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JP6859718B2 - 深絞り成形方法 - Google Patents
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Description

本発明は、深絞り成形方法及び深絞り成形用ブランク材に関する。
従来、金属製の円板状のブランク材から、有底円筒形状(カップ状)の成形品を製造する方法として、深絞り成形が行われている。深絞り成形とは、ブランク材の外周部を、皺押さえ部材(ブランクホルダ)と絞り用ダイスとで挟持し、絞り用パンチによってブランク材を絞り用ダイスに設けられた開口部の内部に押し込み、ブランク材を成形する成形方法である。
ブランク材は、絞り用パンチによって絞り用ダイスの開口部の内部に押し込まれてカップ状に成形されてくると、外周部の径が減少する。このため、ブランク材の外周部の周方向の長さが縮小するので増肉される(厚みが増加する)。ブランク材の外周部が増肉すると、絞り用パンチでの成形荷重が増大する。そして、成形荷重が増加してくると、絞り用パンチの角部等によって押圧される部分の伸び量が多くなり、減肉されて割れが発生する可能性がある。
このような成形荷重の増加や割れ等を防止するために、皺押さえ部材の下面に、絞り用パンチが通過する内縁から外縁に向けて、皺押さえ部材と絞り用ダイスとの間の隙間が大きくなるようにテーパ面を設けているものがある(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術によると、ブランク材の外周部は、テーパ面の内縁と絞り用ダイスとの間の一定の幅でのみ保持されるので成形荷重を低減することができる。
国際公開第2013−183657号公報
しかし、上記従来技術によると、皺押さえ部材の内面の加工が必要となる。また、テーパ面の形状の最適化が容易ではない。
従って、本発明は、成形品の成形荷重の低減及び、割れ等の成形不良の発生の防止を容易に可能な深絞り成形方法及び深絞り成形用ブランク材を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するために、本発明は、ブランク材の外周部に、前記ブランク材の他の部分よりも薄い薄肉部を形成する薄肉部形成工程と、前記ブランク材を、開口部が設けられた絞り用ダイスの上面に載置して、前記絞り用ダイスの前記上面と該上面に対して対向配置された皺押さえ部材とで、前記ブランク材の前記外周部を挟持し、前記絞り用ダイスの前記開口部の上部に配置された絞り用パンチを下降させることより、前記ブランク材を前記開口部の中に押し込んで、前記ブランク材を前記開口部に沿った形状に変形させて前記ブランク材を有底筒状に成形する成形工程と、を備える深絞り成形方法を提供する。
(2)上記深絞り成形方法において、前記ブランク材が円板状で、前記開口部の外周が円形で、前記絞り用ダイスが円柱状であり、前記ブランク材を有底円筒状に成形してもよい。
(3)上記深絞り成形方法において、前記ブランク材が矩形で、前記開口部の外周が矩形で、前記絞り用ダイスが角柱状であり、前記ブランク材を有底角筒状に成形してもよい。
(4)上記深絞り成形方法において、前記薄肉部が円周溝であってもよい。
(5)上記深絞り成形方法において、前記薄肉部が、前記ブランク材における前記絞り用パンチの先端の角部と当接する部分よりも外周側であってもよい。
(6)また、上記課題を解決するために、本発明は、外周部に薄肉部を有する、絞り成形用ブランク材を提供する。
成形品の成形荷重の低減及び、割れ等の成形不良の発生の防止を容易に可能な深絞り成形方法及び深絞り成形用ブランク材を提供することができる。
ブランク材に対して深絞りを行う深絞り用金型の概略断面図である. ブランク材を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。 深絞りにより成型された成形品の断面図である。 板部材よりブランク材を打ち抜くブランク材打ち抜き工程を示す図である。 ブランク材に円周溝を形成する溝部形成工程を示す図である。 円周溝が形成された2種類のブランク材の写真である。 ブランク材から成形品を成形する成形工程を示す図である。 ブランク材が押し込まれる際の変形状態を説明する図である。 ブランク材の外周部が絞り用ダイスと皺押さえ部材との間をすり抜けた状態を示した図であり、(a)は比較形態、(b)は本実施形態である。 本実施形態に基づいて製造された成形品の写真である。
以下、本発明の一実施形態の深絞り成型方法について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、ブランク材に対して深絞りを行う深絞り用金型1の概略断面図である。図2は、ブランク材2を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。深絞り用金型1は、所定の厚さの金属製の円板状ブランク材2を深絞り加工して、有底円筒形状(カップ状)の成形品20を成形する金型である。図3は、深絞りにより成型された成形品20の断面図である。
深絞り用金型1は、ブランク材2を押圧する円柱状の絞り用パンチ11と、絞り用パンチ11によって押圧されたブランク材2が押し込まれる開口部14を有する絞り用ダイス12と、ブランク材2の外周部を絞り用ダイス12との間で押圧する皺押さえ部材13とを備える。
絞り用パンチ11は、ブランク材2から成形されるカップ状の成形品20の内径に略等しい外径r1を有する円柱部材である。絞り用パンチ11の下部の先端の角部11aは、成形品20の底部の形状に相当するR(丸みの半径)を有する。絞り用パンチ11は、絞り用ダイス12に対して、図中、矢印Pで示す上下方向に相対移動可能である。
本実施形態において、絞り用パンチ11の径r1は50mm、絞り用パンチ11先端の角部11aのRは10mmである。
絞り用ダイス12は、所定厚みを有する円環部材で、中央部に絞り用パンチ11の外径よりも大きな内径r2を有する開口部14が設けられている。開口部14の深さ(絞り用ダイス12の厚み)は、成形品20の深さ以上である。開口部14の内径r2は、成形品20の外径よりわずかに大きい。
絞り用パンチ11の外径r1と絞り用ダイス12の開口部14の内径r2との間のギャップd1は、d1=(r2−r1)/2であり、ブランク材2の板厚t1の1.2〜1.3倍程度であることが好ましい。本実施形態において開口部14の内径r2は55mmである。絞り用パンチ11の径r1は50mmであるのでd1=(55−50)/2=2.5mmである。ブランク材2の板厚t1は2.0mmであるので、d1はブランク材の厚みの1.25倍である。また、絞り用ダイス12の肩部12aのRは10mmである。
皺押さえ部材13は、絞り用パンチ11の上面12bと対向して配置される円環部材である。皺押さえ部材13には、絞り用ダイス12と同様に中央部に絞り用パンチ11と略同径の挿通部15が設けられている。皺押さえ部材13は絞り用ダイス12に対して図1の上下方向Q(Pと同一方向)に移動可能であり、絞り用ダイス12に対して接近又は離間して、ブランク材2を絞り用ダイス12との間で押圧保持する。
ブランク材2は、本実施形態において、材質S45C(炭素含有量区分0.45%前後の機械構造用炭素鋼材)、板厚は上述のようにt1=2.0mm、径r3=90mmの円板部材である。このブランク材2には、ブランク材2の縁部からの距離d2=13mmである円周を中心として幅w=4.0mm、深さt2=1.0mmの円周溝21が設けられている。
図4は素材である板材22より、円周溝21が設けられていない状態のブランク材2Aを打ち抜くブランク材打ち抜き工程を示す図である。
まず、図4(a)に示すように、板厚t1=2.0mmの板材22を、ブランク材製造用ダイス32上に配置する。
そして、図4(b)に示すように、径90mmの打ち抜き用パンチ31を用いて、板材22より、径90mmの円板状のブランク材2Aを製造する。
図5はブランク材2Aに、ブランク材2Aの他の部分より肉厚が薄い薄肉部となるように円周溝21を形成する溝部形成工程(薄肉部形成工程)を示す図である。
鍛造用パンチ41は、ブランク材2Aと同径以上の円柱部材で、溝部形成用ダイス42に対して上下動可能で、溝部形成用ダイス42と対向する側の面に、縁部からの距離d=13mmである円周を中心として幅w、高さt2=1.0mmの円周突起43が設けられている。
本実施形態では、円周突起の幅wが幅w=4.0mmと8.0mmとの2種類の鍛造用パンチ41を用いて、円周溝21の幅wが幅w=4.0mmと8.0mmとの2種類のブランク材2を製造する。
なお、本実施形態ではブランク材2に連続する円周溝21を設けたが、これに限らず、例えば連続していない断続的な溝であってもよい。また、断面がコの字型となる溝形状でなくても良く、断面がU字型でもよく、厚みが縁部に行くに従い漸次薄くなるような形状であってもよい。
まず、図5(a)に示すように、円周溝21が設けられていない状態のブランク材2Aを、溝部形成用ダイス42上に載置する。
次いで、図5(b)に示すように、鍛造用パンチ41を下降させ、ブランク材2Aを押圧して、ブランク材2Aの上面に、縁部からの距離d=13mmである円周を中心として幅w、高さt2=1.0mmの円周溝21を形成する。
そして、図5(c)に示すように、鍛造用パンチ41を上昇させ、溝付きのブランク材2を製造する。なお、円周溝21を形成する方法はこれに限定されず、切削等であってもいい。
図6はこのようにして円周溝が形成された2種類のブランク材2の写真である。図中2aが、幅w=4.0mmの円周溝21が形成されたブランク材2a、図中2bが、幅w=8.0mmの円周溝21が形成されたブランク材2bである。
図7はブランク材2から成形品20を成形する成形工程を示す図である。
まず、図7(a)に示すように、ブランク材2を、絞り用ダイス12上に配置する。次いで、ブランク材2の外周部を絞り用ダイス12と皺押さえ部材13とで挟持する。
そして、絞り用パンチ11を下降させてブランク材2に接触させる。
図7(b)に示すように、絞り用パンチ11を更に下降させる。そうすると、ブランク材2は絞り用パンチ11により押圧されて開口部14の内部へと押し込まれていく。
図8はブランク材2が押し込まれる際の変形状態を説明する図である。なお、図8において円周溝21の図示は省略する。図8(a)は絞り用パンチ11により開口部14へ押し込まれる前の状態のブランク材2の断面図である。図8(b)は絞り用パンチ11により開口部14へ押し込まれて行く途中の状態のブランク材2の断面図である。図8(c)は絞り用パンチ11により開口部14へ押し込まれて行く途中の状態のブランク材2の平面図である。
図示するように、押し込まれる前の状態のブランク材2の位置aの部分は、押し込まれていく途中で、位置Aへ移動する。
このとき、押し込まれていく途中におけるブランク材2位置Aの部分の周方向の長さは、押し込まれる前の状態のブランク材2の位置aの部分の周方向の長さより短くなる。すなわち、ブランク材2の位置aの部分には、位置Aに移動する際に、内径側に移動することによって皺押さえ部材13との摩擦力やブランク材2の変形抵抗によって径方向の力σr1が加わる。位置aの部分が内径側に移動すると、径が小さくなるので、周方向の長さが縮む方向の力σθ1が加わり、圧縮されて増肉する(厚みが増加する)。位置b、位置cの部分も、位置aほどではないが同様に圧縮されて増肉する。
一方、絞り用パンチ11の角部に押圧される部分の周囲である、ブランク材2の位置dの部分は、押し込まれていく途中で、位置Dへ移動する。このとき、押し込まれていく途中の位置Dの周方向の長さは、押し込まれる前の状態のブランク材2の位置dの部分の周方向の長さより長くなる。
また、押し込まれていく途中の位置Dの径方向の部分は、押し込まれる前の状態のブランク材2の位置dの部分よりも外周方向に引っ張られて伸びる。すなわち、ブランク材2の位置dの部分は、位置Dに移動する際に、周方向に伸びる力σθ2が加わり、径方向にも延びる力σr2の力加わり、減肉(厚みが減少)する。
(効果1)
図9は、図8の状態からブランク材2が更に絞り用パンチ11によって開口部14の内部に押し込まれて、ブランク材2の外周部が絞り用ダイス12と皺押さえ部材13との間をすり抜けた状態を示した図である。(a)は比較形態、(b)は本実施形態である。
まず、比較形態について説明する。上述のようにブランク材2’の外周部は、径が縮小するので、増肉する。そうすると、図中点線で囲む厚みが増加した外周部は、絞り用パンチ11及び絞り用ダイス12の側面との接触面圧が増加する。接触面圧が増加すると、絞り用パンチ11を更に押し込んで、所望の深さの成形品20を成形する際の成形荷重が増大する。
本実施形態の場合、比較形態と同様にブランク材2の外周部は、径が縮小するので、増肉する。しかし、増肉する部分又はその近傍に円周溝21が設けられているので、増肉した材料が円周溝21が形成された部分に流動し、絞り用パンチ11及び絞り用ダイス12の側面との接触面圧の増加を低減できる。
したがって、絞り用パンチ11による成形荷重を比較形態と比べて低減することができる。
(効果2)
また、円周溝21が、成形品における縦壁部となる部分に移動する際に、図8で示す径方向に力σr1が加わる。円周溝21は厚みが薄いので、同じ厚みの場合よりも伸びやすい。このため、比較形態と比べてより深い(絞り比の高い)成形品20を製造することができる。
(効果3)
上述の図8で説明したように、ブランク材2の角部(位置dの近傍)は、押し込まれる際に減肉される。比較形態では、外周部が肉厚になって押圧方向に伸びにくくなるので、絞り用パンチ11の下降に伴い、減肉された角部が伸びることになり、角部に割れが生じる可能性がある。
本実施形態では、比較形態と同様に、押し込まれる際に、角部は薄肉になる。しかし、角部のみならず溝部も薄肉であるので角部だけが伸びることがなく、角部が割れる可能性が低減される。
図10は、上述した本実施形態のブランク材及び深絞り成形方法に基づいて製造された成形品20の写真である。尚、成形工程における皺押さえ力は5kNとした。図10(a)の成形品20Aは、初期の溝幅が4.0mmのブランク材2aより成型した成形品20Aで、成形高さ31.3mmの容器が成形できた。図10(b)の成形品20Bは、初期の溝幅が8.0mmのブランク材2bより成型した成形品20Bで、成形高さが31.8mmとなり、より深い容器の成形が可能となった。溝幅の変化としては成形品20Aの場合、初期溝幅4.0mmであったものが成形後には4.6mmになった。成形品20Bの場合、初期溝幅8.0mmであったものが9.2mmに増加しており、溝部が絞り加工時に伸ばされることで、絞り比を高くすることができた。
比較例として溝の付与を行わないフラットなブランク材2にて絞り加工を実施した。比較例によると、同一の絞り加工力で成形した場合の成形高さは31.0mmとなり、溝付与加工により一般的な絞り加工より高さの高い容器を成形可能であることがわかった。
以上、本実施形態について説明したが、本発明の深絞り成型方法は、例えば切削レスのベアリング用の溝の形成にも用いることができる。
すなわち、ベアリングの溝は、縦壁部分に凹状に成形される。そして、この凹状の溝にバアリングの球が配置される。ここで、縦壁部への凹溝の成形は、金型が抜けなくなってしまうので、一般的には鍛造や板金加工で行うことができない。このため、切削加工で成形する方法が採用されているが、切削加工は時間を要するためコストが高い。
これに対し、本発明の深絞り成形方法を用い、まず、図5と同様に溝部形成工程(薄肉部形成工程)において、ブランク材に円周溝を形成する。ただし、この際、溝部の断面は図5のような矩形ではなく半円形となるように円周溝を形成する。そして、円周溝が形成されたブランク材を図7のような成形工程により有底円筒状に成形して円周溝を縦壁に移動させる。その後、底部を切断することにより、円筒部材にベアリング用の溝を形成することができる。
このように、切削レスでベアリング用の溝を形成することにより、生産タクトの向上やコスト削減が可能となる。
また、本実施形態では、円板状のブランク材を用い、開口部の外周を円形とし、円柱状の絞り用ダイスを用いてブランク材を有底円筒状に成形したが、これに限らない。すなわち、矩形のブランク材を用い、開口部の外周を矩形とし、角柱状の絞り用ダイスを用いてブランク材を有底角筒状に成形してもよい。
1 深絞り用金型
2 ブランク材
2A ブランク材
2a ブランク材
2b ブランク材
11 絞り用パンチ
12 絞り用ダイス
13 皺押さえ部材
14 開口部
20,20A,20B 成形品
21 円周溝

Claims (6)

  1. ブランク材の外周部に、前記ブランク材の他の部分よりも薄い断面がコの字型の1本の薄肉部を形成する薄肉部形成工程と、
    前記ブランク材を、開口部が設けられた絞り用ダイスの上面に載置して、前記絞り用ダイスの前記上面と該上面に対して対向配置された皺押さえ部材とで、前記ブランク材の前記外周部を挟持し、前記絞り用ダイスの前記開口部の上部に配置された絞り用パンチを下降させることより、前記ブランク材を前記開口部の中に押し込んで、前記ブランク材を前記開口部に沿った形状に変形させて前記ブランク材を有底筒状に成形する成形工程と、
    を備え、
    前記成形工程は、前記薄肉部を含む前記外周部を前記絞り用ダイスの前記上面と前記皺押さえ部材との間に挟持することで、前記成形工程において径が縮小して増肉した材料を前記薄肉部に流動させる、
    深絞り成形方法。
  2. 前記ブランク材が円板状で、
    前記開口部の外周が円形で、
    前記絞り用ダイスが円柱状であり、
    前記ブランク材を有底円筒状に成形する、
    請求項1に記載の深絞り成形方法。
  3. 前記薄肉部が円周溝である、
    請求項1または2に記載の深絞り成形方法。
  4. 前記ブランク材は、板厚t1=2.0mm、径r3=90mmの円板部材で、
    前記薄肉部は前記ブランク材の縁部からの距離d2=13mmの位置に幅w=4.0mm、深さt2=1.0mmで円周状に設けられている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の深絞り成形方法。
  5. 前記ブランク材が矩形で、
    前記開口部の外周が矩形で、
    前記絞り用ダイスが角柱状であり、
    前記ブランク材を有底角筒状に成形する、
    請求項1に記載の深絞り成形方法。
  6. 前記薄肉部が、前記ブランク材における前記絞り用パンチの先端の角部と当接する部分よりも外周側である、
    請求項1からのいずれか1項に記載の深絞り成形方法。
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