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JP6876879B2 - リチウムイオン二次電池用電極、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents
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JP6876879B2 - リチウムイオン二次電池用電極、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁層を備えるリチウムイオン二次電池用電極、そのリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用電極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、電力貯蔵用の大型定置用電源、電気自動車用等の電源として利用されており、近年では電池の小型化及び薄型化の研究が進展している。リチウムイオン二次電池は、金属箔の表面に電極活物質層を形成した両電極と、両電極の間に配置されるセパレータを備えるものが一般的である。セパレータは、両電極間の短絡防止や電解液を保持する役割を果たす。
従来、リチウムイオン二次電池は、例えば、セパレータが収縮したとき等でも、良好な短絡抑制機能を持たせるために、電極活物質層の表面に多孔質の絶縁層が設けられることが検討されている。絶縁層は、例えば、特許文献1に開示されるように、絶縁性微粒子、バインダー及び溶媒を含む絶縁層用スラリーを、電極活物質層の上に塗布し、乾燥することで形成することが知られている。
国際公開2016/104782号
しかしながら、従来の絶縁層は、短絡に対する安全性が不十分であることがあり、短絡に対する安全性を更に向上させる必要がある。また、従来の絶縁層を備えたリチウムイオン二次電池の出力特性が不十分であることがあり、出力特性を更に向上させる必要がある。
そこで、本発明は、絶縁層によって短絡に対する安全性が向上するとともにリチウムイオン二次電池の出力特性を良好にできるリチウムイオン二次電池用電極を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、絶縁層に疎領域及び密領域を形成することにより、絶縁層の短絡に対する安全性が高められると共にリチウムイオン二次電池の出力特性が向上することを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下の[1]〜[13]である。
[1]電極活物質層と、前記電極活物質層の表面上に設けられる絶縁層とを備え、前記絶縁層が、少なくとも2つ以上の層状の密領域、及び隣接する2つの密領域に挟まれ該隣接する2つの密領域よりも空間率の高い層状の疎領域を有するリチウムイオン二次電池用電極。
[2]前記絶縁層は2つ以上の前記疎領域及び2つ以上の前記密領域を有し、前記疎領域と前記密領域とが交互に並ぶ上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[3]前記絶縁層が、前記密領域と交互に並ぶ2つ又は3つの前記疎領域を有する上記[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[4]前記絶縁層が、前記密領域と交互に並ぶ2つの前記疎領域を有する上記[3]に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[5]前記疎領域の空間率が30体積%以上である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[6]前記絶縁層の厚みが7〜30μmである上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[7]絶縁層が、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーとを含む上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[8]前記電極活物質層が負極活物質層である上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池。
[10]負極と、正極とを備え、前記負極が、前記リチウムイオン二次電池用電極である上記[9]に記載のリチウムイオン二次電池。
[11]電極活物質層の表面上に、第1の絶縁層用組成物を塗布して第1の組成物層を形成する工程、及び前記第1の組成物層の表面上に、第2の絶縁層用組成物を塗布して第2の組成物層を形成する工程を含み、前記第2の組成物層を形成する工程は、前記第2の組成物層の中で空間率が高く、さらに前記第1の組成物層の前記第2の組成物層近傍の領域に比べて空間率が高い領域が前記第2の組成物層の前記第1の組成物層近傍の領域に形成されるように、前記第2の絶縁層用組成物を塗布するリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
[12]前記第2の絶縁層用組成物の塗布時のせん断速度が10,000〜5,000,000(1/s)である上記[11]に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
[13]前記第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度が2000〜4000mPa・sである上記[11]又は[12]に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
本発明によれば、絶縁層によって短絡に対する安全性を向上させるとともにリチウムイオン二次電池の出力特性を良好にできるリチウムイオン二次電池用電極を提供することができる。
図1は、本発明のリチウムイオン二次電池用電極の好ましい一実施形態を示す概略断面図である。 図2は、本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の第1の組成物層を形成する工程を説明するための概略断面図である。 図3は、本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の第2の組成物層を形成する工程を説明するための概略断面図である。 図4は、第2の組成物層の上に第3の組成物層を形成したリチウムイオン二次電池用電極を説明するための概略断面図である。 図5は疎領域及び密領域の空間率の測定方法を説明するための図である。 図6は測定によって得られた空間率から疎領域及び密領域を決定する方法を説明するための図である。
<リチウムイオン二次電池用電極>
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用電極について詳細に説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池用電極1は、電極活物質層10と、電極活物質層10の表面上に設けられる絶縁層20とを備える。また、リチウムイオン二次電池用電極1において、電極活物質層10は、通常、電極集電体30の上に積層される。
電極活物質層10は、電極集電体30の両表面に積層されてもよく、その場合、絶縁層20は各電極活物質層10の表面上に設けられるとよい。このように、絶縁層20をリチウムイオン二次電池用電極1の両面に設けると、負極及び正極を複数積層して多層構造とした場合でも、各正極と各負極の間の短絡を有効に防止できる。
本発明において、リチウムイオン二次電池用電極1は、負極又は正極のいずれでもよいが、負極であることが好ましい。以下、リチウムイオン二次電池用電極1が負極である場合の構成を詳細に説明する。
[絶縁層]
図1は、絶縁層20の好ましい一実施形態を示す。図1に示す一実施形態に係る絶縁層20は、3つの層状の密領域21,23,25を有する。これにより、絶縁層20の短絡に対する安全性を高めることができる。また、絶縁層20は、隣接する2つの密領域21,23,25に挟まれ該隣接する2つの密領域21,23,25よりも空間率の高い層状の2つの疎領域22,24を有する。これにより、電解液は、疎領域22,24を通して電極活物質層10に十分に浸透できるので、リチウムイオン二次電池の出力特性を良好にすることができる。したがって、絶縁層20は、密領域21,23,25及び疎領域22,24を有することにより、短絡に対する安全性を向上させることができると共にリチウムイオン二次電池の出力特性を良好にできる。
ただし、図1に示すリチウムイオン二次電池用電極1は一例であって、短絡に対する安全性を向上させることができると共にリチウムイオン二次電池の出力特性を良好にできるという観点から、絶縁層は、隣接する2つの密領域に挟まれる少なくとも1つの疎領域を有していればよい。同様の観点から、絶縁層は2つ以上の疎領域を有することが好ましく、2つ又は3つの疎領域を有することがより好ましく、図1に示すリチウムイオン二次電池用電極1のように、2つの疎領域を有することが更に好ましい。これらの場合、疎領域と密領域とは交互に並ぶとよい。なお、短絡に対する安全性の観点から、絶縁層が有する疎領域の数は、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
リチウムイオン二次電池の出力特性を良好にできるという観点から、各疎領域の空間率は30体積%以上であることが好ましい。さらに、短絡に対する安全性を向上させることができるという観点から各疎領域の空間率は30〜60体積%であることがより好ましく、30〜42体積%であることが更に好ましく、30〜37体積%であることが特に好ましい。
また、短絡に対する安全性を向上させることができるという観点から、各密領域の空間率は30体積%未満であることが好ましく、29体積%以下であることがより好ましく、28体積%以下であることが更に好ましい。
なお、絶縁層における疎領域及び密領域の空間率は、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
各疎領域と、該疎領域に隣接する2つの密領域それぞれとの空間率との差はいずれもが、好ましくは2体積%以上であり、より好ましくは3体積%以上であり、さらに好ましくは5体積%以上である。各疎領域と、隣接する密領域の空間率の差が2体積%以上であると、短絡に対する安全性をより向上させることができると共にリチウムイオン二次電池の出力特性をより良好にできる。
短絡に対する安全性を向上させることができるという観点から、絶縁層の中で、電極活物質層に最も近い領域は、密領域(すなわち、図1では密領域21)であることが好ましい。また、同様の観点から、絶縁層の中で、電極活物質層に最も遠い領域も、密領域(すなわち、図1では密領域25)であることが好ましい。
絶縁層が有する複数の密領域の中で、電極活物質層に最も近い密領域の空間率が最も高くなるとよい。このような構成により活物質への電解液の拡散が早くなると考えられ、出力特性が向上すると考えられる。また、絶縁層が有する複数の密領域の空間率は、密領域の位置が電極活物質層から離れるにしたがって低くなるとよい。このような構成により出力特性が向上すると考えられる。さらに、絶縁層が有する複数の密領域の中で、電極活物質層に最も遠い密領域の空間率が最も低くなるとよい。このような構成により出力特性が向上すると考えられる。
絶縁層の厚みは、好ましくは7〜30μmであり、より好ましくは7〜20μmであり、更に好ましくは10〜20μmである。絶縁層の厚みを30μm以下とすることで、絶縁層による抵抗上昇を抑制してリチウムイオン二次電池の出力特性が向上する。また、7μm以上とすることで、電極活物質層に対する絶縁層による被覆率が上昇して、短絡に対する安全性が向上する。
絶縁層は、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーとを含むことが好ましい。これにより、多孔質構造を有する絶縁層を容易に形成することができる。
(絶縁性微粒子)
絶縁性微粒子は、絶縁性であれば特に限定されず、有機粒子、無機粒子の何れであってもよい。具体的な有機粒子としては、例えば、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋スチレン−アクリル酸共重合体、架橋アクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸リチウム)、ポリアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の有機化合物から構成される粒子が挙げられる。無機粒子としては二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ベーマイト、チタニア、ジルコニア、窒化ホウ素、酸化亜鉛、二酸化スズ、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、フッ化カリウム、フッ化リチウム、クレイ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機化合物から構成される粒子が挙げられる。また、無機粒子は、ニオブ−タンタル複合酸化物、マグネシウム−タンタル複合酸化物等の公知の複合酸化物から構成される粒子であってもよい。
絶縁性微粒子は、上記した各材料が1種単独で使用される粒子であってもよいし、2種以上が併用される粒子であってもよい。また、絶縁性微粒子は、無機化合物と有機化合物の両方を含む微粒子であってもよい。例えば、有機化合物からなる粒子の表面に無機酸化物をコーティングした無機有機複合粒子であってもよい。
これらの中では、無機粒子が好ましく、中でもアルミナ粒子、ベーマイト粒子が好ましい。
絶縁性微粒子の平均粒子径は、通常、電極活物質の平均粒径より小さいものであり、例えば0.001〜2μm、好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜1.0μmである。絶縁層の平均粒子径をこれら範囲内することで、空隙率を上記範囲内に調整しやすくなる。また、これら上限値以下とすると、後述する各組成物層の表面がなだらかな凹凸となって、疎領域が形成されやすくなる。
なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた絶縁性微粒子の粒度分布において、体積積算が50%での粒径(D50)を意味する。
また、絶縁性微粒子は、平均粒子径が上記範囲内の1種が単独で使用されてもよいし、平均粒子径の異なる2種の絶縁性微粒子が混合されて使用されてもよい。
絶縁層に含有される絶縁性微粒子の含有量は、絶縁層全量基準で、好ましくは15〜95質量%、より好ましくは40〜90質量%、更に好ましくは60〜85質量%である。絶縁性微粒子の含有量が上記範囲内であると、絶縁層に適切な絶縁性が付与される。
(絶縁層用バインダー)
絶縁層用バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有樹脂、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びポリビニルアルコール等が挙げられる。これらバインダーは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、カルボキシメチルセルロース等は、ナトリウム塩等の塩の態様にて使用されていてもよい。
絶縁層用バインダーとしては、好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
絶縁層に含有される絶縁層用バインダーの含有量は、絶縁層全量基準で、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。上記範囲内であると、絶縁層に適切な絶縁性を付与できる。
絶縁層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、絶縁性微粒子及び絶縁層用バインダー以外の他の任意成分を含んでもよい。ただし、絶縁層の総質量のうち、絶縁性微粒子及び絶縁層用バインダーの総含有量は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
絶縁層に含有される絶縁層用バインダーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜10,000,000であり、より好ましくは100,000〜1,000,000である。絶縁層用バインダーのMwが上記範囲内であると、絶縁層に疎領域を形成しやすくなる。
なお、絶縁層用バインダーのMwは、ポリスチレン標準物質を使用した公知のゲル濾過クロマトグラフ法(GPC法)によって測定された値である。
(電極活物質層)
電極活物質層は、典型的には、電極活物質と、電極用バインダーとを含む。電極が負極である場合、電極活物質が負極活物質となり、電極活物質層が負極活物質層となる。
負極活物質層に使用される負極活物質としては、グラファイト、ハードカーボン等の炭素材料、スズ化合物とシリコンと炭素の複合体、リチウム等が挙げられるが、これら中では炭素材料が好ましく、グラファイトがより好ましい。負極活物質は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電極活物質は、特に限定されないが、その平均粒子径は、通常、絶縁性微粒子よりも大きくなり、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましく、6〜25μmであることが更に好ましい。
電極活物質層における電極活物質の含有量は、電極活物質層全量基準で、50〜98.5質量%が好ましく、60〜98質量%がより好ましい。
電極活物質層は、導電助剤を含有してもよい。導電助剤は、上記電極活物質よりも導電性が高い材料が使用され、具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、棒状カーボン等の炭素材料等が挙げられる。導電助剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電極活物質層において、導電助剤が含有される場合、導電助剤の含有量は、電極活物質層全量基準で、1〜30質量%であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましい。
電極活物質層は、電極活物質、又は電極活物質及び導電助剤が電極用バインダーによって結着されて構成される。電極用バインダーの具体例としては、絶縁層用バインダーで使用可能な化合物として例示された化合物が挙げられる。電極用バインダーとしては、好ましくはカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム及びニトリルブタジエンゴムであり、より好ましくはカルボキシメチルセルロース及びスチレンブタジエンゴムである。
電極活物質層に使用されるバインダーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。電極活物質層における電極用バインダーの含有量は、電極活物質層全量基準で、1.5〜40質量%であることが好ましく、2.0〜25質量%がより好ましい。
電極活物質層の厚さは、特に限定されないが、電極集電体の片面当たり10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。
電極活物質層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、電極活物質、導電助剤、及び電極用バインダー以外の他の任意成分を含んでもよい。ただし、電極活物質層の総質量のうち、電極活物質、導電助剤、及び電極用バインダーの総含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
(電極集電体)
電極が負極である場合、電極集電体は負極集電体となる。負極集電体(電極集電体)を構成する材料としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性を有する金属が挙げられ、これらの中ではアルミニウム又は銅が好ましく、銅がより好ましい。電極集電体は、一般的に金属箔からなり、その厚さは、特に限定されないが、1〜50μmが好ましい。
<リチウムイオン二次電池用電極の製造方法>
次に、本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法について詳細に説明する。本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、電極活物質層の表面上に、第1の絶縁層用組成物を塗布して第1の組成物層を形成する工程、及び第1の組成物層の表面上に、第2の絶縁層用組成物を塗布して第2の組成物層を形成する工程を含む。そして、第2の組成物層を形成する工程は、第2の組成物層の中で空間率が高く、さらに第1の組成物層の第2の組成物層近傍の領域に比べて空間率が高い領域が第2の組成物層の第1の組成物層近傍の領域に形成されるように、第2の絶縁層用組成物を塗布する。これにより、本発明のリチウムイオン二次電池用電極を製造することができる。
(第1の組成物層を形成する工程)
第1の組成物層を形成する工程では、例えば、図2に示すように、電極活物質層10の表面上に、第1の絶縁層用組成物を塗布して第1の組成物層41を形成する。
第1の組成物層41の形成に使用する第1の絶縁層用組成物は、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーと、溶媒とを含むことが好ましい。また、第1の絶縁層用組成物は、必要に応じて配合されるその他の任意成分を含んでいてもよい。絶縁性微粒子、絶縁層用バインダー等の詳細は上記で説明したとおりである。第1の絶縁層用組成物はスラリーとなる。
第1の絶縁層用組成物の固形分濃度は、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは15〜50質量%である。固形分粘度を上記範囲内とすることで、短絡に対する安全性が高い第1の組成物層41を形成しやすくなる。第1の絶縁層用組成物の塗布時の粘度は、好ましくは1000〜5000mPa・s、より好ましくは2000〜4000mPa・sである。粘度を上記範囲内とすることで、短絡に対する安全性が高い第1の組成物層41を形成しやすくなる。なお、塗布時の粘度とは、B型粘度計で60rpm、25℃の条件で測定した粘度である。また、第1の絶縁層用組成物の塗布時のせん断速度は、好ましくは5,000〜7,000,000(1/s)であり、より好ましくは10,000〜5,000,000(1/s)である。せん断速度を上記範囲内とすることで、短絡に対する安全性が高い第1の組成物層41を形成しやすくなる。
第1の絶縁層用組成物を電極活物質層10の表面に塗布する方法は特に限定されず、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、バーコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。これらの中では、第1の絶縁層用組成物を均一に塗布して、第1の組成物層41を薄くする観点から、バーコート法又はグラビアコート法が好ましい。
第1の組成物層41の表面上に第2の絶縁層用組成物を塗布する前に、第1の組成物層41を乾燥することが好ましい。乾燥温度は、上記溶媒を除去できれば特に限定されないが、例えば40〜120℃、好ましくは50〜90℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、30秒〜10分間である。
(第2の組成物層を形成する工程)
第2の組成物層を形成する工程では、例えば、図3に示すように、第1の組成物層41の表面上に、第2の絶縁層用組成物を塗布して第2の組成物層42を形成する。そして、第2の組成物層を形成する工程は、第2の組成物層42の中で空間率が高く、さらに第1の組成物層41の第2の組成物層近傍の領域411に比べて空間率が高い領域421が第2の組成物層42の第1の組成物層近傍の領域に形成されるように、第2の絶縁層用組成物を塗布する。これにより、第2の組成物層42に上述の疎領域及び密領域を形成することができる。
第2の組成物層42の形成に使用する第2の絶縁層用組成物は、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーと、溶媒とを含むことが好ましい。第2の絶縁層用組成物は、必要に応じて配合されるその他の任意成分を含んでいてもよい。絶縁性微粒子、絶縁層用バインダー等の詳細は上記で説明したとおりである。第2の絶縁層用組成物はスラリーとなる。
第2の絶縁層用組成物の固形分濃度は、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜60質量%である。固形分粘度を上記範囲内とすることで、第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度を後述の範囲内となるようにしやすくなる。
第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度は、好ましくは2000〜4000mPa・s、より好ましくは2500〜3500mPa・sである。第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度を上記範囲内とすることで、第2の組成物層42に疎領域を形成しやすくなる。なお、塗布時の粘度とは、B型粘度計で60rpm、25℃の条件で測定した粘度である。
第2の絶縁層用組成物の塗布時のせん断速度は、好ましくは10,000〜5,000,000(1/s)であり、より好ましくは15,000〜100,000(1/s)である。せん断速度を上記範囲内とすることで、第2の組成物層42に疎領域を形成しやすくなる。なお、せん断速度は、基材の搬送速度、接液部の基材との液面距離により調整することができる。また、塗布時のせん断速度は、例えば下記式により算定可能である。
(せん断速度(1/s))=(搬送速度m/sec)÷(液面距離m)
第2の絶縁層用組成物を第1の組成物層41の表面に塗布する方法は特に限定されず、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、バーコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。これらの中では、第2の絶縁層用組成物を均一な厚みに塗布して、第2の組成物層42を薄くする観点から、バーコート法又はグラビアコート法が好ましい。
第2の絶縁層用組成物を第1の組成物層41の表面に塗布した後に、第2の組成物層42を乾燥することが好ましい。乾燥温度は、上記溶媒を除去できれば特に限定されないが、例えば40〜120℃、好ましくは50〜90℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、30秒〜10分間である。
なお、以下の原理は本発明を限定しないが、第2の組成物層42の疎領域が形成されるのは、以下の理由であると考えられる。電極活物質層10の表面には、通常、図中に示さないが電極活物質に起因する凹凸が存在する。電極活物質層10の表面上に第1の組成物層41を形成すると、第1の絶縁層用組成物における絶縁性微粒子の平均粒子径は電極活物質層10の表面の凹凸に比べて小さいので、第1の組成物層41の表面は電極活物質層10の表面に比べて平滑になる。しかしながら、電極活物質層10の表面の凹凸の影響は残るので、第1の組成物層41の表面には、なだらかな凹凸が残る。第1の組成物層41の表面のこのなだらかな凹凸が第2の絶縁層用組成物のパッキングを阻害するので、第2の組成物層42に疎領域が形成されると考えられる。特に、第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度、せん断速度及びこれらの両方が上記範囲内であると、第2の絶縁層用組成物のパッキングが阻害されやすくなり、第2の組成物層42に疎領域が形成されやすくなると考えられる。第2の組成物層42の上に、さらに他の組成物層を形成する場合も、同様のことが起こり、その組成物層にも疎領域が形成されると考えられる。なお、第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度が上記範囲よりも小さすぎたり、せん断速度が上記範囲よりも小さすぎたりする場合、第2の絶縁層用組成物は上記なだらかな凹凸の影響は受けず、第2の組成物層42に疎領域が形成されにくくなると考えられる。
図4に示すように、第2の組成物層42の表面上に、第2の絶縁層用組成物を塗布して第3の組成物層43をさらに形成してもよい。この場合も第3の組成物層の中で空間率が高く、さらに第2の組成物層の第3の組成物層近傍の領域422に比べて空間率が高い領域431が第3の組成物層43の第2の組成物層近傍の領域に形成されるように、第2の絶縁層用組成物を塗布することが好ましい。第3の組成物層43においても、第2の組成物層と同様に、粘度、塗布時のせん断速度を上記範囲内ように調整することで、空間率を所定の範囲に調整された領域431が第2の組成物層近傍に形成されることになる。このように第3の組成物層を形成することで、図1に示すリチウムイオン二次電池用電極1を製造することができる。また、同様な方法で、第3の組成物層43の上に、1つ又は2つ以上の組成物層を形成してもよい。
なお、電極活物質層10から離れるにしたがって、組成物層の表面に対する電極活物質層の表面の凹凸の影響は小さくなる。このため、電極活物質層から離れるにしたがって、密領域に相当する領域の空間率が低くなると考えられる。
(電極活物質層の形成)
本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法では、まず、電極集電体30の表面上に電極活物質層10を形成し、その電極活物質層10の表面上に、上記したように絶縁層を形成するとよい。
電極活物質層10の形成においては、まず、電極活物質(負極活物質)と、電極用バインダーと、溶媒とを含む電極活物質層用組成物を用意する。また、電極活物質層用組成物は、必要に応じて配合される導電助剤等のその他成分を含んでもよい。負極活物質、電極用バインダー、導電助剤等は上記で説明したとおりである。電極活物質層用組成物は、スラリーとなる。
電極活物質層用組成物における溶媒は、好ましくは水を使用する。水を使用することで、上記した第2のバインダーを電極活物質層用組成物中に容易に溶解できる。また、その他のバインダーは、水にエマルションの形態で配合させるとよい。
電極活物質層用組成物の固形分濃度は、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは20〜65質量%である。
電極活物質層は、上記電極活物質層用組成物を使用して公知の方法で形成すればよく、例えば、上記電極活物質層用組成物を電極集電体の上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
また、電極活物質層は、電極活物質層用組成物を、電極集電体以外の基材上に塗布し、乾燥することにより形成してもよい。電極集電体以外の基材としては、公知の剥離シートが挙げられる。基材の上に形成した電極活物質層は、好ましくは絶縁層を形成した後、基材から電極活物質層を剥がして電極集電体の上に転写すればよい。
電極集電体又は基材の上に形成した電極活物質層は、好ましくは加圧プレスする。加圧プレスすることで、電極密度を高めることが可能になる。加圧プレスは、ロールプレス等により行えばよい。
以上の説明では、本発明のリチウムイオン二次電池用電極が負極である場合の例を説明したが、リチウムイオン二次電池用電極は正極であってもよい。正極である場合、電極活物質層は、正極活物質層となり、電極活物質が正極活物質となる。
正極活物質としては、金属酸リチウム化合物が挙げられる。金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等が例示できる。また、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)等であってもよい。さらに、リチウム以外の金属を複数使用したものでもよく、三元系と呼ばれるNCM(ニッケルコバルトマンガン)系酸化物、NCA(ニッケルコバルトアルミニウム系)系酸化物等を使用してもよい。
また、電極集電体は正極集電体となる。正極集電体となる材料は、上記負極集電体に使用される化合物と同様であるが、好ましくはアルミニウム又は銅、より好ましくはアルミニウムが使用される。
リチウムイオン二次電池用電極が正極である場合のその他の構成は、負極である場合と同様であるのでその他の構成の説明は省略する。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した絶縁層を有するリチウムイオン二次電池用電極を備える。具体的には、本発明のリチウムイオン二次電池は、互いに対向するように配置された正極、及び負極を備え、負極及び正極の少なくとも一方の電極が、上記した絶縁層を有するリチウムイオン二次電池用電極となる。このリチウムイオン二次電池用電極(負極又は正極)においては、他方の電極(正極又は負極)に対向する面に絶縁層が設けられるとよい。本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した絶縁層を有するリチウムイオン二次電池用電極を負極として備えることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極及び負極の間に配置されるセパレータをさらに備えてもよい。セパレータが設けられることで、正極及び負極の間の短絡がより一層効果的に防止される。また、セパレータは、後述する電解質を保持してもよい。正極又は負極に設けられる絶縁層は、セパレータに接触していてもよいし、接触していなくてもよいが、接触することが好ましい。
セパレータとしては、多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が挙げられ、これらの中では多孔性の高分子膜が好ましい。多孔性の高分子膜としては、オレフィン系多孔質フィルムが例示される。セパレータは、リチウムイオン二次電池駆動時の発熱により加熱されて熱収縮等することがあるが、そのような熱収縮時でも、上記絶縁層が設けられることで短絡が抑制しやすくなる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池では、セパレータが省略されてもよい。セパレータが省略されても、負極又は正極の少なくともいずれか一方に設けられた絶縁層により、負極と正極の間の絶縁性が確保される。
リチウムイオン二次電池は、負極、正極がそれぞれ複数積層された多層構造であってもよい。この場合、負極及び正極は、積層方向に沿って交互に設けられればよい。また、セパレータが使用される場合、セパレータは各負極と各正極の間に配置されればよい。
リチウムイオン二次電池において、上記した負極及び正極、又は負極、正極、及びセパレータは、バッテリーセル内に収納される。バッテリーセルは、角型、円筒型、ラミネート型等のいずれでもよい。
リチウムイオン二次電池は、電解質を備える。電解質は特に限定されず、リチウムイオン二次電池で使用される公知の電解質を使用すればよい。電解質としては例えば電解液を使用する。
電解液としては、有機溶媒と、電解質塩を含む電解液が例示できる。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、又はこれら溶媒の2種類以上の混合物が挙げられる。電解質塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFCO、LiPFSO、LiN(SOCF、LiN(SOCFCF、LiN(COCF及びLiN(COCFCF、リチウムビスオキサレートボラート(LiB(C等のリチウムを含む塩が挙げられる。また、有機酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、LiBH等の錯体水素化物等の錯体が挙げられる。これらの塩又は錯体は、1種単独で使用してもよいが、2種以上の混合物であってもよい。
また、電解質は、上記電解液に更に高分子化合物を含むゲル状電解質であってもよい。高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のポリアクリル系ポリマーが挙げられる。なお、ゲル状電解質は、セパレータとして使用されてもよい。
電解質は、負極及び正極間に配置されればよく、例えば、電解質は、上記した負極及び正極、又は負極、正極、及びセパレータが内部に収納されたバッテリーセル内に充填される。また、電解質は、例えば、負極又は正極上に塗布されて負極及び正極間に配置されてもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
得られたリチウムイオン二次電池用電極は、以下の評価方法により評価した。
(出力特性)
実施例、比較例で作製したセルに対して、1Cの定電流充電を行い、4.2V到達次第、電流を0.05Cまで減少させ、充電が完了するまで定電圧充電を行った。そして、1Cの定電流放電を行い、2.5Vまで放電させた時点で放電を完了し、1Cの定電流放電の放電容量を計算した。次に同様の充電を行った後、10Cの定電流放電を行い、2.5Vまで放電させた時点で放電を完了し、10Cの定電流放電の放電容量を計算した。そして、次式(1)より1Cに対する10Cの放電容量の割合を算出し、以下のように評価した。なお、1Cに対する10Cの放電容量の割合が大きければ大きいほど、出力特性は良好となる。
(1Cに対する10Cの放電容量の割合)=(10Cの定電流放電の放電容量/1Cの定電流放電の放電容量)×100・・・・・(1)
A:1Cに対する10Cの放電容量の割合≧20%
B:20%>1Cに対する10Cの放電容量の割合≧10%
C:10%>1Cに対する10Cの放電容量の割合≧5%
D:5%>1Cに対する10Cの放電容量の割合
(短絡安全性)
実施例、比較例で作製したセルに対して1.0Cの定電流充電を行い、4.2V到達次第、電流を減少させ、0.05Cとなった時点で充電が完了するまで定電圧充電を行った。その後温度制御可能な恒温槽に入れ、130℃に設定した。130℃に到達後は1時間放置した。この間のセルの表面温度の最高温度を測定し、以下に分類して評価した。なお、表面温度の最高温度が低ければ低いほど、短絡安全性は高くなる。
A:表面温度の最高温度が135℃未満であった。
B:表面温度の最高温度は135℃以上であったが、140℃未満であった。
C:表面温度の最高温度は140℃以上であったが、200℃未満であった。
D:表面温度の最高温度は200℃以上であった。
得られたリチウムイオン二次電池用電極の物性は、以下の測定方法により測定した。
(空間率)
イオンミリング方式で、絶縁層が形成されたリチウムイオン二次電池用電極の断面を露出させた。次に、露出させたリチウムイオン二次電池用電極の断面を、FE−SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)を用いて、絶縁層全体が観察できる倍率で観察し、絶縁層の画像を得た。なお、倍率は5000〜25000倍であった。次に、画像解析ソフト「Image J」を使用して、絶縁層の実部分が黒く表示され、絶縁層の空隙部分が白く表示されるように、得られた画像を2値化処理した(図5参照)。そして、絶縁層を厚さ方向に10分割し、画像解析ソフト「Image J」を使用して、10分割したそれぞれの分割領域(例えば、図5の符号50)における白部分の面積の割合を測定した。この白部分の面積の割合が分割領域の空間率(体積%)となる。
そして、図6に示すように、隣接する2つの分割領域の空間率に比べて、空間率が2体積%以上高くなっている分割領域を疎分割領域とした。なお、空間率の測定誤差を考慮して、空間率が2体積%以上高くなっている領域を疎分割領域とした。両端の2つの分割領域については、隣接する分割領域が1つしかないので、隣接する1つの分割領域の空間率に比べて、空間率が2体積%以上高くなっている場合、疎分割領域とした。
さらに、空間率が高い分割領域が2つ以上連続する場合には、その連続する分割領域を1つの連続領域として、その連続領域の空間率(すなわち、複数の分割領域の空間率の平均値)が、その連続領域に隣接する2つの領域よりも2体積%以上高い場合には、その連続領域を構成する各分割領域を疎分割領域とした。なお、「空間率が高い分割領域が2つ以上連続する連続領域」とは、その連続領域を構成する各分割領域の空間率がいずれも、連続領域に隣接する2つの分割領域の空間率のいずれよりも高い領域を意味する。
以上のようにして、疎分割領域を特定して、疎分割領域と特定されなかった分割領域を密分割領域とした。
なお、密分割領域及び疎分割領域がそれぞれ連続する場合、連続する密分割領域及び疎分割領域を合わせて、それぞれ1つの密領域及び疎領域とした。さらに、密分割領域及び疎分割領域が連続していない場合は、1つの密分割領域及び疎分割領域をそれぞれ1つの密領域及び疎領域とした。連続する密分割領域及び疎分割領域を合わせて、それぞれ1つの密領域及び疎領域とした場合、連続する密分割領域及び疎分割領域の平均の空間率をそれぞれ密領域及び疎領域の空間率とした。
(絶縁層の厚み)
絶縁層の厚みは、上述のSEMの画像から測定した。
得られた絶縁層用組成物(スラリー)の物性は、以下の測定方法により測定した。
(粘度)
絶縁層用組成物(スラリー)の粘度は、B型粘度計で60rpm、25℃の条件で測定した。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質としてNCA系酸化物(平均粒子径10μm)を100質量部と、導電助剤としてのアセチレンブラックを4質量部と、電極用バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン4質量部と、溶媒としてのN−メチルピロリドン(NMP)とを混合し、固形分濃度60質量%に調整した正極活物質層用スラリーを得た。この正極活物質層用スラリーを、正極集電体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、予備乾燥後、120℃で真空乾燥した。その後、両面に正極活物質層用スラリーを塗布した正極集電体を、400kN/mの線圧でローラにより加圧プレスし、更に電極寸法の100mm×200mm角に打ち抜いて、両面に正極活物質層を有する正極とした。該寸法のうち、正極活物質が塗布された面積は100mm×180mmであった。なお、両面に形成された正極活物質層の厚さは、片面あたり50μmであった。
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイト(平均粒子径10μm)100質量部と、電極用バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩を1.5質量部及びスチレンブタジエンゴム(SBR)1.5質量部と、溶媒としての水とを混合し、固形分50質量%に調整した負極活物質層用スラリーを得た。この負極活物質層用スラリーを、負極集電体としての厚さ12μmの銅箔の両面に塗布して100℃で真空乾燥した。その後、両面に負極活物質層用スラリーを塗布した負極集電体を、500kN/mの線圧でローラにより加圧プレスし、更に電極寸法の110mm×210mm角に打ち抜いて、両面に負極活物質層を有する負極とした。該寸法のうち、負極活物質が塗布された面積は110mm×190mmであった。なお、両面に形成された負極活物質層の厚さは、片面あたり50μmであった。また、負極活物質層の密度は1.55g/ccであった。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比(EC:DEC)で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPFを1モル/リットルとなるように溶解して、電解液を調製した。
(絶縁層の形成)
ポリフッ化ビニリデン溶液((株)クレハ製、製品名:L#1710、10質量%溶液、溶媒:NMP)に、絶縁性微粒子としてアルミナ粒子(日本軽金属(株)製、製品名:AHP200、平均粒子径0.4μm)を、中程度の剪断力を加えながら混合して分散させてスラリーを得た。なお、アルミナ粒子及びポリフッ化ビニリデン溶液の配合量は、スラリー中のアルミナ粒子の配合量が固形分基準で100質量部となり、ポリフッ化ビニリデン溶液の含有量が固形分基準で15質量部となるような配合量であった。
このスラリーにNMPを、固形分濃度が35質量%となるようにさらに加え、撹拌機で30分間穏やかに撹拌し、絶縁層用スラリーを得た。絶縁層用スラリーの粘度は2800mPa・sであった。
絶縁層用スラリーを、グラビアコーターで、負極の各負極活物質層の表面に塗布し、その塗膜を90℃で1分間乾燥することによって、各負極活物質層の表面に第1の組成物層を形成した。次いで反対側を同様に塗工し、負極活物質層の表面両面に第1の組成物層を形成した。
次に、絶縁層用スラリーを、グラビアコーターで、負極の第1の組成物層の表面に塗布し、その塗膜を90℃で1分間乾燥することによって、各第1の組成物層の表面に第2の組成物層を形成した。次いで反対側を同様に塗工し、負極活物質層の両面側に第2の組成物層を形成した。
次に、絶縁層用スラリーを、グラビアコーターで、負極の第2の組成物層の表面に塗布し、その塗膜を90℃で1分間乾燥することによって、各第2の組成物層の表面に第3の組成物層を形成した。次いで反対側を同様に塗工し、負極活物質層の両面側に第3の組成物層を形成した。
なお、実施例1において、グラビアコーターで各絶縁層用スラリーを塗布するときのせん断速度を20,000(1/s)とした。
(電池の製造)
上記で得た絶縁層を有する負極10枚と、正極9枚と、セパレータ18枚を積層して積層体を得た。ここで、負極と正極は交互に配置して、各負極と正極の間にセパレータを配置した。また、セパレータとしては、ポリエチレン製多孔質フィルムを用いた。
各正極の正極集電体の露出部の端部を纏めて超音波融着で接合するとともに、外部に突出する端子用タブを接合した。同様に、各負極の負極集電体の露出部の端部を纏めて超音波融着で接合するとともに、外部に突出する端子用タブを接合した。
次いで、アルミラミネートフィルムで上記積層体を挟み、端子用タブを外部に突出させ、三辺をラミネート加工によって封止した。封止せずに残した一辺から、上記で得た電解液を注入し、真空封止することによってラミネート型のセルを製造した。
[実施例2]
絶縁層用スラリーを、グラビアコーターで、負極の第3の組成物層の表面に塗布し、その塗膜を60℃で10分間乾燥することによって、第3の組成物層の表面に第4の組成物層を形成した。次いで反対側を同様に塗工し、負極活物質層の両面側に第4の組成物層を形成した。それ以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例3]
負極活物質層の両面側に第3の組成物層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例4]
絶縁層用スラリーを、グラビアコーターで、負極の第4の組成物層の表面に塗布し、その塗膜を60℃で10分間乾燥することによって、第4の組成物層の表面に第5の組成物層を形成した。次いで反対側を同様に塗工し、負極活物質層の両面側に第5の組成物層を形成した。それ以外は、実施例2と同様に実施した。
[実施例5]
絶縁層用スラリーの粘度が3300mPa・sとなるように固形分濃度を35質量%から40質量%へ変更するよう絶縁層用スラリーを調製した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例6]
負極活物質層の両面側に第1〜第3の組成物層を形成する代わりに正極活物質層の両面側に第1〜第3の組成物層を形成した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例1]
負極活物質層の両面側に第2及び第3の組成物層を形成せず、グラビアコーターの代わりにコンマコーターを使用して第1の組成物層の厚みを15μmとした以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例2]
絶縁層用スラリーの粘度が90mPa・sとなるように絶縁層用スラリーを調製し、グラビアコーターで各絶縁層用スラリーを塗布した。さらに、負極活物質層の両面側に第2及び第3の組成物層を形成しなかった。それ以外は実施例1と同様に実施した。
Figure 0006876879
以上の実施例1〜6に示すように、絶縁層が、少なくとも2つ以上の層状の密領域、及び隣接する2つの密領域に挟まれ該隣接する2つの密領域よりも空間率の高い層状の疎領域を有するので、短絡に対する安全性及び出力特性が優れていた。それに対して、比較例1及び2では、絶縁層が疎領域を有しないので、出力特性が悪かった。
1 リチウムイオン二次電池用電極
10 電極活物質層
20 絶縁層
21,23,25 密領域
22,24 疎領域
30 電極集電体
41 第1の組成物層
42 第2の組成物層
43 第3の組成物層


Claims (3)

  1. 電極活物質層の表面上に、第1の絶縁層用組成物を塗布して第1の組成物層を形成する工程、及び
    前記第1の組成物層の表面上に、第2の絶縁層用組成物を塗布して第2の組成物層を形成する工程を含み、
    前記第2の組成物層を形成する工程は、前記第2の組成物層の中で空間率が高く、さらに前記第1の組成物層の前記第2の組成物層近傍の領域に比べて空間率が高い領域が前記第2の組成物層の前記第1の組成物層近傍の領域に形成されるように、前記第2の絶縁層用組成物を塗布するリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記第2の絶縁層用組成物の塗布時のせん断速度が10,000〜5,000,000(1/s)である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記第2の絶縁層用組成物の塗布時の粘度が2000〜4000mPa・sである請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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