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JP6879276B2 - 気中分散微粒子の発生判定方法及び装置並びに塊状物質の性状測定方法及び装置 - Google Patents
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気中分散微粒子の発生判定方法及び装置並びに塊状物質の性状測定方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、高炉原料として使用される鉱石類(焼結鉱、塊鉱石など)やコークスなどのような塊状物質の周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを判定する方法及び装置、並びにこの判定方法を利用した塊状物質の性状測定方法及び装置に関する。
高炉法による製鉄プロセスに代表されるような原料に鉱物を用いる金属製造プロセスでは、原料の粒度が操業の安定化に大きく影響し、操業を安定化させるためには、事前に原料の粒度情報を把握する必要がある。特に、高炉においては、鉱石類(焼結鉱、塊鉱石など)、コークスといった原料の粒度の把握が重要であり、炉内の通気を確保するために、高炉に装入する原料に付着した微細な粉の割合、すなわち粉率(原料に占める粉の質量割合)にも注意して操業を行う必要がある。
高炉の通気性を維持するためには、鉱石類やコークスなどの装入物間に形成される空隙を確保することが重要である。装入物に小塊や粉が多く含まれると、小塊や粉で装入物間の空隙が埋められてしまい、通気性が悪化するため、原料を事前に篩い分けし、篩い上の塊のみを高炉に装入する操作が行われる。一般に、高炉装入前の篩い分けにより、コークスは25〜35mm以上に、焼結鉱や鉄鉱石は5〜25mm以上に粒度調整することが多い。しかし、通常の篩い分け操作では、細粒原料を完全に除去することは困難である。特に、塊に付着した粉は塊とともに高炉に装入され、高炉内で塊と粉が分離してしまうので、塊に付着した粉の量を事前に把握し、高炉に装入される粉の量をなるべく少なく管理することが求められる。
従来、高炉の原料の粒度(粉率などを含む)の分析は、定期的な原料のサンプリングと篩によって行われてきたが、そのような分析には時間がかかるので、搬送される原料の粒度をリアルタイムに分析することができなかった。原料の粒度をリアルタイムに分析するには、コンベアなどによる搬送中に、原料の粒度をリアルタイムで測定できる装置が必要になる。このような装置として、特許文献1には、原料を搬送するコンベアから原料をサンプリングし、ロボットなどを用いてサンプルを篩って粒度分布の測定を自動で行う装置が開示されている。
また、カメラなどを用いて、リアルタイムで原料の粒度を測定する方法や装置も知られており、例えば、特許文献2には、コンベアで搬送中の原料ばら物を撮像して画像データを作成し、この画像データから輝度分布を求め、この輝度分布の最大ピーク高さを用いて原料ばら物の粒度を検知する方法が開示されている。また、特許文献3には、高炉に装入される装入物からの反射光のうち近赤外領域の反射光から得られる分光情報から装入物の水分量を検出する高炉装入物検出装置が開示されている。この検出装置は、装入物の水分量と装入物の付着粉の粉率との関係を把握することで、装入物の粉率をリアルタイムで検出している。
特開2005−134301号公報 特開2000−329683号公報 特開2015−124436号公報
一方、本発明者らはさきに、原料表面からの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行うことにより塊状物質の粉率を測定する技術を開発し、これについて提案を行った(特願2018−67011号)。しかし、その後、この技術を実用化する際の課題について詳細な検討を行った結果、同技術は一定の条件下では塊状物質の粉率を正確に測定することができるものの、実用化するに際して以下のような課題があることが判明した。例えば、高炉の原料(鉱石類、コークスなど)の場合、原料のなかには、コークスのようにコークス炉から熱を持った状態で直送されてくるものや、ヤードに野ざらしにされて水分を多く含むものが存在する。そのような原料がコンベアで搬送され、高炉に装入されることになるが、季節による寒暖差や湿度などの要因でコンベア上の原料の周囲に気中分散微粒子であるミストが発生する場合がある。また、コークスは貯留槽から切り出されてコンベア上に直接落下するが、その際の衝撃によりコークスダストが発生し、このコークスダストがコンベア上のコークスの周囲に気中分散微粒子として存在している場合がある。そして、原料表面の分光反射率を利用して塊状物質の粉率を測定する上記の技術をコンベア上の原料に適用した場合、上述したミストやダストなどの気中分散微粒子が発生していると、その影響で反射光が散乱され、粉率の測定値が異常になることが判った。具体的には、例えば原料の粉率が低く、本来であれば分光反射率が低くなる筈であるにも関わらず、気中分散微粒子の影響により分光反射率が高くなり、粉率が高いことを示すような異常な測定値となってしまう。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、原料などの塊状物質の周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを的確に判定する(すなわち、気中分散微粒子の発生を的確に検知する)ことができる判定方法と、その実施に好適な装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、塊状物質からの反射光の分光反射率を利用して塊状物質の性状(例えば粉率)を測定する方法において、気中分散微粒子の発生に起因した異常値を含まない性状測定データを得ることができる方法と、その実施に好適な装置を提供することにある。
なお、本発明において「塊状物質」とは、いわゆる「粉」に対して一定の大きさ(粒度)を有する固形物質を指し、したがって、その粒径に特別な制限はなく、例えば、粗粒状の物質なども含まれる。
本発明者らは、原料表面の分光反射率を利用して粉率などの性状を測定する方法に関する上述したような課題を知見し、この課題を解決すべく検討を重ねた結果、塊状物質からの反射光の複数波長の分光反射率に基づき、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動する指標値sを求めることができ、この指標値sを閾値と比較することにより気中分散微粒子の発生を的確に検知できることが判った。したがって、計測された塊状物質の性状計測値のなかで、指標値sに基づいて気中分散微粒子の発生が検知されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、この性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外すれば、気中分散微粒子の発生に起因した異常値を含まない正常な性状測定データのみを得ることができる。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]塊状物質周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを判定する方法であって、
塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する工程(A)と、
該工程(A)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する工程(B)と、
該工程(B)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する工程(C)を有することを特徴とする気中分散微粒子の発生判定方法。
[2]上記[1]の判定方法において、工程(B)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする気中分散微粒子の発生判定方法。
[3]塊状物質周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを判定する装置であって、
塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する計測手段(a)と、
該計測手段(a)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する算出手段(b)と、
該算出手段(b)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する判定手段(c)を有することを特徴とする気中分散微粒子の発生判定装置。
[4]上記[3]の判定装置において、算出手段(b)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする気中分散微粒子の発生判定装置。
[5]塊状物質からの反射光の分光反射率を用いて塊状物質の性状を測定する方法であって、
塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する工程(A)と、
該工程(A)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する工程(B)と、
該工程(B)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する工程(C)と、
工程(A)で計測された分光反射率を用いて塊状物質の性状計測値を算出する工程(D)と、
該工程(D)で得られた塊状物質の性状計測値のなかで、工程(C)において気中分散微粒子が発生していると判定されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する工程(E)を有することを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
[6]上記[5]の測定方法において、工程(B)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
[7]上記[5]又は[6]の測定方法において、工程(D)において算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粉率であることを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
[8]上記[7]の測定方法において、塊状物質からの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行って算出される特徴量と塊状物質の粉率との関係を予め求めておき、工程(D)では、工程(A)で計測された分光反射率に対して主成分分析を行って特徴量を算出し、上記の関係に基づき、この特徴量から塊状物質の粉率を求めることを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
[9]上記[5]又は[6]の測定方法において、工程(D)において算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粒度であることを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
[10]上記[5]〜[9]のいずれかの測定方法において、測定対象がコンベアで搬送中の塊状物質であることを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
[11]塊状物質からの反射光の分光反射率を用いて塊状物質の性状を測定する装置であって、
塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する計測手段(a)と、
該計測手段(a)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する算出手段(b)と、
該算出手段(b)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する判定手段(c)と、
計測手段(a)で計測された分光反射率を用いて塊状物質の性状計測値を算出する算出手段(d)と、
該算出手段(d)で得られた塊状物質の性状計測値のなかで、判定手段(c)により気中分散微粒子が発生していると判定されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する手段(e)を有することを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
[12]上記[11]の測定装置において、算出手段(b)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
[13]上記[11]又は[12]の測定装置において、算出手段(d)で算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粉率であることを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
[14]上記[13]の測定装置において、塊状物質からの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行って算出される特徴量と塊状物質の粉率との関係を予め求めておき、算出手段(d)では、計測手段(a)で計測された分光反射率に対して主成分分析を行って特徴量を算出し、上記の関係に基づき、この特徴量から塊状物質の粉率を求めることを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
[15]上記[11]又は[12]の測定装置において、算出手段(d)で算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粒度であることを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
[16]上記[11]〜[15]のいずれかの測定装置において、測定対象がコンベアで搬送中の塊状物質であることを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
本発明の気中分散微粒子の発生判定方法及び装置によれば、原料(例えばコークス、鉱石類)などの塊状物質の周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを的確に判定することができる。
また、本発明の塊状物質の性状測定方法及び装置によれば、塊状物質からの反射光の分光反射率を利用して塊状物質の性状を測定する方法において、気中分散微粒子の発生に起因した異常値を含まない塊状物質の正常な性状測定データを得ることができ、塊状物質のロバストな性状測定が可能になる。
本発明の気中分散微粒子の発生判定方法及び装置の一実施形態を示す構成図 コンベアで高炉に搬送されるコークスについて、分光装置で計測した特定の波長の分光反射率の推移を示すグラフ 図2の時間トレンドのときの分光装置で計測した複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されたQ統計量の推移を示すグラフ 本発明の塊状物質の性状測定方法及び装置の一実施形態を示す構成図 本発明の塊状物質の性状測定方法をコンベアで高炉に搬送されるコークスの粉率の測定に適用した場合において、測定されたコークスの粉率の推移とミスト(気中分散微粒子)発生判定結果の一例を示すグラフ 本発明の塊状物質の性状測定方法及び装置を、コンベアで高炉に搬送されるコークスの性状測定に適用した場合の一実施形態を示す説明図 コークスからの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行ってコークスの粉率を求める場合において、コークスの粉率の変化と最も強い相関を示したスコアにおける各波長の比率を示したグラフ コークスからの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行ってコークスの粉率を求める場合において、コークスの粉率の変化と次に強い相関を示したスコアにおける各波長の比率を示したグラフ コークスの実測粉率と推定粉率との相関を示すグラフ
以下、本発明の気中分散微粒子の発生判定方法及び装置について説明する。
図1は、本発明に係る気中分散微粒子の発生判定方法及び装置の一実施形態を示す構成図である。
本発明の気中分散微粒子の発生判定方法は、塊状物質周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを判定する方法であり、塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する工程Aと、この工程Aで計測された複数波長の分光反射率に基づき、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動する指標値sを算出する工程Bと、この工程Bで算出された指標値sを予め設定された閾値と比較し、指標値sが当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する工程Cを有する。
ここで、一般的には、ある波長の分光反射率の絶対値や時間変化量に閾値を設け、計測された分光反射率をその閾値と比較することで気中分散粒子の発生を検知する方法が考えられるが、後述するように、その方法では単純に性状計測値としての変化によるものなのか、気中分散微粒子の発生外乱によるものなのかの判定ができず、誤判定を引き起こしてしまう。これに対して、上記本発明の判定方法では、気中分散微粒子が発生していることを的確に検知し、正確な判定を行うことができる。
本発明法において、気中分散微粒子の発生検知の対象となる塊状物質の種類に制限はないが、本発明法が利用されるのは主に高炉などの原料の性状測定方法であるため、通常は鉱石類(焼結鉱、塊鉱石など)やコークスなどの原料が主たる対象となる。
また、塊状物質の周囲に存在する気中分散微粒子(気中浮遊微粒子)は、通常、塊状物質から生じるミスト、ダスト、フュームなどの1種以上であるが、これに限定されるものではなく、塊状物質以外を発生源とするものでもよい。
工程Aでは、分光装置を用い塊状物質からの反射光の分光反射率を計測するが、工程Bで指標値sを算出するために複数波長の分光反射率を計測する。
分光反射率を計測する方法は、公知の方法を用いればよい。通常、分光装置で塊状物質からの反射光から直に分光反射率を計測するが、例えば、塊状物質が撮影された分光画像から分光反射率を計測するようにしてもよい。塊状物質の分光画像としては、特定の波長域を選択的に透過するカラーフィルタなどを備えたカメラにより撮影して得られた分光画像でもよいし、分光光源を用いて特定の波長の光を塊状物質に照射し、これをカメラにより撮影して得られた分光画像でもよい。
ここで、工程Bで指標値sを算出するために複数波長の分光反射率を計測するに際して、分光反射率を計測する波長範囲、複数波長の数、複数波長間のスパンなどは特に限定されないが、複数波長の数が過少であったり、複数波長間のスパンが過小であると、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値sをうまく算出できない場合があるので、それらを配慮する必要がある。一般的には、分光反射率を計測する波長範囲は200nm〜20μm、複数波長の数は3〜20,000、複数波長間のスパンは1nm〜5μm程度が適当である。
工程Bでは、工程Aで計測された複数波長の分光反射率に基づき、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動する指標値sを算出する。
この指標値sは、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動するものであればよく、その算出方法は特に限定されないが、特に複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量が好ましい。ただし、指標値sは、例えば、複数波長の分光反射率の差分や比率演算、或いは非線形な演算により算出される値であってもよい。
工程Cでは、工程Bで算出された指標値sを予め設定された閾値と比較し、指標値sが当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する。すなわち、これにより気中分散微粒子の発生が検知される。この工程Cで用いる閾値は、気中分散微粒子の発生の程度が分光反射率の外乱となるようなレベルとなったときに「気中分散微粒子が発生」と判定されるような値に設定される。
また、上記本発明法を実行するための本発明装置は、図1に示すように、塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する計測手段aと、この計測手段aで計測された複数波長の分光反射率に基づき、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動する指標値sを算出する算出手段bと、この算出手段bで算出された指標値sを予め設定された閾値と比較し、指標値sが当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する判定手段cを有する。これらの装置構成において、本実施形態では、計測手段aが分光装置1を構成し、算出手段bと判定手段cが判定装置2を構成している。なお、分光装置1は、計測手段aのほかにカメラなどを備えていてもよい。
また、本発明装置は、必要に応じて、塊状物質からの反射光を得るために塊状物質を照明するための照明手段(照明装置)を備えていてもよい。
以下、コンベアで高炉に搬送されるコークス(塊状物質)を対象に、その周囲でのミスト(気中分散微粒子)の発生の有無を判定する場合について、試験結果などに基づいて説明する。
まず、通常考え得るような「ミストの発生を検知するために特定の波長の分光反射率に閾値を設け、計測された分光反射率をその閾値と比較する手法」について、この手法ではミストの発生を正確に検知することが困難であることを説明する。
図2(a),(b)は、コンベアで高炉に搬送されるコークスを対象として、分光装置で計測した波長1.96μmの分光反射率の推移(24時間の推移)を示しており、(a),(b)は別々のタイミングで得られたデータである。このうち図2(b)の分光反射率は、0時から9時までは高い値で推移しており、時間の経過とともに低下している。この0〜9時の区間はコークスの周囲にミストが発生しており、分光反射率がミスト散乱により上昇している状況である。図2(a)は、別のタイミングでの分光反射率の推移を示しており、3〜11時の区間の分光反射率は、変化のスケール、絶対値の最大値、上昇変化率が図2(b)の0〜9時の区間の分光反射率と同程度であるが、この場合は粉率上昇に由来する値の変動である。したがって、ミストの発生を検知するために特定の波長の分光反射率に閾値を設ける方法では、図2(a)のような粉率の上昇に由来する値の変動も拾ってしまい、ミスト発生のみを検知することは困難である。
これに対して、本発明法において、指標値sとして、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量を用いる場合について、以下のような試験を行った。この試験では、分光装置(分光反射率の計測手段aを備えた分光装置)として9波長に分光可能な装置を使用した。9波長は可視光のカラーフィルタ及び近赤外光の狭帯域バンドパスフィルタを用いて分光したものであり、波長が短いものから、青、緑、赤、1.32μm、1.46μm、1.60μm、1.80μm、1.96μm、2.10μmとした。なお、青とは435〜480nmの範囲の波長であり、緑とは500〜560nmの範囲の波長であり、赤とは610〜750nmの範囲の波長である。Q統計量(指標値s)を算出する本発明の工程Bでは、9波長の分光反射率データに対して主成分分析を行って分光反射率の変化に対応した基底ベクトルを得た。そして、これらの基底ベクトル(主成分ベクトル)からQ統計量を算出した。
図3は、図2の時間トレンドのときのQ統計量の推移を示しており、図3(a)は図2(a)の時間トレンドのときのQ統計量の推移を、図3(b)は図2(b)の時間トレンドのときのQ統計量の推移を、それぞれ示している。図2(a),(b)と対応させると分かるように、図3(b)の0〜9時の区間でミストが発生しており、一方、図3(a)ではミストは発生していない。Q統計量は正常状態からのかい離の程度を示す指標であり、ミストが発生していない正常状態ではQ統計量の値は小さくなり、ミストが発生している異常状態ではQ統計量の値は大きくなる。Q統計量の増大は、ミスト発生時の光散乱のために、通常状態の複数波長の分光反射率の全体的な変化の仕方が異なったことに起因する。図3(a),(b)のQ統計量は、ミスト発生にのみ反応し、図2(a)に示されるような3〜11時の区間における粉率上昇には反応していない。
したがって、Q統計量に閾値t(この例ではt=0.05)を設定し、算出されたQ統計量がこの閾値を超えていればミストが発生していると判断でき、これによりミストの発生を正確に検知することができる。
主成分分析によるQ統計量(指標値s)の算出方法は、下記のような刊行物1、2や特開2017−128805号公報に記載されるような一般的な手法でよい。以下、それらに記載された内容に沿って、基本的な手法について説明する。
刊行物1;加納学、“主成分分析”、[online]、[平成30年5月2日検索]、インターネット<URL:http://manabukano.brilliant−future.net/document/text−PCA.pdf>
刊行物2;加納学、“多変量統計的プロセス管理(MSPC)”、[online]、[平成30年5月2日検索]、インターネット<URL:http://manabukano.brilliant−future.net/lecture/dataanalysis/doc08_MSPC.pdf>
主成分分析とは、同期する複数個(複数次元)のデータ群について、元のデータ群の持つ情報量の損失をできる限り小さくしつつ、元のデータの持つ特徴が良く反映された少数の変数へと置換(低次元化)する数学的処理を指す。これは、計測される分光反射率データの場合を例にとると、計測機器にもよるが、例えば分光反射率データが9点であるとすると、これに主成分分析を適用することで、9点のデータ群の特徴を良好に反映する数個の変数に仮に置き換えられたとすれば、これら9点のデータ群全てを観察することなく、主成分分析により生成された少数の変数を監視することで、分光反射率のデータの変動を簡便に推定可能であることを示している。
主成分分析では、下記(1)式に示されるP個の変数{x}(p=1,2,…,P)の持つ情報を、情報の損失を最小限に抑えながら、変数{x}の一次結合として与えられる互いに独立なM個(M≦P)の主成分{z}(m=1,2,…,M)を用いて表現する。
Figure 0006879276
(1)式において、wpmは結合係数を表し、xは上述のように計測された分光反射率データ群に相当する。なお、(1)式に示すwpmは、下記(2)式に示す条件を満足する必要がある。
Figure 0006879276
また、(1)式において、M=1の場合ならば、複数個(P個)の分光反射率データは一つの主成分データ{z}に変換されたことになる。また、M=1の場合、主成分データ{z}を第1主成分という。第1主成分{z}は(1)式で与えられるため、(1)式の結合係数wpmを下記(3)式のようなベクトル表記とする。
Figure 0006879276
また、測定中の分光反射率データxを、下記(4)式で示すベクトル表記で表す。
Figure 0006879276
この時、分光反射率データxに対応する第1主成分{z}は、下記(5)式で表される。
Figure 0006879276
第1主成分{z}の分散σ z1は、下記(6)式で表される。
Figure 0006879276
(6)式において、Nはデータのサンプル数を表す。(6)式のTは転置行列を表す。また、(6)式において、Vは共分散行列であり、共分散行列Vは下記の(7)式で表される。
Figure 0006879276
第1主成分{z}は、(2)式の条件を満たす条件下で、(6)式に示す分散σ z1が最大となるように決定される必要がある。これはLagrange未定乗数法を用いて解くことが可能であり、乗数λを用いて下記(8)式に示す変数Jを最大にする結合係数wを求めればよい。
Figure 0006879276
(8)式の最大値を与える結合係数wを求めるには、変数Jの結合係数wによる偏微分値が0となる結合係数wを求めればよく、結局、(8)式の偏微分から下記(9)式に示す条件式が得られる。(9)式のIは、対角項が1、それ以外の成分が0である単位行列を表す。
Figure 0006879276
(9)式の条件式は固有値問題であり、乗数λが満たす条件は下記(10)式の固有方程式を用いて表される。
Figure 0006879276
したがって、乗数λ及び第1主成分{z}は共分散行列Vの最大固有値及び固有ベクトルとして求めることができる。
次元圧縮後のデータを元のP次元空間上の座標で表現すると、下記(11)式のようになる。
Figure 0006879276
Pは主成分の結合係数からなる行列であり、下記(12)式のようになる。
Figure 0006879276
測定中の分光反射率データの変動範囲を定義するには、原点からの距離に対応する指標を用いればよい。そこで、下記の(13)式に示すT統計量を用いる。
Figure 0006879276
(13)式に示すT統計量を用いれば、測定中の分光反射率データの変動範囲を見積もることが可能となり、分光反射率データの大小から操業の正常・異常を判定することができる。一方、測定中の分光反射率データの同期関係が乱れるような、測定中の本質的な変動とは異なる測定外乱などの異常を検知するためには、(13)式に示すT統計量に直交する指標である、下記の(14)式に示すQ統計量を用いればよい。
Figure 0006879276
このため本発明では、このQ統計量を指標値sとして用いることが好ましい。
次に、上述した気中分散微粒子の発生判定方法及び装置を利用した、本発明の塊状物質の性状測定方法及び装置について説明する。
図4は、本発明に係る塊状物質の性状測定方法及び装置の一実施形態を示す構成図である。
本発明の塊状物質の性状測定方法は、塊状物質からの反射光の分光反射率に基づいて塊状物質の性状を測定する方法であり、塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する工程Aと、この工程Aで計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動する指標値sを算出する工程Bと、この工程Bで算出された指標値sを予め設定された閾値と比較し、指標値sが当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する工程Cと、工程Aで計測された分光反射率を用いて塊状物質の性状計測値を算出する工程Dと、この工程Dで得られた塊状物質の性状計測値のなかで、工程Cにおいて気中分散微粒子が発生していると判定されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する工程Eを有する。
工程A〜工程Cの内容は、さきに述べた通りであるが、塊状物質の性状測定方法である本発明法の工程Aでは、工程Bにおいて指標値sを算出するための複数波長の分光反射率と、工程Dにおいて塊状物質の性状計測値を算出するための分光反射率(単一又は複数波長の分光反射率)が計測される。ただし、この工程Aで計測された分光反射率の一部又は全部が、工程Bと工程Dの両方で使用されるような場合もある。
工程Dでは、工程Aで計測された分光反射率に基づいて塊状物質の性状計測値を算出するが、計測される塊状物質の性状は特に限定されない。この性状計測値としては、例えば、塊状物質の粉率、粒度などが挙げられる。
塊状物質の粉率とは、塊状物質全体に占める粉の質量割合である。ここで、「粉」の定義は任意であり、例えば、塊状物質を目開き1〜2mm程度の篩で篩分けした時に篩下となるものを「粉」とするなど、塊状物質の性状測定の目的などに応じて適宜決めればよい。
分光反射率に基づいて塊状物質の粉率を算出する方法としては、例えば、塊状物質からの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行って算出される特徴量と塊状物質の粉率(例えば目開き1mmの篩で篩分けした時の篩下の割合)との関係を予め求めておき、工程Aで計測された分光反射率に対して主成分分析を行って特徴量を算出し、上記の関係に基づき、この特徴量から粉率を求める方法がある。前記特徴量は、事前に他の測定手段で測定した既知の粉率(例えば目開き1mmの篩で篩分けした時の篩下の割合)と測定した分光反射率から粉率の変化をよく表すように算出した複数の基底ベクトルに対応したスコアである。そして、この方法は、例えば後述するように、計測手段a(分光装置)で計測された分光反射率に対して主成分分析を行って特徴量を算出し、この特徴量を粉率に変換するための演算部7と格納部8を有する算出手段dで実現することができる。
ここで、分光反射率から主成分分析を用いて特徴量を計算する手法について説明する。予め塊状物質(例えばコークス)について粉率が異なる状態で分光反射率の測定データを得る。望ましくは数百点以上のデータがあると良い。分光反射率データについて、主成分分析を用いて分光反射率の変化に対応した基底ベクトルを得る。基底ベクトルは波長と同数得られるが、それぞれの基底ベクトルに対応した各測定におけるスコアが得られる。このスコアについて予め他の測定手法で測定した粉率との相関係数を計算する。他の測定手法で測定した粉率については、望ましくは10点以上のデータがあると良い。相関係数が高い基底ベクトルを採用し、その基底ベクトルに対応するスコアを特徴量とする。その特徴量と予め他の測定手法で測定した粉率とを用いて重回帰直線を求め、この直線を検量線とする。測定する際は、測定した分光反射率について採用した基底ベクトルの特徴量を算出し、算出した特徴量を検量線で粉率に変換することで粉率測定を実現できる。
工程Eでは、工程Dで得られた塊状物質の性状計測値のなかで、工程Cにおいて気中分散微粒子が発生していると判定されたとき(すなわち、気中分散微粒子の発生が検知されたとき)の性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する。
図5は、本発明法をコンベアで高炉に搬送されるコークスの粉率の測定に適用した場合において、測定されたコークスの粉率の推移とミスト(気中分散微粒子)発生判定結果の一例を示している。このコークスの粉率は、さきに述べた方法で測定されたものである。図5によれば、時点pより前ではミストが発生しており、粉率はミストの影響を受けて数値が若干高くなっている。右軸のミスト発生判定結果を見ると、時点p以前はミストが発生していると正しく判定している。したがって、本発明の工程Eでは、時点p以前の性状計測値を異常値と判断し、性状測定データから除外する。
なお、本発明により塊状物質の粉率以外の性状測定値を測定する場合には、分光反射率に加えて他の手法(例えば、性状測定値が粒度の場合には画像処理など)を用いて、性状測定値を得るようにする。
以上のように本発明法によれば、気中分散微粒子の発生を正確に検知し、そのときの異常値を性状測定データから除去することで、安定した性状測定(粉率などの測定)を実現することができる。
上記本発明法を実行するための本発明装置は、図4に示すように、塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する計測手段aと、この計測手段aで計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度(発生の有無、発生量)に応じて値の大きさが変動する指標値sを算出する算出手段bと、この算出手段bで算出された指標値sを予め設定された閾値と比較し、指標値sが当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する判定手段cと、計測手段aで計測された分光反射率を用いて塊状物質の性状計測値を算出する算出手段dと、この算出手段dで得られた塊状物質の性状計測値のなかで、判定手段cにより気中分散微粒子が発生していると判定されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する手段eを有する。これらの装置構成において、本実施形態では、計測手段aが分光装置1を構成し、算出手段bと判定手段cが判定装置2を構成している。なお、分光装置1は、計測手段aのほかにカメラなどを備えていてもよい。
また、本発明装置は、必要に応じて、塊状物質からの反射光を得るために塊状物質を照明するための照明手段(照明装置)を備えていてもよい。
図6は、本発明に係る塊状物質の性状測定方法及び装置を、コンベアで高炉に搬送されるコークス(塊状物質)の粉率測定に適用した場合の一実施形態を示す説明図であり、図6(A)は全体説明図、図6(B)は算出手段dを部分的に示す説明図である。
図において、3は原料ホッパー、4は篩、5はコンベア、6は塊状物質であるコークスである。原料ホッパー3から切り出されたコークス6は、篩4により細かい粉が篩い落とされた後、コンベア5で高炉に搬送される。そのため、コンベア5上には篩の目より大きい粒と篩切れなかった付着粉が残る。高炉を効率的に操業するために、主に付着粉で構成される粉の割合(粉率)を上述した本発明の塊状物質の性状測定方法及び装置により測定する。このため、コンベア5の上方に計測手段aとして分光装置1が配置され、この分光装置1によりコンベア5で搬送されるコークス6からの反射光の分光反射率が計測され、この分光反射率に基づき、先に述べたような本発明法によるコークスの粉率の測定が行われる。
ここで、コークスの粉率は、例えば、高炉用コークスを目開き1mmの篩で篩分けした時の篩下の割合とする。
以下、図6の実施形態において、計測手段aである分光装置1で計測された分光反射率に基づいて、算出手段dでコークスの粉率を算出する手法について、具体例に基づいて説明する。なお、本実施形態では、計測手段aである分光装置1が塊状物質(コークス6)からの反射光を9つの波長に分光し、この9つの波長の分光反射率を測定するものである場合を例に説明する。9つの波長は、可視光のカラーフィルタおよび近赤外光の狭帯域バンドパスフィルタを用いて分光される。9つの波長は、波長が短いものから、青、緑、赤、1.32μm、1.46μm、1.60μm、1.80μm、1.96μm、2.10μmである。なお、青とは435〜480nmの範囲の波長であり、緑とは500〜560nmの範囲の波長であり、赤とは610〜750nmの範囲の波長である。
算出手段d(演算装置)は、例えば、演算部7と格納部8を有するワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータで構成される。演算部7は、例えば、CPU等であって、格納部8に保存されたプログラムやデータを用いて所定の演算を行う。具体的には、演算部7は、計測手段a(分光装置)から取得した分光反射率から特徴量を抽出し、抽出された特徴量からコークスの粉率(コークス全体に占めるコークス粉の割合)を算出する。格納部8には、演算部7における演算を実行するためのプログラム、当該プログラム実行中に使用する演算式および数式等が予め格納されている。
計測手段aである分光装置1は、9つの波長の分光反射率を測定すると算出手段d(演算装置)の演算部7に分光反射率を示すデータ(以下、単に分光反射率という)を出力する。演算部7は、分光装置1から分光反射率を取得すると、特徴量として、例えば、コークス6の粉率の変化に強い相関を示す主成分のスコアを抽出する。ここで、コークス6の粉率の変化に強い相関を示す主成分のスコアとは、分光装置1から取得した分光反射率を主成分分析して得られた9つの主成分の基底ベクトルにより算出されるスコアのうち、コークス6の粉率の変化に強い相関を示すスコアである。
本実施形態では、演算部7が抽出する特徴量が、コークス6の粉率の変化に強い相関を示す2つの主成分の基底ベクトルから算出されるスコアである場合を例に説明するが、演算部7が抽出する特徴量は、コークス6の粉率の変化に強い相関を示す1つまたは3つ以上のスコアであってもよい。但し、9つのスコアを用いると、9つの波長の分光反射率の全てを用いることになるので、用いるスコアは、8つ以下とすることが好ましい。これにより、粉率の変化に相関が少ない因子の影響を排除することができる。また、交差検定を組み合わせてどの篩分析データを用いても平均的に精度が高くなる必要最小限のスコア数を選ぶ方法をとってもよい。
格納部8には、コークス6の粉率の変化に強い相関を示す2つの主成分のスコアを算出する演算式と、粉率とスコアとの関係式とが格納されている。本実施形態において、粉率とスコアとの関係式は、例えば、コークス6の粉率(Y)を目的変数とし、2つのスコアを説明変数(X、X)とした回帰式である下記数式(i)である。
Y=b+a×X+a×X …(i)
但し、上記数式(i)において、b、a、aは回帰式のパラメータである。
2つの主成分のスコアを算出する演算式および上記数式(i)は、以下の手順で算出する。まず、分光装置1を用いて、コンベア5によって搬送されるコークスの9つの波長の分光反射率を測定する。測定された9つの波長の分光反射率を主成分分析し、第1〜第9主成分における9つの基底ベクトルと、当該基底ベクトルから算出される9つのスコアを得る。
次に、分光反射率を測定したコークスを採取し、このコークスを篩分析して粒径1mm以下(目開き1mmの篩の篩下)のコークスの割合(コークスの粉率)を実測する。篩分析による実測粉率は、コークスを120〜200℃で4時間以上恒量になるまで乾燥させた後、目開き1mmの篩を用いて篩い、篩い前後のコークスの質量差の篩前の質量に対する割合として算出した。この操作を粉率や含有水分量の異なるコークスを用いて実施して、それぞれ篩分析して得られた粉率と9つのスコアを1組としたデータを複数取得する。これら複数のデータのうち、9つのスコアを粉率が異なるコークス間で比較し、コークスの粉率の変化と強い相関を示す2つのスコアを特定する。特定した2つのスコアを算出する演算式は、当該スコアの基底ベクトルを用いて算出できる。
また、コークスの粉率の変化と強い相関を示す2つの主成分が特定されれば、粉率や含有水分量の異なるコークスの粉率と9つのスコアを1組とした複数のデータから、粉率と特定した2つのスコアとを1組としたデータをそれぞれ取得できるので、これらデータと最小二乗法とで、数式(i)のパラメータb、a、aを算出できる。これにより、2つの主成分のスコアからコークス6の粉率が算出できる数式(i)を得ることができる。このように算出された2つのスコアを算出する演算式および数式(i)は、予め格納部8に格納される。
演算部7は、分光装置1から9つの波長の分光反射率を取得すると、格納部8から特定されたコークスの粉率の変化と強い相関を示す2つのスコアを算出する演算式を読み出し、9つの波長の分光反射率と当該演算式を用いて2つの主成分のスコアを算出する。演算部7は、2つの主成分のスコアを算出すると、格納部8から数式(i)を読み出し、算出されたスコアと数式(i)を用いてコークスの粉率を算出する。
図7は、コークスの粉率の変化と最も強い相関を示したスコアにおける各波長の比率を示したグラフである。図8は、コークスの粉率の変化と次に強い相関を示したスコアにおける各波長の比率を示したグラフである。図7、図8より、水の吸収波長である1.46μm、1.96μmの波長のみが高い比率となるスコアが、コークスの粉率の変化と強い相関を示さなかったことから、コークスの粉率の測定において、コークスの水分量のみが支配的な要素ではないことが判る。このことから、コークスの水分量のみを介してコークスの粉率を算出する粉率測定方法の測定における粉率の測定精度が低いことが判る。
図9は、コークスの実測粉率と推定粉率との相関を示すグラフである。図9において、横軸は実測粉率(質量%)であり、縦軸は推定粉率(質量%)である。実測粉率は、種々のコークスを120〜200℃で4時間以上恒量になるまで乾燥させた後、目開き1mmの篩を用いて篩い、篩い前後のコークスの質量差の篩前の質量に対する割合として算出した値である。推定粉率は、粉率を実測したコークスの9つの波長の分光反射率の測定値と、コークスの粉率を目的変数とし主成分分析を適用させて得られたコークスの粉率と強い相関を示す2つのスコア(図7及び図8)を説明変数とした回帰式とを用いて算出した値である。図9に示すように、コークスの推定粉率と実測粉率とには強い相関が見られ、その相関係数Rは0.74であった。これらの結果から、主成分分析を適用して得られたスコアから算出することで高い精度でコークスの粉率が測定できることが確認できる。
a 計測手段
b 算出手段
c 判定手段
d 算出手段
e 手段
1 分光装置
2 判定装置
3 原料ホッパー
4 篩
5 コンベア
6 コークス
7 演算部
8 格納部

Claims (16)

  1. 塊状物質周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを判定する方法であって、
    塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する工程(A)と、
    該工程(A)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する工程(B)と、
    該工程(B)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する工程(C)を有することを特徴とする気中分散微粒子の発生判定方法。
  2. 工程(B)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする請求項1に記載の気中分散微粒子の発生判定方法。
  3. 塊状物質周囲に気中分散微粒子が発生しているか否かを判定する装置であって、
    塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する計測手段(a)と、
    該計測手段(a)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する算出手段(b)と、
    該算出手段(b)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する判定手段(c)を有することを特徴とする気中分散微粒子の発生判定装置。
  4. 算出手段(b)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする請求項3に記載の気中分散微粒子の発生判定装置。
  5. 塊状物質からの反射光の分光反射率を用いて塊状物質の性状を測定する方法であって、
    塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する工程(A)と、
    該工程(A)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する工程(B)と、
    該工程(B)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する工程(C)と、
    工程(A)で計測された分光反射率を用いて塊状物質の性状計測値を算出する工程(D)と、
    該工程(D)で得られた塊状物質の性状計測値のなかで、工程(C)において気中分散微粒子が発生していると判定されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する工程(E)を有することを特徴とする塊状物質の性状測定方法。
  6. 工程(B)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする請求項5に記載の塊状物質の性状測定方法。
  7. 工程(D)において算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粉率であることを特徴とする請求項5又は6に記載の塊状物質の性状測定方法。
  8. 塊状物質からの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行って算出される特徴量と塊状物質の粉率との関係を予め求めておき、工程(D)では、工程(A)で計測された分光反射率に対して主成分分析を行って特徴量を算出し、上記の関係に基づき、この特徴量から塊状物質の粉率を求めることを特徴とする請求項7に記載の塊状物質の性状測定方法。
  9. 工程(D)において算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粒度であることを特徴とする請求項5又は6に記載の塊状物質の性状測定方法。
  10. 測定対象がコンベアで搬送中の塊状物質であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の塊状物質の性状測定方法。
  11. 塊状物質からの反射光の分光反射率を用いて塊状物質の性状を測定する装置であって、
    塊状物質からの反射光の分光反射率を計測する計測手段(a)と、
    該計測手段(a)で計測された複数波長の分光反射率に基づいて、気中分散微粒子の発生の程度に応じて値の大きさが変動する指標値(s)を算出する算出手段(b)と、
    該算出手段(b)で算出された指標値(s)を予め設定された閾値と比較し、指標値(s)が当該閾値を超えたときに気中分散微粒子が発生していると判定する判定手段(c)と、
    計測手段(a)で計測された分光反射率を用いて塊状物質の性状計測値を算出する算出手段(d)と、
    該算出手段(d)で得られた塊状物質の性状計測値のなかで、判定手段(c)により気中分散微粒子が発生していると判定されたときの性状計測値を異常な計測値と判断し、当該性状計測値を塊状物質の性状測定データから除外する手段(e)を有することを特徴とする塊状物質の性状測定装置。
  12. 算出手段(b)で算出される指標値(s)が、複数波長の分光反射率に対して主成分分析を行って算出されるQ統計量であることを特徴とする請求項11に記載の塊状物質の性状測定装置。
  13. 算出手段(d)で算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粉率であることを特徴とする請求項11又は12に記載の塊状物質の性状測定装置。
  14. 塊状物質からの反射光の分光反射率に対して主成分分析を行って算出される特徴量と塊状物質の粉率との関係を予め求めておき、算出手段(d)では、計測手段(a)で計測された分光反射率に対して主成分分析を行って特徴量を算出し、上記の関係に基づき、この特徴量から塊状物質の粉率を求めることを特徴とする請求項13に記載の塊状物質の性状測定装置。
  15. 算出手段(d)で算出される塊状物質の性状計測値が、塊状物質の粒度であることを特徴とする請求項11又は12に記載の塊状物質の性状測定装置。
  16. 測定対象がコンベアで搬送中の塊状物質であることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の塊状物質の性状測定装置。
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