JP6847600B2 - 電制機選択方法、電制機選択プログラム及びその記録媒体 - Google Patents
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Description
以下では、図1〜図9を参照しつつ、本実施形態に係る電制機選択方法について説明する。本実施形態に係る電制機選択方法は、単一のコンピュータ又はネットワーク接続された複数のコンピュータ及び表示装置を含み構成されたシステムによって実現することができる。本実施形態に係る電制機選択方法は、プログラムを記録媒体であるHDDやSSD等に記憶しており、RAMに適宜展開し、CPUで処理することにより、後述する各ステップを行うことができる。本電制機選択方法を実現可能に構成されたシステム又は装置は、各ステップで必要な情報を、オンラインで取得することができる。本電制機選択方法は、例えば、電力系統安定化装置に適用することができる。
(1)電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップ1。
(2)母線選択ステップで選択した母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップ2。
(3)母線選択ステップで選択した母線と電圧安定用電制候補特定ステップで特定した1台以上の電制候補発電機に基づいて、等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3。
(4)等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の母線の電圧回復量を計算し、電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップ4。
母線選択ステップ1では、対象とする電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、当該電力系統において母線電圧が過渡的に低下する母線を選択する。より具体的には、母線選択ステップ1では、電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、当該電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択する。換言すれば、母線電圧が故障除去後に最初に極小値となる母線を選択する。なお、電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果は、任意の電力系統安定化装置で得られるものを用いることができる。
電圧安定用電制候補特定ステップ2では、母線選択ステップ1で選択した母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する。具体的には、図2に示すように、対象となる母線電圧が故障除去時点tc以降最も早く極小値となる時点t2で、発電機の内部相差角δTが、予め設定された電制候補選択閾値δL以上となる対象母線に接続された1台以上の発電機1〜nとして選択する。電制候補選択閾値δLは、対象系統の過渡安定度解析シミュレーションを複数回行った結果によって経験的に決定する。例えば、閾値δLは90°とすることができる。
等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3では、母線選択ステップ1で選択した母線と、電圧安定用電制候補特定ステップ2で選択した1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する。図3に示すように、本ステップ3は、等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象とする演算対象範囲決定ステップ31と、当該ステップで決定した演算対象範囲を縮約し、等価一機対無限大母線系統モデルを作成するモデル作成ステップ32と、を有する。
本ステップ31は、該当母線に接続され、かつ、電圧安定用電制候補特定ステップ2で特定した発電機を含む発電機群の、該当母線との間の等価合成リアクタンスをそれぞれ算出し、演算対象範囲を決定する。演算対象範囲は、該当母線から、等価合成リアクタンスが最小となる発電機群側の系統であり、該当母線から等価合成リアクタンス最小の発電機群までの範囲である。以下、図4を用いて、具体的に説明する。
図5は、図4に示した演算対象範囲となる系統を一般化して表現したモデル系統である。図6は、演算対象範囲となる系統を縮約した等価一機対無限大母線系統モデルである。図5中に示した各パラメータの説明は、以下の通りである。
X0:該当母線以遠の等価リアクタンス(p.u.)。
V:過渡電圧低下最初極小時点t2の該当母線電圧(p.u.)。過渡安定度解析シミュレーション結果から得られる。
Xg1〜Xgn:電制候補発電機1〜nの発電機高圧側母線から見た各発電機1〜nそれぞれの合成リアクタンス(p.u.)。既知の設備データから計算によって得られる。
Eg1〜Egn:過渡電圧低下最初極小時点t2の電制候補発電機1〜nの内部電圧(p.u.)=1.0と仮定する。
δg1〜δgn:過渡電圧低下最初極小時点t2の電制候補発電機1〜nの内部相差角(rad)。過渡安定度解析シミュレーション結果から得られる。
EGは、過渡安定度解析シミュレーション結果から、式(1)より算出できる。
δは、過渡安定度解析シミュレーション結果及び既知の設備データから、式(2)より算出できる。
3.演算対象範囲の各発電機リアクタンスXg1〜Xgnの合成リアクタンスXgG(p.u.)
XgGは、既知の設備データから、式(3)より算出できる。
XLは、既知の設備データから計算によって得られる。計算方法は、公知の方法を用いることができる。
5.該当母線から見た等価一機発電機側の合成リアクタンスXG(p.u.)
XGは、式(4)より算出できる。
Vは、式(5)より算出でき、その大きさは、式(6)により算出できる。なお、本明細書の文中のVは、以下の各式中のV上付きドットと同義である。
X0は、過渡安定度解析シミュレーション結果から、式(7)より算出できる。
電圧安定用電制決定ステップ4では、等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の該当母線の電圧回復量を計算し、当該電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する。
本ステップ41では、作成した等価一機対無限大母線系統モデルの等価一機発電機を構成する1台以上の発電機の中から、電制対象発電機の組合せを作成する。例えば、図5を用いて説明すると、等価一機とする発電機群は、発電機A1G〜A4Gの4つからなるため、このうちの1台を電制する場合が4(=4C1)通り、2台を電制する場合が6(=4C2)通り、3台を電制する場合が4(=4C3)通り、4台を電制する場合が1(=4C4)通りというように、電制対象発電機の各台数それぞれの場合の電制対象発電機の組合せを作成する。
本ステップ42では、電制対象発電機の組合せ毎に、電制による該当母線の電圧回復量を計算する。電圧回復量は、電制後の該当母線電圧と電制前の該当母線電圧との差である。本ステップ42は、動的解析である過渡安定度解析シミュレーションを逐一行うものではなく、後述するように、代数計算のみの静的解析により簡易にするものである。図8に示すように、本ステップ42は、発電機出力算出ステップ421と、電制後の内部相差角最大値算出ステップ422と、電制による該当母線の電圧回復量算出ステップ433と、を有する。
本ステップ421では、作成した等価一機対無限大母線系統モデルから、等価一機発電機における故障中の発電機出力Pf、故障除去後の発電機出力P1、及び再閉路後の発電機出力P2を算出する。そのために、図9に示すように、故障発生後の等価一機発電機の有効電力P、角速度偏差Δω、内部相差角δTの変化を定義する。図9に示される各記号の説明を以下に示す。なお、故障発生時点はt=0とする。また、以下では、等価一機発電機を、単に発電機と称する。
t1:再閉路時点(s)
t2:過渡電圧低下最初の極小時点(s)
ts:電制時点(s)
t3:電制後にδT最大となる時点(s)
Pf:故障中の発電機出力(0≦t<tc)(p.u.)
P1:故障除去後の発電機出力(出力減状態)(tc≦t<t1)(p.u.)
P2:再閉路後の発電機出力(出力増状態)(t≧t1)(p.u.)
P0’:電制後の発電機機械入力(p.u.)
ΔPs:電制量(p.u.)
Δω1:故障除去後の角速度偏差
(電制なし:tc≦t<t1、電制あり:tc≦t<ts)(p.u.)
Δω2:電制なしかつ再閉路後の角速度偏差(t≧t1)(p.u.)
Δω1s:電制後の角速度偏差(tc≦t<t1)(p.u.)
Δωs:電制ありかつ再閉路後の角速度偏差(t≧t1)(p.u.)
δc:故障中の内部相差角(0≦t<tc)(rad)
δ1:故障除去後の内部相差角
(電制なし:tc≦t<t1、電制あり:tc≦t<ts)(rad)
δ2:電制なしかつ再閉路後の内部相差角(t≧t1)(rad)
δ1s:電制後の内部相差角(ts≦t<t1)(rad)
δs:電制ありかつ再閉路後の内部相差角(t≧t1)(rad)
時点t1で、再閉路後に等価一機発電機の有効電力がP1(P1<P0)からP2(P2>P0)に回復すると、角速度偏差Δωは、時点t1以後では傾きが負であるΔω2(t)として変化する。
一方、過渡電圧低下最初の極小時点t2のとき、等価一機発電機の内部相差角δがピーク値δ2(t2)であると仮定すると、Δω2(t2)=0となる。
M:等価一機発電機の慣性定数(s)(発電機定格容量による加重平均値)
ω0:基本角速度(rad/s)。既知の設備データから得られる。
M1〜Mn:電制候補発電機1〜nの慣性定数(s)。既知の設備データから得られる。
MVA1〜MVAn:電制候補発電機1〜nの発電機容量(MVA)。既知の設備データから得られる。
δ0:等価一機発電機の故障発生前の内部相差角(初期値、発電機定格容量による加重平均値)(rad)
tc:故障除去時点(s)
δc(tc):時点tcの内部相差角(rad)
t2:過渡電圧低下最初の極小値時点
δ2(t2):時点t2の内部相差角(rad)
δ01〜δ0n:電制候補発電機1〜nの故障発生前の内部相差角(rad)
本ステップでは、電制後の等価一機発電機の内部相差角の最大値を算出する。図8の電制した場合の時点tsにおける角速度偏差Δω1(ts)、内部相差角δ1(ts)は、それぞれ式(31)、(32)で表される。また、角速度偏差Δω1s(t)、Δωs(t)および内部相差角δ1s(t)、δs(t)は、それぞれ式(33)〜(36)で表される。
M1〜Mk:電制候補発電機1〜nの内、電制されていない発電機1〜kの慣性定数(s)
MVA1〜MVAk:電制候補発電機1〜nの内、電制されていない発電機1〜kの発電機容量(MVA)
上記の通り、発電機が電制された場合、該当母線から見た等価一機発電機側の合成リアクタンスはXGからXGSに変化する。このXGSは、電制後の系統構成から式(3)及び式(4)から算出できる。XGS及びδsmaxから、電制後に最小となる該当母線の電圧の大きさ|Vsmin|は、式(46)で得られる。
本ステップ44は、最大組合せ特定ステップ43で特定した組合せの中から、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する。具体的には、最大組合せ特定ステップ43で特定した組合せのうち、所定の電圧改善量よりも高い電圧回復量であり、かつ、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する。計算した電圧回復量が所定の電圧改善量よりも高い場合に、電圧回復量が予め設定した所定の電圧改善量を満足する。
(1)本実施形態の電制機選択方法は、電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択方法であって、電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップ1と、該当母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップ2と、該当母線と1台以上の電制候補発電機を基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3と、等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の該当母線の電圧回復量を計算し、電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップ4と、を有するようにした。
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
Claims (9)
- 電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択方法であって、
前記電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップと、
前記母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップと、
前記母線と前記1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップと、
前記等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、前記1台以上の電制候補発電機を電制した場合の前記母線の電圧または電圧回復量を計算し、当該電圧または前記電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップと、
を有し、
前記母線選択ステップは、前記電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択し、当該選択結果の中から、母線電圧が前記故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択することを特徴とする電制機選択方法。 - 前記電圧安定用電制候補特定ステップは、母線電圧が前記故障除去後に最も早く極小値となる時点で、予め設定した閾値以上の内部相差角となる1台以上の発電機を選択すること、
を特徴とする請求項1記載の電制機選択方法。 - 前記等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップは、前記母線から、内部相差角が所定の閾値以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる系統を、前記等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象とする演算対象範囲決定ステップを有すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電制機選択方法。 - 前記等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップは、前記演算対象範囲となる系統において、前記母線から、内部相差角が所定の閾値以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる1台以上の発電機を等価一機発電機とし、前記等価一機発電機の等価合成リアクタンスと既知の設備データから得られるリアクタンスから等価一機発電機リアクタンスを計算し、前記等価一機発電機リアクタンスと、前記母線から無限大母線までの等価背後リアクタンスとから等価一機対無限大母線系統モデルを作成するモデル作成ステップを有すること、
を特徴とする請求項3記載の電制機選択方法。 - 前記電圧安定用電制決定ステップは、
前記等価一機対無限大母線系統モデルの前記等価一機発電機を構成する1台以上の発電機の中から、電制対象発電機の組合せを作成する組合せ作成ステップと、
前記組合せ毎に、電制後の前記母線の電圧または電制による前記母線の電圧回復量を計算する計算ステップと、
前記組合せにおける前記電制対象発電機の台数毎に、計算した前記電圧または電圧回復量が最大の組合せを特定する最大組合せ特定ステップと、
前記最大組合せ特定ステップで特定した前記組合せの中から、予め設定した所定基準より高い電圧または電圧回復量であり、かつ、前記電制対象発電機の台数が最小となる前記組合せを選択する組合せ選択ステップと、
を有することを特徴とする請求項4に記載の電制機選択方法。 - 前記電圧安定用電制決定ステップは、電制後の前記等価一機発電機の有効電力を、電制前後の前記等価一機発電機リアクタンスの変化を加味して算出すること、
を特徴とする請求項4又は5に記載の電制機選択方法。 - 前記電圧安定用電制決定ステップは、電制後の前記等価一機発電機の角速度偏差を、電制前後の故障前有効電力と慣性定数の変化を加味して算出すること、
を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電制機選択方法。 - 電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択プログラムであって、
コンピュータに、
前記電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を特定する母線選択処理と、
前記母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定処理と、
前記母線と前記1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成処理と、
前記等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、前記1台以上の電制候補発電機を電制した場合の電圧または前記母線の電圧回復量を計算し、当該電圧または前記電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定処理と、
を実行させ、
前記母線選択処理では、コンピュータに、前記電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択させ、当該選択結果の中から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が前記故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択させることを特徴とする電制機選択プログラム。 - 前記請求項8記載の電制機選択プログラムをコンピュータが読み取り可能に記録したことを特徴とする記録媒体。
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