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JP6847692B2 - 研磨用組成物 - Google Patents
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JP6847692B2 - 研磨用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨用組成物に関する。
半導体製品の構成要素等として用いられるシリコンウェーハの表面は、一般に、ラッピング工程とポリシング工程とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程とファイナルポリシング工程とを含む。このような研磨工程は、通常、キャリアに保持されたシリコンウェーハに研磨用組成物を供給して行われる。含窒素塩基性化合物を含む研磨用組成物に関する技術文献として、例えば特許文献1が挙げられる。キャリアに関連する技術文献として、例えば特許文献2が挙げられる。研磨材に関連する技術文献として、例えば特許文献3が挙げられる。
特開2007−53298号公報 特開2014−176954号公報 特開平6−220151号公報
シリコンウェーハ等の半導体製品その他の製品を研磨時に保持するキャリアとして、一般にエポキシガラス樹脂が広く使用されている。しかし、エポキシガラス樹脂製のキャリアは、研磨用組成物が供給されて研磨対象物とともに磨かれると、腐食がはやく進行し、キャリアの寿命が短く、ひいては交換頻度が多いという問題がある。このため、研磨レート(単位時間当たりに研磨対象物を除去する量)に関する実用的な要求レベルを満足しつつ、キャリアの腐食を抑制し得る研磨用組成物が求められている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、エポキシガラス樹脂製のキャリアを用いた研磨に好ましく適用され得る研磨用組成物を提供することを目的とする。
この明細書によると、エポキシガラス樹脂製のキャリアに保持された研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、前記キャリアの腐食を抑制する含窒素塩基性化合物を含むことを特徴とする。このような研磨用組成物によると、高い研磨レートを保ちつつ、研磨時におけるキャリアの腐食を効果的に抑制することができる。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記含窒素塩基性化合物は、1級アミノ基および2級アミノ基からなる群から選択された少なくとも1種のアミノ基を含む。かかる構成を有する含窒素塩基性化合物を用いることにより、研磨レートとキャリアの腐食を抑制する性能との両立がより好適に実現され得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記含窒素塩基性化合物における1級アミノ基の数が、1〜2つである。かかる構成を有する含窒素塩基性化合物を含む研磨用組成物において、研磨レートとキャリアの腐食を抑制する性能との両立がより高いレベルで実現され得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記含窒素塩基性化合物は、分子内にエーテル結合を含む。分子内にエーテル結合を含む含窒素塩基性化合物を用いることにより、研磨レートとキャリアの腐食を抑制する性能との両立がより高いレベルで実現され得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、前記研磨対象物は、シリコンウェーハである。研磨対象物がシリコンウェーハである研磨において、本発明の適用効果がより好適に発揮され得る。
また、本発明によると、エポキシガラス樹脂製のキャリアに保持された研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物に添加されて該キャリアの腐食を抑制する腐食抑制剤が提供される。この腐食抑制剤は、含窒素塩基性化合物を含む。かかる腐食抑制剤は、研磨用組成物に添加されることによって、高い研磨レートを保ちつつキャリアの腐食を抑制する機能を好適に発揮し得る。
また、本発明によると、研磨対象物の研磨方法が提供される。この研磨対象物研磨方法は、エポキシガラス樹脂製のキャリアを用意する工程と、前記キャリアに研磨対象物を保持する工程と、前記キャリアに保持された前記研磨対象物に、ここで開示される何れかの研磨用組成物を供給して該研磨対象物を研磨する工程とを包含する。かかる基板研磨方法によると、キャリアの腐食を抑制しつつ、研磨された研磨対象物(研磨物)を効率的に提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<用途>
ここに開示される研磨用組成物は、エポキシガラス樹脂製のキャリアに保持された研磨対象物の研磨に用いられる。ここで、エポキシガラス樹脂とは、エポキシ樹脂とガラス繊維とからなる繊維強化樹脂をいい、ガラスエポキシ樹脂やEGとも称される。エポキシガラス樹脂は、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させて硬化することにより製造され得る。エポキシガラス樹脂製のキャリアは、少なくとも表面にエポキシガラス樹脂を有するものであれば特に限定されず、例えば、全体がエポキシガラス樹脂により構成されているキャリア、エポキシガラス樹脂の層が金属材料等の基材に支持されたキャリア等であり得る。キャリアの種類は特に限定されず、両面研磨装置用のキャリアであってもよく、片面研磨装置用のキャリアであってもよい。例えば、両面研磨装置用のキャリアは、研磨対象物を保持するための保持孔を備え、研磨対象物よりも薄い厚みに形成された円板状であり得る。研磨時にはキャリアの保持孔に研磨対象物が挿入されて保持され、両面研磨装置の上定盤と下定盤との間に研磨対象物がキャリアとともに挟み込まれる。そして、研磨対象物の研磨面に研磨液を供給しつつ、上定盤と下定盤とを回転させることにより、研磨対象物の両面がキャリアとともに研磨される。ここに開示される研磨用組成物は、このような両面研磨装置用のキャリアに保持された研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物として特に好適である。
<研磨対象物>
ここに開示される研磨用組成物の研磨対象物は特に限定されない。上記研磨用組成物は、例えば、シリコンウェーハ、磁気ディスク基板等の半導体基板、レンズや反射ミラー等の光学材料等、高精度な表面が要求される各種研磨対象物を研磨する用途に好ましく使用され得る。研磨対象物の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼、ゲルマニウム等の金属もしくは半金属、またはこれらの合金;石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。これらのうち複数の材質により構成された研磨対象物であってもよい。なかでも、シリコンからなる表面を備えた研磨対象物の研磨に好適である。ここに開示される技術は、例えば、砥粒としてシリカ粒子を含む研磨用組成物(典型的には、砥粒としてシリカ粒子のみを含む研磨用組成物)であって、研磨対象物がシリコンである研磨用組成物に対して特に好ましく適用され得る。
<研磨用組成物>
(含窒素塩基性化合物)
ここに開示される研磨用組成物は、前記エポキシガラス樹脂製のキャリアの腐食を抑制する含窒素塩基性化合物を含んでいる。含窒素塩基性化合物としては、研磨用組成物に添加されることによってキャリアの腐食(典型的には表面粗さの増大)を抑制する機能を有する各種の化合物を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。例えば、上記含窒素塩基性化合物は、1級アミノ基および2級アミノ基の少なくとも一方を含むものであり、該アミノ基を有する含窒素塩基性化合物は、前記エポキシガラス樹脂製のキャリアに対する腐食率が低い。該アミノ基を有する含窒素塩基性化合物を研磨用組成物に含有させることによって、キャリアの腐食が効果的に抑制され得る。また、上記アミノ基を含む含窒素塩基性化合物は研磨用組成物中において塩基性を示すため、研磨対象物表面の化学的研磨が促進され、高い研磨レートが保たれ得る。含窒素塩基性化合物は、少なくとも1つの1級アミノ基を有するアミン化合物であることが好ましい。含窒素塩基性化合物における1級アミノ基の数は、典型的には1〜8であり、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3(例えば1または2)である。また、含窒素塩基性化合物におけるアミノ基の総数(すなわち1級アミノ基、2級アミノ基および3級アミノ基の総数)は、例えば1〜12であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜4である。
ここに開示される技術における含窒素塩基性化合物は、脂肪族アミン化合物、複素環式アミン化合物、芳香族アミン化合物のいずれであってもよい。これらのアミン化合物において、主鎖を構成する炭素原子に結合した水素原子の1または2以上が、それぞれ独立して、水素原子以外の置換基(例えば、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン基(例えば、F,Cl,Br)等)で置換されたものを用いてもよい。好ましい一態様では、含窒素塩基性化合物は、分子内にエーテル結合を含む。エーテル結合を有する含窒素塩基性化合物を研磨用組成物に含有させることによって、キャリアの腐食が効果的に抑制され得る。
ここに開示される技術において特に好ましい例として、下記一般式(A)で表されるアミン化合物(以下、「アミン化合物A」とも表記する。)が挙げられる。
−N(R)−R−N(R)−R (A)
(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基およびアミノアルキル基からなる群から選択される。R、Rは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。また、R、Rは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。Rはアルキレン基である。アルキレン基は環状構造を含んでいてもよく、分枝鎖を有していてもよい。)
上記アミン化合物Aにおいて、アミノ基を構成する窒素原子上の置換基R,R、R、Rは、水素原子、アルキル基、またはアミノアルキル基であり得る。アルキル基、およびアミノアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、およびアミノアルキル基における炭素原子の総数は1〜15(好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜6)であり得る。R,R、R、Rは同じであってもよく異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R、Rは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R、R、R、Rがアルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、中でもエチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、特にエチル基が好ましい。なお、ここでいうブチル基とは、その各種構造異性体(n‐ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基およびtert‐ブチル基)を包含する概念である。他のアルキル基、およびアミノアルキル基についても同様である。アミノアルキル基としては、アルキル基の水素原子の1または2以上がアミノ基で置換された構造の基であり得る。R、Rがアミノアルキル基の場合、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、メチルアミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、2‐(2‐アミノエチルアミノ)エチル基等が挙げられ、特に2‐(2‐アミノエチルアミノ)エチル基であることが好ましい。また、上記アミン化合物Aにおいて、Rはアルキレン基である。アルキレン基における炭素原子の数は1〜15(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜6(例えば2〜4、典型的には2または3)である。例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられ、特にエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基であることが好ましい。アルキレン基は環状構造を含んでいてもよい。
上記アミン化合物Aとしては、R,Rの両方が水素原子である一級アミノ基を1つ以上含むアミン化合物A1が挙げられる。アミン化合物A1は、一般式:R−N(R)−R−NHで表される。
上記アミン化合物A1の一好適例としては、R,R,R,Rの全部が水素原子であるものが挙げられる。例えば、R,R,R,Rの全部が水素原子であり、かつ、Rが炭素原子数2〜10のアルキレン基であるものが好ましい。そのようなアミン化合物A1の具体例として、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(1,6‐ジアミノヘキサン)、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン;等が挙げられる。なかでも、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンが好ましく、特にはヘキサメチレンジアミンが好ましい。
上記アミン化合物A1の他の好適例としては、R,Rが互いに異なるものが挙げられる。例えば、R,Rのうち一方が水素原子であり、他方が炭素原子数1〜4(好ましくは1〜3、典型的には1または2)のアルキル基であり、R,Rの両方が水素原子であり、かつ、Rが炭素原子数2〜6のアルキレン基であるものが好ましい。そのようなアミン化合物A1の具体例として、N‐メチルエチレンジアミン、N‐エチルエチレンジアミン、N‐プロピルエチレンジアミン、N‐メチルトリメチレンジアミン、N‐エチルトリメチレンジアミン、N‐メチルテトラメチレンジアミン、N‐エチルテトラメチレンジアミン、N‐メチルペンタメチレンジアミン、N‐エチルペンタメチレンジアミン、N‐メチルヘキサメチレンジアミン、N‐エチルヘキサメチレンジアミン;等が挙げられる。なかでも、N‐メチルエチレンジアミン、N‐エチルエチレンジアミン、N‐プロピルエチレンジアミン、N‐メチルトリメチレンジアミンが好ましく、特にはN‐エチルエチレンジアミンが好ましい。
上記アミン化合物A1の他の例としては、R,Rの両方が炭素原子数1〜4(好ましくは1〜3、典型的には1または2)のアルキル基であり、R,Rの両方が水素原子であり、かつ、Rが炭素原子数2〜6のアルキレン基であるものが挙げられる。そのようなアミン化合物A1の具体例として、N,N‐ジメチルエチレンジアミン、N,N‐ジエチルエチレンジアミン、N,N‐エチルメチルエチレンジアミン、N,N‐ジプロピルエチレンジアミン、N,N‐ジメチルトリメチレンジアミン、N,N‐ジエチルトリメチレンジアミン、N,N‐ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N‐ジエチルテトラメチレンジアミン;等が例示される。
上記アミン化合物A1の他の好適例としては、R,Rのうち一方が水素原子もしくはアルキル基であり、他方が炭素原子数1〜6(好ましくは1〜4)のアミノアルキル基であり、R,Rの両方が水素原子であり、かつ、Rが炭素原子数2〜6のアルキレン基であるものが挙げられる。そのようなアミン化合物A1の具体例として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン;等が例示される。なかでも、研磨レートとキャリアの腐食を低減若しくは抑制する性能とをより高い次元で両立する観点から、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミンが好ましく、特にはトリエチレンテトラミンが好ましい。
上記アミン化合物A1の他の好適例としては、R、Rが互いに結合して環状構造を形成しており、R,Rの両方が水素原子であり、かつ、Rが炭素原子数2〜6のアルキレン基であるものが挙げられる。そのようなアミン化合物A1の具体例として、N‐アミノメチルピペラジン、N‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、N‐(2‐アミノ‐1‐メチルエチル)ピペラジン、N‐アミノプロピルピペラジン、N‐アミノブチルピペラジン、N‐アミノヘキシルピペラジン、N‐アミノオクチルピペラジン、N‐(4‐アミノ‐2,2‐ジメチルブチル)ピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N‐(2‐アミノエチル)ピペラジン;等が例示される。なかでも、研磨レートとキャリアの腐食を低減若しくは抑制する性能とをより高い次元で両立する等の観点からN‐(2‐アミノエチル)ピペラジンが好ましい。
上記アミン化合物A1の他の好適例としては、R,Rの両方が水素原子であり、R,Rの両方が水素原子であり、かつ、Rが炭素原子数2〜15の環状構造を含むアルキレン基であるものが挙げられる。そのようなアミン化合物A1の具体例として、1,2‐ジアミノシクロヘキサン、1,3‐ジアミノシクロヘキサン、1、4‐ジアミノシクロヘキサン、1,2‐ジ(2‐アミノエチル)シクロヘキサン、1,3‐ジ(2‐アミノエチル)シクロヘキサン、1,4‐ジ(2‐アミノエチル)シクロヘキサン;等が例示される。なかでも、1,2‐ジアミノシクロヘキサンが好ましい。
上記アミン化合物Aの他の例としては、R,Rが水素原子であり、かつ、R,Rがアルキル基またはアミノアルキル基である2級アミノ基を2つ以上含むアミン化合物A2が挙げられる。アミン化合物A2は、一般式:R−NH−R−NH−Rで表される。
上記アミン化合物A2の一好適例としては、R,Rが水素原子であり、R,Rが炭素原子数2〜6のアルキル基であり、かつ、Rが炭素原子数2〜6のアルキレン基であるものが挙げられる。そのようなアミン化合物A2の具体例として、N,N’‐ジメチルエチレンジアミン、N,N’‐ジエチルエチレンジアミン、N,N’‐ジプロピルエチレンジアミン、N,N’‐ジメチルトリメチレンジアミン、N,N’‐ジエチルトリメチレンジアミン、N,N’‐ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N’‐ジエチルテトラメチレンジアミン、N,N’‐ジメチルペンタメチレンジアミン、N,N’‐ジエチルペンタメチレンジアミン、N,N’‐ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’‐ジエチルヘキサメチレンジアミン;等が挙げられる。なかでも、N,N’‐ジメチルエチレンジアミン、N,N’‐ジエチルエチレンジアミンが好ましい。
上記アミン化合物A2の他の好適例としては、R,Rが水素原子であり、R,Rが炭素原子数2〜6のアルキル基であり、かつ、Rが炭素原子数2〜15の環状構造を含むアルキレン基であるものが挙げられる。そのようなアミン化合物A2の具体例として、N,N’‐ジメチルシクロヘキサン‐1,2‐ジアミン、N,N’‐ジエチルシクロヘキサン‐1,2‐ジアミン;等が例示される。なかでも、N,N’‐ジメチルシクロヘキサン‐1,2‐ジアミンが好ましい。
ここに開示される技術において特に好ましい含窒素塩基性化合物の他の例として、下記一般式(B)で表されるエーテル結合含有アミン化合物(以下、「アミン化合物B」とも表記する。)が挙げられる。
−N(R)−(CH−O−R (B)
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基、アミノアルキル基からなる群から選択される。R、Rは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。nは1〜15の整数である。(CHは分岐鎖を有していてもよい。Rはアルキル基、エーテル結合を有するアルキル基、アミノアルキル基、アミノ基からなる群から選択される。
上記アミン化合物Bにおいて、アミノ基を構成する窒素原子上の置換基R、Rは、水素原子、アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基またはアミノアルキル基であり得る。アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基およびアミノアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基およびアミノアルキル基における炭素原子の総数は1〜15(好ましくは1〜12、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜6)であり得る。R、Rは同じであってもよく異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R、Rがアルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。エーテル結合を有するアルキル基は、少なくとも1つのエーテル結合を有するアルキル基をいう。R、Rがエーテル結合を有するアルキル基の場合、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2‐メトキシエトキシメチル基等が挙げられる。R、Rがアミノアルキル基の場合、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、メチルアミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、2‐(2‐アミノエチルアミノ)エチル基等が挙げられる。また、上記アミン化合物Bにおいて、nは(CH)の繰り返し単位を表す。nは1〜15の整数であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6(例えば1〜4、典型的には2または3)である。(CHは分岐鎖を有してもよい。Rは、アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基、アミノアルキル基またはアミノ基であり得る。アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基およびアミノアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、エーテル結合を有するアルキル基およびアミノアルキル基における炭素原子の総数は1〜10(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3)であり得る。
上記アミン化合物Bの一好適例としては、R、Rの両方が水素原子であるものが挙げられる。例えば、R、Rの両方が水素原子であり、(CH)の繰り返し単位nが1〜6(好ましくは1〜4、典型的には1〜3)であり、かつ、Rが炭素原子数1〜6(好ましくは1〜4、典型的には1〜3)のアルキル基であるものが好ましい。そのようなアミン化合物Bの具体例として、2‐メトキシエチルアミン、2‐エトキシエチルアミン、2‐プロポキシエチルアミン、2‐ブトキシエチルアミン、2‐ペンチルオキシエチルアミン、3‐メトキシプロピルアミン、3‐エトキシプロピルアミン、3‐プロポキシプロピルアミン、3‐ブトキシプロピルアミン、3‐ペンチルオキシプロピルアミン;等が挙げられる。なかでも、キャリアの腐食を低減若しくは抑制する等の観点から、3‐メトキシプロピルアミン、3‐エトキシプロピルアミン、3‐プロポキシプロピルアミンが好ましく、特には3‐エトキシプロピルアミンが好ましい。
上記アミン化合物Bの他の例としては、R、Rが互いに異なるものが挙げられる。例えば、R、Rのうち一方が水素原子であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、(CH)の繰り返し単位nが1〜6(好ましくは1〜4、典型的には1〜3)であり、かつ、Rが炭素原子数1〜6(好ましくは1〜4、典型的には1〜3)のアルキル基であるものが好ましい。そのようなアミン化合物Aの具体例として、N‐メチル‐2‐メトキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐エトキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐プロポキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐ブトキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐ペンチルオキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐へキシロキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐ヘプチルオキシエチルアミン、N‐メチル‐2‐オクチルオキシエチルアミン、N‐メチル‐3‐エトキシプロピルアミン、N‐メチル‐3‐プロポキシプロピルアミン、N‐メチル‐3‐ブトキシプロピルアミン、N‐メチル‐3‐ペンチルオキシプロピルアミン、N‐メチル‐3‐ヘキシルオキシプロピルアミン、N‐メチル‐3‐へプチルオキシプロピルアミン;等が挙げられる。
ここに開示される技術において特に好ましい含窒素塩基性化合物の他の例として、下記一般式(C)で表される2級アミン化合物(以下、「アミン化合物C」とも表記する。)が挙げられる。
−NH−R10 (C)
(式中、R、R10は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜15のアルキル基、シクロアルキル基およびアミノアルキル基から選択される。R、R10は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
上記アミン化合物Cの一好適例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプシルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、イミダゾール;等が挙げられる。なかでも、キャリアの腐食を低減若しくは抑制する等の観点から、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンが好ましく、特にはジエチルアミンが好ましい。
前記含窒素塩基性化合物は、前述したようにエポキシガラス樹脂製のキャリアに対する腐食率が低いものであり得る。例えば、濃度0.9モル/Lの含窒素塩基性化合物を水に溶かした水溶液にエポキシガラス樹脂製のキャリアを液温25℃で1週間浸漬させる腐食標準試験において、腐食標準試験前におけるキャリアの表面粗さをR1とし、腐食標準試験後におけるキャリアの表面粗さをR2として、次式:
X=(R2/R1)×100;
により算出される腐食率Xが、150%以下であり得る。腐食率Xは、好ましくは140%以下(例えば30%〜140%)、より好ましくは130%以下である。腐食率Xは、例えば120%以下(例えば100%未満)、典型的には75%以下(例えば65%以下)であってもよい。ここに開示される含窒素塩基性化合物は、前記キャリアに対する腐食率が低いため、腐食抑制剤として他の塩基性化合物と組み合わせて研磨用組成物に添加されることによって、他の塩基性化合物を単独で用いる場合に比べて、キャリアの腐食(典型的には表面粗さの増大)を効果的に抑制し得る。また、ここに開示される含窒素塩基性化合物は、前記キャリアに対する腐食率が低く、かつ単独で用いても高い研磨レートを実現し得るため、他の塩基性化合物と組み合わせることなく単独で研磨用組成物に添加されてもよい。
(水)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には、上記含窒素塩基性化合物のほかに水を含む。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。使用する水は、研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。
ここに開示される研磨用組成物は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、研磨用組成物に含まれる溶媒の90体積%以上が水であることが好ましく、95体積%以上(典型的には99〜100体積%)が水であることがより好ましい。
(砥粒)
ここに開示される研磨用組成物は、前記含窒素塩基性化合物および水のほかに砥粒を含有させることができる。ここに開示される技術において、砥粒の材質や性状は特に制限されず、研磨用組成物の使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。砥粒の例としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。このような砥粒は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ここに開示される技術は、研磨用組成物が上記砥粒を実質的に含有しない態様でも実施され得る。
上記砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の酸化物からなる粒子が好ましい。ここに開示される技術において使用し得る砥粒の好適例としてシリカ粒子が挙げられる。例えば、ここに開示される技術をシリコンウェーハの研磨に使用され得る研磨用組成物に適用する場合、砥粒としてシリカ粒子を用いることが特に好ましい。その理由は、研磨対象物がシリコンウェーハである場合、研磨対象物と同じ元素と酸素原子とからなるシリカ粒子を砥粒として使用すれば研磨後にシリコンとは異なる金属または半金属の残留物が発生せず、シリコンウェーハ表面の汚染や研磨対象物内部にシリコンとは異なる金属または半金属が拡散することによるシリコンウェーハとしての電気特性の劣化などの虞がなくなるからである。さらに、シリコンとシリカの硬度が近いため、シリコンウェーハ表面に過度なダメージを与えることなく研磨加工を行うことができる。かかる観点から好ましい研磨用組成物の一形態として、砥粒としてシリカ粒子のみを含有する研磨用組成物が例示される。また、シリカは高純度のものが得られやすいという性質を有する。このことも砥粒としてシリカ粒子が好ましい理由として挙げられる。シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。研磨対象物表面にスクラッチを生じにくく、よりヘイズの低い表面を実現し得るという観点から、好ましいシリカ粒子としてコロイダルシリカおよびフュームドシリカが挙げられる。なかでもコロイダルシリカが好ましい。例えば、シリコンウェーハのポリシング(予備ポリシングおよびファイナルポリシングの少なくとも一方、好ましくは予備ポリシング)に用いられる研磨用組成物の砥粒として、コロイダルシリカを好ましく採用し得る。
シリカ粒子を構成するシリカの真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上である。シリカの真比重の増大によって、シリコンウェーハを研磨する際に、研磨レート(単位時間当たりに研磨対象物の表面を除去する量)が向上し得る。研磨対象物の表面(研磨対象面)に生じるスクラッチを低減する観点からは、真比重が2.2以下のシリカ粒子が好ましい。シリカの真比重としては、置換液としてエタノールを用いた液体置換法による測定値を採用し得る。
ここに開示される技術において、研磨用組成物中に含まれる砥粒は、一次粒子の形態であってもよく、複数の一次粒子が会合した二次粒子の形態であってもよい。また、一次粒子の形態の砥粒と二次粒子の形態の砥粒とが混在していてもよい。好ましい一態様では、少なくとも一部の砥粒が二次粒子の形態で研磨用組成物中に含まれている。
砥粒の平均一次粒子径DP1は特に制限されないが、研磨速度等の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、特に好ましくは20nm以上である。より高い研磨効果を得る観点から、平均一次粒子径DP1は、25nm以上が好ましく、30nm以上がさらに好ましい。平均一次粒子径DP1が40nm以上の砥粒を用いてもよい。また、保存安定性(例えば分散安定性)の観点から、砥粒の平均一次粒子径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下、例えば60nm以下である。
なお、ここに開示される技術において、砥粒の平均一次粒子径DP1は、例えば、BET法により測定される比表面積(BET値)から、DP1(nm)=6000/(真密度(g/cm)×BET値(m/g))の式により算出され得る。例えばシリカ粒子の場合、DP1(nm)=2727/BET値(nm)の式により算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
砥粒の平均二次粒子径DP2は特に限定されないが、研磨速度等の観点から、好ましくは15nm以上、より好ましくは25nm以上である。より高い研磨効果を得る観点から、平均二次粒子径DP2は、40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、保存安定性(例えば分散安定性)の観点から、砥粒の平均二次粒子径DP2は、200nm以下が適当であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。砥粒の平均二次粒子径DP2は、例えば、日機装株式会社製の型式「UPA−UT151」を用いた動的光散乱法により測定することができる。
砥粒の平均二次粒子径DP2は、一般に砥粒の平均一次粒子径DP1と同等以上(DP2/DP1≧1)であり、典型的にはDP1よりも大きい(DP2/DP1>1)。特に限定するものではないが、研磨効果および研磨後の表面平滑性の観点から、砥粒のDP2/DP1は、通常は1.05〜3の範囲にあることが適当であり、1.1〜2.5の範囲が好ましく、1.2〜2.3(例えば1.3を超えて2.2以下)の範囲がより好ましい。
砥粒の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形をなす砥粒の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭型形状、金平糖形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。
特に限定するものではないが、砥粒の一次粒子の長径/短径比の平均値(平均アスペクト比)は、好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上である。砥粒の平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、砥粒の平均アスペクト比は、スクラッチ低減等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。
上記砥粒の形状(外形)や平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡観察により把握することができる。平均アスペクト比を把握する具体的な手順としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、独立した粒子の形状を認識できる所定個数(例えば200個)の砥粒粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比(アスペクト比)として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
研磨用組成物が腐食抑制剤として前記含窒素塩基性化合物を含む場合、必要に応じて前記含窒素塩基性化合物以外の塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。このような任意成分としての塩基性化合物は、有機塩基性化合物であってもよく、無機塩基性化合物であってもよい。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ここに開示される技術は、研磨用組成物が前記腐食抑制剤以外の塩基性化合物を実質的に含有しない態様でも実施され得る。
有機塩基性化合物の例としては、テトラアルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。上記アンモニウム塩におけるアニオンは、例えば、OH、F、Cl、Br、I、ClO 、BH 等であり得る。例えば、コリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩を好ましく使用し得る。なかでもテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
有機塩基性化合物の他の例としては、テトラアルキルホスホニウム塩等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。上記ホスホニウム塩におけるアニオンは、例えば、OH、F、Cl、Br、I、ClO 、BH 等であり得る。例えば、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等のハロゲン化物、水酸化物を好ましく使用し得る。
無機塩基性化合物の例としては、アンモニア;アンモニア、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等;等が挙げられる。上記水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。上記炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
好ましい任意の塩基性化合物として、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。なかでも好ましいものとして、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムが例示される。より好ましいものとして水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。特に好ましい塩基性化合物として水酸化カリウムが挙げられる。
<その他の成分>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、キレート剤、水溶性高分子、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(典型的には、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
キレート剤の例としては、研磨用組成物中に含まれ得る金属不純物と錯イオンを形成してこれを捕捉することにより、金属不純物による研磨対象物の汚染を抑制する働きをする。キレート剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてアミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
水溶性高分子の例としては、セルロース誘導体、デンプン誘導体、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー、ビニルアルコール系ポリマー等が挙げられる。具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合体やブロック共重合体、ポリビニルアルコール、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ここに開示される研磨用組成物は、上記水溶性高分子を実質的に含有しない組成であってもよい。
有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸塩の例としては、有機酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアンモニウム塩等が挙げられる。無機酸の例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。無機酸塩の例としては、無機酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアンモニウム塩が挙げられる。有機酸およびその塩、ならびに無機酸およびその塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。研磨用組成物中に酸化剤が含まれていると、当該組成物が研磨対象物(例えばシリコンウェーハ)に供給されることで該研磨対象物の表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより所要研磨時間が長くなってしまうためである。又、本願では還元性のアミン化合物を含むため、酸化性物質の配合は不適である。ここでいう酸化剤の具体例としては、過酸化水素(H)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等が挙げられる。なお、研磨用組成物が酸化剤を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には酸化剤を含有させないことをいう。したがって、原料や製法等に由来して微量(例えば、研磨用組成物中における酸化剤のモル濃度が0.0005モル/L以下、好ましくは0.0001モル以下、より好ましくは0.00001モル/L以下、特に好ましくは0.000001モル/L以下)の酸化剤が不可避的に含まれている研磨用組成物は、ここでいう酸化剤を実質的に含有しない研磨用組成物の概念に包含され得る。
<研磨用組成物の調製>
ここに開示される研磨用組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、研磨用組成物に含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水系溶媒以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。
<研磨液>
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態でエポキシガラス樹脂製のキャリアに保持された研磨対象物に供給されて、その研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、該研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液(研磨液の原液)との双方が包含される。ここに開示される研磨用組成物を含む研磨液の他の例として、該組成物のpHを調整してなる研磨液が挙げられる。
ここに開示される研磨液における前記含窒素塩基性化合物のモル濃度は特に制限されないが、典型的には0.00005モル/L以上であり、0.0001モル/L以上であることが好ましく、0.001モル/L以上であることがより好ましく、0.005モル/L以上であることがさらに好ましい。また、キャリアの腐食抑制等の観点から、通常は、上記モル濃度は、1モル/L以下が適当であり、好ましくは0.5モル/L以下、より好ましくは0.3モル/L以下、さらに好ましくは0.1モル/L以下、例えば0.05モル/L以下である。
ここに開示される研磨液における砥粒の含有量は特に制限されないが、典型的には0.01重量%以上であり、0.03重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることがさらに好ましい。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、研磨用組成物の分散安定性等の観点から、通常は、上記含有量は、10重量%以下が適当であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、例えば0.8重量%以下である。
前記含窒素塩基性化合物以外の任意の塩基性化合物を含む場合、研磨液における任意の塩基性化合物のモル濃度は特に制限されないが、典型的には0.00005モル/L以上であり、0.0001モル/L以上であることが好ましく、0.001モル/L以上であることがより好ましく、0.005モル/L以上であることがさらに好ましい。また、キャリアの腐食抑制等の観点から、通常は、上記モル濃度は、1モル/L以下が適当であり、好ましくは0.5モル/L以下、より好ましくは0.3モル/L以下、さらに好ましくは0.1モル/L以下、例えば0.05モル/L以下である。
研磨液のpHは、8.0以上(例えば8.5以上)であることが好ましく、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.5以上、特に好ましくは10.0以上(例えば10.5以上)である。研磨液のpHが高くなると、研磨レートが向上する傾向にある。研磨液のpHの上限値は特に制限されないが、12.0以下(例えば11.8以下)であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましい。このことによって、研磨対象物をより良く研磨することができる。上記pHは、シリコンウェーハの研磨に用いられる研磨液に好ましく適用され得る。
<濃縮液>
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態(すなわち、研磨液の濃縮液の形態)であってもよい。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば、体積換算で2倍〜60倍程度とすることができる。
上記濃縮液における砥粒の含有量は、例えば50重量%以下とすることができる。研磨用組成物の安定性(例えば、砥粒の分散安定性)や濾過性等の観点から、通常、上記含有量は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは35重量%以下である。好ましい一態様において、砥粒の含有量を30重量%以下としてもよく、20重量%以下(例えば15重量%以下)としてもよい。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、砥粒の含有量は、例えば1.0重量%以上とすることができ、好ましくは3.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上、更に好ましくは7.0重量%以上である。
このように濃縮液の形態にある研磨用組成物は、所望のタイミングで希釈して研磨液を調製し、その研磨液を研磨対象物に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、典型的には、上記濃縮液に前述の水系溶媒を加えて混合することにより行うことができる。また、上記水系溶媒が混合溶媒である場合、該水系溶媒の構成成分のうち一部の成分のみを加えて希釈してもよく、それらの構成成分を上記水系溶媒とは異なる量比で含む混合溶媒を加えて希釈してもよい。また、後述するように多剤型の研磨用組成物においては、それらのうち一部の剤を希釈した後に他の剤と混合して研磨液を調製してもよく、複数の剤を混合した後にその混合物を希釈して研磨液を調製してもよい。
<研磨方法>
ここに開示される研磨用組成物は、シリコン(例えば、単結晶または多結晶のシリコンウェーハ)を研磨するための研磨用組成物として好ましく使用され得る。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(スラリー)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に、濃度調整(例えば希釈)等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、上記研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。また、多剤型の研磨用組成物の場合、上記研磨液を用意することには、それらの剤を混合すること、該混合の前に1または複数の剤を希釈すること、該混合の後にその混合物を希釈すること、等が含まれ得る。
また、エポキシガラス樹脂製のキャリアを用意し、該キャリアに研磨対象物を保持する。そして、キャリアに保持された研磨対象物に研磨液を供給して該研磨対象物を研磨する。例えば、研磨対象物の1次研磨工程(典型的には両面研磨工程)を行う場合には、ラッピング工程を経てキャリアに保持された研磨対象物を一般的な研磨装置にセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面(研磨対象面)に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。その後、必要に応じてさらなる2次研磨工程(典型的には片面研磨工程)を経て、最終的にファイナルポリシングを行って研磨対象物の研磨が完了する。
なお、ここに開示される研磨用組成物を用いる研磨工程において使用される研磨パッドは特に限定されない。例えば、不織布タイプ、スウェードタイプ、ポリウレタンタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもの等のいずれを用いてもよい。
この明細書によると、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する工程を含む研磨物製造方法が提供される。ここに開示される研磨物製造方法は、上記研磨用組成物を用いる研磨工程を経た研磨対象物にファイナルポリシングを施す工程をさらに含んでもよい。ここでファイナルポリシングとは、目的物の製造プロセスにおける最後のポリシング工程(すなわち、その工程の後にはさらなるポリシングを行わない工程)を指す。上記ファイナルポリシング工程は、ここに開示される研磨用組成物を用いて行ってもよく、他の研磨用組成物を用いて行ってもよい。
好ましい一態様において、上記研磨用組成物を用いる研磨工程は、ファイナルポリシングよりも上流のポリシング工程である。なかでも、ラッピング工程を終えた予備ポリシングに好ましく適用することができる。例えば、ラッピング工程を経た両面研磨工程(典型的には1次研磨工程)や、該両面研磨工程を経た基板に対して行われる最初の片面研磨工程(典型的には最初の2次研磨工程)において好ましく使用され得る。上記両面研磨工程および最初の片面研磨工程では、エポキシガラス樹脂製のキャリアが使用されるとともに、ファイナルポリシングに比べて要求される研磨レートが大きい。そのため、ここに開示される研磨用組成物は、両面研磨工程および最初の片面研磨工程の少なくとも一方(好ましくは両方)において研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物として好適である。
なお、上記研磨用組成物は、いったん研磨に使用したら使い捨てにする態様(いわゆる「掛け流し」)で使用されてもよいし、循環して繰り返し使用されてもよい。研磨用組成物を循環使用する方法の一例として、研磨装置から排出される使用済みの研磨用組成物をタンク内に回収し、回収した研磨用組成物を再度研磨装置に供給する方法が挙げられる。研磨用組成物を循環使用する場合には、掛け流しで使用する場合に比べて、廃液として処理される使用済みの研磨用組成物の量が減ることにより環境負荷を低減できる。また、研磨用組成物の使用量が減ることによりコストを抑えることができる。ここに開示される研磨用組成物を循環使用する場合、その使用中の研磨用組成物に、任意のタイミングで新たな成分、使用により減少した成分または増加させることが望ましい成分を添加してもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<腐食標準試験>
種々の塩基性化合物を水に溶かして試験液を調製し、この試験液にエポキシガラス樹脂製のキャリアを液温25℃で1週間浸漬させる腐食標準試験を行った。塩基性化合物としては、3‐エトキシプロピルアミン(以下「EPA」と表記する。)、N‐エチルエチレンジアミン(以下「NEDA」と表記する。)、N‐(2‐アミノエチル)ピペラジン(以下「AEP」と表記する。)、1,6‐ジアミノヘキサン(以下「DAH」と表記する。)、1,2‐ジアミノシクロヘキサン(以下「DACy」と表記する。)、トリエチレンテトラミン(以下「TETA」と表記する。)、ジエチルアミン(以下「DEA」と表記する。)、水酸化カリウム(以下「KOH」と表記する。)、水酸化テトラメチルアンモニウム(以下「TMAH」と表記する。)を使用した。腐食標準試験における塩基性化合物の濃度は0.9モル/Lである。なお、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムは、他の塩基性化合物と比較してエポキシガラス樹脂の腐食がはやく進行するため、0.9モル/Lよりも低濃度で試験を行った。そして、腐食標準試験前におけるキャリアの表面粗さR1と、腐食標準試験後におけるキャリアの表面粗さR2とから、腐食率=(R2/R1)×100を算出した。なお、上記表面粗さR1、R2は、キャリアの算術平均表面粗さであり、株式会社東京精密製のサーフコムを用いて測定した。腐食標準試験前のキャリアの表面粗さR1は0.044μmであった。結果を表1に示す。
Figure 0006847692
表1に示すように、塩基性化合物としてEPA、NEDA、AEP、DAH、DACy、TETAおよびDEAを用いた腐食標準試験では、キャリアの腐食率が150%以下となり、KOHおよびTMAHに比べてキャリアの表面粗さの増大が抑制されていた。上記含窒素塩基性化合物は、エポキシガラス樹脂製のキャリアに保持された研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物に添加されて該キャリアの腐食を抑制する腐食抑制剤としての機能を発揮し得る。
<研磨用組成物の調製>
(実施例1)
砥粒とキャリアに対する腐食率が低い含窒素塩基性化合物とKOHと脱イオン水とを混合して研磨用組成物を調製した。砥粒としてはシリカ粒子(平均一次粒径50nm)を使用した。キャリアに対する腐食率が低い含窒素塩基性化合物としてはEPAを使用した。研磨用組成物における砥粒の含有量は15%、EPAの濃度は0.3モル/L、KOHの濃度は0.3モル/Lとした。
(実施例2)
EPAに代えてAEPを使用した。研磨用組成物におけるAEPの濃度は0.3モル/Lとした。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例3)
EPAに代えてTETAを使用した。研磨用組成物におけるTETAの濃度は0.3モル/Lとした。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例4)
EPAに代えてDEAを使用した。研磨用組成物におけるDEAの濃度は0.3モル/Lとした。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例5)
研磨用組成物におけるEPA濃度を0.9モル/Lとしたこと、および、KOHを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例6)
研磨用組成物におけるAEP濃度を0.9モル/Lとしたこと、および、KOHを用いなかったこと以外は実施例2と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例7)
研磨用組成物におけるTETA濃度を0.9モル/Lとしたこと、および、KOHを用いなかったこと以外は実施例3と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例8)
研磨用組成物におけるDEA濃度を0.9モル/Lとしたこと、および、KOHを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(比較例)
EPAを使用せずに研磨用組成物を調製した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
<研磨用組成物の腐食性評価>
各例に係る研磨用組成物にエポキシガラス樹脂製のキャリアを液温25℃で1週間浸漬させる腐食試験を実施した。そして、腐食試験後におけるキャリアの前記表面粗さを評価した。結果を表2の該当欄に示す。
<シリコンの研磨レートの評価>
各例に係る研磨用組成物を30倍に希釈して研磨液として使用して、シリコンウェーハに対して研磨試験を行い、シリコンの研磨レートを評価した。試験片としては、6cm×6cmのシリコンウェーハ(伝導型:P型、結晶方位:<100>)を使用した。この試験片を以下の条件で研磨した。そして、以下の計算式(a)、(b)に従って研磨レートを算出した。結果を表2の該当欄に示す。
(a)研磨取り代[cm]=研磨前後のシリコンウェーハの重量の差[g]/シリコンの密度[g/cm](=2.33g/cm)/研磨対象面積[cm](=36cm
(b)研磨レート[nm/分]=研磨取り代[μm]×10/研磨時間[分]
[研磨条件]
研磨装置:日本エンギス社製卓上研磨機、型式「EJ−380IN」
研磨パッド :ニッタハース社製、商品名「MH S−15A」
研磨圧力:16.8kPa
定盤回転数:50回転/分
ヘッド回転数:40回転/分
研磨液の供給レート:100mL/分(掛け流し使用)
研磨液の温度:25℃
Figure 0006847692
表2に示すように、キャリアに対する腐食率が低い含窒素塩基性化合物とKOHとを組み合わせて用いた実施例1〜4の研磨用組成物およびキャリアに対する腐食率が低い含窒素塩基性化合物を単独で用いた実施例5〜8の研磨用組成物によると、KOHを単独で用いた比較例に比べて、キャリアの表面粗さの増大が抑制されており、耐腐食性能に優れるものとなった。また、実施例1〜8の研磨用組成物は、比較例に比べて、研磨レートでも良好な結果が得られた。この結果から、上記キャリアに対する腐食率が低い含窒素塩基性化合物を単独で若しくは他の塩基性化合物と組み合わせて使用することにより、高い研磨レートを保ちつつ、キャリアの腐食が効果的に抑制され得ることが確認できた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (7)

  1. エポキシガラス樹脂製のキャリアに保持された研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物であって、ここで、前記研磨対象物はシリコンからなる表面を備えた研磨対象物であり、
    水溶性高分子を含有せず、
    前記キャリアの腐食を抑制する含窒素塩基性化合物を含み、該含窒素塩基性化合物のモル濃度は、0.0001モル/L以上0.05モル/L以下であり、
    前記含窒素塩基性化合物以外の塩基性化合物をさらに含み、該塩基性化合物のモル濃度は、0.00005モル/L以上0.05モル/L以下であり、
    前記含窒素塩基性化合物以外の前記塩基性化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択された少なくとも1種の塩基性化合物であることを特徴とする、研磨用組成物。
  2. 前記含窒素塩基性化合物は、1級アミノ基および2級アミノ基からなる群から選択された少なくとも1種のアミノ基を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記含窒素塩基性化合物における1級アミノ基の数が、1〜2つである、請求項2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記含窒素塩基性化合物は、分子内にエーテル結合を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記研磨対象物は、シリコンウェーハである、請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  6. 前記含窒素塩基性化合物は、
    一般式;R−N(R)−R−N(R)−R
    で表されるアミン化合物であって、
    (1)前記一般式中、R,Rのうち一方が水素原子もしくはアルキル基であり、他方がアミノアルキル基であり、R,Rの両方が水素原子であり、かつ、Rがアルキレン基である;または、
    (2)前記一般式中、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基またはアミノアルキル基であり、R,Rの両方が水素原子であり、R、Rが互いに結合して環状構造を形成しており、かつ、Rがアルキレン基である、
    アミン化合物である、請求項1からのいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  7. エポキシガラス樹脂製のキャリアを用意する工程と、
    前記キャリアに研磨対象物を保持する工程と、
    前記キャリアに保持された前記研磨対象物に請求項1〜6のいずれか一項に記載された研磨用組成物を供給して該研磨対象物を研磨する工程と
    を包含する、研磨方法。
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