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JP6847600B2 - 電制機選択方法、電制機選択プログラム及びその記録媒体 - Google Patents
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電制機選択方法、電制機選択プログラム及びその記録媒体 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電力系統安定化装置における電制機選択方法、電制機選択プログラム及びその記録媒体に関する。
一般に、電力系統内に事故が発生すると、急激な需給のアンバランスが生じ、系統内の発電機が脱調する場合がある。発電機の脱調とは、発電機の機械入力に対して電気的な出力が少ない状態が続き、発電機の回転速度が増加して他の発電機との位相関係が崩れてしまうことを主たる要因として、安定的に運転できなくなる現象である。そのため、機械入力に対する電気的出力を一時的に大きくすることができれば、発電機の回転速度が減少して、他の発電機との位相関係が崩れるのを抑制できる。
そこで、脱調を防止するため、位相関係が崩れた発電機を系統から遮断する電源制限(以下、電制という。)を行うことが知られている。この電制は、遮断した発電機の負荷分担分である発電出力が、残りの発電機で分担されることで残りの発電機の電気的出力が一時的に増える効果を利用した系統安定化手法である。
ところで、上記の電制をする場合もしない場合も、すなわち脱調現象が生じるか否かに関わらず、事故発生後には、発電機の動揺により、系統内に過渡的な電圧低下現象が発生し得る。この過渡的な電圧低下現象は、内部相差角の大きい発電機を電制することで解消できる。過渡的な電圧低下現象の抑制手法としては、例えば、調相制御に着目した制御方法が知られている。
ある発電機母線間の電圧の位相差が開いた際に、理論的には中間に位置する母線の電圧が最も低下する。そのため、当該母線の電圧を回復するためには、位相角が基準電源から開いている内部相差角の大きい発電機を特定して、当該発電機を電制する必要がある。電源線故障などで内部相差角が開く発電機を予め特定できる場合は電制候補発電機を限定できる。
特開2011− 26583号公報
事故発生後に系統内に生じる過渡的な電圧低下現象を抑制するために、限られた範囲内で発電機の数も少なければ、電制量に対する母線電圧回復量が最も大きい発電機を、比較的短時間で電制対象として決定することができる。しかし、基幹系統故障など広域に存在する多数の発電機が動揺するような場合には、電制量に対する母線電圧回復量が最も大きい発電機を短時間で検出することは困難であった。
本発明の実施形態は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電力系統の故障除去後の過渡電圧低下を抑制することのできる電制機選択方法、電制機選択プログラム及びその記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態の電制機選択方法は、電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択方法であって、前記電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップと、前記母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップと、前記母線と前記1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップと、前記等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、前記1台以上の電制候補発電機を電制した場合の前記母線の電圧または電圧回復量を計算し、当該電圧または前記電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップと、を有、前記母線選択ステップは、前記電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択し、当該選択結果の中から、母線電圧が前記故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択することを特徴とする。
また、本実施形態は、プログラムの観点から捉えることもできる。さらに、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体として捉えることもできる。
本実施形態に係る電制機選択方法の構成を示す図である。 対象とする電力系統の過渡安定度解析シミュレーションによる各母線電圧及び発電機の内部相差角の時間変化を示す図である。 等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップの構成を示す図である。 等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象範囲について説明するための図である。 図4に示した演算対象範囲となる系統を一般化して表現したモデル系統である。 演算対象範囲となる系統を縮約した等価一機対無限大母線系統モデルである。 電圧安定用電制決定ステップの構成を示す図である。 電圧回復量計算ステップの構成を示す図である。 電制後の内部相差角最大値算出のための発電機機械入力、発電機出力、角速度偏差及び内部相差角の定義を示す図である。
[1−1.構成]
以下では、図1〜図9を参照しつつ、本実施形態に係る電制機選択方法について説明する。本実施形態に係る電制機選択方法は、単一のコンピュータ又はネットワーク接続された複数のコンピュータ及び表示装置を含み構成されたシステムによって実現することができる。本実施形態に係る電制機選択方法は、プログラムを記録媒体であるHDDやSSD等に記憶しており、RAMに適宜展開し、CPUで処理することにより、後述する各ステップを行うことができる。本電制機選択方法を実現可能に構成されたシステム又は装置は、各ステップで必要な情報を、オンラインで取得することができる。本電制機選択方法は、例えば、電力系統安定化装置に適用することができる。
本実施形態に係る電制機選択方法は、電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を選択する方法である。一般に、電力系統を不安定にする発電機を当該系統から遮断する電制は、発電機の脱調を防止するために行われる。電制を行うことで、電力系統の安定化を図ることができる。但し、電制を行った場合であっても、電力系統内の母線が、過渡的に電圧低下する場合がある。
本電制機選択方法は、発電機の脱調を防止する電制を行った後に、過渡的な電圧低下を抑制するために、追加的に電制対象とする発電機を選択する方法である。また、電力系統の故障除去後において、当該系統が不安定にならず発電機の脱調防止のための電制が必要ない場合もある。この場合であっても、電力系統内の発電機の動揺により、過渡的な電圧低下が生じ得る。この場合に、当該電圧低下を抑制するために、電制対象とする発電機を選択する方法も本実施形態の電制選択方法の対象である。
本実施形態の電制は、電力系統内の母線の電圧を回復させるための電制であり、発電機の脱調防止のための電制と区別するため、以下では、本実施形態が対象とする電制を「電圧安定用電制」と称する場合がある。また、特に断りがなければ、単に電制という場合、電圧安定用電制を指す。
図1は、本実施形態に係る電制機選択方法の構成を示す図である。図1に示すように、電制機選択方法は、次の(1)〜(4)のステップを有する。
(1)電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップ1。
(2)母線選択ステップで選択した母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップ2。
(3)母線選択ステップで選択した母線と電圧安定用電制候補特定ステップで特定した1台以上の電制候補発電機に基づいて、等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3。
(4)等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の母線の電圧回復量を計算し、電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップ4。
(1)母線選択ステップ
母線選択ステップ1では、対象とする電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、当該電力系統において母線電圧が過渡的に低下する母線を選択する。より具体的には、母線選択ステップ1では、電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、当該電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択する。換言すれば、母線電圧が故障除去後に最初に極小値となる母線を選択する。なお、電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果は、任意の電力系統安定化装置で得られるものを用いることができる。
図2は、対象とする電力系統の過渡安定度解析シミュレーションによる各母線電圧及び発電機の内部相差角の時間変化を示す図である。図2には、電力系統の複数(ここでは3つ)の母線の電圧変化のグラフA〜Cが示されている。図2に示すように、故障発生時点tfにおいて、電力系統内の遮断器が動作することで、故障発生時点tfから故障除去時点tcまで母線電圧は低下する。そして、故障除去時点tcにおいて電力系統内の遮断器が投入され再閉路となると母線電圧は一時的に回復するが、発電機の動揺により、過渡的に電圧低下現象が発生する。
図2に示すように、本実施形態の母線選択ステップ1では、母線電圧VTが電圧低下判定閾値VLを一定時間TL以上の間下回る母線のうち、故障除去時点tc以降において、母線電圧が最初に極小値となる母線を選択する。閾値VLは、対象系統の過渡安定度解析シミュレーションを複数回行った結果や、運用上許容できる電圧値から経験的に決定する。例えば、閾値VLは、母線電圧の定格の80%とすることができる。図2では、母線電圧が最も早く極小値となる時点をt2としている。図2の例では、グラフAとなる母線を選択する。図2に示すように、他の母線は事後的に電圧の低下が最小となるが、本ステップ1ではこれらは選択しない。
本実施形態の母線選択ステップ1では、母線電圧が閾値VLを下回る時間TLを所定の時間に設定している。この時間は、例えば、需要家の受電設備に設けられている不足電圧継電器が動作する不足電圧の継続時間より短い時間に設定する。過渡電圧低下に伴う不足電圧継電器が動作する前に対象母線の過渡電圧低下を抑制するためである。なお、本母線選択ステップ1で選択した母線を、該当母線という場合がある。
(2)電圧安定用電制候補特定ステップ
電圧安定用電制候補特定ステップ2では、母線選択ステップ1で選択した母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する。具体的には、図2に示すように、対象となる母線電圧が故障除去時点tc以降最も早く極小値となる時点t2で、発電機の内部相差角δTが、予め設定された電制候補選択閾値δL以上となる対象母線に接続された1台以上の発電機1〜nとして選択する。電制候補選択閾値δLは、対象系統の過渡安定度解析シミュレーションを複数回行った結果によって経験的に決定する。例えば、閾値δLは90°とすることができる。
(3)等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ
等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3では、母線選択ステップ1で選択した母線と、電圧安定用電制候補特定ステップ2で選択した1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する。図3に示すように、本ステップ3は、等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象とする演算対象範囲決定ステップ31と、当該ステップで決定した演算対象範囲を縮約し、等価一機対無限大母線系統モデルを作成するモデル作成ステップ32と、を有する。
(3−1)演算対象範囲決定ステップ
本ステップ31は、該当母線に接続され、かつ、電圧安定用電制候補特定ステップ2で特定した発電機を含む発電機群の、該当母線との間の等価合成リアクタンスをそれぞれ算出し、演算対象範囲を決定する。演算対象範囲は、該当母線から、等価合成リアクタンスが最小となる発電機群側の系統であり、該当母線から等価合成リアクタンス最小の発電機群までの範囲である。以下、図4を用いて、具体的に説明する。
図4は、等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象範囲について説明するための図である。図4には、太線で示された複数の母線が示されているが、該当母線が275A1であり、故障除去後に最も早く母線電圧が極小値となる時点t2で内部相差角が閾値δL以上となる発電機がA1G〜A4G、B1G〜B4Gである場合、該当の発電機群が2つある。そこで、本ステップでは、母線275A1から発電機A1G〜A4Gまでの等価合成リアクタンス2Xと、母線275A1から発電機B1G〜B4Gまでの等価合成リアクタンス8Xとをそれぞれ算出する。そして、算出した等価合成リアクタンスを比較し、該当母線275A1から等価合成リアクタンスが最小となる発電機A1G〜A4Gまでの系統を、等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象とする。なお、Xは、送電線の単位長さ当たりのリアクタンス値(p.u.)である。
このように複数の電制候補発電機が電圧安定用電制候補ステップ2により特定されるにも関わらず、範囲を限定するように演算対象範囲を決定するのは、電圧安定用電制候補特定ステップ2で特定した電制候補発電機が広域に分布する場合、それらの発電機を等価一機にまとめた等価一機対無限大母線系統モデルによる演算では、最終的に演算する該当母線の電圧回復量の誤差が大きくなるからである。発電機A1G〜A4Gと発電機B1G〜B4Gとが共通して接続される発電機共通母線Sを挟み、該当母線275A1以遠の他の発電機群B1G〜B4Gを含む系統は演算範囲対象外である。
このように、発電機群には、電圧安定用電制候補として特定された発電機が1台以上含まれていれば良い。どの範囲の発電機を1つの発電機群とするかの決定方法は、例えば、図4で説明すると、該当母線275A1に接続された母線に設けられた発電機A1G〜A4Gを1つの発電機群とし、それ以外の当該発電機群から見て該当母線以遠の発電機B1G〜B4Gを1つの発電機群とする。
(3−2)モデル作成ステップ
図5は、図4に示した演算対象範囲となる系統を一般化して表現したモデル系統である。図6は、演算対象範囲となる系統を縮約した等価一機対無限大母線系統モデルである。図5中に示した各パラメータの説明は、以下の通りである。
E:過渡電圧低下最初極小時点t2の無限大母線電圧(p.u.)。過渡安定度解析シミュレーション結果から得られる。
X0:該当母線以遠の等価リアクタンス(p.u.)。
:過渡電圧低下最初極小時点t2の該当母線電圧(p.u.)。過渡安定度解析シミュレーション結果から得られる。
Xg1〜Xgn:電制候補発電機1〜nの発電機高圧側母線から見た各発電機1〜nそれぞれの合成リアクタンス(p.u.)。既知の設備データから計算によって得られる。
Eg1〜Egn:過渡電圧低下最初極小時点t2の電制候補発電機1〜nの内部電圧(p.u.)=1.0と仮定する。
δg1〜δgn:過渡電圧低下最初極小時点t2の電制候補発電機1〜nの内部相差角(rad)。過渡安定度解析シミュレーション結果から得られる。
本ステップ32では、決定した演算対象範囲を等価一機対無限大母線系統モデルに縮約する。具体的には、本ステップ32では、演算対象範囲となる系統において、該当母線から、内部相差角が所定の閾値δL以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる1台以上の発電機を等価一機発電機とし、等価一機発電機リアクタンスと、該当母線から無限大母線までの等価背後リアクタンスとから等価一機対無限大母線系統モデルを作成する。
縮約方法は、従来の手法を用いることができ、本実施形態では下記に示す手法を用いる。その他、例えば、短絡容量法、短絡電流法、二負荷法など、縮約対象系統に合わせて縮約系統パラメータを数式的に算出し、原系統モデルと事故発生時の連系点の潮流や電圧などの特性を合わせこむ手法や、事故発生時の特性に加えて事故発生後の動特性までを原系統モデルと合わせこむ手法を用いることもできる。
本ステップ32では、まず、当該縮約の前に、縮約に必要なパラメータを求める。求めるパラメータは、具体的には、以下の1〜7の通りである。なお、各パラメータの算出に必要な過渡安定度解析シミュレーション結果又は既知の設備データなどの各種情報は、オンラインで取得する。
1.過渡電圧低下最初極小値t2の等価一機発電機の内部電圧EG(p.u.)
EGは、過渡安定度解析シミュレーション結果から、式(1)より算出できる。
Figure 0006847600
2.過渡電圧低下最初極小値t2の等価一機発電機の内部相差角δ(rad)
δは、過渡安定度解析シミュレーション結果及び既知の設備データから、式(2)より算出できる。
Figure 0006847600
MVA1〜MVAn:電制候補発電機1〜nの発電機容量(MVA)。既知の設備データから得られる。
3.演算対象範囲の各発電機リアクタンスXg1〜Xgnの合成リアクタンスXgG(p.u.)
XgGは、既知の設備データから、式(3)より算出できる。
Figure 0006847600
4.該当母線から見た発電機側共通母線までの送電線路合成リアクタンスXL(p.u.)
XLは、既知の設備データから計算によって得られる。計算方法は、公知の方法を用いることができる。
5.該当母線から見た等価一機発電機側の合成リアクタンスXG(p.u.)
XGは、式(4)より算出できる。
Figure 0006847600
6.該当母線の電圧(p.u.)
は、式(5)より算出でき、その大きさは、式(6)により算出できる。なお、本明細書の文中のは、以下の各式中のV上付きドットと同義である。
Figure 0006847600
Figure 0006847600
7.該当母線以遠の等価リアクタンスX0(p.u.)
X0は、過渡安定度解析シミュレーション結果から、式(7)より算出できる。
Figure 0006847600
上記1〜7のパラメータを用いて、決定した演算対象範囲を縮約する。なお、式(7)は、以下のように導かれる。
まず、α=XG/(X0+XG)とおき、式(5)の両辺を2乗して、αの2次式である式(8)に変形する。
Figure 0006847600
そして、式(8)を変形して式(9)を得る。
Figure 0006847600
式(9)から式(10)が得られる。
Figure 0006847600
α=XG/(X0+XG)より、式(11)が得られる。
Figure 0006847600
式(10)及び式(11)より式(12)が得られる。
Figure 0006847600
αをXGについて偏微分すると、式(13)が得られる。
Figure 0006847600
式(13)は、電制によりXGが大きくなるとαが大きくなることを示している。従って、電制により電圧回復を見込めるαは式(7)で表現される。
(4)電圧安定用電制決定ステップ
電圧安定用電制決定ステップ4では、等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の該当母線の電圧回復量を計算し、当該電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する。
具体的には、図7に示すように、本ステップ4は、作成した等価一機対無限大母線系統モデルの等価一機発電機を構成する1台以上の発電機の中から、電制対象発電機の組合せを作成する組合せ作成ステップ41と、当該組合せ毎に、電制による該当母線の電圧回復量を計算する電圧回復量計算ステップ42と、当該組合せにおける電制対象発電機の台数毎に、電圧回復量が最大の組合せを特定する最大組合せ特定ステップ43と、最大組合せ特定ステップで特定した組合せの中から、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する組合せ選択ステップ44とを有する。
(4−1)組合せ作成ステップ
本ステップ41では、作成した等価一機対無限大母線系統モデルの等価一機発電機を構成する1台以上の発電機の中から、電制対象発電機の組合せを作成する。例えば、図5を用いて説明すると、等価一機とする発電機群は、発電機A1G〜A4Gの4つからなるため、このうちの1台を電制する場合が4(=)通り、2台を電制する場合が6(=)通り、3台を電制する場合が4(=)通り、4台を電制する場合が1(=)通りというように、電制対象発電機の各台数それぞれの場合の電制対象発電機の組合せを作成する。
(4−2)電圧回復量計算ステップ
本ステップ42では、電制対象発電機の組合せ毎に、電制による該当母線の電圧回復量を計算する。電圧回復量は、電制後の該当母線電圧と電制前の該当母線電圧との差である。本ステップ42は、動的解析である過渡安定度解析シミュレーションを逐一行うものではなく、後述するように、代数計算のみの静的解析により簡易にするものである。図8に示すように、本ステップ42は、発電機出力算出ステップ421と、電制後の内部相差角最大値算出ステップ422と、電制による該当母線の電圧回復量算出ステップ433と、を有する。
(1) 発電機出力算出ステップ
本ステップ421では、作成した等価一機対無限大母線系統モデルから、等価一機発電機における故障中の発電機出力Pf、故障除去後の発電機出力P1、及び再閉路後の発電機出力P2を算出する。そのために、図9に示すように、故障発生後の等価一機発電機の有効電力P、角速度偏差Δω、内部相差角δTの変化を定義する。図9に示される各記号の説明を以下に示す。なお、故障発生時点はt=0とする。また、以下では、等価一機発電機を、単に発電機と称する。
tc:故障除去時点(s)
t1:再閉路時点(s)
t2:過渡電圧低下最初の極小時点(s)
ts:電制時点(s)
t3:電制後にδT最大となる時点(s)
P0:電制前の発電機機械入力(p.u.)
Pf:故障中の発電機出力(0≦t<tc)(p.u.)
P1:故障除去後の発電機出力(出力減状態)(tc≦t<t1)(p.u.)
P2:再閉路後の発電機出力(出力増状態)(t≧t1)(p.u.)
P0’:電制後の発電機機械入力(p.u.)
ΔPs:電制量(p.u.)
Δω:故障中の角速度偏差(0≦t<tc)(p.u.)
Δω1:故障除去後の角速度偏差
(電制なし:tc≦t<t1、電制あり:tc≦t<ts)(p.u.)
Δω2:電制なしかつ再閉路後の角速度偏差(t≧t1)(p.u.)
Δω1s:電制後の角速度偏差(tc≦t<t1)(p.u.)
Δωs:電制ありかつ再閉路後の角速度偏差(t≧t1)(p.u.)
Δδ:電制による内部相差角最大値の変化量(rad)
δc:故障中の内部相差角(0≦t<tc)(rad)
δ1:故障除去後の内部相差角
(電制なし:tc≦t<t1、電制あり:tc≦t<ts)(rad)
δ2:電制なしかつ再閉路後の内部相差角(t≧t1)(rad)
δ1s:電制後の内部相差角(ts≦t<t1)(rad)
δs:電制ありかつ再閉路後の内部相差角(t≧t1)(rad)
時点tcで、故障除去後に等価一機発電機の有効電力がPf(Pf<P1)からP1(P1<P0)に回復すると、角速度偏差Δωは、時点tc以前では正の傾きでΔωc(t)として変化し、時点tc以後では比較的傾きが緩やかなΔω1(t)として変化する。
時点t1で、再閉路後に等価一機発電機の有効電力がP1(P1<P0)からP2(P2>P0)に回復すると、角速度偏差Δωは、時点t1以後では傾きが負であるΔω2(t)として変化する。
一方、過渡電圧低下最初の極小時点t2のとき、等価一機発電機の内部相差角δがピーク値δ2(t2)であると仮定すると、Δω2(t2)=0となる。
次に、時点tsで電制量ΔPsの電制が行われたとすると、発電機機械入力P0はP0’(=P0−ΔPs)へ変化する。
ここで、電制後に内部相差角がピーク値となる時点t3と、再閉路の時点t1との前後に着目して、t3≧t1となる場合と、t3<t1となる場合に場合分けする。電制量ΔPsが大きいと発電機の減速が速いので、内部相差角のピークが再閉路時点より前に来る。逆に、電制量ΔPsが小さいと、発電機の減速が遅いので、内部相差角のピークが再閉路時点より後になり、再閉路前後で解くべき式が変わるためである。
図9(a)に示すように、t3≧t1となる場合は、時点ts(ts<t1)以後の角速度偏差はΔω1s(t)としてΔω1(t)より緩やかな傾きで変化し、時点t1以後はΔωs(t)としてΔω2(t)より大きな負の傾きで変化して時点t3でΔωs(t3)=0となる。この場合、電制後の等価一機発電機の内部相差角のピーク値はδs(t3)となり、電制による内部相差角最大値の変化量Δδは、Δδ=δs(t3)−δ2(t2)となる。
図9(b)に示すように、t3<t1となる場合は、時点ts(ts<t1)以後の角速度偏差は、Δω1s(t)として大きな負の傾きで変化して、時点t1よりも前の時点t3でΔω1s(t3)=0となる。この場合、電制後の等価一機発電機の内部相差角のピーク値はδ1s(t3)となり、電制による内部相差角最大値の変化量Δδは、Δδ=δ1s(t3)−δ2(t2)となる。
図9において電制前の角速度偏差Δωc(t)、Δω1(t)、Δω2(t)および内部相差角δc(t)、δ1(t)、δ2(t)は、それぞれ以下の式で表される。
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
式(14)〜式(21)の各パラメータは以下の通りである。
M:等価一機発電機の慣性定数(s)(発電機定格容量による加重平均値)
ω0:基本角速度(rad/s)。既知の設備データから得られる。
M1〜Mn:電制候補発電機1〜nの慣性定数(s)。既知の設備データから得られる。
MVA1〜MVAn:電制候補発電機1〜nの発電機容量(MVA)。既知の設備データから得られる。
δ0:等価一機発電機の故障発生前の内部相差角(初期値、発電機定格容量による加重平均値)(rad)
過渡安定度解析シミュレーションの条件及び結果から、以下のパラメータが得られる。
tc:故障除去時点(s)
δc(tc):時点tcの内部相差角(rad)
t2:過渡電圧低下最初の極小値時点
δ2(t2):時点t2の内部相差角(rad)
δ01〜δ0n:電制候補発電機1〜nの故障発生前の内部相差角(rad)
(14)〜(16)式において、P0−Pf=ΔPf、P0−P1=ΔP1、P0−P2=ΔP2とおき、t=t2のとき、Δω2(t2)=0であることを考慮すると、次式の関係式が導出される。
Figure 0006847600
(22)式を変形して(23)式を得る。
Figure 0006847600
(14)〜(19)式より、δ2(t2)は(24)式で表現される。
Figure 0006847600
(24)式に(23)式を代入すると式(25)を得る。
Figure 0006847600
(25)式を変形して(26)式を得る。
Figure 0006847600
ΔPfは、(17)式において、δ(tc)が過渡安定度解析シミュレーション結果より既知であることから、(27)式より算出できる。
Figure 0006847600
(27)式でΔPfを求め、それを(26)式に代入してΔP1を求め、更に、ΔPfとΔP1を(23)式に代入して、ΔP2を求めることができる。よって、Pf、P1、P2はそれぞれ式(28)〜(30)より算出できる。
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
(2) 電制後の内部相差角最大値算出ステップ
本ステップでは、電制後の等価一機発電機の内部相差角の最大値を算出する。図8の電制した場合の時点tsにおける角速度偏差Δω1(ts)、内部相差角δ1(ts)は、それぞれ式(31)、(32)で表される。また、角速度偏差Δω1s(t)、Δωs(t)および内部相差角δ1s(t)、δs(t)は、それぞれ式(33)〜(36)で表される。
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
Figure 0006847600
式(31)〜(36)において、M’は、電制後の等価慣性定数を示し、式(37)で表される。
Figure 0006847600
式(37)の各パラメータは以下の通りである。
M1〜Mk:電制候補発電機1〜nの内、電制されていない発電機1〜kの慣性定数(s)
MVA1〜MVAk:電制候補発電機1〜nの内、電制されていない発電機1〜kの発電機容量(MVA)
また、P1’及びP2’は、電制後の発電機出力であり、それぞれ式(38)、(39)から算出できる。
Figure 0006847600
Figure 0006847600
XGSは、電制後の等価一機発電機側の合成リアクタンスであり、電制後の系統状態に基づき、式(3)及び式(4)から算出できる。式(38)及び式(39)に示すP1’及びP2’は、電制後の等価一機発電機の有効電力を、電制前後の等価一機発電機側合成リアクタンスの変化を加味したものである。すなわち、電制によって電制対象の発電機が遮断されるため、本来的には、演算対象範囲の系統モデルを変更する必要がある。しかし、電制後の等価一機対無限大母線系統モデルを再作成しても良いが、式(38)及び式(39)の右辺の第2因子が補正係数となり、電制前の等価一機体無限大母線系統モデルを使用してその後の母線電圧などの計算を実行しても精度の高い結果を得られる。
Gmは、電制直前の等価一機発電機の角速度偏差を電制後の等価一機発電機の角速度偏差に変換する係数であり、式(40)から算出できる。このGmは、補正因子である。
Figure 0006847600
式(40)において、P0’は、電制後の等価一機発電機の発電機機械入力であり、電制候補発電機1〜nのうち、電制されていない発電機1〜kの発電機機械入力を合計することで算出できる。
ΔPsは、式(41)から算出できる。
Figure 0006847600
t3≧t1の場合、電制後は、t=t3でωs(t3)=0となるため、式(34)より式(41)に示す通り、t3を算出できる。
Figure 0006847600
式(42)から得られるt3により、δs(t3)は式(36)から式(43)の通り算出できる。
Figure 0006847600
t3<t1の場合、電制後は、t=t3でω1s(t3)=0となるから、式(33)から式(44)に示す通り、t3を算出できる。
Figure 0006847600
式(44)から得られるt3により、δ1s(t3)は式(35)から式(45)の通り算出できる。
Figure 0006847600
以上より、電制後の内部相差角最大値δsmaxは、t3≧t1の場合は式(43)で表されるδs(t3)として、t3<t1の場合は式(45)で表されるδ1s(t3)として、それぞれ算出することができる。
(3) 該当母線の電圧回復量算出ステップ
上記の通り、発電機が電制された場合、該当母線から見た等価一機発電機側の合成リアクタンスはXGからXGSに変化する。このXGSは、電制後の系統構成から式(3)及び式(4)から算出できる。XGS及びδsmaxから、電制後に最小となる該当母線の電圧の大きさ|smin|は、式(46)で得られる。
Figure 0006847600
一方、電制しない場合の該当母線電圧の大きさの最小値|min|は、過渡安定度解析シミュレーションの条件及び結果から得られる。式(46)及び過渡安定度解析シミュレーション結果から得られる最小値|min|から、電圧回復量ΔVは式(47)より算出できる。
Figure 0006847600
(4−4)組合せ選択ステップ
本ステップ44は、最大組合せ特定ステップ43で特定した組合せの中から、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する。具体的には、最大組合せ特定ステップ43で特定した組合せのうち、所定の電圧改善量よりも高い電圧回復量であり、かつ、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する。計算した電圧回復量が所定の電圧改善量よりも高い場合に、電圧回復量が予め設定した所定の電圧改善量を満足する。
[1−2.作用・効果]
(1)本実施形態の電制機選択方法は、電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択方法であって、電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップ1と、該当母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップ2と、該当母線と1台以上の電制候補発電機を基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3と、等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の該当母線の電圧回復量を計算し、電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップ4と、を有するようにした。
これにより、広域に発電機が存在する基幹系統における故障が発生し、当該故障除去後に過渡的に電圧低下が生じたとしても、当該電圧低下を抑制するための電制対象となる発電機を特定することができる。例えば、本実施形態の電制機選択方法を電力系統安定化装置に適用する場合、リアルタイム制御の時間的制御の中で、想定事故に対する適切な電制対象をオンライン情報を基に計算し、選択することができる。
(2)母線選択ステップ1は、電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択するようにした。
これにより、該当母線の電圧低下に伴い未必的に生じ得る他の母線の電圧低下を防止することができる。すなわち、故障除去後、母線電圧が最も早く極小値となる母線には、その電圧低下を過渡的に引き起こす発電機が存在していると考えられるため、当該発電機を電制することで、該当母線の電圧低下の影響を他の母線に波及するのを防止することができる。従って、対象とする母線として、母線電圧が最も早く極小値となる母線を選択することで、該当母線の電圧低下に伴い未必的に生じ得る他の母線の電圧低下を防止することができる。
(3)母線選択ステップは、前記電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択するようにした。
これにより、電力系統の電力品質を確保することができる。すなわち、電力系統から需要家に受電設備を介して電力供給する状況において、当該受電設備に不足電圧継電器が設けられている場合がある。この場合、所定時間、所定の閾値を下回るような母線電圧の低下が生じると、当該継電器が作動し、電力供給できない事態が生じ得るが、例えば、当該継電器の設定された不足電圧、不足電圧の継続時間とならないように、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択することで、当該継電器の動作を未然に防止し、安定した電力供給を可能にすることができる。
(4)電圧安定用電制候補特定ステップ2は、母線電圧が前記故障除去後に最も早く極小値となる時点で、予め設定した閾値以上の内部相差角となる1台以上の発電機を選択するようにした。これにより、母線電圧の過渡的な低下を防止できる発電機を特定することができる。
(5)等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップ3は、該当母線から、内部相差角が所定の閾値以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる系統を、等価一機対無限大系統モデルの演算対象とする演算対象範囲決定ステップ31を有するようにした。これにより、故障除去後最も早く極小値となる母線に対して、電気的に近い発電機群を電圧安定用電制対象候補とすることができるので、過渡電圧低下の抑制に対する寄与を大きくすることができる。
(6)等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップは、前記演算対象範囲となる系統において、前記母線から、内部相差角が所定の閾値以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる1台以上の発電機を等価一機発電機とし、前記等価一機発電機リアクタンスと、前記母線から無限大母線までの等価背後リアクタンスとから等価一機対無限大母線系統モデルを作成するモデル作成ステップを有するようにした。
これにより、等価一機対無限大母線系統モデルという単純なモデルにするため、簡単な計算で電制対象となる発電機を選択することができる。
(7)電圧安定用電制決定ステップ4は、等価一機対無限大母線系統モデルの前記等価一機発電機を構成する1台以上の発電機の中から、電制対象発電機の組合せを作成する組合せ作成ステップ41と、当該組合せ毎に、電制による該当母線の電圧回復量を計算する電圧回復量計算ステップ42と、組合せにおける電制対象発電機の台数毎に、電圧回復量が最大の組合せを特定する最大組合せ特定ステップ43と、最大組合せ特定ステップ43で特定した組合せの中から、予め設定した所定の電圧改善量より高い電圧回復量であり、かつ、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する組合せ選択ステップ44と、を有するようにした。
これにより、効率的に電圧回復量が最大となる電制対象発電機の組合せを決定することができる。なお、決定した電制対象発電機を電制する過渡安定度解析シミュレーションを行った場合に、電圧回復量が所定の電圧改善量を満足できなかった場合でも、組合せにおける電制対象発電機の台数毎に、電圧回復量が最大の組合せを特定しているので、電制対象発電機の決定を再度やり直す必要がなくなる利点もある。
(8)電圧安定用電制決定ステップ4は、電制後の等価一機発電機の有効電力を、電制前後の等価一機発電機側合成リアクタンスの変化を加味して算出するようにした。これにより、電制後の等価一機発電機の有効電力が補正されるので、電制前後で等価一機対無限大母線系統モデルを修正する必要なく、精度の高い電圧回復量の演算結果を得ることができ、結果として過渡電圧低下を効果的に抑制することができる発電機を電制対象として決定することができる。
(9)電圧安定用電制決定ステップ4は、電制後の等価一機発電機の角速度偏差を、電制前後の故障前有効電力と慣性定数の変化を加味して算出するようにした。これにより、電制後の等価一機発電機の角速度偏差が補正されるので、精度の高い電圧回復量の演算結果を得ることができ、結果として過渡電圧低下を効果的に抑制することができる発電機を電制対象として決定することができる。
[2.その他の実施形態]
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
他の実施形態としては、上記実施形態では、電圧安定用電制決定ステップ4は、電圧回復量を計算したが、母線の電圧を計算するようにしても良い。すなわち、電圧安定用電制決定ステップ4は、等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、1台以上の電制候補発電機を電制した場合の母線の電圧を計算し、当該電圧が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定するようにしても良い。なお、「当該電圧が予め設定された所定基準を満足する」とは、計算した母線の電圧が予め設定された電圧値より高いことをいう。この場合、電圧回復量計算ステップ42は、組合せ作成ステップ41で作成した組合せ毎に、電制後の母線の電圧を計算する計算ステップとする。また、最大組合せ特定ステップ43は、組合せにおける電制対象発電機の台数毎に、計算した電圧が最大の組合せを特定し、組合せ選択ステップ44は、最大組合せ特定ステップで特定した組合せの中から、予め設定した所定基準より高い電圧であり、かつ、電制対象発電機の台数が最小となる組合せを選択する。
他の実施形態としては、上記実施形態では、電制対象発電機の組合せの全てについて、電圧回復量ステップ42を実行したが、電制対象発電機の台数の少ない組合せから順に電圧回復量ステップ42を実行し、所定の電圧改善量を超えた場合に計算を終了し、それ以降の台数の組合せを実行しないようにしても良い。計算量を削減し、より短時間で電制対象発電機を選定するためである。
また、上記実施形態は、プログラムの観点から捉えることもできる。さらに、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体として捉えることもできる。また、上記実施形態を適用した電力系統安定化装置も他の実施形態に含まれる。

Claims (9)

  1. 電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択方法であって、
    前記電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を選択する母線選択ステップと、
    前記母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定ステップと、
    前記母線と前記1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップと、
    前記等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、前記1台以上の電制候補発電機を電制した場合の前記母線の電圧または電圧回復量を計算し、当該電圧または前記電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定ステップと、
    を有し、
    前記母線選択ステップは、前記電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択し、当該選択結果の中から、母線電圧が前記故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択することを特徴とする電制機選択方法。
  2. 前記電圧安定用電制候補特定ステップは、母線電圧が前記故障除去後に最も早く極小値となる時点で、予め設定した閾値以上の内部相差角となる1台以上の発電機を選択すること、
    を特徴とする請求項記載の電制機選択方法。
  3. 前記等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップは、前記母線から、内部相差角が所定の閾値以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる系統を、前記等価一機対無限大母線系統モデルの演算対象とする演算対象範囲決定ステップを有すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の電制機選択方法。
  4. 前記等価一機対無限大母線系統モデル作成ステップは、前記演算対象範囲となる系統において、前記母線から、内部相差角が所定の閾値以上となる発電機群までの経路において等価合成リアクタンスが最小となる1台以上の発電機を等価一機発電機とし、前記等価一機発電機の等価合成リアクタンスと既知の設備データから得られるリアクタンスから等価一機発電機リアクタンスを計算し、前記等価一機発電機リアクタンスと、前記母線から無限大母線までの等価背後リアクタンスとから等価一機対無限大母線系統モデルを作成するモデル作成ステップを有すること、
    を特徴とする請求項記載の電制機選択方法。
  5. 前記電圧安定用電制決定ステップは、
    前記等価一機対無限大母線系統モデルの前記等価一機発電機を構成する1台以上の発電機の中から、電制対象発電機の組合せを作成する組合せ作成ステップと、
    前記組合せ毎に、電制後の前記母線の電圧または電制による前記母線の電圧回復量を計算する計算ステップと、
    前記組合せにおける前記電制対象発電機の台数毎に、計算した前記電圧または電圧回復量が最大の組合せを特定する最大組合せ特定ステップと、
    前記最大組合せ特定ステップで特定した前記組合せの中から、予め設定した所定基準より高い電圧または電圧回復量であり、かつ、前記電制対象発電機の台数が最小となる前記組合せを選択する組合せ選択ステップと、
    を有することを特徴とする請求項に記載の電制機選択方法。
  6. 前記電圧安定用電制決定ステップは、電制後の前記等価一機発電機の有効電力を、電制前後の前記等価一機発電機リアクタンスの変化を加味して算出すること、
    を特徴とする請求項4又は5に記載の電制機選択方法。
  7. 前記電圧安定用電制決定ステップは、電制後の前記等価一機発電機の角速度偏差を、電制前後の故障前有効電力と慣性定数の変化を加味して算出すること、
    を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電制機選択方法。
  8. 電力系統の故障除去後に生じる過渡電圧低下を抑制する電制対象となる発電機を決定する電制機選択プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記電力系統の故障除去後に過渡的に電圧が低下する母線を特定する母線選択処理と、
    前記母線の過渡電圧低下の要因となる1台以上の電制候補発電機を特定する電圧安定用電制候補特定処理と、
    前記母線と前記1台以上の電制候補発電機に基づいて等価一機対無限大母線系統モデルを作成する等価一機対無限大母線系統モデル作成処理と、
    前記等価一機対無限大母線系統モデルにおいて、前記1台以上の電制候補発電機を電制した場合の電圧または前記母線の電圧回復量を計算し、当該電圧または前記電圧回復量が予め設定された所定基準を満足する1台以上の発電機を電制対象として決定する電圧安定用電制決定処理と、
    を実行させ、
    前記母線選択処理では、コンピュータに、前記電力系統に対する過渡安定度解析シミュレーション結果から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が所定の閾値を所定時間下回る母線を選択させ、当該選択結果の中から、前記電力系統の複数の母線のうち、母線電圧が前記故障除去後に極小値となる時点が最も早い母線を選択させることを特徴とする電制機選択プログラム。
  9. 前記請求項記載の電制機選択プログラムをコンピュータが読み取り可能に記録したことを特徴とする記録媒体。
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