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JP6853682B2 - 含油スラッジの処理方法 - Google Patents
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JP6853682B2 - 含油スラッジの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粗粒及び微粒に加え、油分を3〜15質量%と多く含む含油スラッジの処理方法に関し、より詳しくは、例えば、製鉄所における工程廃水の処理過程で発生する鉄粉と油とを含む含油スラッジを、簡便な方法によって、油分が濃縮された含油率の高い微粒分と、そのままリサイクルが可能な含油率が低い粗粒分とに分級し、その際に、できるだけ分級した粗粒分の量を多くすることを実現することで、鉄粉などの再利用率を向上させることができる含油スラッジの処理方法に関する。
製鉄所においては、例えば、連続鋳造工程における直接冷却廃水や圧延工程における直接冷却廃水といった、鉄分等を、粗粒或いは微粒の懸濁物質(SS)として多く含む大量の廃水が発生する。これらの直接冷却廃水は、廃水中のSSを固液分離して除去処理後、得られた処理水を再び直接冷却水として循環使用している。一方、廃水中のSSは、上記の廃水処理で、例えば、50質量%程度の鉄分と10質量%程度の油を含む含油スラッジとして固液分離される。このように、含油スラッジには多量の鉄分が含まれているため、製鉄工程に戻されてリサイクルすることが行われている。そして、下記に述べるように、リサイクルする場合には、含油スラッジ中の油分を除去する必要がある。
含油スラッジをリサイクルする方法として、焼結原料中に含油スラッジをそのまま、造粒原料の一部に用いて造粒し、擬似粒子の焼結原料として焼結機に装入して使用する例もないわけではない。しかし、この場合は、焼結原料中に含まれる油分が気化し、操業面で悪影響を及ぼすという問題が生じる。そのため、含油スラッジをそのままで製鉄原料として再利用することは難しく、リサイクルの際には、含油スラッジ中の油分を除去することが行われている。
含油スラッジ中の油分を除去する方法としては、例えば、含油スラッジ中の油分をキルン型の焼却炉で燃焼させ、鉄分を有効資源として回収する技術が知られており(特許文献1参照)、実施されている。しかし、この方法は、燃焼によって油分を完全に除去できるが、製鉄所で大量に発生する含油スラッジを焼却炉で燃焼させて、油分を除去するためには多大な焼却能力が必要であり、現実的でなく、最良の方法とは言い難い。
その他の方法として、例えば、含油スラッジを溶剤と接触させて油分を溶剤に溶かした後、固液分離し、さらに固形分を浄化することが提案されている。しかし、この場合には、大量に使用する溶剤等にかかるコストの問題や、固形分の浄化処理に用いた廃水の処理などの2次処理にかかるコストの問題がある。これに対し、粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物に対して、粒子同士の摩擦で粒子を小さくする磨砕工程と、分級工程により粗粒と細粒とを分離し、分離した粗粒に対して、さらに洗浄工程で油分除去することで、従来の方法に比べて、薬剤や水処理にかかる費用を少なくしながら、鉄分の再利用を可能にする方法が提案されている(特許文献2参照)。そして、この方法は、再利用する粒子の清浄化度の目標値が高い場合でも適用できるとされている。
特開平10−169956号公報 特許第5417933号公報
上記したように、製鉄所内で発生する大量の含油スラッジは、鉄分が高濃度で含まれるものの、再利用するためには含油スラッジ中の油分を除去する必要がある。これに対し、含油スラッジをそのままの状態で処理して油分を除去することは可能であるが、その場合には、油分の燃焼効率が悪く、しかも処理する量が膨大になることから、助燃材の添加を必要とし、更に大規模な焼却設備を必要とし、現実的には難しい。また、上記したように、従来技術では、煩雑な操作で大量の薬剤を使用して油分を除去する必要があり、鉄分を簡便な方法で再利用可能にする実用化に最適な方法とはなっていない。上記した従来の含油スラッジの処理方法に対し、油分の除去処理を必要とする含油スラッジの量は極めて大量であることから、現状では、含油スラッジは、含油スラッジに含まれる資源を有効利用されることなく、廃棄処分されることも多い。
したがって、本発明の目的は、例えば、製鉄所内で大量に発生する含油スラッジに対し、できるだけコストをかけずに簡便な方法で効果的に、含油スラッジから、より多くの鉄分等の有効成分を再利用可能な状態にすることができる含油スラッジの処理技術を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、粗粒及び微粒と、3〜15質量%の油分とを含む含油スラッジに水を加えてスラリー状にし、該スラリー状の含油スラッジを液体サイクロンに供給して、15μm以上20μm以下を分級点として粗粒分と微粒分とに分離する分級工程と、該分級工程で分級することで前記油分が濃縮された、粒径が前記分級点未満である微粒分を脱水する脱水工程と、該脱水工程で脱水した脱水スラッジを焼却して油分を除去する焼却工程と、を有することを特徴とする含油スラッジの処理方法を提供する。
また、上記した本発明の好ましい形態としては、下記の構成を有することが挙げられる。前記スラリー状の含油スラッジのスラリー濃度(SS)を、15質量%以上になるように調整すること;前記含油スラッジが、製鉄所における工程廃水の処理過程で発生する鉄粉と油分とを含む含油スラッジであること;また、その場合に、前記粗粒分が、その回収率が35%以上であり、且つ、その油分が1質量%以下であること;前記焼却工程で得た焼却残渣は、前記粗粒分とともに、回収した鉄分として前記製鉄所で再利用するためのものであることが挙げられる。
また、本発明の好ましい形態として、前記脱水工程で、前記微粒分を脱水する際に、ポリアクリルアミドを有効成分として含有している高分子凝集剤を添加する含油スラッジ処理方法が挙げられる。
そして、上記高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミドやポリアクリルアミドのカチオン化変成物等が挙げられる。具体的なものとして、下記一般式(1)、下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれか一方又は両方を必須成分として5モル%以上含む原料モノマーから誘導されたカチオン性又は両性の共重合体を主成分としてなり、該共重合体の重量平均分子量(Mw)に、pH7におけるカチオンコロイド当量(CE)の2乗を乗じた値を、更に100万で除した値をNとした場合に、N値が5〜60である高分子凝集剤を挙げることができる。
Figure 0006853682
(上記式中の、R1、R2は、それぞれ独立にCH3又はC25を表し、R3は、H、CH3又はC25のいずれかを表す。X-は、アニオン性対イオンを表す。)
本発明によれば、粗粒と微粒に油分とを含む含油スラッジ、例えば、製鉄所等において大量に発生する、50質量%程度の鉄分と10質量%程度の油を含む含油スラッジを、再利用可能な資源に、簡便に効率よくすることができる含油スラッジの処理方法が提供される。すなわち、本発明によれば、含油スラッジをスラリー状にして液体サイクロンへと供給し、特定の分級点で分級するだけで、油分を高めた(例えば、油分が15%程度に濃縮された)微粒分と、油分を1質量%以下に低下させた粗粒分とに分離でき、しかも、該粗粒分としての回収率を高くでき、この粗粒分は油分が低いので、鉄源として油分が1質量%以下の受け入れ基準値をもつ焼結工場において、そのまま利用できる。このため、油分が濃縮された発熱量が高い微粒分のみについて、脱水処理後、焼却して油分を除去すればよいので、油分処理する量を減量化できることに加え、焼却効率の向上も達成できる。なお、焼却後の残渣は、上記した油分の低い粗粒分とともにリサイクルに利用できる。また、本発明の好ましい形態によれば、上記した微粒分を脱水する際に、特定の高分子凝集剤を用いると水切れがよくなり、高い脱水効率を実現できることから、脱水スラッジを焼却処理する場合の効率がより向上し、その結果、より効率的に、含油スラッジを再利用可能な資源に再生することが可能になる。
本発明の含油スラッジの処理方法を模式的に示すフロー図である。 製鉄所の実際の含油スラッジをスラリー状にして、運転条件を変えて液体サイクロンに供給して分級して得た各粗粒分の粒度分布と、分級前のスラリーの粒度分布を示すグラフである。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、先に述べた従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、従来より分級機として知られている液体サイクロンを使用し、含油スラッジに含まれる粗粒分と微粒分とに分級する際に、特定の分級点とするだけで、分級した微粒分側に油分が殆ど移行して濃縮できるのと同時に、粗粒分を油分が殆どない状態にでき、しかも粗粒分としての高い回収率を実現できることを見出して本発明を完成した(図1参照)。
例えば、製鉄所の直接冷却廃水に対する処理過程で得た含油スラッジは、鉄分を50質量%程度、油分を3〜15質量%程度の範囲で含む。本発明は、このような性状の含油スラッジの処理に好適である。具体的には、下記のような手順で処理する。まず、含油スラッジに水を加えてスラリー状にする。その際、スラリー濃度(SS)は適宜に調整すればよいが、15質量%以上になるように調整することが好ましい。本発明の含油スラッジの処理方法では、このようなスラリー状の含油スラッジを液体サイクロンに供給し、液体サイクロンの分級条件を調整することで、15μm以上20μm以下を分級点とし、粗粒分と微粒分とに分離することを特徴とする。
ここで、液体サイクロンによってなされる分級について説明する。液体サイクロンへスラリーを圧入すると、遠心力によって、粒子は、周壁部へいくほど、比重、粒子径の大きいもの、中心に向かうほど、比重、粒子径の小さいものに衛星状に配列される。周壁部には、サイクロンのテーパーに沿い下降流が発生しており、この流れにのって、比重、粒子径の大きいものはボトムノズルへ導かれ、排出され、一方、中心部は逆に上昇流が発生しており、比重、粒子径の小さいものはこの流れにのりトップノズルへ排出される。
後述するように、このような原理によって特定の分級点で分級された粗粒分と微粒分は、それぞれ下記の性状を示すものになる。すなわち、例えば、含油スラッジが、製鉄所における工程廃水の処理過程で発生する鉄粉と油分とを含む含油スラッジである場合、粒径が前記分級点以上の粗粒分は、油分が1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下と、油分の少ないものになる。さらに、そのSS重量を調べたところ、この場合の粗粒の回収率は35%以上、更には40%以上、より好ましくは50%以上となることがわかった。一方、粒径が前記分級点未満である微粒分には、スラリー状の含油スラッジ中の殆どの油分が移行しており、油分が濃縮されたものになることがわかった。
このため、上記した分級処理で得られる油分の少ない粗粒分は、次の処理を行うことなく、そのまま、例えば、焼結工場などで製鉄用材料等としてリサイクルして利用できる。一方、分級した微粒分は、下記の手順で油分を効率よく除去することができ、その残渣はリサイクルに利用できる。先に述べたように、本発明で規定する分級処理では、粗粒分を高い回収率で得られるため、油分除去を行う微粒分の量は少なくてすみ、油分除去の処理を必要とする含油スラッジの量を大幅に減量(容)化できる。
本発明者らの検討によれば、前記した製鉄所における工程廃水の処理過程で発生する鉄粉と油分とを含む含油スラッジを処理した場合、液体サイクロンに供給したスラリー状の含油スラッジの油分うちの殆ど、具体的には90%超の油分が分級した微粒分中に移行し、油分が効率よく濃縮されることがわかった。本発明では、このことを利用し、脱水工程で、このような油分が濃縮されている状態の微粒分を脱水し、続いての焼却工程で、脱水工程で脱水した脱水スラッジを焼却することで、含油スラッジ中の油分を効率よく除去することを可能とした。本発明者らの検討によれば、本発明で規定する燃焼工程における発熱量は、焼却処理する微粒分内に油分が高度に濃縮されているので、含油スラッジをそのまま焼却して油分を除去する従来の方法と比べて、その発熱量が1.5倍近くになり、この結果、助燃材の添加量を削減でき効率よく焼却処理することができる。また、このようにして油分を除去した上記焼却工程で得た焼却残渣は、前記した油分の殆どない粗粒分とともに、回収した鉄分として製鉄所でリサイクル可能である。
さらに、本発明者らは、上記した脱水工程で、特定の高分子凝集剤を用いることで、水離れがよくなり、脱水性が向上するので、脱水効率を向上させることができ、その結果、上記した焼却の際の効率がより向上することを見出した。具体的には、高分子凝集剤として、ポリアクリルアミドを有効成分として含有している高分子凝集剤を用いた場合に、脱水工程における微粒分の脱水性を向上させる効果が顕著に得られることがわかった。本発明の処理方法に好適に用いられるポリアクリルアミド系高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミドや、例えば、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変成物やホフマン分解物、及び、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレートとアクリルアミドの共重合体等のポリアクリルアミドのカチオン化変成物が挙げられる。この高分子凝集剤のMwは、単独重合体、共重合体共に1,000,000〜20,000,000が適している。
本発明の処理方法にポリアクリルアミド系高分子凝集剤を適用した具体例を挙げると、例えば、下記一般式(1)、下記一般式(2)で表されるモノマーのいずれか一方又は両方を必須成分として5モル%以上含む原料モノマーから誘導されたカチオン性又は両性の共重合体を主成分としてなり、該共重合体の重量平均分子量(Mw)に、pH7におけるカチオンコロイド当量(CE)の2乗を乗じた値を、更に100万で除した値をNとした場合に、N値が5〜60である高分子凝集剤を、微粒分を脱水工程で処理する場合に添加すると、その脱水性が大幅に向上させることができる。高分子凝集剤の使用量は、特に限定されないが、SS量に対して0.5〜1.0質量%程度とすることが好ましい。なお、上記で例示した高分子凝集剤についての詳細は、特開2016−13541号公報に記載されており、本発明では、このようなポリアクリルアミドを有効成分として含有している高分子凝集剤を適宜に使用することができる。
Figure 0006853682
(上記式中の、R1、R2は、それぞれ独立にCH3又はC25を表し、R3は、H、CH3又はC25のいずれかを表す。X-は、アニオン性対イオンを表す。)
微粒分を脱水する脱水性の向上効果が得られる高分子凝集剤として用いることのできるカチオン性又は両性の共重合体は、上記特定の原料モノマーから誘導される。具体的には、本発明で規定するN値の要件を満たすものとなるように、上記したモノマー組成を設計することで得ることができる。具体的な合成方法としては、カチオン性の共重合体については、特許第3868521号公報に記載の合成方法が利用できる。また、両性の共重合体は、例えば、特許第3352835号公報に記載されているように、上記式(1)及び/又は(2)で表されるカチオン性モノマーに、その他のモノマーとしてイタコン酸やアクリル酸等のアニオン性モノマーを適宜混合して原料モノマーとすることで、同様の方法で得ることができる。
上記式(1)で示されるモノマーの代表的なものとしては、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩酸塩等が挙げられる。また、式(2)で示されるモノマーの代表例としては、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。これらのモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。これらの実施例により本発明が限定されるものではない。以下、%とあるのは、特に断りのない限り、質量基準である。
<検討試験例−1>
製鉄所で実際に発生した、鉄粉と3〜15質量%の油分を含有する含油スラッジについて、液体サイクロンを用いた分級試験を行って、本発明の目的を達成できるか否かの検討をした。粗粒分と微粒分に分級する分級試験では、液体サイクロンへ供給するための含油スラッジのスラリー濃度(SS)を適宜に調整し、且つ、液体サイクロンの運転条件を適宜に変えて行った。そして、良好とする分級の目標を、粗粒分(ボトム液)へ移行する油分を1%以下に低下でき、このような、そのままリサイクルすることが可能な粗粒分の回収量を35%以上、好適には、回収量をできるだけ多くすることを実現できる最適条件を見出すべく検討を行った。具体的には、その目標値を、上記の油分が1%以下である粗粒分を40%以上の回収率で回収することとし、この目標値を達成すべく、液体サイクロンへ供給する含油スラッジのスラリー濃度、サイクロン入口運転圧、サイクロン出口運転圧の3つの条件について検討し、それぞれの最適条件を見出すべく、表1に示した組み合わせの条件1〜7で試験を行った。その結果、条件2、3及び5の運転条件が最適であることを見出した。
表1に示したそれぞれの試験条件で2回ずつ繰り返して、液体サイクロンによる分級試験を行った。選択した具体的な運転条件を表2に示した。そして、表2に示した運転条件で行った分級試験で分級した粗粒分と微粒分のそれぞれについて、粗粒分(ボトム液)の油分と、微粒分(トップ液)のSSを測定し、測定結果を表2中にまとめて示した。また、表2中に、液体サイクロンに供給したスラリー(処理の対象物)のSS値に対する、分級した粗粒分(ボトム液)のSS値(スラリーのSS−トップ液のSS)の割合を、ボトム回収率(%)とし、併せて示した。
Figure 0006853682
Figure 0006853682
表2に示したように、運転条件2、3又は5で分級した場合、粗粒分(ボトム液)へ移行する油分を1%以下と低下させることができ、しかも、このような油分の少ない、そのままリサイクルすることが可能になる粗粒分の量を、40%以上の高い回収率で回収できることがわかった。より具体的には、液体サイクロンへ供給するスラリー濃度(SS)を15質量%以上とし、且つ、サイクロンの入口圧力を0.2MPa以上とし、且つ、サイクロンの出口圧力を0.07MPa以上の条件で分級した場合に、油分1%以下のスラッジ(粗粒分)を、40%以上のボトム回収率で回収できることがわかった。
<検討試験例−2>
次に、上記で顕著な効果が得られた、液体サイクロンへ供給するスラリー濃度(SS)を15質量%以上、油分を3〜15質量%とし、且つ、サイクロンの入口圧力を0.2MPa以上とし、且つ、サイクロンの出口圧力を0.07MPa以上の条件で分級した場合に、含油スラッジ中に含まれていた粗粒と微粒が、それぞれ粗粒分と微粒分に分級される分級点がどのようなになっているかについて、詳細な検討試験を行った。
具体的には、液体サイクロンの運転条件を、表2に示した運転条件1、2、5及び7の4種類で行った各分級試験によって得られた粗粒分について、それぞれレーザー回折式粒度分布測定法を用い、その粒度分布を測定した。そして、測定した結果を、表3と図2に示した。分級試験に用いた供給スラリー(原泥スラリーと呼ぶ)についての粒度分布についても測定し、その結果を併せて表3及び図2に示した。なお、運転条件1で分級した結果得られた粗粒分は、油分が0.3%と低かったものの、ボトム回収率は20%以下と低く、また、運転条件7で分級した結果得られた粗粒分は、回収率は50%以上と高かったものの、油分が1.5%であり、本発明が目的としている粗粒分とはならなかった。
表3及び図2に示したように、1.0μmから100μmまでの粗粒と微粒がブロードに分布している原料のスラリー(原泥スラリー)は、本発明の目標を達成できることが確認された運転条件2又は5で分級処理することで、分級した粗粒分は、40〜50μm近傍に中央値を有する、正規分布に近い分布を示すものになる。また、上記の粒度分布の結果から、分級した粗粒分が、油分が1%以下で、且つ、粗粒回収率が40%以上となる分級点は、表3の「×10」の値から、15〜20μmであると結論した。したがって、本発明で規定する条件で原泥スラリーを処理すれば、分級後、そのまま鉄分としてリサイクルすることができる、油分が1%以下の粗粒分を、ボトム(粗粒)回収率が40%以上と高い状態で得られることがわかった。
Figure 0006853682
なお、表3及び図2に示されているように、本発明で規定する運転条件2又は5で分級した粗粒分と比較し、運転条件1で分級した結果得られた粗粒分は、より粒径の大きいものの分布が高く、小さい粒径のものが少ない状態であり、このことに起因してボトム回収率が低くなったと考えられる。また、運転条件7で分級した結果得られた粗粒分は、粒径の小さいものの分布が高くなっており、このことに起因して、ボトム回収率は高くなるが、粒径の小さいものと一緒に油分も分級されるので、粗粒分に含まれる油分濃度が高くなったものと考えられる。
<検討試験例−3>
先の試験例で示したように、粗粒と微粒と油分とを含む含油スラッジについて、本発明で規定する条件で処理することで、油分が1%以下の粗粒分を、粗粒回収率35%以上(上記試験結果では、40%以上)、と高い状態で得られる。一方、微粒分(トップ液)には、含油スラッジ(分級試験に用いた供給スラリー)の油分の殆どが移行する。分級された微粒分は、脱水工程で脱水され、次に、脱水工程で脱水した脱水スラッジを焼却工程で焼却して処分される。したがって、分級した微粒分の処理の効率化の点で、焼却する前の脱水が十分に行われることが重要である。
これに対し、下記に示したように、微粒分の脱水処理をする際に、本発明で規定する特有の高分子凝集剤を添加して脱水処理を行うことが極めて効果的であることを見出した。具体的には、検討試験例−1で行った運転条件2で分級を行って得た微粒分(トップ液)について、脱水処理する際に、高分子凝集剤を添加した場合と、添加しない場合の2種の方法で、脱水処理を行い、特有の高分子凝集剤を添加して脱水することによって得られる顕著な効果を見い出した。
上記の高分子凝集剤には、前記した一般式(1)及び(2)で表される2種類のモノマーを必須成分として、それぞれ20モル%ずつ含む原料モノマーから誘導した、アクリルアミド/[2−(アクリロイルオキシ)エチル]ベンジルジメチルアンモニウム・クロリド/[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム・クロリド共重合体(モル比=60/20/20)を主成分とするカチオン性のものを用いた。その重量平均分子量は300万であり、pH7におけるカチオンコロイド当量が2.0meq/gである。よって、この共重合体のN値は12(L値=1.5)である。なお、使用した高分子凝集剤についての詳細は、特開2016−13541号公報の記載を参照した。微粒分(トップ液)への上記高分子凝集剤の添加量は、1000mg/Lとし、高分子凝集剤を添加後、激しく撹拌し、その後に脱水処理を行った。
表4に、その結果を示した。表4に示したように、微粒分(トップ液)に、高分子凝集剤を添加しない場合には、脱水処理しても良好な脱水がされず、微粒分が流出してしまう液状であり、SSの捕捉率は2.2%とほぼゼロに近かった。これに対し、微粒分(トップ液)に、特定の高分子凝集剤を添加した後、脱水することで、含水率45%の脱水スラッジが得られ、SSの捕捉率を99.9%と格段に向上できることが確認された。したがって、上記したように処理すれば、粗粒と微粒と油分とを含む含油スラッジから、先に説明したようにして分級処理することで得られる、ほぼ全量の油分が移行し、油分が濃縮された発熱量が高い微粒分から、更にSSをほぼ完全に捕捉した脱水スラッジとできるので、脱水ろ液は、良好な水質のものになる。このため、上記した方法は、脱水ろ液を系外に排出する際に、極めて有効である。
Figure 0006853682
<本発明を適用することによって得られる効果>
(焼却処理量の減量化の効果)
製鉄所からの粗粒と微粒と油分とを含む含油スラッジに対し、従来の、分級処理を行わないで処理する方法に比較し、本発明の処理方法で粗粒分と微粒分を分級することによって得られる処理の効率化を、月間の焼却処理を行う処理量で比較して表5に示した。具体的には、熱延仕上廃水を沈殿池に導入し、ろ過機でろ過後、ろ過機で捕捉される含油スラッジ(原泥)の処理量と比重に対し、本発明の処理方法を適用することで最終的に、油分処理が必要になる含油スラッジの処理量と、その比重を表5に示した。粗粒分と微粒分を分級する本発明の処理方法を適用することで、本発明の方法では、最終的に油分処理が必要となるのは、含油スラッジから分級された微粒分(トップ液)になる。この結果、表5に示したように、製鉄所からの含油スラッジにおける処理量の削減率は、本発明の方法を適用することで、容量及び重量とも、ほぼ50%程度の大きなものになることが確認できた。また、本発明の処理方法を適用したことで、粗粒と微粒と油分とを含む含油スラッジから、そのまま再利用できる、油分が少なく、且つ、鉄分等の有効成分を多く含む粗粒分が効率よく分級されたことは、原泥では1.90あった比重が、1.60に低下したことから明らかである。上記したように、本発明の処理方法を適用することで、最終的な焼却処理が必要になる処理量を、ほぼ50%の削減率にできたことによる効果は、製鉄所からの含油スラッジの量は膨大であるので、その削減によってもたらされる、作業効率の向上、設備の簡素化など、その経済的効果は極めて大きなものになる。
Figure 0006853682
(焼却処理される脱水スラッジの性状の違いによる効果)
焼却処理の対象となる脱水処理後のスラッジの性状の違いによって比較した。具体的な比較は、焼却処理の対象としたスラッジの、油分と発熱量を測定することで行った。表6に測定結果をまとめて示した。
その結果、表6に示したように、含油スラッジの油分は、従来の場合は、9.3質量%であったのに対し、本発明の処理方法を適用した場合は、含油スラッジの油分が17.4質量%であり、従来に比べて油分が倍程度に濃縮されることがわかった。このように、油分が大きく濃縮されたことから、脱水・乾燥後のスラッジを焼却する際の発熱量も1.5倍程度になり、本発明の処理方法を適用することで、焼却工程においての燃焼効率を大きく向上させることができる。先に述べたように、本発明の処理方法を適用することで、油分を焼却処理して除去することが必要となる微粒分は、その重量で、従来方法の場合と比較し、55%程度の削減率となるので、焼却する処理量を大きく減量化できる。更に、上記の効果に加え、上記したように、微粒分中に油分が濃縮されるので、焼却工程において処理する微粒分の発熱量が大きくなるので、燃焼効率を向上させることができる。これらの結果、従来技術によって処理した場合と比較して、リサイクルする資源量をより多くできることに加え、その際の作業効率の向上、設備の簡素化などが達成でき、本発明の処理方法によってもたらされるその経済的効果は、より大きなものになる。
Figure 0006853682

Claims (5)

  1. 粗粒及び微粒と、3〜15質量%の油分とを含む含油スラッジ(但し、粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物に対し、粒子同士の摩擦で粒子を小さくする処理を行う磨砕工程で処理されたものを除く)に水を加えてスラリー状にする工程で、スラリー状の含油スラッジのスラリー濃度(SS)が15質量%以上になるように調整し、
    調整したスラリー状の含油スラッジを液体サイクロンに供給して、15μm以上20μm以下を分級点として粗粒分と微粒分とに分離して、油分が1質量%以下である粗粒分を得る分級工程と、
    該分級工程で分級することで得られる、前記油分が濃縮された、粒径が前記分級点未満である微粒分を脱水する脱水工程と、
    該脱水工程で脱水した脱水スラッジを焼却して油分を除去する焼却工程と、を有することを特徴とする含油スラッジの処理方法。
  2. 前記含油スラッジが、製鉄所における工程廃水の処理過程で発生する鉄粉と油分とを含む含油スラッジである請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。
  3. 前記粗粒分の回収率が35%以上である請求項1又は2に記載の含油スラッジの処理方法。
  4. 前記焼却工程で得た焼却残渣は、前記粗粒分とともに、回収した鉄分として前記製鉄所で再利用するためのものである請求項又はに記載の含油スラッジの処理方法。
  5. 前記脱水工程で、前記微粒分を脱水する際に、ポリアクリルアミドを有効成分として含有している高分子凝集剤を添加する請求項1〜のいずれか1項に記載の含油スラッジ処理方法。
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