JP6873232B2 - 熱応答性組成物及び熱応答性材料 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性組成物を提供することにある。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性材料を提供することにある。
<1> 数平均壁厚が10nm〜200nmであり、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルと、マイクロカプセルの内部及び外部の少なくとも一方に存在する色材と、を含有する熱応答性組成物である。
<2> マイクロカプセルの内部に上記色材を含有する<1>に記載の熱応答性組成物である。
<3> マイクロカプセルの外部に上記色材を含有する<1>に記載の熱応答性組成物である。
<4> マイクロカプセルのカプセル壁は、3官能以上のイソシアネートの重合物を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<5> マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜100μmである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<6> マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜10μmである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<8> 発色色素の色相と色材の色相とが異なり、かつ、熱の付与前後における色相差ΔH*が10〜20である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<9> マイクロカプセルのカプセル壁に対するマイクロカプセルの内包物の質量比が、7を超える<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<10> 変色温度調整剤が、炭素数12〜24のアリールアルキルケトンである<1>〜<9>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<11> 発色色素に対する変色温度調整剤の含有比率は、100質量%〜2000質量%である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<12> 支持体と、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物の塗布物である熱応答性層と、を有する熱応答性材料である。
本発明の他の実施形態によれば、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性材料が提供される。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示の熱応答性組成物は、マイクロカプセルと色材とを含有し、必要に応じて水系溶媒、バインダー、及び添加剤等の他の成分を含有してもよい。
本開示におけるマイクロカプセルは、数平均壁厚が10nm〜200nmであり、かつ、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包している。
本発明の一実施形態では、あらかじめ発色反応物である発色色素を内包して着色されたマイクロカプセルに加えて非熱応答性の色材を含むことで、熱が付与された際、変色温度調整剤の作用を受けてマイクロカプセル内の発色色素の色濃度が低下するに従い、マイクロカプセル内の発色色素の色相と色材の色相との混色となって変色し、変色前の色相に対して色相差が発現し、被検体の温度状態を色の変化(すなわち色相差)として表すことができる。
そして、本開示の熱応答性組成物では、マイクロカプセルの壁の厚み(壁厚)が10nm〜200nmと薄いので、従来のマイクロカプセルに比べ、着色されたマイクロカプセルの着色濃度が高められ、熱が与えられた際の変色作用による色相差が顕著に現れる。また、従来のマイクロカプセルに比べ、熱応答速度にも優れる。
本開示の熱応答性組成物は、マイクロカプセルの少なくとも一種を含有する。
本開示の熱応答性組成物に含有されるマイクロカプセルは、着色のある物質である色素を内包した着色カプセルであり、内包された色素の発色色相により任意の色相に着色されていてよい。
マイクロカプセルは、発色色素の少なくとも一種を含有する。
マイクロカプセルに内包された発色色素は、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とが反応して生成される反応生成物である。
電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
電子供与性染料前駆体は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
電子受容性化合物としては、フェノール系化合物、サリチル酸系化合物、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。中でも、ビスフェノール系化合物、ヒドロキシ安息香酸エステル系化合物が好ましい。
電子受容性化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノールを挙げることができる。
電子受容性化合物として、下記一般式(1)で表される化合物も好適である。
R1、R2、R3、又はR4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、t−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、2−フェニルエチル等が挙げられる。アルキル基は、直鎖状又は分岐状の構造を有し、炭素数が1〜4(置換基の炭素数を含まない)であるものがより好ましい。
R1、R2、R3、又はR4で表されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、ナフチル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル等が挙げられる。中でも、R1、R2、R3、又はR4で表されるアリール基は、炭素数6〜8の6員環のアリール基がより好ましい。
R1〜R4の好ましい組み合わせとしては、R1が水素原子であり、R2がフェニル基を有する炭素数2又は3のアルキル基(フェニル基の炭素数を含めると炭素数8又は9)であり、R3が水素原子であり、R4がフェニル基を有する炭素数2又は3のアルキル基(フェニル基の炭素数を含めると炭素数8又は9)である態様が好ましい。
Mとしては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子、銅原子、アルミニウム原子、カルシウム原子、亜鉛原子等が挙げられる。中でも、多価の金属原子、すなわち2価以上の金属原子であることが好ましく、Mはアルミニウム原子、カルシウム原子、又は亜鉛原子であることが好ましい。より好ましくは、Mは亜鉛原子である。
本開示におけるマイクロカプセルは、変色温度調整剤の少なくとも一種を含有する。
変色温度調整剤としては、炭化水素系化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物、スルフィド系化合物、エーテル系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、酸アミド系化合物、アルコール系化合物、ワックス等が挙げられ、ケトン系化合物が好ましく、総炭素数10以上のケトン系化合物がより好ましい。
鎖式炭化水素としては、例えば、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン等が挙げられる。
総炭素数10以上の脂肪族エーテルとしては、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
脂環式エーテルとしては、例えば、s−トリオキサン等が挙げられる。
芳香族エーテルとしては、例えば、フェニルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジ−p−トリルエーテル、1−メトキシナフタレン、3,4,5−トリメトキシトルエン等が挙げられる。
総炭素数が10以上の脂肪族ケトンとしては、例えば、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
総炭素数12〜24のアリールアルキルケトンとしては、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
アリールアリールケトンとしては、総炭素数12〜24のアリールアリールケトンが好ましく、例えば、ベンゾフェノン、ベンジルフェニルケトン、ジベンジルケトン等が挙げられる。
脂環式ケトンとしては、総炭素数8〜24の脂環式ケトンが好ましく、例えば、シクロオクタノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン等が挙げられる。
エステルの例としては、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ステアリル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、ptert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジミリステート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。具体的には、特開2001−105732号公報に記載されている。
飽和アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
脂肪族不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
脂環式アルコールとしては、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、例えば、4−メチルベンジルアルコール、ベンズヒドロール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
発色色素及び変色温度調整剤がマイクロカプセルに内包されていることで、発色色素を変色温度調整剤の近傍に存在させておくことができ、熱に対する応答性が向上する。
マイクロカプセルには、いわゆる油相のオイル成分として溶媒を内包してもよい。溶媒には、感熱紙の分野で公知の化合物を用いることができる。
溶媒の例としては、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン系化合物、1−フェニル−1−キシリルエタン等のジアリールアルカン系化合物、イソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル系化合物、トリアリールメタン系化合物、アルキルベンゼン系化合物、ベンジルナフタレン系化合物、ジアリールアルキレン系化合物、アリールインダン系化合物等の芳香族炭化水素;フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素;大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油;鉱物油等の天然物高沸点留分などが挙げられる。
溶媒のマイクロカプセル中における含有率は、マイクロカプセルに内包される内包物の全質量に対して、50質量%未満が好ましい。
マイクロカプセルには、必要に応じて、マイクロカプセルを製造する際の壁材の油相中への溶解性を高めるための油相成分として補助溶媒を含有してもよい。補助溶媒には、上記の溶媒は含まれない。
補助溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチル等のエステル系化合物、イソプロピルアルコール等のアルコール系化合物等が挙げられる。好ましくは、補助溶媒は、沸点が130℃以下である。
補助溶媒のマイクロカプセル中における含有量は、マイクロカプセルに内包される内包物の全質量に対して、0質量%〜90質量%が好ましく、1質量%〜80質量%がより好ましく、更に好ましくは5質量%〜70質量%である。
マイクロカプセルには、上記の成分のほか、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、臭気抑制剤等の添加剤などを内包してもよい。
添加剤のマイクロカプセル中における含有量としては、マイクロカプセルに内包された内包物の全質量に対して、0質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましく、更に好ましくは5質量%〜10質量%である。
マイクロカプセルの数平均壁厚が10nm以上であると、製造上適している。また、 マイクロカプセルの数平均壁厚が200nm以下であると、内包物の含有量が少なくなり過ぎず、良好な色相差を実現することができる。
マイクロカプセルの数平均壁厚は、カプセル壁材の種類、カプセル中の内包物の内包量、及びカプセルの粒径等の種々の条件に依存するが、発色濃度を高める観点から、20nm〜200nmの範囲が好ましく、20nm〜100nmがより好ましく、20nm〜50nmが更に好ましい。
具体的には、例えばマイクロカプセルに内包される溶質、溶媒、補助溶媒、及び壁材等の内包物の量を増やすことにより、カプセル壁を薄厚に調整することができる。
マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、分散の条件を変更すること等により、好ましく制御することができる。
ここで、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径とは、マイクロカプセル全体を体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けた場合に、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径をいう。
本開示において、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定される。
カプセル壁に対するマイクロカプセル内包物の質量比は、8以上がより好ましい。
マイクロカプセルは、発色色素と、変色温度調整剤と、壁材と、必要に応じて溶剤、補助溶媒及び添加剤等と、を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散させて乳化液を調製する工程(以下、乳化工程)と、マイクロカプセルの壁(以下、カプセル壁)を形成する壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、少なくとも発色色素及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルを形成する工程(以下、カプセル化工程)と、を含むことが好ましい。
乳化工程では、油相を水相に分散させて乳化液を調製することができる。
油相には、発色色素及び変色温度調整剤と、壁材と、が少なくとも含まれる。発色色素及び変色温度調整剤の詳細については、既述の通りである。マイクロカプセル内に色材を内包させる場合は、油相中に発色色素、変色温度調整剤及び壁材に加えて色材を含めることが好ましい。
カプセル壁を形成する壁材としては、イソシアネート化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、中でも、イソシアネート化合物が好ましく、1分子内に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が好ましい。
以上では2官能であるジイソシアネート化合物を例示したが、これらに類推される3官能のトリイソシアネート化合物、4官能のテトライソシアネート化合物であってもよい。
また、上記イソシアネート化合物と、エチレングリコール系化合物もしくはビスフェノール系化合物等の2官能アルコール、又はフェノールと、の付加物も挙げられる。
イソシアネート化合物については「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
3官能以上のイソシアネートとしては、例えば、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物等が挙げられる。3官能以上のイソシアネート化合物の例としては、2官能のイソシアネート化合物(分子中に2つのイソシアネート基を有する化合物)と分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物(3官能以上の例えばポリオール、ポリアミン、又はポリチオール等)とのアダクト体(付加物)として3官能以上としたイソシアネート化合物(アダクト型)、2官能のイソシアネート化合物の3量体(ビウレット型又はイソシアヌレート型)も好ましい。
3官能以上のイソシアネート化合物の具体的な例としては、キシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等であってもよい。
中でも、アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物として、三井化学(株)のタケネート(登録商標)D−110N、D−120N、D−140N、及びD−160Nから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
イソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D−127N、D−170N、D−170HN、D−172N、D−177N(三井化学株式会社製)、スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、Z4470BA(住化バイエルウレタン)、コロネート(登録商標)HX、HK(日本ポリウレタン株式会社製)、デュラネート(登録商標)TPA−100、TKA−100、TSA−100、TSS−100、TLA−100、TSE−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。
ビウレット型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D−165N、NP1100(三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)N3200(住化バイエルウレタン)、デュラネート(登録商標)24A−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。
カプセル壁材の油相中における濃度は、マイクロカプセルの大きさ及び壁厚等に鑑みて適宜調整することができる。
水性媒体は、好ましくは水であり、イオン交換水等を用いることができる。
水性媒体の含有量は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対して、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましく、更に好ましくは40質量%〜60質量%である。
分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉及びその誘導体、アラビアゴム及びアルギン酸ナトリウム等が挙げられ、ポリビニルアルコールが好ましい。
分散剤は、壁材と反応しない又は極めて反応し難いものが好ましく、分子鎖中に反応性のアミノ基を有する例えばゼラチン等を用いる場合、予め反応性を失わせる処理が施されたゼラチン等が好ましい。
分散は、油相と水相との分散に通常用いられる手段(例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル、又はその他の公知の分散装置)を用いて行うことができる。
カプセル化工程では、壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、マイクロカプセルを形成する。
重合は、乳化液中の油相に含まれる壁材を水相との界面で重合反応させることであり、好ましくは加熱下で行われる。重合における反応温度は、壁材の種類等によって異なるが、通常は40℃〜100℃であり、50℃〜80℃が好ましい。また、反応時間も同様に壁材の種類等によって異なるが、通常は0.5時間〜10時間程度であり、1時間〜5時間程度が好ましい。
重合温度を高めることで重合時間を短くできるが、高温で分解するおそれのある内包物又は壁材を使用する場合には、低温で作用する重合開始剤を選択し、比較的低温で重合させてもよい。例えば、壁材としてシランカップリング剤を使用する場合は、重合温度は好ましくは15℃〜40℃であり、より好ましくは20℃〜30℃であり、重合時間は、好ましくは1時間〜40時間であり、より好ましくは5時間〜30時間である。
更に、必要に応じて、ニグロシン等の荷電調節剤、又はその他任意の補助剤を添加してもよい。補助剤は、カプセル壁の形成時又は任意の時点で添加可能である。
本開示の熱応答性組成物は、色材の少なくとも一種を含有する。
色材とは、熱が与えられた場合に熱に寄与して応答(即ち、発色又は色濃度が低下する化合物(いわゆる熱応答性の色材)と異なり、熱の付与が所望とする色相の発現に寄与しない非応答性の化合物を指す。
着色された上記マイクロカプセルに加えて色材を含むことで、熱が付与されてマイクロカプセル内の発色色素の色濃度が低下するに従い、マイクロカプセル内の発色色素の色相と色材の色相との混色となって変色し、色相差を形成することができる。
このように、与えられた熱を広範な色相差として得ることができ、変化した色相により温度状態を把握することができる。
有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
色材として顔料を用いる場合、顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよい
色材がマイクロカプセルの内部に内包されて存在する態様では、内包された色材の耐溶剤性を向上させることができ、耐溶剤性が比較的低い色材を含む広範な色材の選択が可能になる。色材がマイクロカプセルに内包される場合、上記の観点から、色材は染料が好ましい。
耐溶剤性は、アルコールを熱応答性組成物に付着させた後の色滲みの有無により評価されるものである。
色材がマイクロカプセルの外部に存在する態様では、熱応答性組成物中に色材を多く含有させることができる。
色材の含有量が10質量%以上(更には30質量%以上)であると、色濃度が良好になり、熱が付与されて色相変化された場合の色相差がより大きくなる点で有効である。また、色材の含有量が200質量%以下(更には150質量%以下)であると、色相差がより大きくなる点で有効である。
この場合、発色色素の色相と色材の色相との色相差は、熱の付与の前後において、10〜20の範囲が好ましい。色相差が10以上であると、温度に応答して現れる色相変化が大きく得られる。また、色相差が20以下であることは、製造しやすいことを示す。
まず初めに、熱応答性組成物を紙基材にワイヤーバーを用いて3g/m2の塗布量にて塗布したサンプルを作製し、塗膜のL*a*b*色空間(CIELAB色空間)におけるL1 *、a1 *、b1 *及びC1 *を分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社)を用いて求める。次いで、熱応答性組成物を上記と同じ紙基材にワイヤーバーを用いて3g/m2の塗布量にて塗布したサンプルを70℃のオーブンに60秒間入れて加熱し、オーブンから各サンプルを取り出した後、上記と同様にして塗膜のL*a*b*色空間(CIELAB色空間)におけるL2 *、a2 *、b2 *及びC2 *を求める。
加熱前後のL*、a*、b*及びC*を用い、下記式より色相差(ΔH*)を算出する。
ΔH*={(a1 *−a2 *)2+(b1 *−b2 *)2−(C1 *−C2 *)2}1/2
本開示の熱応答性組成物は、水系溶媒を含有してもよい。
水系溶媒としては、水、水及びアルコール等が挙げられ、イオン交換水等を用いることができる。
なお、本開示の熱応答性組成物中における水系溶媒の含有量は、用途に応じて適宜選択すればよい。
本開示の熱応答性組成物は、バインダーを含有してもよい。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、バインダーに耐水性を付与する観点から、耐水性改良剤、又は疎水性ポリマーのエマルジョン(例えば、アクリル樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス等)を添加してもよい。
本開示の熱応答性組成物は、上記したマイクロカプセル、色材、並びに水系溶媒及びバインダーに加え、さらに他の成分として添加剤を含有することができる。
他の成分には、特に制限はなく、目的又は必要に応じて適宜選択すればよい。他の成分としては、例えば、架橋剤、増感剤、顔料、潤滑剤、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の添加剤が挙げられる。
電子供与性染料前駆体と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物と、変色温度調整剤と、壁材と、必要に応じてオイル成分である溶媒及び補助溶媒と、を混合して油相を調製する。
油相とは別に、水及び必要に応じて分散剤等を含む水相を調製する。
上記で得た油相及び水相を混合し、水相中に油相を乳化分散させて乳化物とした後、加温して油相と水相との界面にて重合反応(カプセル化反応)を行わせてカプセル壁を形成する。このようにして、マイクロカプセル液を調製する。
調製されたマイクロカプセルと色材とが混合されることで、本開示の熱応答性組成物が得られる。
ここで、マイクロカプセルと色材との混合にあたり、色材をマイクロカプセルの内部に存在(内包)させる場合は、上記のように油相を調製する際に色材も加えて混合するか、又は水相との混合前に、上記のように調製された油相と色材とを混合することにより、色材を油相中に含有させることが好ましい。一方、色材をマイクロカプセルの外部に存在させる場合は、調製したマイクロカプセル液と、色材と、を混合することにより、色材を水相中に含有させることが好ましい。
本開示の熱応答性材料は、支持体と、既述の本開示の熱応答性組成物の塗布物である熱応答性層と、を有している。
本開示の熱応答性材料は、既述の熱応答性組成物を用いた塗布層を有するので、熱が付与された際の濃度変化が大きく、熱応答前後で顕著な色相差が得られる。
支持体としては、中性紙、酸性紙、再生紙、ポリオレフィン樹脂ラミネート紙、合成紙、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ−4−メチルペンテン−1、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアリルエーテルニトリル、ポリベンゾイミダール、金属箔などを、単独又は2種以上配合したフィルム、あるいは上記の各種フィルムを組み合わせた複合シートなどが挙げられる。
中でも、透明性を付与する観点からは、高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、三酢酸セルロースフィルム、ポリオレフィンフィルム(ポリプロピレン又はポリエチレン等)などの合成高分子フィルムが挙げられる。
本開示の熱応答性材料に含まれる熱応答性層は、既述の本開示の熱応答性組成物を支持体上に塗布することによって支持体上に形成された層(塗布層)である。
熱応答性層の塗布は、公知の塗布法の中から適宜選択して行える。塗布法としては、例えば、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等が挙げられる。
熱応答性層は2層以上が積層されてもよく、2層以上が積層された場合も、熱応答性層の質量及び質量が上記範囲を満たすことが好ましい。
本開示の熱応答性材料は、熱応答性層のほか、保護層、中間層、耐熱性保護層、アンダーコート層、光反射層、バック層、紫外線吸収層等の他の層を有していてもよい。
また、マイクロカプセルの数平均壁厚は、マイクロカプセル液を下塗り層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)上に塗布し、乾燥して形成された塗布膜を、膜面の法線方向と平行な平面で切断して断面切片を形成し、形成された断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、任意に選択した5個のマイクロカプセルの断面における壁厚を計測し、平均値を算出して求めた。
−マイクロカプセル液の調製−
ヘキサデカノフェノン(東京化成工業株式会社;変色温度調整剤)20部と酢酸エチル(補助溶媒)50部とを混合し、この混合液に、キシリレン−1,3−ジイソシアネートトリメチロールプロパン(TMP;以下同じ)のアダクト体(タケネートD−110N(3官能イソシアネート)、三井化学株式会社;壁材)15部、6’−(エチルイソブチルアミノ)−2’−アニリノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン(発色剤A;電子供与性染料前駆体)3部、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BPA−F;電子受容性化合物)15部を加え、溶液A(油相)を調製した。溶液Aでは、発色剤AとBPA−Fとの反応により発色し、マイクロカプセルは赤色系の発色色素により着色されている。
次いで、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、株式会社クラレ;分散剤)10部を溶解した溶液(水相)中に、上記の溶液Aを加え、ロボミックス(特殊機化工業株式会社)を用いて回転数3000rpm(rotation per minute)で乳化分散した。得られた乳化液を、攪拌しながら70℃まで加温し、70℃で1時間攪拌してカプセル化反応を行った後、乳化液を冷却した。
続いて、冷却した乳化液に水を加えて濃度を調整し、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製した。
マイクロカプセル液中のマイクロカプセルの体積標準でのメジアン径(D50)は、5μmであった。また、マイクロカプセルのカプセル壁の数平均壁厚は、74nmであった。
発色色素の質量に対する変色温度調整剤の質量の比率は、667質量%である。
次に、上記で得られたマイクロカプセル液と、顔料量が3部となる量の、ピグメント・レッド53:1(赤色顔料)を含む赤色顔料分散物(TB−1100(大日精化工業株式会社、固形分濃度:31.0質量%);色材)と、を混合し、熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、電子供与性染料前駆体である発色剤Aを3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(発色剤B)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、電子受容性化合物であるBPA−Fを2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、変色温度調整剤であるヘキサデカノフェノンをn−ラウロフェノンに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)を、水添メタキシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(タケネートD−127N、三井化学株式会社;3官能イソシアネート)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から7.5部に変更し、さらに乳化条件を調整してカプセル粒径を10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から30部に変更し、さらに乳化条件を調整してカプセル粒径を2.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)を、芳香族イソシアネートプレポリマー45部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)15部を、水添メタキシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(タケネートD−127N、三井化学株式会社;3官能イソシアネート)45部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から45部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から10部に変更し、粒径及び壁厚を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物を、同量の、ピグメント・レッド57:1(赤色顔料2)を含む赤色顔料分散物(TB−720(大日精化工業株式会社、固形分濃度:32.5質量%);色材)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、ピグメント・レッド53:1(赤色顔料)を含む赤色顔料分散物を、Red RC(中央合成化学株式会社;赤色染料(ソルベント・レッド24))3部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
ヘキサデカノフェノン(東京化成工業株式会社;変色温度調整剤)20部と酢酸エチル(有機溶剤)50部とを混合し、この混合液にメタキシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(タケネートD−110N(3官能イソシアネート)、三井化学株式会社;壁材)15部、6’−(エチルイソブチルアミノ)−2’−アニリノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン(発色剤A;電子供与性染料前駆体)3部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BPA−F;電子受容性化合物)15部、及びRed RC(中央合成化学株式会社;赤色染料(ソルベント・レッド24))3部を加え、溶液A(油相)を調製した。
次に、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、株式会社クラレ;分散剤)10部を溶解した溶液(水相)中に上記の溶液Aを加え、ロボミックス(特殊機化工業株式会社)を用いて回転数3000rpm(rotation per minute)で乳化分散した。得られた乳化液を、攪拌しながら70℃まで加温し、70℃で1時間攪拌してカプセル化反応を行った後、乳化液を冷却した。
続いて、冷却した乳化液に水を加えて濃度を調整し、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製した。
上記で得られたマイクロカプセル液を熱応答性組成物とした。
マイクロカプセル液中のマイクロカプセルの体積標準でのメジアン径(D50)は、5μmであった。また、マイクロカプセルのカプセル壁の数平均壁厚は、50nmであった。
実施例1において、マイクロカプセル液の固形分濃度を12質量%に変更し、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物の添加による顔料量を3部から4.2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度12質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、マイクロカプセル液の固形分濃度を28質量%に変更し、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物の添加による顔料量を3部から1.8部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度28質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から60部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から9部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から75部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
実施例1において、得られたマイクロカプセル液に対し、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物を混合せず、マイクロカプセルの外部に色材を存在させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
上記の実施例及び比較例で得られたマイクロカプセル液及び熱応答性組成物について、以下の評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。
熱応答性組成物を市販の上質紙(坪量120/m2)にワイヤーバーを用いて3g/m2の塗布量にて塗布し、塗膜の色濃度を分光濃度計(X−Rite504、ビジュアルフィルタ、X−Rite社)を用いて測定した。
ポリプロピレン製の100mL広口びん(アイボーイ、アズワン社)に熱応答性組成物100mLを入れ、蓋を閉めた状態で40℃の温度環境下に置き、3か月保管した。そして、3か月の期間が経過した時点で熱応答性組成物中のマイクロカプセルの体積標準のメジアン径を測定した。測定値をもとに、下記の評価基準にしたがってマイクロカプセルの安定性を評価した。
<評価基準>
A:粒径の変動幅が20%以内である。
B:粒径の変動幅が20%を超えるが、実用上支障を来たす範囲ではない。
C:粒径の変動が著しい。
まず初めに、熱応答性組成物を市販の上質紙(坪量120/m2)にワイヤーバーを用いて3g/m2の塗布量にて塗布したサンプルを作製し、各塗膜のL*a*b*色空間(CIELAB色空間)におけるL1 *、a1 *、b1 *及びC1 *を分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社)を用いて求めた。
次に、各熱応答性組成物を上記と同じ紙基材にワイヤーバーを用いて3g/m2の塗布量にて塗布したサンプルを70℃のオーブンに60秒間入れて加熱し、オーブンから各サンプルを取り出した後、上記と同様にして塗膜のL*a*b*色空間(CIELAB色空間)におけるL2 *、a2 *、b2 *及びC2 *を求めた。
加熱前後のL*、a*、b*及びC*を用い、下記式より色相差(ΔH*)を算出した。
ΔH*={(a1 *−a2 *)2+(b1 *−b2 *)2−(C1 *−C2 *)2}1/2
上記のようにして求められる色相差は、値が大きいほど、熱が付与された際の濃度変化が大きく、加熱前後で顕著な色相差が得られていることを示す。
熱応答性組成物を市販の上質紙(坪量120/m2)にワイヤーバーを用いて3g/m2の塗布量で塗布して塗膜を形成し、70℃のオーブンに60秒間入れて加熱し、オーブンから取り出してサンプルとした。サンプルの塗膜にエタノールを垂らし、エタノールが垂れた領域の塗膜における滲みの程度を目視により観察し、以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:滲みの発生はみられない。
B:滲みの発生がみられた。
また、壁厚が20nm〜100nmにある実施例1〜7、11〜12等では、色相差がより良好なものとなった。マイクロカプセルの粒径については、3μm〜10μmである場合が色相差の点で良好であった。
これに対して、マイクロカプセルのカプセル壁が厚い比較例1では、内包物である発色色素の含有濃度が低いため、色相差の点で劣っていた。また、従来技術のように、着色成分として色素内包のマイクロカプセルを含有するのみとされ、マイクロカプセルに加えて非熱応答性の色材を含まない比較例2では、マイクロカプセル内の色素成分の変色に伴う色相変化が現れるに留まり、色相差としては小さいものであった。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (15)
- 数平均壁厚が50nm〜200nmであり、電子供与性染料前駆体と前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルと、
前記マイクロカプセルの内部及び外部の少なくとも一方に存在する色材と、
を含有する熱応答性組成物。 - 前記マイクロカプセルの数平均壁厚が、50nm〜100nmである請求項1に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁の質量に対する、前記マイクロカプセルの内包物の質量の比が、7を超える請求項1又は請求項2に記載の熱応答性組成物。
- 数平均壁厚が10nm〜200nmであり、電子供与性染料前駆体と前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルと、
前記マイクロカプセルの内部及び外部の少なくとも一方に存在する色材と、
を含有し、
前記マイクロカプセルのカプセル壁の質量に対する、前記マイクロカプセルの内包物の質量の比が、7を超える熱応答性組成物。 - 前記マイクロカプセルのカプセル壁の質量に対する、前記マイクロカプセルの内包物の質量の比が、8以上である請求項4に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルの数平均壁厚が、20nm〜100nmである請求項4又は請求項5に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルの内部に前記色材を含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルの外部に前記色材を含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁は、3官能以上のイソシアネートの重合物を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜100μmである請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜10μmである請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記発色色素の色相と前記色材の色相とが異なり、かつ、熱の付与前後における色相差ΔH*が10〜20である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記変色温度調整剤が、炭素数12〜24のアリールアルキルケトンである請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 前記発色色素に対する前記変色温度調整剤の含有比率は、100質量%〜2000質量%である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
- 支持体と、
請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の熱応答性組成物の塗布物である熱応答性層と、
を有する熱応答性材料。
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