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JP6855997B2 - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、トナー及びその製造方法に関する。
画像形成装置とトナーとを用いて記録媒体に画像を形成する際には、例えばトナーで形成されるトナー像が記録媒体に転写される。転写されたトナー像は、例えば定着ローラーを用いて加熱及び加圧されることにより、記録媒体に定着される。定着に必要なエネルギーを少なくしつつ高画質な画像を形成するために、記録媒体に対するトナーの低温定着性を向上させることが望まれている。トナーの低温定着性を向上させるために、特許文献1に記載の電子写真画像形成用トナーには、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とが含有されている。
特開2014−174262号公報
特許文献1に記載の電子写真画像形成用トナーは、低温定着性を向上させることは可能であるが、形成される画像の光沢性については不十分である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温定着性を確保しつつ、形成される画像の光沢性を高めることができるトナー、及びその製造方法を提供することである。
本発明に係るトナーは、トナー粒子として複数の第1粒子と複数の第2粒子とを含有する。前記第1粒子及び前記第2粒子は、それぞれ、コアと、前記コアの表面を覆うシェル層とを備える。前記第1粒子のコアは、結着樹脂及び着色剤を含む。前記第2粒子のコアは、離型剤を含む。前記トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差は、1.28以下である。前記第2粒子のコアの断面撮影像における前記離型剤が占める面積割合は、50%以上である。前記第2粒子の個数割合は、前記第1粒子及び前記第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下である。
本発明に係るトナーの製造方法は、トナー粒子として複数の第1粒子と複数の第2粒子とを含有するトナーの製造方法であって、溶融混練工程と粉砕工程とシェル層形成工程とを備える。前記溶融混練工程では、結着樹脂と着色剤とを溶融混練して、溶融混練物を得る。前記粉砕工程では、前記溶融混練物を粉砕して、複数の第1コアを得る。前記シェル層形成工程では、複数の前記第1コアの表面、及び離型剤を含む複数の第2コアの表面のそれぞれにシェル層を形成して、複数の前記第1粒子及び複数の前記第2粒子を得る。前記トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差は、1.28以下である。前記第2コアの断面撮影像における前記離型剤が占める面積割合は、50%以上である。前記第2粒子の個数割合は、前記第1粒子及び前記第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下である。
本発明によれば、低温定着性を確保しつつ、形成される画像の光沢性を高めることができるトナー、及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係るトナーに含まれる第1粒子及び第2粒子の断面構造の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー粒子等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「マルチサイザー3」)を用いて測定されたメディアン径である。ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。融点(Mp)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定される吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)中の最大吸熱ピークの温度である。軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従って測定した値である。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
<第1実施形態:トナー>
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含有する粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤として使用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子として複数の第1粒子と複数の第2粒子とを含有する。第1粒子及び第2粒子は、それぞれ、コアと、コアの表面を覆うシェル層とを備える。第1粒子のコア(以下、第1コアと記載することがある。)は、結着樹脂及び着色剤を含む。第2粒子のコア(以下、第2コアと記載することがある。)は、離型剤を含む。第1粒子及び第2粒子は、それぞれ、シェル層の表面に付着した外添剤を更に備えてもよい。シェル層は、例えば樹脂を含む。第1粒子及び第2粒子は、それぞれ、シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散されていてもよい。第1粒子のシェル層(以下、第1シェル層と記載することがある。)は、第1コアの表面全体を覆っていてもよいし、第1コアの表面を部分的に覆っていてもよい。同様に、第2粒子のシェル層(以下、第2シェル層と記載することがある。)は、第2コアの表面全体を覆っていてもよいし、第2コアの表面を部分的に覆っていてもよい。第1コアは、必要に応じて、結着樹脂及び着色剤以外に、内添剤(より具体的には、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等)を含有してもよい。第2コアは、必要に応じて、離型剤以外に、結着樹脂及び内添剤(より具体的には、着色剤、電荷制御剤、磁性粉等)の少なくとも1つを含有してもよい。
また、本実施形態において、トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差(以下、標準偏差SDと記載することがある。)は、1.28以下である。第2コアの断面撮影像における離型剤が占める面積割合(以下、面積割合S2と記載することがある。)は、50%以上である。第2粒子の個数割合(以下、個数割合NRと記載することがある。)は、第1粒子及び第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下である。
ここで、標準偏差SDの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
また、面積割合S2は、下記式(1)で示される算出式により算出される。下記式(1)中、SAは、500個の第2コアの断面撮影像における離型剤が占める面積の個数平均値を表す。また、下記式(1)中、SBは、500個の第2コアの断面撮影像における離型剤以外の領域が占める面積の個数平均値を表す。なお、SA及びSBの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
面積割合S2(%)=100×SA/(SA+SB)・・・(1)
また、個数割合NRは、下記式(2)で示される算出式により算出される。下記式(2)中、Ntは、第1粒子及び第2粒子の合計の個数を表す。下記式(2)中、N2は、Nt個中の第2粒子の個数を表す。Ntは、例えば500個である。なお、N2の計数方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
個数割合NR(%)=100×N2/Nt・・・(2)
本実施形態に係るトナーは、上述の構成を備えることにより、低温定着性を確保しつつ、形成される画像の光沢性を高めることができる。その理由は、以下のように推測される。
本実施形態に係るトナーは、比較的狭い粒度分布を持つ。また、離型剤の含有量の多い第2粒子の個数が、第1粒子及び第2粒子の合計の個数に対して特定範囲内の値になっている。そのため、本実施形態に係るトナーを用いて現像されたトナー像内において、第2粒子が均一に分散され易くなる。よって、本実施形態に係るトナーは、吸熱性を有する離型剤の偏在に起因する定着阻害を抑制できるため、低温定着性を確保できると考えられる。
また、本実施形態に係るトナーは、比較的狭い粒度分布を持ち、かつ第2粒子の個数が特定範囲内の値であるため、本実施形態に係るトナーを用いて形成された画像表面において、第2粒子が均一に分散され易い。その結果、形成される画像表面において離型剤が比較的均一に分散されるため、画像表面の凹凸が小さくなり、画像表面の光沢性が高まる。従って、本実施形態に係るトナーは、形成される画像の光沢性を高めることができると考えられる。
本実施形態において、標準偏差SDの下限は特に限定されないが、製造コストを低減するためには、下限としては1.23が好ましい。なお、標準偏差SDを1.28以下に調整する方法としては、例えば第2コアの製造時において、第2コアの体積中位径(D50)を、第1コアの体積中位径(D50)に近い値となるように調整する方法が挙げられる。第2コアの体積中位径(D50)の調整方法については後述する。また、本実施形態において、面積割合S2は、形成される画像の光沢性をより高める観点から、70%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。面積割合S2の上限は特に限定されないが、トナーを容易に製造するためには、上限としては98%が好ましく、95%がより好ましい。
[トナー粒子の構成]
以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(より具体的には、第1粒子及び第2粒子)の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれる第1粒子及び第2粒子の断面構造の一例を示す図である。
本実施形態に係るトナーは、図1に示すように、トナー粒子として複数の第1粒子10と複数の第2粒子20とを含有する。第1粒子10は、第1コア11と、第1コア11の表面を覆う第1シェル層12とを備える。第1コア11は、結着樹脂及び着色剤を含む。第2粒子20は、第2コア21と、第2コア21の表面を覆う第2シェル層22とを備える。第2コア21は、離型剤を含む。第1粒子10及び第2粒子20は、何れもコアがシェル層で覆われたカプセルトナー粒子であるため、第1粒子10と第2粒子20との間で帯電量を同程度に調整できる。これにより、形成されるトナー像内において第1粒子10と第2粒子20とを比較的均一に分散できるため、離型剤の偏在に起因する定着阻害を抑制できる。
本実施形態に係るトナーにおいて、個数割合NRを容易に上記範囲内の値にするためには、第2粒子20の含有量は、100質量部の第1粒子10に対して、5質量部以上20質量部以下であることが好ましく、10質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーにおいて、標準偏差SDを容易に1.28以下の値にするためには、第1コア11の体積中位径(D50)と、第2コア21の体積中位径(D50)との差の絶対値は、1.5μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましい。
画像形成に適したトナーを得るためには、第1コア11の体積中位径(D50)及び第2コア21の体積中位径(D50)は、何れも4μm以上9μm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態に係るトナーは、第1粒子10及び第2粒子20以外のトナー粒子を含有してもよい。本実施形態に係るトナーにおいて、低温定着性を確保しつつ、形成される画像の光沢性をより高めるためには、トナー粒子中の第1粒子10及び第2粒子20の合計の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
[トナー粒子の要素]
次に、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。詳しくは、第1粒子及び第2粒子について順に説明する。
〔第1粒子〕
第1粒子は、結着樹脂及び着色剤を含む第1コアと、第1コアの表面を覆う第1シェル層とを備える。第1コアは、必要に応じて、結着樹脂及び着色剤以外に、内添剤(より具体的には、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等)を含有してもよい。また、第1粒子は、第1シェル層の表面に付着した外添剤を更に備えてもよい。
(結着樹脂)
第1コアは、成分の大部分(例えば、80質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質が第1コア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、Tm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、第1コアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、第1コアはカチオン性になる傾向が強くなる。
トナーの低温定着性を向上させるためには、第1コアは、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。第1コアに含有される熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等)も、第1コアの結着樹脂として使用できる。
熱可塑性樹脂は、一種以上の熱可塑性モノマーを、付加重合、共重合、又は縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性モノマーは、単独重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、スチレン系モノマー等)、又は縮重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(例えば、縮重合によりポリエステル樹脂になる多価アルコール及び多価カルボン酸の組合せ)である。
トナーの低温定着性を向上させるためには、第1コアが、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の混合樹脂が好ましい。第1コアが、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含むと、後述する着色剤の分散性を高めつつ低温定着性を向上させることができる。この場合、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の混合比は、特に限定されず、例えば非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して結晶性ポリエステル樹脂を1質量部以上30質量部以下の範囲で混合すればよい。
第1コアが結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含む場合、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立を図るために、第1コアが、軟化点90℃以下の非結晶性ポリエステル樹脂と、軟化点100℃以上の非結晶性ポリエステル樹脂とを含有することが好ましい。
第1コアが適度なシャープメルト性を有するためには、第1コアが、結着樹脂として結晶性指数0.90以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂の結晶性指数は、ポリエステル樹脂を合成するための材料の種類又は使用量(配合比)を変更することで調整できる。なお、樹脂の結晶性指数は、樹脂の融点(Mp:単位℃)に対する樹脂の軟化点(Tm:単位℃)の比率(Tm/Mp)に相当する。非結晶性樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。よって、示差走査熱量計を用いて測定される吸熱曲線において明確に吸熱ピークを判断できない樹脂は、非結晶性樹脂と判断して差し支えない。
ポリエステル樹脂は、一種以上の多価アルコールと一種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類、ビスフェノール類等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、多価カルボン酸の無水物を使用してもよい。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ペンテン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4−ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価アルコールとしては、炭素原子数2以上8以下のα,ω−アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価カルボン酸としては、炭素原子数(2つのカルボキシル基の炭素原子を含む)4以上10以下のα,ω−アルカンジカルボン酸(より具体的には、コハク酸、セバシン酸等)が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価アルコールとしては、ビスフェノール(より具体的には、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。非結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸(より具体的には、テレフタル酸等)及び/又は不飽和ジカルボン酸(より具体的には、フマル酸等)が挙げられる。
また、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を用いて、後述する粉砕法により第1コアを製造する場合は、結着樹脂として、更にスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を用いることが好ましい。粉砕法の溶融混練工程において、結着樹脂中にスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が含有されることで、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂とが相溶しにくくなるため、界面が増えると考えられる。そのため、溶融混練物の粉砕性が向上する傾向がある。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を合成するためのスチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、及びp−n−ドデシルスチレンが挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を合成するための(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、及び(メタ)アクリル酸フェニルが挙げられる。
(着色剤)
第1コアは、着色剤を含有する。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
第1コアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
第1コアは、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
第1コアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
第1コアが離型剤を含有する場合、低温定着性を確保しつつトナーの耐オフセット性を向上させるためには、第1コアの断面撮影像における離型剤が占める面積割合(以下、面積割合S1と記載することがある。)は、1%以上20%以下であることが好ましく、5%以上10%以下であることがより好ましい。なお、面積割合S1は、上述した面積割合S2と同様の方法で得られる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックス等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス;脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックス(例えば、脱酸カルナバワックス)を好適に使用できる。本実施形態では、一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、離型剤としては、カルナバワックス、エステルワックス、及びポリエチレンワックスが好ましい。結着樹脂がスチレン系樹脂又はその共重合体である場合、離型剤としては、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスが好ましい。結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤を第1コアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
第1コアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
第1コアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、第1コアのアニオン性を強めることができる。また、第1コアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、第1コアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、第1コアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
第1コアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された材料が挙げられる。本実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
(第1コアの製造方法)
第1コアの製造方法としては、例えば、凝集法及び粉砕法が挙げられる。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、第1コアを構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させて第1コアを形成する。なお、凝集法は、多量の化学排水が生じるため、環境負荷が大きくなる傾向がある。
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易に第1コアを製造できる上、製造コストの低減が可能である。また、粉砕法は、多量の化学排水を生じさせる工程がないため、環境負荷を低減できる。粉砕法で第1コアを製造する場合、第1コアの製造工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。第1コアの製造工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、第1コアの製造工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
混合工程では、例えば、結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて添加する内添剤とを混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて添加する内添剤(又は混合工程で得られる混合物)を溶融し混練して、溶融混練物を得る。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物(第1コア)を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物である第1コアが得られる。
(シェル層)
第1粒子のシェル層(第1シェル層)は、粒状感のない膜であってもよいし、粒状感のある膜であってもよい。第1シェル層を形成するための材料として樹脂粒子を使用した場合、材料(樹脂粒子)が完全に溶けて膜状の形態で硬化すれば、第1シェル層として、粒状感のない膜が形成されると考えられる。他方、材料(樹脂粒子)が完全に溶けずに膜状の形態で硬化すれば、第1シェル層として、樹脂粒子が二次元的に連なった形態を有する膜(粒状感のある膜)が形成されると考えられる。また、第1シェル層全体が一体的に形成されるとは限らない。第1シェル層は、単一の膜であってもよいし、互いに離間して存在する複数の膜(島)の集合体であってもよいし、樹脂粒子及び樹脂膜の双方を含んでいてもよい。
第1シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂のみからなってもよいし、実質的に熱可塑性樹脂のみからなってもよいし、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の双方を含有していてもよい。第1シェル層が熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の双方を含有する場合、第1シェル層における熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との割合は任意である。
第1コアの結着樹脂がポリエステル樹脂を含む場合、第1シェル層は、下記式(1−1)で表される構成単位(以下、構成単位(1−1)と記載する。)と、下記式(1−2)で表される構成単位(以下、構成単位(1−2)と記載する。)とを有するビニル樹脂を含むことが好ましい。以下、構成単位(1−1)と構成単位(1−2)とを有するビニル樹脂を、ビニル樹脂Aと記載することがある。
Figure 0006855997
式(1−1)において、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。好ましくは、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。また、式(1−1)において、*は、結着樹脂を構成するポリエステル樹脂中の原子に接続される部位を表す。
Figure 0006855997
式(1−2)において、R2は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。好ましくは、R2は、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。
ビニル樹脂Aは、オキサゾリン基(未開環)を有する構成単位(1−2)を含む。オキサゾリン基は強い正帯電性を有するため、第1シェル層がビニル樹脂Aを含む場合、帯電特性に優れる正帯電性トナーを提供できる。ビニル樹脂Aを含む第1シェル層を形成するための材料としては、例えばオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」)を使用できる。「エポクロスWS−300」及び「エポクロスWS−700」は、それぞれ、2−ビニル−2−オキサゾリンと一種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む単量体(樹脂原料)の重合物を含有する。オキサゾリン基含有高分子水溶液を用いたシェル層の形成方法としては、例えば後述する実施例に記載の方法が挙げられる。
画像形成に適したトナーを得るためには、第1シェル層の厚さが50nm以上400nm以下であることが好ましい。第1シェル層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて第1粒子の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)撮影像を解析することによって計測できる。なお、1つの第1粒子において第1シェル層の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、第1粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線が第1シェル層と交差する4箇所)の各々で第1シェル層の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、その第1粒子の評価値(第1シェル層の厚さ)とする。第1コアと第1シェル層との境界は、例えば、第1コア及び第1シェル層のうち、第1シェル層のみを選択的に染色することで確認できる。TEM撮影像において第1コアと第1シェル層との境界が不明瞭である場合には、TEMと電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中で、第1シェル層に含まれる特徴的な元素のマッピングを行うことで、第1コアと第1シェル層との境界を明確にすることができる。
また、第1シェル層は、第1粒子を正帯電させるために、正帯電性の電荷制御剤を含んでいてもよい。正帯電性の電荷制御剤の好適な例を以下に示す。なお、必要に応じて、以下に示される各化合物の誘導体又は塩を使用してもよい。
正帯電性の電荷制御剤としては、例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;ナフテン酸の金属塩類;高級有機カルボン酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩が挙げられる。
(外添剤)
第1粒子は、第1シェル層の表面に付着した外添剤(複数の外添剤粒子)を更に備えてもよい。第1シェル層の表面に外添剤を付着させる方法としては、例えば、第1コアが第1シェル層で覆われたトナー母粒子(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
第1シェル層からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。本実施形態では、一種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(より具体的には、鎖状シラザン化合物、環状シラザン化合物等)、及びシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)が挙げられる。表面処理剤としては、シランカップリング剤及びシラザン化合物が特に好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン等)が挙げられる。シラザン化合物の好適な例としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)が挙げられる。シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数の水酸基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、水酸基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
〔第2粒子〕
第2粒子は、離型剤を含む第2コアと、第2コア表面を覆う第2シェル層とを備える。第2コアは、必要に応じて、離型剤以外に、結着樹脂及び内添剤(より具体的には、着色剤、電荷制御剤、磁性粉等)の少なくとも1つを含有してもよい。また、第2粒子は、第2シェル層の表面に付着した外添剤を更に備えてもよい。第2コアに含まれる離型剤は、第1コアの説明で述べた離型剤と同様である。第2コアの任意成分である結着樹脂及び内添剤は、第1コアの説明で述べた結着樹脂、着色剤及び内添剤と同様である。第2シェル層は、第1シェル層と同様である。第2粒子の任意成分である外添剤は、第1粒子の説明で述べた外添剤と同様である。以下、第1粒子の説明と重複する内容については、説明を省略する。
形成される画像の光沢性をより高める観点から、第2コアは、着色剤を含まないことが好ましい。
第2コアに含まれる離型剤の酸価は、5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下であることが好ましい。第2コアに含まれる離型剤の酸価が上記範囲内であれば、第2コアの体積中位径(D50)を容易に調整できるため、標準偏差SDを容易に上記特定範囲内の値にすることができる。
(第2コアの製造方法)
以下、第2コアの好適な製造方法について説明する。まず、容器に離型剤を入れた後、加熱することにより離型剤を溶融させる。次いで、溶融した離型剤に、適量のpH調整剤を添加する。pH調整剤としては、例えばイソプロパノールアミンが挙げられる。次いで、離型剤を攪拌しながら熱水を加え、転相乳化を行うことにより粗乳化物を得る。次いで、得られた粗乳化物を保温しながらホモミキサーで攪拌した後、ホモジナイザーで処理する。その後、攪拌しながら冷却することにより、第2コアの分散液が得られる。
上記第2コアの好適な製造方法において、溶融した離型剤に添加するpH調整剤の量を調整することにより、第2コアの体積中位径(D50)を調整することができる。
<第2実施形態:トナーの製造方法>
第2実施形態に係るトナーの製造方法は、第1実施形態に係るトナーの好適な製造方法であって、溶融混練工程と粉砕工程とシェル層形成工程とを備える。溶融混練工程及び粉砕工程により、複数の第1コアを得る。シェル層形成工程では、複数の第1コアの表面、及び離型剤を含む複数の第2コアの表面のそれぞれにシェル層を形成して、複数の第1粒子及び複数の第2粒子を得る。第2実施形態のトナーの製造方法は、別の工程(例えばシェル層表面に外添剤を付着させる工程)を更に含んでもよい。第2実施形態の製造方法により得られるトナーは、体積基準の粒度分布の標準偏差が1.28以下である。第2実施形態の製造方法により得られるトナーは、第2コアの断面撮影像における離型剤が占める面積割合が50%以上である。第2実施形態の製造方法により得られるトナーは、第2粒子の個数割合が、第1粒子及び第2粒子の合計の個数に対して5%以上25%以下である。以下、各工程について説明する。なお、上述した第1実施形態に係るトナーの説明と重複する内容については、説明を省略する。
[溶融混練工程]
溶融混練工程は、第1実施形態に係るトナーの説明で述べた溶融混練工程と同様である。よって、溶融混練工程により、結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて添加する内添剤とを含む溶融混練物が得られる。なお、溶融混練工程の前に、第1実施形態で述べた混合工程を実施してもよい。
[粉砕工程]
粉砕工程は、第1実施形態に係るトナーの説明で述べた粉砕工程と同様である。よって、粉砕工程により、粉砕物(第1コア)が得られる。なお、粉砕工程後に、第1実施形態で述べた微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を実施してもよい。
[シェル層形成工程]
シェル層の形成方法の例としては、in−situ重合法、液中硬化被膜法、及びコアセルベーション法が挙げられる。好適な具体例としては、以下に示す方法が挙げられる。
まず、シェル層を形成するための材料(シェル材料)を溶かした水性媒体中に、上述した溶融混練工程及び粉砕工程を経て得られた第1コアと、第2コアとを入れる。第2コアは、例えば、第1実施形態に係るトナーの説明で述べた第2コアの好適な製造方法と同様の方法で得ることができる。その場合、第2コアは、分散液として水性媒体中に入れてもよい。
次いで、第1コア及び第2コアを含む水性媒体を加熱することにより、シェル材料の重合反応(又はシェル材料間の架橋反応)を進行させて、複数の第1コアの表面、及び複数の第2コアの表面のそれぞれにシェル層を形成して、複数の第1粒子及び複数の第2粒子を得る。
以上、第2実施形態のトナーの製造方法について説明した。第2実施形態のトナーの製造方法によれば、低温定着性を確保しつつ、形成される画像の光沢性を高めることができる第1実施形態のトナーを、容易かつ安価に製造できる。
以下、本発明の実施例について説明する。まず、結着樹脂の合成方法について説明する。
<結着樹脂の合成>
[非結晶性ポリエステル樹脂R1の合成]
温度計(熱電対)、流下式コンデンサー、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量10Lの4つ口フラスコ内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)100gと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(プロピレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)100gと、テレフタル酸50gと、アジピン酸30gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)54gとを入れた。そして、フラスコ内を235℃まで昇温させた後、同温度でフラスコ内の原料(モノマー)が全て溶解するまで反応を行った。次いで、減圧雰囲気(圧力8kPa)かつ温度235℃の条件で、ガラス転移点(Tg)が30℃に達し、かつ軟化点(Tm)が90℃に達するまで反応を行い、非結晶性ポリエステル樹脂R1を得た。
[非結晶性ポリエステル樹脂R2の合成]
温度計(熱電対)、流下式コンデンサー、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量10Lの4つ口フラスコ内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)100gと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(プロピレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)100gと、テレフタル酸60gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)54gとを入れた。そして、フラスコ内を235℃まで昇温させた後、同温度でフラスコ内の原料(モノマー)が全て溶解するまで反応を行った。次いで、フラスコ内に無水トリメリット酸10gを入れた後、減圧雰囲気(圧力8kPa)かつ温度235℃の条件で、ガラス転移点(Tg)が50℃に達し、かつ軟化点(Tm)が110℃に達するまで反応を行い、非結晶性ポリエステル樹脂R2を得た。
[結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−メタクリル酸ブチル共重合体との複合樹脂の合成]
温度計(熱電対)、流下式コンデンサー、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量10Lの4つ口フラスコ内に、エチレングリコール69gと、セバシン酸214gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)54gとを入れた。そして、窒素雰囲気下、マントルヒーター中でフラスコ内を235℃まで昇温させた(昇温時間:2時間)。その後、235℃にて反応を行い、反応率が95%に到達した後、フラスコ内を160℃まで冷却した。次いで、フラスコ内に、スチレン156gとメタクリル酸ブチル195gとジブチルパーオキサイド0.5gとの混合溶液を1時間かけて滴下した。次いで、フラスコ内の温度を160℃で30分間保持した後、200℃まで昇温させた。次いで、減圧雰囲気(圧力8kPa)かつ温度200℃の条件で1時間反応させた後、フラスコ内を180℃まで冷却した。その後、フラスコ内に、ラジカル重合禁止剤である4−t−ブチルカテコール1.0gを加え、2時間かけて210℃まで昇温させた。その後、210℃にて1時間反応させた後、更に、圧力40kPaかつ温度210℃の条件で1時間反応を行って、結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−メタクリル酸ブチル共重合体との複合樹脂(以下、複合樹脂R3と記載する。)を得た。
<コアの作製>
[コアC1A−1の作製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、35質量部の非結晶性ポリエステル樹脂R1と、35質量部の非結晶性ポリエステル樹脂R2と、12質量部の複合樹脂R3と、9質量部の離型剤(エステルワックス:日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−8」)と、9質量部の着色剤(カーボンブラック:三菱化学株式会社製「MA−100」)とを混合した。続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度100g/分、軸回転速度150rpm、シリンダー温度100℃の条件で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を冷却した。続けて、冷却された溶融混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて、設定粒子径2mmの条件で粗粉砕した(粉砕工程)。続けて、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて微粉砕した(微粉砕工程)。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(コアンダ効果を利用した分級機:日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.7μmのコアC1A−1が得られた。なお、コアC1A−1は、上述した第1コアに相当する。
[コアC2A−1の作製]
容器に、酸価20mgKOH/gかつ融点95℃の酸化ポリエチレンワックス(三井化学株式会社製「ハイワックス4252E」)25.0質量部を入れた後、100℃で加熱することにより酸化ポリエチレンワックスを溶融させた。次いで、溶融した酸化ポリエチレンワックスにイソプロパノールアミン2.0質量部を添加し、これらを攪拌しながら90℃の熱水73.0質量部を1分間かけて加え、転相乳化を行った。転相乳化終了後、得られた粗乳化物を90℃で保温しながら、ホモミキサー(プライミクス株式会社製「T.K.ホモミクサー」)を用いて回転速度3,000rpmで1分間攪拌した。続いて、攪拌後の粗乳化物を、ホモジナイザー(APV GAULIN,INC.製「15MR−STA」)を用いて圧力400kg/cm2の条件で処理した。その後、攪拌しながら38℃まで冷却して、体積中位径(D50)6.8μm、融点86℃のコアC2A−1の分散液を得た。得られた分散液中のコアC2A−1の濃度は、25質量%であった。また、コアC2A−1は、着色剤及び界面活性剤を含有していなかった。なお、コアC2A−1は、上述した第2コアに相当する。
[コアC2A−2の作製]
イソプロパノールアミンの添加量を2.5質量部とし、熱水の添加量を72.5質量部としたこと以外は、コアC2A−1と同様に処理を行い、体積中位径(D50)7.4μm、融点85℃のコアC2A−2の分散液を得た。得られた分散液中のコアC2A−2の濃度は、25質量%であった。また、コアC2A−2は、着色剤及び界面活性剤を含有していなかった。なお、コアC2A−2は、上述した第2コアに相当する。
[コアC2A−3の作製]
以下の点を変更したこと以外は、コアC2A−1と同様に処理を行い、体積中位径(D50)6.7μm、融点85℃のコアC2A−3の分散液を得た。得られた分散液中のコアC2A−3の濃度は、25質量%であった。また、コアC2A−3は、着色剤及び界面活性剤を含有していなかった。なお、コアC2A−3は、上述した第2コアに相当する。
(変更点)
コアC2A−1で用いた酸化ポリエチレンワックスを、酸価10mgKOH/gかつ融点95℃の酸化ポリエチレンワックス(三井化学株式会社製試作品)に変更した。イソプロパノールアミンの添加量を3.0質量部に変更した。熱水の添加量を72.0質量部に変更した。
[コアC2B−1の作製]
イソプロパノールアミンの添加量を1.5質量部とし、熱水の添加量を73.5質量部としたこと以外は、コアC2A−1と同様に処理を行い、体積中位径(D50)4.8μm、融点84℃のコアC2B−1の分散液を得た。得られた分散液中のコアC2B−1の濃度は、25質量%であった。また、コアC2B−1は、着色剤及び界面活性剤を含有していなかった。なお、コアC2B−1は、上述した第2コアに相当する。
[コアC2B−2の作製]
イソプロパノールアミンの添加量を3.0質量部とし、熱水の添加量を72.0質量部としたこと以外は、コアC2A−1と同様に処理を行い、体積中位径(D50)8.7μm、融点87℃のコアC2B−2の分散液を得た。得られた分散液中のコアC2B−2の濃度は、25質量%であった。また、コアC2B−2は、着色剤及び界面活性剤を含有していなかった。なお、コアC2B−2は、上述した第2コアに相当する。
<トナーの作製>
[トナーTA−1の作製]
(トナー母粒子T1の作製)
温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコにイオン交換水100.0質量部を入れた後、ウォータバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いでフラスコ内に、シェル層の原料として8.0質量部のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロスWS−300」)を投入し、攪拌した。次いでフラスコ内に、上述の方法で得たコアC1A−1(71.8質量部)と、上述の方法で得たコアC2A−1の分散液(20.2質量部)とを添加し、フラスコの内容物を200rpmの回転速度で1時間攪拌した。次いで、フラスコ内にイオン交換水100.0質量部を添加し、更にアンモニア水溶液(濃度1質量%)2.0質量部を添加した後、フラスコの内容物を回転速度150rpmで攪拌しながら、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を60℃まで上げた。フラスコ内温が60℃に到達した後、フラスコ内に、ポリアクリル酸水溶液(株式会社日本触媒製「HL−415」、固形分濃度45質量%)を精製水で10質量%に希釈した水溶液2.0質量部を投入し、温度60℃、回転速度100rpmの条件でフラスコの内容物を1時間攪拌した。攪拌終了後、フラスコ内に1質量%のアンモニア水溶液を加えてフラスコ内容物のpHを7に調整し、25℃まで冷却して、多数のトナー母粒子T1を含む分散液を得た。
得られたトナー母粒子T1の分散液を、ブフナー漏斗を用いて濾過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子T1を得た。このウェットケーキ状のトナー母粒子T1をイオン交換水に再分散させた後、ブフナー漏斗を用いて濾過した。更に、再分散と濾過とを5回繰り返して、トナー母粒子T1を洗浄した。
次いで、ウェットケーキ状のトナー母粒子T1を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子T1のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子T1を乾燥させた。その結果、トナー母粒子T1の粉体が得られた。トナー母粒子T1の粉体は、コアC1A−1がシェル層で覆われた多数のトナー母粒子と、コアC2A−1がシェル層で覆われた多数のトナー母粒子とを含んでいた。
(外添工程)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、回転速度3,500rpmかつジャケット温度20℃の条件で、100質量部のトナー母粒子T1と、3質量部の乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」)とを、5分間混合した。これにより、トナー母粒子T1の表面に外添剤(乾式シリカ微粒子)を付着させた。続けて、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーTA−1が得られた。
[トナーTA−2〜TA−5及びトナーTB−1〜TB−5の作製]
以下の点を変更した以外は、トナーTA−1と同様の方法で、トナーTA−2〜TA−5及びトナーTB−1〜TB−5を作製した。
(変更点)
トナーTA−1の作製において、第1コアとして使用したコアC1A−1の使用量を表1に示す使用量に変更した。トナーTA−1の作製において、第2コアとして使用したコアC2A−1を表1に示すコアに変更すると共に、その使用量を表1に示す使用量に変更した。トナーTA−1の作製において、シェル層の原料として使用したオキサゾリン基含有高分子水溶液の使用量を表1に示す使用量に変更した。なお、表1において、「第2コア」の欄「使用量」の数値は、何れも使用した第2コアの分散液(上述の方法で得た第2コアの分散液)の使用量を示す。
Figure 0006855997
<評価方法>
[標準偏差SD]
評価に用いるトナー20mgと、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mLと、電解液(ベックマン・コールター株式会社製「ISOTON−2」)50mLとを混合した。続けて、得られた混合物に対して、超音波分散器(アズワン株式会社販売「VS−D100」)を用いて、周波数24kHzで3分間超音波照射を行った。その結果、評価用分散液が得られた。続けて、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「マルチサイザー3」)を用いて、アパーチャ径100μm、測定粒子数50,000の条件で、評価用分散液におけるトナーの体積粒度分布を測定した。そして測定された体積粒度分布から、標準偏差SDを求めた。結果を表2に示す。
[面積割合S1及びS2
(面積割合S2
まず、面積割合S2の測定方法について説明する。評価に用いるトナーと、トナーの作製に使用した離型剤粉末とを光硬化性のエポキシ樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D−800」)中に十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気下、紫外線照射しながら2日間硬化させた。硬化後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトームを用いて得られた硬化物を切削することで薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に5分間暴露して、ルテニウム染色した。続けて、染色された薄片試料の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて撮影した。染色の有無によって離型剤が占める領域と、離型剤以外が占める領域とで画像輝度に差が見られる事から、断面撮影像を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)で解析し、離型剤が占める領域と、離型剤以外が占める領域とを識別した。具体的には、まず、離型剤粉末の断面画像から離型剤の輝度を解析し、離型剤の最低輝度値(以下、LB値と記載する。)を確認した。次に、トナーの断面撮影像内の各コアの画像輝度を解析し、LB値以上の領域を離型剤が占める領域(染色されないため明るい領域)とし、LB値未満の領域(染色されるため暗い領域)を離型剤以外が占める領域とした。次いで、断面撮影像内の各コアについて、離型剤が占める領域の面積割合が50%以上であるコア(第2コア)を500個選別した。次いで、上記画像解析ソフトウェアを用いて、500個の第2コアの断面撮影像における離型剤が占める面積の個数平均値SAと、500個の第2コアの断面撮影像における離型剤以外の領域が占める面積の個数平均値SBとを算出した。そして、下記式(1)で示される算出式により、面積割合S2を算出した。結果を表2に示す。
面積割合S2(%)=100×SA/(SA+SB)・・・(1)
(面積割合S1
上記面積割合S2と同様の方法で断面撮影像を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)で解析し、断面撮影像内の各コアについて、離型剤が占める領域の面積割合が50%未満であるコア(第1コア)を500個選別した。次いで、上記画像解析ソフトウェアを用いて、500個の第1コアの断面撮影像における離型剤が占める面積の個数平均値と、500個の第1コアの断面撮影像における離型剤以外の領域が占める面積の個数平均値とを算出した。そして、上記面積割合S2と同様に面積割合S1を算出した。結果を表2に示す。
[個数割合NR]
上記面積割合S2と同様の方法で断面撮影像を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)で解析し、断面撮影像内の粒子を任意に500個選択した。選択した500個の粒子において第2コアを有する粒子を、上記面積割合S2と同様の方法で識別し、その個数N2を計数した。そして、下記式(2)で示される算出式により個数割合NRを算出した。結果を表2に示す。なお、下記式(2)中、Ntは、500個である。
個数割合NR(%)=100×N2/Nt・・・(2)
[低温定着性]
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa5550ci」用キャリア)100質量部と、評価に用いるトナー10質量部とを、ボールミルにて30分間混合して、評価用現像剤(2成分現像剤)を調製した。
評価機としては、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機を用いた。上述のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像装置に投入し、補給用トナー(評価に用いるトナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、坪量90g/m2)に、線速200mm/秒、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、大きさ25mm×25mmの黒色のソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を140℃から2℃ずつ下げながら各定着温度について定着の可否を判定し、ソリッド画像(トナー像)を評価用紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。トナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。詳しくは、定着装置に通した評価用紙を、画像を形成した面が内側となり、且つ画像の中央が折り目となるように半分に折り曲げ、布帛で被覆した1kgの真鍮製の分銅を用いて、折り目上の画像を5往復摩擦した。続けて、評価用紙を広げ、評価用紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。結果を表2に示す。最低定着温度が108℃未満であれば低温定着性が「良い」と評価し、最低定着温度が108℃以上であれば低温定着性が「良くない」と評価した。
[定着温度幅]
上記最低定着温度の測定と同様の条件で、大きさ25mm×25mmの黒色のソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を評価用紙に形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を130℃から2℃ずつ上昇させながら各定着温度についてオフセットの有無を目視で確認し、オフセットが発生しない最高温度(最高定着温度)を測定した。詳しくは、定着ローラーにトナーが付着したことに起因する汚れが評価用紙上にあれば、オフセットが発生したと判定した。そして、測定された最高定着温度から上記最低定着温度を差し引いた値を定着温度幅(単位:℃)とした。結果を表2に示す。定着温度幅が40℃以上であれば「良い」と評価し、定着温度幅が40℃未満であれば「良くない」と評価した。
[画像濃度(ID)]
上記最低定着温度の測定と同様の条件で、大きさ25mm×25mmの黒色のソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を評価用紙に形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を、評価するトナー毎に上記最低定着温度の測定で得られた最低定着温度に設定した。次いで、評価用紙に形成された画像のソリッド部の画像濃度(ID)を、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定した。結果を表2に示す。画像濃度(ID)が1.2以上であれば「良い」と判断し、画像濃度(ID)が1.2未満であれば「良くない」と判断した。
[光沢度]
上記最低定着温度の測定と同様の条件で、大きさ25mm×25mmの黒色のソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を評価用紙に形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を、評価するトナー毎に上記最低定着温度の測定で得られた最低定着温度に設定した。次いで、評価用紙に形成された画像のソリッド部の光沢度を、ハンディ光沢計(株式会社堀場製作所製「グロスチェッカーIG−331」)を用いて、測定角度60°の条件で測定した。結果を表2に示す。光沢度が25以上であれば「光沢性が高い」と評価し、光沢度が25未満であれば「光沢性が低い」と評価した。
Figure 0006855997
トナーTA−1〜TA−5は、結着樹脂及び着色剤を含むコアがシェル層で覆われた多数のトナー粒子(第1粒子)と、離型剤を含むコアがシェル層で覆われた多数のトナー粒子(第2粒子)とを含んでいた。表2に示すように、トナーTA−1〜TA−5は、トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差SDが1.25以上1.28以下であった。トナーTA−1〜TA−5は、第2粒子のコアの断面撮影像における離型剤が占める面積割合S2が90%であった。トナーTA−1〜TA−5は、第2粒子の個数割合NRが5%以上25%以下であった。
表2に示すように、トナーTA−1〜TA−5は、最低定着温度が102℃以上106℃以下であった。トナーTA−1〜TA−5は、光沢度が26以上30以下であった。
表2に示すように、トナーTB−1及びTB−2は、トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差SDが1.28を超えていた。トナーTB−3及びTB−4は、第2粒子の個数割合NRが25%を超えていた。トナーTB−5は、第2粒子の個数割合NRが5%未満であった。
表2に示すように、トナーTB−1、TB−3及びTB−4は、最低定着温度が108℃以上であった。トナーTB−2及びTB−5は、光沢度が25未満であった。
以上の結果から、本発明に係るトナーによれば、低温定着性を確保しつつ、形成される画像の光沢性を向上できることが示された。
本発明に係るトナーは、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために利用することができる。
10 第1粒子
11,21 コア
12,22 シェル層
20 第2粒子

Claims (6)

  1. トナー粒子として複数の第1粒子と複数の第2粒子とを含有するトナーであって、
    前記第1粒子及び前記第2粒子は、それぞれ、コアと、前記コアの表面を覆うシェル層とを備え、
    前記第1粒子のコアは、結着樹脂及び着色剤を含み、
    前記第2粒子のコアは、離型剤を含み、
    前記トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差は、1.28以下であり、
    前記第2粒子のコアの断面撮影像における前記離型剤が占める面積割合は、50%以上であり、
    前記第2粒子の個数割合は、前記第1粒子及び前記第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下であり、
    前記第1粒子のコアは、離型剤を更に含み、
    前記第1粒子のコアの断面撮影像における前記離型剤が占める面積割合は、1%以上20%以下であり、
    前記第2粒子のコアは、着色剤を含まない、トナー。
  2. 前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記第2粒子に含まれる前記離型剤の酸価は、5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記第2粒子の含有量は、前記第1粒子100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のトナー。
  5. 前記第1粒子のコアの体積中位径(D50)と、前記第2粒子のコアの体積中位径(D50)との差の絶対値は、1.5μm以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載のトナー。
  6. トナー粒子として複数の第1粒子と複数の第2粒子とを含有するトナーの製造方法であって、
    結着樹脂と着色剤とを溶融混練して、溶融混練物を得る溶融混練工程と、
    前記溶融混練物を粉砕して、複数の第1コアを得る粉砕工程と、
    複数の前記第1コアの表面、及び離型剤を含む複数の第2コアの表面のそれぞれにシェル層を形成して、複数の前記第1粒子及び複数の前記第2粒子を得るシェル層形成工程と
    を備え、
    前記トナーの体積基準の粒度分布の標準偏差は、1.28以下であり、
    前記第2コアの断面撮影像における前記離型剤が占める面積割合は、50%以上であり、
    前記第2粒子の個数割合は、前記第1粒子及び前記第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下であり、
    前記第1粒子のコアは、離型剤を更に含み、
    前記第1粒子のコアの断面撮影像における前記離型剤が占める面積割合は、1%以上20%以下であり、
    前記第2粒子のコアは、着色剤を含まない、トナーの製造方法。
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