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JP6882882B2 - オレフィン重合体の製造方法および流動性改良方法 - Google Patents
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オレフィン重合体の製造方法および流動性改良方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン重合体の製造方法および流動性改良方法に関し、より詳しくはオレフィン重合体の製造工程または貯蔵工程において重合体粉体の流動性が低下して塊等を発生することなく、長期的に安定して運転することができるオレフィン重合体の製造方法および流動性改良方法に関する。
従来、オレフィンモノマーを重合する方法としては、液相重合や気相重合等様々な方法がある。例えば、気相重合では重合体が粉体で得られ、液相重合においても取扱い易さから重合体を粉体として回収することが多い。そして重合体粉体が存在する閉塞空間、例えば気相重合では重合体粉体を製造する重合反応器や各配管、または気相重合や液相重合で得た重合体粉体を貯蔵する貯蔵庫等において流動性に優れることが求められる。
ところで、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンは、例えば固体状のチタン系触媒、担体担持型メタロセン系触媒等の固体触媒の存在下にオレフィンを重合させることによって製造されている。この固体触媒は流動性が低いことが多く、重合反応器への供給が困難な場合がある。
また、固体触媒の存在下にオレフィンを気相重合すると、流動層内でポリマー塊またはシート状物等が発生したり、オレフィン重合体の流動性が低下したりして、流動層内の混合状態が不均一となり、長期的に安定して運転することができなくなる等の問題が発生することがある。
さらに、重合反応器に付属する配管、流動床反応器を用いた気相重合を多段で行う際の各段の重合器を連結している配管、その他重合体粉体等が移動する各種設備を、固体触媒または重合体粉体が移動する際に、流動性が低下したり、各種設備での流動性が低下する場所、いわゆるデッドスペース等でポリマー塊が生成したり、シート状物に付着して、重合体粉体の流動性を低下させ、最悪の場合には配管等が閉塞するという問題が生じる場合がある。また、最終的に得られた重合体粉体を回収する、もしくは重合体粉体を貯蔵する貯蔵庫等で、重合体粉体の流動性が低下したために、重合体粉体同士が結合して貯蔵庫内でブリッジが生成する等、その後の様々な処理が滞るという問題も発生する場合がある。
以上のような問題点を低減させる方法としては、[1]重合反応器に水を導入する方法(特許文献1)、[2]重合反応器に特定の気体を導入する方法(特許文献2)、[3]重合反応器に極性基を有する低分子化合物を導入する方法(特許文献3〜5)、[4]重合反応器に極性基を有する高分子化合物を導入する方法(特許文献6〜8)、[5]重合触媒に有機酸の金属塩を混合して重合反応器に導入する方法(特許文献9)、[6]重合触媒にポリマー粒子を混合して重合反応器に導入する方法(特許文献10)[7]重合触媒に無機化合物を混合して重合反応器に導入する方法(特許文献11〜13)、等が開示されている。また特許文献14には、諸成分の反応器への供給の不安定性の課題が開示されている。
特開平2−145608号公報 特開2010−261053号公報 特開2000−313717号公報 特表2002−540264号公報 特開2005−89580号公報 特表2002−544294号公報 特表2012−514685号公報 国際公開第2010/114069号 特表2007−291404号公報 特開平10−60037号公報 特表平1−501067号公報 特開平9−324008号公報 特開2007−39603号公報 特表2015−526583号公報
本発明者らの検討によれば、以上の各方法のうち、水、気体または極性基を有する低分子化合物を用いる方法では、触媒活性が低下し、触媒コストが増加するという問題があり、また、高分子化合物、無機化合物等の固体状化合物を用いる方法では、触媒活性の低下は抑制されるが、比較的過酷な条件による生産工程(例えば生産速度を高めた工程や大規模な生産工程)においてはファウリングの抑制が不十分な場合があることが分かった。そしてさらに検討を進めた結果、本発明者らは、このファウリングの問題は液状高分子化合物の粘度の高さもしくは固体状化合物の粉体性状により供給の安定性または重合器内での分散性が低下することがあるためではないかと言う考えに至った。
本発明はこのような新たな課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、オレフィン重合体の製造工程または貯蔵工程において重合体粉体の流動性が低下して塊等を発生することなく、長期的に安定して運転することができるオレフィン重合体の製造方法および流動性改良方法を提供することにある。
本発明は、以下の事項により特定される。
] オレフィン重合体の貯蔵工程における該オレフィン重合体の流動環境場に、固体成分(A)を供給するオレフィン重合体の流動性改良方法において、
該固体成分(A)が、アルミノケイ酸塩(A−1)、ハイドロタルサイト類(A−2)およびアクリル系樹脂微粒子(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含むことを特徴とするオレフィン重合体の流動性改良方法。
] 固体成分(A)の平均粒径が、0.1μm以上5μm以下である[]に記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
] 固体成分(A)の供給量が、流動環境場中におけるオレフィン重合体の質量に対して、0.5ppm以上500ppm以下である[]または[]に記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
] オレフィン重合体を構成するオレフィンが、エチレン単独、またはエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンである[]〜[]のいずれかに記載のオレフ
ィン重合体の流動性改良方法。
] オレフィン重合体が、気相重合工程を含む製造方法により得られた重合体である[]〜[]のいずれかに記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
] オレフィン重合体が、下記成分(x−1)、成分(x−2)および成分(x−3)を含んでなる固体触媒成分(X)を用いた製造方法により得られた重合体である[]〜[]のいずれかに記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
成分(x−1):シクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族の遷移金属化合物
成分(x−2):有機アルミニウムオキシ化合物
成分(x−3):粒子状担体
本発明によれば、オレフィン重合体の製造工程または貯蔵工程において重合体粉体の流動性が低下して塊等を発生することなく、長期的に安定して運転することができる。例えば、重合時にヒートスポットが発生し難く、重合体粉体が移動する配管や各種設備等でのデッドスペースにおいても優れた流動性を確保でき、重合体粉体からポリマー塊や、シート状物を生成することが無い。また、重合触媒と接触させた際の触媒活性低下が小さいため、経済的な重合体の製造も可能である。
本発明においては、オレフィン重合体の製造工程または貯蔵工程におけるオレフィン重合体の流動環境場に、特定の固体成分(A)を供給することによりそのオレフィン重合体の流動性を向上させる。
[固体成分(A)]
固体成分(A)は、以下に説明するアルミノケイ酸塩(A−1)、ハイドロタルサイト類(A−2)およびアクリル系樹脂微粒子(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分である。
(アルミノケイ酸塩(A−1))
アルミノケイ酸塩(A−1)は、ケイ酸塩中のケイ素原子の一部がアルミニウム原子に置換された構造を有する無機化合物であり、例えば、下記一般式(I)で表される化合物である。
O・Al・nSiO・mHO ・・・(I)
(一般式(I)中、Mはアルカリ金属2原子またはアルカリ土類金属1原子を示し、2種以上の原子が含まれていても良く、nはn≧1であり、mはm≧0である。)
としては、Li、Na、K、Ca、Mg等が挙げられる。
(ハイドロタルサイト類(A−2))
ハイドロタルサイト類(A−2)は、下記一般式(II)で表される層状の無機化合物である。
[MII2+ 1−xIII3+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−・・・(II)
(一般式(II)中、MII2+は2価の金属イオン、MIII3+は3価の金属イオン、An−は層間陰イオン、nはAn−の価数を示し、それぞれ2種以上のイオンが含まれていても良く、xは0<x<1であり、mは0≦m<1である。)
II2+(2価の金属イオン)としては、Mg2+、Zn2+等が挙げられ、MIII3+(3価の金属イオン)としては、Al3+、Fe3+等が挙げられ、An−(層間陰イオン)としては、塩素イオン(Cl)、炭酸イオン(CO 2−)、硝酸イオン(NO )等が挙げられる。ハイドロタルサイト類の表面処理の有無は特に限定されるものではなく、高級脂肪酸、高級アルコールの硫酸エステル、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル、リン酸エステルおよびアニオン系界面活性剤等の表面処理剤で処理された粒子を使用することができる。
(アクリル系樹脂微粒子(A−3))
アクリル系樹脂微粒子(A−3)は、主成分がポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、またはポリアクリロニトリルである微粒子である。具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリロニトリル等をモノマーとした単独重合体もしくは共重合体を主成分とする微粒子が挙げられる。共重合体におけるコモノマーとして、上記モノマーに加え、アクリル酸、メタクリル酸、ブタジエン、スチレン、酢酸ビニル等を用いることもできる。アクリル系樹脂微粒子の重合度や架橋の有無は特に限定されるものではない。
固体成分(A)の性状は、本発明の効果が認められる限り任意であるが、その平均粒径は好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.3μm以上4μm以下である。平均粒径が5μm以下の場合は、供給の安定性や重合体粉体への分散性が向上する傾向にあり、また重合体をフィルム成形した場合にフィッシュアイ等の外観不良が生じにくい傾向にある。平均粒径が0.1μm以上の場合は、固体成分(A)粒子同士の凝集が生じにくい傾向にあり、供給の安定性や重合体粉体への分散性が向上する傾向にある。
固体成分(A)の粒子形状は、分散性の観点から球状であることが好ましい。
固体成分(A)は、流動環境場中におけるオレフィン重合体の質量に対して、好ましくは0.5ppm以上500ppm以下、より好ましくは1ppm以上300ppmの量で存在するように流動環境場に連続的または間歇的に供給する。供給量が上記範囲内であれば、流動性の改良効果および経済性の双方の点で有利である。
固体成分(A)は複数の流動環境場に供給しても良い。流動環境場への供給方法は限定されず、例えば、炭化水素溶媒等の懸濁液として供給しても良く、後述する固体触媒成分(X)または予備重合触媒成分(XP)と固体成分(A)とを事前に混合し、その混合物を供給しても良い。また固体成分(A)は使用前に加熱、窒素流通等による脱気、脱水処理を施しても良い。
[オレフィン重合体]
流動環境場中に存在するオレフィン重合体としては、気相重合、溶液重合、懸濁重合等の液相重合といった公知の様々な方法で得られる重合体であれば良く、特に制限はない。オレフィン重合体の形態にも特に制限はないが、特に重合体粉体に本発明は好適に適用される。例えば気相重合で得られたそのままの重合体の粉体、また液相重合の後、液相から回収された重合体の粉体等に好適に適用される。
オレフィン重合体を構成するオレフィンの具体例としては、炭素原子数が2以上20以下のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン;および炭素原子数が3以上20以下の環状オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンが挙げられる。中でも、エチレン単独、またはエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンを用いることが好ましく、エチレンを100〜20mol%および炭素原子数が3以上20以下のα−オレフィンを0〜80mol%の範囲で用いることがより好ましく、エチレンを100〜20mol%および炭素原子数が4以上20以下のα−オレフィンを0〜80mol%の範囲で用いることが特に好ましい。
オレフィン重合体を構成するモノマーとしては、必要に応じてオレフィン以外のモノマーを併用しても良い。さらに、その重合体粉末は重合反応や成形時に有用な他の成分を含んでいても良い。
オレフィン重合体の重合条件は特に制限されないが、重合温度は、通常−50℃以上200℃以下、好ましくは0℃以上150℃以下であり、重合圧力は、通常常圧以上10MPa以下、好ましくは常圧以上5MPa以下である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに反応条件の異なる2種以上の条件で多段反応を行うこともできる。
液相重合において用いられる媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油等の石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、とりわけ、塩素化物、臭素化物等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。また、重合反応に供給されうる液化オレフィン自身を媒体として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
[オレフィン重合体の流動環境場]
オレフィン重合体の製造工程または貯蔵工程におけるオレフィン重合体の流動環境場としては、例えば、重合反応器およびこれに付属する配管、多段重合装置の重合反応器同士を連結する配管、得られた重合体を重合反応器から抜き出す抜き出しポットおよびこれに付属する配管、重合体の貯蔵庫およびこれに付属する配管、その他の重合体輸送用配管等の重合体が存在する空間が挙げられる。中でも、気相連続重合装置の重合反応器およびこれに付属する配管において、本発明は特に好適に適用される。
気相連続重合装置を用いてオレフィンを重合する方法としては、例えば、後述する固体触媒成分(X)等を用いて、気相流動床反応装置においてオレフィンを重合する方法がある。気相流動床反応装置を用いてオレフィンの重合を行うに際して、固体触媒成分(X)は、例えば触媒供給ラインを介して固体粉末状態で流動床反応器に供給される。ガス状のオレフィン等は、例えば供給ガスラインから連続的に供給され、循環ガスブロワーにより循環ガスラインを介して流動床反応器下方から多孔板等のガス分散板を介して吹き込まれる。これにより、流動床(反応系)は流動状態に保持される。このような固体触媒が流動状態に保持された流動床に吹き込まれたオレフィンは、ここで重合反応して重合体粉体(オレフィン重合体)が生成する。重合体粉体は、重合体排出ラインを介して流動床反応器から連続的に抜き出される。流動床を通過した未反応のガス状のオレフィン等は、流動床反応器上方に設けられた減速域で減速されて排出ガスラインから流動床反応器外に排出され、熱交換器において重合熱が除去されて循環ガスラインから再び流動床に循環される。水素のような分子量調節剤は、気相流動床反応装置の任意の場所、例えば供給ガスラインから供給することができる。
このような気相流動床反応装置を用いたオレフィン重合体の製造工程に本発明を適用する場合は、固体成分(A)は気相流動床反応装置の任意の場所、例えば流動床反応器、供給ガスライン、循環ガスライン、排出ガスラインに供給することができる。
以上説明した流動環境場に固体成分(A)を添加することで、オレフィンの重合体の流動性が向上し、ポリマー塊を生成したり、配管等が閉塞したりすることがなくなる。しかも触媒活性の低下や、得られたオレフィン重合体の物性等への影響がほとんどない。
[固体触媒成分(X)]
例えば気相連続重合装置等による重合反応で用いられる固体触媒成分(X)としては、例えば、周期表第4〜10族から選ばれる遷移金属化合物が粒子状担体等に担持された遷移金属化合物触媒成分、チーグラーナッタ触媒等の固体状チタン触媒成分、フィリップス触媒等の固体状クロム触媒成分が挙げられる。
特に本発明は、下記成分(x−1)、成分(x−2)および成分(x−3)を含んでなる固体触媒成分(X)を用いる場合に好適に適用される。
成分(x−1):シクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族の遷移金属化合物
成分(x−2):有機アルミニウムオキシ化合物
成分(x−3):粒子状担体
(成分(x−1))
成分(x−1)は、シクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族の遷移金属化合物であり、下記一般式(III)で表される。
MLx ・・・(III)
(一般式(III)中、Mは、周期表第4族の遷移金属であり、Lは遷移金属に配位する中性またはアニオン性配位子であり、xはLの個数を示し、遷移金属の原子価を満たす数であり、xが2以上のときは複数のLは互いに同一でも異なっていてもよい。)
Mの具体例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムが挙げられる。
Lの具体例としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子、もしくは、ホウ素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、ハロゲン、水素等の原子で電荷の状態が中性またはアニオンの形式で結合する配位子が挙げられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えばシクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基が挙げられる。ホウ素で結合する配位子としては、例えばアルキルボラン、アリールボラン、アルキルボレート、アリールボレート、ボラベンゼンが挙げられる。
炭素で結合する配位子としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基;ベンジル、ネオフィル等のアラルキル基;共役ジエン化合物残基;π−アリール等が挙げられる。
窒素で結合する配位子としては、例えばアミノ、アミド、スルホンアミド、イミド、イミノアミジン、イミダゾール、アミデート、イミデートが挙げられる。
酸素で結合する配位子としては、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリーロキシ基;p−トルエンスルホナト、メタンスルホナト、トリフルオロメタンスルホナト等のスルホナト基;カルボニル、エステル、カルボキシル、オキシム、ケトアルコキシ等が挙げられる。
リンで結合する配位子としては、例えばフォスフィン、フォスファイト、フォスフェート等が挙げられる。
硫黄で結合する配位子としては、例えばスルフィド、チオケトン、チオケトエステル、チオフェノキシド、チオカルボンキシル、ジチオカルバメート等が挙げられる。
ハロゲンとしては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
なお配位子中の水素原子は炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基等で置換されていてもよい。xが2以上の場合はL同士が炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる2価の基で架橋されていてもよい。
一般式(III)で表される化合物の中では、少なくとも1つのLがシクロペンタジエニル骨格を有する配位子が好ましい。そのような成分(x−1)としては、下記の化合物を例示できる。ただし成分(x−1)は、例示した化合物に限定されるものではない。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−エチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジーp−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−シクロヘキシル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−アセナフトシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド。
上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2−および1,3−置換体を含み、三置換体は1,2,3−および1,2,4−置換体を含み、プロピル、ブチル等のアルキル基は、n−、i−、sec−、tert−等の異性体を含む。またジルコニウムをチタンまたはハフニウムに置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
シクロペンタジエニル骨格以外の配位子を有する成分(x−1)としては、特開平11−315109号公報、Chem. Rev. 2003, 103, 283−315等に例示されている遷移金属化合物を用いることもできる。
以上の各遷移金属化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
(成分(x−2))
成分(x−2)は、有機アルミニウムオキシ化合物であり、トリアルキルアルミニウムまたはトリシクロアルキルアルミニウムから調製された有機アルミニウムオキシ化合物が好ましく、トリメチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムから調製されたアルミノキサンが特に好ましい。アルミノキサンは少量の有機金属成分を含有しても良い。
これら有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
(成分(x−3))
成分(x−3)は、粒子状担体であり、具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等、もしくはこれらを含む混合物、例えばSiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgO等の無機酸化物、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の高分子化合物を挙げることができる。
また、特開平11−140113号公報、特開2000−38410号公報、特開2000−95810号公報、国際公開第2010/55652号等に記載された方法で、上記成分(x−2)を不溶化させて得られる固体成分を成分(x−3)として用いることもできる。この場合、成分(x−2)は必須ではない。
成分(x−3)の性状は何ら限定されるものではないが、その平均粒径は1μm以上300μm以下が好ましく、10μm以上200μm以下がより好ましい。
成分(x−3)として無機酸化物を用いる場合、その細孔容積は0.3cm/g以上30cm/g以下が好ましい。細孔容積が上記範囲より小さい場合は、得られる重合体をフィルム成形した場合にフィッシュアイ等の外観不良を生じる場合があり、上記範囲より大きい場合は、破砕が起きやすく固体触媒ならびに重合体の性状を悪化させる場合がある。このような無機酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
(成分(x−4))
固体触媒成分(X)は、以上説明した成分(x−1)〜(x−3)以外の成分、例えば以下に説明する成分(x−4)を必要に応じて含んでいても良い。成分(x−4)は、下記一般式(IV)で表される有機アルミニウム化合物である。
RamAl(ORb)nHpRcq・・・(IV)
(一般式(IV)中、RaおよびRbは、それぞれ独立に、炭素原子数が1以上15以下の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Hは水素原子を示し、Rcはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の整数であり、かつm+n+p+q=3である。)
一般式(IV)で示される有機アルミニウム化合物としては、下記の化合物を例示することができる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジヒドロフェニルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジシクロヘキシルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ノニルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソプロピルアルミニウムメトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイド、等のジアルキルアルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
このような有機アルミニウム化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
[固体触媒成分(X)の調製]
固体触媒成分(X)は、例えば、上記成分(x−1)、成分(x−2)、成分(x−3)を混合接触させることにより調製することができる。各成分の接触順序は任意に選ばれるが、成分(x−2)と成分(x−3)を混合接触させた後に、成分(x−1)と混合接触させることが好ましい。
固体触媒成分(X)の調製に用いられる溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。
固体触媒成分(X)の調製に際して、成分(x−1)は、遷移金属原子換算で、成分(x−3)1g当たり、通常0.001mmol以上1.0mmol以下、好ましくは0.005mmol以上0.5mmol以下の量で用いられ、成分(x−2)は、アルミニウム原子換算で、通常0.1mmol以上100mmol以下、好ましくは0.5mmol以上20mmol以下の量で用いられる。
また必要に応じて成分(x−4)を、アルミニウム原子換算で、成分(x−3)1g当り、通常0.001mmol以上1000mmol以下、好ましくは2mmol以上500mmol以下の量で用いることができる。
上記各成分を混合接触させる際の温度は、通常−50℃以上150℃以下、好ましくは−20℃以上120℃以下であり、接触時間は1分以上1000分以下、好ましくは5分以上600分以下である。
[予備重合触媒成分(XP)の調製]
本発明では、上記固体触媒成分(X)をそのまま用いても良いし、固体触媒成分(X)にオレフィンを予備重合させ、予備重合触媒成分(XP)を形成してから用いても良い。
予備重合に用いられるオレフィンとしては、例えば、エチレンおよび炭素原子数が3以上8以下のα−オレフィンが挙げられる。炭素原子数が3以上8以下のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。これらのオレフィンは二種以上を用いて共重合させても良く、また一種以上のオレフィンで予備重合した後に、他のオレフィンを用いてさらに予備重合しても良い。
予備重合量は、固体触媒成分(X)1g当たり0.3g以上200g以下であることが好ましい。予備重合を行う際の温度は、通常−20℃以上80℃以下、好ましくは0℃以上60℃以下であり、予備重合時間は、通常0.5時間以上100時間以下、好ましくは1時間以上50時間以下である。
予備重合の相状態には特に制限は無いが、液相重合が好ましく採用される。液相重合時の好ましい溶媒としては、固体触媒成分(X)の調製に用いられる溶媒と同様のものが挙げられる。またα−オレフィン自身を溶媒として用いても良く、これらの混合物を用いても良い。
予備重合の際には、必要に応じて成分(x−4)を、アルミニウム原子換算で、固体触媒成分(X)1g当たり、通常0.01mmol以上100mmol以下、好ましくは0.1mmol以上50mmol以下の量で用いることができる。
液相中で調製した予備重合触媒成分(XP)は、懸濁液のまま重合反応器に導入しても良いし、乾燥等により溶媒を除去した後に固体粉末状態で重合反応器に導入しても良い。
なお本発明で用いられる固体触媒成分(X)および予備重合触媒成分(XP)は、上記各成分以外にも重合反応に有用な他の成分を含むことができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<(1)重合体粉体の調製>
〔調製例1〕固体触媒成分(X−1)の調製
特開2000−327707号公報に開示された方法で合成した。具体的には、250℃で10時間乾燥した平均粒径70μm、細孔容積1.3cm/gのシリカゲル(成分(x−3)10kgを、154Lのトルエンに懸濁した後、0℃まで冷却した。その後、この懸濁液に、メチルアミノキサン(成分(x−2))のトルエン溶液(Al=1.52mol/L)50.5Lを1時間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜5℃の範囲に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法により除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100Lで再懸濁し、全量を160Lとした。
このようにして得られた懸濁液に、ビス(1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(成分(x−1))のトルエン溶液(Zr=25.7mmol/L)22.0Lを80℃で30分間かけて滴下し、さらに80℃で2時間反応させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより固体触媒成分(X−1)を得た。
〔調製例2〕重合体粉体の調製
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブにn−ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレンで置換した後、1−へキセン20mL、調製例2の固体触媒成分(X−1)130mg(固体質量)を投入し、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを導入することにより重合を開始した。その後、連続的にエチレンを供給しながら圧力を0.78MPaに保ち、90分間重合を行った。重合終了後、脱圧し、重合体をろ過し、80℃で10時間真空乾燥し、エチレン系重合体の重合体粉体203gを得た。得られた重合体のメルトフローレート(MFR)は0.20g/10min、真密度は927g/L、嵩密度は400g/Lであった。これら物性の測定方法は以下のとおりである。
メルトフローレート(MFR):ASTM D1238−89に従い、190℃、2.16kg加重の条件下で測定した。
真密度:JIS K7112に従い、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置し、密度勾配配管法で測定した。
嵩密度:ASTM D1895−96 A法に従い測定した。
<(2)重合体粉体を用いた流動性評価>
〔比較例1〕
充分に窒素置換した内容積200mLの攪拌機付きステンレス製反応器に、調製例2の重合体粉体10.0gを装入し、80℃のオイルバスで加熱しながら150rpmで重合体粉体を30分撹拌した。その後、撹拌を止め、反応器を傾けて重合体粉体を回収し、質量を測定したところ7.7gであった。反応器内部の状況を確認すると、回収されなかった重合体粉体が反応器壁や撹拌羽根に静電付着していた。
〔実施例1〕
充分に窒素置換した内容積200mLの攪拌機付きステンレス製反応器に、調製例2の重合体粉体10.0gを装入し、80℃のオイルバスで加熱しながら150rpmで重合体粉体の撹拌を開始した。1分後に、固体成分(A)として、アルミノケイ酸塩(A−1)であるシルトン(登録商標)JC−50(平均粒径=4μm、水澤化学工業社製)のヘキサン懸濁液(10g/L)を0.10mL(重合体粉体に対する固体成分(A)の添加量の質量比=100ppm)を添加し、さらに80℃で30分撹拌した。その後、撹拌を止め、反応器を傾けて重合体粉体を回収し質量を測定したところ9.9gであった。反応器内部の状況を確認すると、重合体粉体の反応器壁や撹拌羽根への付着はほぼ認められなかった。
〔実施例2〜8〕
固体成分(A)の種類および添加量の質量比を表1に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の条件で重合体粉体を撹拌し、撹拌後に回収した重合体粉体の質量を測定した。結果を表1に示す。反応器内部の状況を確認すると、いずれも重合体粉体の反応器壁や撹拌羽根への付着はほぼ認められなかった。
〔比較例2〜5〕
固体成分(A)の種類および添加量の質量比を表1に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の条件で重合体粉体を撹拌し、撹拌後に回収した重合体粉体の質量を測定した。結果を表1に示す。比較例2〜5では、いずれも実施例1〜8に比べ回収した重合体粉体が少なかった。反応器内部の状況を確認すると、いずれも重合体粉体が反応器壁や撹拌羽根に静電付着していることが認められた。
Figure 0006882882
(A−1):アルミノケイ酸塩(シルトン(登録商標)JC−50、平均粒径=4μm、化学組成=pCaO・qNaO(p+q=1)・Al・3.0〜3.9SiO・mHO、水澤化学工業社製)
(A−2a):ハイドロタルサイト類(DHT(登録商標)−4A、平均粒径=0.5μm、化学組成=[Mg2+ 0.68Al3+ 0.32(OH)][CO 2− 0.16・mHO]、ステアリン酸表面処理、協和化学工業社製)
(A−2b):ハイドロタルサイト類(DHT(登録商標)−4C、平均粒径=0.4μm、化学組成=[Mg2+ 0.68Al3+ 0.32(OH)][CO 2− 0.16・mHO]、協和化学工業社製)
(A−3):アクリルパウダー(アートパール(登録商標)J5P、平均粒径=3μm、主成分=架橋ポリメタクリル酸メチル、根上工業社製)
(A−4):シリカゲル(サイリシア(登録商標)530、平均粒径=3μm、富士シリシア化学社製)
(A−5):疎水化処理シリカ(サイロホービック(登録商標)505、平均粒径=4μm、富士シリシア化学社製)
<(3)気相流動床重合装置を用いた重合安定性評価>
〔調製例3〕予備重合触媒成分(XP−1)の調製
特開2000−327707号公報に開示された方法で合成した。具体的には、充分に窒素置換した内容積350Lの反応器に、調製例1の固体触媒成分(X−1)を固体分として7.0kgとヘキサンを装入し、全容積を285Lにした。系内を10℃まで冷却した後、エチレンを8Nm/hの流量で5分間ヘキサン中に吹き込んだ。この間、系内の温度は、10〜15℃に保持した。その後、エチレンの供給を停止し、トリイソブチルアルミニウムを2.4molおよび1−ヘキセンを1.2kg装入した。系内を密閉系にした後、8Nm/hの流量でエチレンの供給を再度開始した。15分後、エチレンの流量を2Nm/hに下げ、系内の圧力を0.08MPaにした。この間に、系内の温度は35℃まで上昇した。その後、系内の温度を32〜35℃に調節しながら、エチレンを4Nm/hの流量で3.5時間供給した。この間、系内の圧力は0.07〜0.08MPaに保持されていた。次いで、系内を窒素により置換を行った後、上澄み液を除去しヘキサンで4回洗浄した。
次に、充分に窒素置換した内容積43Lの撹拌機付き蒸発乾燥機に移送し、乾燥機内を約60分かけて−68kPaまで減圧し、−68kPaに到達したところで約4.3時間乾燥しヘキサンおよび予備重合触媒成分中の揮発分を除去した。その後、さらに−100kPaまで減圧し、−100kPaに到達したところで8時間乾燥し、固体触媒成分(X−1)1g当たり3gのポリマーが予備重合された予備重合触媒成分(XP−1)を得た。
〔調製例4〜9〕予備重合触媒成分(XP−1)と固体成分(A)の混合
充分に窒素置換した内容積500mLのデュラン瓶に、調製例3の予備重合触媒成分(XP−1)150gと表2に記載の種類と量の固体成分(A)とを装入した。蓋を閉めた後、デュラン瓶を回転させることで予備重合触媒成分(XP−1)と固体成分(A)とを十分に混合し、予備重合触媒成分(XP−1)と固体成分(A)の混合物を調製した。なお固体成分(A)は、デュラン瓶に装入する前に窒素流通下で10時間以上室温にて保管した。
Figure 0006882882
〔比較例6〕
気相流動床重合装置を用いて、エチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。重合圧力を2.0MPa、重合温度を80℃とし、調製例3の予備重合触媒成分(XP−1)を3.5g/hrで重合反応器内に連続的に供給した。重合反応器内の重合体の質量が24kg、ガス組成が、エチレン分圧=1.5MPa、水素/エチレン=0.00048mol比、1−ヘキセン/エチレン=0.024mol比、となるようにエチレン、水素、1−ヘキセン、窒素を連続的に供給し、5.0kg/hrでエチレン系重合体の重合体粉体を重合反応器から連続的に抜出した。
この重合工程においては、24時間以内に重合反応器等でヒートスポットの発生が認められ、運転が継続できなくなった。得られた重合体のメルトフローレート(MFR)は3.8g/10min、真密度は917g/L、嵩密度は360g/Lであった。
〔実施例9〕
気相流動床重合装置を用いて、エチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。重合圧力を2.0MPa、重合温度を80℃とし、調製例4の予備重合触媒成分(XP−1)と固体成分(A)の混合物を3.5g/hrで重合反応器内に連続的に供給した。重合反応器内の重合体の質量が24kg、ガス組成が、エチレン分圧=1.5MPa、水素/エチレン=0.00048mol比、1−ヘキセン/エチレン=0.024mol比、となるようにエチレン、水素、1−ヘキセン、窒素を連続的に供給し、5.0kg/hrでエチレン系重合体の重合体粉体を重合反応器から連続的に抜出した。
この時の重合体粉体に対する固体成分(A)の供給量の質量比(計算値)は、14ppmである。24時間以上運転を継続したが、重合反応器や配管等、全ての箇所にヒートスポットの発生は見られず、安定した重合が実施できた。得られた重合体のメルトフローレート(MFR)は3.6g/10min、真密度は916g/L、嵩密度は360g/Lであった。
〔実施例10〜13〕
予備重合触媒成分(XP−1)と固体成分(A)の混合物の種類および供給量を表3に記載のとおり変更した以外は、実施例9と同様の条件でエチレン系重合体の重合体粉体を製造した。24時間以上運転を継続したが、重合反応器や配管等、全ての箇所にヒートスポットの発生は見られず、安定した重合が実施できた。
〔比較例7〕
予備重合触媒成分(XP−1)と固体成分(A)の混合物の種類および供給量を表3に記載のとおり変更した以外は、実施例9と同様の条件でエチレン系重合体の重合体粉体を製造した。24時間以内に重合反応器等でヒートスポットの発生が認められ、運転が継続できなくなった。
Figure 0006882882
〔比較例8〕
気相流動床重合装置を用いて、エチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。重合圧力を2.0MPa、重合温度を80℃とし、調製例3の予備重合触媒成分(XP−1)を5.0g/hr、固体成分(A)の代わりにヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドであるケミスタット(登録商標)2500(三洋化成工業社製)を0.13g/hrで重合反応器内に連続的に供給した。重合反応器内の重合体の質量が24kg、ガス組成が、エチレン分圧=1.5MPa、水素/エチレン=0.00048mol比、1−ヘキセン/エチレン=0.024mol比、となるようにエチレン、水素、1−ヘキセン、窒素を連続的に供給し、5.0kg/hrでエチレン系重合体の重合体粉体を重合反応器から連続的に抜出した。
この時の重合体粉体に対するヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドの供給量の質量比(計算値)は、26ppmである。24時間以上運転を継続したが、重合反応器や配管等、全ての箇所にヒートスポットの発生は見られず、安定した重合が実施できた。しかし、実施例9〜13と同じ質量の重合体粉体を製造するためには、より多くの予備重合触媒成分(XP−1)を供給する必要があった。これは触媒活性が低下したためと考えられる。
得られた重合体のメルトフローレート(MFR)は3.7g/10min、真密度は917g/L、嵩密度は340g/Lであった。
本発明によれば、オレフィン重合体の製造工程または貯蔵工程において優れた流動性を確保できるため、ポリマー塊やシート状物を生成することがなく、長期間の安定運転を可能にする方法として有用である。また、重合触媒と接触させた際の触媒活性低下が小さいので、経済的な重合体の製造も可能にする方法として有用である。

Claims (6)

  1. オレフィン重合体の貯蔵工程における該オレフィン重合体の流動環境場に、固体成分(A)を供給するオレフィン重合体の流動性改良方法において、
    該固体成分(A)が、アルミノケイ酸塩(A−1)、ハイドロタルサイト類(A−2)およびアクリル系樹脂微粒子(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含むことを特徴とするオレフィン重合体の流動性改良方法。
  2. 固体成分(A)の平均粒径が、0.1μm以上5μm以下である請求項に記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
  3. 固体成分(A)の供給量が、流動環境場中におけるオレフィン重合体の質量に対して、0.5ppm以上500ppm以下である請求項またはに記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
  4. オレフィン重合体を構成するオレフィンが、エチレン単独、またはエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンである請求項のいずれかに記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
  5. オレフィン重合体が、気相重合工程を含む製造方法により得られた重合体である請求項のいずれかに記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
  6. オレフィン重合体が、下記成分(x−1)、成分(x−2)および成分(x−3)を含んでなる固体触媒成分(X)を用いた製造方法により得られた重合体である請求項のいずれかに記載のオレフィン重合体の流動性改良方法。
    成分(x−1):シクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族の遷移金属化合物
    成分(x−2):有機アルミニウムオキシ化合物
    成分(x−3):粒子状担体
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