JP6846112B2 - 水中油型乳化物 - Google Patents
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Description
さらに、それを用いて調製したホイップドクリームは、本来、脂肪球同士の凝集によってもたらされるべきホイップドクリームの構造を水溶液中の安定剤の増粘によって補っているに過ぎないため、やはりホイップドクリームが本来持つべき食感や風味は著しく変化してしまうという問題点があった。
(1)15重量%以上35重量%以下の乳脂肪と、油脂100g中換算で0.1g以上2g以下のベヘン酸と、を含むことを特徴とする水中油型乳化物。
(2)水中油型乳化物に含まれる油脂の20℃における貯蔵弾性率と損失弾性率が1Pa以上であることを特徴とする(1)に記載の水中油型乳化物。
(3)水中油型乳化物に含まれる油脂の40℃における固体脂量が0.5%以上1.5%以下であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかひとつに記載の水中油型乳化物。
(4)さらに、水中油型乳化物に含まれる油脂の30℃における固体脂量が7%程度、20℃における固体脂量が23%程度、10℃における固体脂量が50%程度であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかひとつに記載の水中油型乳化物。
(5)オーバーランが7分以内に150%以上となることを特徴とする(1)から(4)のいずれかひとつに記載の水中油型乳化物。
(6)乳脂肪とベヘン酸残基を含む乳化剤とを混合して油相を調製する工程と、水と水溶性原材料とを混合する工程と、前記油相と前記水相とを混合する工程と、前記油相と前記水相とを混合して得られた混合物を均質化する工程と、前記油相と前記水相とを混合して得られた混合物を殺菌する工程と、を含むことを特徴とする水中油型乳化物の製造方法。
本発明者らは、ベヘン酸がエステル結合した脂肪及び/又は親油性乳化剤を含み、かつ、油脂100g中換算でベヘン酸を0.1g以上2g以下含む水中油型乳化物は、冷却時に高い温度から結晶化が始まることにより脂肪球内部に強固な脂肪結晶構造が構築されるため、ホイップ時間が短く、含気能力を有し、さらに、低温域での固体脂比率は乳脂肪と変わらないため口どけも併せ持つことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の水中油型乳化物に用いる乳脂肪源は、乳脂肪を含むものであればよく、牛乳、生クリーム、バター、バターオイル、ホエイ、全脂粉乳等から選択される1種又はこれらを複数含むものを用いることができる。
これらの原材料を用いて水中油型乳化物の脂肪分が15重量%以上35重量%以下となるように調整すればよい。
乳化剤はベヘン酸がエステル結合した親油性乳化剤であれば特に限定する必要はなく、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ポリグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸プロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらの1種又は複数を混合して用いることができる。
唯一、40℃においてベヘン酸やベヘン酸を脂肪酸とする親油性乳化剤の逆ミセルを核とする脂肪結晶が残存するが、その量は1±0.5%と微量であるため水中油型乳化物の口解けなどの官能的な特徴には影響しない。
本発明の水中油型乳化物は、水と油脂とを60℃〜80℃程度で乳化させた後、高圧ホモゲナイザー等での均質化工程(0.5〜10MPa程度)、熱交換プレートや蒸気の吹き込みによる殺菌工程(75〜150℃程度)、冷却工程等を含む製造工程により得ることができる。
水溶性乳化剤を用いる場合は水に、油溶性乳化剤を用いる場合は油脂に添加しておくことが好ましい。また、必要に応じて粉乳、増粘多糖類、塩類、呈味物質、水溶性香料などを用いる場合は、これらを水に溶解して用いることが好ましい。油溶性香料を用いる場合は、これを油脂に溶解して用いることが好ましい。
水64.9重量%を80℃に加温して脱脂粉乳4重量%、カゼインナトリウム0.5重量%を加えて溶かした後、親油性乳化剤含有脂肪を加えてホモミキサーで良く攪拌した後、高圧ホモゲナイザーで1段目4MPa、2段目1MPaの均質を行った。さらに熱交換プレートを用いて130℃2秒の殺菌処理の後、5℃まで冷却して脂肪分が30重量%の水中油型乳化物を得た。
水65.2重量%を80℃に加温して脱脂粉乳4重量%、カゼインナトリウム0.5重量%を加えて溶かした後、親油性乳化剤含有脂肪を加えてホモミキサーで良く攪拌した後、高圧ホモゲナイザーで1段目4MPa、2段目1MPaの均質を行った。さらに熱交換プレートを用いて130℃2秒の殺菌処理の後、5℃まで冷却して脂肪分30重量%の水中油型乳化物を得た。
(比較例1)
水65.2重量%を80℃に加温して脱脂粉乳4重量%、カゼインナトリウム0.5重量%を加えて溶かした後、親油性乳化剤含有脂肪を加えてホモミキサーで良く攪拌した後、高圧ホモゲナイザーで1段目4MPa、2段目1MPaの均質を行った。さらに熱交換プレートを用いて130℃2秒の殺菌処理の後、5℃まで冷却して脂肪分30重量%の水中油型乳化物を得た。
(比較例2)
水64.9重量%を80℃に加温して脱脂粉乳4重量%、カゼインナトリウム0.5重量%を加えて溶かした後、親油性乳化剤含有脂肪を加えてホモミキサーで良く攪拌した後、高圧ホモゲナイザーで1段目4MPa、2段目1MPaの均質を行った。さらに熱交換プレートを用いて130℃2秒の殺菌処理の後、5℃まで冷却して乳脂肪分30重量%の水中油型乳化物を得た。
(試験例1)
マジュニア脂肪抽出管に試料を1g、蒸留水5g、アンモニア水(1級、28%以上)2gを加えてよく振とうした。これに、エタノール(1級)10mLを加えてよく振とうした。次に、ジエチルエーテル(1級)25mLを加えてよく振とうした。さらに、石油エーテル(1級)25mLを加えてよく振とうした。これを抽出管に入れ、マジュニア遠心分離機を用いて600rpm5分間分離し、上層のエーテル層をガラスビーカーに移した。
下層にエタノール(1級)10mLを加えてよく振とうし、次に、ジエチルエーテル(1級)25mLを加えてよく振とうし、さらに、石油エーテル(1級)25mLを加えてよく振とうし、これを上記と同様の条件で遠心分離し、得られた上層のエーテル層をガラスビーカーに移した。
ガラスビーカーを70℃に暖めてエーテルを蒸発させて残った油脂を回収し、以下の測定に用いた。
なお、1本のマジュニア脂肪抽出管による抽出では分析に必要な油脂が足りない場合は、同一の水中油型乳化物サンプルについて複数のマジュニア脂肪抽出管を用いた油脂の抽出を行い、回収した油脂を混ぜ合わせて評価に使用した。
(試験例2)
実施例1、2及び比較例1、2の水中油型乳化物より、試験例1と同様の方法で油脂の抽出を行った。
MCR302(アントンパール・ジャパン)を用いて動的粘弾性の測定を行った。専用の冶具(P−PTD200/62、アントンパール・ジャパン)を用いて測定装置に固定したディスポーザブルプレート(EMS/TEK500/600、アントンパール・ジャパン)に、80℃に加温した実施例1、2及び比較例1、2より抽出した油脂10mLを入れ、50mmの平板プレート(PP50, アントンパール・ジャパン)を用いて、ギャップ約2.5mm、Strain0.5%、Frequency 1Hzにて動的粘弾性を測定した。温度制御にはサンプル下部と上部のカバー型温調ユニットの両方を用い、80℃から0℃まで降温速度1℃/分で冷やした際の20℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定した。結果を表1に示す。
貯蔵弾性率及び損失弾性率が1Pa以上を適度な硬さとした。
SFCの測定は核磁気共鳴装置(Minispec mq 20、 BrukerCo.)を用いて行った。80℃に加温した実施例1、2及び比較例1、2より抽出した油脂2.5mLをガラス管に入れて栓をした後、5℃として一晩静置し、さらに10℃、20℃、30℃、40℃の恒温槽中で30分間静置した後、SFCの測定を行った。なお比較として、生クリームより試験例1と同じ方法で抽出した油脂についてもSFCの測定を行った。結果を表2に示す。
実施例1、2及び比較例1、2の水中油型乳化物(5℃)200gに対して、砂糖15gを加え、20℃の部屋で直径21cmのステンレス製の深底ボールと2軸式ハンドミキサーを用いてビーターの回転速度400rpmにて起泡した。
ホイップした水中油型乳化物は、直径5cm、深さ5cmのカップに入れ、直系2cmのステンレス製の円柱を1mm/秒の速度で1cm貫入させた際の最大応力を測定し、最大応力の値が40gとなるまでに要した時間を評価した。
さらに、ホイップ終了時の水中油型乳化物を直径5cm、深さ5cmのカップに入れて重量を測定し、以下の式よりオーバーランを計算した。
時間は7分以下を合格とした。オーバーランは150%以上を良好とした。また、官能により風味と色の評価を行った。結果を表3に示す。
A:単位体積あたりのホイップ前の水中油型乳化物の重量
B:単位体積あたりのホイップ後の水中油型乳化物の重量
オーバーラン(%)=(A−B)/B × 100
これは、油脂100g中換算でベヘン酸を0.1g以上2g以下含む水中油型乳化物は、ベヘン酸やベヘン酸を脂肪酸とする親油性乳化剤の界面吸着層や逆ミセルを核とする脂肪結晶が、水中油型乳化物の冷却時の30℃において局所的に形成されはじめ、さらなる冷却に伴ってこの脂肪結晶が成長することによるものと考えられる。
これは、油脂100g中換算でベヘン酸を0.1g以上2g以下含む水中油型乳化物は、気泡界面においても強固な気液界面の脂肪球のネットワークを形成することによると考えられる。
特に40℃未満の温度域におけるSFCに全く影響しないため、ホイップした際に、口に含んだときの口解けや風味が良好な水中油型乳化物を得ることが出来る。
(試験例5)
これを80℃に加温し、ネジ口試験管に採取し、0.5N NaOHメタノール溶液1.5mLを加えて密栓し、沸騰水中で9分間加温した。
冷却後、14%三フッ化ホウ素メタノール溶液2.0mLを加えて密栓し、沸騰水中で7分間加温した。冷却後、内部標準として5g/L C17メチルヘキサン溶液2.0mLを加え、さらに3.0mLヘキサン、3.0mL飽和食塩水を加えて密栓して1分間振トウした。
1時間の静置の後、上層100μLをバイアルに分取してヘキサン1.5mLを加えて16倍希釈し、Agilent6890NネットワークGC(Agilent Technologies、Inc)を用いてスプリット比5:1の条件でベヘン酸を定量した。
(表4)に示すとおり、実施例1と実施例2より抽出した油脂100g換算のベヘン酸量は0.5gであり、添加したベヘン酸量を上記した方法で定量が可能であった。また、構成脂肪酸としてベヘン酸を含まない乳化剤を用いた比較例1と比較例2より抽出した油脂は0.05g未満であり、このことからも定量法の妥当性が確認された。
Claims (6)
- 油脂として乳脂肪のみを15重量%以上35重量%以下と、油脂100g中換算で0.1g以上2g以下のベヘン酸と、を含むことを特徴とする水中油型乳化物。
- 水中油型乳化物に含まれる油脂の20℃における貯蔵弾性率と損失弾性率が1Pa以上であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化物。
- 水中油型乳化物に含まれる油脂の40℃における固体脂量が0.5%以上1.5%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の水中油型乳化物。
- さらに、水中油型乳化物に含まれる油脂の30℃における固体脂量が7%程度、20℃における固体脂量が23%程度、10℃における固体脂量が50%程度であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化物。
- オーバーランが7分以内に150%以上となることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水中油型乳化物。
- 乳脂肪とベヘン酸残基を含む乳化剤とを混合して油相を調製する工程と、水と水溶性原材料とを混合する工程と、前記油相と前記水相とを混合する工程と、前記油相と前記水相とを混合して得られた混合物を均質化する工程と、前記油相と前記水相とを混合して得られた混合物を殺菌する工程と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水中油型乳化物の製造方法。
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