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JP6844192B2 - シランカップリング剤の反応量測定方法 - Google Patents
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本発明はゴム組成物中のシランカップリング剤の反応量を測定する方法に関する。
従来、ゴム組成物の低発熱化などを図るために、補強用充填剤としてシリカを配合することが知られている。シリカは、表面に存するシラノール基の影響により凝集しやすく、分散性に劣ることから、その性能を十分に発揮させることができないという問題がある。そのため、シリカの分散性を改良するために、シランカップリング剤が併用されている。
シランカップリング剤は、シリカとともにゴム成分に対して添加し、混合することで、シリカ表面のシラノール基と反応するとともに、ゴム成分と反応することで、両者の間を連結して、シリカの分散性を向上させる。シリカの分散性を向上させるためには、かかるシランカップリング剤の反応量を高める必要があるため、混合したゴム組成物中におけるシランカップリング剤の反応量を知ることが求められる。
特許文献1には、加硫剤と加硫促進剤を含まない未加硫のゴム組成物から、未反応のシランカップリング剤を抽出し、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄量を定量することでシランカップリング剤の反応率を求める方法が記載されている。しかしながら、この方法ではシランカップリング剤がゴム成分またはシリカのいずれと反応しているかを区別することはできない。
特許第5027175号公報
ゴム組成物中におけるシランカップリング剤、ゴム成分およびシリカによる反応過程を詳細に検討するためには、シランカップリング剤がゴム成分またはシリカのいずれと反応しているかを区別することが求められる。そこで、本発明ではゴム成分と反応しているシランカップリング剤を検出することができるシランカップリング剤の反応量測定方法を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分に、シリカと、分子中に硫黄を含むシランカップリング剤とを添加し、加硫促進剤と加硫剤とを添加せずに混合することにより、加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を調製する調製工程、
ゴム成分と結合したシランカップリング剤を熱分解する熱分解工程、および
前記熱分解により生じた成分を測定する測定工程を含むシランカップリング剤の反応量測定方法に関する。
前記未加硫ゴム組成物の未反応シランカップリング剤をソックスレー抽出法により除去する除去工程を含むことが好ましい。
前記熱分解工程および測定工程が、熱分解ガスクロマトグラフィーによる測定工程であることが好ましい。
本発明によれば、ゴム成分と反応しているシランカップリング剤を選択的に測定できるシランカップリング剤の反応量測定方法を提供することができる。
実施例1(未加硫ゴム組成物1)のパイログラムである。
本発明のシランカップリング剤の反応量測定方法は、加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を調製する調製工程、ゴム成分と反応したシランカップリング剤を熱分解する熱分解工程、および前記熱分解により生じた成分を測定する測定工程を含むシランカップリング剤の反応量測定方法を含む方法である。
前記調製工程は、分析対象となる未加硫ゴム組成物を調製する工程である。ゴム成分に、シリカ、シランカップリング剤、およびその他の添加剤を添加して混練することにより未加硫ゴム組成物を調製することができる。混練方法は特に限定されず、バンバリーミキサーやロール、ニーダーなどの、ゴム工業において一般に使用される各種混練機を用いて行うことができる。かかる混練により未加硫ゴム組成物は加熱され、液体のシランカップリング剤はシリカ表面のシラノール基と反応する。
この未加硫ゴム組成物は、混練時の熱により硫黄や加硫促進剤がゴム成分と結合して抽出後も残ってしまい、シランカップリング剤の硫黄分のみを定量することが困難になるため、加硫剤と加硫促進剤を含まないことが好ましい。すなわち、当該調製工程において、ゴム成分に配合するその他の添加剤には加硫剤と加硫促進剤を含めず、加硫剤と加硫促進剤を除くその他の添加剤を全て配合する。
調製された未加硫ゴム組成物は、取扱性の観点から、ロールなどによりシート状に薄く引き伸ばしてから、次工程に移送することが好ましい。シートは、厚み1mm以下のシートとすることが好ましい。
前記ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)およびブチルゴム(IIR)などの各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらのゴムは、1種または2種類以上を併用することができる。
前記シリカとしては、特に限定されず、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。中でも低発熱性の点から湿式シリカが好ましい。シリカの配合量も特に限定されず、ゴム成分100質量部に対して5〜150質量部が好ましく、10〜120質量部がより好ましい。
本発明において、シランカップリング剤としては、分子中に硫黄を含むものであれば特に限定されず、ゴム組成物においてシリカとともに配合される各種のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して2〜25質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
前記未加硫ゴム組成物には、上記した成分の他に、カーボンブラックなどの他の補強性充填剤、プロセスオイルなどの軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、樹脂類など、通常ゴム工業で使用される各種添加剤を配合することができる。
前記加硫剤としては、特に限定するものではないが、通常は硫黄が用いられる。加硫剤としての硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、オイル処理硫黄などが挙げられる。これらはそれぞれ単独または2種以上を混合して用いることができる。
前記加硫促進剤としては、特に限定されず、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DPBS)などのスルフェンアミド系、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)などのチウラム系、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−O−トリルグアニジン(DOTG)などのグアニジン系、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)などのチアゾール系などが挙げられる。
前記熱分解工程は、前記未加硫ゴム組成物に熱を加えることで、ゴム成分と反応したシランカップリング剤を熱分解させる工程である。未加硫ゴム組成物を熱分解させることで、ゴム成分と反応したシランカップリング剤を特異的にチオフェンおよびメチルチオフェンに変化させることができる。すなわち、シリカのみと反応しているシランカップリング剤や、ゴム成分およびシリカのいずれとも反応していないシランカップリング剤にこの変化は起こらない。
熱分解手段としては、通常この分野で使用するものをいずれも好適に使用することができ、例えば、フロンティア・ラボ(株)製のPY−2020iDが挙げられる。また、サンプルを熱分解する際の温度(熱分解温度)は、通常、450〜700℃の範囲であり、好ましくは550〜650℃の範囲である。この温度範囲内であれば、本発明において検出するチオフェンおよびメチルチオフェンを効率よく生成させることができる。
本発明において、熱分解ガスクロマトグラフィーに供する未加硫ゴム組成物のサンプルは、予めソックスレー抽出に付しておくことが好ましい。こうすることで、反応していないシランカップリング剤を予め除去することができるので、ゴム成分と反応したシランカップリング剤の定量をより正確に行うことが可能となる。
ソックスレー抽出は、常法により実施することができる。抽出溶媒としては、通常使用できる溶媒をいずれも使用することができ、そのような溶媒として、ヘキサン、アセトンなどが挙げられる。このうち、アセトンが好ましい。
前記測定工程は、前記熱分解工程で生成したチオフェンおよびメチルチオフェン量を測定することで、未加硫ゴム組成物中のゴム成分と反応しているシランカップリング剤の量を算出する工程である。
熱分解により生成するチオフェンおよびメチルチオフェンは、硫黄含有成分を検出できる硫黄検出器により検出する。このような硫黄検出器としては、通常、この分野で使用されるものをいずれも好適に使用することができ、例えば、炎光光度検出器(FPD:Flame Photometric Detector)、硫黄化学発光検出器(SCD:Sulfur Chemiluminescence Detector)などが挙げられる。なお、本発明において、硫黄検出器は、チオフェンおよびメチルチオフェンを定量できる限りその目的を達し得るので、上記の如き一般的な硫黄検出器の他、質量分析装置なども含み得るものである。
前記の熱分解工程および測定工程を一連の流れで行うことができることから、熱分解ガスクロマトグラフィーによる測定工程とすることが好ましい。
本発明のシランカップリング剤の反応量測定方法によれば、ゴム成分と反応しているシランカップリング剤を選択的に測定できることから、ゴム組成物中におけるシランカップリング剤、ゴム成分およびシリカによる反応過程を詳細に観察することができる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
以下に実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
スチレンブタジエンゴム(SBR):旭化成(株)製のタフデン4850
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のBR710
シリカ:東ソー・シリカ(株)のニプシルVN3
シランカップリング剤:エボニック・デグサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH−70S
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製の椿
未加硫ゴム組成物1〜4の調製
表1に示す配合処方および下記の混練方法1〜4に従い、混練を行うことで未加硫ゴム組成物1〜4を調製した。各練り工程の条件も表1に示す。
混練方法1(未加硫ゴム組成物1):表1の「X練り」欄に記載の配合のみを混練(X練りのみ)
混練方法2(未加硫ゴム組成物2):X練りの後、表1の「Y練り」欄に記載の配合を添加して混練(X+Y練り)
混練方法3(未加硫ゴム組成物3):X練りおよびY練りの後、薬品を追加投入せずにリミル1(X+Y練り+リミル1)
混練方法4(未加硫ゴム組成物4):X練りおよびY練りの後、薬品を追加投入せずにリミル2(X+Y練り+リミル1+2)
Figure 0006844192
<実施例>
各未加硫ゴム組成物をアセトンによるソックスレー抽出を行った後、約200μgを精秤した。これを熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)測定に供することにより、パイログラムを得た(未加硫ゴム組成物1のパイログラムを図1に示す)。このパイログラム中のチオフェン類(チオフェン、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン)のピーク面積を、分析装置に導入したサンプル量で除すことにより規格化したチオフェン類量を全チオフェン量として算出した。算出結果を表2に示す。
Py−GC装置および測定条件は、以下の通りである。
熱分解装置:Frontier Lab社の「PY−2020D」
ガスクロマトグラフ:(株)島津製作所製の「GC−2010」
検出器:(株)島津製作所製の炎光光度検出器「FPD−2010」
分離カラム:Frontier Lab社製の「Ultra ALLOY+−5(MS/HT)」(5%ジフェニル95%ジメチルポリシロキサン、長さ30m、内径0.25mm、膜厚1.0μm)
熱分解温度:550℃
試料注入部温度:320℃
カラム温度:40℃/3min.−300℃/15min.(昇温速度8℃/min.)
<比較例>
各未加硫ゴム組成物をアセトンによるソックスレー抽出を行った後、約20mgを硫黄炭素分析装置(LECOジャパン(株)製の「SC−632」)により、全硫黄量を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 0006844192
上記比較例の結果では、ゴム成分および/またはシリカと反応したシランカップリング剤の量はリミルを1回行うことで最大値を迎えていることから、2回目のリミル工程は不要な工程であると判断される恐れがある。しかしながら、上記実施例の結果より、1回目リミル終了後のゴム成分と反応したシランカップリング剤の量は最大値ではなく、2回目リミルを行うことにより、さらにゴム成分と反応したシランカップリング剤が増加することがわかる。
すなわち、本発明のシランカップリング剤の反応量測定方法によれば、ゴム成分と反応しているシランカップリング剤を選択的に測定できることから、ゴム組成物中におけるシランカップリング剤、ゴム成分およびシリカによる反応過程を詳細に観察できることがわかる。

Claims (4)

  1. ゴム成分と反応しているシランカップリング剤を選択的に測定するシランカップリング剤の反応量測定方法であって、
    ゴム成分に、シリカと、分子中に硫黄を含むシランカップリング剤とを添加し、加硫促進剤と加硫剤とを添加せずに混合することにより、加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を調製する調製工程、
    ゴム成分と反応したシランカップリング剤を熱分解する熱分解工程、および
    前記熱分解工程で生成したチオフェン、2−メチルチオフェン、および3−メチルチオフェンの量を測定する測定工程を含む方法。
  2. 前記未加硫ゴム組成物の未反応シランカップリング剤をソックスレー抽出法により除去する除去工程を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記熱分解工程および測定工程が、熱分解ガスクロマトグラフィーによる測定工程である請求項1または2記載の方法。
  4. 前記熱分解ガスクロマトグラフィーが、炎光光度検出器を備えた熱分解ガスクロマトグラフィーである請求項記載の方法。
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