(定義)
本明細書では、特記のない限り、そこで用いられる用語及び定義は、(メンデル)遺伝学で用いられるものである。遺伝学については、M.W.Strickberger著、Genetics、第2版(1976)、特に、113−122頁及び164−177頁を参照されたい。当該箇所で言及されているように、『遺伝子』は、広く、生物(例えば、植物)の生物学的特徴を決定する遺伝因子を意味し、『アレル』は、二倍体(アスパラガス)植物などの多倍体生物に存在する遺伝子対における個々の遺伝子である。
『天然スタミノース植物』は、機能的な花粉を生産する1以上の機能的な葯を天然に有する植物と定義される。『スタミノース(staminose)』という用語は、機能的な花粉を生産する1以上の機能的な葯を備える花を持つこととして定義され、雌性植物は除外される。『スタミノース』という用語は、Hendersons Dictionary of Biological terms、第11版、560頁で用いられる『スタミノース』という用語と似ているかもしれないが、同書で雄蕊を持つものの心皮を持たない花と記載されている『スタミネート(staminate)』とは似ていないこともある。
『同系』は、遺伝的に同一であることを明確にするために用いられる。
『雌蕊群』は、胚珠を生産し最終的に果実及び種子へと成長する花の一部の総称である。雌蕊群は、1以上の独立した雌蕊から構成されていてもよい。雌蕊は、典型的には、子房と呼ばれる膨らんだ基部と、花柱と呼ばれる細長い部分と、柱頭と呼ばれる花粉を受け取る先端構造とから構成される。
『雌蕊群発達』は、胚珠を生産し最終的に果実及び種子へと成長する雌蕊群の発達を指す。
『天然雌性植物』は、雌蕊群発達の顕性抑圧因子を天然に持たず、雄蕊群発達をもたらす顕性遺伝子を天然に持たないため、自然界でみられるように、着果を可能とする花柱、柱頭、及び子房などの完全に発育した雌性器官を有する花のみをつけ、退化した非機能的な葯のみをつける植物である。
『雌化』は、人為的介入の結果、本明細書で定義されるような、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現を破壊又は減少させることにより植物の雌蕊群発達を回復又は増進させることと定義される。
雌化植物での回復又は増進させた雌蕊群発達は、当業者であれば、当該植物をそれと同一の生育条件(但し、雌化植物が基準植物と比べてあまり機能的ではない花粉を生産する場合、受粉自体が着果を制限しないようなやり方で雌化植物を受粉させる)に置いた適切な基準植物と比較することで確認できる。当該基準植物は、雌化植物と同じ倍数性レベルを有するはずであり、雌株ではなく、当該基準植物では、本明細書に開示の、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現が破壊も減少もされていない。基準植物は評価する雌化植物と同系であることが最も好ましい。好ましい基準植物の例として、雌化対象の植物を、そのGDS遺伝子を標的とした人為的介入を行う前に、栄養繁殖させることにより、好ましくは、両植物を適切な比較ができるほど十分に同系ではなくしてしまうかもしれない体細胞多様性を避けるための短期繁殖工程により、得られた同系植物が挙げられる。適切な基準の別の好ましい例としては、2つの倍加半数体親の間の交配、又は、何世代にも渡って同じ特徴を示す(従って高度に近交の)両親であって、評価対象の雌化植物の由来であるハイブリッドの両親と同じものの間の交配、から得られた多数の完全同胞(の平均又は一員)(但し、当該完全同胞もそれらのいずれの親も、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログを標的とした人為的介入の対象となったことがない)が挙げられる。上述の好ましい基準植物が利用できない場合、例えば、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子を標的とした人為的介入が配偶子に行われていた場合、当業者は、雌化植物への基準として、雌性植物ではない十分に多数の同胞(但し、当該同胞もそれらのいずれの親も前述の人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした同胞が利用できない又はその数が少ない場合、当業者は、基準植物として、雌化植物の直接の雄性祖先株(但し、当該雄性祖先株は、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログを標的とした人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした雄性祖先株を利用可能とするために、当業者は祖先株を栄養繁殖することができる。基準植物が遺伝的に多様な場合、これにより高度に同系な基準植物との比較は妨げられるが、当業者は、雌化植物の回復又は増進された雌蕊群発達の形質が適当な検定交配集団において標的のGDS遺伝子及び/又はそのホモログ若しくはオルソログとは独立に分離するという帰無仮説が受諾されるべきか棄却されるべきかを検定することができる。その後、精密なマッピング及び表現型検査により、雌化におけるGDS遺伝子の役割をさらに明確にすることができる。
雌化の定義で用いた『雌蕊群発達を回復又は増進させる』とは、雌蕊群発達が増進又は回復されている植物が、適当な基準植物と比べて、生存種子を含む漿果をつける能力が優れていることを意味する。増進又は回復された雌蕊群発達は、花柱の長さの増加、及び、より顕著な柱頭を含み得る。これらはFranken(1969、1970)及びBeeskov(1967)が適用したようなスケールに基づき測定又は推測することができる。前述のスケールに基づく雌蕊群発達の増進又は回復は、雌化植物の花が当該スケール上で基準植物のスコアと比べて高いスコアをつけることを意味する。
『脱雌化』は、人為的介入の結果、本明細書で定義されるような、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現を回復又は増加させることにより雌蕊群発達を破壊又は減少させることと定義される。
脱雌化植物での破壊又は減少させた雌蕊群発達は、当業者であれば、当該植物をそれと同一の生育条件(但し、基準植物が脱雌化植物と比べてあまり機能的ではない花粉を生産する場合、受粉自体が着果を制限しないようなやり方で雌化植物を受粉させる)に置いた適切な基準植物と比較することで確認できる。当該基準植物は、脱雌化植物と同じ倍数性レベルを有するはずであり、スタミノースな植物であり、当該基準植物では、本明細書に開示の、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現が回復も増加もされていない。基準植物は評価する雌化植物と同系であることが最も好ましい。好ましい基準植物の例として、脱雌化対象の植物を、そのGDS遺伝子の機能的発現の回復又は増加をもたらす人為的介入を行う前に、栄養繁殖させることにより、好ましくは、両植物を適切な比較ができるほど十分に同系ではなくしてしまうかもしれない体細胞多様性を避けるための短期繁殖工程により、得られた同系植物が挙げられる。適切な基準の別の好ましい例としては、2つの倍加半数体親の間の交配、又は、何世代にも渡って同じ特徴を示す(従って高度に近交の)両親であって、評価対象の脱雌化植物の由来であるハイブリッドの両親と同じものの間の交配、から得られた多数の完全同胞(の平均又は一員)(但し、当該完全同胞もそれらのいずれの親も、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現の回復又は増加をもたらす人為的介入の対象となったことがない)が挙げられる。上述の好ましい基準植物が利用できない場合、例えば、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子の機能的発現を回復又は増加させる人為的介入が配偶子に行われていた場合、当業者は、雌化植物への基準として、スタミノースな植物である十分に多数の同胞(但し、当該同胞もそれらのいずれの親も前述の人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした同胞が利用できない又はその数が少ない場合、当業者は、基準植物として、脱雌化植物のスタミノースな祖先株(但し、当該雄性祖先株は、雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現の回復又は増加をもたらす人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした雄性祖先株を利用可能とするために、当業者は祖先株を栄養繁殖することができる。基準植物が遺伝的に多様な場合、これにより高度に同系な基準植物との比較は妨げられるが、当業者は、脱雌化植物の破壊又は減少された雌蕊群発達の形質が適当な検定交配集団においてGDS遺伝子及び/又はそのホモログ若しくはオルソログの回復又は増加された機能的発現とは独立に分離するという帰無仮説が受諾されるべきか棄却されるべきかを検定することができる。その後、精密なマッピング及び表現型検査により、脱雌化におけるGDS遺伝子の役割をさらに明確にすることができる。
脱雌化の定義で用いた『雌蕊群発達を破壊又は減少させる』とは、こうした破壊又は減少された雌蕊群発達を有する植物が、適当な基準植物と比べて、生存種子を含む漿果をつける能力が劣っていることを意味する。
脱雌化の定義で用いたような、破壊又は減少された雌蕊群発達は、花柱の長さの減少、及び、比較的に顕著でない柱頭を含み得る。これらはFranken(1969、1970)及びBeeskov(1967)が適用したようなスケールに基づき測定又は推測することができる。前述のスケールに基づく雌蕊群発達の減少又は破壊は、脱雌化植物の花が当該スケール上で基準植物のスコアと比べて低いスコアをつけることを意味する。
雌化又は脱雌化の本定義で呼ぶところ人為的介入は、任意の形態の誘導変異誘発(例えば、放射線、化学処理、又は任意の他の変異誘発手段によるもの)を含む。また、人為的介入は、遺伝子の、若しくは当該遺伝子の転写及び翻訳の干渉の、任意の形態の破壊(雌化)又は回復(脱雌化)も含む。この例としては、コード配列の遺伝子改変、スプライスバリアントの誘導、メチル化によるエピジェネティックな変化、RNAi、CRISPRi、アンチセンス発現による発現阻害、遺伝子のシス調節エレメント内の部位の改変などが挙げられる。人為的介入は、変異遺伝子を有する植物を未改変植物と交配させ、変異GDS遺伝子が存在するオフスプリングをマーカー支援選抜の指示に従い選抜することも含む。
『雄化』は、人為的介入の結果、本明細書で定義されるような、顕性雄性刺激因子(例えば、AsOsTDF1)、そのホモログ又はオルソログの機能的発現を回復又は増加させることにより雄蕊群発達を回復又は増進させることと定義される。
雄化植物で雄蕊群発達を回復又は増進させたことは、当業者であれば、当該植物をそれと同一の生育条件に置いた適切な基準植物と比較することで確認できる。当該基準植物は、雄化植物と同じ倍数性レベルを有するはずであり、天然スタミノース植物ではなく、当該基準植物では、本明細書に開示の、雄性刺激因子遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現が回復も増加もされていない。基準植物は評価する雄化植物と同系であることが最も好ましい。好ましい基準植物の例として、雄化対象の植物を、雄性刺激因子遺伝子の機能的発現の回復又は増加をもたらす人為的介入を行う前に、栄養繁殖させることにより、好ましくは、両植物を適切な比較ができるほど十分に同系ではなくしてしまうかもしれない体細胞多様性を避けるための短期繁殖工程により、得られた同系植物が挙げられる。上述の好ましい基準植物が利用できない場合、例えば、雄性刺激因子遺伝子の機能的発現の回復又は増加をもたらす人為的介入が配偶子に行われていた場合、当業者は、雄化植物への基準として、スタミノースな植物でない十分に多数の同胞(但し、当該同胞もそれらのいずれの親も前述の人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした同胞が利用できない又はその数が少ない場合、当業者は、基準植物として、雄化植物の直接の雌性祖先株(但し、当該雌性祖先株は、その雄性刺激因子遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現の回復又は増加をもたらす人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした雌性祖先株を利用可能とするために、当業者は祖先株を栄養繁殖することができる。基準植物が遺伝的に多様な場合、これにより高度に同系な基準植物との比較は妨げられるが、当業者は、雄化植物の回復又は増進された雄蕊群発達の形質が適当な検定交配集団において雄性刺激因子及び/又はそのホモログ若しくはオルソログの回復又は増加された機能的発現とは独立に分離するという帰無仮説が受諾されるべきか棄却されるべきかを検定することができる。その後、精密なマッピング及び表現型検査により、雄化における標的雄性刺激因子遺伝子の役割をさらに明確にすることができる。
雄化の定義で用いた『雄蕊群発達を回復又は増進させる』とは、増進又は回復させた雄蕊群発達を獲得した植物が、適当な基準植物と比べて、機能的な花粉を含む機能的な葯をつける能力が優れていることを意味する。
雄蕊群発達を増進又は回復させることは、天然スタミノース植物に匹敵するじゅうたん組織の発達を有しつつも、花糸の長さの増加、より大きな葯(即ち、サイズの増加)を示すことを含み得る。天然スタミノースアスパラガス植物に匹敵するじゅうたん組織の発達は、じゅうたん組織の退化がみられない又は少なくとも天然の雌株で典型的に観察されるものと比べて少ないじゅうたん組織の退化を示すはずであることを意味する。
『脱雄化』は、人為的介入の結果、本明細書で定義されるような、顕性雄性刺激因子(例えば、AsOsTDF1)、そのホモログ又はオルソログの機能的発現を破壊又は減少させることにより植物の雄蕊群発達を破壊又は減少させることと定義される。
脱雄化植物で雄蕊群発達を破壊又は減少させたことは、当業者であれば、当該植物をそれと同一の生育条件に置いた適切な基準植物と比較することで確認できる。当該基準植物は、脱雄化植物と同じ倍数性レベルを有するはずであり、天然スタミノース植物であり、当該基準植物では、本明細書に開示の、雄性刺激因子遺伝子、そのホモログ又はオルソログの機能的発現が破壊も減少もされていない。基準植物は評価する脱雄化植物と全く同系であることが最も好ましい。好ましい基準植物の例として、脱雄化対象の植物を、雄性刺激因子遺伝子を標的とした人為的介入を行う前に、栄養繁殖させることにより、好ましくは、両植物を適切な比較ができるほど十分に同系ではなくしてしまうかもしれない体細胞多様性を避けるための短期繁殖工程により、得られた同系植物が挙げられる。適切な基準の別の好ましい例としては、2つの倍加半数体親の間の交配、又は、何世代にも渡って同じ特徴を示す(従って高度に近交の)両親であって、評価対象の脱雄化植物の由来であるハイブリッドの両親と同じものの間の交配、から得られた多数の完全同胞(の平均又は一員)(但し、当該完全同胞もそれらのいずれの親も、雄性刺激因子遺伝子、そのホモログ又はオルソログを標的とした人為的介入の対象となったことがない)が挙げられる。上述の好ましい基準植物が利用できない場合、例えば、雄性刺激因子遺伝子を標的とした人為的介入が配偶子に行われていた場合、当業者は、脱雄化植物への基準として、スタミノースな植物である十分に多数の同胞(但し、当該同胞もそれらのいずれの親も前述の人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうした同胞が利用できない又はその数が少ない場合、当業者は、基準植物として、脱雄化植物の直接の雌性又はスタミノース祖先株(但し、当該スタミノース祖先株は、その雄性刺激因子遺伝子、そのホモログ又はオルソログを標的とした人為的介入の対象となったことがない)を採用できる。こうしたスタミノース祖先株を利用可能とするために、当業者は祖先株を栄養繁殖することができる。基準植物が遺伝的に多様な場合、これにより高度に同系な基準植物との比較は妨げられるが、当業者は、脱雄化植物の破壊又は減少された雄蕊群発達の形質が適当な検定交配集団において標的の雄性刺激因子遺伝子及び/又はそのホモログ若しくはオルソログとは独立に分離するという帰無仮説が受諾されるべきか棄却されるべきかを検定することができる。その後、精密なマッピング及び表現型検査により、脱雄化における標的の雄性刺激因子遺伝子の役割をさらに明確にすることができる。
脱雄化の定義で用いた『雄蕊群発達を減少又は破壊させる』とは、破壊又は減少させた雄蕊群発達を獲得した植物が、適当な基準植物と比べて、機能的な花粉を含む機能的な葯をつける能力が劣っていることを意味する。
雄蕊群発達を減少又は破壊させることは、天然スタミノース植物に匹敵するじゅうたん組織の発達を有しつつも、花糸の長さの減少、より小さな葯(即ち、サイズの減少)を示すことを含み得る。天然スタミノースアスパラガス植物に匹敵するじゅうたん組織の発達は、雌性植物で典型的に観察されるのと同様なじゅうたん組織の発達の欠如又は少なくともスタミノースな植物で典型的に観察されるものと比べて少ないじゅうたん組織の発達を示すはずであることを意味する。
雄化又は脱雄化の本定義で呼ぶところ人為的介入は、任意の形態の誘導変異誘発(例えば、放射線、化学処理、又は任意の他の変異誘発手段によるもの)を含む。また、人為的介入は、遺伝子の、若しくは当該遺伝子の転写及び翻訳の干渉の、任意の形態の回復(雄化)又は破壊(脱雄化)も含む。この例としては、コード配列の遺伝子改変、スプライスバリアントの誘導、メチル化によるエピジェネティックな変化、RNAi、CRISPRi、アンチセンス発現による発現阻害、遺伝子のシス調節エレメント内の部位の改変などが挙げられる。人為的介入は、変異遺伝子を有する植物を未改変植物と交配させ、変異雄性刺激因子遺伝子が存在するオフスプリングをマーカー支援選抜の指示に従い選抜することも含む。
『雄性祖先株』は、後代の植物の派生元となる植物の家系に属する、機能的な葯をつける能力を有するスタミノースな植物として定義され、植物の派生元となる、当該祖先株、その体細胞、又は体細胞組織の栄養生殖も包含し得る。
『家系』は、ある植物の出自となる祖先株の系譜である。
『雌蕊群発達の抑圧』又は『雌蕊群発達の阻害』は、雄性植物及び雄性両全性同株植物(即ち、両全性植物とは異なる)又は無性植物で典型的に観察される、顕性抑圧因子遺伝子が雌蕊群発達を妨げるという現象と定義される。一般的に、雌蕊群発達の抑圧は、最適条件下で生育され、生存花粉により受精可能であり、着果に影響する適応度の現象を招きかねない近交弱勢や変異による悪影響を受けていないという条件のもと、生存種子を含む多くの漿果をつけ、また、その花の全てから漿果をつけるはずである天然の雌株でも天然の両全株でも観察されない。雌蕊群発達の抑圧を示すと仮定される植物は、最適条件下で生育され、生存花粉により受精可能であり、着果に影響する適応度の現象を招きかねない近交弱勢や変異による悪影響を受けていない場合であってさえも、その花から実をつけることもないし、その全ての花から実をつけることもない。生存種子を含む漿果をつける能力が低下していることの他に、雌蕊群発達の抑圧を示す植物は、花柱の長さの著しい減少、及び/又は、比較的に顕著でない柱頭を示すと期待される。これらはFranken(1969、1970)及びBeeskov(1967)が適用したようなスケールに基づき測定又は推測することができる。Beeskov(1967)のスケールによれば、雌蕊群発達の抑圧を示す植物は、IV未満の、好ましくは、III未満の、好ましくは、II未満の、好ましくは、Iのスコアに分類されるはずの花を有すると考えられる。Franken(1969、1970)のスケールによれば、雌蕊群発達の抑圧を示す植物は、5未満の、好ましくは、4未満の、好ましくは、3未満の、好ましくは、2未満の、好ましくは1のスコアに分類されるはずの花を有すると考えられる。雌蕊群発達の抑圧は、本明細書で提示した配列と相同な雌蕊群発達抑圧因子GDS遺伝子の機能的発現の結果と考えられる。顕性抑圧因子遺伝子がある植物で活性化されていることは、ある植物の検定交配子孫の表現型検査を行い、破壊雌蕊群発達表現型と、本分野で記述されているものなどのM座位に連鎖したマーカーとが、独立に分離するという仮説を棄却することで、検定することができる。
『雄蕊群』は、花の雄蕊の総称であり、雄蕊は、典型的には、花糸と呼ばれる柄と、小胞子嚢を含む葯とから構成され、小胞子嚢中で花粉粒が小胞子から発達する。
『TDF1マーカー支援選抜』は、雄化又は脱雄化を誘導する任意の変異を、又は、本明細書で開示の、TDF1遺伝子、そのホモログ又はオルソログの配列情報を明らかにするために設計されたアッセイ(これらに限定されるわけではないものの、サンガーシークエンシング、CAPSマーカー解析、高解像度融点曲線マーカー解析、Taqmanアッセイ、Kaspアッセイなど)に基づく情報から導かれた任意の変異を、ある植物家系に導入することを目的としたマーカー支援選抜として定義される。また、TDF1マーカー支援選抜は、所望のTDF1遺伝子アレルを家系に導入した後に、親植物の、TDF1遺伝子、そのホモログ又はオルソログの配列情報を明らかにするために設計された情報を用いることも含み得る。この場合、所望のTDF1遺伝子アレルと、十分に、好ましくは、20cM以内、より好ましくは、10cM以内、より好ましくは、5cM以内、より好ましくは、1cM以内で連鎖している、TDF1遺伝子を標的とするマーカーを除く他のマーカーが用いられる。
『GDSマーカー支援選抜』は、雌化又は脱雌化を誘導する任意の変異を、又は、本明細書で開示の、GDS遺伝子、そのホモログ又はオルソログの配列情報を明らかにするために設計されたシークエンシング又はアッセイ(これらに限定されるわけではないものの、CAPSマーカー解析、高解像度融点曲線マーカー解析、Taqmanアッセイ、Kaspアッセイなど)に基づく情報から導かれた任意の変異を、ある植物家系に導入することを目的としたマーカー支援選抜として定義される。また、GDSマーカー支援選抜は、所望のGDS遺伝子アレルを家系に導入した後に、親植物の、GDS遺伝子、そのホモログ又はオルソログの配列情報を明らかにするために設計された情報を用いることも含み得る。この場合、所望のGDS遺伝子アレルと、十分に、好ましくは、20cM以内、より好ましくは、10cM以内、より好ましくは、5cM以内、より好ましくは、1cM以内で連鎖している、GDS遺伝子を標的とするマーカーを除く他のマーカーが用いられる。
『変異誘発』又は『変異処理』は、放射線照射を自然界ではみられぬ放射線量で適用したり、変異誘発剤に自然ではないやり方で暴露させたりして、生物の遺伝情報を安定的に変化させ、自然界で自然に生ずる変異とは異なる、実験的に実現された変異をもたらす過程を、可能にし、好ましくは、増進させることと定義される。
『顕性雄性刺激因子(遺伝子)』は、スタミノースな植物での発育をもたらす、M座位に連鎖している若しくはM座位に存在する遺伝子、又はこの遺伝子に由来する遺伝子産物である。この顕性雄性刺激因子(雄蕊群発達刺激因子又は葯発達刺激因子とも呼ぶ)は、シロイヌナズナ(AT3G28470)及びコメ(osTDF1、LOC_Os03g18480)で見つかったTDF1(defective in Tapetal Development and Function)遺伝子と同じ遺伝子、又は、TDF1遺伝子のホモログ又はオルソログである遺伝子によりコードされているタンパク質である。アスパラガス・オフィシナリスでのオルソログ遺伝子AsOsTDF1の配列を、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6にて提示する。
幾つかの理由で、Maeda等(2005)の『プロトプラスト培養』の項に記載の体細胞胚発生の手順(Kunitake及びMii(1990)の方法への参照を含み、当該体細胞胚発生で得られた植物をフィールドに移植する)は、雌蕊群の物理的特性を増進する人為的介入の実施形態として包含されない。本明細書で当該文献を評して議論したように、Maeda(2005)の研究は、性転換植物が体細胞胚発生により得られ、これが実行可能な方法を提供するだろうという十分な教示を当業者に与えない。十分に実証された性転換植物がMaeda等(2005)が適用したような移植後の胚培養により生産され得ることは完全に排除できるわけではないものの、本発明の著者等は、本明細書で雌化を定義するために用いた人為的介入として、Maeda等(2005)が記載した方法を除外することに全く異存はない。当業者であれば、人為的介入の任意の方法が、Maeda等(2005)に記載の体細胞胚発生及び移植まで広がり、ひいては、追加の工程を含むことを理解できるだろう。好ましくは、当該工程は、体細胞胚発生の前後のいずれかに、変異誘発又はGDSマーカー支援選抜の適用を含むが、唯一の追加の人為的介入として生存オフスプリングを生成する従来の交配を含まないと考えられる。このように雌化植物を得ることが可能かもしれず、ひいては、これは異なる方法になると考えられる。
『天然雄性アスパラガス植物』は、defective in tapetum development and Function 1(TDF1)に相同な顕性アスパラガス遺伝子の天然の機能的コピーを少なくとも1つ有するため、自然界でみつけることができるような完全に発達した葯を有する花をつける能力を有する植物として定義される。
ある植物が、ある遺伝子について、当該遺伝子と同じアレルを含む場合、その植物は『ホモ接合性』と呼ばれ、ある遺伝子について、当該遺伝子と異なるアレルを含む場合、その植物は『ヘテロ接合性』と呼ばれる。大文字を用いて、顕性(型の)遺伝子を示し、小文字を用いて、潜性遺伝子を示す。従って、『XX』は、遺伝子又は性質Xについてのホモ接合体顕性遺伝子型を示し、『Xx』又は『xX』は、ヘテロ接合体遺伝子型を示し、『xx』は、ホモ接合体潜性遺伝子型を示す。一般的に知られているように、複アレル、抑圧因子、共顕性などの遺伝子及び/又は因子が表現型の決定で(同様に)役割を果たさない限り、ホモ接合体潜性遺伝子型のみが対応する潜性表現型を通常もたらす(即ち、性質又は形質『x』を示す植物に繋がる)はずであり、一方、ヘテロ接合体及びホモ接合体の顕性遺伝子型は対応する顕性表現型を通常もたらす(即ち、性質又は形質『X』を示す植物に繋がる)はずである。ある植物が通常は2つであるところの染色体対又は染色体部分を1つのみ有する場合、その植物は『ヘミ接合性』と呼ばれる。より具体的には、本明細書では、『ヘミ接合性』という用語は、特定のY連鎖遺伝子が、畢竟、雄性染色体上にあり、雄性植物が雌株にはない染色体部分を有するようになっていることを指す。
本明細書では、『植物』という用語は、植物全体、その任意の部分若しくは派生物(植物細胞、植物プロトプラスト、植物(例えば、アスパラガス・オフィシナリス植物)の再生元とできる植物細胞組織培養、植物カルス、植物細胞集塊、及び植物中の無傷の植物細胞など)、又は植物の一部(胚、花粉、胚珠、果実(例えば、収穫したトマト)、花、葉、種子、根、根冠など)を包含する。
本発明によれば、『オルソログ』又は『オルソログ遺伝子』は、種間、さらには、品種間で、分岐進化した遺伝子と考えられる。これは、ここで定義するGDS遺伝子のオルソログが、本出願のGDS配列の由来である種又は品種とは異なる種の遺伝子であって、共通祖先配列から進化した任意の遺伝子を意味するだろうことを意味する。オルソログ遺伝子の全てではないが多くの場合について、当該遺伝子の機能が維持されていることを認識できるはずである。この意味で、自動的に、ここで特定するGDS遺伝子のオルソログは、アスパラガス・オフィシナリスのGDS遺伝子について本出願で記載したのと同じ機能を有する。オルソログ同士は、かなりの相同性を共有するかもしれないが、かならずしもそうである必要はない。異種のオルソログ遺伝子は、しばしば、類似の遺伝子環境で、即ち、クラスターに存在する遺伝子の多くがオルソロガスであるといえるような遺伝子クラスター内にクラスターされてみつかる。
本発明によれば、『ホモログ』又は『相同配列』は、ホモログであるといわれる基準の配列と高いレベルの配列相同性を有する配列である。この点で、高い配列相同性又は高いホモロジーは、ある核酸配列について、2つの相同配列が選択的ハイブリダイゼーション条件下で互いに選択的にハイブリダイズするだろうことを意味する。相同核酸は、それが相同であるといわれる基準の遺伝子によりコードされているタンパク質の機能と類似する生物学的機能を有するアミノ酸配列を当該核酸がコードすると考えられる場合、機能的ホモログ又は機能的相同配列といわれる。
この意味で、本願発明では、高い配列相同性の定義は、それが相同であるといわれる基準の遺伝子との相同性の割合が65%から95%であるヌクレオチド配列を含む。そして、例えば、相同性の割合は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%であってもよい。ヌクレオチド配列に基づく配列相同性は、BLASTNコンピュータープログラム(例えば、国立生物工学情報センター(インターネットを経由して、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/よりアクセスできる)を介して、公的に入手可能)を、Wordlength(W)を11、Expectation(E)を10、一致した残基の組のReward score(M)を5、ミスマッチのPenalty scoreを−4、cutoffを100としたデフォルトの設定で用い、計算できる。この代わりに、ホモロジーを、当該ヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に基づいて計算することもできる。アミノ酸については、配列相同性は、BLASTPコンピュータープログラム(同様に、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/を介して入手可能)を用いて計算できる。アミノ酸レベルでは、機能的ホモログは、前述のタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも55%、より好ましくは、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列として定義される。タンパク質の機能的ホモログ又はオルソログは、当該タンパク質が相同又はオルソロガスであるといわれる基準のタンパク質と類似の生物学的機能を有することと定義される。アミノ酸配列をコードする核酸配列は多くの多様体を有し得る。遺伝暗号の性質により、一つの同じアミノ酸に翻訳される異なるヌクレオチドのトリプレットが存在する。あるタンパク質をコードする核酸が、異なるアミノ酸配列をもたらすことなく、かなり変わることもあり得ることを理解されたい。こうした遺伝暗号のゆらぎは、相同又はオルソロガスなタンパク質をコードする2つの核酸配列のホモロジーレベルに影響を与えないかもしれず、コードされているタンパク質が、ここで用いた定義に従って、高度に相同又はオルソロガスであると判断される場合、それをコードする核酸も高度に相同であるとみなされるはずである。
(発明を実施するための形態)
本発明の第1の目的は、雌性抑圧因子遺伝子の発現を変化させることにより、及び/又は、雄蕊群発達を可能とする遺伝子の発現を変化させることにより、植物の性を変化させる方法を提供することである。さらなる目的は、雌性抑圧因子遺伝子の機能欠損を用いることにより、及び/又は、雄蕊群発達を可能とする遺伝子を提供することにより、雌雄異株植物、好ましくは、アスパラガス植物を、自家受精又は交雑受精させる代替的方法である。
第2の目的は、両全株、又は部分的に両全性若しくは雄性両全性同株である植物、又は雌性植物といった『雌化植物』を、好ましくは、クサスギカズラ属から、本分野で周知のやり方とは異なるやり方で、疑う余地なく獲得できる方法に関する技術的教示を提供することである。
第3の目的は、雌性植物を雄化させて機能的雄蕊群を有する雄性植物とし得る方法に関する技術的教示を提供することである。本発明では、慎重に設計した検定交配により、雌化植物の、特に、両全性表現型の、一遺伝子性潜性伴性遺伝の存在が確認された。さらに、この雌蕊群発達の伴性顕性抑制因子が同定された。この遺伝子の特性解析により、それがDUF247ドメイン含有遺伝子であることが明らかとなった。両全性表現型又は雌性表現型のいずれかを有する10の変異体が発見され、これらの全てが前述の遺伝子(本願発明ではGDS遺伝子と呼称する)の発現に関連する異なる変異を含んでいた。幾つかの変異体は、機能的TDF1遺伝子(シロイヌナズナのAT3G28470又はオリザ・サティバ(コメ)のosTDF1(LOC_Os03g18480))の発現に欠けており、これにより、それらの表現型が雄性から雌性に変化していることが分かった。3つの独立した変異体の家系でその分離が検定済みの、この一遺伝子性潜性遺伝伴性両全性表現型の存在は、雌雄異株種では進化生物学者(Westergaard、1958、Charlesworth及びCharlesworth、1978)により一般的に予測されているものの、アスパラガスでは納得のいく証明がなされてこなかった、雌化をもたらす遺伝子が雄性雌性抑圧因子であることを示唆している。本発明は、こうした雌性抑圧因子が実際にアスパラガスに存在し、その雌性抑圧能力を失わせ、本来は厳格に雄性である植物を、自家受精及び/又は他の雄性植物との交配ができる両性花を有する植物へと転換させるように、当該雌性抑圧因子を操作できること、又は、当該雌性抑圧因子の操作が雄性刺激因子とともに喪失した場合、本来は雄性である植物が雌性植物に転換され得ることを教示する。さらに、本発明は、新しい両全性植物を作るために、雌性抑圧能力を失った雌性抑圧因子のアレルが、遺伝的に関連する雄性(花粉)稔性とともに、他の植物に遺伝子導入/移入され得ることも開示する。本発明は、本発明で開発された単純な一遺伝子性潜性遺伝とは異なる遺伝学的モデルで記述されてきた(あるいは、少なくとも、遺伝学的により複雑であった)雄性両全性同株植物又は両全性植物を用いたものなどの自家受精又は他の雄性植物との交配の既存の手段とは異なる方法について記述する。
さらに、本発明は、この表現型を一時的にのみ発現する植物を提供する方法も包含する。
さらに、本発明は、TDF1遺伝子の機能的コピー又はその遺伝子産物を導入することにより達成されるはずの、雌性植物を雄性植物に変える方法を開示する。
当業者であれば、雌性抑圧因子をオンやオフにスイッチすること、より微妙には、雌蕊群発達の抑圧を増進又は低下させることが、最も広義な解釈で用いられていることを理解できるだろう。雌蕊群発達の抑圧の可能化又は増進は、雌蕊群発達の抑圧をもたらす遺伝子の機能的コピーを提供した結果として起こり得る。『スイッチオフ』、雌蕊群発達の抑圧の不可能化又は低下は、雌蕊群発達の抑圧をもたらす遺伝子の発現又は機能性を低下させる任意の方法を含むだろう。また、当業者であれば、雌蕊群発達の抑圧をもたらす遺伝子をオンやオフにスイッチすることの適用、又は、当該遺伝子の抑圧の低下又は増進は、機能的葯を持つ植物を提供することのみに限られるわけではないことを理解できるだろう。雄性植物の雌蕊群発達の抑圧をもたらす遺伝子が(部分的に)スイッチオフされた場合(例えば、その機能的発現が低下された場合)、実際に(より多くの)雄性両全性同株植物又は両全性植物がもたらされるかもしれない。しかし、雌蕊群の抑圧の低下は、葯の機能性の欠如又は低下、例えば、これらに限定されるわけではないが、雌蕊群発達の抑圧及び葯発達の刺激の両方が単一の欠失により共に破壊されるという事象など、と同時に起きるかもしれない。こうした場合、雄性又は雄性両全性同株植物は、雌性植物へと変わるが、こうした事象(両方の雌蕊群発達の顕性抑圧因子を変えることが雄蕊群発達の刺激因子の破壊と同時に生じる事象)も雌蕊群発達の抑圧因子の機能性を制御する方法として本発明に包含される。
この文脈において、本明細書で用いられる『雌蕊群発達抑圧因子遺伝子(GDS遺伝子)』又は『雌蕊群発達抑圧因子アレル』という用語は、配列番号1に記載の配列を有するアレル、又はその機能的ホモログ若しくはオルソログを指す。こうした遺伝子又はアレルの好ましい例として、cDNAが配列番号1で与えられる特定のアスパラガスDUF247ドメイン含有遺伝子が挙げられる。従って、本発明の一態様は、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列のオルソログであるタンパク質又は当該アミノ酸配列と機能的に相同なタンパク質をコードし得る全ての核酸配列である。本明細書で示すように、この遺伝子の機能欠損は雌蕊群発達の阻害を引き起こす。GDS遺伝子の機能欠損又は低下機能は、植物がつける漿果及び種子の数が、同じ家計世代又は当該植物が属する家計の前の世代の植物に対して、増えていることを調べることで定量的に確認される。こうした機能欠損は、一般的に、当該家計の以前の世代では見られなかった変異により生じているはずである。
そこで、本明細書で用いられる『変異GDS遺伝子』又は『変異GDSアレル』は、本発明の表現型をなすこと又は当該表現型に寄与することにつながるGDS遺伝子の任意の機能欠損を指し得る。一つの変異体として、本明細書に記載の、γ線照射処理の結果として得られた、配列番頭1のヌクレオチドの567位以降のコード情報の欠如をまねくと推測されるScaffoldMlocus4(Genome version V1.1)の1820位のヌクレオチドで始まる欠失挿入事象を有するGDS欠失挿入アレルが挙げられる。
本明細書に記載の別の変異体として、リーディングフレームシフトにつながるはずの配列番号1の527位での欠失に対応する、GDS遺伝子の第1エクソンの3’末端でのチミンの(1塩基対)欠失を有するGDS欠失アレルが挙げられる。
本明細書に記載の別の変異として、GDS遺伝子の、第1予測エクソン、第1予測イントロンにまたがり、且つ、第2予測エクソンと部分的に重なる高メチル化により生じるGDSエピアレルが挙げられる。前述のメチル化は、(厳格ではないものの)顕著には、CHGメチル化(scaffold 905(Genome version V1.1)の309762−308323位又はScaffoldMlocus4(Genome Version 1.1)1053−2492位の核酸にわたるもの)である。エピアレルで観察された示差的CHGメチル化は、配列番号1と、5位から859位のヌクレオチドの範囲内のヌクレオチドで、重なっているはずである。本明細書に記載のさらに別の変異体であるK5756は、プロリンからトレオニンへのアミノ酸変化(Pro→Thr)をもたらす配列番号1の684位でのシトシンからアデニンへの変化を特徴とするGDS遺伝子アレルである。
本明細書に記載の別の変異として、配列番号1の166位でのシトシンからアデニンへの変化を特徴とするGDSアレルであるK4381が挙げられる。
本明細書に記載の別の変異として、アスパラギン(N)からセリン(S)へのアミノ酸変化をもたらす配列番号1の1193位に対応する位置でのアデニンからグアニンへの変異を特徴とする、γ線照射処理により生じたGDSアレルK1150が挙げられる。
本明細書に記載の別の変異として、配列番号3の1160ヌクレオチド位と一致するアデニンからチミンへの変化であるGDSアレルK1129−300−8が挙げられる。このアデニンからチミンへの変化は、GDS遺伝子の第1予測開始コドンのアデニンから、665ヌクレオチドだけ離れている。
本明細書に記載の3つの類似の変異として、遺伝子マーカーアレルと配列nの喪失から推測してGDS遺伝子が(今回の場合、γ線照射処理の結果として)完全に欠失している3つの非天然GDSヌルアレルが挙げられる。
本明細書では、GDS遺伝子とは、雌雄異株アスパラガス種で雌蕊発達及び結実を抑制するタンパク質の一群に属するだろうDomain of Unknown Function 247をそのタンパク質配列中に含む遺伝子と理解されたい。当該GDS遺伝子の好ましい例としては、本明細書に記載したようなアスパラガスDUF247ドメイン含有遺伝子が挙げられる。しかし、本発明は、このGDS遺伝子の機能的ホモログ及び/又はオルソログも包含する。
また、本明細書では、『雌蕊群発達の顕性抑圧因子』という用語も用いる。この用語は、雌性抑圧因子GDS遺伝子の機能が残余を除いて当該用語と同一であるとみなされるべきことをいっそう明白に説明している。雌蕊群発達を抑圧する雌性抑圧因子は、例えば、着果が好ましくない場合に雌性不妊をもたらすために、別の植物に導入されてもよい。
本発明の雌雄異株植物は、好ましくは、クサスギカズラ属植物であり、より好ましくは、アスパラガス・オフィシナリス種の植物である。しかし、本発明は、他の雌雄異株植物(アサ(Cannabis)、ディオスコレオフィルム・ヴォルケンシー、カラハナソウ属(Humulus)、カイノキ属(Pistacia)、イチイ属(Taxus)、及びカイノコソウ属(Valeriana)といった作物など)についても考えられる。
アスパラガスは、キジカクシ科クサスギカズラ亜科の属の一つである。この属は300にものぼる種を包含する。多くは、常緑性で長命な多年生植物で、リアナ、ブッシュ、又はつる植物として下層植生から成長する。最もよく知られている種は、広く単にアスパラガスと呼ばれる食用のアスパラガス・オフィシナリスである。本発明の目的は、通常は雌雄異株である種(例えば、これらに限定されるわけではないものの、A.aphyllus、A.stipularis、A.filicinus、A.schoberoides、A.kiusianus、A.oligoclonos、A.maritimus、A.inderiensis、A.officinalis(アスパラガス・オフィシナリス))又は通常は雌性両全性異株である種(例えば、これらに限定されるわけではないものの、A.plocamoides、A.altissimus、A.nesiotes、及びA.acutifolius)について、アスパラガス亜属(Norup等、2015、及び、その図3でのアスパラガス亜属クレードを参照)に属する、アスパラガス植物を交配選抜すること、又は、アスパラガス植物の性を変えることである。文中で『アスパラガス』又は『アスパラガス植物』に言及する場合、少なくとも上述のアスパラガス種の全て又は育種で用いられる対象であるクサスギカズラ属に属する任意のアスパラガス植物が包含される。
雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子及びアレルを含む核酸配列又は断片並びにGDS遺伝子及びアレルを含む核酸配列又は断片は、上述したようなGDSと、特に、配列番号1若しくは配列番号3又は当該遺伝子のスプライスバリアントで提供される配列と、好ましくは、モデレートなハイブリダイゼーション条件下で、又は、より好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、『ハイブリダイズ』する能力により定義してもよい。『ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件』は、少なくとも約25ヌクレオチドの、好ましくは、約50ヌクレオチド、75ヌクレオチド、又は100ヌクレオチドの、最も好ましくは、約200以上のヌクレオチドの核酸配列を、約65℃の温度で、約1Mの塩を含む溶液中で、好ましくは、6xSSC又は相応のイオン強度を有する他の任意の溶液中で、ハイブリダイズさせ、約65℃の温度で、約0.1M以下の塩を含む溶液中で、好ましくは、0.2xSSC又は相応のイオン強度を有する他の任意の溶液中で、洗浄する条件として本明細書では定義される。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、オーバーナイトで、即ち、少なくとも10時間行われ、好ましくは、洗浄は少なくとも2回洗浄液を交換して少なくとも1時間行われる。こうした条件は、通常、約90%以上の配列相同性を有する配列の特異的ハイブリダイゼーションを可能とするはずである。『モデレートなハイブリダイゼーション条件』は、少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは、約200以上のヌクレオチドの核酸配列を、約45℃の温度で、約1Mの塩を含む溶液中で、好ましくは、6xSSC又は相応のイオン強度を有する他の任意の溶液中で、ハイブリダイズさせ、室温で、約1M以下の塩を含む溶液中で、好ましくは、6xSSC又は相応のイオン強度を有する他の任意の溶液中で、洗浄する条件として本明細書では定義される。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、オーバーナイトで、即ち、少なくとも10時間行われ、好ましくは、洗浄は少なくとも2回洗浄液を交換して少なくとも1時間行われる。こうした条件は、通常、50%までの配列相同性を有する配列の特異的ハイブリダイゼーションを可能とするはずである。当業者であれば、50%から90%の間の相同性を有する配列を特異的に同定するために、これらのハイブリダイゼーション条件を調節することができるはずである。
本発明の重要な実施形態は、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下されている植物を準備する工程と、当該植物を、[1]近親交配、[2]戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は[3]半数体倍加系統育種技術に取り入れる工程と、を備える、雌雄異株植物における育種を改良する方法である。背景技術で示したように、雌雄異株植物の育種は、自家受精、戻し交配、及び種子繁殖の使用が制限されていたために、妨げられていた。GDS遺伝子の発現が破壊又は妨害されている本発明の植物の提供によりこの問題は解決される。なぜならば、これにより、何世代にもわたって同じ特徴を示す(true−breeding)親系統を生み出すために用いることができる両全株性の植物又は部分的に両全株性の植物の発育が可能となるからである。
本発明の特定の実施形態では、本発明に記載の『両全性形質』は、雌雄異株植物の、より好ましくは、アスパラガス植物の育種で、近交系を作るために用いられる。
原則的に、本発明に基づいた1種以上の近交系の作出は、以下の工程を含む。
[1]機能的雌蕊群と機能的雄蕊群の両方を持つ植物(以降、『両全性形質』を有する植物とも呼称する)をもたらす雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下された新規の両全性植物を作出する工程。こうした雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下された新規の両全性植物をどのように作出できるかについては、以下でさらに説明する。
[2]『両全性形質』を有する第1植物をを第2植物と交配させる少なくとも1回の交配により、『両全性形質』を有するハイブリッド植物を調製することにより、新規の両全性植物を調製する工程。
[3]工程[1]又は工程[2]で得られた植物の自家受精を促進し、その子孫から1つ以上の好ましい植物を選抜する工程。
[4]任意で、工程[3]で得られた植物を自家受精させる工程を1回以上繰り返し、その子孫から1つ以上の好ましい植物を選抜する工程。
[5]任意で、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能又は発現を十分に回復させることで、工程[3]又は[4]で得られた『両全性形質』を有する植物の性を変える工程。
本発明の特定の実施形態の一つでは、工程[2]の前述の新規の両全性植物は、『両全性形質』を有する第1植物を雌性の第2の植物と交配させ、その子孫から『両全性形質』を有する植物を選抜することにより、作出される。
本発明の別の実施形態では、工程[2]の前述の新規の両全性植物は、『両全性形質』を有する第1植物を『両全性形質』を有する第2の植物と交配させ、その子孫から『両全性形質』を有する植物を選抜することにより、作出される。
本発明のさらに別の実施形態では、工程[2]の前述の新規の両全性植物は、『両全性形質』を有する第1植物を雌蕊群発達の顕性抑圧因子がホモ接合していない雄性の第2の植物と交配させ、その子孫から『両全性形質』を有する植物を選抜することにより、作出される。
本発明の別の実施形態では、工程[2]の前述の新規の両全性植物は、『両全性形質』を有する第1植物を雌性発達の顕性抑圧因子がホモ接合又はヘテロ接合している雄性の第2植物と交配させ、その子孫から次の世代に『両全性形質』を導入する能力を有するだろう雄性植物を選抜する工程(a)と、工程(a)で得られた雄性植物を第1植物として雌蕊群発達の顕性抑圧因子がホモ接合していない第2植物と交配させ、『両全性形質』を有する植物を選抜する工程(b)とにより作出される。
この第1の実施形態には、GDS遺伝子及びTDF1遺伝子の両方の発現が共に破壊又は妨害されている本発明の雌性植物の提供が関連している。こうした植物は、この特定の雌性植物をピスティレートな(pistilate、雌蕊だけある)親として、GDS遺伝子及びTDF1遺伝子の両方を依然として含有する当該雌性植物の由来となった植物と交配させることを可能とするため、前述の問題を解決する助けとなり得る。こうした交配は、原則的に、何世代にもわたって同じ特徴を示す親系統を生み出すために用いることができる交配である。上記の実施形態に関するこの可能性は、GDS遺伝子が破壊又は妨害されている植物が両全株性の植物又は部分的に両全株性の植物の発育を可能とするかもしれないことを明確にするために言及されているが、特定の場合では、雌性植物の発育まで拡張される。
本発明のさらに別の実施形態では、両全性形質は戻し交配育種で開発される。特に、本発明は、同一遺伝子型の超雄植物を提供するために、ある『遺伝形質』を超雄植物の遺伝的背景に取り込む方法を提供する。ここで、超雄株は、雌性植物を受精させてもその直接のオフスプリングとして雌性植物をなすことができない植物と定義される。本発明によれば、超雄植物の第1度近親株と超雄植物との間の直接交配を行うことができるため、高度に同一遺伝子型の超雄植物を得ることができる。
従って、本発明は、第1度近親株及びその超雄親を直接交配させ、当該交配によるオフスプリングを得ることを可能とする方法を提供する。これは、以下の工程を含む方法を提供することにより実現される。
[1]ある『遺伝形質』(即ち、関心のある形質)を超雄植物の遺伝的背景に導入するための第1工程として、当該『遺伝形質』を有する第1植物を超雄株である第2植物と交配させ、その子孫から次の世代に当該『遺伝形質』を導入する能力を有する植物を選抜する事により、F1ハイブリッド子孫を調整する工程。
当業者であれば、工程[1]で、超雄植物の遺伝的背景に『遺伝形質』を導入する能力を有する植物の性が任意のものでよいことを理解できるだろう。しかし、第1植物が雄性である場合、第1植物及び第2植物の一方又は両方、即ち、工程[1]の交配で用いられる少なくとも一の植物が、種子繁殖の能力を有するものでなければならない。こうした種子繁殖の能力を有する植物は雌化されねばならない。こうした雌化植物は、『雄株から両全株への性転換株』又は『雄株から雄性両全性同株への性転換株』のいずれかである。そこで、こうした植物は、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能の破壊又は雌蕊群発達の顕性抑圧因子の発現の低下の結果によるものでもよいし、あるいは、雄蕊群発達の刺激因子もその発現が破壊又は低下されている植物での雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能の破壊又は雌蕊群発達の顕性抑圧因子の発現の低下の結果による雄株から雌株への性転換株である。
当業者であれば、工程[1]で用いられる第1植物及び第2植物の一方又は両方が、本発明による雌化とは異なり、天然の両全株性又は雄性両全性同株性を示すため、これまで本分野では不可能とされていた、超雄植物へある『遺伝形質』を直接に導入する能力を有する雄性植物を交配させることによりF1ハイブリッドを作る方法を本発明が提供することを認識できるだろう。当業者であれば、第1工程で『子孫』が『次の世代に当該「遺伝形質」を導入する能力を主として有する植物』から得ねばならないと記載されていることから、工程[1]で植物が雌化されているか否かは特別に記載する必要がないことを認識できるだろう。しかし、当業者であれば、工程[1]で第1植物として『遺伝形質』を導入する能力を有する雄性植物を用いる能力、即ち、柔軟性の価値を十分に理解できるだろう。
[2]第2工程(BC1又はバッククロス1)は、工程[1]で得られたハイブリッドを工程[1]で用いた超雄株と同一又は類似の遺伝子型の第2植物と交配させ(但し、第1植物及び第2植物の両方又は一方、即ち、工程[2]のこの交配の少なくとも一の植物は、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能の破壊又は雌蕊群発達の顕性抑圧因子の発現の低下の結果により、好ましくは一時的に、雌化されている)、そのBC1子孫から、次の世代に『遺伝形質』を導入する能力を主として有し、且つ、機能的な雄蕊群を有する植物を選抜する工程である。
[3]任意に、工程[2]で得られたハイブリッドが工程[1]で最初に用いた超雄植物と十分に同一遺伝子型であることを保証するために、工程[2]を1回又は『n』回繰り返し、その子孫から、次の世代に『遺伝形質』を導入する能力を主として有し、且つ、機能的な雄蕊群を有するBC2又はBCn植物を選抜する工程。
[4]任意に、工程[1]、工程[2]、又は工程[3]で得られた植物BC1、BC2、又はBCn(但し、BCnはn世代を経た後の高次世代の戻し交配を表す)において、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能を、好ましくは一時的に、破壊させ、又は、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の発現を低下させ、自家受精促進し、その子孫から、『遺伝形質』がホモ接合性であり、且つ、超雄性を示す植物を選抜する工程。
[5]任意に、『遺伝形質』がホモ接合性であり、且つ、超雄性を示す植物を選抜するために、工程[1]、工程[2]、又は工程[3]で得られた植物の倍加半数体を得る工程。
[6]任意に、工程[2]、工程[3]、又は工程[4]で得られた植物の雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能又は発現を、当該植物の『両全性形質』がもはや次の世代に導入されず、超雄株となるように、好ましくは、『遺伝形質』がホモ接合である超雄株となるように、回復させる工程。
当業者であれば、[2]、[3]、又は[4]、さらには、[5]で得られた植物の家系において、次の世代への『両全性形質』の望まぬ導入をまねくかもしれず、そして、回復されて(即ち、非両全株又は非雄性両全性同株でみられるような雌蕊群発達の抑圧因子の少なくとも十分なレベルと共通するほど回復されて)雄性形質となってしまう、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の、一時的ではなく恒久的な機能欠損、又は、一時的ではなく恒久的な低下発現が導入された場合、この工程[6]が必須となるはずであることを理解できるだろう。
当業者であれば、第1度近親株及びその超雄親を直接交配させ、当該交配によるオフスプリングを得ることを適用するこの方法が、これまで不可能であったことを理解できるだろう。遺伝形質を超雄株に導入する従来の方法では、『遺伝形質』を有する第1植物と第2の『超雄』植物との交配により、『遺伝形質』を有する植物の間でハイブリッドを作ることができた。しかし、結果として生じるハイブリッドは、雄性となり、以降の世代で超雄反復親と直接的に交配することは決してできなかった。代わりに、当該ハイブリッドと雌性植物を先ず追加で交配させ、その後、この交配から生じた、『遺伝形質』を維持している次のハイブリッドを、雌親として、超雄反復親と再び交配できるようにすることが行われていた。本発明により提供される方法では、超雄株と第1度近親であるハイブリッドは、当該超雄株及び当該ハイブリッドの一方又は両方が、『雄株からの性転換両全株』、『雄株からの性転換雄性両全性同株』、又は雌化形質を有する『雄株又は雄性両全性同株からの性転換雌株』となるはずなので、以降の世代で超雄株と常に直接的に交配できる。
第1度近親株及びその超雄親を直接交配させ、当該交配によるオフスプリングを得ることが不可能なはずであるという原則の例外として、第1度近親株又は超雄株のいずれかが『天然の両全株性又は雄性両全性同株性』を有する場合が挙げられよう。こうした『天然の両全株性又は雄性両全性同株性』は、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の破壊又は低下発現の結果ではなく、天然に生じた、未知の、雌蕊群発達抑圧因子GDSではない『変更遺伝子』の結果によるものである。こうした変更遺伝子については、これまでの段落の数々で概説した文献で示されているように、本分野でその存在が推測されてきたものであり、本発明により提供された同一遺伝子型の超雄株を作出するためのツールとしての『両全性形質』とは異なるものである。
雌性抑圧因子、即ち、雌蕊群発達の抑圧因子の発現に関与するGDS遺伝子の操作は、様々な方法で実現できる。GDS遺伝子は、遺伝子の仮説のcDNA(配列番号1)により表される。
ATGTCTGAAGCCTGGGTTTCTCGATTGACATCGGATATAGGGTGGCTCAATAGCACAAATGCCCTGATGGCGGAGGCCTGGAGTCGTCATTCAATCTACGACGTACCAGACACATTCAAAAGGATTAGCCCACAGATCCATAAGCCATCAACGTGCAGCATTGGACCACGGTACAATGGAGATCTGAATCTCCTTCGTATGGAACGTCATAAACACAGGGCGCTACTGAACTTCCTCATCCGATGTCAAGTGTCGATCCATGACATCATACGAGCCCTGAGGAAGAACCTGCACGATTTCAGAGCCTGCTATCAAGATCTTGACACCTTTTGGATGAAGAATGATGATGAGTTCCTAAAAATCATGATTTACGATGGGGCTTTCATGATTGAAATCATGATAGCGACCGTTGAACCATATGAGCGCACACCTTCTAGCTATCATGCCAAGGACCCAATATTCAAGAAGCCATACTTGGTCGAAGATCTTCGTGTAGATATGCTCAGGTTGGATAATCAAATTCCAATGAAGGTCCTGGAGATATTGTCTAAATTCTGCAAGAACAAGATCCAAAGCATTCATCAGCTGATCAGACATTTCTTCTTCCGCAAATATGAAGAGGGAAGATATGATATTAGCCAAACCTCTACGATATTTCACCTACCCGAGATAACAGGGCATCACCTACTGGATGTGTACAAAAAAACTCTTATACAGCATGGAGGTTATCATCACACCAGCAGTCGCCAACCACTATCGGCAGTTGAACTACAGGAGGCGGGCGTAATTTTCCAGTGCAGTGAAACGCTGTCATTGACAGATATATGCTTCACCAAAGGTGTCCTTTGCCTACCTGCAGTCGACGTTGACGAAGCATTTGAAGTTGTTATGCGGAATCTCATTGCCTATGAGCAAGCACATGGCGAAGGTCAAGAGGTAACATCCTATGTGTTTTTTATGGATGGCATTGTAAACAATGACAAAGATATTGCCTTGCTTCGAGAGAAGGGTATTATCAGGTCGGGGGTAAGCAGTGATAAGAGGATAGCCGATCTTTTTAATGGACTGACAAAAGGTATAGTTGCAAAAGTTGTCGACAATGTTGATGTTGATGTAACCAAGGACATCAATGAGTATTGCAATAGAAGATGGAACAGGTGGCAAGCCAACTTTAAGCAGAGATACTTTGCGAATCCATGGGCCTTTCCCGGGATTCATAAATGTTGATCTCAACGGTAGGGTTTCGTGCTGGGGTTTGAGTATCTGTGGAGCATTTAGTGTGAGAAAACTGTGCTTAATTTCGCTTCTCCACTATGAGAGTGGAGGAGCACAACTAATGGTATCCAGTGTAAATTTAACTCTTTGTTTGTGGCTTGAGAACAACATGTTCTTTATATAGCCTTTGACAATGTAATAGATAACATCAACTTCTTTGATACATACTAGCGATATTAGCATCCAAAAAAAAAA
このcDNAは以下のタンパク質に翻訳される。
MSEAWVSRLTSDIGWLNSTNALMAEAWSRHSIYDVPDTFKRISPQIHKPSTCSIGPRYNGDLNLLRMERHKHRALLNFLIRCQVSIHDIIRALRKNLHDFRACYQDLDTFWMKNDDEFLKIMIYDGAFMIEIMIATVEPYERTPSSYHAKDPIFKKPYLVEDLRVDMLRLDNQIPMKVLEILSKFCKNKIQSIHQLIRHFFFRKYEEGRYDISQTSTIFHLPEITGHHLLDVYKKTLIQHGGYHHTSSRQPLSAVELQEAGVIFQCSETLSLTDICFTKGVLCLPAVDVDEAFEVVMRNLIAYEQAHGEGQEVTSYVFFMDGIVNNDKDIALLREKGIIRSGVSSDKRIADLFNGLTKGIVAKVVDNVDVDVTKDINEYCNRRWNRWQANFKQRYFANPWAFPGIHKC
代わりに、ゲノム配列の解析法に依存して、本遺伝子のcDNAは、図3に列記した5つの別の遺伝子配列によっても表される。また、これらの配列は、配列番号1の、『スプライスバリアント』又は『スプライシングバリアント』又は相同アスパラガス配列(M4及び3098など、実施例1参照)として、本出願において、同定された。さらに、これらの配列が図13に列記したゲノム配列に由来することも記すべきであろう。
本出願で用いられる『GDS遺伝子』という用語は、図13のゲノム配列に由来し得る、機能的雌性抑圧因子をコードする又はホモロガス/オルソロガス遺伝子をコードする全てのスプライスバリアント(配列番号1を含む)及び全てのゲノム配列(イントロンを含む)を包含すると思料される。この遺伝子又はそこから転写されるmRNAを標的とした任意の遺伝子構築物は、好ましくは、エクソン1、エクソン2(若しくはエクソン3)、又はDUF247ドメインを標的としている。DUFドメインについては、正確なコンセンサスは得ることができない。EMBL−EBIのDUF247の定義によれば、このドメインは、ファミリーの定義を構築するためのシードとして用いられた以下のデータベース配列により特徴づけられている。
#=GS Q9SJR2_ARATH/47-434 AC Q9SJR2.1
#=GS Y3720_ARATH/48-447 AC Q9SD53.1
#=GS Q8L703_ARATH/63-464 AC Q8L703.1
#=GS Q9FK84_ARATH/46-474 AC Q9FK84.1
#=GS Q9FK85_ARATH/33-422 AC Q9FK85.1
#=GS Q01J11_ORYSA/116-543 AC Q01J11.1
#=GS Q9SNE9_ARATH/180-572 AC Q9SNE9.1
#=GS Q5XVA4_ARATH/115-523 AC Q5XVA4.1
#=GS Q9SN03_ARATH/92-493 AC Q9SN03.1
#=GS A0MF17_ARATH/106-485 AC A0MF17.1
#=GS A0MF16_ARATH/141-548 AC A0MF16.1
#=GS Q6ZC88_ORYSJ/184-584 AC Q6ZC88.1
#=GS Q0ISB3_ORYSJ/59-439 AC Q0ISB3.1
#=GS Q2QQW6_ORYSJ/36-452 AC Q2QQW6.1
#=GS Q2QQW3_ORYSJ/44-442 AC Q2QQW3.1
#=GS Q2R303_ORYSJ/44-473 AC Q2R303.1
#=GS Q1RU73_MEDTR/31-462 AC Q1RU73.1
#=GS Q6YPE9_ORYSJ/42-450 AC Q6YPE9.1
#=GS Q6YRM8_ORYSJ/34-376 AC Q6YRM8.1
#=GS O22159_ARATH/86-487 AC O22159.2
#=GS Q5S4X4_ARATH/111-507 AC Q5S4X4.1
#=GS Q6E287_ARATH/8-398 AC Q6E287.1
#=GS Q8VYN0_ARATH/16-440 AC Q8VYN0.1
#=GS Q1ZY19_BETVU/30-415 AC Q1ZY19.1
#=GS O49393_ARATH/295-669 AC O49393.2
#=GS Q9LFM8_ARATH/35-411 AC Q9LFM8.1
#=GS Q65XU3_ORYSJ/66-531 AC Q65XU3.1
#=GS Q65XU0_ORYSJ/49-551 AC Q65XU0.1
#=GS Q65XT8_ORYSJ/62-514 AC Q65XT8.1
#=GS Q9FP37_ORYSJ/53-496 AC Q9FP37.1
#=GS Q6ZKD8_ORYSJ/79-483 AC Q6ZKD8.1
#=GS Q69TN1_ORYSJ/150-572 AC Q69TN1.1
#=GS Q7XDW8_ORYSJ/117-510 AC Q7XDW8.1
#=GS Q0J689_ORYSJ/12-411 AC Q0J689.2
#=GS Q0J2S9_ORYSJ/46-452 AC Q0J2S9.1
#=GS Q0J2T1_ORYSJ/42-479 AC Q0J2T1.1
#=GS Q651E4_ORYSJ/52-471 AC Q651E4.1
#=GS Q2QPY1_ORYSJ/9-413 AC Q2QPY1.1
#=GS Q2QPX9_ORYSJ/148-562 AC Q2QPX9.1
#=GS Q656Q9_ORYSJ/57-451 AC Q656Q9.1
#=GS Q94D69_ORYSJ/72-478 AC Q94D69.1
#=GS Q94D66_ORYSJ/18-428 AC Q94D66.1
#=GS Q6ET10_ORYSJ/21-420 AC Q6ET10.1
#=GS Q8LJD1_ORYSJ/36-407 AC Q8LJD1.1
#=GS Q60E19_ORYSJ/30-431 AC Q60E19.1
#=GS Q10RD5_ORYSJ/49-462 AC Q10RD5.1
#=GS Q6H4T3_ORYSJ/102-533 AC Q6H4T3.1
#=GS Q6K301_ORYSJ/128-542 AC Q6K301.1
既に上述したように、GDS遺伝子のコード配列又は発現の変化を介して雌蕊群発達の抑圧をもたらす様々な変異体が作出されている。第1の実施形態では、雌性抑圧因子標的遺伝子の干渉はその転写を防ぐことからなる。これは、例えば、標的遺伝子プロモーターに向けたRNAオリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、又はRNAi分子により実現できる。
上述の遺伝子発現の阻害は、好ましくは、阻害化合物を発現する能力を有する構築物を持つ植物を提供することにより達成される。遺伝子発現の阻害は、雌性抑圧因子標的遺伝子由来のタンパク質及び/又はmRNA産物のレベルでの欠如(又は観察可能な減少)を指す。阻害の特異性は、細胞の他の遺伝子への顕在効果なく、雌性抑圧因子標的遺伝子を阻害する能力を指す。阻害の結果は、細胞又は生物の外的形質(本発明の具体的な例では、性表現型)の調査、又は、生化学的技術(RNAソルーションハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼプロテクション、ノーザンハイブリダイゼーション、逆転写、マイクロアレイによる遺伝子発現のモニタリング、抗体結合、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)、他のイムノアッセイ、及び蛍光活性化細胞解析(FACS)など)により、確認することができる。基本的に、現時点で、4種の阻害法、アンチセンス発現、センスコサプレッション、RNA阻害(RNAi)及びCRISPR−Cas又はCRISPR−Cpf介在遺伝子サイレンシングが知られており、本出願にもこれらは包含される。しかし、本発明はこれらの方法に限定されるわけではなく、内因性の雌性抑圧因子のサイレンシングを引き起こす任意の他の方法も包含される。
アンチセンス発現の場合、雌性抑圧因子遺伝子のヌクレオチド配列、又は、少なくとも19ヌクレオチドからなるその一部、通常は、少なくとも21ヌクレオチド以上からなる一部、より好ましくは、GDS領域が、アンチセンス方向で構成的又は性的器官特異的プロモーターの下流に置かれる。このヌクレオチド配列の転写後、内因性雌性抑圧因子遺伝子の転写により形成されるmRNAと相補的なmRNAが作られる。こうしたアンチセンスmRNAの産生が、それが相補的な遺伝子の内因性発現を阻害することができることは、今やよく実証されている。さらに、この効果を得るために、100%未満の相同性の配列であってすらも有用であることが実証されている。また、阻害すべき内因性mRNAよりも短いアンチセンスmRNAも用いることができる。一般的に、70%以上の相同性を有する23ヌクレオチド以上のmRNA配列が阻害効果を生じる能力を有するはずであることが認められている。主な特許文献としては、Calgene社の欧州特許第240208号明細書が挙げられる。アンチセンス技術の実効性は疑う余地がない。この方法は、良く確立されており、世界中の研究室で日常的に用いられており、それが用いられた製品が市場に登っている。
第2のアプローとはセンスコサプレッションと広く呼ばれている。この減少は、雌性抑圧因子遺伝子又は当該遺伝子の一部がそのセンス方向に発現するときに生じる。この種の発現は全長遺伝子が用いられるときにその遺伝子の過剰発現を殆どの場合もたらすものの、幾つかの場合、特に、全長よりも短い配列が用いられる場合、この遺伝子又は断片の発現が内因性遺伝子の阻害を引き起こすことが発見されている。センスコサプレッションに関する主な特許文献としては、DNA Palnt Technology社名義の欧州特許465572号明細書が挙げられる。
センス及びアンチセンス遺伝子調節はBird及びRayによってレビューされている(Gen. Eng. Reviews 9:207−221、1991)。遺伝子サイレンシングは、全体若しくは一部を含み又はトランケート型配列であってもよく、センス方向でもアンチセンス方向でもよい標的雌性抑圧因子遺伝子コード配列の余分なコピーを標的生物のゲノムに挿入することにより得ることができる。付加的に、ゲノム遺伝子配列から得ることができるイントロン配列をサプレッションベクターの構築に用いることもできる。配列が同じなのがプロモーター領域のみである導入遺伝子及び内因性遺伝子の両方を持つ生物内でも遺伝子サイレンシングが実現されたという報告もある。
遺伝子をサイレンスする3つ目の方法は、いわゆるRNAi技術を用いたものであり、これは、内因性遺伝子のサイレンシングを実現するために二重鎖RNAが用いられる全ての用途をカバーする。Fire等(Nature、391: 806−811、1998)により示されたように、一本の鎖が内因的に作られたmRNAと少なくとも部分的に相補的であるdsRNAは、細胞内で産生させるか細胞外から添加してやると、そのmRNAのタンパク質への翻訳を阻害する能力を有すること甚だしい。この現象は、dsRNAの短いストレッチ(23ヌクレオチド長)が中間的に作られることを介して機能すると考えられている。dsRNAの産生を実現するために、サイレンスする必要がある内因性遺伝子と一方が相補的な、少なくとも19ヌクレオチド、通常は、23ヌクレオチド以上の、センス及びアンチセンスの両方であるヌクレオチド配列(まとめて逆向き反復配列とも呼ばれる)を宿す構築物が作られる。センス及びアンチセンスヌクレオチド配列は、センス及びアンチセンス配列により二重鎖RNAが形成されるように形成後のRNAの折り畳みを許容する任意の長さのスペーサーヌクレオチド配列を介して接続され得る。そして、このスペーサーは、センス及びアンチセンス配列の両方を接続するヘアピンループを形成する役割を果たす。センス及びアンチセンス配列の順番は重要ではない。単一の同じ構築物中に1つ以上のセンス・アンチセンスの組を組み合わせることも可能である。単純な形を示せば、prom−S−spac−AS−termとなるが、prom−S1−spac−AS1−spac−S2−spac−AS2−termやprom−S2−spac−S1−spac−AS1−spac−AS2−termといった構築物も可能である。構築物の転写産物が1つ以上のdsRNAをもたらす限り、構築物のビルドアップとしては様々なものが可能である。この代わりに、細胞中でRNA二本鎖形成が生じる相補的なRNA鎖をコードする2つの別々の構築物により二重鎖構造を形成することもできる。これらの構築物は、略記法によれば、prom1−S1−term1及びprom2−AS1−term2というようになる。prom1及びprom2は、同じでも異なってもよいが、両者は、構成的又は果実特異的プロモーターであるべきであり、term1及びterm2は同じでも異なってもよい。両方の構築物は、細胞内に同じベクターに載せて導入できるが、2つの異なるベクターを用いて導入することもできる。
標的雌性抑圧因子遺伝子の一部に一致するヌクレオチド配列を有するRNAは阻害に好ましい。標的遺伝子に対して、挿入、欠失、及び単一点変異を有するRNA配列も、阻害に効果的であることが分かっている。そこで、100%未満の配列相同性を有する配列を用いてもよい。配列相同性は、配列比較と本分野で周知のアライメントアルゴリズム(Gribskov及びDevereux、Sequence Analysis Primer、Stockton Press、1991、及び当該文献中の参考文献を参照)により、例えば、BESTFITソフトウェアに実装されているSmith−Watermanアルゴリズムをデフォルトのパラメーターで用いることより(例えば、University of Wisconsin Computing Group)、計算できる。そこで、RNAの二本鎖領域は、標的遺伝子転写物の一部にハイブリダイズする能力を有する(二本鎖)ヌクレオチド配列として機能的に定義することもできる(例えば、ハイブリダイゼーションの条件としては、400mM NaCl、40mM PIPES pH 6.4、1mM EDTA、50℃から65℃、12−16時間のハイブリダイゼーション、及びその後の洗浄などが挙げられる)。同一ヌクレオチド配列の長さは、少なくとも23ヌクレオチドであるべきだが、好ましくは、40、50、100、200、300、又は400塩基より長い。
本明細書で開示したように、阻害構築物と標的内因性遺伝子との間の100%の配列相同性は、本発明を実施するにあたって、必要ではない。そこで、本発明は、遺伝子変異、系統多型、又は進化的分岐により考えられ得る配列多様性を許容することができるという利点を有する。
そこで、本発明は、性的器官特異的プロモーターの制御下にあるヌクレオチド配列(但し、当該配列は、配列番号1の配列の、又は、当該配列と70%を超える、好ましくは、80%を超える、90%を超える、95%を超える、又は98%を超える同一性を有する配列の、19ヌクレオチド以上の一部を、センス方向で、アンチセンス方向で、又は逆向き反復配列の形態で含む)を有する構築物を包含する。
本発明に係る方法で使用するための組換えDNA構築物は、当業者にとって周知の組換えDNA技術を用いて構築できる。組換え遺伝子構築物は、植物への形質転換に適しており、且つ、形質転換細胞での遺伝子産物の発現に適しているベクター(市販のものでもよい)に挿入されてもよい。好ましくは、アグロバクテリウムを用いた植物形質転換に役立つバイナリーベクターが用いられる。
この代わりに、標的遺伝子プロモーターで働くネガティブに働く転写因子の発現により転写を防ぐことも挙げられる。こうしたネガティブに働く転写因子は天然のものでも人工的なものでもよい。ネガティブに働く人工的な転写因子は、一般的な転写抑制因子に結合された改変ポリダクチルジンクフィンガー転写因子の過剰発現により、採用できる。さらなる実施形態によれば、標的遺伝子との干渉は、標的遺伝子mRNAの不安定化、特に、アンチセンスRNA、RNAi分子、ウイルス誘導性遺伝子サイレンシング(VIGS)分子、コサプレッサー分子、RNAオリゴヌクレオチド、及びDNAオリゴヌクレオチドからなる群より選択される標的遺伝子mRNAと相補的な核酸分子による不安定化からなる。別の実施形態では、標的遺伝子との干渉は、標的遺伝子発現産物の阻害からなる。これは、1つ以上の顕性ネガティブ核酸構築物の発現産物、標的遺伝子産物と干渉する1つ以上の抑圧因子の過剰発現により、又は、1つ以上の化学化合物により、実現できる。部位特的変化を(真核生物の)遺伝子の転写に導入する新しい方法としては、最近記述されたCRISPR−Cas遺伝子改変相同組換システムの変法によるものが挙げられる。この変法は、エンドヌクレアーゼ活性を失っているものの、gRNAと共発現されるときに、転写伸長、RNAポリメラーゼ結合、又は転写因子結合に特異的に干渉する能力を維持しているCas酵素の使用を必然的に伴う。このシステムは、CRISPRiとしても示されている(Qi LS等、Cell 2013;152:1173−1183;Larson、MH等、2013、Nature Protocols、8:2180−2196;Amelio,I.及びMelino G.、2015、Cell Death&Differentiation、22:3−5)。
上述のシステムは、全て、発現に対して働くシステムであり、発現の基となる遺伝子の遺伝子配列を変化させはしない。この点で、これらのシステムは、発現の抑圧が必要なとき又は発現の抑圧がもはや必要ではなくなったときに、折々、スイッチをオンにしたりオフにしたりすることが比較的容易である。こうしたスイッチは、例えば、サイレンシングシステムの構成要素の一つ又は全ての発現を特定の時間又は位置拘束プロモーターの制御下に置くことにより好適な影響を受け得る。こうしたプロモーターは、植物の発育の特定の段階の間に、又は、植物の特定の器官内でのみ発現するプロモーターであってもよい。こうした例としては、例えば、着花の間に、又は、植物の生殖器官内で特異的に発現する遺伝子のプロモーターが挙げられる。別の実施形態では、誘導性プロモーターを用いてもよい。誘導性発現を植物に導入するシステムは広く知られている(例えば、Borghi L、2010、Methods Mol Biol.、655:65−75)。これらのシステムでは、外因性因子、例えば、アルコールやデキサメタゾンなどの化学化合物の添加により、発現の開始又は破壊を誘発させることができる。
遺伝子の発現の変化に加えて、遺伝子自体を機能的タンパク質がもはや発現しないように変更することもできる。これは遺伝子を変異させることにより実現できる。1つ以上の変異が、1つ以上の化学化合物及び/又は物理的手段及び/又は遺伝要素の挿入により無作為に導入できる。適切な化学化合物としては、エチルメタンスルホネート、ニトロソメチルウレア、ヒドロキシルアミン、プロフラビン、N−メチル−N−ニトロソグアニジン、N−エチル−N−ニトロソウレア、N−メチル−Nニトロ’’ニトロソグアニジン、ジエチルサルフェート、エチレンイミン、アジ化ナトリウム、ホルマリン、ウレタン、フェノール、エチレンオキサイドが挙げられる。使用可能な物理的手段としては、UV照射、高速中性子曝露、X線、及びγ線照射が挙げられる。遺伝要素としては、トランスポゾン、T−DNA、又はレトロウィルスエレメントなどが挙げられる。
より効率的な標的技術は、いわゆる部位特異的変異誘発技術によるものである。部位特異的変異誘発(SDM)のための多くのシステムが当業者にとって周知であり、最も有名なのは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENs)及びLAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼ(Curtin S.J.等、2012、The Plant Genome 5:42−50)などのヌクレアーゼ系SDMシステムである。
SDMの別の技術は、標的遺伝子との相同組換えに基づいている。最も古い方法として、広範に記述されてきたCre−Loxシステムが挙げられる。既に、少し前に、Bundock等(国際特許出願公開第02/052026号明細書)及びProkopishyn等(国際特許出願公開第03/062425号明細書)により、モデルが提起されている。ごく最近、上述のCRISPR−Casシステムが、植物の相同組換えに基づくSDMで極めて有効であることが実証された(国際特許出願公開第2014/144155号明細書)。
導入部で述べたように、熟練の育種者(特に、雌雄異株植物の、より具体的には、アスパラガスの育種者)は、植物での雄蕊群発達を可能とすることにも興味を抱くだろう。雌性植物で雄蕊群発達を可能にすると実質的にその性が変わるが、これにより、本来は雌性の植物から他家受粉なしで(即ち、自家受精により)種子を得ることが可能となり、また、こうした植物からインビトロ雄性発生により倍加半数体を得る能力が提供されると考えられる。雄蕊群発達又は雄蕊群発達抑制は、顕性雄性刺激因子を産生する遺伝子の発現を調節することにより誘導することができる。
この顕性雄性刺激因子(雄蕊群発達刺激因子又は葯発達刺激因子とも呼ぶ)は、シロイヌナズナ(AT3G28470)及びコメ(osTDF1、LOC_Os03g18480)で見つかったTDF1(defective in Tapetal Development and Function)遺伝子と同じ遺伝子、又は、TDF1遺伝子のホモログ又はオルソログである遺伝子によりコードされているタンパク質である。好ましくは、この機能を持つタンパク質は、配列番号5に記載のアスパラガス・オフィシナリス由来のTDF1オルソログによりコードされる。
核酸配列の機能的ホモログは、本明細書では、配列番号5に記載のアミノ酸配列をコードする配列と高い相同性を有する、好ましくは、配列番号4の核酸配列と高い配列相同性を有し、葯をつけない雌雄異株植物で発現されたとき、葯形成を誘導する能力を有すると予期される核酸配列として定義される。
これらの配列とシロイヌナズナ及びコメの配列との配列比較から、タンパク質のいわゆるR2及びR3ドメインが本発明に必要な機能性をもたらすドメインであることが明らかとなった。そこで、雌雄異株植物で発現させたときに機能的であると考えられる、TDF1遺伝子のR2及びR3ドメインを含む任意のタンパク質配列、及び/又は、こうしたタンパク質配列をコードする任意のヌクレオチド配列が、本発明に包含される。特に好ましいのは、タンパク質の最初の125アミノ酸に存在する配列番号5に記載したアスパラガス・オフィシナリスTDF1遺伝子のR2及びR3ドメインを含む配列である。好ましくは、当該R2及びR3ドメインは、aa14のあたりからaa57(R2)及びaa70のあたりからaa112のあたり(R3)で見つかるはずである。
これらのヌクレオチド配列及び/又は核酸配列を、雌雄異株植物、好ましくは、アスパラガスの育種で用いる方法については、上述している。
本発明のさらなる実施形態は、処理により予期される性質を植物が有することを検出する方法である。処理が顕性雌蕊群発達抑圧遺伝子の発現を減少させることからなる場合、植物が(より)雌化されたか否かを調べるべきである。これは、表現型を評価することにより、即ち、植物が成熟するのを待ち、雌化の表現型特徴が現れるか否かを確認することにより、行うことができる。しかし、より迅速でより信頼性の高い方法として、GDSマーカー支援選抜が挙げられる。GDSマーカー支援選抜でGDS遺伝子の機能欠損をまねくかもしれない変異が同定された場合、当該変異の導入は、以降の世代でGDSマーカー支援選抜により導かれてもよいし、M座位を間接的に確認できるようにGDS遺伝子の変異と十分に遺伝的に連鎖したマーカー(好ましくは、GDS遺伝子との遺伝的距離が50cM未満の、より好ましくは、40cM未満の、より好ましくは、30cM未満の、より好ましくは、20cM未満の、より好ましくは、10cM未満の、より好ましくは、5cM未満の、より好ましくは、2cM未満の、より好ましくは、1cM未満の)を用いるなどして、分子生物学的に確認することにより導かれてもよい。実施例で確立されたように、AO022、Asp1−T7、Asp2−Sp6、Asp4−Sp6、T35R54−1600seq、Asp80、Asp432/448、Asp446、10A3_forward marker及び10B6_forward marker、又はCE64/CE66−HRMなどの1つ以上のマーカーの存在により、どの遺伝子型が存在するか、ひいては、そこからどの表現型が生じるかが判別できる。本発明の実験部で用いたマーカーに加えて、任意のマーカーの由来とするために、又は、植物の遺伝子構造を決定するための分子系アッセイを開発するために、配列番号1又は配列番号3の遺伝情報を用いることもできる。さらに、代わりに、マーカーは、図13で示した、M−locus_scaffold4配列又はScaffold905に由来するものであってもよい。
一般的に、本発明に係る方法での植物の選抜と交配について、少なくとも1つの選抜工程での選抜を支援するためにマーカーが用いられる。本分野では周知であるが、ある形質又は状態を示すマーカーは、インビボ及びインビトロで異なる生物学的レベルで発見され得る。例えば、マーカーは、ペプチドレベル又は遺伝子レベルで発見され得る。遺伝子レベルでは、マーカーは、RNAレベル又はDNAレベルで検出され得る。好ましくは、本発明では、こうしたマーカーの存在は、上述のマーカーを用いて、DNAレベルで検出される。代わりに、GDS遺伝子の発現の変化が、当該遺伝子と特異的に結合するによるイムノアッセイを行うことにより、植物部分で評価され得る。また、以下の表3で記載のものなどのプライマーも、GDS遺伝子の増幅のために用いられ得る。当該遺伝子の存在は、この遺伝子の配列、例えば、配列番号1由来の配列と結合するプローブにより試験できる。さらに、本出願の実験部で用いられたマーカーなどの、コード配列の近傍でみつかるはずの特異的マーカーを使用することもできる。形質転換アプローチの場合、導入植物の選抜は、下記の選抜可能なマーカー又はレポーター遺伝子を用いることにより達成できる。
幾つかの場合、本発明の方法を一時的な発現を介して行うことが推奨され得るだろう。一時的な遺伝子発現、例えば、アグロ浸潤を介して実現されるものなどは、有用なタンパク質の高レベル発現への、迅速で、柔軟性があり、再現性のあるアプローチである。植物では、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の組換え系統が、細菌TiプラスミドのT−DNA領域に導入されている遺伝子の一時的発現のために用いられ得る。細菌培養を葉に浸潤させ、T−DNAが導入されると、植物細胞で関心のある遺伝子の異所的な発現がみられる。しかし、このシステムの有用性は、異所的なRNA発現が2−3日後には止まってしまうため、限られている。転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)がこの効率性の欠如の主な要因であることが示されている。ウイルスにコードされる遺伝子サイレンシングの抑圧因子であるトマトブッシースタントウィルス(TBSV)のp19タンパク質の共発現に基づくシステムは、浸潤組織でのPTGSの開始を防ぎ、高レベルの一時的発現を可能とする。ある範囲のタンパク質の発現は、p19の存在で50倍以上に増進されたので、ほんの100mgの浸潤葉材料からタンパク質精製を行うことができた。p19の使用が有利であることは明らかなものの、例えば、RNAi構築物及び/又はCRISPR−Cas構築物で用いられる断片及びホモログなどの候補断片及び機能的ホモログの機能性を試験するために、p19を用いないアグロ浸潤法を用いることもできる。
本発明のある特定の実施形態では、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の破壊又は減少された発現が回復されることが好ましい。植物に関して示されているように(Jiang等、2013、破壊されているGFPタンパク質がCRISPR−Casにより回復できたことが示されている)、こうした方法はCRISPR−Casによりもたらされ得るだろう。
さらに、本発明は、顕性雄性刺激因子の機能的発現が回復させられている植物を準備する工程と、当該植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統育種技術に取り入れる工程と、を備える、雌雄異株植物における育種を改良する方法を包含する。こうした機能的発現の回復は、当該顕性雄性刺激因子の機能的コピーによる補填により達成できる。
代替的実施形態では、本発明は、親植物の一方又は両方が、顕性雄性刺激因子の機能的発現の欠失が当該顕性雄性刺激因子の機能的コピーにより補填されている植物である、雌雄異株植物を自家受精させる方法を包含する。雌性植物が雄性顕性刺激因子の機能的コピーを付与されると、当該植物は、より雄らしくなり、そして、葯をつけるはずであり、そして、当該植物は、両全株になると思料され得る。上で議論したように、こうした両全性植物は本発明の方法で数種のやり方で用いることができる。
機能的顕性雄性刺激因子を付与された植物は葯をつけるので、本発明は、こうした機能的タンパク質を産生する能力を有する遺伝子を植物に付与する工程を含むインビトロ雄性発生を行う方法も指向する。こうした植物を作出するために、タンパク質をコードする核酸構築物又は当該タンパク質自身のいずれかを植物又は植物細胞に付与する全ての方法を用いることができる。こうした方法について上で簡単に記載したが、これらは当業者にとって周知である。
植物細胞に(組換え)核酸を導入できるやり方は複数あり、例えば、アグロバクテリウム媒介形質転換などがある。しかし、本発明を実施しようと思う場合、アグロバクテリウム感染に加えて、レシピエント植物へのDNAの効率的な送達のための他の手段もある。植物細胞へDNAを送達する適切な方法には、プロトプラストのPEG媒介形質転換、乾燥/阻害媒介DNA取り込み(Potrykus等、Mol.Gen.Genet.、199:183−188、1985)、エレクトロポレーション(米国特許第5384253号明細書)、炭化ケイ素繊維を用いた撹拌(Kaeppler等、1990;米国特許第5302523号明細書;及び米国特許第5464765号明細書)、及びDNA被覆粒子の加速(米国特許第5550318号明細書;米国特許第5538877号明細書;及び米国特許第5538880号明細書)などによるDNAの直接送達などによる、細胞にDNAを導入できる事実上任意の方法が包含されると考えられる。こうした技術の適用により、事実上任意の植物種由来の細胞が安定して形質転換され得、これらの細胞はさらに開発されて形質転換植物となり得る。
アグロバクテリウム媒介形質転換が用いられる場合、A281株又はその派生株又は本分野で利用可能な別の毒性株といった、アグロバクテリウム・ツメファシエンシスなどの実質的に有毒なアグロバクテリウム宿主細胞を用いることが好ましい。これらのアグロバクテリウム株は、virB、virC、及びvirG遺伝子を含有するTiプラスミドpTiBo542の毒性領域を起源とするDNA領域を含んでいる。アグロバクテリウム・ツメファシエンシスの毒性(vir)遺伝子産物はT−DNAのプロセシングとその植物細胞への転移を調整する。vir遺伝子発現は、virA及びvirGにより制御され、一方、誘導シグナルを認識すると、virAはリン酸化によりvirGを活性化する。同様に、virGは、virB、C、D、Eの発現を誘導する。これらの遺伝子はDNAの転移に関連するタンパク質をコードする。pTiBo542の増進された毒性は、このTiプラスミド上の超毒性virG遺伝子により引き起こされると考えられる(Chen等、Mol.Gen.Genet、230:302−309、1991)。
植物又は植物細胞への核酸の転移の後、当該核酸が付与されたのがどの植物又は植物細胞であるかを決定せねばならない。これは、分子マーカーとの配列アライメント又はPCR系技術などの分子アッセイ技術を用いて行うことができるが、例えば、選択可能なマーカー又はリポーター遺伝子を用いて達成してもよい。選択マーカー又は選択遺伝子の中で、植物形質転換で最も広範に使われているのは、欧州特許第131623号明細書で提案された、選択剤であるカナマイシンへの抵抗性を与える細菌性ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(nptI、nptII、及びnptIII遺伝子)、及び、欧州特許第186425で提案された、ハイグロマイシンへの抵抗性を与える細菌性aphIVである。欧州特許第275957号明細書は、除草剤であるホスフィノトリシンへの抵抗性を与えるストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)由来のアセチルトランスフェラーゼ遺伝子の使用を開示する。除草剤であるグリホサートへの相対的な抵抗性を与える植物遺伝子が欧州特許第218571号明細書で提案されている。この抵抗性は、N−ホスホメチルグリシンに対して比較的に耐性を有する5−エノールシキマート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)をコードする遺伝子の発現に基づいている。リシン、トレオニン、又はリシン誘導体であるアミノエチルシステイン(AEC)及び5−メチルトリプトファンといったトリプトファンアナログなどの幾つかのアミノ酸も、選択剤として用いることができる。この選択システムでは、選択可能なマーカー遺伝子の発現は、形質転換細胞による、選択下での当該形質転換細胞の増殖を許すアミノ酸の過剰発現をもたらす。レポーター遺伝子の適切な例としては、β−グルクロニダーゼ(GUS)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及び緑色蛍光タンパク質(GFP)が挙げられる。しかし、好ましくは、抵抗性遺伝子の存在が核酸系アッセイにより検査される、国際公開第03/010319号明細書に開示のものなどの、マーカーフリーアプローチが用いられる。
顕性雄性刺激因子(をコードする遺伝子)を導入する方法に加えて、このタンパク質の発現は上記のように阻害されてもよい。遺伝子発現の阻害又は遺伝子の破壊は、上で分類したような、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の阻害のための技術を用いて達成できる。上記のように、雌性抑圧因子の不活化に加えて、顕性雄性刺激因子の阻害は、雄性又は雄性両全性同株植物に由来する雌性植物をもたらすはずであるので、これも所望の雌化植物の例に含まれる。加えて、顕性雄性刺激因子の阻害は、除雄が必要な交配で除雄の代替法を提供するのに役立つかもしれない。
本発明はさらに以下の非限定的な実施例に例示される。
(実施例1)
(両全性変異体5375の遺伝分析)
ヘテロ接合雄株(XY)の葯培養の後に、Riccardi等(2010)は、雄株(YY)、雌株(XX)、及び、完全に両全性のクローンからなる希少例である『5375』遺伝子型を得た。全ての花が両性花であるこの遺伝子型は、雄花と両性花の割合が変動する雄性両全性同株遺伝子型とは別個のものである。完全に両全性のクローンは、成熟植物として、3季節連続で盛んな成長をみせ、この間に、その全ての花から漿果をつける能力を示したが、これは、イタリアのロジのCRA−ORL研究所でこれまで評価された全雄育種素材の着果と比べて類を見ないほど高度な着果であった。両全株5375を得るために使用する原材料としての役割を果たしたハイブリッド植物は、漿果をつける能力を有していない雄性植物であり、育種に用いた、葯培養のための元の植物は、好ましくは、極めて限られた着果を示すため、漿果が見過ごされた季節がある場合でも、その数はほんの僅かと考えられた。
アスパラガスでは、2つの連鎖遺伝子(A、F)での2つの顕性アレルが雄蕊群発達と雌蕊群発達の抑制とをそれぞれ制御するとの仮説が立てられていた(Bracale等、1990、Sex Plant Reprod.、3:23−30; Bracale等、1991、Plant Sci、80:67−77)。
Riccardi等(2010)が引用するこのモデルでは、雌株は『aaff』遺伝子型を有し、ヘテロ接合雄株は『AaFf』遺伝子型を有し、超雄株は『AAFF』遺伝子型を有する。Riccardi等(2010)は、『5375』のM座位内の組換え事象が、倍加半数体及びAAff遺伝子型を備える完全に両全性の植物を生み出したと推測した。この仮説を検証するために、数種の交配が計画され、開花について(雄花、雌花、又は両性花のいずれに分類されるか)の表現型検査及び伴性マーカーの分析の両方が行われた。高度に多様な単一座位マイクロサテライトマーカーのセットを用いることにより、特定の両全株『5375』が倍加半数体ではなく、実際は、高度にヘテロ接合性であることが後に示された。両全株『5375』は、稀な組換えが生じた花粉配偶子を起源とする倍加半数体ではなく、組織培養に用いた葯を提供したハイブリッドの体細胞クローンに相当するとの仮説が立てられた。結果として、遺伝子型『Aaff』がより適切と考えられた。このモデルの元で、この遺伝子型は、顕性雄蕊群発達遺伝子については通常の雄株で観察されるのと同様に『Aa』のヘテロ接合を維持し、さらに、特定の葯を提供したヘテロ接合雄株に元から存在する雌蕊群発達抑圧因子遺伝子が機能欠損変異により破壊されたため、顕性雌蕊群発達抑制因子遺伝子の2つの潜性アレル『ff』を備えている。図式で示せば、AfFf(変異)→Aaff、となる。
性染色体又は『M座位』と両全性形質との共分離を検証するために、伴性マーカーが用いられた。第1マーカーは、GenBank accession CV287860に由来する独占マイクロサテライトマーカー(AO022と示す)であり、以下の配列を有する。
GGCTCTTCTGGTTGGGATCAGTCATCGACTCAGCAAACTCAGCAAACTACTCCTGCAACTGGTTATGATTACTACAACCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCCACCAACATCAGCCCCAGCTGATAACACCAGCGCCTACAATTATTCCCAGCCTCATCCTGGTTATAGCTCTCAAGGTTCTTATACTGCTCAGCAGCCAACTTATGGTCAGGAAAACTATGCTGCTCCTGGTTATAACACTCAAACTCCCCAAACTGGTTATGATCAATCATACAATTCTGCACCTGCTTATGCTGGAGCTACCTCCACCAACCCCACTCAAGATGGATCTGCTGCATCCAATCAACCACCAAGCAGTGCTCCTGCTAGTTACCCCCCACAACCTGTGTACGGTGCACCTGCACCATTAACCCAACCCGGTTATGGACAGTCTCCTCAATCCCAGAAGCCACCGGCAACTCCGCCAGCTTATGCTCAAACAGGATATGGTACAAATACTGGATATGGTACACAGTACCAGCAGGTTCAGCCATATGGTGGGGGCCCACCAGCTGGCCAGGGAGGGTACGGTCAGCAGCAAGCATATGGTGATTCTTACGGCAGTGGTGGGTATTCCCAGCCACCGGCGTATGGGAGTGAGGGTGGTGCAGCTCCGGCGGCTCCTGGTGCAGTGACCAAGGCTTCTCCTCAGAGTTAGACGTGATGTATGGTAAGTTTTTGATGCGGTAGTTTTGCTTTAACACTTAGATTCCGGTAGAAGTTTAGATGTTGTAGTCTTGTGTTTTGCTCTGATTTGGTTTTGAATTTAGTAATGGTTTGTTAAGCTTTGTTGTTTCTGCGTGGGTGGAAATTCTGTATGTTTTCAAATTTGA
このマーカーは、育種集団及び研究集団でこれまで試験済みであり、M座位から0から5センチモーガンの間で変動する遺伝的距離に常にマップされてきた。第2マーカーは、Jamsari等(2004)が発表したAsp1−T7であり、以下の配列を有する。
GAGTCGACCTGCGGGCATGCAAGCTTGGCGTGAATACGTTGCTGNGGATTCTCAATATGCGAGGCATTTGGAAGCACCAAAATCCGCACCCTACCGAGTACCCAAATCAAACACTTTCCATGGTGCCTTTCCACTATCTTCCTCACAATGTAATCTTCTAGTGAAATAAATGCAGTTACCTCTGTTGAGAGAGTGGATAGCCTTCTCATCAAAGAGCTAGCAGTGTTCACCTACCCCCGTGCTACAATGTTCACCTACCCCCTGCTACAGTGTTCACCTGTCCCAAATAGTGTTCACCTGCCCCCATGAGAAAATTTATAAATATCCCCCTAAGTTTGATTTGTAAGGTATCTCATTAGCAGAGAGAGAAAGAGAAAGATACAGATATAAGTGATATCATTGAGAGGTCTTGAGAGAGAGTTTGTAAGAATTCTTGGAGAGTATATTGAACAAGAGAGGGGGGTCTCTTTTATCTTTATTTTTGTACCTCGAAAGGGATATAAAGGAATT
仮説の『Aaff』遺伝子型の証拠を見つけるために、数回の検定交配が行われた。第1家系(家系1Eと示す)では、両全株5375(Aaff)は自家受精するよう放任された。結果生じた家系1Eの子孫、いわゆる、『S1』又は『F2』は、両全株と雌株の両方を含むものの、雄性植物を含まなかった。この家系の花を分析し、着果(無昆虫条件の着果)を記録した。観察された両全株及び雌株の数は、それぞれ、166及び56であり、両全株性をもたらす一遺伝子性顕性遺伝子の場合に予期されるとおり、3:1の比率に従っていた。この家系の両全株の全てが、無昆虫条件下で、漿果をつけた。5375に由来する成熟両全性植物の茎の全ての花が、果実をつけ、そして、漿果をなしたこと、及び、全ての漿果が黒色の完全に発達した種子を含んでいたことは重要なので留意されたい。こうしたよく発達した種子は、雌性植物で通常観察されるものに匹敵する。両全株親植物5375のマーカー分析は、マーカーAO022について161/169遺伝子型(但し、161及び169はキャピラリー電気泳動システムでの推定断片サイズを指す)を示した。推定断片長さはキャピラリーシステム毎に変わるかもしれないが、当業者であれば、当該推定断片長さを相互に明確に区別できる。さらに、両全株5375はPCRマーカーAsp1−T7の存在を示した。観察された両全性形質はAO022マイクロサテライトマーカーと固く連鎖しているようにみえる。AO022−169アレルは、166の両全性植物のうち163からみつかり、58の雌性植物のうち53では欠如していた。この集団の全ての植物がAsp1−T7雄性マーカーで検査された。検査した166の両全株の全てがAsp1−T7雄性アレルを有していたが、検査した65の雌株の全てがAsp1−T7雄性マーカーアレルを欠如していた。家系1E植物の一部の結果を表1aにまとめる。
表1a:家系1E両全株5375(マーカーAO022について161/169遺伝子型を有し、鋳型DNAとして用いられた場合にAsp1−T7雄性検査用断片を示す)の自家受精から生じた家系の、花の表現型及びマーカーの分離について得られた結果。
組換え事象により生じたに違いないマイクロサテライトマーカーでの僅かな例外はあるものの、AO022−169アレル(161/161遺伝子型)及び顕性Asp1−T7雄性マーカーアレルを欠如している植物は、葯も欠如しており、そして、雌株であると結論できる。結果として、雌蕊群抑圧因子は両全株5375では失われており(そして、これにより、柱頭発達及び着果が可能となり)、一方、葯をつける能力は、交配で分離し且つ準備した遺伝子マーカーと連鎖しているヘテロ接合の状態に維持されたと推測できる。第2世代では、Aaffを示すマーカーAO022について161/169遺伝子型を有する26のF2植物の自家受精から得られた26のF3ファミリーがさらに表現型検査された。これらのファミリーの子孫は、各ファミリー毎に4から89個体の間で個体数に開きがあった。これらのF3ファミリーのうち3つを除く全体で、両全株及び雌株についてそれらの総数で589対193の分離が再び観察された。これは、再び、雌蕊群発達抑圧因子が欠如しているに違いない遺伝的背景で雄蕊群発達の顕性遺伝子が分離する両全株性をもたらす顕性遺伝子の場合に予期される3:1の比率であった。他の3つの(161/169−F2植物由来)F3ファミリーは、それぞれ18、20、及び11個体からなるが、両全株のみがみつかり、雌株はみられなかった。この特定の植物については、マイクロサテライトマーカーと性決定遺伝子との間で組換え事象が生じ、この特定の自家受精植物は、161/169遺伝子型を有するにもかかわらず、AAff遺伝子型をおそらく有するだろう。最大のファミリーのうち、10の植物がAsp1−T7断片の存在を検査されたが、実際に、これらの植物のいずれもが雄性Asp1−T7アレルを欠如していた。別の14のF3ファミリーは、子孫の個体数が8から88の間で開きがあり、AAffを示すマーカーAO022について169/169遺伝子型を有するF2植物の自家受精に由来するものであるが、総計で324の両全株同胞が生じ、雌性植物はみられなかった。家系1E F3交配の結果を表2に示す。
表2:F2ファミリーのAO022マイクロサテライトアレル及びAsp1_T7マーカーの結果及び植物表現型、並びに、これらの個別のF2植物から得られたF3での、雌株(F)及び/又は両全株(H)としたときの花(及び自然発生的な漿果の着果数)の表現型を示す。マーカーAsp1−T7について付されている『M』は、雄性特異的領域の検査用のPCR断片の存在を指す。交配1(5375自家受精=F2植物)。
第2家系(家系2Eと示す)では、雌性半数体倍加系統『5459』が両全株『5375』と交配された。上で提起した遺伝子モデルによれば、これは、5495×5375=aaff×Aaff、となる。マイクロサテライトマーカーAO022について、植物5495及び5375は、それぞれ、166/166及び161/169遺伝子型を示した。この検定交配の子孫2Eは、64の両全株、83の雌性植物を示し、雄性植物はみられなかった。これは、葯発達のための顕性遺伝子の分離と一致する、1:1の分離比と顕著な違いはない。さらに、この集団は、その子孫で分離しない雌蕊群発達抑圧の完全な欠如を示しており、これは、5375が雌蕊群抑制因子遺伝子の機能欠損について事実上ホモ接合性であることを示唆しており、そうでなくとも、少なくとも棄却するものではない。表現型分類及びマーカーの分離を表1bに示す。マーカーの結果は、交配1Eで既に観察されているように、AO022−169アレルが両性花形質に密接に連鎖していることを示す。AO022−169アレルは、64の両全株のうち60に存在し、83の雌性植物のうち82で存在しなかった。Asp1−T7について検査した植物の一部(11の両全株及び10の雌株)は、雄性アレルと両全性形質の完全な連鎖を示している。
表1b:家系2E雌株5459×両全株5375(AO022遺伝子型がそれぞれ166/166及び161/169であり、5375のみで、雌親には存在しない検査用雄性Asp1−T7断片を示す)の交配の子孫の花表現型及びマーカーの分離について得られた結果。
第3家系(家系3Eと示す)では、両全性植物『5375』は、除雄され、半数体倍加系統超雄株『1770』と交配された。この交配では、12のF1植物が得られた。異なる2つの遺伝子型『AaFf』及び『AAFf』が予期される12の植物の全てが、雄株であり、そのため、果実や種子をつけることができない。これは、雄性形質、雌蕊群発達の抑制因子が両全性形質に対して顕性であることを指し示している。そして、両全性形質、即ち、機能的な葯を有する植物が雄蕊群と種子を持つ果実とをつける能力が潜性であることが立証された。少数の植物が遺伝子型『AaFf』及び『AAFf』の両方を含み、実際に、『af』配偶子(共通雌株及びヘテロ接合性雄株から獲得できる)のみならず『Af配偶子』(両全株で典型的)がこの子孫の世代に寄与していることの証拠は、マーカー解析から得られる。倍加半数体1770は、マーカーAO022について166/166マーカー遺伝子型を有していた。表現型の結果及びマイクロサテライトマーカーの結果を表1cの示す。7のF1植物が、AO022マイクロサテライトマーカー161/166遺伝子型を示した。マイクロサテライトAO022アレル『161』と雌性表現型(家系1E及び2Eで確認)との間の遺伝的連鎖から、これらの植物又は少なくともこれらの植物の大部分は、雌性染色体遺伝子型『af』を有する両全株5375の母系配偶子及び『AF』を有する倍加半数体超雄株1770の父系配偶子から生じたに違いない。結果として、これらの植物は『AaFf』遺伝子型をおそらく有するだろう。残りの5つの植物は、AO022マイクロサテライトマーカー遺伝子型169/166を有しており、マイクロサテライトAO022アレル『169』と両全性表現型との間の連鎖から、これらの植物又は少なくともその大部分は、『Af』のアレルで両全性形質を引き起こす雄性染色体を持つ両全株5375の母系配偶子及び倍加半数体超雄株1770の父系『AF』配偶子から生じたに違いない。結果として、これらの植物は『AAFf』遺伝子型をおそらく有するだろう。そして、両全性形質、即ち、機能的な葯を有する植物が雄蕊群と種子を持つ果実とをつける能力が潜性であることが立証された。植物は、マーカーAsp1−T7について検査され、全ての植物が、この雄性特異的マーカーの雄性アレルを示した。
表1c:家系3EF1交配5375×(5375×1770)(遺伝子型169/166を有するF1植物が除雄された5375を受粉するために用いられた)において花表現型及びマーカーの分離について得られた結果。
表1d:家系3E疑似検定交配1800×選抜F1(5371×1770)(マーカーは1800(166/166)×選抜F1(169/166)と対応している)の花表現型及びマーカーの分離について得られた結果。
表1e:家系3E疑似検定交配1800×選抜F1(5371×1770)(マーカーは1800(HRM曲線『T欠失』)×選抜F1(HRM融解曲線WT)と対応している)の花表現型及びマーカーの分離について得られた結果。
家系3Eの次の世代で、疑似検定交配が行われた。交配5375×1770由来の単一の雄性植物が、そのAO022マーカー遺伝子型169/166のため選抜された。当該マーカー及び性決定遺伝子との間の連鎖から、これは遺伝子型AAFfを殆ど確実に有するはずである。この選抜植物は、マーカーAO022について166/166遺伝子型を有する倍加半数体雌性植物『1800』と交配された。式で表せば、1800×選抜F1(5375×1770)=166/166×169/166=aaff×AAFf、となる。このファミリーは、121の雄株対118の両全株に分離し、これは、顕性雌蕊群発達抑圧因子Ff対ffの分離から予期される1:1の比率と一致していた。また、これは、全ての同胞が、雄蕊群発達遺伝子についてヘテロ接合性『Aa』のはずであり、そのため、全てが葯を有すると予測する遺伝子モデルとも一致する。この疑似検定交配の24の植物の一部について、AO022マイクロサテライト遺伝子型が決定された。結果を表1dに示す。24の両全株のうち11が166/169遺伝子型を有していた。両全株の一つは、166アレルと雌蕊群発達抑制因子遺伝子との間の組換えによる可能性があるが、166/166遺伝子型を有していた。12の雄性植物の全てが166/166遺伝子型を有していた。これは、AO022マイクロサテライト父系マーカーアレル『166』(雄性祖父株1770起源)と雌蕊群発達抑制因子との連鎖を裏付ける。さらに、両全性祖父株のAO022169父系アレルに連鎖する雌蕊群発達抑制因子の欠如が雌蕊群発達を可能とすることが指し示される。
上述の交配の全てから、観察された分離が、共通雌株と同様に雄蕊群発達遺伝子がヘテロ接合性であり、雌蕊群発達抑制因子遺伝子の機能的アレルが欠失している両全性クローン5375の『Aaff』遺伝子型と一致していることが教示される。顕性遺伝性両全性がアスパラガスの性染色体と連鎖しており、ここで提示した遺伝分析は、性染色体上での当該形質とマーカーとの間の遺伝的連鎖が検査又は検証できる方法を提供する。当業者にとって、両全性形質と性染色体との連鎖を検査するために同様に用いいることができる他のマーカーは自明であろう。
さらに、これらの交配の結果から、両全株が、自家受精する能力を有しており、以降の世代で近親交配をもたらすオフスプリングを提供することが教示される。この実施例での近親交配は、AO022遺伝子型の分析から推測できる。例えば、家系1Eで、AO022座位でのヘテロ接合は50%減少している。遺伝学者又は育種者であれば、この種の近親交配が任意の他の座位でヘテロ接合を減少させ得ることを想定できるだろう。さらに、当業者にとって、完全同胞交配と比べて、ここで提示した自家受精による近親交配がより効率的に生じることは、明白だろう。完全同胞交配では、後の姉妹兄弟の交配と同様に、自家受精と比べて同程度のヘテロ接合性を実現するために3世代も余分にかかる(Bos、1985、Thevenin、1967;p108)。さらに、両全性形質が(例えば、販売用F1ハイブリッドなどで)もはや望ましくない場合に、両全性形質を次の世代に移さないはずの近交系雌性植物を最終的に得るために、雄蕊群発達遺伝子がないように(例えば、連鎖マーカーを用いて)選抜することにより、特定の近親交配世代において両全性形質を容易に除去することができることも想定できるだろう。従って、自家受精を可能とする常染色体性修飾因子(これらの修飾因子についてはFranken、1969、1970を参照)に依存せず、自家受精により近交系を得るための方法が提供される。代わりに、本発明の近親交配は、雄蕊群発達を可能とする顕性遺伝子『Af』に連鎖する雌蕊群発達を可能とする劣性アレルがあるように選抜を行い、その後、2つの連鎖遺伝子の『Af』のアレルの組み合わせがないように選抜を行うことで、共通雌性近交系を得ることに依拠している。
両全性形質と雄性植物に固有の染色体セグメントを示すマーカーAsp1−T7との共分離があるため、Riccardi等(2010)により以前提案された、組換え事象が、雄性特異的染色体セグメント上に位置する雌蕊群抑制因子を、雌蕊群抑制因子を天然には有していない雌性染色体セグメントに『乗り換えさせた』という理論は、棄却された。代わりに、両全性植物に依然として存在し、組換えで失われていない雄性染色体セグメント上の雌蕊群抑制因子で変異が生じたという仮説が立てられた。この変異は、次の世代に伝えることができ、メンデル性の単一座位分離を示す。
結果として、変異が生じた遺伝子をみつけることに精力が向けられた。
James H Leebens−Mack博士の研究室(ジョージア大学、米国、アセンズ)では、中国の深川にある北京ゲノム研究所(BGI)との共同で、倍加半数体超雄株DH00/086のドラフトゲノム配列(verson 1.0)に取り組んできた。
このため、DH00/086の幼芽又はシダ組織から単離されたゲノムDNA(gDNA)が、Illumina HiSeqシーケンシングのために、単離及びプールされた。要約すると、プールされたgDNAは、ショットガンライブラリー調製のため、厳重な断片化とgDNAの末端修復、アダプターライゲーション、サイズ選抜、PCR増幅、ライブラリー精製、及び品質管理により、調製された。9つのショートインサートペアドエンドライブラリーと6つのロングインサートペアドエンドライブラリー(メイトペア)が、Next Generation Sequencing(NGS)に用いられた。21のフローチャネルが準備され、ライブラリーはHiseq2500 2x100nt paired−end modeでシーケンスされた。イルミナパイプライン1.8でのQuality scoresに従ってデータは収集及びフィルターされた。合計で163ギガ塩基の配列が、アスパラガス・オフィシナリスの半数体ゲノムのおよそ123Xカバレッジに対応する品質基準を合格した。デノボアセンブリを、複数k−mer戦略によりSOAPdenov2パイプラインで実施した(Luo等、2012、Peng等、2012)。SOAPdenovo2は、SOAPdenovoと同様に、リードエラー校正、de Bruijn graph(DBG)構築、コンティグアセンブリ、ペアエンドリードマッピング、スキャフォールド構築、及びギャップ封鎖を取り扱う6つのモジュールから構成されている。デノボアセンブリは、ScafSeq−のプリフィックスを有する24113スキャフォールドを有し、このスキャフォールドのうち115は、M座位及び周辺領域にマップされる可能性が高いゲノム配列のアライメントから構成される疑似スキャフォールドであった。疑似スキャフォールドは、M−locus_scaffold−のプリフィックスを有する。アライメントに用いたゲノム配列は、遺伝子型DH00/086(超雄株)及びDH00/94(雌株)の高分子量ゲノムDNAから構築された2つのBACライブラリーに由来する細菌人工染色体(BAC)コンティグ配列を含んでいた(Leebens−Mack、JH、personal communication、2010)。ライブラリーは、M座位表現型と遺伝的に連結している分子マーカーによりスクリーニングされ、候補クローンのBAC DNAは、その後、Genome Analyzer IIx system用のIllumina TruSeq cluster chemistryを用いてシーケンスされた。アスパラガス・オフィシナリスの24113ものスキャフォールドを含有するアセンブリなどのデノボアセンブリで有用な統計量の一つとして、N50値が挙げられる。要約すると、コンティグ又はスキャフォールドN50は、アセンブリ全体の50%がこの値以上のコンティグ又はスキャフォールドに含まれるというメジアン統計量である。アスパラガス・オフィシナリスのデータのアセンブリの結果は、コンティグN50が21179、スキャフォールドN50が301040を示し、これは半数体ゲノムの80%にものぼる。スキャフォールドのコンセンサス配列が、推定反復因子やアブイニショ遺伝子予測などのアノテーション目的で用いられ、アスパラガス・オフィシナリスの数種の遺伝子型の、cDNAリードマッピング実験(RNA−Seq実験と呼ぶ)及びゲノムリシーケンシング実験の両方で参照ゲノムとしての役割を果たした。用いた参照ゲノムは、Asparagus Genome Scaffold V1.10(AGS V1.10)と呼称され、アノテーションのメタデータは、AGS V1.10に基づく関係型データベース中の個別のファイルに保存された。
反復因子の既知の種類の全て、及び、植物トランスポゾン配列をはじめとする反復因子の新規の予測について、AGS V1.10をスクリーニングするために、多数の方法が用いられた。LTRharvestは、ゲノム配列中で長い末端反復を有するレトロトランスポゾンの境界位置を計算するソフトウエアパッケージである(Ellinghaus等、2008)。LTRharvestは、デフォルト及び手動で設定した類似指数で用いられ、出力ファイルはFASTA形式及びGFF3形式の予測を含んでいた。Repeat Explorerは、NGSデータでの反復配列及び転移因子コード配列の解析のためのユーティリティを含むパイソンスクリプトのソフトウエアスートである (Novak等、2010)。RepeatExplorerは、市販のものに加えて、Galaxyに基づくウェブサーバー(www.repeatexplorer.org)からもアクセスできる(Novak等、2013)。RepeatMaskerは、分散型反復配列及び低複雑性配列についてDNA配列をスクリーニングするプログラムである。RepeatMasker(ワシントン、シアトル、Institute for Systems Biology)は、入力クエリ配列を反復配列の精選されたデータベースとアラインし、出力ファイルとして、予測反復配列のヌクレオチドが記号Nで置換されたマスクされたクエリ配列を含むものを出力するBLASTに基づくプログラムのセットである。クエリAGS V1.10は、RMBlastをデフォルトの感度で用いてマスクされた。マスクされた出力ファイル(rmAGS V1.10)がアブイニショ遺伝子予測に用いられた。基本的に、プログラムは、遺伝子証拠の所与のソースで示唆される、プロモーター、転写開始点、停止、スプライスドナー、スプライスブランチ、及びスプライスアクセプター部位などの候補シグナル部位を同定することにより、遺伝子について証拠を収集するアルゴリズムの訓練されたセットを用いる。アブイニショ遺伝子予測は、BGIパイプライン(Fgenesh及びGlimmerHMM)をデフォルトの設定で用いて行われ、遺伝子証拠についての組み合わせGLEANファイル(Elsik、2007)が得られた。セットは、28288の予測タンパク質コード遺伝子(平均CDS長が1006bp、予測転写物毎の平均エクソン数が4.75)を含んでいた。さらに、SNAP(Semi−HMM−based Nucleic Acid Parser、Korf、2004)ソフトウエアパッケージを緑色植物亜界の設定で用い、遺伝子モデルを予測した。合計で24116の遺伝子がSNAPアルゴリズムにより予測された。
(RNAseq)
2つのRNA−seq実験が行われた。第1の実験は、雌株、雄株、超雄株のアスパラガス遺伝子型の間で示差的に発現される転写物を同定し、これらの転写物をAGS V1.10ゲノムアセンブリにマップするために設計された。合計で、13のLimgroupアスパラガス系統、具体的には、9Female(9F)、9Male(9M)、88F、88M、88superMale(88supM)、89F、89M、89supM、103F、103M、103supM、並びに、雄性DH系統のDH00/86及びDN3389が処理された(Limgroup BV、ホルスト、オランダ)。要約すると、全RNAがRNeasy Plant Mini Kit(Qiagen GmbH、ヒルデン、ドイツ)のプロトコルを用いて花芽から単離され、RNA量がAgilent RNA Bioanalyzer(Agilent、サンタクララ、カリフォルニア州)のプロトコルを用いて定量された。このRNAは、二重鎖cDNAに変換され、ショットガンライブラリー調製のため、アダプターライゲーション、サイズ選抜、PCR増幅、ライブラリー精製、及び品質管理により、調製された。13のショートインサートペアドエンドライブラリーが、NGSに用いられた。3つのフローチャネルが準備され、ライブラリーはHiseq2500 2x100nt paired−end modeでシーケンスされた。イルミナパイプライン1.8でのQuality scoresに従ってデータは収集及びフィルターされた。合計で5億リードが品質基準を合格した。デノボトランクリプトームアセンブリがTrinityソフトウエアパッケージで行われた(Grabher等、2013)。Trinityは、3つの独立したソフトウエアモジュール(Inchworm、Chrysalis、及びButterfly)を組み合わせており、大量のRNA−seqリードを処理するためにこれらを順次適用する。Trinityは、配列データを、所与の遺伝子又は座位での転写複雑度にそれぞれ対応する多数の個別のDe Bruijn Graphsに分割し、その後、各グラフを、全長スプライシングアイソフォームを抽出し、パラログな遺伝子由来の転写物を分離するために、独立して処理する。ペアドエンドリードの標準化の後、276556個の配列がアセンブリされ、全長が378MbでN50が2386となった。13のペアドエンドリードデータがデノボアセンブリに再びマップされ、遺伝子型についてのデータが、性特異的に発現している一塩基変異多型(eSNP)及び短い挿入/欠失(indel)を探して、ソフトウエアパッケージであるvcftools(variant call format、Wellcome Trust Sanger Institue、ケンブリッジ、イギリス)を用いて比較された。多数のストリンジェンシー設定を実施し評価した。さらなる検証が必要となるeSNP及びindelはみつけられなかったと結論付けられた。また、RNA−seqデータは、Cufflinksソフトウエアパッケージversion Cufflinks 2.2(Trapnell等、2010)を用いて、上述の11のLimGroupサンプルでの遺伝子の示差的発現を明らかにするためにも用いられた。Cufflinksは、転写物をアセンブリし、そのアバンダンスを評価し、RNA−seqサンプルでの示差的発現及び調節を検定する。このソフトは、アラインされたRNA−seqを受け入れ、こうしたアラインメントを転写物のセットへとアセンブリする。Cufflinksは、その後、いくつのリードが互いにサポートし合うのかに基づいてこれらの転写物の相対的なアバンダンスを評価する。要約すると、RNA−seqデータが、TopHat2.0.13(Kim等、2013)をデフォルトのストリンジェンシー設定で用いて参照AGS V1.10とアラインされた。TopHatは、RNA−seqリードをrmAGS V1.10参照とアラインし、マッピング結果を分析して、エクソン間のスプライス部位を同定する。データは、CufflinksでCuffdif2アルゴリズム(Trapnell等、2012)を用いて処理され、示差的に発現した転写物の同定及び定量が行われる。発現の比較により、一般的な系統及び性の両方の間でのパターンが明らかとなった。発現パターンのクラスター解析は、88及び89遺伝子型にそれぞれ関連するクラスターと、9及び103遺伝子型の発現パターンを有する第3のクラスターとの3つのクラスターがみられることを示した。全ての遺伝子型についての雄株対雌株の発現の比較は、雄株サンプルで、269の遺伝子が顕著に上方調節され、2つが下方調節されていることを示した。全ての遺伝子型についての超雄株対雌株の発現の比較は、434の遺伝子が上方調節され、49が下方調節されていることを示した。シロイヌナズナでアノテートされるABORTED MICROSPORES AMS及びMALE STERILITY MS2の遺伝子とオルソログな遺伝子をはじめとする葯発達に関連する多数の遺伝子が、超雄株対雌株で示唆的に発現していることがわかった。一連の少なくとも40の遺伝子が雌株サンプルでは発現を示さなかった。
第2のRNA−seq実験は、特定の発達段階のアスパラガスの異なる遺伝子型から得られた花芽での全ゲノム遺伝子発現を研究するために設計された。RNA−seq分析のために選ばれた遺伝子型及びそれに関連するサンプルは、以下のとおりである。
DH雄株1770=サンプル1
DN雌株1800=サンプル2
両全株5375=サンプル3
家系1EのAAff両全株の5つの植物=バルク1
家系3EのAsFf雄株の4つの植物=バルク2
各植物から、3つのフラワーボタンステージ(flower button stages)を採取した。
A)減数分裂前(両全株及び雄株では1.0−1.2mm、雌株では0.8−1.0mm)、
B)単核小胞子(1.6−1.8mm)又は発達したばかりの子房(1.2−1.4mm)、
C)完全に発達した心皮(萼片が開く直前)
要約すると、全RNAがNucleoSpin RNA Plant Kit(Macherey−Nagel GmbH&Co、デューレン、ドイツ)を用いて花芽から単離され、RNA量がAgilent RNA Bioanalyzer(Agilent、サンタクララ、カリフォルニア州)のプロトコルを用いて定量された。このRNAは、二重鎖cDNAに変換され、ショットガンライブラリー調製のため、アダプターライゲーション、サイズ選抜、PCR増幅、ライブラリー精製、及び品質管理により、調製された。13のショートインサートペアドエンドライブラリーが、NGSに用いられた。2つのフローチャネルが準備され、ライブラリーはHiseq1000 2x100nt paired−end modeでシーケンスされた。イルミナパイプライン1.7でのQuality scoresに従ってデータは収集及びフィルターされた。要約すると、RNA−seqデータが、TopHat2.0(Kim等、2013)を感度の良いストリンジェンシー設定(−b2−very−sensitive)及び大きな最大イントロンサイズ(40kb)で用いて参照AGS V1.10とアラインされた。TopHatのアノテーションデータが、AGS V1.10へのメタデータとして保存され、個別のトラックとしてIntegrated Genomics Viewer(IGV、Robinson等、2011に読み込まれた。IGVでは、AGS V1.10のゲノムスキャフォールドが個別に検査できる。
Leebens−Mack博士の研究室では、複数のソースからの遺伝子モデル予測をまとめるために、AUGUSTUS Gene Prediction(Hoff等、2013)及びEVM(Evidence Modeler、Haas等、2008)を実用していた。AUGUSTUS gene predictionは、以下の2つの工程、アスパラガスについてトレーニングセットを作る工程、及び実際の遺伝子予測を行う工程を伴う。トレーニングソフトウエアは、ゲノム配列及びTrinityアセンブリのセットから遺伝子セットを自動的に生成、その後、新しい種のためのAUGUSTUSパラメーターをトレーニングする。こうした新しいパラメーター及び供給された外部証拠が遺伝子予測モジュールに適用される。EVMは利用可能な全てのgDNA及びRNA−seqデータを統合するために用いられた。このソフトウエアは、アブイニショ遺伝子予測及び転写物アラインメントを組み合わせて、重み付けコンセンサス遺伝子構造を作る。アスパラガスでは、これは、GLEAN、SNPA、Trinity、Cufflinks、及びAUGUSTUSのデータセットを含む。Cufflinksデータに最も高い重みが与えられ、GLEANデータに最も低い重みが与えられた。合計で24kの遺伝子モデルがアノテートされた。遺伝子予測メタデータは、AGS V1.10に基づく関係型データベース中の個別のファイルに保存された。
リシークエンシングは、参照へのリードのマッピング及びアラインメント、並びに、エラー校正を含む。このため、アスパラガス・オフィシナリス遺伝子型DH00/094のショートインサートペアドエンド Illumina HiSeqシーケンシングデータ(BGI、深川、中国)が得られた。DH00/094は、DH00/086も起源とする同じハイブリッドからの組織培養により得られた雌性倍加半数体である。当該データは、およそ40Xゲノムカバレッジを表す100ntペアドエンドエンドリードを含む。DH00/086及びDH00/094の両方のリードが、ソフトウエアパッケージbwa−MEM(Li及びDurban、2009)のBurrows−Wheeler Aligner(設定はデフォルト)、及び、ソフトウエアパッケージBowtie2(Langmead等、2012)のごく最近に開発された超高速ショートリードアライナーを用いて、参照ゲノムとアラインされた。DH00/094マッピングが、SNP及びindelを探して、ソフトウエアパッケージであるvcftools(variant call format、Wellcome Trust Sanger Institue、ケンブリッジ、イギリス)を用いて比較された。多数のストリンジェンシー設定を実施し評価した。最初に、SNPが少なくとも3195の遺伝子モデルでみつかった。リシーケンシングメタデータは、AGS V1.10に基づく関係型データベース中の個別のファイルに保存された。上述の、LTR−harvestデータ、遺伝子予測、Trinity RNA−seqアセンブリ、Cufflinksアノテーション、及びリシーケンシングデータを含む全てのAGS V1.10へのメタデータが、ゲノムブラウザーJBrowse1.11.4(Generic Model Organism Database project GMOD、2013)内に個別のトラックとして保存された。トラックは、AGS V1.10のゲノムスキャフォールドの全てについて可視化できる。
(マーカー)
アスパラガス・オフィシナリスでM座位に関連することが知られているゲノム配列の全ての利用可能な遺伝的及び分子的データが、参照ゲノムスキャフォールドAGS V1.10のblastデータベース内のローカルアラインメントサーチ(BLAT、BLAST、Althschul等、1990)でのクエリ配列として用いられた。サーチはデフォルト設定で行われた。これらの分子配列は、M座位に密接に連鎖している公表済みの遺伝子マーカー(Asp1−T7、Asp2−Sp6、Asp4−Sp6 (Jamsari等、2004)、T35R54−1600seq(Kanno等、2013)の名称が付されたもの)及びLimgroupにより開発された遺伝子マーカー(Asp80、Asp432/448、Asp446、10A3_forward marker及び10B6_forward markerの名称が付されたもの)を含んでいた。Asp1−T7(510nt)は、scaffold905の305206−304717位と98.37%の相同性を有し、pseudomolecule M−locus_scaffold4 (ML4)の5470−5959位と関連している。Asp2−Sp6(634nt)は、scaffold905の307405−306883位及びML4の3271−3793位と98.85%の相同性を有し、scaffold199の464878−464359位と96%の相同性を有する。Asp4−Sp6(443nt)は、scaffold997の224027−224469位と96.62%の相同性を有し、別の303のゲノムスキャフォールドと高い(>80%)相同性を示す。Asp−Sp6の配列は、LTR−retrotransposon,subclass Ty1−copia relatedとしてアノテートされた。T35R54(1586nt)の配列は、アスパラガスのゲノムの高度反復領域の一部であり、25のゲノムスキャフォールド(例えば、ML4の22173−21039位)と100%の相同性を有する。Asp80は、scaffold1194と、Asp432/448は、scaffold206と、Asp446は、scaffold1539と、アラインする。10A3_forward marker及び10B6_forward markerの配列は、scaffold997及びrelated pseudomolecule M−locus_scaffold2と100%の相同性で、アラインする。密接に連鎖する配列の3つがscaffold905及びML4内の小領域とアラインするので、これらのスキャフォールドが以降の研究の優先対象とした。EVMデータは、scaffold905(351847bp)内の15の遺伝子モデル及びML4(94405bp)内の3つの遺伝子モデルを示す。2つのEVMアノテーション、evm_1.TU.M−locus_scaffold4.1(種別:mRNA、189 bp)及びEVM_1 prediction M−locus_scaffold4.2(種別:Gene、2640 bp)が、マーカー配列Asp1−T7、Asp2−Sp6、及びT35R548の位置に近接している。
両方のEVMアノテーションが、翻訳され、アライメントソフトウエアBLASTPでのクエリとして用いられた。このとき、データベースは、Genbank CDS translationsの非冗長タンパク質配列(nr)並びにPDB、Swissprot、PIR、及びPRFといったデータベースでのタンパク質配列(ncbi.nlm.org updated 2015.1.5,54183042 sequences)を用いた。配列は、低複雑性用フィルターを含むViridiplantae[ORGN]に限られた。他の全ての設定はデフォルトであった。evm_1.TU.M−locus_scaffold4.1の翻訳は、データベースで目立ったヒットがなかった。EVM_1 prediction M−locus_scaffold4.2は、ヴィテス・ヴィニヘラのhypothetical protein VITISV_031339(Hit:CAN82114、Id:147844299)及びヴィテス・ヴィニヘラのpredicted UPF0481 protein AT3G47200−like (Hit:XP_010657662、Id:731377489)の両方と高度に顕著な相同性(38.54%)を有する。両方のエントリーが、NCBIの保存ドメインアライメント(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/wrpsb.cgi)に用いられ、members of the family Pfam03140, Plant protein of unknown function (Domain of Unknown Function、DUF247)と高い類似性を有する。Pfamデータベースは、タンパク質ファミリーの大規模なコレクションであり、それぞれが、複数の配列アライメント及び隠れマルコフモデル(HMM)により表示される。現在のバージョンはPfam27.0(2013年3月、14831ファミリー)。Pfam03140(PF3140)は、48のメンバーから構成され、DUF247サブファミリーcI03911に属している。このスーパーファミリーを構成する植物タンパク質の機能は未知である。DUF247様遺伝子配列(一時的に『DUF247様』と呼ぶ)が、参照ゲノムスキャフォールドAGS V1.10のデータベースでのクエリとして用いられた。scaffold905及びpseudomolecule ML4に加えて、2つの関連しないスキャフォールド由来の2つのDUF247様配列、region DUF247−like scaffold 3098(1965bp)及びregion DUF247−like scaffold10515(1422bp)が返り値として得られた。標準設定のClustal Omegaでアライメントを作成した(Sievers等、2011)。DUF247−like scaffold10515は、CDS2の69から1186位と91%の相同性でアラインし、DUF−like scaffold3098は、第2イントロンの1から1970位と92%の相同性でアラインした。アライメントを図2に示す。DUF−like scaffold3098遺伝子が、EVM及びAUGUSTUSアノテーション(scaffold3098 scaffold3098:95411..97134 (+ strand) class=gene length=1724)で予測されたが、これは、Cufflinksアノテーション(TCONS_00149163)に裏付けられる。上述のスキャフォールドの配列は図13でみつけられるだろう。
シロイヌナズナの情報源(TAIR10)では、クエリタームAT3G47200が用いられ、5つの隔たった遺伝子モデルで、2座位でのマッチ結果、AT3G47200及びAT3G47210 が得られた。EVM_1 prediction M−locus_scaffold4.2の翻訳をクエリとして用いて、TAIR Protein(タンパク質)配列でのBlastPによりみつかる全てのシロイヌナズナ遺伝子モデルの関係を詳しく調べることとした。最も高いスコアのものは、AT3G50150.1(Plant protein of unknown function(DUF247)、chr3:18595809−18597551 REVERSE LENGTH=509(Score=201 bits(511)、Expect=8e−52、Identities=133/425 (31%)、Positives=216/425 (50%)、Gaps=34/425 (8%))及びAT3G50160.1(Plant protein of unknown function (DUF247)、chr3:18598826−18600903 REVERSE LENGTH=503(197bits (502)、Expect=8e−51、Identities=132/413(31%)、Positives=207/413(50%)、Gaps=29/413(7%)))であった。特に、AT3G47200.1遺伝子モデルは、より低い相同性を示す((DUF247)、chr3:17377658−17379088 REVERSE LENGTH=476(Score=130 bits(326)、Expect=2e−30、Identities=104/417(24%)、Positives=195/417(46%)、Gaps=52/417 (12%)))。顕著な相同性を有するシロイヌナズナ遺伝子は表XのAGI Codeの欄に列記する。DUF−like scaffold3098のパラロガス配列の翻訳からは、AT3G50150.1、Plant protein of unknown function (DUF247)について、あまり高い割合ではない181/454アミノ酸がアラインするという、最も高いスコアが返り値として得られた。AT3G50150及びATG3G50160のTAIRの記載は、Plant protein of unknown function (DUF247);INVOLVED IN:biological_process unknown;LOCATED IN: plasma membrane;EXPRESSED IN:inflorescence meristem,petal,hypocotyl,root; EXPRESSED DURING:4 anthesisとなっている。
外部リンクからより多くの情報にアクセスできる。Plant Proteome database(PPDB)から、シロイヌナズナについて別の4つの遺伝子モデルと、オリザ・サティバでの10の遺伝子モデルが返り値として得られた。SubCellular Proteomic Database(SUBA3)は、シロイヌナズナの細胞内コンパートメント由来の大規模なプロテオーム及びGFP局在セットを収蔵している。また、これは、タンパク質の細胞内局在についてのコンパイル前のバイオインフォマティクス予測も含んでいる。タンパク質−タンパク質相互作用の新しいデータセットが最近追加されている。両方のアノテーションからのAT3G47200タンパク質(ヌクレオチド配列はGenBank accession no.AK221225.1から取得可能)の予測細胞内局在及びMs/Ms実験は、原形質膜、ペルオキシソーム、及び色素体を指していた。他のデータベースはこのタンパク質に関連する情報を有していない(但し、例外的に、Phytozome Plant Gene Families databases(www.phytozome.net)は、緑藻類を含む緑色植物亜界のクレードを代表する40のゲノム配列にまたがる922のメンバーの38694300のクラスターを表示する)。PF03140(DUF247)及びBiological_process GO:0008150を含むこのファミリーと関連するオントロジー:この用語がアノテーションで用いられる場合、それは、アノテートされたその遺伝子産物の生物学的処理に関して情報が得られないことを指す。これを示すために、証拠コードND(データなし)が用いられる。オントロジーの少数がPF00043(グルタチオンS−トランスフェラーゼ、C末端領域のPfamAアノテーション)を含む。この領域は、真核生物での解毒機能に加えて、植物でのオーキシン調節タンパク質などを包含するストレス関連因子であるHSP26ファミリーなどの、こうした活性を持たないタンパク質でもみつかっている。シロイヌナズナのPF03140のファミリーメンバーの発現プロファイルを詳しく調べるため、GENEVESTIGATORを探索した(www.genevestigator.org、NEBION AG、チューリッヒ、スイス)。GENEVESTIGATORは、遺伝子発現分析の高性能サーチエンジンである。数千にのぼる、手動で精選した、良く記述された、公表済みのマイクロアレイ及びRNAseq実験を統合し、異なる生物学的文脈(組織又は遺伝子型)にまたがる遺伝子発現を可視化する。Plant Biology databaseでは、10種が、10773サンプルを含むと記載されており、これらのサンプルは、シロイヌナズナマイクロアレイ実験の600の研究を表す。これらの研究では、GeneChipR Arabidopsis ATH1 Genome Array(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア州)の実験が精選されている。ATH1は、旧TIGR研究所(元グレイグ・ベンター研究所、ロックビル、マサチューセッツ州)との共同で設計され、およそ24000の遺伝子を表す22500を超えるプローブセットを含んでいる。GENEVESTIGATORのCONDITIONS環境では、表Xの遺伝子の遺伝子発現を探索するために、全てのATH研究が選択された(対象として、DEFECTIVE in TAPETAL DEVELOPMENT8についてのATH TDF1遺伝子モデル、At2G38540を含む)。AT3G47200は、GENEVESTIGATOR ATH1 dataにはみつからない。シロイヌナズナの10の発生段階での全てのATH実験を用いた発現レベルのオーバービューでは、AT3G4725及びAT2G38540を除き全ての遺伝子について遺伝子発現の相対的に低いレベルが表示され、一方、AT3G4725及びAT2G38540では、発現ポテンシャル百分率からみられるようにステージ2−9で高い遺伝子発現が表示される(図7A及び図7B)。シロイヌナズナの127の解剖部位での全てのATH実験のオーバービューでは、根でAT3G47250の発現が検出されず、離層帯でAT3G47250を除く全ての遺伝子の発現が極めて低い点を除けば 全ての解剖部位でリストアップした複数のPF3140遺伝子について中程度の遺伝子発現が表示された。次の実験では、未成熟花及び成熟花での遺伝子発現を記述する4つの利用可能なデータセットを含め、実験での外乱を有するサンプルを除外し、引用文献及び/又は用いたデータベースでの情報を用いて野生型シロイヌナズナサンプルを精選した。選択した解剖部位では、AT3G47210、AT3G47250、及びATH TDF1対照を除くリストアップしたPF3140遺伝子について、花での極めて低い発現ポテンシャル百分率が表示された(図9A)。早期及び後期の花での遺伝子発現の詳細画面では、実験データの数が未だ顕著に制限されていることを勘定にいれても、5つの遺伝子モデルについて遺伝子発現が表示されない(図9A)。雄蕊及び雌蕊のサンプルの両方での絶対発現レベルを再計算して表示しても結果は同じであった(データは図示せず)。解剖部位の階層的クラスタリング(ピアソン相関指標)及び発現ポテンシャル百分率の両方が、クラスター(AT3G50130、AT3G50140、AT3G50190)、クラスター(AT3G50150、AT3G50160、AT3G50120、AT3G50180)、及び無関係クラスター(AT3G250、AT2G38540)について、高い相関値を有する(図9C)。要するに、選択されたDUF247様遺伝子に関して、GENEVESTIGATORインターフェースにおいて、10の発達段階及び127の解剖部位で、相関を探して、精選されたシロイヌナズナ遺伝子発現データを慎重にマイニングすることにより、2つのクラスターについての他の器官と比較して、相関性の高い3つのクラスターが花で実質的に遺伝子発現をみせないことが表示された。さらに、ATH TDF1遺伝子が、全ての発達段階にわたって、全身的に、高いレベルで発現している。顕性雌性抑圧因子遺伝子であるDUF247が、実際に、両全性のシロイヌナズナの花では実質的に不活性化されており、一方、ATH TDF1などの潜性雄性促進因子遺伝子が、早期及び後期の花の発達で活性化されているはずと推測できる。AT3G50150遺伝子での変異及びそのようなものが非変異表現型と比べて明確な表現型の差を与えるかどうかを詳しく調べ、アスパラガス・オフィシナリスの花序発達におけるDUF247の機能を推測することとした。
このため、Nottingham Arabidopsis Stock Centre(NASC、ノッティンガム大学、ラフバラ、イギリス)で、リストアップしたDUF247遺伝子モデルの配列インデックス化変異系列が利用可能かが調査された。全ての遺伝子モデルについて、変異系列の生殖質がNASCにより利用可能となり得た。アレル型、即ち、上述のアレルの表現型及び遺伝子型に基づくアレルの分類が知られているかが調査された。リストアップした系列のいずれについてもTAIR及び関連データベース(NASC及びAtGDB(http://www.plantgdb.org/AtGDB/)など)で信頼できるアレル型及び表現型の記載がなされていないという結果が得られた。これはSALK研究所でプリフィックスSALK_で示される挿入系列について検証され、実際に、利用可能なアレル型がなかった(J.Ecker、サルク生物学研究所、ラ・ジョラ、カリフォルニア州、米国)。『調査』と示された6つの系列が、一般的な生長、開花時間、花序構造、及び小穂形成について、視覚的に検査された。このため、典型的な実験では、Col−0遺伝子型(種多様体:90)を含む前記系列の約50の種子が、簡単に滅菌され、個体MS1培地上にまかれ、暗所、4℃に、24時間置かれ、発芽のために、滅菌条件下で、連続明期、23℃で、生長室中に、10−15日置かれた。実生が土壌に移植され、10日後に、その生長が観測された。示した遺伝子型について、Col−0バックグラウンドと区別される明確な表現型は観察できなかった。SALK_109348.55.50.X(AT3G50150)、SALK_122060(AT3G50160)、及びSALK_009839(AT3G47200)一部について、花構造が顕微鏡下で調べられた。ステージ8−13での花芽の調製物では、Col−0バックグラウンドと比べて花解剖部位の関連する差は観察されないという結果が得られた(ワニンゲン大学生化学部(ワニンゲン、オランダ)との共同)。DUF247シロイヌナズナ遺伝子の6つの系列の視覚検査では、Col−0バックグラウンドと比べて明白な表現型の差が観察できなかったので、アスパラガス・オフィシナリスの花序発達でのDUF247の生物学的機能を推測できないと結論された。示された全てのホモ接合性変異系列のさらなる調査が、KeyBox(KeyGene、ワニンゲン、オランダ)でのDigital Phenotypingを用いて、行われるはずである。
表X:アスパラガス・オフィシナリスDUF247様遺伝子と顕著な相同性を有するシロイヌナズナ遺伝子遺伝子毎に、遺伝子ID(AGI Code)、予測細胞内局在(SUBA)、及びNASC ID、並びに、変異系列の情報を示す。詳細は本文参照。
シロイヌナズナで明白な表現型が観察されない限り、シロイヌナズナ遺伝子を含むこれらのDUFドメインが配列番号1のGDS DUF247遺伝子と相同であると考えることができる。
ML4 DUF247様遺伝子が数種のアスパラガス遺伝子型でさらに調査されることとなった。Primer3(Untergasser、2007)を用いて設計されたプライマー対を用いて、予測DUF247様遺伝子を含む領域で、ジデオキシシーケンシング(サンガーシークエンシング)が行われた。これらのプライマーは、CN59/CN60、CN67/CN68、CN69/CN70、CN71/CN72、CN59/CN70、CN67/CN82、CN69/CN81と呼ばれ、表3に列記される。我々は、4つの非近縁雄性植物DH00/086、9M、88M、K323、12_25、及び両全株Herma5375の配列を得ている。この実施例の予測は、EVMモデルで予測される開始コドンから始まる(表6参照)。CDS1のヌクレオチド位527で、全ての雄性植物は、チミン塩基を示し、一方、両全株は、この位置で、一塩基対欠失を示す。この欠失は、リーディングフレームでのフレームシフト、アミノ酸の変化をまねくはずであり、スプライス後、時期尚早な停止コドンをまねく可能性がある。両全株(黒背景に対して白文字で示す)及びCDS2のアミノ酸、予測される時期尚早な停止コドンを示す。両性株5375に固有のエクソンでの構造的差異に加えて、2つのSNPが9Mのイントロンで、1つのSNPがCDS2でみつかり、これは同義的置換(アミノ酸の変化をもたらさないサイレント変異)である。12_25M、K323、及びHerma5375は、他のシーケンス済みの雄株と比べて、予測イントロン内に一塩基対のINDELを示す。CDS3では、配列データが利用可能なサンプル(DH00/086、K323、及びHerma5375)では差異がみつからなかった。さらに、上述の第2RNA−Seq実験の結果が、ML4 DUF24の調査に含められた。RNA−seq分析のために選ばれた遺伝子型及びそれに関連するサンプルは、以下のとおりである。
DH雄株1770=サンプル1
DN雌株1800=サンプル2
両全株5375=サンプル3
家系1EのAAff両全株の5つの植物=バルク1
家系3EのAsFf雄株の4つの植物=バルク2
各植物から、3つのフラワーボタンステージ(flower button stages)を採取した。
A)減数分裂前(両全株及び雄株では1.0−1.2mm、雌株では0.8−1.0mm)、
B)単核小胞子(1.6−1.8mm)又は発達したばかりの子房(1.2−1.4mm)、
C)完全に発達した心皮(萼片が開く直前)
結果として生じたRNA−seqデータが、TopHat2.0.13(Kim等、2014)を用いて参照AGS V1.10とアラインされた。ML4 DUF247 EVM1アノテーションが視覚的に検査された。まず、遺伝子発現は、検出可能であるが、平均で、2FPKM未満である(FPKM;Fragments Per Kilobase Of Exon Per Million Fragments Mapped、マップされた百万フラグメント毎のエクソン1キロベース毎の断片数)。雄性バルク2及び雄株1770ステージC由来のアラインしたリードの少数は、CDS1において、4つの非近縁雄性植物DH00/086、9M、88M、K323、12_25由来のRNA−Seqから得られたものと同じ配列を示し、CDS1の527位のチミジン塩基を含む。両全性バルク1由来の2つのアラインされたリードは、Herma5373由来のRNA−Seqから得られたものと同じ、CDS1での527位の単一チミジン欠失を示した。要するに、花器官由来の雄性及び両全性アスパラガスサンプルを用いて行われた2つの個別のRNA−Seq実験では、全ての場合について、ML4 DUF247のmRNA時期尚早な停止コドンをもたらすML4 DUF247 CDS1の527位の一塩基indelが検出された。
DUF247様遺伝子のEVMアノテーションを確認するために、DH00/086(アスパラガス参照配列の植物)及び別の2つの非近縁植物の花芽由来の全RNAを単離することにより、発現が調べられた。全RNAは、RNeasy Miniハンドブック(Qiagen)に従いRNeasyR Plant Mini Kit(Qiagen)を用いて、液体窒素に沈めた15mgのアスパラガス由来の若い花芽及び完全に開き切った老いた花を用いて単離した。RNAの分解を避けるために、RNaseフリーの使い捨て0.1%DEPC処理済みペッスル及びガラス製品が用いられた。cDNA合成の前に、生産者のプロトコルに従いDNaseI(Sigma Aldrich)でRNAは処理された。その後、Maxima Reverse Transcriptase(Thermo Scientific)を用い、2μlの全RNA、1μl(200U)のMaxima Reverse Transcriptase、100pmolのoligo(dT)primer、0.5 mMのdNTP mix(各10mM)、5xRT buffer、及び最終容量が40μlになるまでのRNase−freeの水を用いて、cDNAが合成された。この混合物は、50℃で30分間インキュベートされ、その後、85℃で5分間インキュベートされた。
生産者のプロトコル(Thermo Scientific、ピッツバーグ、ペンシルバニア州、Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)に従ったDNAseI処理の後、アガロース電気泳動及びAgilent RNA Bioanalyzerプロトコル(Agilent、サンタクララ、カリフォルニア州)でRNA量が定量された。その後、Maxima Reverse Transcriptase(Thermo Scientific、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)を用い、2μlの全RNA、1μl(200U)のMaxima Reverse Transcriptase、及び100pmolのoligo(dT)primerを用いて、cDNAが合成された。Phire Hot Start II DNA Polymerase(Thermo Scientific、ピッツバーグ、カリフォルニア州)を用いたPCRで、準備したファーストストランドcDNAを鋳型として用い、予測エクソン(表3)を標的としたプライマーを用いて、特定のPCR産物が増幅された。対照サンプルとして、ゲノムDNAが個別のPCR鋳型として含められた。プライマー対、CR55/CR57、CP35/CR57、CP45/CR57、CP61/CP40、CP61/CR56、CP33/CP38、CP33/CP40は、全て、単一のPCR産物をもたらし、これらは、GeneRuler 100bp Plus DNA Ladder(Thermo Scientific、ピッツバーグ、カリフォルニア州)と比べたときの1.5%アガロースゲルでの移動から推測して、遺伝子予測とよく対応したサイズを有していた。cDNA鋳型と比べて、ゲノム対照鋳型は、常に予想サイズのより長い断片をもたらした。プライマー対、CP61/CP62、CP33/CP62 は、cDNA鋳型では増幅産物がなかったが、一方、ゲノムDNA鋳型は予想サイズの断片をもたらした。DH00/086の数種の発達段階での花芽由来のバッチ全RNAのファーストストランドcDNAでのCR55/CR57及びCP35/CR57のPCR産物について、BaseClear(レイデン、オランダ)でのダイレクトシーケンシングにより、フォワード配列リード及びリバース配列リードの両方が得られた。これら4つの配列のアライメントは、CDS2/イントロン2の境界についてのAUGUSTUS及びEVM1アノテーションでの5’−スプライス部位が正しくないことを示した。実際、ML4のジェネリック配列の2795位のシトシンはシロイヌナズナスプライスデータでは全く観察されなかった(Szczeniak等、2013)。新しいスプライス部位は、100%保存されているML4のゲノム配列での2834−2835位でのグアニン−チミジンジヌクレオチドを有している。結果として、新しい停止コドン(TGA)がジェネリック配列の3616−3618位に導入され、そのため、CDS3は僅か27bpである。DUF247 EVM1及びDUF247_DHについて、最終的なスプライス配列及び対応する翻訳を、図10に示す。
ML4 DUF247様転写物の3’−未翻訳配列を求めるため、cDNA末端の高速増幅(3’−RACE)が設計された。このため、DH00/086の数種の発達段階での花芽由来のバッチ全RNAが用いられた。その後、Maxima Reverse Transcriptase(Thermo Scientific、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)を用い、2μlの全RNA、1μl(200U)のMaxima Reverse Transcriptase、及び100pmolのadaptor oligo(dT)primer(5’−GACCACGCGTATCGATGTCGACTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN)を用いて、cDNAが合成された。ファーストストランドcDNAが、フォワードプライマーCP39及びCP35を用いたリニアPCRのために用いられた。これらのリニアPCRの産物は、希釈後、CP41(CP39の下流、CP39(CP35の下流))及びadaptor oligo(dT)primerの尾部に相補的なユニバースプライマーを用いたネストPCRの鋳型として用いられた。電気泳動後、2つのPCR産物がアガロースから切り出され、Baseclear(レイデン、オランダ)でのシーケンシングに送られた。
これらの結果から、DUF247様遺伝子が花芽で発現しており、両全株の発現遺伝子配列が(少なくとも)雄性植物の遺伝子配列と一ヌクレオチド欠失分異なることが示された。既に述べたが、前記遺伝子は公表されている伴性マーカーに密接に近接していることがわかった。変異自身と両性花形質との間の連鎖を示すために、我々は家系交配3Eの数種の植物を分析した。我々は、Wittwer等(2003)に記載の方法に実質的に従った高解像度融解曲線分析にプライマー対CR39/CR40(表3)を用いた。結果を表1eに示す。この結果は、マーカーと両全性形質との完全な共分離を示す。12の両全株の全てがチミン欠失検査用マーカーアレルを有し、一方、12の雄性植物の全てが野生型遺伝子アレルを有する。このことから、上では予期されぬ166/166のAO022マイクロサテライトマーカー遺伝子型を有すると記載した単一両全性形質が、実際は、166アレル及び雌蕊群発達抑制因子遺伝子との間の組換え事象から生じたことが、及び、この植物が一塩基対欠失を示すCR39/CR40マーカー遺伝子型を示し、『Aaff』遺伝子型を有していたに違いないことが、確認された。この結果は、dCAPsマーカーを用い、プライマー組CR37/CR38及び制限酵素Hpy188IIIを用いて、確認された。これらのマーカーは、そこで、これらの特異的欠失変異の検出に適しており、それ自体が本出願に記載の診断及び育種法に使用できる。上でもたらされた証拠に基づいて、DUF247様遺伝子が雌蕊群発達抑圧因子(GDS)遺伝子であることが結論付けられた。
一般的に、本出願で言及したマーカーの多くが、GDS遺伝子内又はGDS遺伝子近傍の変異の存在を示すのに適している可能性があり、及び/又は、これらはGDS遺伝子のアレルの存在を示すのに適している。好ましくは、こうしたマーカーは、GDS遺伝子、その変異、又はアレル、又は5’UTR、又は3’UTR、又はそのシス調節エレメントを標的とする。しかし、他のマーカーが、GDS遺伝子に遺伝的に連鎖しており、GDS遺伝子の減少された機能的発現をまねくはずのGDS遺伝子内又は近傍の変異を有することが示された植物での多型を開示し得る場合、これら他のマーカーも、GDS遺伝子内又はGDS遺伝子近傍の変異の存在を適切に示すために用いることができ、及び/又は、GDS遺伝子のアレルの存在を示すのに適している。それ故、こうしたマーカーの全てが有利にはマーカー支援育種で用いられ得る。変異の欠失のために用いることができるプライマー対は、CN67/CN68、CN69/CN70、CN71/CN72、CN59/CN70、CN67/CN82、CN69/CN81、CP31/CP32、CP33/CP34、CP35/CP36、CP37/CP38、CP39/C40、CP41/CN72、CR61/CR57、CP35/CR57からなる群より選択できるが、これらのプライマー及び/又は表3で言及した他のプライマーの他の組合せも可能だろう。
さらに、GDS遺伝子座位の近傍に位置し、マーカー支援育種で用いることができるマーカーは、AO022及びAsp1−T7などの既に上述したものに加えて、表5に列記されている。
表5:GDS遺伝子についてマーカー支援育種に有利に用いることができるマーカー
その既知の雄性祖先株のいずれよりも漿果をつける能力が高く、公表された遺伝子マーカーにより標的とされたヘミ接合性領域上に位置する、雌蕊群発達抑圧因子遺伝子と今や呼ぶ遺伝子での、一ヌクレオチド欠失を有する、例外的な両全性植物が組織培養により得られたことが示された。さらに、この一ヌクレオチド欠失を有するGDS遺伝子が、前記植物と共分離し、これにより、両全性表現型が維持されることが示された。適用された組織培養法はQiao及びFalavigna(1990)により発表された方法に実質的に従う。要約すると、葯が2,4Dを含有する胚誘導培地に移植され、胚様構造(直径1mmの玉)が得られ、これが、新芽が生えるカルスを生成するよう設計された次の培地に移され、これらの新芽が腋芽分裂組織からの新たな新芽の形成が可能となるようにばらばらにされ、最後に、最終的に温室に移植できる根付いたmini−crowを得るために新芽が根誘導培地に置かれる。前世紀の1980年台から、植物の組織培養が体細胞多様性の危険性をもたらすことが認識されていた(Evans等、1984)。体細胞多様性は、点変異(Jiang等、2011)を含み得る。体細胞多様性は、新規表現型の回復の可能性と認識されている(Evans&Bravo、1986)。体細胞多様性は、花の形態学における差を示す植物を含むアスパラガスの表現型多様性をもたらすと記載されている。Pontaroli及びCamadro(2005)は、対応するドナークローン及びその再生体の、植物の高さ、葉状茎の高さ及び形態、群葉の色を比較した。これらの著者は、再生体の1つが青緑(淡い青緑)であり、ドナー及び他の再生体が緑である再生体を得た。本実施例ではより重要だが、Pontaroli及びCamadro(2005)は、通常より雄蕊の数が多く、雄蕊の幾つかが花被片にくっついており、幾つかの花被片も末端の葉状茎と融合している異常花を有する再生体を得た。
5375で観察された特定の変異は、培養を始めるために組織を採取した植物は両全性表現型を示さなかったことから、Qiao及びFalavigna(1990)の方法の後の葯培養で潜在的に生じ得る体細胞多様性から生じた可能性がある。
実施例6及び実施例2で指摘するように、GDS遺伝子は、雌株には存在しない雄株でヘミ接合性の染色体領域に位置している。この結果は、GDS遺伝子の単一機能欠損アレルが、ヘテロ接合雄株でインビボに生じた場合、GDS遺伝子の別の野生型アレルによりマスクされるはずはなく、見過ごされる可能性も低い。
表6:予測エクソンDUF247FG(FGenesh予測)及びDUF247EVM(Evidence Modeler予測)のコード配列(CDS)及び検出されたcDNA配列(DUF247DH)以下は、CDS構造の想像上の翻訳である。
(実施例2)
(両全性変異体K323−G33の遺伝分析)
全雄ハイブリッドK323は、栽培品種Gladioの葯培養から得られた雌性倍加半数体LIM425と、栽培品種Gijnlimの葯培養から得られた雄性倍加半数体LIM428との間の交配である。
LIM428は、他の基準に加え、漿果をつける能力を有しないため、父系植物として選抜された。雄性ハイブリッドK323は、雌蕊群に退化した花柱を有し、その祖父株Gijnlimがときに雄性両全性同株植物を含むにもかかわらず、雄性ハイブリッドK323は、1998−2007の期間に評価された様々なハイブリッドトレイルの15159を超える植物で1つの漿果もつけなかった。放射線変異誘発を介した変化GDSの結果として両全性形質を獲得したK323の変異版を作ることとした。GDSでの変異が伴性両全性形質を有する植物をもたらす別の実施例を提供するという決定は、このハイブリッドが変異誘発の優れた初期材料をもたらすからである。第1の理由は、このハイブリッドが、短日冷温(Franken、1970)や植物齢(3年目に雄性両全性同株性のピークとなる傾向がある)(Franken、1970)などの雄性両全性同株性が好まれるだろう条件下でさえも、漿果をつける傾向を全くみせないことである。こうした条件は、どの場合でもK323の長い評価期間中に起きたはずである。第2の理由は、このハイブリッドの全ての植物が、倍加半数体両親の間の交配から生じているため、遺伝的に同一であることである。従って、ハイブリッドK323に属する植物での表現型の変化はいずれも変異によるもののはずである。
変異を作成するために、隔離した温室内で、蜂の受粉により得られた34000の種子が、Synergy Health facilities(Synergy Health Ede B.V. Morsestraat 3. Ede、オランダ)で彼らの『試験装置』を用いて450グレイの線量でコバルト60γ線照射に晒された。この装置では、コバルト60線源は、サンプルを載せることができる円筒状の容器に同心円状に配置された鉛筆型のロッドから構成されている。種子は、この容器内に積まれたペトリ皿に載せられ、450グレイの指示線量に晒された。与える線量は、当該線量により生じる比色変化を測定するためのPerspexの使用を伴う典型的な線量測定システムにより測定された。
K323の照射済みの種子は、オランダのホーストの屋外に2012年の3月に蒔かれ、最初の花は、翌年の2013年4月から7月までに観察・検査された。種子のおよそ半分が最終的に成熟した植物をもたらし、これは、約17000の花をつけた植物が評価されたことを意味する。各花から発達したようにみえる、枝になる漿果を示す植物が1つみつかった。さらに、この植物は、両性花をつける第2の茎を有していた。従前の観察と一致して、他の全てのK323植物は全く漿果をつけなかった。この一つの両性株K323植物(『K323−G033』又は縮めて『G033』と呼ぶ)が、無昆虫温室に移され、さらに、芝を敷き詰めたポットで育てられた。このポット内で、当該植物は、新しい茎をつけ、その全てが両性花及びその後の完全な着果を示した。着果の実施例は図12Aに示される。同様の温室条件下での、野生型(WT)K323植物の花と比べたときのK323−G033の典型的な花が、図12Bに示される。G033の花は、WT型K323花と比べて、より長い花柱、より発達した(より長くより曲がった)柱頭裂片を有する。季節の後半は、他のハイブリッドでは雄性両全性同株性が好まれる(Franken、1970)短日であったが、最も両性花に見えるWT型K323植物の花が集められ、その最も発達した花柱及び柱頭が変異体で観察されたレベルまでとどき得るかを見つけ出すため、G033と再び比較された(図12C)。変異G033の平均花柱長は、2ミリメートルであり、一方、WT型K323は、最大でも、1ミリメートルの花柱をつけた。明白に、ハイブリッドのWT版と比べてより両性の花を示し、WTハイブリッド及びその父株の植物では決してなかった完全な漿果の着果を示す完全な変異体が作られた。
分析された変異体は、その予測信頼性を確認するための独占マイクロサテライトマーカーにより検証された。これにより、両全性形質を得る元となったこのハイブリッドについて高度に特異的且つ特徴的な固有のマイクロサテライトプロファイルが示された。野生型K323及びそこから派生した両全性植物K323−G033の両方を、これらの配列を比較しどの遺伝子変異が両全性形質をまねくかを見つけ出すために、シーケンスすることとなった。配列は、James H Leebens−Mack博士の研究室が北京ゲノム研究所(BGI)との共同で倍加半数体超雄株DH00/086(version 1.0)のドラフトゲノム配列で研究して構成したゲノム参照配列とアラインされた。この研究では、配列リードは、BGIから得られた100−90bpのペアドエンド及びメイトペアのIllumina配列のアセンブリ(配列は合計163ギガベース、およそのカバレッジは123X)にマップされた。北京ゲノム研究所でSOAPアセンブラーを用いてバイオインフォマティクスにより構築された結果として生じたアセンブリは、コンティグN50が21179bp、スキャフォールドN50が301040bpであった。換言すれば、ゲノムの半分が少なくとも301040bpの長さの1196のシーケンススキャフォールドでアセンブリされる。
北京ゲノム研究所(BGI)は、さらに、DH00/094雌性倍加半数体について100ntのペアドエンドイルミナショートリードのおよそ40Xゲノムカバレッジを生成した。DH00/094雌性倍加半数体は、ゲノムアセンブリ及びアノテーションのために用いられたDH00/086雄性倍加半数体個体の同胞である。
G033及びWT型K323の両方から得られたショートリードが、bwa−mem(Li及びDurban、2009)をデフォルトの設定で用いて参照ゲノム配列とアラインされた。Bowtie2によりコンカレントアライメントを作成した(エンドツーエンドリードアライメントを要し、ソフトクリッピングやスプリットリードアライメントは許されない)。
G033及び野生が対K323植物から得られた葉組織が、Leebens−Mackの研究室で同様にシーケンスされ、各ライブラリについておよそ7Xのホールゲノムショットガンカバレッジ(Illuminaペアドエンド100ntリード)が生成された。両方のライブラリーからのリードがbwa−memを用いてゲノムとアラインされた。GLEAN(例えば、全遺伝子、mRNA、各エクソン、CDS、UTR)で作られた最初のBGIアノテーションからの非トランスポゾンゲノム特徴毎のリードカバレッジが、bedtools coverageBedを用いて、両方のライブラリーについて計数された。γ線照射がG033での欠失を誘導したという仮説の下、データをソートした結果、G033植物で0リードサポート及びK323植物での5つのリードを有する遺伝子特徴が同定され、さらにソートした結果、2つの個体の間で最大のリードカバレッジの差を有する遺伝子特徴が同定された。
この方法を用いることにより、潜在的に2キロ塩基対を超え、G033のゲノム配列に固有のバリアント配列が同定された。伴性BACアセンブリ(M−locus_scaffold4)上の2201:2926位に位置するCDSエクソンは、18のアラインK323リード及び0個のアラインG033リードを有していた。リードカバレッジはJbrowseゲノムブラウザ内で可視化された。5つのリードで単一の位置でbwa−memソフトクリップリードにより示されたこの多様体の境界について強いサポートがあり、これは、図4でリードの右側で矢印により示される。多様体の正確なサイズは、他の境界を同定するためのリードサポートがないため、未知である(以下のさらなる説明を参照)。周辺ゲノム配列の200kb超が、DH00/086リードカバレッジの存在及びDH00/094リードカバレッジの欠如から、ヘミ接合性(Y特異的)であると考えられた。
Jbrowseの画像(図4)から、scaffold M−locus_scaffold 4で表されるゲノム領域(及び同様にgenome scaffold 905)において、変異両全株G033で、DUF247含有遺伝子の、予測イントロン、予測第2エクソンの大部分と、さらに、潜在的な第3エクソンを含むかもしれない転写配列(EVMにより予測される)の大部分と重複する領域において、リードの欠失をもたらした事象が起きたと推測できる。2つの隔たった遺伝子予測を図4に画像として示す。これらの遺伝子予測の配列は図4及び13でみつけられるだろう。
リードがG033について欠如しているアライメントから左の境界で、いわゆる『クリップリード』がみつかった(図4で矢印で示す)。これらのリードがライブラリー配列データから取り出され、これらの全遺伝子配列からそれらを『スプリットリード』とした。これらのスプリットリードでは、ある区域(GO033でリードがある又は欠けている部分に対して左側)は、M−locus_scaffold4(図13に示す配列)との相同性を示し、右側の別の区域は、リードの間では同一であるものの、一貫して、M−locus_scaffold4とは異なっている。これらのスプリットリードに基づいて、コンセンサス配列を作成することができたが、これは、M−locus_scaffold4の位置で元の配列を置き換える挿入が生じたことを開示又は示唆していた。
イントロンのエクソン1側に近いイントロンでの挿入のスプリットリードコンセンサスは、
TCTGCAAGAACAAGGTAAGGAATGTTAATGAAATCTAAATCTTCATACCTTGAAATGTCCCAGCTGTAACTCCAGAAGAACTTGCACAAAATTTTCCTTATTCCTTATTCCTTATTCCTTGCAGTTATATACGTTATAGCGGATC
である(但し、下線部は挿入特異的部分を示す)。
この下線部をG033ライブラリーの配列データをマイニングするためのクエリとして用い、挿入部側にさらに広がるコンセンサス配列を提供するメイトペア配列が同定された。このコンセンサス配列は、
TNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTATATACGTTATAGCGGATCCCATCCATCGGCTCCAAAGCTTCGGCCAGCTGTCGAGCAAGACGTTGACGCTGTCTTTGTCGTGCTCTCTTTGATAATGCCGGAGCGTCTTCAGAAGTC
(但し、Nは未知塩基を示す)であった。
問題の挿入の配列にアニールし、第1エクソンの方を向いた2つのリバースプライマー(CN83及びCN84と示す)(表3のプライマーを参照)が設計された。G033についてこれまで集めた短い配列の全てが実際にインサートの境界を正確に表していることを確認するために、これらのプライマーとエクソン1特異的プライマーCN78とを組み合わせてPCRで検査した。用いた鋳型配列は、K323−WT、両全株G033、及びDH00/086であった(但し、最後のものは参照ゲノムに対応するサンプルを表す)。K323−WT植物及び参照ゲノムサンプルでは欠如しており、遺伝子マーカーとして用いることができる(図11参照)、固有の断片が変異G033で得られた。この断片のシーケンシングにより得られたサンガー配列を以下に示す。
CCTTCGTATGGACGTCATAAACACAGGGCGCTACTGAACTTCCTCATCCGATGTCAAGTGTCGATCCATGACATCATACGAGCCCTGAGGAAGAACCTGCACGATTTCAGAGCCTGCTATCAAGATCTTGACACCTTTTGGATGAAGAATGATGATGAGTTCCTAAAAATCATGATTTACGATGGGGCTTTCATGATTGAAATCATGATAGCGACCGTTGAACCATATGAGCGCACACCTTCTAGCTATCATGCCAAGGACCCAATATTCAAGAAGCCATACTTGGTCGAAGATCTTCGTGTAGATATGCTCAGGTTGGATAATCAAATTCCAATGAAGGTCCTGGAGATATTGTCTAAATTCTGCAAGAACAAGGTAAGGAATGTTAATGAAATCTAAATCTTCATACCTTGAAATGTCCCAGCTGTAACTCCAGAAGAACTTGCACAAAATTTTCCTTATTCCTTATTCCTTATTCCTTGCAGTTATATACGTTATAGCGGATCCCATCCATCGGCTCCAAAGCTTCGGCCAGCTGTCGAGCAAGACGTTGACGCTGTCTTTGTCGTGCTCTCTTTGAT
この配列の予測イントロン中でのアライメントを図5に示す。サンガーシーケンシングから、当該断片が、『キメラ』であり、そして、予測イントロンで生じることが知られている配列と、その後に続く、挿入様事象(おそらく殆どの場合、『置換挿入』と呼ばれる)から生じたはずである固有の『下流』部分とを含むことが証明された。正確な事象がなんで合ったかはさておき、G033変異植物は、明白に、GDS遺伝子(実施例1に記載)の、予測イントロン、予測エクソン2及びエクソン3でのリードを欠如しており、破壊されたGDS遺伝子を有する。J−browseでのリードマッピングの研究から、G033のリードがGDS遺伝子のさらに下流の配列も欠如していることが教示される。この下流領域は、一連の反復DNAを含んでおり、コピー数が少ない又は一つの領域により隔てられている。このことは、雌性参照DH00/094(実施例1に記載)のリードマッピングで幾つかのリードが特定のサブ領域にマップされること(コピー数が多いDNAを含むこと)が示されたことから推測できる。この下流領域は、上記の真に固有で雄性特異的なDNAのサブ領域にマップできる雌性リードが存在しないことから、リードカバレッジでのギャップにより破壊されている。予測通り、リードのこの『パッチ状分布』は、同じ参照にマップされたDH00/086のリードでは観察されない。ゲノムブラウザーJ−browseでのリードマッピングの研究から明らかなように、G033から得られたリードはパッチ状リード分布を示し、雌性DH00/094の分布とはMlocus−Scaffold 4の17500位までは比較可能であるものの、K323−WTのリードマッピングは、典型的な連続リードマッピングを示し、DH00/086参照雄株のものと比較可能であることが示された。
要するに、リードマッピングの展望を概観すると、G033での『挿入置換事象』により生じた消失部の末端は、GDS遺伝子のイントロンから、スキャフォールド開始点から大雑把に1.8kb前の位置までに位置していることが示唆される。後者の位置のさらに下流では、G033及びK323−WT対照植物の両方で比較可能な深度のリードマッピングが観察される。破壊されたGDS遺伝子から『挿入置換事象』の仮説上の待ったまでにまたがる猟奇では、3つのコード配列がFGENESHによる同定でみつられる。3つのコード配列の全てが、非冗長タンパク質に対してBLASTx(Altshul等、1990)を用いたとき、Integrase、catalytic region、Zinc finger, CCHC−type(ABD32582.1)、Retrotransposon gag protein [Asparagus officinalis] ABD63142.1、及びRetrotransposon gag protein [Asparagus officinalis] ABD63135.1.などのヒットを示す。これらのアノテーションは植物遺伝子ではなくトランスポゾンに関連していたので、実施例1で記載の変異と同様に、GDS遺伝子の変異により両全性植物が作出されたと結論付けられた。
G033の両全性形質の分離をさらに調査するために、数種の交配が行われた。挿入置換事象を示すCN78/CN83マーカーの共分離についての後の研究のために、オフスプリングから、性が記録され、DNAが単離された。表現型検査は、花の視覚的検査(花を両性花、雌花、雄花に分類する)及び無昆虫条件下での完全漿果着果の検査の両方により行った。得られた結果は表4に提示する。
表4:変異G033を親植物として用いて作出された3つの家系(G033の自家受精、雄性DHと交配させたG033、G033と交配させた雌株)について、当該家系のマーカーの結果も用いて得られた表現型分離の結果『マーカー存在』は、図11に示したような研究した特定の植物について鋳型DNAを用いて、欠失/挿入事象検査用のプライマー対CN78/CN83又はCN78/CN84で生じるPCR断片が、増幅されたこと、即ち、存在することを意味する。
G033の自家受精から得られた家系(予測遺伝子型Aaffを有すると考えられる)は、予期された3:1の比率とは顕著に異なる(p<0.02)、46の両全株及び8つの雌株ともたらした。この逸脱の説明仮説として、雌性植物は通常雄性植物よりも遅く開花し(Lopez_Anido&Cointry、2008、p99)、また、両性株よりも遅く開花する可能性もあることから、雌株であるかもしれない数多くの植物が成長期の間に表現型検査を受けなかったことが挙げられる。開花しなかった植物の15のうち1つを除いた全てが、GDS遺伝子変異の検査マーカーを欠如しており、これは、GDS遺伝子と両全性形質との連鎖及び雌性植物で見込まれる遅延開花と一致している。さらに、全ての両全株がCN78/CN83マーカーを有し、一方、8つの雌株ではこれは欠如していた。
第2交配では、両全株G033は、除雄され、母植物として、雄性倍加半数体と交配された。これは、遺伝子型Aaff×AAFFの交配型と表現できる。GDS遺伝子での変異の検査用マーカーが1:1の比率(10:14)で分離する24の雄性植物の家系が得られた。これは、実施例1で提示した結果と一致しており、雄性植物由来の雌蕊群発達の抑制因子の顕性アレルが、既に観察された両全株の雌蕊群発達を遮ることをやはり示す。そのため、両全性形質は潜性形質であると結論できる。
第3交配では、雌株が両性株により受粉され、53の両全株と33の雌株を含む93の植物の家系ができた。この比率は、3:1の比率から顕著に逸脱しており、上述のように、まだ開花していない7つの植物が雌性植物であると仮定すると、この逸脱はよりいっそう大きくなる。しかし、GDS遺伝子での『挿入欠失事象』検査用マーカーは両全性形質と完全に共分離し、雌蕊群発達を抑圧する顕性遺伝子を持たない家系での葯発達を可能とする顕性遺伝子という遺伝モデルが確認された。
上記の交配の全てにおいて、両全株の花が、その全てから漿果が発達する両性花であったことに留意されたい。
要するに、雄性特異的領域でのGDS遺伝子の破壊が放射線変異誘発を用いてなされたことが示された。この変異遺伝子は、次の世代に転移可能であり、両全性形質のメンデル性遺伝をもたらす。
(実施例3)
(雌性抑圧遺伝子を含むDUF247ドメインのエピアレル)
繁殖系統K1036を、受粉のためのハチが配置された、隔離された温室内で種子繁殖させると、通常、植物の半分は漿果を産生しない雄株であると予想されるが、全ての植物が漿果を産生したことが認められた。数年後、両全性形質の遺伝を解明するため、K1036を再び播種した。16の植物の開花及び着果を評価した。植物は、いずれもよく発達した葯を有しているため、無昆虫条件下で着果することができた。これらの植物及び/又はその枝の間では、着果が幾分異なることが認められた。着果のいくつかの失敗はあったものの、植物の漿果の数は95%の高さに達することができ、これは異例の高さである。繁殖記録では、繁殖系統K1036が繁殖した世代数の情報が不十分であるため、5つのK1036植物につき、繁殖ストックの信頼性及び近親交配のレベルの双方をモニターするために常用されている30の独占マイクロサテライトマーカーのセットを用いて遺伝子型同定を行った。5つの両全株は、30の(高頻度可変性の)座位において完全にホモ接合型で現れ、事実上同一であった(結果は示さない)。4つの植物は完全に同一であり、1つの植物は、30個の座位のうち2つのみが他の3つの植物と異なり、対立アレルのホモ接合となっていた。K1036について観察されたレベルのホモ接合性は、通常、葯培養によって得られた倍加半数体についてのみ見出される。結論として、両全性K1036は、完全同型接合(同系)近交系の材料を表す。いくつかの植物の着果が95%という高さである事実にもかかわらず、すべての植物が完全に結実したわけではなく、いくつかの植物は、数十の花が漿果を欠いた。これらの植物は事実上同系であることが判明したため、着果の違いは、当初、テーブル上の他の植物を覆っている植物、植え替え後の生育が不十分な植物、灌水の不足、温暖な気候条件下での受粉などの不均一な生育条件に起因すると考えられた。着果が不完全となる現象をさらに分析するため、いくつかのK1036両全株を、2つ(88系統及び105系統)の雌性検定株と交配した。これらの検定交配によって得られたF1植物はすべて葯を生成し、すべての植物は無昆虫条件下で漿果を産生することができた。着果は等級1−5へと評価しており、これらはそれぞれ、0〜20%、20%〜40%、40%〜60%、60%〜80%、80%〜100%の着果に概ね対応する。ほとんどのF1は、あたかもすべてのF1ハイブリッドが本質的に完全に浸透性の形質を継承したかのように高度に両全性(等級5)であることが観察された。しかしながら、F1家系内の植物の中には着果の劣ったいくつかの植物が再びみられ、また、1つの植物のF1子孫(867F1b。父株はID215292)は、はるかに低い着果で際立っており、あたかもこの特定のF1子孫については異なる遺伝要因が存在しているかと思われるようであった。F1ハイブリッドの着果を表31に示す。別の実験では、自己受精した個々のK1036両全株から得た家系の着果を記録した。これらの結果を表32に示す。これらの結果は、着果に関してファミリーが分離しているとみられること、及び、平均着果が家系によって異なることを再び示している。しかし、特定のK1036父株のIDの着果を自己受精の結果としてみて、この着果を、これら特定のK1036父株のIDによって生み出された雌性の検定交配種の家系の着果と比較すると、両者間には明らかな相関がないとみられる(同じ21529IDにつき、表31及び表32参照)。
表31:雌性検定株(88番または105番のいずれか)を受粉するK1036父株から得られたF1検定交配種の着果。着果は等級1−5へと評価しており、これらはそれぞれ、0〜20%、20%〜40%、40%〜60%、60%〜80%、80%〜100%の着果(漿果)に概ね対応する。
表32:株IDにより示される特定のK1036の自家受粉から得られたF1検定交配種の着果。着果は等級1−5へと評価しており、これらはそれぞれ、0〜20%、20%〜40%、40%〜60%、60%〜80%、80%〜100%の着果(漿果)に概ね対応する。
したがって、観察された変異が遺伝性のものであるか、または環境に大きく制御されているのかは、疑問の余地があった。遺伝的性質をさらに解析するため、除雄した両全性K1036植物(ID215497)を超雄株(88番の倍加半数体、DH02/504と命名)と交配させた。この交配により、3つのF1ハイブリッド(861F1−124M、861F1−126M及び861F1−128Mと命名)が得られ、これらの植物はすべて完全に雄性、すなわち、すべて稔性の葯を有し、果実の産生をしなかった。このことは、K1036に由来する両全性形質が、超雄株DH02/504の雄性形質に対して潜性であることを示す。K1036と雌株の検定交配により両全株が得られた一方、超雄株との交配では雄株のみが得られたという事実は、K1036が、実施例1及び実施例2の両全株については見出されたような雌性抑圧因子を欠いている可能性があることを示唆する。これをさらに調べるために、両性株×超雄性F1ハイブリッドを88番の雌株へと戻し交配した。雌性の個体88−100599と個体861F1−124Mとの間の交配である家系861BC1dにつき、着果及び花の形態について表現型を決定し、性関連マーカーを用いて遺伝子型を決定した。遺伝的には、これは、近交系88番雌株×(両全株K1036x近交系88番超雄株)種の疑似検定交配である。合計91の植物が性別を区別でき、うち53が雄株で38が両全株であって、1:1の比からの有意な乖離はなかった(p>0.11)。マーカーAO022は、試験した91個の試料において3回の組換え事象を示し、マーカーAsp_80(プライマーは実施例1の表3参照)は、試験した85個体のうち2つの組換え事象しか示さなかった。このことは、潜性の両全性形質が、実施例1及び実施例2の両全株について見出されたように、M座位に関連していることを示す。着果に若干の変動がみられたK1036由来の他の家系とは対照的に、この特定の家系861BC1dの両全株の間には著しい変動がなく、すべての両全株がほぼ完全な着果を示し、最大の着果スコア「5」を示した。家系861BC1dのすべての両全株は、Franken、1969 p37の分類を用いて4または5のスコアを得られる、十分に発達した花柱を示した。家系861BC1dのすべての雄株においてはこの花柱は欠けており、これらの雄株はいずれも漿果を産生しなかったので、少しも雄性両全同株性さえ有していなかった。861BC1dに分離され、この集団における分離表現型を代表する2個の花の表現型の例を図14に示す。結論として、K1036に由来し、家系86IFIdに分離された両全株は、明確な単一遺伝性潜性形質であり、M座位に連鎖している。
実施例1及び実施例2の両全株は、M座位に連鎖したGDS遺伝子において、それぞれ、単一ヌクレオチド欠失及び大きな挿入欠失を示したので、K1036両全株M座位GDSアレルについても変異が予想された。テンプレートDNAとしてK1036を使用し、プライマー対CN67/68、CN67/CN82、CN59/CN70、CN69/CN81、CN59/CN60(表3、実施例1参照)を使用する両方向へのPCR断片の配列決定を行ったが、特有の配列の変異は見出されなかった。K1036は、第2予測エキソンの58番目のアミノ酸におけるセリンアミノ酸(AGC〜AGT)の第3コドン位置のSNPを特徴とするGDS遺伝子ハプロタイプを示し、これは、(両全性ではなく)雄性の繁殖系統9M(9Mの配列については図13を参照)にも見出され得る同義の置換であり(したがって、セリンアミノ酸を保持するサイレント変異であり)、この特定のSNPが性別決定に影響を及ぼさないことを示す。この特定のSNPは、後に遺伝子マーカー標的として利用された(下記参照)。両全性K1036及び雄性9Mの、M座位に連鎖したGDS遺伝子の配列は完全に同一であることが判明した。K1036を9M半数体から区別することができる突然変異のためにM座位に連鎖したGDS遺伝子の上流の配列情報を得る試みは失敗しているが(結果は示していない)、この配列の性質に依存している可能性がある。さらに上流のスキャフォールド905に位置する遺伝子を含むDUF4283に向かうGDS遺伝子の上流の未知の領域と重複する3個のPAC Bioリードが得られている(結果は示していない)。これらのPAC BIOのリードによって得られた情報は、GDS遺伝子の上流の領域が高度に反復性であり、K1036及び9Mの両方についてGDS遺伝子の上流(遺伝子プロモーターまたは他のシス調節エレメントを含み得る)のサンガー配列決定を行えるプライマーを設計することを不可能とするような、大きなAT反復配列、または、GCに富む短い反復配列が散在した、ATに富む大きな反復配列を有することを示唆している(結果は示されていない)。「配列ギャップ」に隣接するプライマーを用いた長距離増幅により、最初に対として使用された2個のプライマーのうちの一方を欠く、PCRで増幅されたものであるために真正ではない指紋様の模様または断片が得られた。結果は示されていない。結論として、M座位に連鎖したGDS遺伝子の上流の配列情報を得ることは不可能であった。
GDS近くの配列変異を検出するための新たな試みを行う価値があるか否かを調べるためには、M座位に連鎖したGDS遺伝子(領域)において、K1036家系の突然変異を実際に探すべきであり、K1036の両全性形質のさらに詳細なマッピングが試みられた。この目的のため、近交系88系統雌性x(両全株K1036×近交系88系統超雄株)の型の『861 BCl交配』をさらに作製した。温室での最適な使用のためには、M座位に連鎖したGDS遺伝子に5センチモルガン未満の遺伝的距離で両側で隣接するマイクロサテライトマーカーAO022及びAsp−80(マーカーの詳細については実施例1参照)の間の組換え事象を経た若い植物のみを選択して維持することにより、集団のサイズを減少させることを要した。その後、これらの「マーカー組換え植物」の開花及び着果につき表現型を調べた。マーカーAO022及びAsp−80に加えて、Melting CurveマーカーCP80/CP81(プライマーについては表3参照)によって、GDSアレルについて、植物の遺伝子型を決定した。このマーカーは、88番の超雄株の他の祖父母DH02/504のアレルとは異なる、両全株の祖父母K1036のGDS遺伝子の第2予測エキソンのSNPを標的とする。
集団861BCla、861BClb、861BClc、861BCle及び861BClfについては、それぞれ、22個、327個、135個、86個及び33個の個体を増殖させ、これらからは、さらなる表現型決定のためにマーカーAO022とGDS座位との間の18の組換え体及びGDS座位とAsp_80との間の8つの組換え体を得た。それらの組換え体は、いくつかの「対照株」(AO022、GDS、及びAsp_80との組換えをしていない)とともに44の植物の集団をなし、これを次季においてさらに表現型決定した。この集団のうち25の植物は、DH02/504雄株の祖父母に由来するGDSアレルを有していたが、漿果を産生する能力がなかった。これら25の植物はすべて、Franken,1969;p37の尺度によれば、1(花柱がまったくない)に分類される花柱の長さを有していた。結論として、BC1植物がDH02/504雄性祖父母M座位GDSアレルを受け取った場合、これは雄性植物となっていた。集団中の19の植物は、K1036両全性祖父母M座位GDSアレルを有していた。これら19の植物のうちには、変異がみられた:12の植物は500個を超える漿果を産生し、これらの植物は、「5」(n=9)またはあるいは「4」(n=3)に分類される花柱を有していた。2つの植物は約200の漿果を産生し、「5」または「4」に分類される花柱を有していた。他の2つの植物はおよそ100の漿果を産生し、「3」及び「2」に分類される花柱を有していた。残りの3つの植物は、「1」に分類されるにすぎない花柱を有し、5つの漿果しか産生せず(n=1)、またはまったく果実を産生しなかった(n=2)。着果できなかった1つの植物は、K1036両全性祖父母M座位GDSアレルを保有しており、「マーカー組換え」よりむしろ「対照区」の両全株であり、このことは、着果の変動という現象がそれ自体ではM座位領域組換えには関連しておらず、この集団において一般的に起こっていた現象であったことを示す。
結論として、付加的な861BC1家系では、(ちょうど861BC1d家系のように)いずれも雄性であるDH02/504雄性祖父母M座位GDSアレルを保有する植物の間では着果が観察されなかったが、一方で、K1036両全性祖父母M座位GDSアレルを保有する株の間では、2つの植物以外のすべてが着果した。しかしながら、着果したこれらの植物の間では着果のレベルの変動がみられた。この着果は、花柱がどの程度発達していたか関連するものとみられる。付加的な861BC1家系(861BC1d以外の861BC1a−f)についてみられたこの状況は、861BC1d家系で得られた結果と比較して異なっており、後者の集団では、K1036両全性祖父母M座位GDSアレルを保有するすべての植物において(すなわち、例外なく)、変動なく高レベルの両全性がみられた。
実施例1及び実施例2では、潜性アレルが、通常は顕性雌性抑圧因子GDSの喪失を引き起こしたことが示されている。本実施例の861BC1d家系で得られた結果は、機能欠損の原因は明らかではないものの、このモデルとは整合する。他の861BC1家系については、「不完全に喪失した」または「不完全に抑圧された」雌性抑圧GDS遺伝子と解釈されなければならない可能性のあるK1036両全性祖父母M座位GDSアレルの不完全な浸透を示唆する表現型が見出された。
先の家系の表現型決定の期間と重複する後の期間において、861BCljと命名した別の861BC1家系を、2つのマーカーについて遺伝子型決定した。第1のHRMマーカーは、A20/AN1様ジンクフィンガーファミリータンパク質遺伝子、略称「A20/AN1様」(プライマーCM45/CM46、表33参照)に位置して、マーカーAO022を置き換え、第2のマーカーはAsp_80(CK63/CK64、実施例1の表3)である。861BCljの子孫を着果について評価した時点では、いくつかの家系について、着果が環境的に制御されるよりはむしろ遺伝的に決定されるということが大部分不明であったので、これらの株についての様々な数の着果及び着果を、定量的にではなく着果できたか否かで大まかにスコアリングしていた。GDS座位に隣接するマーカー「A20/AN1様」Asp_80についてK1036両全性祖父母アレルにつき「非組換え」であった株は142の植物であった。これら142の植物のうち、118の植物は漿果を産生し、24の植物は着果しなかった。GDS座位に隣接するマーカー「A20/AN1様」及びAsp_80についてDH02/504雄性祖父母アレルを有し「非組換え」であった植物は135であり、いずれも雄性であり着果しなかった。6個のマーカー組換え体は、それらの型のGDSアレルに基づいて予想された表現型を示した。
K1036の両全性祖父母由来のアレルにもかかわらず漿果を産生しなかった24の植物は、8つの両全性「対照植物」及び11の雄性の「対照植物」とともに(これらの対照株は、両全性K1036及び雄性DH02/504祖父母にそれぞれ由来するこれらのマーカーアレルA20/AN1様及びAsp_80と一致する表現型を示した)、以前に表現型決定が行われていなかった3つの植物、A20/AN1様とGDS遺伝子との間の組換え事象を経た1つの植物及びGDS遺伝子とAsp_80との間の組換え事象を示した4つの植物とともに、表現型決定のため次季に保存した。次の評価では、漿果の数及び花の形態をより注意深く決定した。11の雄性対照植物は、また漿果をまったく産生せず、発達の悪い花柱(スコア1)を有していた。GDS座位に連鎖したマーカーの祖父母アレルに基づいて両全性であることが予想された植物は、着果及び花の形態につき多様性を示した。K1036両全性祖父母GDSアレルを有していた36の植物のうち、6つの植物は100個の漿果を産生し、6つの植物は25―65個の漿果を産生し、7つの植物は1−18個の漿果を産生し、残りは漿果をまったく産生しなかった。
これは、この家系において、K1036祖父母GDSアレルの雌性抑圧の喪失が不完全であったことを再び示した。
K1036に由来するGDSアレルが、メロンにおける性別決定について見出された(Martin等、2009)ようにエピアレルであり得るか否かを調べるために、両全株K1036について、両全株K1036の亜硫酸塩配列決定データ、雄性DH00/086の、及び9系統についてはK1036と同じGDSハプロタイプを有する雄性の(SNPを共有するため)、基準ゲノムを得ることとした。以下に、データを得るために使用された材料及び方法を記す。
(ライブラリー)
Illumina配列決定ライブラリーを、亜硫酸塩変換DNAから調製した。亜硫酸塩変換後、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換したが、5−メチル−シトシンは損傷しないままであった。PCR増幅の後、変換されたヌクレオチドはチミンを生じたが、非変換のヌクレオチドはシトシンのままであった。各ライブラリーについて、2μgの全DNAをCovaris−S2を用いて約550ntで超音波処理した。End−It−Kit(Epicentre)を製造元の指示に従って使用し、末端修復を行った。反応物を、0.8X AmpureXPビーズを用いて洗浄した。Klenow(3’−5’エキソマイナス、NEB)を用いてAテーリングを行い、37℃で30分間インキュベートした。反応物を、0.8X AmpureXPビーズを用いて再び洗浄した。T4DNAリガーゼ(NEB)を用いて、Aテールされた各断片にNextFlex配列決定アダプターをリガンド結合し、16℃で一晩インキュベートした。リガンド結合反応物を、IX AmpureXPを用いて2回洗浄した。MethyCodeキット(Life Technologies)を製造者の指示に従って使用し、亜硫酸塩変換を行った。亜硫酸塩処理したDNAを、Kapa Uarcil+2xReadymixを用い、以下のプロトコルに従って増幅した。:95℃で2分、98℃で30秒、次いで[98℃で15秒、60℃で30秒及び72℃で4分]を4サイクル、最後は72℃で10分。
増幅された亜硫酸塩ライブラリーを、IX AmpureXPを用いて再び清浄し、イルミナNexSeq500で、ペアードエンド150ntリードにより配列決定した。
(バイオインフォマティクス)
ペアードエンドIlluminaリードは、BWA−meth(Pederson,2014)をbwa−mem(Li,2013)バージョン0.10とで用いて、以下のコマンドライン(/usr/local/bin/bwameth.py −−reference.. /Genome/02. assembly _result/V2.0/Asparagus.V2.0. genome. fa −t 10 −−calmd −p DH0086 DH0086_bisulfite_l.fq.gz DH0086_bisulfite_2.fq.gz)を用いて、Asparagus 2.0基準ゲノム(ソース)にマッピングした。bwa−methは、計算上変換された2個の基準配列を生成する。1個は、すべてのシトシンがチミンに変換される順鎖すなわちワトソン鎖であり、1個は、すべてのグアニンがアデニンに変換されるクリック鎖すなわち逆鎖である。読み取られたペアは、計算上変換された双方のゲノムにマッピングし、40より高いマッピングスコアでペアがワトソン鎖またはクリック鎖にマッピングされた場合、ペアを保持した。ペアがワトソン鎖とクリック鎖の両方に一致する場合は、最も高い得点のペアのみを保持した。得られたBAMアライメント・ファイル「YD:Z:f」内のカスタムリードグループタグで、ワトソン鎖にマッピングされたリードペアを識別し、一方、「YD:Z:r」で、クリック鎖にマッピングされたリードを識別した。これらのタグに基づき、以下のbashコマンドを用いて、リードをワトソンマッピングとクリックマッピングペアに分離した:「samtools view −h all.bam |tee >(grep”^@\|YD:Z: f”|samtools view
マッピングの後、ゲノムのすべてのヌクレオチドを反復するカスタムPythonスクリプトを作成した。このような(Python)スクリプトの作成は、この技術に精通したバイオインフォマティシャンであれば行うことができる。ワトソン及びクリック鎖の両方の全てのシトシンについて、正しい文脈で、CG、CHGまたはCHH(HはC、AまたはT)を特定した。ヌクレオチドは、このジヌクレオチド対に続く塩基がまたGであっても、ワトソン鎖上のCG文脈にあると考えられるので、配列「CGG」の最初のヌクレオチドはCG文脈にあると考えられる。第2の位置のGとは反対の、クリック鎖上に存在するシトシンは、同じ鎖上の3’下流のヌクレオチドがGであるので、これもCG文脈にあると考えられる。同様に、第3のGとは反対のシトシンは、クリック鎖上の最初の3’下流のヌクレオチドがCである一方、この鎖の2番目の3’下流のヌクレオチドがGであるので、CHG文脈にあると考えられる。ワトソン鎖及びクリック鎖について、全ヌクレオチドに対する変換されていないものの数を数えることにより、メチル化レベルを個別に特定した。ワトソン鎖では、変換されたヌクレオチドは。基準ヌクレオチドのCではチミン(T)で表され、一方、クリック鎖では、変換されたヌクレオチドは、基準ヌクレオチドのGではアデニン(A)として表される。samtoools(バージョン1.2)パイルアップを用いて、ワトソン鎖及びクリック鎖双方のシトシンについて、位置当たりの変換率を同時に計算した。メチル化は、ヌクレオチド多型が明らかでない位置についてのみ必要とされた。メチル化多型とヌクレオチド多型(SNP)とは、後者の場合、ワトソン及びクリック鎖の両方が多型の証拠を示す一方、メチル化多型はワトソン鎖またはクリック鎖のいずれかにのみ存在するため、区別できる。これは、亜硫酸塩変換がシトシンにのみ影響を与え、反対側の鎖上のグアニンを損傷しないまま残すという事実に起因する。両方の鎖で十分な範囲のリードがあれば、メチル化多型は、このようにしてヌクレオチド多型から確実に区別される。
(結果)
M座位に連鎖した、配列番号1のコード領域(実施例1参照)によって示される、DUF247ドメインを有するScaffold_905 Asparagus Version2.0の参照ゲノム上に位置する名称「Aof030575.3」の遺伝子は、K1036とDH00/086との間で、49815から51.249位置の1434塩基対領域におけるCHGメチル化に顕著な差異を示した。この領域には、CHG文脈に合計113個のヌクレオチドが存在する。K1036については、平均メチル化レベルは0.73であったが、一方でDH00/086では、平均メチル化レベルは0.03であった。K1036とDH00/086との間で平均メチル化レベルの間に差がないという帰無仮説を用いて不等分散を仮定し、Microsoft Excelバージョン5.13.1(150807)で実施されたスチューデントのT検定では、P(T<=t)=9.03E−61に基づいてこれが棄却された。K1036とDH00/086との間では、塩基の間のScaffold_905ゲノムバージョン2.0の塩基49.815から51.249(図13のScaffold_905の位置309757−308323に相当する)について、CHGメチル化の差は極めて有意であった。解析の結果を図15に示す。
亜硫酸塩データにより、K1036 GDSアレルにおける顕著に高いCHGメチル化が明らかになったため、4つの861BC1同胞より亜硫酸塩配列決定データを得ることとした。これら4つの同胞は、すべて祖父母K1036からのGDSアレルを有していた。しかし、2つは高度に両全性(n>100の漿果)であった一方、他の2個の同胞は事実上漿果を産生できなかった。この仮説は、もしメチル化が雌性抑圧遺伝子を抑圧する役割を果たすならば、両全性祖父母K1036のGDSアレルを有し高度にメチル化されたままの植物は両全性であり、一方で、何らかの理由で(部分的に)このメチル化を喪失した株は「脱抑制」され、かくして活性化された雌性抑圧遺伝子を有し、厳密に雄性ではないにしても、より両全性でなくなる、というものであった。メチル化の損失のために、高度に両全性であるところから、より両全性でないか、あるいは雄性へさえ表現型を変えると仮定された株を、「復帰変異株」と命名した。
亜硫酸塩処理されたゲノムDNAから、亜硫酸塩処理されたテンプレートの増幅を可能にするプライマーを用いたPCRによって、サンガー法のリードを得た。この目的に向けて、配列のin silico変換を生成するため、GDS遺伝子配列をBisurlfite Primer Seeker 12Sにインポートした。続いて、この配列をPrimer3(Untergrasser、2012)にインポートし、プライマーを設計及び選択した。亜硫酸塩で処理されたDH00/086及びK1036テンプレートのワトソン及びクリックの配列リードのJ−Browseにおける視覚的表現により、差次的メチル化(または単一メチル化多型;SMP)を含む比較的小さな標的(100−300nt)を注意深く選択することができた。差次的メチル化されたDNA標的においてミスマッチが生じるので、プライマーはこれらがSMPにアニーリングしないように選択された。設計されたプライマーは、亜硫酸塩処理したテンプレートDNAを用いて256nt断片の増幅を可能にするCS77及びCS78(表33参照)である。PCRは、EZ DNA Methylation−Lightning(商標)キット(Zymogn Irvine、CA92614、米国)を用いて亜硫酸塩処理されたCTAB単離DNA(Doyle and Doyle、1990)に適用される製造者のプロトコルに従ってポリメラーゼとしてKapa Uracil Plus(オランダ、オフテンのSopachemから購入)を用いて行った。PCR断片は、オランダ、ライデンのBaseClearによって、サンガー法による配列決定を受けた。Geneious(Biomatters、オークランド、ニュージーランド)の配列アラインメントが、以下の「高品質配列部分」を提供した:
TTTGGATGAAGAATGATGATGAGTTCCTAAAAATCATGATTTACGATGGGGCTTTCATGATTGAAATCATGATAGCGACCGTTGAACCATATGAGCGCACACCTTCTAGCTATCATGCCAAGGACCCAATATTCAAGAAGCCATACTTGGTCGAAGATCTTCGTGTAGATATGCTCAGGTTGGATAATCAAATTCCAATGAAGGTCCTGGAGATATTGTCTAAATTCTGCAAGAACAAGGTAAGGAATGTTAATGAAA
この高品質配列部分において、「二重ピークC/T SNP」として際立っているSMPが、それぞれ、79、88、103、119、127、142、176、196、207、220及び227の11の位置にみられ、一方、他の多くの位置(n=26)では、亜硫酸塩のCからTへの変換が完了しており、したがって、4個の試料についてチミン以外の二重ピークはみられず、分析されたすべての試料について亜硫酸塩処理が成功したことを示した。
これらのSMPの混合C対Tピークプロット内の相対ピークプロット高としてシトシンの相対量を定量するために、プログラムMutation Surveyor5.0(Softgenetics、州立大学、パサデナ、米国)を使用した。abiファイルは「Sample Files」としてインポートし、高品質配列FASTAファイルは、Mutation SurveyorのOpen Fileメニューに必要な「Genbank配列ファイル」としてインポートした。設定は、MethylationオプションがチェックされているProcess−>Setting−>Othersメニューで調整した。Set by Userメニューでは、CG−>TGオプションのみがチェックされていなかったので、Processドロップダウンメニューで「Run」を押し、ツールバーのMutation Quantifierボタンを押した。定量された突然変異(SMP)は、その後、プレッドシートに現われ、それに基づいて特定のSMPにおけるシトシンの百分率を取って表34に要約した。明らかに、二重のC対Tピークにより単一のメチル化多型または「SMP」が明らかになり、シトシンのピーク高は、復帰変異株について観察されたシトシンのピーク高さと比較すると、2個の両全株サンプルにおいてより高かった。これは、メチル化が、「オールオアナッシング」な差異ではなく定量的であった「復帰変異体」と比較して、高度に両全性である2個の試料においてより顕著であったことを意味する。
亜硫酸塩配列決定は、標的DNAを分解するものであり技術的に困難であるため、GDS遺伝子の差次的メチル化を定量するために他の手法を適用した。この目的のため、メチル化感受性/障害性制限酵素の認識部位と重複するSMPについて配列を検査した。
この手順により、2種のアッセイを設計した。第1のアッセイでは、メチル化感受性制限酵素EcoRII(CCWGG:mCを標的SMPとして、プラス鎖上のCmCTGG及びマイナス鎖上のCmCAGGを標的とする)の、CN67の5’プライム末端に対する位置82−86及び148−152における2個の認識部位を含む353ntゲノム領域をカバーするために、プライマーCN67及びCP32(表3の実施例1)を用いて断片を増幅する。
第2のアッセイでは、酵素GsuI(mCを標的SMPとして、プラス鎖及びマイナス鎖上のCTCmCAG及びmCTGGAGを標的とする)の、CN35の5’プライム末端に対する位置184−189における1個の認識部位を含む353ntゲノム領域をカバーするために、プライマーCN35及びCP82(表3の実施例1)を用いて断片を増幅する。
KingFisher96機器(Thermo−Scientific、ブレダ、オランダ)上でsbeadex(登録商標)ミニプラントキット(LGC Genomics GmbH、ベルリン、ドイツ)を用いて単離した40ナノグラムのゲノムテンプレートDNAを、EcoRII及びGsuI(Life−Technologies)の2個のユニットを用い、15μlの容量で1x標準緩衝液中で4時間個別に消化した。対照DNAは、酵素をMQ水で置き換えた点を除き、同様のインキュベーションからなるものとした。続いて、この酵素処理及び非酵素処理されたテンプレートDNAを2μl、PhireII(Life technologies)及びLC green Biofire defense、ソルトレークシティ、米国)を用いて98℃で1分、[98℃:10秒、62℃:5秒及び72℃:10秒]を40サイクルにプログラムされたCFX96リアルタイムシステム(Bio−Rad、ヴィーネンダール、オランダ)によってカバーされたC1000TouchThermalサイクラーでの10μlのPCRで個別に用いた。
表34:亜硫酸塩処理したゲノムDNAテンプレートから得られた258ntのPCR断片からのサンガー法による配列リード中の11個のSMPにおけるシトシン(C+T=100%)の百分率。テンプレートは、2つの強い両全株(植物あたり100を超える漿果を産生する)から得られた303及び580、及び、2個の「復帰変異株」から得たものであって、K1036祖父母DUF247アレルにもかかわらずひとつは1個の漿果しか産生せずひとつはまったく漿果を産生しない600及び606である。順方向のリードについては、(信頼性のある)情報が不足しているため、一部のSMPを得ることができなかった。それを「nd」と表示する。他の26の位置で、すべての試料につきCからTへの変換は完了した(結果は示していない)。両方のリードに保持された、すなわちメチル化を示すシトシンの百分率は、復帰突然変異体と比較して両全株の方がはるかに高いことに留意されたい。これは、メチル化の明らかな喪失が雌性抑圧遺伝子を再活性化させ、復帰変異株の着果を低下させることを示唆している。
亜硫酸塩処理したゲノムDNAテンプレートから得られた258ntのPCR断片からのサンガー法による配列リード中の11個のSMPにおけるシトシン(C+T=100%)の百分率。テンプレートは、2つの強い両全株(植物あたり100を超える漿果を産生する)から得られた303及び580、及び、2個の「復帰変異株」から得たものであって、K1036祖父母DUF247アレルにもかかわらずひとつは1個の漿果しか産生せずひとつはまったく漿果を産生しない600及び606である。順方向のリードについては、(信頼性のある)情報が不足しているため、一部のSMPを得ることができなかった。それを「nd」と表示する。他の26の位置で、すべての試料につきCからTへの変換は完了した(結果は示していない)。両方のリードに保持された、すなわちメチル化を示すシトシンの百分率は、復帰突然変異体と比較して両全株の方がはるかに高いことに留意されたい。これは、メチル化の明らかな喪失が雌性抑圧遺伝子を再活性化させ、復帰変異株の着果を低下させることを示唆している。
表35:性別で型付けしたいくつかの戻し交配個体にCQ値を与えている。両全株(雄性両全性同株)と雄性表現型とを分離している。861BC1d集団の個体(表の下部)では、K1036から祖父母アレルを受けた株についてはCQ値が低く、これらの植物は両全性であり、DH02/504アレルを受けた株では反対の関係がみられ、CQ値が高く雄性の表現型であることに留意されたい。他の集団861BC1a、b、c、eからの株(表35の上部)については、CQ値は、K1036アレルを有する株、特に、両全性ではなく雄性であることが判明している植物についてははるかに低くなり得るものであり、これらは復帰変異株と型付けされる。
CQ値の差(デルタCQ)は、消化されたテンプレートDNAから消化されていないテンプレートDNAのCQ値を差し引いて得られたCQ値であり、DNAメチル化の尺度として用いた。
この試験の結果を表35に示す。結果は、両全株が約0のdeltaCQ値を有しており高いメチル化を示し(PCRに提供されるテンプレートを酵素が切断できないため)、一方、復帰変異株のdeltaCQ値はゼロより大きく1.9−7.1の範囲であり、この手法による標的とされたGDS遺伝子領域のメチル化が不十分であることを示す。集団861BC1dについては、DH02/504祖父母GDSアレルを有する雄株は0より大きいdeltaCQ値を有し、一方、K1036祖父母GDSアレルを有する両全株は、0に近いdeltaCQ値を有することが示された。
これは、この手法が、雄株の両全性傾向、すなわち漿果を産生する能力をモニターするために使用できることを示す。当業者であれば、メチル化感受性制限酵素による消化とその後のQ−PCRという手法は粗い方法であり完全ではないことを認識するであろう。例えば、表35に示す結果は、1つの両全株(ID:409455)が、EcoRII複製1についてのdeltaCQが1.2(約0ではなく)であることを示す。当業者であれば、この手法を最適に用いるためには、いくつかの複製及びより多くの標的の使用、好ましくは、いくつかのメチル化感受性制限酵素の使用が好ましいことを理解するであろう。
結論として、亜硫酸塩配列決定実験で観察されたのと同様に、Q−PCR実験では、メチル化障害制限酵素処理されたテンプレートDNAの、PCRに用いられる未処理のテンプレートDNAに対するCQの差から推測されるように、差次的メチル化が検出された。復帰変異株及び雄株についても、PCRに使用する未処理のテンプレートDNAに対する、メチル化障害制限酵素で処理されたテンプレートDNAから得られたCQ値の相対的に大きい差として、低メチル化が顕著であった。この差次的メチル化は、戻し交配の集団861BC1dにおいて明確かつ安定的に分離された。K1036のGDS祖父母アレルのメチル化は、同じく不安定であった両全性の表現型と一致する他の系統において不安定であることが示された。5個以上の超可変座位を用いたMircro−satlliteマーカー分析は、これらの不安定な株または復帰変異株が、真にそれらの系統に属する株であることを示した(結果は示していない)。
遺伝子やゲノムのメチル化、エピアレルの遺伝を報告する科学論文がますます増えている(例えば、Ji他、2015;Greaves他、2014、Zhang他、2013)。株において、DNAのメチル化は3つの異なる文脈で分離されている。CG、CHG及びCHH(H=A、TまたはC)である。3個の文脈すべてにおいて、メチル化されたゲノムの領域はしばしば、標的領域、及び、場合によっては隣接領域において、サイレンシングをもたらす(Ji他、2015の引用文献参照)。サイレンシングされた遺伝子の多くは、プロモーターのメチル化が、配列の反復(または重複)から遺伝子(cmWIP1、ブースター1、BSN、FOLT1;Ji他2015参照)へと伝搬するため、発現がより低い。プロモーターではなくエキソンのメチル化がより低い発現をもたらすいくつかの例が存在する。最も初期の例の1つは、シロイヌナズナのいわゆるスーパーマン遺伝子のクラークケント(clk)アレルにみられる。スーパーマンは、同じ表現型を提供するアレル型が見いだされたが野生型との核酸差異が明らかでない遺伝子の突然変異によってノックアウトされると、より多くの葯をもたらす遺伝子である。しかし、亜硫酸塩配列決定により、野生形またはsupの「ナンセンス」アレル(sup−1)にシトシンのメチル化が存在しない一方、転写の開始及び転写された領域のほとんどをカバーするclkのアレルにおいてすべての文脈に広範なメチル化がみられるこれら(clk)の表現型が明らかになった。興味深いことに、復帰変異株と、DNAのメチル化に関連する、より強くより弱いclkアレルも観察された。表現型の復帰は、野生型RNAの発現による回復とスーパーマン遺伝子DNAのシトシンのメチル化の減少の両方に相関する。当業者は、アスパラガスGDS座位について観察されたメチル化、及び本明細書に示したメチル化の減少に関連する復帰変異株の現象が、スーパーマン遺伝子についてみられた状況を反映することを理解するであろう。GDS遺伝子の野生型発現の低さに関係する技術的理由から、GDS遺伝子のメチル化がより低い発現または別の配列決定を帰結するか否かを明白に決定することは不可能と思われた。当業者は、そのような関係が非常にあり得ることと、RNAseq研究、特定の組織または発生段階の標本化へと続く遺伝子捕捉技術により、両全性の表現型とGDS遺伝子のメチル化との関係、及び発現レベルまたは組み換えの低下が確認される見込みが高いことを理解するであろう。
本実施例は、ロットK1036及びこれから派生する子孫における両全性のエピジェネティックな制御について報告する。これは、GDS遺伝子のメチル化が、両全株を得る方法を提供することを開示する。本実施例はまた、GDS遺伝子(部分)の亜硫酸塩配列決定またはこのGDS遺伝子を標的とするメチル化によって損なわれた制限酵素の使用などであるがこれらには限られない、メチル化の検出を可能にする方法を、植物が両全性になりあるいはなり続ける傾向があるか否かを予測する診断に使用できることを示す。
当業者は、Shen及びWaterland;2007によって概説された方法のような、しかしこれに限られない、DNAメチル化の検出を可能にする多くの方法があり、このような方法のいずれも本発明で使用できることを認識するであろう。
当業者はまた、GDSのDNAメチル化を増大または減少させることによって影響を及ぼすことにより、雌性の抑制を減少または増加させる遺伝子の発現及び/または組み換えへの変化がもたらされることを認識するであろう。本実施例におけるメチル化は転写領域に限定されているものの、当業者であればまた、遺伝子の近くのプロモーターまたは他のシス作用要素のメチル化が、発現または選択的組み換えの減少をもたらしてもよく、したがって雌性抑制の減少をもたらしてもよいことを理解するであろう。あらゆる文脈でのメチル化は、ウイルス誘発遺伝子サイレンシングによって形成され得るし、このメチル化の一部は、ウイルスが除去された後に持続してもよい(例えば、Dalakouras他、2012参照)。
遺伝子メチル化を形成するための他の方法は、Zhang及びHsieh(2013)が提案しており、これは、TALEまたはCRISPRに基づくゲノム編集技術により、座位特異的エピジェネティック操作を通じた作物の改良がますます実現可能になった旨を述べている。最近、多くの形態のヒト癌(Nunna他、2014)の形で発現される遺伝子の発現を減少させるための、標的化されたメチル化が、そのプロモーターの遺伝子の標的メチル化によって達成されている。これらの著者は、DNAメチルトランスフェラーゼの触媒ドメインに融合された遺伝子プロモーターに特異的に結合する、設計されたジンクフィンガーを使用した。当業者であれば、標的部分とともにサイレンシング信号を伝達する触媒部分を提供する任意の技術が、定義されたゲノム標的への触媒部分の特異的結合を確実にし、標的化メチル化を可能にしてもよいことを理解するであろう。このような技術は近い将来に開発される可能性がある。Nunna他によって使用されているようなDnmt3aメチルトランスフェラーゼではなく、DUF247遺伝子のコード領域のCHGメチル化を増強するメチルトランスフェラーゼが好ましい。標的化されたヒストン修飾によって同様の高メチル化効果を達成することができる。非CGメチル化に関与する遺伝子の例は、Stroud他(2014)に概説されている。本実施例は、すべての文脈におけるメチル化、特にDUF247遺伝子のエクソン及びイントロンのCHGメチル化が雌性化をもたらすことを教示する。
(実施例4)
(GDS遺伝子の第2予測エキソンにおけるヒスチジンからグルタミンへの変異)
品種K5756は、クローン雌株である169F1−85Vと倍加半数体雄株であるDH05/128と間の交ハイブリッドである全雄ハイブリッド品種である。後者の倍加半数体は親株として選択された。これは、とりわけ、漿果を産生する能力がなかったという理由による。
このハイブリッドの初年度の株は、株圃で最初に生育され、その後、クラウンがハイブリッド評価圃場に移植された。移植に先立ってクラウンを袋に入れたとき、クラウンを2つのクラウンに分けることができるわずかな可能性があった。
ハイブリッドK5756は、それぞれ20個の株からなる4つの再現プロットで試験した。評価すると、同じプロットの2つの異なる株は漿果が充実した一方、このハイブリッドの他のすべての個体については、この4つのプロットのいずれにおいても漿果をまったく結実せず、漿果は、生育可能な種子を含んでいた。季節の後期の検査の際、漿果を産生した2つの植物に、吹き飛ばされた花がまだ残っており、葯や大きな花弁の残渣が認められ、雌しべと雄しべが明らかにあり、真に両全性の性質があることが確認された。2つの植物から収穫された漿果は合計で1016の種子をもたらした。2つの両全株及び同じハイブリッドの対照植物からシダが採取された。2つの両全株から得られたテンプレートDNAを、プライマーの組み合わせCN82/CN67、CN59/CN70、CN69/CN81を用いて、順方向及び逆方向の両方でサンガー法で配列決定した。プライマーの対CN59/CN70、CN69/CN81の両方から得られた配列読み取りの結果、シトシンからアルギニンへの同様な塩基転換が明らかになった。この塩基転換は、CN69/CN70 PCR断片中に存在する合計3つのHphI制限部位(この場合は5−^(N)7TCACC−3)の第2番目を破壊したもので、その断片を診断に使用できる。このタイプの診断を、圃場から採取した2つの両全株及び雄性対照試料につき行った。一般にCAPSマーカー分析と呼ばれるこの分析により、特定の塩基転換が2つの両全株に独特であることが確認された。
7個の独占的な超可変座位を用いたマイクロサテライト解析では、2つの両全株が、対照試料とは異なる同一の遺伝子型を有することが示された。しかし、両全株及び雄株で観察されたアレルの両方が、同じハイブリッドに属することが確認された。結論として、全雄ハイブリッド5756において、2つの両全性のクローンコピーのM連鎖GDS遺伝子に突然変異が見出された。このクローンは、このハイブリッド中に見いだされた両全株の標本のみを提供した。特定の突然変異は、ヒスチジン(H)の第3コドン位置のシトシン(配列番号1の位置684)をアデニンに変え、グルタミン(Q)のコドンを提供する。従ってCAC>CAAである。
(実施例5)
(雌性抑制遺伝子を含むGDSドメインの第2予測エキソン中のプロリンをスレオニンに変化させる突然変異が両全株を生成する)
品種K4381は、それぞれ葯培養によって得られた雌性の倍加半数体DH366/1と雄性倍加半数体DH02/047との交配であり、全雄ハイブリッド品種である。DH02/047は、他の基準の中で、漿果を産まなかったという理由から、このハイブリッドの親株として選択された。テストされたDH02/047によって作られた190を超える遺伝的に異なるハイブリッドについて、我々の育種データベースに着果の報告はなかった。K4381のような、倍加半数体×倍加半数体ハイブリッドの個体は。遺伝的に同一である。品種K4381は、20の植物を4回(したがってn=80)の野外試験で栽培された。これらの80の植物の中から、1つの完全な両全株が同定された。この1つの植物は、生育可能な種子を含んだ数百の漿果を産生したが、他のすべての個体は、漿果を全く産生しなかった。この両全性のオフ型株をマイクロサテライトマーカーについて分析したところ、この特定のK4381品種の参照個体と完全に同一であることを示した(結果は示していない)。結論として、この両全性個体は、この試験内の遺伝的不純物の結果ではなかった。GDS遺伝子の突然変異がK4381両全株を生成したか否かを調べるため、このK4381両全株について、プライマー対CN82/CN67、CN59/CN70、CN69/CN81を用いて配列を得た。これらのプライマーは、GDS遺伝子の第1予測エキソン、予測イントロン1及びGDS遺伝子の第2予測エキソンに及ぶ。
参照ゲノムと比較して、すでに同定された多型が見出された。この多型は、6個でなく7個のチミンの区間を含み、スキャフォールド905(ゲノムバージョン2.0)の位置50,941−50,946に見いだされる予測イントロン1アクセプター部位に近く、例えば、超雄株12_25、両全株5375、全雄ハイブリッドK323及び両全性変異体K323−G033のような同様のハプロタイプにも見出される。より重要なことに、一塩基多型(SNP)が見出され、この点で両全性の個体K4381は、これまでに知られる配列決定されたすべてのハプロタイプと比較してユニークである。このSNPは、配列番号1の位置166に対応する、第1予測エキソンにおけるシトシンからアデニンへの変化であり、これは、配列番号2の位置56でのプロリンからスレオニンへのアミノ酸変化を導く。
この特定の突然変異は、非極性アミノ酸が極性アミノ酸に変化するものであるため、非保存的置換である。本実施例は、GDS遺伝子におけるこの特定のアミノ酸変化が、雄株を、その雄性の祖先よりはるかに多くの漿果を産生する両全株へと変えるに十分であることを明らかに示す。
(実施例6)
(Defective in Tapetal development and function 1のアスパラガスホモログは雄性アクチベーター遺伝子である)
雄性プロモーター遺伝子を単離するために、BioNanoゲノムマッピング(BioNano Genomics社)を適用することにより、M座位領域について更に調査を行った。この手法により、DNA配列ゲノムスキャフォールド(伴性マーカーによりタグ付けされたスキャフォールドを含む)は、BioNanoコンティグに配列され、1つのコンティグは、M座位に及ぶ可能性がある。新しいゲノム配列スキャフォールドが同定され、雌性リードが優性参照ゲノムにマップされないゲノムの一部にあるそれらのスキャフォールドのうち1つの上に、As−TDF1と相同である候補遺伝子が同定された。
雄株でのTDF1のヘミ接合の存在、その欠失変異体の表現型、及びAS−TDFの下流の経路で働くことが予想されるメンバー遺伝子と相同なアスパラガス遺伝子の発現及びゲノムリードマッピングに関する研究は、AS−TDF1が雄性刺激遺伝子であることを示している。
アスパラガス・オフィシナリスの遺伝子型DH00/086及びDH00/094の高分子量ゲノムDNAを単離した。DH00/086は、(米国ジョージア州)アセンズのジョージア大学の、レーベンスマック研究所において、アスパラガスの参照ゲノムの作製に使用されている超雄株である。DH00/094は、二重ハイブリッド雄株であるDH00/086の起源である同一のハイブリッドより、組織培養により得られる雌性倍加半数体である(Limgroup社、オランダ、ホルスト)。このために、新鮮な葉を、10mLのTEN緩衝液(10mM Tris、10mM EDTA、100mM NaCl、pH7.5)で洗浄後、新たに調製したTEN/2%ホルムアルデヒド溶液で固定した。葉を非常に細かい断片に細断し、0.1%のTriton X−100を含む15mLのIsolation緩衝液(IB:15mM Tris、10mM EDTA、130mM KCl、20mM NaCl、8%(m/V)PVP10、pH9.4)中でインキュベートし、核を放出させた。20mLのパーコールの75%IB/0.1% Triton X−100溶液内で、2000RPMで20分間、密度勾配遠心分離を行うことにより、核を精製した。得られた安定化されたホモジネートを、IB/1.5%低融点アガロースと60℃で穏やかに混合し、混合物を予め冷却したアガロースプラグ用モールド鋳型(Bio−Rad社、米国カリフォルニア州、ハーキュレス)に流し込み、氷水上で10分間かけて、アガロースマトリックスに包埋した。220μLのプラグをリシスバッファー(1%サルコシル、0.25M EDTA、pH8.0、0.2mg/mLプロテイナーゼK)に回収し、1度リシスバッファーを交換し、50℃で1日放置した。TEバッファー中でよく洗浄した後、60℃で穏やかに溶かし、プラグあたり3単位のGelase(商品名)を用いた10〜20分間のGelase(商品名:Epicentre社、米国ウィスコンシン州マディソン)処理により、HMW DNAを回収した。CHEF電気泳動(CHEF−DRIIシステム、Bio−Rad社、米国カリフォルニア州、ハーキュレス)による定量の前に、ドロップダイアリシス(drop dialysis)により高分子量(HMW)DNAを洗浄した。平均して、1プラグあたり3〜4μgの高分子量DNAが得られた。
HMW DNAは、BioNano Genomics Laboratories(Bionano Ganomics社、米国カリフォルニア州サンディエゴ)内で、同社保有のIrys Technologies社製パイプラインを用いて処理され、アスパラガス雄性及び雌性遺伝子のゲノムマップ(広域物理マップ、Brown著、2002年の総説参照)が作製された。Irys法は、蛍光色素(IrysPrep(登録商標))によるHMW DNA標識、ナノチャネル(IrysChip(登録商標))内への単一分子の移動、CCDカメラによる色素分子の位置のスキャニング及びゲノムマップコンティグのデノボアセンブル及び可視化(Irysview Software(登録商標)、Shelton他著、2015年参照)技術を含んでいる。
概説すると、IrysPrep(登録商標)法のプロトコールにより、8μgのHMW DNAを標識した。HMW DNAは、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BspQIを用いて、GCTCTTCN/Nの位置にニックが導入された(New England Biolabs社、NEB、米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)。ニックが導入されたDNAは、Alexa546−dUTP(Thermo Fisher Scientific社、米国マサチューセッツ州ウォルサム)及びTaqポリメラーゼ(NEB社)を用いて標識された。標識後、dNTP及びT4 DNAリガーゼ(NEB社)を加えることにより、DNAを連結した。標識したDNAサンプルを、両方のフローセル内のそれぞれのIrysChip(登録商標)上にピペッティングした。Irys社の装置は、フローセル内のDNAの動きを電気泳動的に制御している。直鎖化された分子は、Alexa546の場合、緑色レーザーを用いてイメージングされた。自社のオートフォーカス機構を備えたCCDカメラと制御ソフトウェアにより、高速でチップのスキャンを行った。次いで、個々の分子上の標識(Alexa546)の位置を検出し、Irysview Software(登録商標)パッケージを用いて解析した。標識された長鎖DNA分子の画像生データは、モチーフ特異的な標識パターンのデジタル表現に変換される。まず、標識された長鎖DNA分子の原画像データが、モチーフ特異的な標識パターンのデジタル表現に変換された。次に、相互の類似性について全分子マップをスコアし、RパッケージFastcluster(Daniel Milliner著、2013年参照)でクラスター化することにより、単分子Nt.BspQIデータをクラスター化した。クラスターから、標識の位置をプロットした。最後に、Irysview(登録商標)データ解析ソフトウェアを用いて、データをデノボアセンブルさせ、アスパラガス・オフィシナリス遺伝子型DH00/086及びDH00/094のオリジナル遺伝子の全ゲノムコンセンサスマップを再構築した。アスパラガス・オフィシナリス遺伝子型DH00/086(雄性)に関し、88Gb(79X)のデータ(分子量>150kb)が収集された。得られたBioNanoゲノムコンセンサス配列のサイズは1.205Gbであり、1364のコンティグ配列を含んでいる。データのコンティグ配列は、コンティグのN50が1.24Mbであることを示した。コンティグデータベースを、BNG VI.0と呼び、個々のコンティグには、プリフィクス<BNG>番号を付する。
Irysview Software(登録商標)パッケージを用いて、NGS(AGS VI.10)により得られたアスパラガスのスキャフォールド参照ゲノムを、BNG VI.0コンティグとリンクさせた。まず、PBJelly(English他著、2012年参照)というアルゴリズム及び関連するソフトウェアを用いて、PacBio RS II sequencing(Pacific Bioscience社、米国カリフォルニア州)により得られたロングシーケンシングリードを配列させることにより、AGS VI.10を、AGS VI.10スキャフォールドにアップグレードした。PBJellyは、ロングシーケンシングリードをfastaフォーマットで配列させ、ドラフトアセンブルを得るための高度に自動化されたパイプラインである。PBJellyは、捕捉されたギャップ(AGS VI.10中のN−ストレッチ)を補充又は低減し、アップグレードされたドラフトゲノムを生成する。概説すると、アスパラガス・オフィシナリス遺伝子型DH00/086及びDH00/094の高分子量(HMW)ゲノムDNAを前述の通り単離し、メーカー(Pacific Bioscience社、米国カリフォルニア州)の取扱説明書にしたがい、PacBio SMRTbellライブラリー作製のためのインプットとして使用した。HMW DNAの標的サイズセレクション用のBluePippinシステム(Sage Science社、米国マサチューセッツ州)を用いて、作製したライブラリーについて、20Kbを超える断片のサイズセレクションを行った。フロリダ州立大学バイオテクノロジー学際研究センター(ICBR、米国)所有のPacBio RS IIシーケンサー上の2つのSMRTcell内で、回収したフラクションのシーケンシングを行った。アスパラガス・オフィシナリスのゲノムの4.6Xカバレージに相当する約6.07Gbのロングリードシーケンスが生成された。図16は、PacBio実験において観測された長さの分布を示す。PBJellyは、北京ゲノム研究所(中華人民共和国、深川市)で動作させた。得られた参照ゲノムを、アスパラガスゲノムスキャフォールドV2.0(AGS V2.0)と呼び、個々のスキャフォールドには、プリフィクス<AsOf_V2.0_スキャフォールド>番号を付する。アノテーションメタデータは、AGS V2.0に基づくリレーショナルデータベース内に個別のファイルとして保存された。
20Kbよりも大きいAGS V2.0スキャフォールド(1,113Mbを示す5198 AGS V2.0スキャフォールド)を、インシリコでの、GCTCTTCN N位におけるニッキングエンドヌクレアーゼNt.BspQIの認識配列の検出による、BNG VI.0コンティグへのマッピングに用いた。得られたAGS V2.0スキャフォールドの物理マップ(Query_id)は、ストリンジェンシーを標準に設定したIrysview Software(登録商標)パッケージを用いて、BNG VI.0物理マップ(Anchor_id)に配列させた。このソフトウェアは、Anchor_idとQuery_idとのマッチ(Match_id)を生成する。合計すると、2725のAGS V2.0スキャフォールド(52%)が、875Mb(79%)を示すBNG VI.0コンティグに配列された。得られた比較マップ(cmap)は、「Asparagus.V2.0.genome.stable_BspQI_res29_to_20150505_asparagus_UGA_Assemble_Molecules.xmap」という名称で保存され、Irysview Software(登録商標)パッケージを用い、比較マップモードでデータをハイライトさせることにより見ることができる。この環境下では、cmapを様々な形態で可視化することができ、個々のMatch_idについて、Anchorに関し、対応するAnchor_id、AnchorStart、AnchorEnd、Anchor size、Query_id、QueryStart、QueryEnd及びQuery_idの配向を列挙した表が含まれる。
表61は、表3のHRMマーカー等の遺伝マーカーに関する情報及び物理情報(BACクローン、結果は示さない。)より検出されたアスパラガス・オフィシナリス遺伝子型DH00/086(雄性)V2.0スキャフォールドに関する比較マップの結果をまとめたものである。第1列は、第3列の(伴性)遺伝マーカー情報及び対応するBioNano VI.0コンティグに基づく比較に使用したASG V2.0スキャフォールドを示す。合計8つの対応するBioNanoコンティグ(BNG7、BNG22、BNG28、BNG55、BNG438、BNG833、BNG1030及びBNG1138)が検出され、これらのコンティグの間に物理的なオーバーラップがない列挙されたBNGコンティグのニッキングデータの検査により確認された。これらのデータ(表61)は、8つのコンティグは全てアスパラガス・オフィシナリスの染色体のM座位をカバーする領域にクラスター化することを強く示唆している。全ての8つのコンティグを、整列したAGS V2.0スキャフォールドの配列内容及びBNG VI.0とAGS V2.0 cmapの間の共線性について検査した。
BNG28は、塩基長3.45Mbであり、cmapは、AsOf_V2.0_Scaffold905を含むDGSと共に、伴性AsOf_V2.0_0_Scaffold206、AsOf_V2.0_0_Scaffold945、AsOf_V2.0_0_Scaffold194、AsOf_V2.0_0_Scaffold204、AsOf_V2.0_0_Scaffold905539及びAsOf_V2.0_Scaffold2312を含むGDSと直線性を示す(図17、表3)。これらのスキャフォールドの性別との関連性は、性別毎に分離した集団において、分子マーカーを用いて以前に実証されている(結果は示さない。)。それらのスキャフォールドの伴性を検査するために用いたマーカーを表3に示す。更に、4つのスキャフォールドAsOf_V2.0_スキャフォールド436、AsOf_V2.0_スキャフォールド2510、AsOf_V2.0_スキャフォールド3294及びAsOf_V2.0_スキャフォールド3779がBNG28にマッチしたが、これらは以前に同定されなかった(表61の第3列に「新規」と表示している。)。BNG28と11の表示されたAGS V2.0スキャフォールドとのcmapは、BNG28上でのスキャフォールドの線形順序、スキャフォールドの配向及び5つのスキャフォールドのキメラ性を明らかにした。キメラ性は、次世代シークエンシング及びゲノムアセンブリで使用される元のゲノムDNA配列を反映していない、アスパラガス・オフィシナリスVI.10及びV2.0のスキャフォールドにおける1つ以上の配列アセンブリの接合として定義される。結果として、AsOf_V2.0_Scaffold206、AsOf_V2.0_Scaffold436、AsOf_V2.0_Scaffold945、AsOf_V2.0_Scaffold1204及びAsOf_V2.0_Scaffold2312がキメラ性であることが判明した。これは、JBrowse環境(JBrowse 1.1.16、Skinner他著、2009年参照)におけるDH00/094リシークエンシングデータの雌性リードの存在(MSYではない)又は非存在(MSY)によって確認された。MSYは、Y染色体の雄性特異的領域ゲノムセグメントを意味し、ゲノムセグメントが雄性特異的であることを明確にするために、ヒト遺伝学から借用した用語であり(しかし、パパイヤ等の雌雄異株植物にも適用される。Yu他著、2009年参照)、シーケンシングされた雌性から得られたリードは、雄性参照ゲノムのそのような領域にマッピングされたリードを示さず、したがって欠損していることを意味する。
BNG28以外のcmapとマッチし、伴性であることが知られている、表61内の残りの7つのAGS V2.0スキャフォールドについても、それらのスキャフォールド内のキメラ性及び遺伝的マーカー配列の位置について検査した。7つのスキャフォールドのうち、AsOf_V2.0_Scaffold997及びAsOf_V2.0_Scaffold1166がキメラ性であることが判明した。これらのスキャフォールドの非マッチング配列を抽出し、1,113Mbを表すAGS V2.0スキャフォールドについて述べたのと本質的に同様に、BNG VI.0コンティグへの新規マッピングにおいて使用した。その結果、BNG222とマッチせず、伴性マーカー(データは示さず)を含むAsOf_V2.0_Scaffold997の領域=1..140,022は、AsOf_V2.0_Scaffold436の非共線性領域とオーバーラップする1,093,801..1,169,913位で、BNG28にマッピングされた。AsOf_V2.0_Scaffold1166の非マッチング配列は、BNG37に配列される。
BNG28と厳密に共線性を示す全てのAGS V2.0 cmap領域を抽出し、AUGUSTUS Gene Prediction(Hoff他著、2013年参照)に使用するか、又はJBrowse環境下、手動で検査した。翻訳されたアノテーションは、Genbank CDSの翻訳結果の非重複タンパク質配列(nr)のデータベース及びデータベースPDB、Swissprot、PIR及びPRF内の環境サンプルを除くタンパク質配列を用いた、WGSプロジェクト提供の配列ソフトウェアBLASTPプログラムBlast2.3.0(ncbi.nlm.org、2015年10月アップデート、バージョン210)のクエリーとして使用された。配列は、複雑性の低い配列がフィルタリングされたViridiplantae[ORGN]のものに限定した。他の設定は全てデフォルトのままとした。得られたBLASTスコアをフィルタリングし(e値<1E−40)、J−Browse内で、ミスアノテーション及び雌性DH00/094eのリードのカバー率を手動で選別した。雌性の抑制に関与していることが証明されたDUF247遺伝子モデルに次いで、今回GDS遺伝子と命名された、雄株、雌株及び両全株の花の発達の運命に関与している可能性のある他の2つの遺伝子モデル(予測:シロイヌナズナ由来脂質輸送タンパク質(LTP1)、遺伝子モデルAt2G38540がAsOf_V2.0_スキャフォールド905上に、予測:転写因子MYB34[ナツメヤシ]が、AsOf_V2.0_スキャフォールド436上の、BNG28の領域=380,000..496,167と共線性を示す部分)に見つかった。LTP1遺伝地図は、DUF247遺伝子モデルの遠位側のBNG28〜280Kbに線形順序でマッピングされ、現在はGDS遺伝子と命名されており、これらの2つの遺伝子モデルの間の情報マーカーを用いた遺伝子マッピング実験は、LTP1が完全に伴性でないことを示す(Limseeds社、オランダ、ホルスト)。MYB34関連遺伝子モデルは、現在GDS遺伝子と呼ばれるDUF247遺伝子モデルの近位側の約600Kbである。いくつかの研究は、MYBクラスの転写因子が、発達過程及び一般的なストレス応答に関与する経路の重要な調節因子であることを示しているので、MYB34関連遺伝子モデルについて更に検討した。MYB33、MYB35、MYB65及びMYB103は、胚の発達の後期段階、より正確には、早期微小胞子発生におけるタペートの発生と記載される段階に関与する遺伝子調節ネットワークにおいて作用する転写因子である(Jun Zhu他著、2008年、Harkess他著、2015年、Ci−Feng Cai他著、2015年参照)。MYB34関連遺伝子モデルを、数種類の遺伝子特異的プライマーを用いたサンガー配列決定によって検査し、RNA−Seqデータを使用したギャップのデノボアセンブリを用いて、1つのN−ストレッチを充填することができた。1つの反転反復配列をアセンブリから削除した。再構成されたMYB34関連遺伝子モデルは3つのイントロンを有し(図18参照)、31Kdalの276AAタンパク質をコードする(図19参照)。全ての非冗長GenBank CDS変換のデータベースを使用して、BLASTPでクエリーとして再使用する際には、SmartBlastオプションが使用された。NCBI Blast環境のSmartBlastオプションは、複数の配列アラインメントと保存されたタンパク質ドメインに基づく系統関係を示す、よく研究された参照種からの2つの最良のマッチと共に、配列データベースにおける最良のマッチの簡潔な要約を返す。SmartBlastを通常の設定で用いた場合、出力は、タンパク質DEFECTIVE IN MERISTEM DE VELOPMENT AND FUNCTION 1(シロイヌナズナ)、予測:myh−関連タンパク質308(ヒヨコマメ)、予測:転写因子MYB35様タンパク質(ダイズ)、予測:転写因子MYB76(ハス)、予測:転写因子MYB34(ナツメヤシ)であった。シロイヌナズナDEFECTIVE IN MERISTEM DE VELOPMENT AND FUNCTION 1は、MYB含有遺伝子ファミリーのMYB35サブクラスに属し、2つのDNA結合性SANTスーパーファミリードメイン(R2R3サブクラスとも呼ばれる)によって特徴付けられる。結合は、G/Cリッチなモチーフ[C2−3A(CA)1−6]を含む反復配列に依存する。このドメインは、植物界でのみ、DNAを結合する、転写抑制因子の一部として見出される(Jun及びMartin著、1999年の総説参照)。シロイヌナズナDEFECTIVE IN MERISTEM DE VELOPMENT AND FUNCTION 1遺伝子の欠損は、単一突然変異株及びそれから誘導されたマッピング集団(Jun Zhu著、2008年参照)を用いてマッピングベースでクローニングされ、シロイヌナズナにおける小胞子成熟のための葯の発達及びタペートの機能におけるその重要な役割を示すDefective in Tapetal Development and Function 1(ATH TDF1)と再命名された。また、クエリーとして使用されるアスパラガス・オフィシナリスMYB34様遺伝子は、転写因子のMYB35クラスに属し、ATH TDF1とのSANTスーパーファミリードメインにおける高い配列同一性を共有する。したがって、MBY34様遺伝子モデルは、AsOf TDF1様と再命名された。AsOf TDF1様において、SANTスーパーファミリードメインは、16(H)から60(Y)及び76(F)からK(151)の2箇所に見出される。MYB35関連タンパク質のメンバーは、300〜350アミノ酸からなり、一方、AsOf TDF1様は276アミノ酸からなり、これらのタンパク質は、N末端のSANTスーパーファミリードメイン構成において高い同一性を有し、配列相同性は、タンパク質のC末端に向かって低くなる。ATH TDF1タンパク質をAGS V2.0においてクエリーとして用いた場合、tBLASTNの出力は、AsOf_V2.0_スキャフォールド436、次にAsOf_V2.0_スキャフォールド1220の2つの顕著なヒットを有しており、後者は、高度に保存された第1のSANTスーパーファミリードメインにおいて相同性がより低い(78%に対し52%、図20参照)。
このようにして、機能的TDF1遺伝子を欠く雄性不稔植物を得ることができるか否かを調べるために、新たな照射実験を行った。
倍加半数体間の交配に由来するため、種子ロットごとに遺伝的に類似した個体を産生すると思われるK1150、K323及びK1129と命名された3つの異なる全雄性ハイブリッドの種子ロットへの、300グレイ(n=1,100個の種子)及び600グレイ(n=13,000個の種子)のコバルト60源からの照射を、実施例2で説明したような手順で行った。
これらのハイブリッドの花粉親植物は、他の基準以上に、実質的に果実を産生することができなかったという理由で選択された。K1129は、かつて、合計6株のうちの1つが、1年間に数本の果実を散発的に産生したが、これらの植物は、それ以上調査されていない。K323及びK1150は、複数回の実験において、果実を産生しなかった。
これらの種子から栽培された植物は、苗木トレイで栽培され、そこから植物は最終的にトルジョ(ペルー)付近の評価圃場に移植された。特定のハイブリッドは、過去の評価の間に確認されたように、数年にわたって種子を自発的に産生する傾向がないため選択された。したがって、植物上で生産された任意の果実は、果実を産生するこの能力を引き起こす突然変異を示すものである。照射処理後生存した24,000の種子から得られた6,680株の植物について、10ヶ月の植物の生育後に、果実のセットについて検査し、その4ヶ月後に、6〜8週間後(2015年11月〜12月)に見られる新たな開花及び/又は果実を得るために、現地のアシスタントにより3回にわたってファーンの切断が行われた。これらの植物の多くは300グレイの線量に由来するもので、600グレイの線量については、照射された13,000個の種子のうち、処理後も生存したものは1492株のみであった。16株の植物が、少なくとも1つの分岐から果実が産生できることが見出された。形成された果実の数は、1株あたり1〜174個にわたっていた。しかし、果実に損傷を与え、果実の発育不全を引き起こすCitrus gall midge(Prodiplosis longifila Gagne)に植物がひどく感染し、果実の発育停止を引き起こしたため、植物に見いだされた果実の数は、雌花の受精能の定量的尺度として解釈することができなかった。結論として、複数の果実の存在は、雌花の受精能の定性的な指標であった。16株のうち、果実を産生能を有する1株(K1 150−600−1)は2つの雌花を有していた。2番目の茎において、K1 15−600−1及びK323−600A6の両者の写真を撮影することができたが、ファーンの切断後に、その成長を保持しなかった欠失(K1 150−300−12)を示す第3の植物の撮影はできなかった。しかし、これらに由来するF1植物は、さらなる分析のために現在温室内で栽培中である。
果実産生能を有する植物の鋳型DNA及びいくつかの果実産生能を有しない雄性参照植物のDNAを、プライマーペアCP31/CP32、CP33/CP34、CP35/CP36、CP37/CP38、CP39/CP40、CP41/CN72を用い、雌性抑制遺伝子又はGDS遺伝子に関連するDUF247を含むM座位をターゲットとする高分解能融解曲線分析(基本的に、Gadyらによって2009年に記載されたガイドラインにしたがって実行した。)に用いた。これらのプライマーを表3に示す。断片は、M座位に関連する雌蕊発達抑制因子(GDS)遺伝子の変異の指標である、融解曲線の相違について解析された。分析された16の植物のうち3つについて、断片を増幅することができないか、又は野生株の融解曲線に対し大きく異なるように見える融解曲線の形状を示したと思われる。このことは、これらの3つの植物において、M座位に連鎖する雌蕊発達抑制因子(GDS)遺伝子を含む真正のDUF247の増幅に必要な鋳型DNAが欠失していることを示唆した。この仮説の検証のために、K1 150−600−1、K323−600A6及びK1 150−300−11についての、実施例2に記載の方法による、大規模並列シーケンシングを用いてゲノムDNAの配列決定を行った。J−Browseを用いて検査したリードのマッピングは、特にヘミ接合M座位領域において、天然型の雌性と同様、雌性のリードが欠失していることを示した。ヘミ接合M座位に隣接する領域では、欠失が染色体のヘテロ接合部分と重複する場合に、ヘテロ接合性の喪失が見られる。作成された欠失部位の正しい境界の決定は継続中である。
雌株についても、M座位連鎖雌蕊発生抑制遺伝子GDSの自然な欠損が、種子ロットで非常に小さい(しかし無視できない)確率で、自発的に起こりうると予想されたので、植物の遺伝的純度を分析した。これらの個々の植物から得られた鋳型DNAについて、14個の独自のマイクロサテライトマーカー(Caruso他著、2008年に概説されたものと同様の設計、使用及び識別力を有し、事実、AO110はマーカーCV291890である)及び7つの独自の高分解能融解曲線SNPマーカーを用いるマイクロサテライト分析を行い、果実を着けることが可能な16株の植物のうち14株が、確かにこれらのハイブリッドが属する真正な代表であることを示した。2株の他の植物は、偏ったマイクロサテライト遺伝子型を示した。これらの植物の1株は、14の全てのマイクロサテライト座位及び5つのSNPマーカー座位において異なる対立遺伝子を示し、このため、確実にハイブリッドの真正のメンバーではなかった。別の植物は、M座位領域に連鎖することが知られているAO022マイクロサテライトマーカーの父性対立遺伝子の欠失という注目すべき例外を除いて、属している特定のハイブリッドに対して期待される全てのマイクロサテライト対立遺伝子を示した。伴性座位AO022の父性対立遺伝子の典型的な単一の欠失は、コバルト60照射の結果として失われるべき染色体部分の欠失を示すと予想される。このセグメントは、少なくともその特定の植物にとっては、上昇するM座位連鎖雌蕊発達抑制因子(GDS)遺伝子とマイクロサテライトマーカー座位AO022との間の領域に及ぶ必要がある。
突然変異体及びそれらの対照ハイブリッドの真正性を確認するために用いたマイクロサテライト解析の概要を図21に示す。
GDS遺伝子断片が欠失した全ての植物を、M座位に遺伝的に近接しているか、又はM座位領域に位置していることが知られているゲノムスキャフォールドを標的とするマーカー処理に供した。
これらのプライマーは、CK63/64、CM45/46、CN96/97、CM98/99、CQ31/32、CT13/14、CE40/41及びCE64/CE66(表3参照)であった。図17は、M座位領域にマッピングすることができるスキャフォールド(又はスキャフォールドの一部)の概略を示す。マーカーが有益であるかどうかによって、欠失していることが既に分かっている雌蕊発生抑制因子遺伝子とは別に、染色体断片のどの部分が、果実を産生することができる照射植物においてさらに欠失しているのかが示される。
突然変異事象により果実の産生が可能となる3つの植物は、GDS遺伝子の発達及びタペータム発達及び機能遺伝子(TDF1)の欠失が位置する染色体セグメントを欠いていると思われる。前に指摘したように、これらの3つの植物のうち2つの花は検査され、完全に発達した雌蕊を有し、更に葯を有しない花を有する雌性植物であることが証明された。これは、雄性植物が、そのGDS遺伝子及び雄性刺激因子の両方の切除又はタペータム発達遺伝子(AS−TDF1)欠損性アスパラガスによって雌性植物に変換され得るという証拠を提供する。当業者は、これらの遺伝子の両方の雌性植物への導入を含む逆の効果が、雄性植物への変換になりうることを理解するであろう。また、当業者は、タペータム発達及び機能遺伝子(TDF1)に欠陥を導入するだけでなく、雌性植物にM座位連鎖雌蕊発達抑制因子遺伝子を含むDUF247ドメインを含ませないことによっても、雌雄植物が雌雄同株植物に変換されることを理解するであろう。雄性刺激因子としてのTDF1遺伝子を支持する別の独立した強力な証拠は、伴性を示す全ての遺伝子における遺伝子発現の分析である。倍加半数体マッピング集団の72個の個体を用いて構築された約320万個のSNP遺伝地図により、370個のアノテーション付き遺伝子モデルを含むY染色体上の抑制された組換え領域の範囲を定めた。この抑制組換え領域(M座位領域)内の全370遺伝子の正規化された遺伝子発現値を計算することにより、我々は、4つのXX雌性ライブラリーの少なくとも3つにおいて、1FPKM未満の発現値を有する11遺伝子と、遺伝子を非発現であると判定するために適切なカットオフを最初に同定した。これらの11遺伝子のうち、我々は、ガンマ線照射されたDUF247雌性抑制遺伝子及び10の推定上の雄性促進候補遺伝子を同定する。候補遺伝子について、まず、1)雌性ライブラリーでの発現、2)常染色体上の重複遺伝子の存在、3)遺伝子アノテーションの欠如(誤ったアノテーション付きレトロトランスポゾン)、4)モデル系における遺伝子発現及びノックアウト表現型に基づき、客観的に刈り込みを行った。Harkessら(2015年)の研究より、雄性及び超雄性ライブラリー(雄性89株、雄性9株、超雄性89株、雄性103株)のうち4株のみは、繁殖系統間の生殖発生の変動の結果として、雄性生殖遺伝子の発現が増大していた。これらの4つのライブラリーにおいて、10の推定候補遺伝子の3つ、脂質移動タンパク質DIR1、タペータム機能不全1 TDF1及びエキソポリガラクツロナーゼタンパク質が一貫してアップレギュレーションされていることを示している。LTP1遺伝子は、繁殖集団(CN94/CN95−HRM、プライマーは表3参照)において組換えられたことが見出された。エキソポリガラクツロナーゼは、葯活性にのみ緩やかに関連しており、アスパラガスのマルチ遺伝子ファミリーの一員であり、遺伝子コピー間の高い類似性のためにRNA−seqリードが誤って整列される可能性を生じる。一方、TDF1遺伝子は、アスパラガスゲノムにおいて単一コピーであり、Y染色体上のこの組換え抑制領域にのみ存在する。
AsOf TDF1様が雄性アスパラガス・オフィシナリスにのみ存在し、したがって雌性アスパラガス・オフィシナリスには存在せず、単一コピーの遺伝子モデルであり、AsOf_V2.0_スキャフォールド905からDUF247と呼ばれる雌性抑制因子遺伝子のすぐ近傍にあり、いくつかのDNAマーカー(例えば、CE64/CE66−HRM、表3)に遺伝的に隣接し、雄株及び超雄株においてより高いレベルで発現するという事実は、AsOf TDF1様が性染色体の起源に関する2遺伝子モデルによって予測される雄性促進遺伝子であることの強力な証拠となる(Charlesworth及びCharlesworth、1979年参照)。
この遺伝子を、AsOf TDF1と呼ぶ。
タペータムの発達ための遺伝的経路は、シロイヌナズナとイネの間の類似性を考慮すると、一般に保存されている(Cai他著、2015年及び参考文献参照)。
これは、胞子体壁の分化、タペータムの特殊化、減数分裂及び花粉の成熟並びにこれらの過程の重要な調節因子等、葯の発達の重要な事象の両方の場合についてあてはまる。シロイヌナズナ及びイネでは、タペータムの発達及び機能に不可欠な転写因子(TF)が同定されている。シロイヌナズナの場合、これらには、bHLHファミリーのメンバーであるDYSFUNCTIONAL TAPETUM(DYT1)及びABORTED MICROSPORES(AMS)、R2R3 MYB TF、DEFECTIVE in TAPETAL DEVELOPMENT and FUNCTION(TDF1)及びMS188/MYB0及びPHD−フィンガータンパク質MALE STERILITY(MSI)が含まれる。これらの転写因子のイネホモログには、UNDEVELOPED TAPETUM(UDT1)、TAPETUM DEGENERATION RETARDATION(TDR1)、OsTDF1、OSMYB103/OsMYB80及びPERSISTENT TAPETUM CELL1(PTC1)が含まれる。これらの制御因子は、DYT1 UDT1→TDFl/OsTDFl→AMS/TDR→MS188/OsMS188→MS 1 PTC1という遺伝経路を形成しており、TDRは、bHLHファミリーの他の2つのメンバーと相互作用している(bHLH 142及びEAT1、Cai他著、2015年参照)。シロイヌナズナ及びイネの両者において、DTY1 UDTは、花粉壁の発達に関する全ての下流遺伝子の発現を、主にTDF1/OsTDF1を介して制御している。AsOf TDF1が、アスパラガス中の雄性プロモーターであることを支持するための遺伝子発現データを用いた2つの検証として、伴性を示す全ての遺伝子を分析する前進遺伝的アプローチ及びシロイヌナズナ及びイネの主要な調節因子のアスパラガスホモログの発現を分析するために、上記の保存された遺伝子経路を用いた逆遺伝学的アプローチを実施した。
最初のアプローチ(Harkess他著、2015年に記載されている)では、アスパラガス・オフィシナリスDHマッピング集団(Limgroup社、オランダ、ホルスト)の72個の個体を用いて構築された約3200万の一塩基多型(SNP)遺伝地図が、370個のアノテーション付き遺伝子モデルを含む性染色体のY染色体特異的領域上で抑制組換領域の境界を定める。この抑制組換領域内の全370遺伝子の正規化された遺伝子発現値を計算することにより、DH雌性系統において、DUF247雌性抑制遺伝子(SGD遺伝子(配列番号1及び配列番号3と同一))及び10個の推定雄性促進候補遺伝子の11遺伝子が発現されなかった。候補遺伝子は、まず、常染色体上の重複遺伝子、遺伝子アノテーション(すなわち、ミスアノテーションされたレトロトランスポゾン)の欠如、及びシロイヌナズナ及びイネにおける遺伝子発現及びノックアウト表現型についての重複遺伝子の存在に基づいて客観的に刈り込まれた。Harkessら(2015年)は、RNA−Seq実験(雄性89株、雄性9株、超雄性89株、雄性103株)で使用される雄性及び超雄性サンプルのうち4つのみが、繁殖系統間の生殖発生の変異の結果であると思われる、異なる雄性生殖遺伝子発現を示すと説明している。結果は、LIPID TRANSFER PROTEIN DIR1 LTP1、AsOf TDF1(配列番号4)及びエクスポリガラクツロナーゼタンパク質のアスパラガスホモログである10の推定上の候補遺伝子の3つが一貫してアップレギュレーションされていることを示す。エキソポリガラクツロナーゼは、葯の活性に緩やかに関連しており、アスパラガスのマルチ遺伝子ファミリーに属し、遺伝子コピー間の高い類似性に起因するRNA−seqリードの誤整列の可能性を生じさせる。これらの結果は、AsOf TDF1が雄性特異的な遺伝子発現に関与していることを示している。
第2のアプローチにおいて、アスパラガスゲノムスキャフォールドV2.0(AGS V2.0)及びアノテーションメタデータにおける候補同族遺伝子モデルを分析するために、タペータム発達のための保存された遺伝子経路における主要調節因子のシロイヌナズナ及びイネ配列を使用した。このために、tBLASTNを、AGS V2.0のBLASTデータベース及びRNA−Seq Trinity デノボアセンブリのクエリーとしての主要調節因子のタンパク質配列を用いて使用した。有意な類似性スコアを有する戻された配列を、シロイヌナズナ及びイネのNCBI非重複タンパク質データベースにおけるクエリーとしての候補の翻訳を用いて、標準設定でBLASTPによって検査及び評価した。
DYT1 UDT1については、AGS V2.0では有意なtBLASTNヒットは検出されず、Trinityアセンブリでは1つの関連するヒットであるcomp64619_c4_seq3 of 847nt、配列番号10が検出された。
(配列番号10:comp64619_c4_seq3 of 847nt)
CTCTCTCTCTCTCTCTCTGCAATTTACAAGTACTTCTTCTCCGTTGCTTGTTAGCATTATTTGATAGCAATGCCTCGTTGGCCAAGAGACCAAGCCAAGGAATTTGATGTGATGAACTTCGCAGACTCAATGCTTGATGGCTGCTACGGCGATGGAGGAGGAGAAGGGGAGTTTCGGAAGGAGCAGTCCGCGGCTGCGGCAGAGAAGGGAGAGGAAAGGTACAAGTCAAAGAACCTCGCAGCAGAGAGGAGGAGGAGGAGCAAACTCAATCATCGACTCTTTACCCTCAGATCTTTGGTTCCTAACATTACTAAGATGAGCAAGGAGTCAACCCTCATTGATGCAATGGATTACATCCACAACCTCCAAACACAAATTAGTGACCTGAAGCTTGAGATTTCGAAGATTTGCGAAGAAGAGGACCGCACGAAGCAAGGGAGCACATCTAGTACAGAGAGCACAGCTCCTCCAGAGATGGCCCAATACCAGGGAAGGGTTGAGCTGAATCCTATGGGACAAAACAAATTCCATGTTAAGATTATGTGCAACAAGAGGCCTGGAGGGTTTATTAAACTGCTTGATGCCCTCTCCAGAAATGGACTAGAGATTACTGAAATCAGCTCCTTTGCTTTTTCAGGTTTTGATCAGATAGTTTTTTGCATTGAGGCAACGGGTGATAAGGAGATTCCCATTTCTGAGTTAAGAAAGCTTCTAATGGCGATAGTCGAAGTATCTGAGGAGAATAATAAATGATTAATTTTAAATCATGTTCAATTGGTATTTGTATGAATAGATTGATTTAGAGTTTGAACTTCAAAGTTTTCTGTGCTTTTATTTGCTTTAGTAA
BLASTPにおいてクエリーとして使用される場合、最上位のスコアリング配列は、シロイヌナズナのAMS/TDR1及びTF SCREAM2のbHLHドメインを含む。DYT1/UDT1は、使用された雄性データベースにおいて有意な相同配列を有しないと結論された。
TDF1/OsTDF1については、相同なゲノム配列は以前に記載されており、配列番号に見出すことができる。雌性配列は存在せず、発現は雄性においてのみアップレギュレートされている(Harkessら、2015年及び個人観察、Limgroup社、オランダ、ホルスト)。
AMS/TDR1では、AGSV2.0:AsOf V2.0スキャフォールド2800の位置121055..121735に、同一性73/227(33%)及び陽性98/227(44%)で、1つのtBLASTN配列が見出された。AMS/TDR1予測cDNAは、配列番号7に示されている。
(配列番号7)
ATGAAGGTGTTGTCATATTCCAGCGTGGTTGAGGGTCTGAGGCCACTTGTGGGTGGCAATGGCTGGGACTACTGCATCCTGTGGAAATTGTCTCAAGATCAGAGGTTTTTGGAGTGGATGGGATGCTGTTGTAGCGGAACAGAGGCAAGCATTGCGAATGGTGGAGGGCTTTTCTCTGGTGATGAAACATTTCAGAAATCACCATGCAGGGATTTAATGCTGCAGCATCCAAGAACAAGGGCATGCGATGCTCTCTCAGAGTTTCCTTCTTCCATCCCCTTGGATTCCTCTTTAGGCATTTACGCACAAGTATTGATGTCGAACCAGCCAACTTGGCAAACACTTCATGATGCGGTTGGAGCAAAGACTAGGGTTCTTGTTCCTATTGCTGGTGGACTAGTTGAGCTACTAGTCTCGAAGCAAGTTGCTGAGAACCAACAGATGACAGACTTCATCATGTCACAATGCAACGGGAGCATCTACGACCATCCAACTGCGGGTAATTTCCTTGATGATCAGAGTTTCCAGTGGGAGGCATCCGCAGGTGGCCAATCACAACCCTACGCATCTCCGATGAACATCTTCGACCAGTTGCAGCTCGATGCGGCTGCAACAATGGACAGCACGGGGTACGGGCAGCAGGCAGGGCTGACGAGTGTGCATCAGCAAAAGGAATCTGCTCCAGCGGAGAAGGAATCGGTGAAACATGAGGGCGGCAGTGCGCGAGGAGATTCGGGGACGGAGGGGAGTGAGGATGATGAGGAGGGGAGGGCGGTAGGGAAGAACGGGAAGCGGCATCATGCAAAGAATCTTGTGGCGGAGAGGAAGAGGAGGAAGAAGCTTAATGATCGGCTCTACGCTCTCAGGGCCTTGGTTCCTAAAATCACAAAGATGGATAGAGCATCGATTCTTGGAGATGCGATAGAGTATGTGATGGAGTTACAGAAGCAGGTAAAAGATCTGCAGGACGAGCTCGAGAATGAATCAAATCCAGATGACACCGATTCAAAGCAAATCGAAAGCAACTATGACAATGTGGAAACAGGCAATCGAAATGGGATGATAAATTATAATCTCATGGAGCTTGAGGAGTCCCTTAACGCTACAAGTACGAGAAATGCTAAGACTGTTGATCAGTCGAACAATGAGGAGAAGGGGAATCAAATGGAGCCACAAGTGGAGGTGAAGCAGCTGGAAGCTAATGACTTCTACCTCAAGGTTTTTTGTGAGCATAAGGTTGGAGGATTTGCAAGGCTGATGGAGGCAATGAGCTCGCTTGGGCTGGAGGTGACCAATGCAAGTGTGACTACTCTTCAGTCTTTAGTACTGAATGTTTTCAGGGTGCAGAAGAGGGACAATGAAACGATGCAAGTCGATCAAGTCAGGGATTCATTGCTGGAGCTGACTCGAGGGCCAATCCGAGGGTGGCCGGAGCCTGGACACACTACAGAAAACCGCGGTGGAGATTGCCATCATGACAATGGTCTGCGGCCTACCGTGGAGATTTGGAGAATTTTGATTGTCGTGTTGTGCCAAGCTGGCAACGTTCCTTTGGGTTTTGGTTTGTTTGGAAAAATAATAGATTCGGGAAGTTTGCCGACTGTTGTGACGTATACGTTTCTTATTAAAGGGCTCCTAAAAGCTCGAATGTTGAGCGAAGCGATTGGTGTTTGGGATATTATGGTCATTGCCTCCGTTGCCGTCGACCGCCGCCTCGCCGCCCTCGACACGAAGCTATATTGA
アライメントの検査は、スコアが、保存されたbHLHファミリードメインにおけるアライメントの結果であることを示した。この配列は、Harkessらによって記載されたAMS関連配列とは異なっていた(Harkess他著、2015年)。この研究では、AMS候補RNAは、AMS/TDR1様配列に対して予測されるように、雄株においてのみダウンレギュレーションされていた。
AsOf V2.0スキャフォールド2800雌性リードの検査では、参照雌株DH00/094及び4株の倍加半数体の雌株のリードのカバー率は、AMS遺伝子が雌株において欠失していないことの指標であるリードカバレッジ(結果は示さず)の有意な減少を示さなかった。
MS188/OsMS188については、AGS V2.0:AsOf V2.0_スキャフォールド3320の位置107598..106444 revにおいて、tBLASTNを用いて、1つの非常に重要な配列が見出された。配列MS188/OsMS188の予想されるcDNAを配列番号8に示す。
(配列番号8)
ATGGGAAGGATTCCTTGCTGTGAGAAGGATAATGTGAAGAGAGGACAGTGGACCCCCGAGGAGGACAACAAGCTCTCTTCCTACATCGCACAACACGGCACCCGAAACTGGCGTCTCATCCCCAAAAATGCCGGCCTTCAGAGATGTGGGAAGAGCTGCCGGCTACGATGGACCAACTACCTCCGCCCGGATCTCAAGCACGGCGTATTCTCAGACTCCGAAGAGCAGACCATCGTCAAGCTCCACTCCGTCGTCGGGAACAGGTGGTCGTTGATAGCAGGGCAACTGCCAGGGCGAACAGATAACGATGTGAAGAACCACTGGAACACGAAGCTGAAGAAGAAGCTGTTGGGCAAGGGTATCGACCCGGTGACCCACAAGCCCTTCTCCCATCTCATGGCCGAGATTGCTACCACGGTTCCCCCGCTGCAAGTAGCCCACCTCGCTGAAGCTGCCCTCGGCTGCTTCAAGGACGAAATGCTGCACCTCCTTACCAAGAAGCGGGCGGATTTCCCTGCAAACGGTACTGATGTCGGTGATGGCACGGGCTTCCCCTATGCAATGAGCCCCGTGGAGGACAAGGAAGAGACTGTTCAGAAGATCAAGCTAGGGCTCTCTCGAGCTATCATGCAGGAGCCTGGAACCGATAAGAGCTGGGGCTTAATGGAGAACGGAGAGCCATCAGATGGGCTTCCTGTTGTGTCAATGTGCGATGATGATTTGTATCGAACGATAGGGGATGAGTTCAGGTACGAGGGACCATCGTATGCGAATGGCGAGGGGTCAGCATGGAGCCAGAGCATGTGCACGGGTAGCACGTGCACTGGGGGCGGTGGAACACCAGACTGTCATGTATTGCACGAGAAACACAGTGACGACGAGGGGGTGGAGGCTGAAGGCAAGAGGAGGAAAATCGATGCTGGGCTTTTCGGCTCTGATGGTGTTTTATGGGATTTGTCTGATGACCTTATGATGAATCACATAG
検査の結果、NCBIの非重複タンパク質データベースにおいてBLASTPを用いたアスパラガスホモログ遺伝子モデルに対する両方のタンパク質配列のほぼ完全なアラインメントは、シロイヌナズナMS188及びOsMS188が最高スコアのヒットとして返すことが示された。さらに、AsOf V2,0_スキャフォールド3320は、雌株特異的なリードマッピングによって十分にカバーされており、この非伴性連鎖遺伝子モデルのために、雄株及び雌株の両者について遺伝子発現を分析することを可能にする。RNA−Seqデータは、遺伝子モデルについての厳密な雄株に偏向した発現を示し、すなわち、リードマッピングは雌株発現データには存在しない。上述のRNA−Seqにおいて、異なるアスパラガスの遺伝子型及び特定の発達段階から得られた花芽における全ゲノム遺伝子発現が研究されたものを含む。これらのデータから、アスパラガスMS188/OsMS188様遺伝子モデルは、減数分裂前段階で制限された雄性表現型においてのみ発現されると結論された。減数分裂前段階における遺伝子モデル及び時空間発現は、MS 188及びOsMSISSデータによく一致する(Gu他著、2014年、Cai他著、2015年参照)。したがって、この遺伝子モデルはMS188/OsMS188のアスパラガスホモログであると結論付けられた。遺伝子を、AsOf MS 188と呼ぶ。
MS1/PTC1について、データはAsOf MYB188のデータと同様である。AGS V2.0:AsOf V2.0 スキャフォールド2421の133601..134341位において、tBLASTNを用いて有意なヒットが返された。予測されるcDNA配列MS1/PTC1は、配列番号9に示されている。
(配列番号9)
ATGGAGAAGGTTCAATCTTGCTCTAGAAAGAGGAAAAGAGGAGAGAAGGTTTTCAGATTCGAGAGCTTCTGTGCACCTAGGCAACCAATACTTTTCAGTGGCTCGTTCCGAGACAACGTTAAGGCTCTTCTTGATTTCGGCCATCAAGAGGATGGAGTGCACGAAGGAATGCAGTTTTGGTCGTTTCGGCTCGAGCTTCATCAGTACCCTTCGACTTTCGTGAGGATGTTCGTTGCTGAGGAGGCTGTTGGGCTGTCGCAGAATCGCCAGTGCCTTTTTTGCCGATTCGCTGGTTGGGGGCACCACATGATCTCCAACAAGAGATTCCACTTCGTGCTGCCATTCAAAAAAACTAAATCAGAGGTCGAAAGCTTGAGCATAGAACTTGGTAGAAACAGACCAGGGATATCGTCAATGGGCTCGAAATTGATGGGTTCACAAGGAAAGCATCTAATGCATGGAATCATGCACTCTAATGGCTACGGACATCTCATTACTGTCAATGGCATTGAAGGAGGCTCTGATTTCATCTCTGGACATCAAATCATGGACTTGTGGGATAGGATTTGCACTGCTTTGCATGTGAGAAAAGTGAGTATAACAGATTCAGCAAAGAAGGGAAGCATGGAACTAAGGCTAATTCATGGACTAGTGTATGGTCAGCCCTGGTTCAGTCGCTGGGACTACAAACTAAGCCATGGAAGCTATGGCGTCACTCCCCAAATGTACCAAACCTCGCTCGAAGCCCTACGAACTCTCCCCTTATCAATCCTCCTCCCCAATTTCGCCTCTATCATTGCCAAGTACCAAACCCTAAGTGGGCTCAAGTTACAAACCATAGCCGACTTAACCTGCTTCATTACAGAGCTGAATCGTCGATTGCCCCCAAACACCCCTTCGACATTCGACTGTCGAGAAATCATCAGCGAGCCAACTTGTCGTTGGTCGATGAAACGAGTTGAGATGGCTGCTCAAGTCATAGTCGGGGCTCTAAAGAAGTCCAAATGTCGTTGGGTCACAAGACAAGAGGTCAGAGATGCCGCCAGAGCCTACATTGGTGACACAGGCCTACTAGACTACGTGCTCAAGTCTCTCGGCAACCACATTGTTGGAAACTATGTTGTTCGACGGATGGTCAACCCGATAACCAAAATACTTGAATACTGCTTGCAGGATGTATCTACTGTTTTCCCTAGCTTGGATCATTTCGGTTCACTTCGTTTTCATGTCACAAGGTCTCAGCTCAAGAAAGACATGATGTACCTCTACAATAACATATTTGGAGCACATAGCACATTGGCTGCCGATGGGGTTTTCAGGGCAATACTTATCGCTGCTCGGGTGATTCTCGACGCCAAACACCTTGTTAAGGATTACAAGGTGACAGGTGGCTCGTTACAAGACACCCAAATGAAGAACAATGATCAATGTTTAAAGGTAATGTGCACGATACGAATCATGAACAATCAAGAGAAGAAGGAACTGCCACCATATGAGATGTTCACCTTTCAGCTCAATGCAACAATTGGGGACCTGAAGAGAGAGACTGAAAAAAAGTTCAGGGAAATCTATTTGGGCCTGAAGAGCTTCACTGCAGAATCAGTGGCTGGTCTTAATGCTGAAGATACTGATTTCATTGTAGGAGTACTTGTTGAGCTTGGCAACAAAGTGATTGTTGAAGGAAGAGTAGTTAATAATGCTGATGAGATTTATGAGGGTGGAAAAGATGTGGATTGCCATTGCGGAGGGAAGGAGGAGGATGGAGAGGTGATGGTGTGCTGCGATATCTGTGGGATTTGGCAGCATGCAAGGTGTGCAGGGATTGAGGACGAAGAAGAGGATGTTCCTAGGGTTTTTCTCTGTAACCTATGCGAGAACAATATTTCCGCATTGCCTCCAATTCAATACTAG
検査の結果、NCBIの非重複タンパク質データベースにおいてBLASTPを用いたアスパラガスホモログ遺伝子モデルに対する両方のタンパク質配列のほぼ完全なアラインメントは、最高スコアのヒットとして、シロイヌナズナMSI及びPTC1(Os09g0449000)を返すことが示された。さらに、AsOf V2,0_スキャフォールド2421は、雌株特異的なリードマッピングによって十分にカバーされており、この非伴性連鎖遺伝子モデルのために、雄株及び雌株の両者について遺伝子発現を分析することを可能にする。RNA−Seqデータは、遺伝子モデルの4つのエキソンの全てについて厳密な雄株に偏向した発現を示し、すなわち、リードマッピングは雌株発現データには存在しない。いくつかの特異的なリードマッピングは、雄株と雌株の両方で起こる。上述のRNA−Seqにおいて、異なるアスパラガスの遺伝子型及び特定の発達段階から得られた花芽における全ゲノム遺伝子発現が研究されたものを含む。これらのデータから、アスパラガスMS 1 TCP 1様遺伝子モデルは、減数分裂前段階で制限された雄性表現型においてのみ発現されると結論された。減数分裂前段階における遺伝子モデル及び時空間発現は、MSI及びPCTデータによく一致する(Gu他著、2014年、Cai他著、2015年参照)。したがって、この遺伝子モデルはMS1/PCT1のアスパラガスホモログであると結論付けられた。遺伝子を、AsOf MSIと呼ぶ。注目すべきことに、AsOf MS 1の雄株に偏向したRNA−seqリードマッピングは、9M系列には存在しない(Limgroup社、オランダ、ホルスト)。これは、特定の段階でサンプリングされた花芽の量が少ないためであった。結論として、制御ネットワークが下記のとおり明らかになった。
DYT1/UDT(信頼性のある予測は存在しない)→TDF 1/OsTDF 1/AsOf TDF 1→AMS/TDR1(?)→MS 188/OsMS 188/AsOf MS 188→MS 1 PTC 1/AsOf MS 1
AsOf TDF1様が雄性アスパラガス・オフィシナリスにのみ存在し、したがって雌性アスパラガス・オフィシナリスには存在せず、単一コピーの遺伝子モデルであり、AsOf_V2.0_スキャフォールド905から、雌蕊発達抑制因子(GDS遺伝子)と呼ばれる雌性抑制因子遺伝子又はDUF247ドメインを含む遺伝子のすぐ近傍にあり、いくつかのDNAマーカーに遺伝的に隣接し、雄株及び超雄株においてより高いレベルで発現し、アスパラガスホモログが、予想される時空発現パターンを示す、タペータムの発達のための十分に研究された遺伝的経路の一部である事実は、AsOf TDF1様が性染色体の起源に関する2遺伝子モデルによって予測される雄性促進遺伝子であることの強力な証拠となる(Charlesworth及びCharlesworth、1979年参照)。さらに、アスパラガスの雌株にAsOf TDF1を補充することにより、機能的な雄蕊の発達が回復すると、安全に結論づけることができる。
Caiら(2015年)は、シロイヌナズナにおけるOsTDF1の発現が、その受精能を回復させ、このホモログが、シロイヌナズナにおけるTDF1の正常な機能を果たし得ることを実証している。イネOsTDF1遺伝子及びシロイヌナズナTDF1遺伝子は、R2R3 MYBモチーフにおいて全く異なるが保存されていることが示されている。この知見は、本明細書に開示された知見と併せて、AsOf TDF1のホモログ又はオルソログを補充したアスパラガス雌株が、機能的な雄蕊の発達を回復し得ることを示す。
表61:Irysview Software(登録商標)パッケージを用いるアスパラガス・オフィシナリス遺伝子型DH00/086(雄性)及びAGS V2.0スキャフォールドのBioNano Genomicsコンティグの配列。遺伝子マーカーの情報に基づき、16のAGS V2.0スキャフォールド(伴性)をクエリーとして選抜し、8つの異なるBioNanoコンティグ(7、22、28、55、438、833、1030及び1138)が得られ、或いはコンティグが得られなかった(0)。表は、7つの伴性スキャフォールドがBNG VI.0コンティグ28にマッチし、遺伝子マーカースクリーニングにより検出されなかった(新規)4つのスキャフォールドも、同様にコンティグ28にマッチした。マッチ情報に基づき、少なくとも7つのM座位スキャフォールドがキメラ性のアセンブリであることが結論づけられた。
(実施例7)
(ガンマ線照射によって作出された雌化植物(雌株を含む)、それらの果実セット、その花、その実証された突然変異)
本実施例7では、実施例6において説明されたガンマ線照射により得られた変異植物についてより詳細に述べる。
本明細書の作成時において、研究は継続中である。以下の文書は、最新の知見の記録を提供するものである。1回目及び2回目の評価のいずれにおいても、植物がProdiplosis longifilaに感染しており、そのため、実止まり(fruit set)は、これらの植物について報告されているよりも高くなる可能性があることには注意が必要である。2回目の評価は、実止まりに悪影響を与えるかもしれない温暖期である2015年12月に実施した。
全ての突然変異体に対し、実施例6に記載されているように、それらのDNAについてのHRM分析を行ったが、雄性から雌性へのトランスジェンダーを除いて、実際に突然変異を有するK1150_300_11の融解曲線の差を示すのみであった(下記参照)。HRMによるいくつかの突然変異(例えば、A→T型4 SNP)が見落とされていないことを確認するために、遺伝子領域を、K1 150−600−2(大規模並列シーケンシングのために送付)以外のすべての変異株について、プライマーCN87、CN88/CN89、CP41/CN60、CN59/CN70、CN67/CN82、CN69/CN81(表3)を用いて配列決定した。1つの変異株のみが、翻訳領域外のHRMマーカーが標的とする領域外のCN86/CN87によって得られた配列中のSNPを示した。これは、翻訳された領域の外側に配列を伸ばすことが、より多くの変異体の検出を可能にすることを示している。しかしながら、以前に述べたように、PAB BIOリードは、遺伝子の上流の領域に、GCリッチなアイランドに隣接するATリッチな反復DNAを示した(結果は示さず)。リピートを含む領域は、シロイヌナズナFwa遺伝子について示されているようなシス調節エレメントを含んでいてもよい(Soppe他著、2000年)。すべての突然変異体の真正性は、マーカーAO008、AO022、AO058、AO069、AO097、AO110、AO145によって少なくとも証明されており、K323−_600A3以外には不純物を示さなかった。この座位の数は、不純物と呼ぶのに十分である(非公表の結果)。しかし、特に高価なゲノム配列決定を受けた(雌性)変異株については、図21に示すより多くのマーカーが適用されている。
K1 150−600−1は、実施例6に記載された雌株であり、GDS及びAS−TDF1遺伝子を含む欠失を示した。最初の検査では、その雌の開花は記録されたが、殆ど写真撮影されなかった。数週間後、植物は再び複数の雌花を着け、そのうちの1つが図22に示す写真が撮影された。果実は3本の茎に見られ、うち2本には5個、1本は4個の果実を着けており、9個の成熟果実から11個の生存可能な種子が得られた。4カ月後、ファーンの切断後、この植物は現在152個の新しい果実を産生しており、現在熟成中である。
K1 150−600−2は、5つの茎(それぞれ、4個、2個、14個、57個、4個の果実を有する)を生産し、そのうち4つが、5個の生存可能な種子を提供する成熟果実であり、数週間後に図22に示す花の撮影を行った。花は、この交配種にとって例外的でない花柱及び柱頭の発達を示した。最近、K1 150−600−2は熟成中の20の新しい果実を産生した。ゲノム再シークエンシングの結果は、1449〜2023位から開始する小さな欠失候補を示唆するが、プライマーCN88/CN89、CN86/CN87及びCN62/CN68(表3)を用いたPCR不全のために、このような欠失の決定的な証拠は今日まで得られなかった。この変異体のGDS領域の配列決定は保留中である。
K323−600A−3は、1回目の評価時には若い花を着けておらず、4つの茎を産生した(それぞれ21個、約100個、1個、11個の果実を着けた)。この変異株は、種子汚染と思われたため、後に偽変異体に分類された(図21)。
K323 600A−4は、開花を終え、3本の茎を産生し、それぞれ、2個、1個、4個の熟成した果実を着け、8種の生存可能な種子が得られた。K323 600A−4については、新たなシュートにおいて新たな果実が得られなかった。
K1 129−300−5は、2つの生存可能な種子が得られた2個の成熟果実を産生する1本の茎を有していた。新しいフラッシングにおいて植物の花が得られた(図22)。画像は、交配種の参照花では観察されなかった非常によく発達した三葉の柱頭を示した。最近、この植物は26の新しい果実を生産したと報告された。
K1 129−300−7は、4つの生存可能な種子が得られた3つの熟した果実が着いた1本の茎を産生しており、その写真はいくつかの柱頭が発育した花柱を示す(ただし、K1 129−300−5と比較して少ない傾向にある)。最近の植物の新しいシュートの検査では、新しい実止まりが認められなかった。
K1 129−300−8は、1個の成熟した果実を産生し、次のフラッシュにおいて1個の生存可能な種子が得られることが判明した。この植物の花を図22に示す。この花は、非常によく発達した柱頭を有することにも注目された。プライマー対CN86/CN87を用いたK1129−300−8のサンガー配列決定は、配列番号3のヌクレオチド位置1160と同じ位置でアデニンからチミンへの置換を明らかにした。このアデニンからチミンへの置換は、GDS遺伝子の最初に予測される開始コドンのアデニンから665ヌクレオチド離れている。このアデニンからチミンへの置換に関する結論は、K1129参照交配種及びK1036(実施例6の遺伝子型)育種系統9M及びハイブリッドK1150参照ゲノム倍加半数体DH00/086等の他の植物で得られた比較配列情報から推測される。この領域でこのような突然変異を偶然のみで検出する可能性はきわめて小さいはずであり、したがってこのような突然変異がK1 129−300−8に少なくとも1つの果実を産生することを可能にしたと予想される。さらなる調査が継続中である。これまでのところ、茎の2回目のフラッシュでは、新たな果実は得られなかった。
K1 129−300−9は、1つの生存可能な種子を含む1つの成熟した果実を産生した。撮影された写真は、顕著な花柱の発育を示さなかった(図22)。これまでのところ、新しい果実の産生は報告されていない。
K1 150−300−10は、3つの熟した果実が発見された1本の茎を有し、そこから2つの生存可能な種子が得られた。それは比較的大きな果実を示した。この植物について、現在のところ新たな果実の産生は報告されていない。
K1 129−300−11は3本の茎を有し、その上に(1個、2個及び3個)の果実が着いており、それらから、生存可能な種子はただ1つしか得られなかった。2番目のシュートのフラッシュに由来する花の写真が撮影され(図22)、これは例外的に長い花柱を示し、その葯をほぼ覆っていた。今日まで、新しいシュートには新しい果実が着いていない。プライマー対CP41/CN72を用いた高解像度融解分析は、植物K1150_300_11について、品種K1150に属する他の個体と比較して、オフ型の融解曲線を生成した。プライマー対CN69/CN81(表3、実施例1)を用いたサンガー配列決定は、配列番号1の1160の1193位と同等のアデニンからグアニンへの置換を示し、これはアスパラギン(N)からセリン(S)へのアミノ酸変化をもたらす。このSNPは、K1150_300参照交配種及びDH00/086、ハイブリッドK323及び88M、5375、9Mなどの多くの参照配列について得られた配列にはなく、ユニークなものであると考えられている。この果実産生能を有する変異株は、雌蕊発生抑制因子に変化するアミノ酸を有するため、果実産生能を有しない元のK1150と区別される。したがって、この特定の突然変異が雌性化株を提供すると結論づけられる。
K1 150−300−12は、200個を上回る生存可能な種子が収集された174個及び6個の果実を含む2本の枝を有していた。植物は検査時には開花が完了しており、新たなシュートを得るためにファーンを刈り取った後も、植物は回復していない。さらなる調査は、これらの果実から得られた温室で現在成長している12本の実生について行われる。幸いにも、ファーンの切除前に、DNA単離のために組織を採取したところ、実施例6に開示されているように、GDSを含む欠失が存在し、雄性刺激因子遺伝子が存在することが証明された。これまでのところ、新しい花が開花しないため、期待される雌性の表現型の確認ができない。この植物の系統から新たな花を得ることを目的とし、欠失と雌の花の表現型との間の関連を確認できる可能性のある更なる研究が継続中である。
K1 150−300−13は、3つの成熟した果実が発見された茎を有しており、そこから11の生育可能な種子が得られた。その花の1つの画像(図22)は、非常に長い花柱を示していた。最近形成された新しいシュートについて、18個の新しい果実が報告されている。
K1 150−300−14は2つの茎を産生し、その上に、6つの生存可能な種子を産生した3個及び4個の熟した果実が見出された。花(子房の一部を切り取ったもの)が示されている(図22)。これまでのところ、新たなシュートから果実は得られていない。写真撮影の対象となる花は得られていない。
K1 150−300−15は、生存可能な種子を有さない単一の成熟した果実が発見された茎を有していた。
K1 150−300−16は、2つの生存可能な種子を含む単一の成熟した果実が見出された茎を有していた。最近、茎の2番目のフラッシュで、3つの新しい果実が産生されたことがわかった。
最近、交配種K1129の参照株のためにより多くの花が集められた。これらの植物は花柱が発達しておらず、あるいは非常に小さいことが指摘された。
これは、K1 129−5及びK1 129−8について示されたような花柱の発達が、かなり例外的であることを示唆している。
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[付記1]
雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下されている植物を準備する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統種子繁殖に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。
[付記2]
親植物の一方又は両方が、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下させられている植物である、
雌雄異株植物を自家受精又は交雑受精させる方法。
[付記3]
GDSタンパク質の発現を阻害することにより、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列又はそのオルソログ若しくは機能的ホモログの発現を減少させることにより、雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下させられている植物を作る方法。
[付記4]
雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現の破壊又は低下が、GDS遺伝子(好ましくは、配列番号1の配列、又はそのオルソログ、機能的ホモログ、若しくは機能的断片を含むGDS遺伝子)の発現を阻害することにより生じている、付記1から3のいずれか1つに記載の方法。
[付記5]
雌蕊群発達の顕性抑圧因子の機能的発現が破壊又は低下されており、前記植物は変異GDS遺伝子を含み、前記方法はGDS遺伝子に変異を導入する工程を備える、付記1から3のいずれか1つに記載の方法。
[付記6]
前記変異はDNA置換により生じたものである、付記5に記載の方法。
[付記7]
前記雌雄異株植物は、クサスギカズラ属の一種、好ましくは、アスパラガス・オフィシナリスである、付記1から6のいずれか1つに記載の方法。
[付記8]
雌蕊群発達タンパク質の顕性抑圧因子の発現が破壊又は低下させられている雌雄異株植物、好ましくは、クサスギカズラ属の一種の植物、より好ましくは、アスパラガス・オフィシナリス種の植物。
[付記9]
GDS遺伝子の発現が破壊又は低下させられている、付記8に記載の雌雄異株植物。
[付記10]
前記植物は変異処理を受けており、好ましくは、前記処理は放射性元素による放射を含む、付記8又は9に記載の雌雄異株植物。
[付記11]
前記植物は前記雌蕊群発達の顕性抑圧因子の発現を破壊又は低下させる能力を有する核酸配列を形質転換又はトランスフェクションにより導入されており、好ましくは、前記核酸配列はGDS遺伝子の配列に相同又は部分的に相同である、付記8から10のいずれか1つに記載の雌雄異株植物。
[付記12]
発現の前記破壊又は低下は可逆的である、付記11に記載の雌雄異株植物。
[付記13]
顕性雄性刺激因子の機能的発現が回復させられている植物を準備する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統育種技術に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。
[付記14]
顕性雄性刺激因子の機能的発現の欠失が顕性雄性刺激因子の機能的コピーにより補われている植物を準備する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統技術に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。
[付記15]
前記顕性雄性刺激因子の導入が非相同顕性雄性刺激因子の発現を雌雄異株植物で誘導することにより行われ、好ましくは、前記顕性雄性刺激因子はTDF1タンパク質である、付記13又は14に記載の方法。
[付記16]
前記TDF1タンパク質は、配列番号5のアスパラガス・オフィシナリスTDF1遺伝子、又はそのオルソログ若しくは機能的ホモログ若しくは機能的断片である、付記15に記載の方法。
[付記17]
前記機能的断片は、前記TDF1タンパク質又はそのオルソログ若しくは機能的ホモログのR2及びR3ドメインを少なくとも含んでいる、付記16に記載の方法。
[付記18]
親植物の一方又は両方が、顕性雄性刺激因子の機能的発現の欠失が前記顕性雄性刺激因子の機能的コピーにより回復又は補填されている植物であり、好ましくは、前記顕性雄性刺激因子はTDF1タンパク質又はそのオルソログ若しくはホモログである、
雌雄異株植物を自家受精又は交雑受精させる方法。
[付記19]
葯を提供するために用いられる植物が、顕性雄性刺激因子の機能的発現の欠失が前記顕性雄性刺激因子の機能的コピーにより回復又は補填されている植物であり、好ましくは、前記顕性雄性刺激因子はTDF1タンパク質又はそのオルソログ若しくはホモログである、
インビトロ雄性発生を行う方法。
[付記20]
前記顕性雄性刺激因子をコードする遺伝子は、配列番号4のアスパラガス・オフィシナリスTDF1遺伝子、又は、そのオルソログ若しくは機能的ホモログ、若しくは付記17内で規定するTDFタンパク質の断片をコードする当該遺伝子の断片である、付記13から19のいずれか1つに記載の方法。
[付記21]
配列番号2のアミノ酸配列又はそのオルソログ若しくは機能的ホモログを含むクサスギカズラ属植物における雌蕊群発達を抑圧する能力を有するタンパク質。
[付記22]
配列番号1のcDNA配列又は配列番号3から派生し得るゲノム配列である、付記21に記載のタンパク質をコードする核酸配列。
[付記23]
雌雄異株種由来の植物での雄性化をもたらす能力を有するタンパク質であって、配列番号5のアミノ酸配列、又はそのオルソログ若しくは機能的ホモログ、若しくは付記17内で規定する当該アミノ酸配列の断片を含む、タンパク質。
[付記24]
配列番号4のcDNA配列又は付記17内で規定する断片をコードする能力を有する当該cDNA配列の断片である、付記23に記載のタンパク質をコードする核酸配列。
[付記25]
ある育種スキームにより得られた雌雄異株種のハイブリッド植物、好ましくは、付記1から7及び13から20のいずれか1つに記載の方法で育種することを介して作られた近交系植物に由来するハイブリッド植物。
[付記26]
雌化植物を提供する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統種子繁殖に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。
[付記27]
脱雌化植物を提供する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統種子繁殖に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。
[付記28]
雄化植物を提供する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統種子繁殖に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。
[付記29]
脱雄化植物を提供する工程と、
前記植物を、近親交配、戻し交配育種、連続戻し交配育種、又は半数体倍加系統種子繁殖に取り入れる工程と、
を備える、
雌雄異株植物における育種を改良する方法。