JP6859901B2 - 亜硫酸系水処理剤及び水処理方法 - Google Patents
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Description
従って、ケイ酸やケイ酸塩等を含まずとも構成でき、しかも保存安定性の高い亜硫酸系水処理剤についての開発が求められていた。
本実施形態に係る亜硫酸系水処理剤は、ボイラ水と接触するボイラの伝熱面に生じる腐食を抑制するために用いられる。
2SO3 2−+O2→2SO4 2−
亜硫酸塩を含む水処理剤は、ボイラ給水に添加されて上記のようにボイラ給水中の溶存酸素と反応するだけでなく、水処理剤の保存中にも空気中の酸素と反応して硫酸イオンとなる可能性がある。硫酸イオンは脱酸素効果を有しないばかりか、ボイラの伝熱面に腐食を発生させる腐食性因子である。そのため、亜硫酸塩を含む水処理剤の保存時においてはこのような亜硫酸イオンの酸化が防止される必要がある。
ソルビン酸カリウムは硬度成分を含まず、かつ食品添加物としても使用されているような安全性の高い化合物であるため、スケール抑制、取扱時の安全性の観点からソルビン酸カリウムを水処理剤に用いることが好ましい。
上述のように本実施形態に係る水処理剤において、亜硫酸塩としては亜硫酸ナトリウムを用いることが好ましいため、水酸化カリウムを水処理剤に用いることで、水酸化カリウムがカリウムイオンの供給源となり後述のカリウムイオン及びナトリウムイオンのイオンバランスを取ることが容易となる。ひいては、亜硫酸塩の結晶化を抑制できるため、優れた保存安定性を有する水処理剤が得られる。
本発明者らは、原理については必ずしも定かではないが、亜硫酸塩とともにpH調整剤を配合する場合、水酸化カリウムのようなカリウム塩を用いた方がナトリウム塩を用いる場合に比べて、亜硫酸塩の結晶化を抑制でき、良好な保存安定性が得られる事を確認した。すなわち、カリウムイオン濃度とナトリウムイオン濃度との比が上記範囲内にあることで、亜硫酸塩が析出し結晶化することを抑制できる。
本実施形態に係る水処理方法は、本実施形態に係る水処理剤を、ボイラ給水100容量部に対し0.001〜0.1容量部添加する薬注工程(以下、「第1薬注工程」という)と、ボイラ給水に対し、ケイ酸又はケイ酸塩を含むケイ酸系水処理剤を添加するケイ酸系水処理剤薬注工程(以下、「第2薬注工程」という)と、を備える。
シリカは、伝熱面のボイラ水との接触面側に吸着されて皮膜を形成し、ボイラ水管の伝熱面をこの皮膜で被覆することでボイラ水管に好ましい防食性を付与する皮膜形成成分として機能する。すなわち、シリカによって形成された皮膜がボイラ水管の伝熱面を被覆することで、ボイラ水中に含まれる溶存酸素や、硫酸イオン、塩化物イオン等の腐食性因子による影響が抑制されるため、ボイラ水管の好ましい防食性が得られる。特に、溶存酸素や塩化物イオンは伝熱面に局部的なアノードを発現させ、これにより腐食が進行する場合があるが、ボイラ水中でアニオンや負電荷のミセルとして存在するシリカはそのようなアノードに吸着しやすく、当該部分で選択的に防食皮膜を形成しやすい。従って他の皮膜形成型防食剤と比較し、シリカは比較的少ない添加量で好ましい防食性をボイラ水管に付与できる。
ここで、シリカはケイ酸系水処理剤中だけでなく原水中にも含まれるが、その含有量は取水源等によって異なる。そこで、シリカの必要量から原水あるいはボイラ給水中に含まれるシリカ量を差し引き、第2薬注工程におけるケイ酸系水処理剤の注入量を決定することがより好ましい。また、ボイラ給水中に含まれる他の腐食性因子である塩化物イオンの量や、原水水質の変動、ドレン回収(ボイラで発生した蒸気が負荷側(熱交換器等)で熱交換され凝縮した水(ドレン水)を再利用するために回収することをいう)による腐食性因子やシリカの濃度変化等に応じて第2薬注工程におけるケイ酸系水処理剤の注入量を補正することがさらに好ましい。
<実施例1〜7及び比較例1〜6>
亜硫酸ナトリウム(和光純薬製、特級試薬)、ソルビン酸カリウム(和光純薬製)、水酸化カリウム(和光純薬製、特級試薬)及び溶媒としての蒸留水が、それぞれ表1に示す含有量(単位:質量%)となり、かつ水処理剤中のカリウムイオン濃度とナトリウムイオン濃度の比([K+]/[Na+])が表1に示す数値となるように混合することで、各実施例及び比較例の水処理剤を調製した。
実施例及び比較例の水処理剤を−5℃、5℃で270日間保管した。保管後の水処理剤の外観を目視で観察し、変化の有無を確認した。変化が無い場合は「A」とし、−5℃で結晶や析出物等の沈降が生じている場合を「B」、−5℃及び5℃で結晶や析出物等の沈降が生じている場合は「C」と評価し、評価B以上を合格、Cを不合格と判定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例の水処理剤を、pH11に調整した50℃の蒸留水に対し400mg/L添加し、添加時から30分経過後の溶存酸素濃度を溶存酸素濃度計で測定した。水処理剤添加前からの溶存酸素の低減量が1.0ppm未満を「A」、1.0〜2.0ppmを「B」、2.0ppm超を「C」と評価し、評価B以上を合格、Cを不合格と判定した。結果を表1に示す。
これらの結果から、水処理剤における亜硫酸塩の濃度を10〜25質量%とすることで、好ましい脱酸素効果と水処理剤の保存安定性を両立できることが確認された。
これらの結果から、水処理剤におけるソルビン酸又はその塩の濃度を0.5〜1.5質量%とすることで、好ましい水処理剤の保存安定性が得られることが確認された。
これらの結果から、水処理剤中のカリウムイオン濃度([K+])とナトリウムイオン濃度([Na+])との比([K+]/[Na+])が1/5〜7/2であることで、水処理剤の好ましい保存安定性が得られることが確認された。
Claims (5)
- ボイラ給水に添加される亜硫酸系水処理剤であって、
亜硫酸塩と、ソルビン酸又はその塩と、アルカリ金属の水酸化物と、を含み、
亜硫酸塩の濃度は、10〜25質量%であり、
ソルビン酸又はその塩の濃度は、0.5〜1.5質量%であり、
カリウムイオン濃度([K+])とナトリウムイオン濃度([Na+])との比([K+]/[Na+])は、1/5〜7/2である亜硫酸系水処理剤。 - 前記亜硫酸塩は、亜硫酸ナトリウムである請求項1に記載の亜硫酸系水処理剤。
- 前記ソルビン酸又はその塩として、ソルビン酸カリウムを含む請求項1又は2に記載の亜硫酸系水処理剤。
- 前記アルカリ金属の水酸化物は、水酸化カリウムである請求項1〜3いずれかに記載の亜硫酸系水処理剤。
- ボイラ給水100容量部に対し、請求項1〜4いずれかに記載の亜硫酸系水処理剤を0.001〜0.1容量部添加する亜硫酸系水処理剤薬注工程と、
前記ボイラ給水に対し、ケイ酸又はケイ酸塩を含むケイ酸系水処理剤を添加するケイ酸系水処理剤薬注工程と、を含む水処理方法。
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