JP6845666B2 - レドックスフロー電池用電解液およびそれを用いたレドックスフロー電池 - Google Patents
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Description
しかしながら、今なお、高温下でもV5+が析出しにくく、レドックスフロー電池の高エネルギー密度化を実現できる電解液が求められている。
バナジウムイオンを含む水溶液に、下記式Iで表されるジスルホン酸化合物または下記式IIで表されるジホスホン酸化合物、あるいはそれらの水和物もしくは塩から選択される添加剤が少なくとも1種添加されていることを特徴とする。
なお、本発明においてバナジウムイオンとは、V2+、V3+、V4+、V5+の他、VO2+、VO2 +等を含む意味で用いられる。
好ましい式Iの化合物として、R1がエチレン基(−CH2CH2−)である1,2-エタンジスルホン酸およびR1がプロピレン基(−CH2CH2CH2−)である1,3-プロパンジスルホン酸が挙げられ、好ましい式IIの化合物として、R2がメチレン基(−CH2−)であるメチレンジホスホン酸が挙げられる。
つまり、充電時には、負極液タンクのV3+含有水溶液が、負極セル室に送られ、負極で電子を受け取り、V2+に還元されて、負極液タンクに回収され、他方、正極液タンクのV4+(VO2+)含有水溶液が正極セル室に送られ、正極において外部回路に電子を放出して、V5+(VO2 +)に酸化され、正極液タンクに回収される。この反応により、正極セル室ではプロトン(H+)が過剰になるが、正極セル室の過剰なプロトンが隔膜を経て選択的に負極セル室に移動することで、電気的中性が保たれる。
特に好ましい式Iの化合物として、R1がエチレン基(−CH2CH2−)である1,2-エタンジスルホン酸およびR1がプロピレン基(−CH2CH2CH2−)である1,3-プロパンジスルホン酸が挙げられ、特に好ましい式IIの化合物として、R2がメチレン基(−CH2−)であるメチレンジホスホン酸が挙げられる。
これに対し、本発明の電解液は、バナジウムイオンの濃度を高めても、2〜4価のバナジウムイオンだけでなく、5価のバナジウムイオンも安定に保つことができるため、エネルギー密度の高いバナジウムレドックスフロー電池を実現することができる。
「電解液の調製]
酸化硫酸バナジウム水和物、および、添加剤として、式IIの化合物であるメチレンジホスホン酸(MDP)、または、式Iの化合物であるエタンジスルホン酸二水和物(EDSA)あるいは1,3−プロパンジスルホン酸(PDSA)を所定量秤量し、超純水に溶解させて、表1に示す組成の電解液(バナジウム4価イオン含有)を調製した。
また、添加剤として、二リン酸あるいは硫酸を使用した以外は、上記と同じ手順にて、表1に示す組成の電解液を調製した。
・酸化硫酸バナジウム水和物:VOSO4・nH2O、99.9%、和光純薬工業株式会社製
・メチレンジホスホン酸:CH2(PO3H2)2、97%、和光純薬工業株式会社製
・エタンジスルホン酸二水和物:C2H4(SO3H)2・2H2O、95%、東京化成工業株式会社製
・1,3−プロパンジスルホン酸:C3H6(SO3H)2、東ソー有機化学株式会社製
・二リン酸:H4P2O7、78〜79%、和光純薬工業株式会社製
調製した各電解液10mLをポリプロピレン製容器(50mL)に入れた。その容器をマイナス5℃に設定した小型環境試験器(エスペック株式会社製、SU221型)内で静置させた。試験開始後、1時間、6時間、12時間、24時間、以降24時間おきに最長168時間まで、析出物の有無の確認を目視で行った。調製した電解液中で析出物が生成するまでの時間を表1に示す。なお、V4+濃度が2mol/L・硫酸濃度が5mol/Lの電解液も調製したが、電解液中に酸化硫酸バナジウムが完全に溶解せず、最初から析出物が存在する状態となったため、その後の試験は行わなかった。
また、二リン酸を添加した電解液(No.11)も、2mol/Lのバナジウム4価イオンを、168時間以上安定に保つことができた。
「電解液の調製]
実施例1と同様に、バナジウム4価イオン電解液を調製した後、電気分解を行い、表2に示す組成を有するバナジウム5価イオン電解液を得た。電気分解時に用いるセルは、集電体にカーボンプレート(SGLカーボンジャパン株式会社製、BMA5)、電極にはカーボンフェルト(SGLカーボンジャパン株式会社製、GFA10型)、イオン交換膜(隔膜)にはNafion(登録商標)117(デュポン株式会社製)を用いた。ともに同組成の正極用電解液、負極用電解液を正極側および負極側ポリ塩化ビニル製電解液タンクに入れ、送液ポンプを用いて、それぞれの電解液タンクからセルへ電解液を循環させ、充放電装置(北斗電工、HJ1001SD8型)にて電気分解を行った。正極用電解液および負極用電解液の液量はそれぞれ20mL、25mLとし、0.2Aの一定電流で、上限電位1.9Vまで電解することにより、正極用電解液に含まれるバナジウム4価イオンを、バナジウム5価イオンに酸化した。
電気分解で得られたバナジウム5価イオン電解液(正極液)20mLを50mLポリプロピレン製容器に入れ、液温が50℃となるようウォーターバス中で静置させ、高温安定性評価試験を行った。試験開始後、5分、10分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、以降12時間おきに最長168時間まで析出物有無の確認を目視で行った。表2に、調製した電解液中で析出物が生成するまでの時間を示す。
これに対し、MDPでは、2つの−PO3H2基が酸素原子ではなく、アルキレン基で結合されているため加水分解が生じにくい(すなわち、リン酸が生じにくい)ため、このような不都合が生じないと考えられる。
[バナジウム3価イオン電解液の調製]
実施例1で調製したバナジウム4価イオンを含む電解液(No.10、VOSO4:2mol/L、PDSA:3mol/L)を実施例2で用いたセルを用いて電気分解し、バナジウム3価イオンを含む電解液を調製した。正極用電解液および負極用電解液の液量はそれぞれは35mL、30mLとし、0.2Aの一定電流で、上限電圧1.9Vまで電解することにより、負極用電解液中に含まれるバナジウム4価イオンを、バナジウム3価イオン(V3+:2mol/L、PDSA:3mol/L)に還元した。
実施例2で用いたセルを用いて、バナジウムレドックスフロー電池を作成し、充放電試験を行った。負極用電解液として調製したバナジウム3価イオンを含む電解液(V3+:2mol/L、PDSA:3mol/L)を負極用電解液タンクに20mL充填し、また正極用電解液としてバナジウム4価イオンを含む電解液(表1のNo.10)を正極用電解液タンクに20mL充填し、0.2Aの一定電流で、上限電圧1.9V、下限電圧0.8Vの条件で充放電試験を行った。初回サイクルの充放電曲線および充放電特性データをそれぞれ図2、表3にまとめる。また、5サイクルまでのサイクル特性および充放電特性データをそれぞれ図3、表4にまとめる。
[バナジウム3価イオン電解液の調製]
実施例1で調製したバナジウム4価イオンを含む電解液(No.13、VOSO4:2mol/L、H2SO4:3mol/L)を実施例2で用いたセルを用いて電気分解を行い、バナジウム3価イオンを含む電解液を調製した。正極用電解液及び負極用電解液の液量はそれぞれ35mL、30mLとし、0.2Aの一定電流で、上限電圧1.9Vまで電解することにより、負極用電解液中に含まれるバナジウム4価イオンを、バナジウム3価イオン(V3+:2mol/L、H2SO4:3mol/L)に還元した。
実施例2で用いたセルを用いて、バナジウムレドックスフロー電池を作成し、充放電試験を行った。負極用電解液として調製したバナジウム3価イオンを含む電解液(V3+:2mol/L、H2SO4:3mol/L)を負極用電解液タンクに20mL充填し、また正極用電解液としてバナジウム4価イオンを含む電解液(表1のNo.13)を正極用電解液タンクに20mL充填し、0.2Aの一定電流で、上限電圧1.9V、下限電圧0.8Vの条件で充放電試験を行った。初回サイクルの充放電曲線および充放電特性データをそれぞれ図4、表5にまとめる。また、5サイクルまでのサイクル特性および充放電特性データをそれぞれ図5、表6にまとめる。
Claims (4)
- 前記R1およびR2が、炭素原子数1〜3のアルキレン基である、請求項1に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 式Iの化合物が1,2-エタンジスルホン酸及び/又は1,3-プロパンジスルホン酸であり、式IIの化合物がメチレンジホスホン酸である、請求項1に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解液を含むことを特徴とする、レドックスフロー電池。
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