプリング穴124S内には、下ベーン127Sの背面を押圧する下スプリング126Sが配置されている。
また、下シリンダ121Sには、下ベーン溝128Sの径方向外側と圧縮機筐体10内とを連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、下ベーン127Sに冷媒の圧力により背圧をかける下圧力導入路129Sが形成されている。また、上シリンダ121Tには、上ベーン溝128Tの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、上ベーン127Tに冷媒の圧力により背圧をかける上圧力導入路129Tが形成されている。
図2に示すように、上シリンダ121Tの上側方突出部122Tには、上吸入管105と嵌合する上吸入孔135Tが設けられている。下シリンダ121Sの下側方突出部122Sには、下吸入管104と嵌合する下吸入孔135Sが設けられている。
図3に示すように、上シリンダ室130Tは、上下をそれぞれ上端板160T及び中間仕切板140で閉塞されている。下シリンダ室130Sは、上下をそれぞれ中間仕切板140及び下端板160Sで閉塞されている。
図3に示すように、上ベーン127Tは、上スプリング126Tの付勢力によって押圧されて上ベーン溝128Tから上シリンダ121T内に突出し、上ベーン127Tの先端部138Tが上ピストン125Tの外周面139Tに当接する。これにより、上シリンダ室130Tは、上吸入孔135Tに連通する上吸入室131Tと、上端板160Tに設けられた上吐出孔190Tに連通する上圧縮室133Tと、に区画される。同様に、下ベーン127Sは、下スプリング126Sの付勢力によって押圧されて下ベーン溝128Sから下シリンダ121S内に突出し、下ベーン127Sの先端部138Sが下ピストン125Sの外周面139Sに当接する。これにより、下シリンダ室130Sは、下吸入孔135Sに連通する下吸入室131Sと、下端板160Sに設けられた下吐出孔190Sに連通する下圧縮室133Sと、に区画される。
また、上吐出孔190Tは、上ベーン溝128Tに近接して設けられており、下吐出孔190Sは、下ベーン溝128Sに近接して設けられている。上圧縮室133T内及び下圧縮室133S内で圧縮された冷媒は、上圧縮室133T内及び下圧縮室133S内から、上吐出孔190T及び下吐出孔190Sを通って吐出される。
図2に示すように、上端板160Tには、上端板160Tを貫通して上シリンダ121Tの上圧縮室133Tと連通する上吐出孔190Tが設けられている。上吐出孔190Tの出口側の開口縁部には、上吐出孔190Tの周囲に上弁座(図示せず)が、後述の上吐出弁200T側に突出して形成されている。上端板160Tには、上吐出孔190Tの位置から上端板160Tの外周に向かって溝状に延びる上吐出弁収容凹部164Tが形成されている。
上吐出弁収容凹部164Tには、基端部が上吐出弁収容凹部164T内に上リベット202Tにより固定され先端部が上吐出孔190Tを開閉するリード弁型の上吐出弁200Tと、基端部が上吐出弁200Tに重ねられて上吐出弁収容凹部164T内に上リベット202Tにより固定され先端部が上吐出弁200Tが開く方向へ湾曲して(反って)いて上吐出弁200Tの開度を規制する上吐出弁押さえ201T全体とが収容されている。
下端板160Sには、下端板160Sを貫通して下シリンダ121Sの下圧縮室133Sと連通する下吐出孔190Sが設けられている。下吐出孔190Sの出口側の開口縁部には、下吐出孔190Sを囲む環状の下弁座が、後述の下吐出弁200S側に突出して形成されている。下端板160Sには、下吐出孔190Sの位置から下端板160Sの外周に向かって溝状に延びる下吐出弁収容凹部(図示せず)が形成されている。
下吐出弁収容凹部には、下吐出孔190Sを開閉するリード弁型の下吐出弁200Sと、下吐出弁200Sの開度を規制する下吐出弁押さえ201S全体とが収容されている。下吐出弁200Sは、金属材料によって板ばね状に形成されている。下吐出弁200Sは、基端部が下吐出弁収容凹部内に下リベット202Sにより固定されており、弾性変形することで先端部が下吐出孔190Sを開閉する。下吐出弁押さえ201Sは、基端部が下吐出弁200Sに重ねられて下吐出弁収容凹部内に下リベット202Sにより固定されており、先端部が下吐出弁200Sが開く方向へ湾曲して(反って)いる先端部が下吐出弁200Sに接することで、下吐出弁200Sの開度を規制する。
互いに密着固定された上端板160Tと膨出部を有する上端板カバー170Tとの間には、上端板カバー室180Tが形成される。互いに密着固定された下端板160Sと平板状の下端板カバー170Sとの間には、下端板カバー室180S(図1参照)が形成される。下端板160S、下シリンダ121S、中間仕切板140、上シリンダ121T及び上端板160Tを貫通し下端板カバー室180Sと上端板カバー室180Tとを連通する冷媒通路孔136が設けられている。
以下に、回転軸15の回転による冷媒の流れを説明する。上シリンダ室130T内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏芯部152Tに嵌合された上ピストン125Tが、上シリンダ室130Tの外周面(上シリンダ121Tの内周面)に沿って公転することにより、上吸入室131Tが容積を拡大しながら上吸入管105から冷媒を吸入し、上圧縮室133Tが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が上吐出弁200Tの外側の上端板カバー室180Tの圧力より高くなると、上吐出弁200Tが開いて上圧縮室133Tから上端板カバー室180Tへ冷媒が吐出される。上端板カバー室180Tに吐出された冷媒は、上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172T(図1参照)から圧縮機筐体10内に吐出される。
また、下シリンダ室130S内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の下偏芯部152Sに嵌合された下ピストン125Sが、下シリンダ室130Sの外周面(下シリンダ121Sの内周面)に沿って公転することにより、下吸入室131Sが容積を拡大しながら下吸入管104から冷媒を吸入し、下圧縮室133Sが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が下吐出弁200Sの外側の下端板カバー室180Sの圧力より高くなると、下吐出弁200Sが開いて下圧縮室133Sから下端板カバー室180Sへ冷媒が吐出される。下端板カバー室180Sに吐出された冷媒は、冷媒通路孔136及び上端板カバー室180Tを通って上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172Tから圧縮機筐体10内に吐出される。
圧縮機筐体10内に吐出された冷媒は、ステータ111外周に設けられた上下に連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(図1参照)を通ってモータ11の上方に導かれ、圧縮機筐体10の上部に配置された吐出部としての吐出管107から吐出される。
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。図4は、実施例のロータリ圧縮機1において、上ベーン127Tの先端部138Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間に生じる間隙、下ベーン127Sの先端部138Sと下ピストン125Sの外周面139Sとの間に生じる間隙を説明するための横断面図である。
本実施例のロータリ圧縮機1では、冷媒として、一定の温度や圧力の条件下でエネルギーが与えられたときに不均化反応を起こす性質を有するHFO1123冷媒、またはHFO1123冷媒を含む混合冷媒が用いられている。そこで、本実施例のロータリ圧縮機1は、上圧縮室133T内(以下、下圧縮室133S内についても同様であり、下圧縮室133Sについての説明を省略する。)で冷媒の液圧縮が発生したときに、上圧縮室133T内が高圧力になるのを避けるために、上圧縮室133T内が所定の圧力に達した場合に上圧縮室133T内から冷媒を積極的に逃がすことにより、液圧縮が発生したときに冷媒に不均化反応が生じることを抑える点が特徴である。
ロータリ圧縮機は、低圧力比で駆動した場合、上ベーン(下ベーン)を上ピストン(下ピストン)へ押圧する圧力が低くなり、また高回転で駆動した場合、上ベーン(下ベーン)に作用する遠心力が大きくなるので、上ベーン(下ベーン)の先端部と、上死点に位置する上ピストン(下ピストン)の外周面とが離間するおそれがある。上ピストンに対して上ベーンが退いたときの上スプリングの変位量、下ピストンに対して下ベーンが退いたときの下スプリングの変位量が大きくなることで、上スプリング及び下スプリングが破損するおそれが高くなる。このため、一般に、ロータリ圧縮機では、上ベーン(下ベーン)の先端部と上ピストン(下ピストン)の外周面との間隙を可能な限り小さくすることが好ましい。
これに対して、本実施例のロータリ圧縮機1は、液圧縮に伴う不均化反応の懸念がある冷媒を用いることを前提とするものであり、上ベーン127Tの先端部138Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間に隙間、及び下ベーン127Sの先端部138Sと下ピストン125Sの外周面139Sとの間に隙間が意図的に開くように構成されている。
具体的には、図4に示すように、上ベーン127Tは、上ベーン溝128Tの一端側の上圧力導入路129T内の第1圧力P1よりも、上圧縮室133T内の第2圧力P2が所定の圧力以上に大きいときに、上ベーン127Tの先端部138T(摺動面)と上ピストン125Tの外周面139Tとの間に、冷媒を通すための所定の間隙Dが開くように上ベーン溝128Tに設けられている。同様に、下ベーン127Sは、下ベーン溝128Sの一端側の下圧力導入路129S内の第1圧力P1よりも、下圧縮室133S内の第2圧力P2が所定の圧力以上に大きいときに、下ベーン127Sの先端部138Sと下ピストン125Sの外周面139Sとの間に、冷媒を通すための所定の間隙Dが開くように下ベーン溝128Sに設けられている。なお、上シリンダ121T及び下シリンダ121Sのそれぞれにおいて、第1圧力P1及び第2圧力P2は等しい。
つまり、上圧縮室133T内の第2圧力P2が所定の圧力以上になったときに、上ベーン127Tと上ピストン125Tとの間隙Dを通して上圧縮室133T内の冷媒(液冷媒とガス冷媒)を、例えば、上吸入室131Tへ十分に逃がし、上ベーン溝128T及び上圧力導入部129Tを通して圧縮機筐体10内へ十分に逃がすために、上ベーン127Tが上ベーン溝128T内へ退くように上ベーン127Tが上ベーン溝128Tに設けられている。同様に、下圧縮室133S内の第2圧力P2が所定の圧力以上になったときに、下ベーン127Sと下ピストン125Sとの間隙Dを通して下圧縮室133S内の冷媒(液冷媒とガス冷媒)を、例えば、下吸入室131Sへ十分に逃がし、下ベーン溝128S及び下圧力導入部129Sを通して圧縮機筐体10内へ十分に逃がすために、下ベーン127Sが下ベーン溝128S内へ退くように下ベーン127Sが下ベーン溝128Sに設けられている。このように、上圧縮室133T内が所定の圧力以上になったときに、上ベーン127Tが上ベーン溝128T内へ退き、上ベーン127Tの先端部138Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間に所定の寸法dの間隙Dが開くように、上スプリング126Tの付勢力及び機械的強度、上ベーン127Tの進退方向に対する上ベーン127Tの長さ及び上ベーン溝128Tの長さがそれぞれ設定されている(下ベーン127S等についても同様)。
なお、上シリンダ121Tの周方向に対する上ベーン127Tの厚み、下シリンダ121Sの周方向に対する下ベーン127Sの厚みは、例えば3.2mm以上に設定されている。上ピストン125Tの公転に伴う上ベーン溝128T内での上ベーン127Tの進退方向に対する可動範囲、下ピストン125Sの公転に伴う下ベーン溝128S内での下ベーン127Sの進退方向に対する可動範囲は、例えば11mm程度に設定されている。この可動範囲には、上ベーン127T及び下ベーン127Sの長さの寸法公差(例えば、0.5mm程度)を含んでいる。
実施例のロータリ圧縮機1では、第1圧力P1が3Mpa程度、第2圧力P2が5MPa程度であり、上ベーン127T及び下ベーン127Sは、上ピストン125T及び下ピストン125Sの公転により冷媒の圧縮工程が進み、第2圧力P2が第1圧力P1の1.5倍以上になったときに、上ピストン127Tの先端部138Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間、及び下ピストン127Sの先端部138Sと上下ピストン125Sの外周面139Sとの間に、所定の寸法dの間隙Dを開くように構成されている。また、上ベーン127T及び下ベーン127Sは、例えば、第2圧力P2が5MPa以上になったときに所定の寸法dの間隙Dを開くように構成されている。なお、上圧力導入路129T及び下圧力導入路129Sが圧縮機筐体10内と連通されているので、上圧力導入路129T内及び下圧力導入路129S内の第1圧力P1は、圧縮機筐体10内の圧力と等しい。
また、上述の所定の寸法dの間隙Dは、上ピストン125Tが上死点に位置した状態で、上ベーン127Tの進退方向(上シリンダ121Tの径方向)において、0.5mm以上、1.0mm以下に設定されている(下ベーン127Sについても同様)。間隙Dの寸法dが1.0mmを超えた場合には、上ピストン125Tに対して上ベーン127Tが退いたときの上スプリング126Tの変位量、下ピストン125Sに対して下ベーン127Sが退いたときの下スプリング126Sの変位量が大きくなり、上スプリング126T及び下スプリング126Sが破損するおそれが高くなるので好ましくない。一方、間隙Dの寸法dが0.5mm未満の場合には、上圧縮室133T内及び下圧縮室133S内から高圧の冷媒を適正に逃がすことが困難となるので好ましくない。
上ピストン125Tが上死点に位置した状態であっても、上圧縮室133T内で液圧縮が発生することに伴って上圧縮室133T内の第2圧力P2が所定の圧力以上に達したときに、上ベーン127Tが上ピストン125Tから退き、所定の寸法dの間隙Dが開く。上圧縮室133T内の冷媒は、間隙Dから、上吸入室131T、上ベーン溝128T等を通って圧縮筐体10内へ排出される。このため、上圧縮室133T内の第2圧力P2が適正に下げられる。したがって、上圧縮室133T内で液圧縮が発生したときに冷媒に不均化反応が生じることが抑えられる(下圧縮室133Sについても同様)。
上述したように実施例のロータリ圧縮機1は、冷媒として、HFO1123冷媒、またはHFO1123冷媒を含む混合冷媒を用いており、上ベーン溝128Tの一端側の上圧力導入路129T内の第1圧力P1よりも、上圧縮室133T内の第2圧力P2が所定の圧力以上に大きいときに、上ベーン127Tの先端部138Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間に所定の寸法dの間隙Dが開く。これにより、上圧縮室133T内で液圧縮が発生したときに、上ベーン127Tと上ピストン125Tとの間隙Dを通して上圧縮室133Tから冷媒を逃がすことが可能となる。このため、液圧縮によって上圧縮室133T内が高圧になることを抑えることができるので、冷媒に不均化反応が生じることを抑制することができる(下ベーン127Sについても同様)。
また、実施例のロータリ圧縮機1における上ベーン127Tは、第2圧力P2が第1圧力P1の1.5倍以上になったときに所定の寸法dの間隙Dを開く。これにより、上圧縮室133T内で液圧縮が発生したときに上圧縮室133Tから適正に冷媒を逃がすことが可能となり、上圧縮室133T内の圧力を効果的に下げて、冷媒に不均化反応が生じることを抑えることができる(下ベーン127Sについても同様)。
また、実施例のロータリ圧縮機1における上ベーン127Tは、第2圧力P2が5MPa以上になったときに所定の寸法dの間隙Dを開く。これにより、上圧縮室133T内で液圧縮が発生したときに上圧縮室133Tから適正に冷媒を逃がすことが可能となり、上圧縮室133T内の圧力を効果的に下げて、冷媒に不均化反応が生じることを抑えることができる(下ベーン127Sについても同様)。
また、実施例のロータリ圧縮機1において、所定の寸法dの間隙Dは、上ベーン127Tの進退方向において0.5mm以上、1.0mm以下である。これにより、上スプリング126Tが破損するのを抑え、上圧縮室133T内から高圧の冷媒を適正に逃がすことができる(下ベーン127Sについても同様)。
また、上述した本実施例は、2シリンダ型のロータリ圧縮機1に適用されたが、1シリンダ型のロータリ圧縮機に適用されてもよく、1シリンダ型においても2シリンダ型と同様の効果を得ることができる。
1 ロータリ圧縮機
10 圧縮機筐体
11 モータ
12 圧縮部
15 回転軸
25 アキュムレータ
105 上吸入管(吸入部)
104 下吸入管(吸入部)
107 吐出管(吐出部)
111 ステータ
112 ロータ
121T 上シリンダ
121S 下シリンダ
124T 上スプリング穴
124S 下スプリング穴
125T 上ピストン
125S 下ピストン
126T 上スプリング
126S 下スプリング
127T 上ベーン
127S 下ベーン
128T 上ベーン溝
128S 下ベーン溝
129T 上圧力導入路
129S 下圧力導入路
130T 上シリンダ室
130S 下シリンダ室
131T 上吸入室
131S 下吸入室
133T 上圧縮室
133S 下圧縮室
138T、138S 先端部
139T、139S 外周面
152T 上偏芯部
152S 下偏芯部
160T 上端板
160S 下端板
190T 上吐出孔
190S 下吐出孔
d 寸法
D 間隙
P1 第1圧力
P2 第2圧力

Claims (4)

  1. 上部に冷媒の吐出部が設けられ下部に冷媒の吸入部が設けられ密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体内の下部に配置され前記吸入部から吸入された冷媒を圧縮し前記吐出部から吐出する圧縮部と、前記圧縮機筐体内の上部に配置され前記圧縮部を駆動するモータと、を有し、
    前記圧縮部は、環状のシリンダと、前記シリンダの上側を閉塞する上端板と、前記シリンダの下側を閉塞する下端板と、偏芯部を有し前記モータにより回転される回転軸と、前記偏芯部に嵌合され前記シリンダの内周面に沿って公転し前記シリンダ内にシリンダ室を形成するピストンと、前記シリンダに設けられたベーン溝から前記シリンダ室内に突出し前記ピストンに先端部が当接することで前記シリンダ室を吸入室と圧縮室に区画するベーンと、前記ベーン溝の一端側に配置され前記ベーンを前記シリンダ室へ付勢するスプリングと、前記ベーン溝の一端側と前記圧縮機筐体内とを連通する圧力導入路と、前記圧縮室内で圧縮された冷媒を前記圧縮室内から吐出する吐出孔と、
    を有するロータリ圧縮機において、
    前記冷媒は、HFO1123冷媒、またはHFO1123冷媒を含む混合冷媒であり、
    前記ベーンは、前記ベーン溝の一端側の前記圧力導入路内の第1圧力よりも、前記圧縮室内の第2圧力が所定の圧力以上に大きいときに、前記ベーンの前記先端部と前記ピストンの外周面との間に所定の間隙が開くことを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 前記ベーンは、前記第2圧力が前記第1圧力の1.5倍以上になったときに前記所定の間隙を開く、
    請求項1に記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記ベーンは、前記第2圧力が5MPa以上になったときに前記所定の間隙を開く、
    請求項1または2に記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記所定の間隙は、前記ベーンの進退方向において0.5mm以上、1.0mm以下である、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
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