JP6879504B2 - 細胞培養プレートおよびその製造方法、ならびに細胞培養方法 - Google Patents
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Description
<1> シリコーンゴム膜の表層の濡れ性を接触角50度以下となるように表層処理する工程と、その後、シリコーンゴム膜にコラーゲンを接触させる工程とを有し、前記接触させる工程により、前記シリコーンゴム膜上に前記コラーゲンの層を設けた積層膜を有する細胞培養プレートの製造方法。
<2> 前記表層処理が、シリコーンゴム膜の表層に、100〜300nmの紫外線を照射することによる表層処理である前記<1>記載の細胞培養プレートの製造方法。
<3> 前記シリコーンゴム膜の厚みが、1mm以下である前記<1>または<2>記載の細胞培養プレートの製造方法。
<4> 前記接触させる工程の前記シリコーンゴム膜への前記コラーゲンの接触が、コラーゲン含有液の噴霧であり、前記積層膜の前記コラーゲンの層の厚みが10μm以下である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の細胞培養プレートの製造方法。
<5> 前記<1>〜<4>のいずれかに記載の細胞培養プレートの製造方法により製造された細胞培養プレートを用いて、細胞塊形成性細胞を培養する細胞培養方法。
<6> シリコーンゴム膜と、前記シリコーンゴム膜の少なくとも一方の面に設けられた厚さ10μm以下のコラーゲン層とからなる積層膜を有し、前記コラーゲン層が前記シリコーンゴム膜に密着することで前記コラーゲン層が水洗試験後も残存する細胞培養プレート。
<7> 前記積層膜を、底部として有するウェル形状の前記<6>記載の細胞培養プレート。
本発明は、細胞培養プレートを提供するものである。ここで、本発明に係る細胞培養プレートとは、前記した積層膜を有するものであり、細胞培養試験等に適した任意の形状とできる。本発明の細胞培養プレートに適した、典型的な形状としては、マルチウェルプレート(ディッシュ)と呼ばれるウェルを有する培養プレートがあげられる。マルチウェルプレートは、例えば6、12、48、96、384、および1536ウェル(well)形式に、実質的に標準化や規格化されているようなマルチウェル(ミクロ)プレートがある。これらは、自動装填及びロボット処理システムに適合しており、本発明がハイコンテントアナリシス等の機械的分析にも適したものであることからも、本発明の細胞培養プレートとして適した形状である。
本発明の細胞培養プレート、およびその製造方法は、シリコーンゴム膜を用いる。シリコーンゴム膜を用いることで、細胞培養プレートに適した酸素や二酸化炭素等の気体透過性を有し、培養対象となる生体細胞等の細胞が長期間安定して培養(生育)する。また、シリコーンゴム膜は、細胞培養プレートの一部(特に底面)としての貼り付けや形状調整等の利用しやすさや、生体に対する毒性が低く生体適合性も優れている点でも適している。
本発明の細胞培養プレートの製造方法においては、前記したシリコーンゴム膜の表層の濡れ性を接触角50度以下となるように処理する。一般に、シリコーンゴム膜の表層の濡れ性は、接触角が90度程度であり、水等を弾き濡れ性が低い。これに、詳しくは後述する紫外線照射等の手段で、その表面を活性化して濡れ性を向上させることができる。この状態で、コラーゲンを接触させることで、シリコーンゴム膜に実質的に直接コラーゲンが積層されたものを得ることができる。
この濡れ性は、接触角度計により測定することができる。前記のシリコーンゴム膜の表層の濡れ性は、接触角50度以下であり、より好ましくは40度以下、更に好ましくは30度以下である。
一部前述したように、本発明の細胞培養プレートの製造方法は、シリコーンゴム膜の表層の濡れ性を接触角50度以下となるように表層処理する工程を有する。この表層処理は、シリコーンゴム膜の表層の特性として直接濡れ性が改善する手法を適宜採用することができる。この表層処理の工程は、シリコーンゴム膜の表層に、100〜300nmの紫外線の照射による表層処理であることが好ましい。特に好ましくは、150〜250nmの紫外線の照射による表層処理であることが好ましい。この紫外線の照射によると、シリコーンゴム膜の層としての物性等の低下が生じることなく、濡れ性のみを改善することができる。
本発明の細胞培養プレートおよびその製造方法は、コラーゲンを用いる。このコラーゲンは、前記した所定の濡れ性のシリコーンゴム膜の表層に接触させて、シリコーンゴム膜の表層にコラーゲン層を形成するためのものである。このコラーゲン層を有することで、本発明の細胞培養プレートは、コラーゲン層へ、細胞が強く密着するため、その後の解析等を安定して行うことができる。
本発明の細胞培養プレートの製造方法は、コラーゲンを接触させる工程を有する。シリコーンゴム膜と、コラーゲンとの接触は、任意の手法で行われるが、シリコーンゴム膜は、シートやフィルム状として形成されている状態であり、ここにコラーゲン層を設けるものとなる。例えば、この手法は、コラーゲンを含有するコラーゲン含有液を塗工等して、余分な溶媒等を乾燥等により除去する溶液塗工および溶媒の乾燥除去とする手法があげられる。このコラーゲン含有液(溶液)とするときの溶媒は、水やアルコール等のコラーゲンの分散性が優れており、溶媒除去後に微量程度残存しても、生体細胞の培養性にほとんど影響を与えないものが用いられる。この接触させる工程の前記シリコーンゴム膜への前記コラーゲンの接触は、コラーゲン含有液の噴霧であることが好ましい。これは、後述するように、コラーゲン層は比較的薄いものとすることが好ましく、このような厚みを達成しやすい手法であり、かつ、乾燥除去する溶媒の全量も少ないことから、製造効率もよい手法である。
本発明の細胞培養プレートにおける積層膜のコラーゲンの層(コラーゲン層)の厚みは、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。一方、その下限は、0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることが特に好ましい。これは、コラーゲン層の厚みがこのような範囲となることで、より単独細胞の状態での培養と、その状態で長時間維持しやすいことが見出されたことに基づく厚みである。前述した噴霧法により、この厚みは達成することができる。なお、コラーゲン層の厚みは、コラーゲン層積層前後の、シリコーンゴム膜との厚みの差から求めてもよいし、積層膜の断面を顕微鏡等で観察した厚みから求めてもよい。簡易的には、シリコーンゴム膜への、コラーゲン含有液等の塗工量(噴霧量)と、そのコラーゲンの含有濃度とから、算定される厚みで求めてもよい。
本発明の細胞培養プレートの製造方法は、前記接触させる工程により、前記シリコーンゴム膜上に前記コラーゲンの層を設けた積層膜を有する細胞培養プレートを製造するものである。この積層膜は、細胞に直接接触するコラーゲン層が生体由来物質の組成であることと、シリコーンゴム膜が適度な酸素等の気体透過性を示すことから、生体内の環境に類似した環境を得ることができる点でも優れているものと考えられる。なお、この積層膜の内、コラーゲン層は、シリコーンゴム膜の全面に均一に設けられていてもよいし、ウェル等の形状とするときは、そのウェルの細胞培養部となる凹部(溝部)の底部でのみ均一なものとするように、部分的にコラーゲン層が設けられていてもよい。本発明による一実施形態としては、所定の紫外線照射による均一な表面処理と、また、その後のコラーゲン溶液を噴霧でコーティングすることで均一なコーティングができるところが、大きな特徴である。これにより、非常に薄い、コラーゲンの薄膜が酸素透過膜上に形成される。
本発明の細胞培養プレートは、前述したシリコーンゴム膜とコラーゲン層とが所定の要件で積層された積層膜を有するものである。この積層膜は、例えば、細胞培養プレートをウェル形状とする場合、その底部に積層膜がコラーゲン層を溝の上側を向くように設けられる。図1は、代表的なウェル形状の細胞培養プレートの底部に、本発明の積層膜を有する細胞培養プレートの略断面図である。この細胞培養プレートは、例えば、底が開口されているプラスチック製のウェル状体に、その底面に、本発明の細胞培養プレートに用いられる積層膜を貼りつけることで製造することができる。また、この細胞培養プレートは、EOG(エチレンオキサイド)滅菌等を行うことができ、適宜、滅菌処理等の処理を行って利用される。なお、図2は参考としての一般的な従来の細胞培養プレートを示すものである。
本発明の細胞培養プレートによれば、細胞塊を形成しやすい細胞(細胞塊形成性細胞)等を、長時間、分離された細胞の状態で、かつ、それらの細胞が所定の位置に接着し培養することができる。このような培養が求められる細胞は、各種生体細胞等が典型的なものである。具体的には、幹細胞や、腫瘍細胞、初代培養細胞(肝臓、腎臓、皮膚、骨など)などがあげられる。
以下、本発明の細胞培養プレートの代表的な製造例と、その細胞培養プレートを用いた細胞培養結果を説明する。
・濡れ性試験
協和界面科学株式会社製「簡易接触計 DMe−210」を用いて、濡れ性を試験した。濡れ性の試験液は、超純水を用いて、常温(20℃)における静的接触角を測定し、これを接触角度とした。
・シリコーンゴム膜(A)
SIR(株)「C6−530」(PDMS系シリコーンゴム膜)を、80℃にて真空乾燥を7日間行ったものをシリコーンゴム膜(A)として用いた。このシリコーンゴム膜(A)は、厚み0.3mmm(300μm)である。
・コラーゲン(A)
高研社製「ブタアテロコラーゲン」 (哺乳動物性コラーゲン)
・溶媒(コラーゲン噴霧用)
ウオーター社製「超純水」
・ウェル
底面部分が開口された、96ウェル状体および384ウェル状体を用いた。これらのウェル状体は、底面に相当する開口部にシート等を設けることで、細胞培養プレートとして用いられる。これらのウェル状体は、ポリスチレン製のものを使用した。
(製造例1)
(1) シリコーンゴム膜(A)の表層に、中心波長172nmの紫外線(浜松ホトニクス社製「FLAT EXCIMER EX−mini L12530−01」)を照射(強度:50mW/cm2、照射時間:30秒)した。照射後の、濡れ性試験によるシリコーンゴム膜の表層の接触角度は、40度であった。
(2) その後、濃度1質量%のコラーゲン含有水溶液を作成し、前記シリコーンゴム膜の紫外線照射した面側に、コラーゲン含有液の乾燥後の残存コラーゲン厚みが約1μmとなるようにコラーゲン含有液を噴霧した。
(3) その後、常温で静置し、コラーゲン含有液の溶媒(水)を乾燥除去させて、シリコーンゴム膜の紫外線照射された表層側にコラーゲン膜を設けた積層膜を得た。
(4) この積層膜を、前記のウェルの底面側に、コラーゲン層がウェルの溝の上部を向くように(ウェルの凹部の底がコラーゲン層となるように)、貼りつけた。なお、この貼り付けは、押圧で圧着することで行った。これにより、細胞培養プレート(A)を製造した。
前記細胞培養プレート(A)に、ヒト肝癌由来細胞「HepG2」(理研BRC細胞材料開発室−CELL BANK)を播種して、細胞培養試験を行った。播種密度2×104cells/well、播種液量100μL/wellとした。培養時の環境は、インキュベータを用いて、37度 CO2濃度5% 湿潤状態下で静置した。
「細胞数」
プロメガ社製“CellTiter(登録商標)96 AQueous One Solution Assay”を用いて、細胞数を求め、細胞増殖性を評価した。
「細胞の蛍光染色」
(染色試薬1)全細胞の染色:Hoechast33258(染色:青)(同仁化学社製)
(染色試薬2)生胞の細胞質:Calcei−AM(染色:緑)(同仁化学社製)
(染色試薬3)視細胞の各:Propidium Iodide(PI)(染色:赤)(タカラバイオ社製)
※各染色試薬の使用要領に則って、細胞を蛍光染色し、“Operetta”(パーキンエルマー社製)により、細胞の状態を観察した。
なお、対比試験に用いた細胞培養プレートは以下のものであり、前述の細胞培養試験の手法に準じて、細胞培養プレート(A)に代えて同様に細胞培養結果の評価を行った。
(比較例1)プラスチックプレート(Plastic Plate)
VIOLAMO社製96ウェルプレート(ポリスチレン樹脂製の96ウェルプレート)
(比較例2)易細胞塊形成プレート
ベセル株式会社製“Gas Permeable VECELL Plate - G-Plate”。この細胞培養プレートは、シリコーンゴム膜の表層処理を行わずに、両親媒性ポリマーを塗工し両親媒性ポリマー層を設け、その後、さらにコラーゲン含有液を塗工してコラーゲン膜を設けたものである。
Claims (5)
- 厚みが1mm以下であるシリコーンゴム膜の表層に、波長100〜300nmの紫外線を照射し、シリコーンゴム膜の表層の濡れ性を接触角50度以下となるように表層処理する工程と、
その後、前記シリコーンゴム膜の表層にコラーゲンを接触させる工程とを有し、
前記接触させる工程により、前記シリコーンゴム膜上に前記コラーゲンの層を設けた積層膜を有し、
前記積層膜を、開口部を有するウェル形状の前記開口部に底部として貼り付けることを特徴とする細胞培養プレートの製造方法。 - 前記接触させる工程の前記シリコーンゴム膜への前記コラーゲンの接触が、コラーゲン含有液の噴霧であり、前記積層膜の前記コラーゲンの層の厚みが10μm以下である請求項1に記載の細胞培養プレートの製造方法。
- 請求項1または2に記載の細胞培養プレートの製造方法により製造された細胞培養プレートを用いて、細胞塊形成性細胞を培養する細胞培養方法。
- 厚み1mm以下のシリコーンゴム膜と、前記シリコーンゴム膜の少なくとも一方の面に設けられた厚さ10μm以下のコラーゲン層とからなる積層膜を有し、前記コラーゲン層が前記シリコーンゴム膜に密着することで前記コラーゲン層が水洗試験後も残存するものであり、
前記積層膜が、開口部を有するウェル形状の前記開口部に底部として貼り付けられた細胞培養プレート。 - 前記積層膜のコラーゲン層が、前記ウェル形状の凹部側であり、前記積層膜が、気体透過性を有する請求項4記載の細胞培養プレート。
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