以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。但し、第2実施形態以降において、第1実施形態と同一または類似の構成要素は、第1実施形態と同一または類似の符号で表し、詳細な説明を適宜省略する。また、第2実施形態以降の実施形態において得られる効果について、第1実施形態と同様のものについては説明を適宜省略する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
<第1実施形態>
まず、図1〜図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子1の構成について説明する。図1は、第1実施形態にかかる水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、図1に示した水晶振動子のII−II線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。図3は、図2に示した水晶振動素子の構成を概略的に示す断面図である。なお、図中に示した第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3は、それぞれ互いに直交する方向である。なお、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3は、互いに90°以外の角度で交差する方向であってもよい。また、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3は、図1に示す矢印の方向(正方向)に限定されず、矢印とは反対の方向(負方向)も含む。
水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)1は圧電振動子(Piezoelctric Resonator Unit)の一種であり、印加電圧に応じて水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)10を励振させる。水晶振動素子10は、印加電圧に応じて振動する圧電体として水晶片(Quartz Crystal Element)11を利用する。
図1に示すように、水晶振動子1は、水晶振動素子10と、蓋部材20と、ベース部材30と、接合部材40と、を備える。ベース部材30および蓋部材20は、水晶振動素子10を収容するための保持器である。ここで図示した例では、蓋部材20は凹状、具体的には開口部を有する箱状、をなしており、ベース部材30は平板状をなしている。蓋部材20およびベース部材30の形状は、上記に限定されるものではなく、例えばベース部材が凹状をなしていてもよく、蓋部材およびベース部材の両方が互いに対向する側に開口部を有する凹状であってもよい。
水晶振動素子10は、薄片状の水晶片11を有する。水晶片11は、互いに対向する第1主面11aおよび第2主面11bを有する。第1主面11aは、ベース部材30と対向する側とは反対側に位置し、第2主面11bは、ベース部材30と対向する側に位置している。
水晶片11は、例えば、ATカット型の水晶片である。ATカット型の水晶片の主面は、X軸およびZ´軸によって特定される面と平行な面(以下、「XZ´面」と呼ぶ。他の軸または他の方向によって特定される面についても同様である。)である。したがって、水晶片11の第1主面11aおよび第2主面11bは、それぞれXZ´面に相当する。ATカット型の水晶片は、例えば、結晶成長させた人工水晶(Synthetic Quartz Crystal)を切断および研磨加工して得られる水晶基板をエッチング加工することで形成される。なお、X軸、Y軸、Z軸は、水晶の結晶軸(Crystallographic Axes)であり、X軸が電気軸、Y軸が機械軸、Z軸が光学軸に相当する。Y´軸およびZ´軸は、それぞれ、Y軸およびZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。なお、水晶片のカット角度は、ATカット以外の異なるカット(例えばBTカットなど)を適用してもよい。
ATカット型の水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向とを有する。水晶片11は、第1主面11aを平面視したときに矩形状をなしており、中央に位置し励振に寄与する中央部17と、X軸の負方向側で中央部17と隣り合う周縁部18と、X軸の正方向側で中央部17と隣り合う周縁部19と、を有している。中央部17及び周縁部18,19は、それぞれ、Z´軸方向に沿って帯状に設けられており、水晶片11のZ´軸方向で対向する一端から他端に亘って延びている。したがって、水晶片11の第1主面11aは、中央部17の第1主面17a、周縁部18の第1主面18a、および周縁部19の第1主面19aを含む。同様に、水晶片11の第2主面11bは、中央部17の第2主面17b、周縁部18の第2主面18b、および周縁部19の第2主面19bを含む。
水晶片11は、中央部17が周縁部18,19よりも厚いメサ型構造である。具体的には、中央部17と周縁部18との間に、中央部17の第1主面17aと周縁部18の第1主面18aとをつなぐ第1側面12aが形成され、中央部17の第2主面17bと周縁部18の第2主面18bとをつなぐ第2側面12bが形成されている。同様に、中央部17と周縁部19との間には段差が形成され、中央部17の第1主面17aと周縁部19の第1主面19aとをつなぐ第1側面13aが形成され、中央部17の第2主面17bと周縁部19の第2主面19bとをつなぐ第2側面13bが形成されている。このように、水晶片11の第1主面11aおよび第2主面11bには、それぞれ、中央部17と周縁部18との間、および、中央部17と周縁部19との間において段差が形成されている。
水晶片11の第1側面12a,13a、および第2側面12b,13bは、それぞれ、水晶片11の第1主面11aおよび第2主面11bと直交する方向に延在する。言い換えれば、水晶片11の第1側面12a,13a、および第2側面12b,13bは、Y´Z´面に沿って延在している。なお、水晶片11の第1側面12a,13a、および第2側面12b,13bはそれぞれテーパ状に形成されてもよい。例えば、第1側面12aおよび第2側面13bがY´軸正方向からX軸正方向へ傾いた方向に延在し、第2側面12bおよび第1側面13aがY´軸正方向からX軸負方向へ傾いた方向に延在してもよい。また、図1に示す例では、中央部17と周縁部18,19との間において、第1主面11a側および第2主面11b側の両方に段差が形成される態様を示しているが、変形例として第1主面11a側および第2主面11b側のいずれか一方の面にのみ段差が形成されてもよい。
水晶片11は、中央部と周縁部との間に側面が形成される形状であれば上記に限定されるものではない。例えば、水晶片11は、Z´軸正方向または負方向で中央部17と隣り合う周縁部が設けられてもよい。また、水晶片11はメサ型構造に限定されるものではなく、中央部17が周縁部18,19よりも薄い逆メサ型構造であってもよい。中央部17と周縁部18,19との厚みの変化が連続的に変化するコンベックス形状またはベヘル形状であってもよい。後述するように、中央部と周縁部との間にスリットが形成されてもよい。なお、水晶片11の形状は板状に限定されるものではなく、例えば、第1主面11aを平面視したときに、一対の平行な両腕部と、両腕部を連結する連結部と、を有する櫛歯型などであってもよい。
図1および図2に示した例では、水晶振動素子10は、X軸が第1方向D1と平行であり、Z´軸が第2方向D2と平行であり、Y´軸が第3方向D3と平行となるように定められている。
水晶振動素子10は、一対の電極を構成する第1励振電極14aおよび第2励振電極14bを備えている。第1励振電極14aは、中央部17の第1主面17aに設けられている。また、第2励振電極14bは、中央部17の第2主面17bに設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bは、第3方向D3において、水晶片11を挟んで互いに対向している。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、XZ´面において略全体が重なり合うように配置されている。第1励振電極14aおよび第2励振電極14bは、それぞれ、X軸方向に平行な長辺と、Z´軸方向に平行な短辺と、Y´軸方向に平行な厚さとを有している。
中央部17の第1主面17aを平面視したとき、第1励振電極14aの外縁は、中央部17における第1側面12aとの境界に至るまで延在している。また、中央部17の第2主面17bを平面視したとき、第2励振電極14bの外縁は、中央部17における第2側面12bとの境界に至るまで延在している。言い換えると、第1励振電極14aの中央部17と対向する主面の外形は、中央部17の第1主面17aの外形と一致している。また、第2励振電極14bの中央部17と対向する主面の外形は、中央部17の第2主面17bの外形と一致している。これによれば、中央部17における励振に寄与する領域の利用効率が改善し、水晶振動素子10が小型化できる。また、中央部17において励振された振動の閉じ込め効率が改善できる。
水晶振動素子10は、一対の第1引出電極15aおよび第2引出電極15bと、一対の第1接続電極16aおよび第2接続電極16bと、を有している。第1接続電極16aは、第1引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、第2接続電極16bは、第2引出電極15bを介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。第1接続電極16aおよび第2接続電極16bは、それぞれ、第1励振電極14aおよび第2励振電極14bをベース部材30に電気的に接続するための端子である。
第1引出電極15aは、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第1励振電極14aの一部を覆っており、第1主面11aにおいて中央部17から第1側面12aを通って周縁部18に亘って延在している。第1引出電極15aは、さらに、周縁部18の第1主面18a上を通って第2主面18bに至るまで引き回されている。第2引出電極15bは、水晶片11の第2主面11bを平面視したときに第2励振電極14bの一部を覆っており、第2主面11bにおいて中央部17から第2側面12bを通って周縁部18に亘って延在している。第1引出電極15aが第1励振電極14aの少なくとも一部を覆っているため、第1励振電極14aと第1引出電極15aとの接触面積が増加し、電気的接続が安定する。また、水晶片11の角部では電極の剥離等の損傷が生じやすいため、第1引出電極15aが第1励振電極14aの端部を覆っていることで、第1励振電極14aの損傷が抑制できる。したがって、水晶振動素子10の周波数特性の劣化が抑制できる。
なお、第1引出電極15aは、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第1励振電極14aを覆わずに、第1励振電極14aに隣接してもよい。また、第1引出電極15aは、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第1励振電極14aの全体を覆ってもよい。同様に、第2引出電極15bは、水晶片11の第2主面11bを平面視したときに、第2励振電極14bに隣接してもよく、第2励振電極14bの全体を覆ってもよい。
第1接続電極16aは周縁部18の第2主面18bに設けられ、第2接続電極16bは周縁部18の第2主面18bに設けられている。第1引出電極15aおよび第1接続電極16aは一体的に形成されている。第2引出電極15bおよび第2接続電極16bも一体的に形成されている。
図3に示すように、上記の各種電極は、それぞれ多層構造となっている。第1励振電極14aは、第1密着層51および第1導電層52を備えている。第1密着層51は、水晶片11に対して第1導電層52よりも高い密着性を有している。第1密着層51は、水晶片11の第1主面11a側に設けられ、中央部17の第1主面17aに接触している。第1導電層52は、第1密着層51よりも高い導電性を有し、第1密着層51よりも高い化学的安定性を有している。第1導電層52は、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第1密着層51を覆っている。第2励振電極14bも同様に、水晶片11の第2主面11b側に設けられ中央部17の第2主面17bに接触する第1密着層53と、水晶片11の第2主面11bを平面視したときに第1密着層53を覆う第1導電層54とを備えている。但し、第1励振電極14aおよび第2励振電極14bは2層構造に限定されるものではなく、単層構造であってもよく、3層以上の多層構造であってもよい。
第1引出電極15aは、第2密着層55および第2導電層56を備えている。第2密着層55は、水晶片11に対して第2導電層56よりも高い密着性を有している。第2密着層55は、水晶片11の第1主面11a側に設けられ、中央部17の第1主面17aおよび第2主面17bに接触している。第2密着層55は、第2側面12bにも接触し、第1励振電極14aの端部、すなわち第1導電層52の端部を覆っている。第2導電層56は、第2密着層55よりも高い導電性を有し、第2密着層55よりも高い化学的安定性を有している。第2導電層56は、水晶片11の第1主面11aおよび第2主面11bを平面視したときに第2密着層55を覆っている。すなわち、中央部17の第1引出電極15aが第1励振電極14aに重なる領域においては電極が4層構造からなり、第1導電層52が第1密着層51を覆い、第2密着層55が第1導電層52を覆い、第2導電層56が第2密着層55を覆っている。
なお、第1接続電極16aは、第1引出電極15aと一体的に形成されているため、第1引出電極15aと同様に第2密着層55および第2導電層56を備えている。図3には図示されていないが、第2引出電極15bおよび第2接続電極16bも同様に、第2密着層および第2導電層を備えている。但し、第1引出電極15a、第2引出電極15b、第1接続電極16a、および第2接続電極16bは2層構造に限定されるものではなく、単層構造であってもよく、3層以上の多層構造であってもよい。
第1励振電極14aの第1密着層51、第2励振電極14bの第1密着層53、および第1引出電極15aの第2密着層55は、それぞれ、クロム(Cr)を含む金属材料からなる。第1励振電極14aの第1導電層52、第2励振電極14bの第1導電層54、および第1引出電極15aの第2導電層56は、それぞれ、金(Au)を含む金属材料からなる。下地に酸素との反応性が高いCr層を設けることで水晶片と電極との密着力が向上し、表面に酸素との反応性が低いAu層を設けることで酸化による電極の劣化が抑制される。これによると、水晶振動素子の信頼性が改善できる。
図3に示すように、第1励振電極14aの第1引出電極15aから露出した部分の厚さ(以下、第3方向D3に沿った厚さを、単に「厚さ」を表す。)T1は、第1励振電極14aの第1引出電極15aと重なる部分の厚さT2よりも小さい(T1<T2)。第1引出電極15aの中央部17に設けられた部分の厚さT3は、第1引出電極15aの周縁部18に設けられた部分の厚さT4よりも小さい(T3<T4)。第1励振電極14aの厚さT1の部分は、厚さT2の部分と比べると、第1密着層51の厚さが同等であり、第1導電層52の厚さが小さくなっている。第1引出電極15aの厚さT3の部分は、厚さT4の部分と比べると、第2密着層55の厚さが同等であり、第2導電層56の厚さが小さくなっている。このように、中央部17に設けられた電極の表面を削り、電極の厚さを調整することによって、水晶振動素子10の周波数特性が調整できる。
図3に示した構成例においては、中央部17に設けられた電極は、中央部17の第1主面17aの全面と対向する部分において厚さが小さくなっているが、少なくとも中央部17の第1主面17aの中央部と対向する部分において厚さが小さくなっていればよい。また、必ずしも中央部17に設けられた電極の表面が削られる必要はなく、第1励振電極14aの厚さT1と厚さT2とが等しくてもよく、第1引出電極15aの厚さT3と厚さT4とが等しくてもよい。
蓋部材20の形状は、凹状をなしており、ベース部材30の第1主面32aに向かって開口した箱状である。蓋部材20は、ベース部材30に接合されている。蓋部材20およびベース部材30に囲まれた内部空間26が設けられる。この内部空間26に水晶振動素子10が収容される。蓋部材20の形状は、水晶振動素子10が収容できれば特に限定されるものではない。一例では、蓋部材20の形状が、天面部21の主面を平面視したときに矩形状である。矩形状の蓋部材20は、例えば、第1方向D1に平行な長辺と、第2方向D2に平行な短辺と、第3方向D3に平行な高さとで定義される。蓋部材20の材料は、特に限定されるものではないが、例えば金属などの導電体で構成されている。導電体により構成された蓋部材20は、内部空間26への電磁波の少なくとも一部を遮蔽する電磁シールド機能を有する。
図2に示すように、蓋部材20は、内面24および外面25を有している。内面24は、内部空間26側の面であり、外面25は、内面24とは反対側の面である。蓋部材20は、ベース部材30の第1主面32aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており且つ天面部21の主面に対して交差する方向に延在する側壁部22と、を有する。また、蓋部材20は、凹状の開口端部(側壁部22のベース部材30に近い側の端部)においてベース部材30の第1主面32aに対向する対向面23を有する。この対向面23は、水晶振動素子10の周囲を囲むように枠状に延在している。
ベース部材30は、水晶振動素子10を励振可能に保持するものである。ベース部材30は平板状をなしている。ベース部材30は、第1方向D1方向に平行な長辺と、第2方向D2に平行な短辺と、第3方向D3に平行な厚さ方向の辺とを有する。
ベース部材30は基体31を有する。基体31は、互いに対向する第1主面32a(表面)および第2主面32b(裏面)を有する。基体31は、例えば絶縁性セラミック(アルミナ)などの焼結材である。
ベース部材30は、第1主面32aに設けられた電極パッド33a,33bと、第2主面32bに設けられた外部電極35a,35b,35c,35dと、を有する。電極パッド33a,33bは、ベース部材30と水晶振動素子10とを電気的に接続するための端子である。また、外部電極35a,35b,35c,35dは、図示しない回路基板と水晶振動子1とを電気的に接続するための端子である。電極パッド33aは、第3方向D3に延在するビア電極34aを介して外部電極35aに電気的に接続され、電極パッド33bは、第3方向D3に延在するビア電極34bを介して外部電極35bに電気的に接続されている。ビア電極34a,34bは基体31を第3方向D3に貫通するビアホール内に形成される。外部電極35c,35dは、電気信号等が入出力されないダミー電極でもよく、蓋部材20に接地電位を供給して蓋部材20の電磁シールド機能を向上させる接地電極であってもよい。外部電極35c,35dは、省略されてもよい。
導電性保持部材36a,36bは、ベース部材30の一対の電極パッド33a,33bに、水晶振動素子10の一対の接続電極16aおよび16bをそれぞれ電気的に接続している。また、導電性保持部材36a,36bは、ベース部材30の第1主面32aに水晶振動素子10を励振可能に保持している。導電性保持部材36a,36bは、例えば、エポキシ系樹脂あるいはシリコーン系樹脂を主剤とする熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等を含む導電性接着剤によって構成されており、接着剤に導電性を与えるための導電性粒子等の添加剤を含んでいる。さらに、接着剤の強度を増加させるため、あるいはベース部材と水晶振動素子との間隔を保つために、フィラーが接着剤に添加されてもよい。
ベース部材30の第1主面32aには、封止部材37が設けられている。図1に示す例では、封止部材37は、第1主面32aを平面視したときに矩形の枠状をなしている。第1主面32aを平面視したときに、電極パッド33a,33bは、封止部材37の内側に配置されており、封止部材37は水晶振動素子10を囲むように設けられている。封止部材37は、導電材料により構成されている。例えば、封止部材37を電極パッド33a,33bと同じ材料で構成することで、電極パッド33a,33bを設ける工程で同時に封止部材37を設けることができる。
接合部材40は、蓋部材20およびベース部材30の各全周に亘って設けられている。具体的には、接合部材40は封止部材37上に設けられ、矩形の枠状に形成されている。封止部材37および接合部材40は、蓋部材20の側壁部22の対向面23と、ベース部材30の第1主面32aと、の間に挟まれる。
蓋部材20およびベース部材30の両者が封止部材37および接合部材40を挟んで接合されることによって、水晶振動素子10が、蓋部材20とベース部材30とによって囲まれた内部空間(キャビティ)26に封止される。この場合、内部空間26は、気圧が大気圧よりも低圧な真空状態が好ましい。これによれば、第1励振電極14aおよび第2励振電極14bの酸化による水晶振動子1の周波数特性の経時的な変動などが低減できる。
水晶振動子1は、ベース部材30の外部電極35a,35bを介して、水晶振動素子10を構成する第1励振電極14aおよび第2励振電極14bの間に交番電界が印加される。これにより、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Vibration Mode)などの所定の振動モードによって水晶片11が振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
次に、図4〜図10を参照しつつ、第1実施形態にかかる水晶振動素子110の製造方法について説明する。図4は、第1実施形態にかかる水晶振動素子の製造方法の一部を概略的に示すフローチャートである。図5は、図4に示したフローチャートに続き、第1実施形態にかかる水晶振動素子の製造方法を概略的に示すフローチャートである。図6は、水晶片をエッチングする工程を概略的に示す断面図である。図7は、第2密着層および第2導電層を設ける工程を概略的に示す断面図である。図8は、フォトレジストをパターニングする工程を概略的に示す断面図である。図9は、第2密着層および第2導電層をエッチングする工程を概略的に示す断面図である。図10は、中央部の電極表面を削る工程を概略的に示す断面図である。
まず、水晶片を準備する(S11)。水晶片111は、XZ´面が主面となるように人工水晶から切り出された平板状の部材である。水晶片111の表面は平坦化処理される。例えば、平坦化処理に化学機械研磨等の研磨処理が用いられる。厚みすべり振動モードの水晶振動素子において、水晶片の厚みの大きさは、圧電振動素子としての周波数特性に大きな影響を与える。このため、狙いの周波数特性を実現できるように、本工程の研磨処理によって水晶片の厚みを調整してもよい。
次に、第1密着層を設ける(S12)。第1密着層151,153は、水晶片111の第1主面111aおよび第2主面111bのそれぞれの全面を覆うように形成される。パターニングされる前の第1密着層151,153は、水晶片111を包む一体的な一連の金属膜に相当する。第1密着層151,153は、例えば、Crを含む金属材料をスパッタリングによって水晶片111の表面に堆積させて形成される。第1密着層151,153は、厚さが1nm以上20nm以下となるように形成される。第1密着層151,153の厚さが1nm以上であることによって、第1励振電極114aおよび第2励振電極114bの水晶片111に対する密着力の低下が抑制できる。これにより、第1励振電極114aおよび第2励振電極114bの剥離などの損傷の発生が低減できる。また、第1密着層151,153の厚さが20nm以下であることによって、水晶振動素子110の振動特性の劣化が抑制できる。
次に、第1導電層を設ける(S13)。第1導電層152,154は、それぞれ、水晶片111の第1主面111a側および第2主面111b側において、第1密着層151,153を覆うように形成される。パターニングされる前の第1導電層152,154は、水晶片111を包む第1密着層151,153を包む一体的な一連の金属膜に相当する。第1導電層152,154は、Auを含む金属材料をスパッタリングによって第1密着層151,153の表面に堆積させて形成される。第1導電層152,154は、厚さが1nm以上500nm以下となるように形成される。第1導電層152,154の厚さが1nm以上であることによって、第1励振電極114aおよび第2励振電極114bに充分な導電性が与えられる。また、第1導電層152,154によって、下地に相当する第1密着層151,153の酸化が抑制できる。したがって、水晶振動素子110の振動特性の劣化が抑制できる。また、第1導電層152,154の厚さが500nm以下であることによって、Auを含む金属材料の使用量が低減できる。したがって、水晶振動素子110の製造コストを低減し、第1導電層152,154の成膜に要する時間が短縮できる。
第1密着層151,153および第1導電層152,154の成膜方法はスパッタリングに限定されるものではなく、PVD(Physical Vapor Deposition)やCVD(Chemical Vapor Depositon)などの乾式めっき、または電気めっきや無電解めっきなどの湿式めっきによって形成されてもよい。
次に、フォトレジストを設ける(S14)。フォトレジストは、第1導電層152,154の全面を覆うように形成される。まず、フォトレジスト溶液をスピンコート法、インジェクション法、グラビアコートなどの印刷法、などによって第1導電層152,154の全面に塗工する。次に、フォトレジスト溶液を乾燥させて溶媒を除去し、固化させることによって感光性樹脂からなるフォトレジストを形成する。
次に、フォトレジストをパターニングする(S15)。フォトレジストは、微細加工への適応性の観点から、露光された部分を溶解によって除去するポジ型の感光性樹脂が望ましい。ポジ型の感光性樹脂を使用する場合、中央部117に相当する領域をフォトマスクで遮光した状態でフォトレジストを露光する。その後、現像液によって露光された部分を洗い流す。この結果、フォトマスクの遮光領域の形状がフォトレジストに転写される。この結果、第1導電層152,154の上に残ったフォトレジストには、中央部117の外形がパターニングされる。なお、フォトレジストは、遮光された部分を溶解によって除去するネガ型の感光性樹脂であってもよい。
次に、第1導電層をエッチングする(S16)。第1導電層152,154の除去加工は、ヨウ化カリウム水溶液を主成分とする第1エッチング液を用いたウェットエッチングによって実施される。ヨウ化カリウム水溶液は、Auに対するエッチングレートが高くCrに対するエッチングレートが低いため、露出した第1導電層152,154をエッチングしつつ、下地に相当する第1密着層151,153を残留させることができる。
次に、第1密着層をエッチングする(S17)。第1密着層151,153の除去加工は、硝酸セリウムアンモニウム水溶液を主成分とする第2エッチング液を用いたウェットエッチングによって実施される。硝酸セリウムアンモニウム水溶液は、Auに対するエッチングレートが低くCrに対するエッチングレートが高いため、パターニングされたフォトレジストに覆われて残留した第1導電層152,154の侵蝕を抑制しつつ、露出した第1密着層151,153をエッチングできる。
このように、第1エッチング液および第2エッチング液は、それぞれ、第1密着層と第1導電層とに対するエッチングレートが異なるエッチング液を適宜選択する。エッチングされた第1導電層152および第1密着層151は第1励振電極114aの外形を形成し、エッチングされた第1導電層154および第1密着層153は第2励振電極114bの外形を形成する。なお、第1励振電極114aおよび第2励振電極114bの外形形成は、ウェットエッチングによるものに限定されず、ドライエッチングなどの他の除去加工によってなされてもよい。
次に、水晶片をエッチングする(S18)。ここでは、水晶片111の中央部117を保護するメタルマスクとして第1励振電極114aおよび第2励振電極114bを用い、周縁部118および周縁部119を除去加工する。水晶片111の除去加工は、フッ酸によるウェットエッチングによって実施される。これによって、図6に示すように、中央部117と周縁部118との間に段差が生じ、中央部117の第1主面117aと周縁部118の第1主面118aとをつなぐ第1側面112aが形成され、中央部117の第2主面117bと周縁部118の第2主面118bとをつなぐ第2側面112bが形成される。同様に、中央部117の第1主面117aと周縁部119の第1主面119aとをつなぐ第1側面113aが形成され、中央部117の第2主面117bと周縁部119の第2主面119bとをつなぐ第2側面113bが形成される。すなわち、水晶片111は、平板状の部材から一部が除去されることによって、第1主面111aと第2主面111bの両側にメサ型構造を有する凹凸状の部材となる。このとき、中央部117の第1主面117aにはメタルマスクとして用いた第1励振電極114aが残留し、中央部117の第2主面117bにはメタルマスクとして用いた第2励振電極114bが残留する。なお、水晶片111のメサ型構造の形成はウェットエッチングに限定されるものではなく、ドライエッチングなどの他の除去加工によってなされてもよい。但し、水晶片111の除去加工は、第1励振電極114aおよび第2励振電極114bへのダメージを低減する観点から、ウェットエッチングによるものが望ましい。
水晶片にメサ型構造を形成した後に、水晶片の中央部に励振電極を設けようとすると、フォトレジスト溶液の表面張力などによって、フォトレジストの膜厚が不均一となる。例えば、フォトレジストは、段差の角部で薄くなり、平坦な領域で厚くなる。このため、フォトレジストのパターニング精度が低下し、段差の角部近傍でのフォトレジストのパターン形状が安定しない。そうすると、中央部の主面の縁まで均一な膜厚の励振電極を形成するのが困難となり、中央部の主面を平面視したときに励振電極の外縁が中央部の主面の内側に位置することとなる。上記したように、水晶片111にメサ型構造を形成するためのメタルマスクとして第1励振電極114aを用いると、第1励振電極114aを中央部117の第1主面117aの縁、すなわち中央部117の第1側面112aとの境界まで形成できる。中央部117の第1主面117aと第1励振電極114aの形状が一致することにより、第1励振電極114aの形状の変動が抑制でき、水晶振動素子110の周波数特性の変動が抑制できる。同様に、第2励振電極114bも、中央部117の第2側面112bとの境界まで形成できる。
次に、第2密着層を設ける(S21)。図7に示すように、第1引出電極115aの一部および図示しない第2引出電極の一部を構成することとなる第2密着層155は、水晶片111の周縁部118の表面、第1励振電極114aの表面、および第2励振電極114bの表面を覆うように形成される。パターニングされる前の第2密着層155は、水晶片111、第1励振電極114a、および第2励振電極114bを包む一体的な一連の金属膜に相当する。第2密着層155は、第1密着層151,153と同様の構成となるように、第1密着層151,153と同様の手法によって形成できる。すなわち、第2密着層155はCrを含む金属材料をスパッタリングによって堆積させた金属膜であり、その厚さは1nm以上20nm以下である。
次に、第2導電層を設ける(S22)。図7に示すように、第1引出電極115aの一部および図示しない第2引出電極の一部を構成することとなる第2導電層156は、第2密着層155を覆うように形成される。パターニングされる前の第2導電層156は、水晶片111を包む第2密着層155を包む一体的な一連の金属膜に相当する。第2導電層156は、第1導電層152,154と同様の手法によって同様の構成となるように形成できる。すなわち、第2導電層156はAuを含む金属材料をスパッタリングによって堆積させた金属膜であり、その厚さは1nm以上500nm以下である。
次に、フォトレジストを設ける(S23)。フォトレジスト161は、第2導電層156の全面を覆うように形成される。工程S23において設けられるフォトレジスト161は、工程S14において設けたフォトレジストと同様の手法によって同様の構成となるように形成できる。
次に、フォトレジストをパターニングする(S24)。工程S24におけるパターニングは、工程S15と同様の手法によって実施される。図8に示すように、フォトレジスト161には、フォトリソグラフィ工法によって第1引出電極115aおよび図示しない第2引出電極の外形がパターニングされる。
次に、第2導電層をエッチングする(S25)。このとき、工程S16で用いた第1エッチング液と同様のエッチング液を用いることで、露出した第2導電層156をエッチングしつつ、下地に相当する第2密着層155を残留させることができる。
次に、第2密着層をエッチングする(S26)。このとき、工程S17で用いた第2エッチング液と同様のエッチング液を用いることで、パターニングされたフォトレジストに覆われて残留した第2導電層156の侵蝕を抑制しつつ、露出した第2密着層155をエッチングできる。図9に示すように、第2密着層155をエッチングすることで、第1励振電極114aの第1導電層152および第2励振電極114bの第1導電層154が露出する。第2エッチング液は、Auに対するエッチングレートが低いため、露出した第1励振電極114aの第1導電層152および第2励振電極114bの第1導電層154へのエッチング液による侵蝕が抑制できる。
以上のように、励振電極および引出電極を2層構造とし、各層に対するエッチングレートの異なるエッチング液を用いてウェットエッチングすることによって、励振電極の損傷を抑制しつつ引出電極をパターニングできる。なお、引出電極の形成は、フォトリソグラフィ工法を利用したウェットエッチングに限定さるものではない。引出電極は、引出電極の形状がパターニングされたスパッタマスクを水晶片111の周囲に配置し、スパッタマスクを通して第2密着層155および第2導電層156をスパッタする手法によってパターニングされてもよい。
次に、中央部の電極表面を削る(S26)。図10に示すように、中央部117の第1主面117aと対向する第1励振電極114aの表面および第1引出電極115aの表面を、イオンミリングによって削る。これによって中央部117に形成された電極の厚さを低減し、水晶振動素子110の周波数特性を調整する。以上の工程を経て、所望の周波数特性を備えた水晶振動素子110が製造される。なお、工程S26において表面を削るのは、中央部117の第1主面117a側および第2主面117b側のうち少なくとも一方の電極でよく、両方の電極であってもよい。
以下に、他の実施形態について説明する。以下のそれぞれの実施形態では、上記の第1実施形態と共通の事柄については記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。第1実施形態と同様の符号が付された構成は、第1実施形態における構成と同様の構成および機能を有するものとし、詳細な説明を省略する。同様の構成による同様の作用効果については言及しない。
<第2実施形態>
図11を参照しつつ、第2実施形態にかかる水晶振動素子210の構成について説明する。図11は、第2実施形態にかかる水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。
水晶振動素子210は、水晶片211と、第1励振電極214aと、第2励振電極214bと、第1引出電極215aと、第1接続電極216aとを備えている。水晶片211は、中央部217および周縁部218,219を備えている。水晶片211は、中央部217と周縁部218との間に、各々の第1主面217aと第1主面218aとをつなぐ第1側面212aが形成され、各々の第2主面217bと第2主面218bとをつなぐ第2側面212bが形成されている。水晶片211は、中央部217と周縁部219との間に、各々の第1主面217aと第1主面219aとをつなぐ第1側面213aが形成され、各々の第2主面217bと第2主面219bとをつなぐ第2側面213bが形成されている。第1励振電極214aは第1密着層251および第1導電層252を備えている。第2励振電極214bは第1密着層253および第1導電層254を備えている。第1引出電極215aは、第2密着層255および第2導電層256を備えている。
第1実施形態にかかる水晶振動素子10との相違点は、水晶片211が逆メサ型構造である点である。すなわち、周縁部218,219の厚さは、中央部217の厚さよりも大きい。詳細には、第1主面217aおよび第2主面217bの両方において、中央部217が周縁部218,219より薄い両面逆メサ型構造の水晶片211である。なお、第1主面217aおよび第2主面217bの一方のみにおいて、中央部217が周縁部218,219より薄い片面逆メサ型構造の水晶片211であってもよい。
このような水晶振動素子210においても、上記したのと同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
図12および図13を参照しつつ、第3実施形態にかかる水晶振動子900の構成について説明する。図12は、第3実施形態にかかる水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。図13は、第3実施形態にかかる水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。
水晶振動子900は、水晶振動素子910を第1蓋部材920aと第2蓋部材920bとで挟む、いわゆるサンドイッチ構造である。水晶振動素子910は、水晶片911と、第1励振電極914aと、第2励振電極914bと、第1引出電極915aと、第2引出電極915bとを備えている。第1蓋部材920aは、第1封止部材937aを挟んで水晶片911の第1主面911aに接合され、第2蓋部材920bは、第2封止部材937bを挟んで水晶片911の第2主面911bに接合されている。
水晶片911の第1主面911aを平面視したとき、水晶片911は、中央部917と、間隔を空けて中央部917を囲む周縁部919とを備えている。すなわち、中央部917と周縁部919との間にはスリットが形成されている。周縁部919の厚さは、中央部917の厚さよりも大きい。中央部917は、一対の支持部918によって周縁部919に支持されている。支持部918の厚さは中央部917の厚さよりも小さい。なお、支持部918は、周縁部の一部に相当する。支持部918と中央部917の間には、中央部917の第1主面917aと支持部918の第1主面918aとをつなぐ第1側面912aが形成され、中央部917の第2主面917bと支持部918の第2主面918bとをつなぐ第2側面912bが形成されている。また、中央部917のスリット側の端部には、中央部917の第1主面917aと第2主面917bとをつなぐ第3側面913が形成されている。第1蓋部材920aは周縁部919の第1主面919aに接合され、第2蓋部材920bは周縁部919の第2主面919bに接合されている。
中央部917の第1主面917aを平面視したとき、第1励振電極914aの外縁は、中央部917における第1側面912aとの境界および第3側面913との境界に至るまで延在している。中央部917の第2主面917bを平面視したとき、第2励振電極914bの外縁は、中央部917における第2側面912bとの境界および第3側面913との境界に至るまで延在している。第1引出電極915aは、第1励振電極914aの一部を覆い、第1側面912aおよび一対の支持部918のうち一方を通って、周縁部919の第1主面919aに引き回されている。第2引出電極915bは、第2励振電極914bの一部を覆い、第2側面912bおよび一対の支持部918のうち他方を通って、周縁部919の第2主面919bに引き回されている。
このような水晶振動素子910においても、上記したのと同様の効果が得られる。
<第4実施形態>
図14を参照しつつ、第4実施形態にかかる水晶振動素子410の構成について説明する。図14は、第4実施形態にかかる水晶振動素子の構成を概略的に示す斜視図である。
本実施形態と第1実施形態との相違点は、Z´軸の正方向側で中央部417と隣り合う周縁部PR1と、Z´軸の負方向側で中央部417と隣り合う周縁部PR2と、を備える点である。周縁部PR1は、周縁部418,419のそれぞれの一端を繋ぎ、周縁部PR2は、周縁部418,419のそれぞれの他端を繋いでいる。水晶片411の第1主面411aを平面視したとき、周縁部418,419、PR1,PR2は矩形の枠状に設けられ、中央部417は周縁部418,419、PR1,PR2に囲まれた島状に設けられている。中央部417の第1主面417aには全面に亘って第1励振電極414aが設けられ、周縁部418には第1引出電極415a及び第1接続電極416aが設けられている。なお、図示しない第2主面側においても、中央部417は周縁部418,419、PR1,PR2に囲まれた島状であり、中央部417の第2主面の全面に亘って第2励振電極が設けられている。このような水晶振動素子410においても、上記したのと同様の効果が得られる。
このように、中央部の第1及び第2主面のそれぞれの全面に亘って第1及び第2励振電極が形成されているならば、中央部及び周縁部の形状は特に限定されるものでない。例えば、中央部の形状は、水晶片の第1主面を平面視したときに、円又は楕円形状であってもよく、四角形以外の多角形状であってもよい。
周縁部と中央部との間に形成される段差に加えて、水晶片の第1主面側及び第2主面側にさらに段差が形成されてもよい。例えば、中央部には薄肉領域と厚肉領域とが形成され、中央部の薄肉領域が周縁部に隣接し、中央部の厚肉領域が薄肉領域の周縁部とは反対側に隣接する。中央部の薄肉領域は、水晶片のZ´軸方向において対向する一端から他端の全幅に亘る帯状に形成されてもよい。このとき、中央部の厚肉領域は、中央部の薄肉領域と同様に水晶片の全幅に亘る帯状に形成されてもよく、中央部の薄肉領域に囲まれる島状に形成されてもよい。中央部の厚肉領域が帯状に形成される場合、中央部の厚肉領域は、X軸方向において中央部の薄肉領域に挟まれてもよく、X軸方向の正方向及び負方向のいずれか一方においてのみ中央部の薄肉領域と隣接してもよい。なお、中央部の薄肉領域及び厚肉領域の位置関係は逆であってもよい。すなわち、中央部の厚肉領域が周縁部に隣接し、中央部の薄肉領域が厚肉領域の周縁部とは反対側に隣接してもよい。
水晶片の第1主面側及び第2主面側にさらに段差が形成される構成として、例えば、周縁部には薄肉領域と厚肉領域とが形成され、周縁部の厚肉領域が中央部に隣接し、周縁部の薄肉領域が厚肉領域の中央部とは反対側に隣接する。周縁部の厚肉領域は、水晶片の全幅に亘る帯状に形成されてもよい。このとき、中央部は、周縁部の厚肉領域と同様に水晶片の全幅に亘る帯状に形成されてもよく、周縁部の厚肉領域に囲まれる島状に形成されてもよい。また、周縁部の厚肉領域が薄肉領域に囲まれる島状に形成されてもよい。このとき、中央部は、厚肉領域の全幅に亘る帯状に形成されてもよく、厚肉領域に囲まれる島状に形成されてもよい。なお、周縁部の厚肉領域及び薄肉領域の位置関係は逆であってもよい。すなわち、周縁部の薄肉領域が中央部に隣接し、周縁部の厚肉領域が薄肉領域の中央部とは反対側に隣接してもよい。
以上のように、本発明の一態様によれば、第1主面111aと第1主面111aに対向する第2主面111bを有し、第1主面111aを平面視したときに中央側に位置する中央部117と中央部117の外側に位置する周縁部118とを有する、水晶片111を準備する工程と、水晶片111の第1主面111aのうち、中央部117に第1励振電極114aを設ける工程と、中央部117を保護するメタルマスクとして第1励振電極114aを用いつつ周縁部118の一部を除去し、水晶片111の第1主面111a側において中央部117と周縁部118との間に第1側面112aを形成する工程と、メタルマスクとして用いた第1励振電極114aに接触するように、水晶片111の第1主面111a側において周縁部118に延在する第1引出電極115aを設ける工程と、を含む、水晶振動素子110の製造方法が提供される。
上記態様によれば、第1励振電極を中央部の第1主面の縁、すなわち中央部の第1側面との境界まで形成できる。中央部の第1主面と第1励振電極の形状が一致することにより、第1励振電極の形状の変動が抑制でき、水晶振動素子の周波数特性の変動が抑制できる。中央部における励振に寄与する領域の利用効率が改善し、水晶振動素子が小型化できる。また、中央部において励振された振動の閉じ込め効率が改善できる。
第1引出電極115aは、第1側面112aを通っていてもよい。
第1引出電極115aは、水晶片111の第1主面111aを平面視したときに中央部117において第1励振電極114aの少なくとも一部を覆っていてもよい。これによれば、第1励振電極と第1引出電極との接触面積が増加し、第1励振電極と第1引出電極との電気的接続が安定する。また、第1励振電極の損傷が抑制でき、水晶振動素子の周波数特性の劣化が抑制できる。
第1励振電極114aを設ける工程は、水晶片111の第1主面111a側に第1密着層151を設ける工程と、第1密着層151よりも高い導電性を有しており、水晶片111の第1主面111aを平面視したときに第1密着層151を覆う第1導電層152を設ける工程とを含んでもよい。これによれば、下地に酸素との反応性が高い第1密着層を設けることで水晶片と第1励振電極との密着力が向上でき、表面に酸素との反応性が低い第1導電層を設けることで酸化による第1励振電極の劣化が抑制できる。すなわち、水晶振動素子の信頼性が改善できる。
第1引出電極115aを設ける工程は、水晶片111の第1主面111a側に第2密着層155を設ける工程と、第2密着層155よりも高い導電性を有しており、水晶片111の第1主面111aを平面視したときに第2密着層155を覆う第2導電層156を設ける工程とを含んでもよい。これによれば、下地に酸素との反応性が高い第2密着層を設けることで水晶片と第1引出電極との密着力が向上でき、表面に酸素との反応性が低い第2導電層を設けることで酸化による第1引出電極の劣化が抑制できる。すなわち、水晶振動素子の信頼性が改善できる。
第1密着層151および第2密着層155は、それぞれ、クロムを含む金属材料からなり、第1導電層および第2導電層は、それぞれ、金を含む金属材料からなってもよい。これによれば、Crは水晶との密着性がAuよりも高く、AuはCrよりも導電性が高く且つ化学的安定性が高い。したがって、上記した効果が得られる。
第1引出電極115aを設ける工程は、金属膜155,156を設ける工程と、金属膜155,156を覆うフォトレジスト161を設ける工程と、フォトレジスト161を第1引出電極115aの形状にパターニングする工程と、金属膜155,156をエッチングする工程とを含んでもよい。これによれば、第1励振電極と第1引出電極をフォトリソグラフィ工法によって同一工程で形成する場合と比較して、パターニングの要求精度が低いため、製造コストが抑制できる。
第1引出電極を設ける工程は、水晶片の第1主面側に、第1金属膜と、第1金属膜を覆うように第2金属膜とを設ける工程と、第2金属膜を覆うフォトレジストを設ける工程と、フォトレジストを第1引出電極の形状にパターニングする工程と、第1の金属膜を露出させるように第1エッチング液を用いて第2金属膜をエッチングする工程と、第1エッチング液とはエッチングレートが異なる第2エッチング液を用いて、第1金属膜をエッチングする工程とを含んでもよい。これによれば、ウェットエッチングによって第1引出電極の外形を形成する際に、第1励振電極に与えるダメージが低減できるため、水晶振動素子の周波数特性の製造誤差が抑制できる。
第1引出電極115aを設ける工程は、第1引出電極115aの形状がパターニングされたスパッタマスクを、水晶片111の第1主面111a側に配置する工程と、スパッタマスクを通して金属膜155,156をスパッタする工程とを含んでもよい。これによれば、フォトリソグラフィ工法によって第1引出電極の外形を形成する場合と比較して、工程数を少なくできる。
中央部117に設けられた電極114a,115aの厚さを低減して周波数を調整する工程をさらに含んでもよい。これによれば、水晶振動素子の周波数特性の製造誤差が抑制できる。
水晶片111の第2主面111bのうち、中央部117に第1励振電極114aと対向する第2励振電極114bを設ける工程と、中央部117を保護するメタルマスクとして第2励振電極114bを用いつつ周縁部118,119の一部を除去し、水晶片111の第2主面111b側において中央部117と周縁部118との間に第2側面112b,113bを形成する工程と、メタルマスクとして用いた第2励振電極114bに接触するように、水晶片111の第2主面111b側において周縁部118に延在する第2引出電極115bを設ける工程と、をさらに含んでもよい。これによれば、上記したのと同様の効果が得られる。
本発明の他の一態様によれば、第1主面11aと第1主面11aに対向する第2主面11bを有するとともに、第1主面11aを平面視したときに中央側に位置する中央部17と中央部17の外側に位置する周縁部18,19とを有し、第1主面11aおよび第2主面11bのうち少なくとも第1主面11a側において中央部17と周縁部18,19との間に第1側面12a,13aが形成された、水晶片11と、水晶片11の第1主面11aのうち、中央部17に設けられた第1励振電極14aと、水晶片11の第2主面11bのうち、中央部17に設けられ、第1励振電極14aと対向する第2励振電極14bと、第1励振電極14aに電気的に接続された第1引出電極15aと、第2励振電極14bに電気的に接続された第2引出電極15bと、を備え、少なくとも第1引出電極15aは、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第1励振電極14aの少なくとも一部を覆っており、中央部17から周縁部18に亘って延在する、水晶振動素子10が提供される。
上記態様によれば、第1励振電極を中央部の第1主面の縁、すなわち中央部における第1側面との境界まで形成することで、中央部における励振に寄与する領域の利用効率が改善し、水晶振動素子が小型化できる。また、中央部において励振された振動の閉じ込め効率が改善できる。第1引出電極が第1励振電極の一部を覆っているため、第1励振電極と第1引出電極との接触面積が増加し、第1励振電極と第1引出電極との電気的接続が安定する。また、第1励振電極の損傷が抑制でき、水晶振動素子の周波数特性の劣化が抑制できる。
水晶片11の第1主面11aを平面視したとき、第1励振電極14aの外縁は、中央部17における第1側面12aとの境界に至るまで延在していてもよい。これによれば、中央部の第1主面と第1励振電極の形状が一致することにより、第1励振電極の形状の変動が抑制でき、水晶振動素子の周波数特性の変動が抑制できる。
第1励振電極14aは、水晶片11の第1主面11a側に設けられた第1密着層51と、第1密着層51よりも高い導電性を有しており、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第1密着層51を覆う第1導電層52とを備えていてもよい。これによれば、下地に酸素との反応性が高い第1密着層を設けることで水晶片と第1励振電極との密着力が向上でき、表面に酸素との反応性が低い第1導電層を設けることで酸化による第1励振電極の劣化が抑制できる。すなわち、水晶振動素子の信頼性が改善できる。
第1引出電極15aは、水晶片11の第1主面11a側に設けられた第2密着層55と、第2密着層55よりも高い導電性を有しており、水晶片11の第1主面11aを平面視したときに第2密着層55を覆う第2導電層56とを備えていてもよい。これによれば、下地に酸素との反応性が高い第2密着層を設けることで水晶片と第1引出電極との密着力が向上でき、表面に酸素との反応性が低い第2導電層を設けることで酸化による第1引出電極の劣化が抑制できる。すなわち、水晶振動素子の信頼性が改善できる。
第1密着層51および第2密着層55は、それぞれ、クロムを含む金属材料からなり、第1導電層52および第2導電層56は、それぞれ、金を含む金属材料からなってもよい。これによれば、Crは水晶との密着性がAuよりも高く、AuはCrよりも導電性が高く且つ化学的安定性が高い。したがって、上記した効果が得られる。
第1引出電極15aの中央部17に設けられた部分の厚さT3は、第1引出電極15aの周縁部18に設けられた部分の厚さT4よりも小さくてもよい。これによれば、中央部に設けられた電極の表面を削ることによって、水晶振動素子の周波数特性が調整できる。したがって、水晶振動素子の周波数特性の製造誤差が抑制できる。
中央部17の厚さは、周縁部18,19の厚さよりも大きく、第1側面12a,13aは、中央部17と周縁部18,19とをつないでいてもよい。これによれば、いわゆる順メサ型構造によって形成される段差において、上記した効果が得られる。
中央部217の厚さは、周縁部218,219の厚さよりも小さく、第1側面212a,213aは、中央部217と周縁部218,219とをつないでいてもよい。これによれば、いわゆる逆メサ型構造によって形成される段差において、上記した効果が得られる。
水晶片11は、第2主面11b側において中央部17と周縁部18,19との間に第2側面12b、13bが形成されており、第2引出電極15bは、水晶片11の第2主面11bを平面視したときに第2励振電極14bの少なくとも一部を覆っており、水晶片11の第2主面11b側において中央部17から周縁部18に亘って延在していてもよい。これによれば、上記したのと同様の効果が得られる。
水晶片911は、中央部917と周縁部919の間にスリットが形成されていてもよい。このような構成においても、上記した効果が得られる。
以上説明したように、本発明の一態様によれば、振動特性の製造誤差を低減できる水晶振動素子およびその製造方法の提供が可能となる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。