JP6859080B2 - 防汚塗料組成物、防汚塗膜およびこれらの用途 - Google Patents
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Description
この防汚塗料の樹脂成分(バインダー成分)としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ロジン系樹脂が用いられている。また、防汚成分としてシリコーンオイルを含有する防汚塗料が広く用いられている。しかしながら、このような樹脂およびシリコーンオイルを用いた防汚塗料から形成される塗膜は、防汚成分の放出速度が速く、これらの放出が終わると防汚性は低下し、長期間の防汚性の発揮が困難であった。そこで、初期からの防汚成分の放出を適度に保ち、長期的に塗膜に防汚性を発揮させる樹脂として、シリコーンブロックを含有するポリマーが検討されている。
[1]
硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)およびポリエーテル変性シリコーンオイル(B)を含有する防汚塗料組成物であって、
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)が、ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)から誘導される構成単位を有するビニル重合体ブロック[X]と、一般式[I]:
で表され、かつ少なくとも2つの前記硫黄含有有機基を有する硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]とを有し、
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が50,000〜300,000である
防汚塗料組成物。
前記ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)が、ヘテロ原子を含んでいてもよい(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシ基を有する重合性不飽和化合物、スチレン類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される1種以上の化合物である前記[1]に記載の防汚塗料組成物。
防汚剤(C)をさらに含む前記[1]または[2]に記載の防汚塗料組成物。
前記防汚剤(C)が、亜酸化銅、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(p−クロロフェニル)−3−シアノ−4−ブロモ−5−トリフルオロメチルピロール、メデトミジン、ジフェニルメチルボラン・4−イソプロピルビリジン、トリフェニルボラン・n−オクタデシルアミン、トリフェニルボラン・3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンおよびビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
可塑性樹脂(D)をさらに含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
前記可塑性樹脂(D)が、ポリオレフィン、ポリスルフィド、流動パラフィン、ワックスおよびワセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
漁具の塗装に使用される前記[1]〜[6]のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)から誘導される構成単位を有するビニル重合体ブロック[X]と、一般式[I]:
で表され、かつ少なくとも2つの前記硫黄含有有機基を有する硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]とを有し、
重量平均分子量(Mw)が50,000〜300,000であり、
防汚塗料組成物のバインダーとして使用される
硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)。
前記[1]〜[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜。
基材と、前記基材の表面に設けられた前記[9]に記載の防汚塗膜とを有する防汚塗膜付き基材。
前記基材が漁具、船舶または水中構造物である前記[10]に記載の防汚塗膜付き基材。
前記[1]〜[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物で網染めされた漁網。
前記[1]〜[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物を基材に塗布するかまたは含浸させ、次いで硬化させる、基材の防汚方法。
基材の表面に、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の防汚塗料組成物を塗布するかまたは含浸させる工程と、前記工程により前記基材に塗布されたまたは含浸された前記防汚塗料組成物を硬化させる工程とを備える防汚塗膜付き基材の製造方法。
なお、「(メタ)アクリル((meth)acryl)」は、アクリル(acryl)およびメタクリル(methacryl)を、「(メタ)アクリロイル((meth)acryloyl)」は、アクリロイル(acryloyl)およびメタクリロイル(methacryloyl)を総称する語句である。
本発明の防汚塗料組成物は、硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)およびポリエーテル変性シリコーンオイル(B)を含有する。
硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)は、ラジカル重合性を有するビニル系モノマーから誘導される構成単位からなるビニル重合体ブロック[X]と、硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]とを有する共重合体である。
ビニル重合体ブロック[X]は、ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)から誘導される構成単位からなる。
カルボキシ基を有する重合性不飽和化合物としては、たとえば(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びその誘導体、ならびにイタコン酸及びその誘導体が挙げられる。
ビニルエステル類としては、たとえば酢酸ビニル、およびプロピオン酸ビニルが挙げられる。
ビニルエーテル類としては、たとえばエチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテルが挙げられる。
前記ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)としては、(メタ)アクリル酸と炭素数が1〜30である脂肪族アルコールとのエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3(または2)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4(または2)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が好ましい。(メタ)アクリル酸と炭素数が1〜30である脂肪族アルコールとのエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、およびトリデシル(メタ)アクリレートがより好ましい。特に防汚性の観点からは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、および2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
(硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y])
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]は、下記式[I]で表される。
メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−(CH2)2−)、トリメチレン基(−(CH2)3−)、プロピレン基(−CH(CH3)CH2−)、テトラメチレン基(−(CH2)4−)、ブチレン基(−CH2CH(CH3)CH2−)、ジメチルメチレン基(−C(CH3)2−)、ジメチルエチレン基(−CH2C(CH3)2−)、およびオクタメチレン基(−(CH2)8−)などの、分岐を有することのある、炭素数が1〜10で鎖状の2価炭化水素基;
フェニレン基(−C6H4−)、フェニレンエチレン基(−C6H4−(CH2)2−)などの芳香族2価炭化水素基;
−CH2COOCH2CH(OH)−CH2O−(CH2)a−[PDMS]−または−CH2CH2COOCH2CH(OH)−CH2O−(CH2)a−[PDMS]−
(式中、左端の線は硫黄原子への結合を示し、aは0〜5の整数であり、−[PDMS]−は−(Si(CH3)2O)b)−(bは1以上の整数である。)を示す。)
で表される2価有機基
等が挙げられる。
式[I]において、前記mは、繰り返し単位[Si(R)2O]の総数(正の数)を示し、nは、繰り返し単位[Si(R)(R3)O]の総数(0以上の数)を示す。
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]には、式[I]中のR1、R2およびR3の種類により、下記(1)〜(3)の3つのタイプがある。
このタイプは、たとえば下式[I−1]で表される。
メルカプト変性オルガノポリシロキサン[I−1a]の具体例としては、「X−22−167B」(商品名、信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
このタイプは、たとえば下式[I−2]で表される。
メルカプト変性オルガノポリシロキサン[I−2a]の具体例としては、「KF−2001」、「KF−2004」、「KP−358」(商品名、信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
このタイプは、たとえば下式[I−3]で表される。:
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)は、前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]が前記両末端型である場合には、前記ビニル重合体ブロック[X]が、前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]の両末端に付加したブロック共重合体([X]・[Y]・[X]型など)の構造を有し、前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]が前記側鎖型である場合には、前記ビニル重合体ブロック[X]が、硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]の側鎖に付加した、グラフト共重合体(櫛型共重合体)の構造を有し、前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]が前記側鎖両末端型である場合には、前記ビニル重合体ブロック[X]が、前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]の両末端および側鎖に付加したスター型共重合体の構造を有すると考えられる。ただし、前記ビニル系モノマー(x)とブロック[Y]が有する硫黄原子をメルカプト基(−SH基)で置き換えた構造を有するメルカプト変性オルガノポリシロキサン(y)とを反応させる際の複雑な停止反応により、この他のブロック構造の存在も推定し得る。
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)は、たとえば前記ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)と、前記メルカプト変性オルガノポリシロキサン(y)とを混合し、ラジカル重合開始剤等のラジカル発生源の存在下に、通常の反応条件に従って、加熱してまたは光照射して反応させることにより調製することができる。
前記ビニル系モノマー(x)と前記メルカプト変性オルガノポリシロキサン(y)との割合((x)の質量:(y)の質量(両者の合計を100とする。))は、通常99〜10:1〜90、好ましくは90〜30:10〜70、さらに好ましくは70〜50:30〜50である。
前記反応の条件は、たとえば以下のとおりである。
反応時間:5時間〜20時間
反応温度:50℃〜200℃、好ましくは60℃〜150℃
前記ポリエーテル変性シリコーンオイル(B)は、下記一般式[II]で表され、かつ1分子中に少なくとも1つのポリエーテル基を有する。
qは1以上の整数を示し、rは0以上の整数を示す。また、式[II]において、
−R6−A−(R7O)s−(R8O)t−R9 ・・・[IIa]
で表される。
式[IIa]において、Aは単結合または酸素原子を示す。また、左端の線は隣接するケイ素原子への結合を示す。
R9は炭素数が1〜5のアルキル基または水素原子を示し、好ましくはアルキル基である。このアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基が挙げられる。
前記ポリエーテル基としては、たとえば、-C3H6-O-(C2H4O)s-C2H5、-C2H4-O-(C3H6O)s-CH3、-C3H6-O-(C2H4O)s-CH3、-C2H4-O-(C3H6O)s-CH3、-C3H6-(C2H4O)s-CH3、-C2H4-(C3H6O)s-CH3、-C3H6-(C2H4O)s-H、-C2H4-(C3H6O)s-H、-C3H6-O-(C3H6O)s-CH3、-CH2-O-(C2H4O)s-CH3、-CH2-O-(C2H4O)s-H、-C2H4-O-(C2H4O)s-CH3、-C2H4-O-(C2H4O)s-H、-CH2-O-(C3H6O)s-CH3、-CH2-O-(C3H6O)s-H、-CH2-O-(C4H8O)s-CH3、-CH2-O-(C4H8O)s-H、-C3H6-O-(C3H6O)s-H、-C4H8-O-(C4H8O)s-H、-C3H6-O-(C2H4O)s-(C3H6O)t-CH3、-C3H6-O-(C2H4O)s-(C3H6O)t-H、-C3H6-O-(C3H6O)s-(C2H4O)t-CH3、および-C3H6-O-(C3H6O)s-(C2H4O)t-H等が挙げられる。これらの化学式において、C2H4は(CH2)2(エチレン基)であり、C3H6は(CH2)3(トリメチレン基)またはCH(CH3)CH2(プロピレン基)であり、好ましくは(CH2)3である。
前記ポリエーテル変性シリコーンオイル(B)としては、
(a):前記式[II]において、X1が前記式[IIa]で表されるポリエーテル基であり、X2およびX3がメチル基等のアルキル基またはフェニル基であり、rが1以上の整数である側鎖型ポリエーテル変性シリコーン、
(b):前記式[II]において、X1がメチル基等のアルキル基またはフェニル基であり、X2およびX3が前記式[IIa]で表されるポリエーテル基である両末端型ポリエーテル変性シリコーン、
(c):前記式[II]において、X1ならびにX2およびX3の一方が前記式[IIa]で表されるポリエーテル基であり、X2およびX3の一方がメチル基等のアルキル基またはフェニル基であり、rが1以上の整数であるポリエーテル変性シリコーン、
(d):前記式[II]において、X1、X2およびX3が前記式[IIa]で表されるポリエーテル基であり、rが1以上の整数であるポリエーテル変性シリコーン、
(e):前記式[II]において、X2およびX3の一方が前記式[IIa]で表されるポリエーテル基であり、X1ならびにX2およびX3の一方がメチル基等のアルキル基またはフェニル基であるポリエーテル変性シリコーン
等が挙げられる。これらの中では、防汚性等の観点から、側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル(a)および両末端型ポリエーテル変性シリコーンオイル(b)が好ましい。
本発明の防汚塗料組成物には、前述した成分の他に、防汚剤(C)、可塑性樹脂(D)、搖変剤、着色顔料、体質顔料、その他の塗膜形成成分、溶剤等、一般的な塗料組成物に用いられている各種成分を配合することができる。
防汚剤(C)としては、たとえば亜酸化銅、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(p−クロロフェニル)−3−シアノ−4−ブロモ−5−トリフルオロメチルピロール、メデトミジン、ジフェニルメチルボラン・4−イソプロピルビリジン、トリフェニルボラン・n−オクタデシルアミン、トリフェニルボラン・3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、およびビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。
本発明の防汚塗料組成物は可塑性樹脂(D)(ただし、前記共重合体(A)および後述する他の塗膜形成樹脂を除く。)を含んでいてもよい。前記可塑性樹脂(D)としては、たとえばポリオレフィン、ポリスルフィド、流動パラフィン、ワックス、およびワセリンが挙げられる。可塑性樹脂(D)を添加することにより、防汚塗膜の防汚性を向上させるとともに、さらに防汚塗膜からの防汚剤(C)の溶出を調整し長期に亘る防汚効果を発揮することができる。
R−(S)u−R ・・・[III]
で表わされるジアルキルポリスルフィドである。
uは2以上の整数であり、防汚塗膜の防汚性の観点から好ましくは2〜10の整数である。
前記石油系ワックスとしては、たとえば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびペトロラタムワックスが挙げられ、パラフィンワックスが特に好ましい。
これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような可塑性樹脂(D)のうちでは、ポリブテンおよびポリスルフィドが防汚効果向上の面から好ましい。
本発明の防汚塗料組成物には、塗装時の厚塗り性、タレ止め性の向上や必要により用いられる溶剤不溶分(顔料等)の沈降防止のため、各種タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)が配合されていても良い。
本発明の防汚塗料組成物におけるタレ止め・沈降防止剤の含有量は、防汚塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、たとえば10質量%以下である。
防汚剤以外の顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種着色または体質顔料を用いることができる。着色顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青、チタン白、ベンガラ等があげられる。体質顔料としては、例えば、バライト粉、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の防汚塗料組成物における顔料の含有量は、防汚塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、たとえば45質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物には、塗膜形成成分として前記オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)以外の樹脂(以下「他の塗膜形成成分」ともいう。)が含まれていてもよい。前記他の塗膜形成成分としては、たとえばアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリル(メタ)アクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリビニルアルキルエーテル樹脂、ロジン(ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン)等の水溶性樹脂が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の防汚塗料組成物における他の塗膜形成成分の含有量は、防汚塗料組成物の固形分量を100質量%とすると、たとえば20質量%以下である。
本発明の防汚塗料組成物においては、前記の各種成分は、溶剤に溶解若しくは分散していてもよい。前記溶剤としては、たとえば脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など、通常防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。前記脂肪族炭化水素系溶剤としては、たとえばターペンが挙げられ、前記芳香族炭化水素系溶剤としては、たとえばキシレン、およびトルエンが挙げられ、前記ケトン系溶剤としては、たとえばメチルイソブチルケトン(MIBK)が挙げられ、前記エステル系溶剤としては、たとえば酢酸ブチルが挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、これら溶剤の添加量は特に限定されないが、防汚塗料組成物の量を100質量%とすると、たとえば10〜90質量%である。
本発明の防汚塗料組成物は、たとえば所定の量の前記各成分を、塗料組成物の製造における一般的な装置(ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、三本ロール、ボールミル、アトライターなど)および手法を用いて混合、撹拌することにより製造できる。
本発明の防汚塗料組成物は、たとえば、火力、原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河、水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶(例:船底部)、漁具(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)などの海水または真水と接触する各種基材の表面の防汚にも使用できる。具体的には、本発明の防汚塗料組成物を基材の表面に常法に従って1回〜複数回塗布し、または含浸させ、次いで乾燥させるなどして硬化させることにより、防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間に亘って徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜が形成される。このように形成できる本発明の防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物の固形分からなる。なお、表面に防汚塗膜が設けられた基材を「防汚塗膜付き基材」ともいう。
<硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体溶液の粘度>
硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体溶液の粘度は、25℃でE型粘度計(東機産業(株)製)により測定した。
固形分とは、樹脂および溶剤等が含まれた、反応混合物、塗料または未硬化塗膜等を105℃熱風乾燥機中で3時間乾燥して溶剤等を揮散させたときの加熱残分をいう。固形分は、通常は樹脂分さらには顔料等を含み、塗膜形成成分となる。
硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。
装置 :「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)
カラム:「TSKgel SuperH2000」及び「TSKgel SuperH4000」を連結(いずれも、東ソー(株)製、6mm(内径)×15cm(長さ))
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速 :0.500ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
サンプル調製法:各製造例で調製された重合体溶液に少量の塩化カルシウムを加えて脱水した後、メンブレムフィルターで濾過して得られた濾物をGPC測定サンプルとした。
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル35質量部およびキシレン35質量部を仕込んで窒素ガス雰囲気中で90℃まで昇温した。次いで、MMA(略号の意味は表2に記載する。)を40質量部、BAを40質量部、SLMAを10質量部、および重合開始剤であるカヤエステルOを0.1質量部含有する混合液Aと、メルカプト変性オルガノポリシロキサン「KF−2001」を10質量部、酢酸ブチルを5質量部、およびキシレン5質量部含有する混合液Bとを、同時に、内温が90℃に保たれた前記反応容器に滴下開始した。
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル85質量部を仕込んで窒素ガス雰囲気中で90℃まで昇温した。次いで、MMAを40質量部、BAを35質量部、SLMAを10質量部、および重合開始剤であるカヤエステルOを1.0質量部含有する混合液Aと、メルカプト変性オルガノポリシロキサン「KF−2001」を15質量部、および酢酸ブチルを10質量部含有する混合液Bとを、同時に、内温が90℃に保たれた前記反応容器に滴下開始した。
配合組成を表1に示す割合に変えた以外は、製造例1と同様にして共重合体を調製した。得られた溶液(A−3)〜(A−5)、(A−7)、(A−8)およびこれらに含まれる硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体の特性値を表1に示す。
配合組成を表1に示す割合に変えた以外は、製造例2と同様にして共重合体を調製した。得られた溶液(A−6)、(A−9)およびこれらに含まれる硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体の特性値を表1に示す。
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル50質量部を仕込んで窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。次いで、MMAを40質量部、2−EHAを10質量部、M−230Gを5質量部、および重合開始剤であるABN−Eを2.2質量部含有する混合液Aと、メルカプト変性オルガノポリシロキサン「KF−2001」を25質量部、および酢酸ブチルを25質量部含有する混合液Bとを、同時に、内温が100℃に保たれた前記反応容器に滴下開始した。
前記製造例1〜10により得られた硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体を含む溶液(A−1〜A−9、N−1)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(B)など、表3〜表5に示す成分を表に示す割合で防汚塗料組成物を製造する方法については、下記の方法を用いた。
表3〜5に示す成分を容器に仕込み、ハイスピードディスパーを用いて十分に攪拌・混合した後、80メッシュのフィルターにてろ過して所望の防汚塗料組成物を得た。
表3〜5に示す成分を容器に仕込み、ペイントシェーカーを用いて十分に分散・混合した後、80メッシュのフィルターにてろ過して所望の防汚塗料組成物を得た。
実施例および比較例で調製した各防汚塗料組成物に漁網(ポリエチレン製無結節網(7節、400デニール、50本、縦15cm×横10cm))を1〜3分間程度浸漬し、取り出した後、7日間風乾し、塗膜付き漁網を得た。
(評価基準)剥落度
A:塗膜の剥落無し
B:塗膜の剥落あり
C:塗膜の剥落顕著
(評価基準)回復度
a:元の状態まで即座(数秒程度)に回復する
b:元の状態に回復するまでやや時間を要す
c:元の状態まで回復しない
防汚性の評価は、実施例および比較例で調製した各防汚塗料組成物に漁網(ポリエチレン製無結節網(7節、400デニール、50本、縦15cm×横10cm))を1〜3分間程度浸漬し、取り出した後、7日間風乾し、塗膜付き漁網を得た。この塗膜付き漁網を80cm×40cmのステンレス枠に固定し、広島湾内に設置された筏より水面下約2mの場所に浸漬し、浸漬開始から2ヶ月毎に漁網への生物の付着状況を目視観察した。結果を表3〜5に示す。
評価は、漁網の水棲生物が付着している部分の面積(付着面積)(%)(漁網の全面積を100%とする。)を測定することにより行なった。
Claims (11)
- 硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)およびポリエーテル変性シリコーンオイル(B)を含有する防汚塗料組成物であって、
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)が、ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)から誘導される構成単位を有し、ポリエーテル構造を含まないビニル重合体ブロック[X]と、一般式[I]:
(式[I]中、Rは、それぞれ独立にフッ素原子を有してもよい炭素数が1〜20の1価の炭化水素基を示し、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に前記Rまたは炭素数が1〜20の2価の硫黄含有有機基を示し、mは正の数を、nは0以上の数を示す。)
で表され、かつ少なくとも2つの前記硫黄含有有機基を有する硫黄含有オルガノポリシロキサンブロック[Y]とを有し、
前記硫黄含有オルガノポリシロキサンブロックビニル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が50,000〜300,000である
漁網用防汚塗料組成物。 - 前記ラジカル重合性を有するビニル系モノマー(x)が、ヘテロ原子を含んでいてもよい(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシ基を有する重合性不飽和化合物、スチレン類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される1種以上の化合物である請求項1に記載の漁網用防汚塗料組成物。
- 防汚剤(C)をさらに含む請求項1または2に記載の漁網用防汚塗料組成物。
- 前記防汚剤(C)が、亜酸化銅、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(p−クロロフェニル)−3−シアノ−4−ブロモ−5−トリフルオロメチルピロール、メデトミジン、ジフェニルメチルボラン・4−イソプロピルピリジン、トリフェニルボラン・n−オクタデシルアミン、トリフェニルボラン・3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンおよびビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物。
- 可塑性樹脂(D)をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物。
- 前記可塑性樹脂(D)が、ポリオレフィン、ポリスルフィド、流動パラフィン、ワックスおよびワセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜。
- 漁網と、前記漁網の表面に設けられた請求項7に記載の防汚塗膜とを有する防汚塗膜付き漁網。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物で網染めされた漁網。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物を漁網に塗布するかまたは含浸させ、次いで硬化させる、漁網の防汚方法。
- 漁網の表面に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の漁網用防汚塗料組成物を塗布するかまたは含浸させる工程と、前記工程により前記漁網に塗布されたまたは含浸された前記防汚塗料組成物を硬化させる工程とを備える防汚塗膜付き漁網の製造方法。
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