JP6872192B2 - 落雷電荷量推定方法及びシステム - Google Patents
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Description
落雷が発生したときに、その落雷のエネルギー(電荷量)が分かれば、設備被害の想定を行う上で大変有効である。
(式9)ΔQ=2πε0D3ΔE{1+(L/D)2}3/2/L
(ただし、ΔQは落雷電荷量[C]、πは円周率、ε0は空気の誘電率である。)
特許文献1では、Dは落雷位置標定装置から標定された落雷位置と測定対象位置との距離から算出し、ΔEは電界変化の勾配の大きさで落雷と判定した場合、最初の電界変化の直前の電界値と最後の電界変化の直後の電界値の差により算出し、Lは電界センサで検知した落雷の発生時点と磁界センサから検知した落雷に先行するリーダの発生時点からリーダ進展時間を求め、その進展時間と一定のリーダ進展速度から算出している。
ところで、空中での電荷の変化を点電荷の変化で模擬する点電荷モデルを仮定して推定する落雷の電荷量は1〜20ミリ秒(以下「ms」と記載する。)程度の比較的長時間に亘る電荷量(ストローク電荷)を対象としているので、電荷量の推定に際してはΔEの測定にスローアンテナを用いた電界観測によるものが多かった。
しかし、近年用いられるようになった帰還雷撃モデルを仮定しての電荷量推定においては、1msまで又は波尾において波高値が1kA以下となるまでといった比較的短時間における電荷量(インパルス電荷)の推定を要求される場合があるため、ファーストアンテナを用いた電界観測も行われるようになってきている。
また、非特許文献1に記載されているDUモデル等においては、帰還雷撃電流は雷道上に分布した電荷がその源とされているため、一般に数10マイクロ秒(以下「μs」と記載する。)程度の規約波尾長を持つ帰還雷撃電流が0になると、その時の電界は雷道上で中和された電荷を反映することになる。
そのため、ファーストアンテナにより得られた電界値から電荷量(インパルス電荷)を推定するためにはリーダにより雷道上に蓄積された電荷分布を求める必要があるが、リーダ上の電荷分布は雷撃毎に異なるため、これを求めるには帰還雷撃モデルを仮定して電流推定を行う必要がある。
本発明の第1の課題は、帰還雷撃モデルとして大地に垂直な雷道に電荷が均一に分布していると仮定した均一分布電荷モデルを利用するとともに、リーダ進展速度を用いることなく均一分布電荷モデルにおける分布電荷の上限高さを求めて、簡便かつ精度良く落雷電荷量(インパルス電荷)を推定できるようにすることである。
そして、本発明の第2の課題は、均一分布電荷モデルにおける分布電荷の下限高さを加味することによって、より精度良く落雷電荷量(インパルス電荷)を推定できるようにすることである。
さらに、本発明の第3の課題は、均一分布電荷モデルによる推定値と真の落雷電荷量とのエラー率を推定することによって、より精度良く落雷電荷量(インパルス電荷)を推定できるようにすることである。
観測地域における気象条件毎及び最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲毎に、推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度との対応関係を予め定めておき、
落雷位置から観測点までの水平距離D[m]及び前記観測点における落雷前後の電界値を計測し、前記落雷前後の電界値に基づいて、帰還雷撃開始直前の電界値と前記帰還雷撃開始後所定時間経過後の電界値の差である電界変化量ΔE[V/m]を算出し、前記落雷位置及び落雷発生時点に近い箇所及び時点における気象観測データから気温が−5℃〜−15℃である空気層の地上高の範囲を推定し、前記落雷位置、落雷発生時点における気象条件、最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲及び前記落雷位置を含む観測地域における予め定められた対応関係に基づいて推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度を決定し、
決定した前記空気層の温度及び推定した前記地上高の範囲に基づいて分布電荷の上限高さH[m]を決定し、
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE及び前記上限高さHを用いて下記(式1)によって落雷電荷量ΔQ[C]を算出することを特徴とする。
(式1)ΔQ=2πε0HΔE/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。)
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記下限高さhを用いて前記(式1)に代え下記(式2)によって落雷電荷量ΔQを算出することを特徴とする。
(式2)ΔQ=2πε0(H−h)ΔE/{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表し、0≦h<Hである。)
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記エラー率Erを用いて前記(式1)に代え下記(式3)によって落雷電荷量ΔQを算出することを特徴とする。
(式3)ΔQ=2πε0HΔE×100/(100+Er)/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。)
算出された波尾長Tを用いて下記(式4)によって前記エラー率Erを推定することを特徴とする。
(式4)Er=αT+β
(ただし、α及びβは落雷電荷量の測定及び推定に基づいて予め決定される定数である。)
観測地域における気象条件毎及び最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲毎に、推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度との予め定められた対応関係が記録されている対応関係記録手段と、
落雷位置から観測点までの水平距離D[m]を計測する落雷位置標定手段と、前記観測点における落雷前後の電界値を計測する電界計測手段と、前記落雷前後の電界値に基づいて、帰還雷撃開始直前の電界値と前記帰還雷撃開始後所定時間経過後の電界値の差である電界変化量ΔE[V/m]を算出する電界変化量演算手段と、前記落雷位置及び落雷発生時点に近い箇所及び時点における気象観測データから気温が−5℃〜−15℃である空気層の地上高の範囲を推定する地上高範囲推定手段と、前記落雷位置、落雷発生時点における気象条件、最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲及び前記落雷位置を含む観測地域における予め定められた対応関係に基づいて推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度を決定する空気層温度決定手段と、
該空気層温度決定手段が決定した前記空気層の温度及び前記地上高範囲推定手段が推定した前記地上高の範囲に基づいて分布電荷の上限高さH[m]を決定する上限高さ決定手段と、
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE及び前記上限高さHを用いて下記(式1)の演算を行い落雷電荷量ΔQ[C]を算出する電荷量計算手段とを備えていることを特徴とする。
(式1)ΔQ=2πε0HΔE/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。)
前記電荷量計算手段は、前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記下限高さhを用いて前記(式1)に代え下記(式2)の演算を行うことを特徴とする。
(式2)ΔQ=2πε0(H−h)ΔE/{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表し、0≦h<Hである。)
前記電荷量計算手段は、前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記エラー率Erを用いて前記(式1)に代え下記(式3)の演算を行うことを特徴とする。
(式3)ΔQ=2πε0HΔE×100/(100+Er)/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。)
前記エラー率推定手段は、算出された波尾長Tを用いて下記(式4)の演算を行うことを特徴とする。
(式4)Er=αT+β
(ただし、α及びβは落雷電荷量の測定及び推定に基づいて予め決定される定数である。)
そして、帰還雷撃モデルとして大地に垂直な雷道に電荷が均一に分布していると仮定した均一分布電荷モデルに基づく(式1)による演算を行うことで、電界計測手段であるファーストアンテナにより得られた帰還雷撃開始から所定時間(1msまで又は観測された雷電流の波高値が波尾において1kA以下となるまでの時間から選択した時間)経過後における電界値に基づいて低コストで精度良く落雷電荷量を推定することができる。
(式1)に代えて、帰還雷撃モデルとして大地に垂直な雷道に電荷が変化して分布していると仮定した均一分布電荷モデルに基づく(式2)によって落雷電荷量ΔQを算出するので、より精度良く落雷電荷量を推定することができる。
(式5)ΔQ=Δρ×(H−h)
また、雷道からD[m]だけ離れた点における電界E[V/m]は、雷道上の電荷密度をρ[C/m]、r=(D2+z2)1/2とすれば下記(式6)が導出される。
(式6)E=∫(ρ×D/4πε0r)dz<積分区間はhからHまで>
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表し、0≦h<Hである。)
この積分の計算を行うと下記(式7)となり、ρ[C/m]は下記(式8)で計算できる。
(式7)E=ρ×{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}/2πε0
(式8)ρ=2πε0E/{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}
したがって、雷道からD[m]だけ離れた点の電界変化量ΔE[V/m]を計測すれば、上記(式5)と(式8)の関係から落雷電荷量ΔQを下記(式2)によって計算できる。
(式2)ΔQ=2πε0(H−h)ΔE/{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}
図2に示すように、実施例1の落雷電荷量推定システムは次の各手段を備えている。
(1)雷電流を直接観測するために風力発電設備の下部に設置されたロゴスキーコイルと風力発電設備に落雷があった際にロゴスキーコイルに誘導される電流を測定する装置を備え、精度約0.2μsのGPS時計によるトリガ時刻を記録するとともに、サンプル時間間隔0.1μsで測定された電流値を記録する雷電流観測手段1。
なお、全記録時間はトリガ時刻前約100ms及びトリガ時刻後300msの約400msである。
(2)落雷に伴う電界の変化を計測するファーストアンテナを備え、精度約0.2μsのGPS時計で上記(1)の雷電流観測手段1と時刻同期を取ってサンプル時間間隔0.1μsで計測された電界値を記録する電界計測手段2。
(3)上記(1)のロゴスキーコイルが設置されている風力発電設備に近い測候所で観測された高層気象観測データを取得するデータ取得手段3。
なお、落雷位置標定手段4は、落雷による雷放電から放射される電磁波を複数の地点で受信し、それらの受信した電磁波を周知の手段(例えば、特許文献1に示された非特許文献である岸本保夫、「雷観測システムおよび雷保護規格の最新動向」、NTT建築総合研究所を参照。)を用いて解析することにより落雷位置を標定し、その落雷位置と電界計測手段2の水平距離D[m]を計測するものとしても良い。
(5)上記(2)の電界計測手段2に記録された電界値のデータからトリガ時刻の前後における電界値のデータを抽出し、帰還雷撃開始から所定時間(1msまで又は観測された雷電流の波高値が波尾において1kA以下となるまでの時間から選択した時間)経過後における電界値を電界変化量ΔE[V/m]として判定する電界変化量演算手段5。
(6)落雷のあった風力発電設備に最も近い測候所において、落雷時点に最も近い時点に観測された高層気象観測データを抽出し、落雷のあった風力発電設備上空における気温が−5℃〜−15℃である空気層の地上高の範囲を推定する地上高範囲推定手段6。
なお、一つの上限高さH[m]を選択する方法については後述する。
(8)落雷のあった風力発電設備(落雷位置)の標高と電界計測手段2(観測点)の標高との差を算出する下限高さ決定手段8。
(9)上記(4)の落雷位置標定手段4で計測された水平距離D[m]、上記(5)の電界変化量演算手段5で算出された電界変化量ΔE[V/m]、上記(7)の上限高さ決定手段7で決定された上限高さH[m] 及び上記(8)の下限高さ決定手段8で決定された下限高さh[m]を用いて上記(式2)による演算を行い、風力発電設備に落ちた雷の落雷電荷量ΔQ[C]を算出する電荷量計算手段9及び計算結果を表示する表示手段10。
(10)上記(1)の雷電流観測手段1より得られた電流値から変換した測定電荷量を表示する表示手段11。
なお、この比較実験における落雷電荷量ΔQ[C]の観測は、雷雲に負の電荷が蓄積される負極性落雷について行われたが、負極性落雷か否かは放電における最初の電界変化直前の電界値が高く、最後の電界変化直後の電界値が低くなっていることで判定できる。
そして、落雷電荷量ΔQ[C]の推定に用いる点電荷高さL[m]には、落雷のあった風力発電設備に最も近い測候所(鹿児島気象台)で落雷発生時点に最も近い時点において観測された高層気象観測データから推定された5000m(気温が−1.8℃である空気層の地上高)、6000m(気温が−6.8℃である空気層の地上高)、6500m(気温が−10.0℃である空気層の地上高)及び7000m(気温が−12.0℃である空気層の地上高)の4つを選択した。
そこで、本実施例の均一分布電荷モデルに基づく推定電荷量(インパルス電荷)の演算に際しては、落雷のあった風力発電設備に最も近い測候所(鹿児島気象台)で落雷発生時点に最も近い時点において観測された高層気象観測データから推定された気温が−10.0℃である空気層の地上高を上限高さH[m]として決定した。
なお、表1の例では雷撃点と観測点の標高差が小さかったためh=0とし、ΔEについては、帰還雷撃開始後0.2msまでの電荷量変化を対象としたため、図4のグラフに示すように0.175msから0.225msまでに観測された電界値の平均値とした(図4ではΔE=41V/m)。
表1は、電流波形が測定できた4つの雷撃に関して電流波形の時間積分から計算した電荷量変化(実測値)と、対象雷撃に伴って発生した電界波形から推定した電荷量変化(推定値)と、実測値に対する推定値の誤差率を示している。
表1に示すとおり、誤差率は−16.6%〜21.0%となったが、上記(式2)の導出にあたっては、(1)雷道が大地に垂直である(2)雷道上に電荷が一様分布する(3)帰還雷撃開始後0.2msで雷電流はゼロとなっている等、多くの仮定をすることで得られたものであることを考え合わせれば、この程度の誤差率は想定内であり、十分利用に耐えるものである。
また、上述した誤差率の範囲は、スローアンテナを用いて観測された電界値に基づく推定値の誤差率と同程度である。
(式1)ΔQ=2πε0HΔE/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
したがって、実施例2の落雷電荷量推定システムの概念図は、図2から下限高さ決定手段8を省き、上限高さ決定手段7のみから電荷量計算手段9に上限高さHを入力するものとなる。
そして、実施例2の構成であっても実施例1で説明したように、雷撃点と観測点の標高差が小さければ下限高さhを0としても実測値に対する推定値の誤差率は想定内の範囲となることから、平野部において落雷電荷量を推定するに際しては十分に利用可能である。
なお、図5は実施例1におけるインパルス電荷の落雷電荷量推定システムとストローク電荷の落雷電荷量推定システムとを統合したシステムの例である。
(1)落雷に伴う電界の変化を計測するスローアンテナを備え、精度約0.2μsのGPS時計で雷電流観測手段1と時刻同期を取ってサンプル時間間隔0.1μsで計測された電界値を記録する第2電界計測手段12。
(2)落雷を形成する放電における最初の電界変化直前の電界値と最後の電界変化直後の電界値の差である電界変化量ΔE2[V/m]を算出する第2電界変化量演算手段13。
(3)地上高範囲推定手段6が推定した地上高の範囲から一つの高さL[m]を決定する高さ決定手段14。
なお、実施例3では実施例1及び2と同じく、気温が−10.0℃であると推定された空気層の地上高を電荷中心の高さL[m]とした。
(4)落雷位置標定手段4で計測された水平距離D[m]、上記(2)の第2電界変化量演算手段13で算出された第2電界変化量ΔE2[V/m]、上記(3)の高さ決定手段14で決定された高さL[m] を用いて式9による演算を行い、風力発電設備に落ちた雷の第2落雷電荷量ΔQ2[C]を算出する第2電荷量計算手段15及びその計算結果を表示する第2表示手段16。
(式3)ΔQ=2πε0HΔE×100/(100+Er)/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
ここで、エラー率Erは(式1)によって算出される落雷電荷量ΔQが真値より大きいときプラス、真値より小さいときマイナスであり、地形、気温、風速等に左右される。
そこで、事前に各地域において様々な条件下で、(式1)によって算出された落雷電荷量ΔQと測定電荷量とを比較し、各地域、各条件におけるエラー率Erを蓄積しておけば、対象となる落雷のあった地域と落雷時刻における条件に応じてエラー率Erを定めることができる。
また、新たな知見として、落雷時に計測された電界値を高域遮断フィルタ処理した後の波形における波尾長T[μs]とエラー率Erとの間に密接な関係あることが分かったので、以下では、その詳細について説明する。
図6に示すとおり、このグラフにおけるピーク(46.1685[V/m])が現れる前において電界値がピークの90%となる点(以下「90%点」という。)及びピークの10%となる点(以下「10%点」という。)を特定し、90%点と10%点を結ぶ直線が時間軸と交わる点(-0.7467[μs])を始点とする。
次にピークが現れた後において電界値がピークの50%となる点(以下「50%点」という。)を終点(53.1075[μs])とする。
そして、始点と終点の時間差(53.8542[μs])を波尾長と定義する。
このグラフからも見てとれるように、波尾長Tとエラー率Erには下記(式4)で表すことのできる直線的な相関関係があることが分かる。
(式4)Er=αT+β
そして、図7のグラフにおいては、α=-1.5743、β=75.919となり、波尾長Tとエラー率Erの関係式は、Er=-1.5743T+75.919となることが分かった。
また、この相関関係には地域差があることが分かっているが、予め各地域において関係式(α及びβの値)を定めておけば、落雷時刻におけるその他の条件を考慮することなく、エラー率Erをファーストアンテナ等によって計測された電界値の変化に基づいて特定される波尾長Tを用いて正確に推定することができる。
実施例4では、計測された電界値の変化に基づいて波尾長Tを特定し、波尾長Tを用いてエラー率Erを推定するので、実施例1における落雷電荷量推定システム(図2)に、電界計測手段から得たデータを基に波尾長Tを特定するための波尾長演算手段17と、波尾長Tを用いてエラー率Erを推定するためのエラー率推定手段18が追加されたものとなっている。
この変化分布電荷モデルにおいて、1m上昇につき増加する電荷量をa[C]とすると、途中の式は省略するが、落雷電荷量ΔQは下記(式10)で計算できることとなる。
(式10)ΔQ=(2πε0ΔE−aG)×H/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、G=ln[{(D2+H2)1/2+H}/D]−H/2D−H/2(D2+H2)1/2である。)
(式11)a=2πε0ΔE×Er/(100+Er)×G
そして、(式11)に(式4)の関係を代入すると、aとTの関係を下記(式12)で表すことができる。
(式12)a=2πε0ΔE×(αT+β)/(100+αT+β)×G
(1)実施例1〜4においては、雷電流観測手段1として風力発電設備の下部にロゴスキーコイルを設置したが、風力発電設備に限らず高いビルや鉄塔の避雷針に設置しても良く、ロゴスキーコイルに代えてシャント抵抗を用いても良い。
また、すでに説明したように、雷電流観測手段1を用いずに他の手段によって落雷位置を標定することもできるが、そうした場合、例えば実施例1における落雷電荷量推定システムは図10に示すようなものとなる。
すなわち、図2の概念図から雷電流観測手段1及び表示手段11が省かれたものとなる。
(2)実施例1〜4においては、雷電流観測手段1及び電界計測手段2のサンプル時間間隔は0.1μsであったが、トリガ時刻、電界変化量及び時間差の特定に支障がなければ、サンプル時間間隔は0.1μsより大きくても小さくても良い。
したがって、各落雷において高層気象観測データから上限高さHを的確に決定するにはデータの積み上げが欠かせないところであるが、ストローク電荷を推定するために選択する高さLについては、通常は時間とともに上昇することが分かっているので、時間差が所定長さ(例えば2ms)未満である前期段階の放電における第2落雷電荷量ΔQ2[C]の算出に際しては、観測された高層気象観測データから推定された気温が−5℃〜−10℃である空気層の地上高のいずれかを選択し、時間差が所定長さ以上である後期段階の放電における第2落雷電荷量ΔQ2[C]の算出に際しては、観測された高層気象観測データから推定された気温が−10℃〜−15℃である空気層の地上高のいずれかを選択すれば良いといえる。
また、電界変化量ΔEを帰還雷撃開始後0.2msにおいて観測された電界値の瞬時値としても良く、帰還雷撃開始後0.2msの前後0.1〜50μsにおいて観測された電界値の平均値としても良い。
4 落雷位置標定手段 5 電界変化量演算手段 6 地上高範囲推定手段
7 上限高さ決定手段 8 下限高さ決定手段 9 電荷量計算手段
10、11 表示手段 12 第2電界計測手段
13 第2電界変化量演算手段 14 高さ決定手段
15 第2電荷量計算手段 16 第2表示手段
17 波尾長演算手段 18 エラー率推定手段
D 水平距離 ΔE 電界変化量 H 上限高さ h 下限高さ
L 電荷中心の高さ ΔQ 落雷電荷量 ΔQ2 第2落雷電荷量
Er エラー率 T 波尾長 a 1m上昇につき増加する電荷量
α、β 落雷電荷量の測定及び推定に基づいて予め決定される定数
Claims (10)
- 落雷電荷量を算出するための均一分布電荷モデルによる落雷電荷量推定方法であって、
観測地域における気象条件毎及び最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲毎に、推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度との対応関係を予め定めておき、
落雷位置から観測点までの水平距離D[m]及び前記観測点における落雷前後の電界値を計測し、
前記落雷前後の電界値に基づいて、帰還雷撃開始直前の電界値と前記帰還雷撃開始後所定時間経過後の電界値の差である電界変化量ΔE[V/m]を算出し、
前記落雷位置及び落雷発生時点に近い箇所及び時点における気象観測データから気温が−5℃〜−15℃である空気層の地上高の範囲を推定し、
前記落雷位置、落雷発生時点における気象条件、最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲及び前記落雷位置を含む観測地域における予め定められた対応関係に基づいて推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度を決定し、
決定した前記空気層の温度及び推定した前記地上高の範囲に基づいて分布電荷の上限高さH[m]を決定し、
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE及び前記上限高さHを用いて下記(式1)によって落雷電荷量ΔQ[C]を算出する
ことを特徴とする落雷電荷量推定方法。
(式1)ΔQ=2πε0HΔE/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。) - 推定した前記地上高の範囲に基づいて分布電荷の下限高さh[m]を決定し、
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記下限高さhを用いて前記(式1)に代え下記(式2)によって落雷電荷量ΔQを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の落雷電荷量推定方法。
(式2)ΔQ=2πε0(H−h)ΔE/{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表し、0≦h<Hである。) - 前記下限高さhを前記落雷位置と前記観測点の高さの差を算出して決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の落雷電荷量推定方法。 - 前記(式1)によって算出される落雷電荷量ΔQのエラー率Er[%]を推定し、
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記エラー率Erを用いて前記(式1)に代え下記(式3)によって落雷電荷量ΔQを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の落雷電荷量推定方法。
(式3)ΔQ=2πε0HΔE×100/(100+Er)/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。) - 前記落雷前後の電界値に基づいて、前記落雷前後における電界波形の波尾長T[μs]を算出し、
算出された波尾長Tを用いて下記(式4)によって前記エラー率Erを推定する
ことを特徴とする請求項4に記載の落雷電荷量推定方法。
(式4)Er=αT+β
(ただし、α及びβは落雷電荷量の測定及び推定に基づいて予め決定される定数である。) - 落雷電荷量を算出するための落雷電荷量推定システムであって、
観測地域における気象条件毎及び最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲毎に、推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度との予め定められた対応関係が記録されている対応関係記録手段と、
落雷位置から観測点までの水平距離D[m] を計測する落雷位置標定手段と、
前記観測点における落雷前後の電界値を計測する電界計測手段と、
前記落雷前後の電界値に基づいて、帰還雷撃開始直前の電界値と前記帰還雷撃開始後所定時間経過後の電界値の差である電界変化量ΔE[V/m]を算出する電界変化量演算手段と、
前記落雷位置及び落雷発生時点に近い箇所及び時点における気象観測データから気温が−5℃〜−15℃である空気層の地上高の範囲を推定する地上高範囲推定手段と、
前記落雷位置、落雷発生時点における気象条件、最初の放電が生じた時点からの時間差の範囲及び前記落雷位置を含む観測地域における予め定められた対応関係に基づいて推定電荷量と測定電荷量との差が小さくなる空気層の温度を決定する空気層温度決定手段と、
該空気層温度決定手段が決定した前記空気層の温度及び前記地上高範囲推定手段が推定した前記地上高の範囲に基づいて分布電荷の上限高さH[m]を決定する上限高さ決定手段と、
前記水平距離D、前記電界変化量ΔE及び前記上限高さHを用いて下記(式1)の演算を行い落雷電荷量ΔQ[C]を算出する電荷量計算手段とを備えている
ことを特徴とする落雷電荷量推定システム。
(式1)ΔQ=2πε0HΔE/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。) - 前記地上高範囲推定手段が推定した前記地上高の範囲に基づいて分布電荷の下限高さh[m]を決定する下限高さ決定手段をさらに備え、
前記電荷量計算手段は、前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記下限高さhを用いて前記(式1)に代え下記(式2)の演算を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の落雷電荷量推定システム。
(式2)ΔQ=2πε0(H−h)ΔE/{1/(D2+h2)1/2−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表し、0≦h<Hである。) - 前記下限高さ決定手段は、前記落雷位置と前記観測点の高さの差を算出する手段を有している
ことを特徴とする請求項7に記載の落雷電荷量推定システム。 - 前記(式1)によって算出される落雷電荷量ΔQのエラー率Er[%]を推定するエラー率推定手段をさらに備え、
前記電荷量計算手段は、前記水平距離D、前記電界変化量ΔE、前記上限高さH及び前記エラー率Erを用いて前記(式1)に代え下記(式3)の演算を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の落雷電荷量推定システム。
(式3)ΔQ=2πε0HΔE×100/(100+Er)/{1/D−1/(D2+H2)1/2}
(ただし、πは円周率、ε0は空気の誘電率を表す。) - 前記落雷前後の電界値に基づいて、前記落雷前後における電界波形の波尾長T[μs]を算出する波尾長演算手段をさらに備え、
前記エラー率推定手段は、算出された波尾長Tを用いて下記(式4)の演算を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の落雷電荷量推定方法。
(式4)Er=αT+β
(ただし、α及びβは落雷電荷量の測定及び推定に基づいて予め決定される定数である。)
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