以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る混雑度報知システムについて説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態に係る混雑度報知システム100は、駅のホームF1に配置される検出部30と、次駅のホームF2に配置される報知部40とを備える。検出部30は、次駅に向かう列車Tの単位長さ区間としての1車両区間を検出する区間検出と、各々の1車両区間における乗客の混雑度を検出する混雑度検出を行う。報知部40は、検出部30から区間検出と混雑度検出の結果を取得することにより、1車両区間別に混雑度を報知する。
検出部30は、距離を計測する計測部10と、計測部10から距離の計測値の時系列データを取得し、その時系列データを用いて区間検出と混雑度検出とを行い、それらの検出結果を報知部40に出力する処理部20と、を有する。
計測部10は、ホームF1側から線路R側に向けて、波動としての電磁波であるレーザ光Lを出射し、レーザ光Lの出射位置から反射位置までの距離を計測する。具体的には、計測部10は、TOF(Time Of Flight)方式で、レーザ光Lを出射した時刻から、対象物で反射され、同じ光路に沿って戻ってきたレーザ光Lを受光した時刻までの経過時間によって、レーザ光Lの出射位置から反射位置までの距離を計測する。
なお、レーザ光Lの出射位置から反射位置までの距離を計測することは、その反射位置の座標を計測することと等価である。ここで座標とは、レーザ光Lの出射位置に対する反射位置の相対座標を意味する。
図2に、計測部10の具体的な構成を示す。計測部10は、上記TOF方式で距離を計測するレーザ距離計11と、レーザ距離計11から出射されるレーザ光Lを、車両Cの高さ方向に繰り返し往復走査させる走査機構12とを有する。
計測部10は、支柱Hに設けられている。レーザ距離計11は、車両Cの側面の窓や乗降扉に設けられた可視光透過ガラスWと対面する高さに配置されている。
レーザ距離計11から出射されるレーザ光Lは、可視光透過ガラスWを透過し、車両Cの外面(但し、可視光透過ガラスWを除く)、車両C内の客室の内面、乗客の身体、及び車両C同士を連結する連結部等で反射する波長を有する。
図1に戻り、計測部10の上記走査機構12は、レーザ光Lを、列車Tの進行方向と交差する仮想平面S内で、列車Tの高さ方向(図1では紙面に垂直な方向)に周期的に往復するように走査させる。
レーザ光Lを走査させている仮想平面Sを列車Tが通過することにより、計測部10は、列車Tの仮想平面Sと交差する複数点の座標を計測できる。この結果、処理部20は、計測部10の計測結果を用いて、列車Tの外面及び各車両Cの内部の、ホームF1側に面する部分の形状を特定でき、その形状によって、1車両区間を識別できると共に、各々の1車両区間の混雑度を検出できる。
図3を参照し、具体的に説明する。レーザ光Lを仮想平面S内で走査させることで、レーザ光Lの入射位置が、列車Tの仮想平面Sと交差する断面の輪郭Dに沿って移動する。これにより、計測部10は、輪郭D上の複数点の座標を計測する。その計測結果は、輪郭Dに沿う2次元形状を表す。
列車Tの進行に伴い、計測部10で2次元形状を計測する輪郭Dが、図3(A)〜(E)の順に推移する。こうして、計測部10は、列車Tの長さ方向に関して複数の輪郭Dの各々の2次元形状を計測する。それら2次元形状の集合によって、処理部20は、列車Tの3次元形状を把握できる。
なお、図3では、理解を容易にするために、図3(A)〜(E)間で、列車Tの進行方向の位置を揃えた。実際には、静止した仮想平面Sに対して、列車Tが移動する。
また、図3(A)、(C)、及び(D)に示すように、レーザ光Lは、車両C側面の可視光透過ガラスWを透過するため、車両C内の乗客Aや客室の内面にも入射する。この結果、処理部20は、乗客Aの身体を含む車両C内部の3次元形状も把握できる。
図4に、計測部10の検出結果によって処理部20が把握可能な3次元形状を模式的に示す。処理部20は、列車Tの3次元形状の中からパターン認識によって連結部Jを検出することにより、1車両C区間を特定する。また、処理部20は、車両Cの内部の3次元形状によって、近接した複数の乗客Aの各々の存在を特定できる。
なお、計測部10は、必ずしも乗客A及びBの詳細な形状を計測しなくてもよく、乗客Aの身体における高さの異なる複数の位置までの距離を計測可能な条件で、レーザ光Lを車両C内に入射させればよい。その場合でも、処理部20は、計測部10の計測結果によって、近接した複数の乗客A及びBの各々を識別しうる。
以下、図2に戻って、具体的に説明する。図2には、図1に示す仮想平面Sに沿った車両Cの断面を示している。
図2に示すように、走査機構12は、車両C内で立っている乗客Aの身体の高さの異なる複数の位置、具体的には、座っている乗客Bの頭部よりも高い位置P5及びP6と、座っている乗客Bと対面する高さの位置P7〜P9と、を含む複数の位置までの距離を計測可能な条件で、レーザ光Lを走査させる。
具体的には、レーザ距離計11の計測の時間分解能が5[ms]、列車Tの進行速度が60[km/h]である場合、走査機構12によるレーザ光Lの走査速度が、車両C内の位置で60[m/s]であれば、列車Tの進行方向(図2では紙面に垂直な方向)に30cm程度の間隔で、高さ方向に分布するP1〜P13の各点にレーザ光Lを入射させることが可能である。車両C内の身長150cm以上の乗客Aに対しては、高さ方向に30cm間隔で、P5〜P9の5点以上の測定が可能である。
レーザ距離計11は、レーザ光Lが入射した各点の極座標値(θ,d)を計測する。ここでθは、走査機構12によるレーザ光Lの走査角度を表し、dは、レーザ光Lの出射位置から反射位置までの距離を表す。なお、レーザ距離計11又は処理部20は、この極座標値を直交座標値に座標変換してもよい。
この場合、立っている乗客Aと、座っている乗客Bとが、列車Tの進行方向(図2では、紙面に垂直な方向)に、重なりを有していても、処理部20は、乗客AとBを区別できる。この理由について以下説明する。
処理部20は、レーザ距離計11で計測された位置P5〜P7の座標が、車両CにおけるホームF1とは反対側の側面よりも車両Cの内部側に位置することにより、立っている乗客Aの存在を把握できる。
また、立っている乗客Aの下半身の位置P8、P9に向かって伝播するレーザ光Lは、それぞれ座っている乗客Bの上半身の位置P8’、P9’に入射する。レーザ距離計11は、位置P8’及びP9’の各々からの反射光を受光することで、位置P8’及びP9’の座標を計測する。
処理部20は、車両Cの幅方向(図2では左右方向)に関して、レーザ光Lの出射位置から位置P8’及びP9’の各々までの距離と、レーザ光Lの出射位置から位置P5〜P7の各々までの距離との相違により、位置P8’及びP9’が乗客Aの身体上に配置されたものでないことを把握できる。このため、処理部20は、座っている乗客Bを、立っている乗客Aと区別できる。
このように、複数の乗客が車両C内で近接し、列車の進行方向に重なりを有していても、処理部20は、車両Cの幅方向に関するレーザ距離計11から各乗客までの距離の相違によって、各乗客を区別できる。
なお、処理部20は、位置P1、P2、P11、P12、及びP13の座標が同じ線上に分布することから、これらが車両Cの側面上の位置を表すことを把握できる。また、処理部20は、位置P3及びP4が同じ線上に分布することから、これらが車両C内の天井の位置を表すことを把握できる。
また、車両C内に乗客が居ない場合、計測部10は、車両Cの内面形状を計測する。車両Cの内面形状は既知であるため、処理部20は、車両C内に乗客が居ないことを検出できる。また、レーザ光Lが、車両Cの一方の側面の可視光透過ガラスWと、列車Tの幅方向に対向する他方の側面の図示せぬ可視光透過ガラスとの双方を透過して、車両C外に射出することもありうる。この場合、車両Cの全幅を超える距離の計測値が得られるので、処理部20は、それら可視光透過ガラスの存在を把握できる。
以下、図5を参照し、処理部20の構成について詳細に説明する。
図5(A)に示すように、処理部20は、不揮発性の記憶媒体で構成され、区間別混雑度検出処理の手順を規定した区間別混雑度検出プログラム21aを記憶する記憶部21と、揮発性の記憶媒体で構成されるRAM(Random Access Memory)22と、外部機器とのデータ通信を担う通信I/F(interface)23と、区間別混雑度検出プログラム21aを実行するCPU(Central Processing Unit)24とがバス25で接続された構成をもつ。
図5(B)は、CPU24が実現する機能を表すブロック図である。CPU24は、区間別混雑度検出プログラム21aを実行することで、計測部10から計測結果を取得する取得部241、計測部10の計測結果を用いて1車両区間を検出する区間検出部242、計測部10の計測結果を用いて1車両区間の混雑度を検出する混雑度検出部243、及び1車両区間別に混雑度の検出結果を出力する出力部244、として機能する。
取得部241は、通信I/F23を介して、計測部10から距離の計測値の時系列データを取得する。
区間検出部242は、取得部241で取得した時系列データのうち、列車の外面で反射したレーザ光Lで計測された外面計測データを用いて、列車Tの3次元形状の中からパターン認識によって連結部Jを特定することにより、1車両区間を検出する。
混雑度検出部243は、取得部241で取得した時系列データのうち、可視光透過ガラスWを透過して車両C内に入射したレーザ光Lで計測された列車内部計測データを用いて、1車両区間における乗客の混雑度を検出する。具体的には、混雑度検出部243は、まず、列車内部計測データが表す車両Cの内部の3次元形状によって、1車両区間に存在する乗客数をカウントする。この際、混雑度検出部243は、図2に示したように、位置P5〜P7までの距離と、位置P8’及びP9’までの距離との相違により、乗客AとBを区別できる。次に、混雑度検出部243は、カウントした乗客数から乗車率を求め、乗車率を複数段階的に評価した結果をもって混雑度の検出結果とする。
出力部244は、区間検出部242によって検出された1車両区間別に、混雑度検出部243による混雑度の検出結果を、通信I/F23を介して、報知部40に出力する。
図6を参照し、以下、処理部20を構成する上記各部241〜244によって行われる区間別混雑度検出処理について具体的に説明する。取得部241によって、計測部10から距離の計測値の時系列データを取得しつつ、以下の処理が実行される。
前提として、区間検出部242は、車両が何両目であるかを表す整数型変数nに初期値として1を代入しているものとする(ステップS11)。
区間検出部242は、取得部241で取得中の時系列データを監視しており、その時系列データ中の計測値の変動によって、列車Tの先頭車両Cの到来を検出するまで待機する(ステップS12)。
区間検出部242によって先頭車両Cの到来が検出されると(ステップS12;YES)、混雑度検出部243は、取得部241で取得中の時系列データ中に、可視光透過ガラスWを通して車両Cの内部形状を計測した結果を表す列車内部計測データが存在するか否かを判定する(ステップS13)。
混雑度検出部243は、パターン認識によって、取得部241で取得中の時系列データの中から列車内部計測データを検出するまで待機する(ステップS13)。混雑度検出部243は、列車内部計測データを検出すると(ステップS13;YES)、乗客数をカウントする(ステップS14)。
図4を参照し、混雑度検出部243が列車内部計測データの存在を検出できる理由を説明する。車両Cの、可視光透過ガラスW以外の外面は、滑らかな形状をなす。計測部10はこの滑らかな形状を計測する。一方、レーザ光Lは可視光透過ガラスWを透過するため、可視光透過ガラスWの面内領域で、計測部10の計測結果が急峻に変動する。この急峻な変動によって、混雑度検出部243は、列車内部計測データの存在を検出できる。
また、混雑度検出部243は、列車内部計測データが表す3次元形状によって、車両C内の各乗客を識別でき、従って乗客数をカウントできる。具体的には、図2を参照して説明したように、混雑度検出部243は、位置P5〜P7までの距離と、位置P8’及びP9’までの距離との相違により、乗客AとBを区別できる。このように、近接する複数の乗客の各々も区別してカウントできる。
図6に戻り、次に、区間検出部242が、列車Tの末尾車両Cが通過したか否かを判定する(ステップS15)。なお、区間検出部242は、取得部241で取得中の時系列データ中の計測値が、車両Cの全幅を超える値に安定して収束したことをもって、末尾車両Cの通過を検出できる。
区間検出部242は、末尾車両Cが通過していなければ(ステップS15;NO)、パターン認識によって、連結部Jを検出したか否かを判定する(ステップS16)。区間検出部242が連結部Jを検出しない場合は(ステップS16;NO)、ステップS13に戻る。
図4を参照し、区間検出部242が連結部Jを検出できる理由を説明する。連結部Jの頂部は、車両Cの頂部よりも低い。区間検出部242は、取得部241で取得中の時系列データ中の列車Tの外面形状を表す外面計測データにおいて、頂部が車両Cの頂部よりも低い部分を表す計測結果が、列車の進行方向に或る期間継続することをもって、連結部Jを検出できる。また、連結部Jは、計測部10からみて、車両Cの側面よりも奥方に位置する。このことも、区間検出部242による連結部Jの検出に寄与する。
図6に戻り、区間検出部242によって連結部が検出されると(ステップS16;YES)、混雑度検出部243が、n両目の車両Cについてのそれまでの乗客のカウント数によって、混雑度を判定する(ステップS17)。
具体的には、混雑度検出部243は、1つの車両Cの既知の定員に対する上記カウント数の割合で定義される乗車率を求め、求めた乗車率の値を4段階評価する。即ち、混雑度検出部243は、判定結果として、乗車率が0%以上25%未満、25%以上50%未満、50%以上75%未満、又は75%以上のいずれであるかを判定する。その判定結果をもって混雑度の検出結果とする。
次に、出力部244が、n両目の車両Cに対する判定結果であることが分かる態様で、混雑度検出部243による混雑度の判定結果を、報知部40に出力する(ステップS18)。これにより、次駅では、報知部40によって客に対して混雑度の報知がなされる。
その後、区間検出部242が、整数型変数nの値を1だけインクリメントし(ステップS19)、ステップS13に戻る。
また、ステップS15で、区間検出部242によって末尾車両Cの通過が検出された場合は(ステップS15;YES)、同様にして、混雑度検出部243が、末尾車両Cについてのそれまでの乗客のカウント数によって混雑度を検出する(ステップS20)。
そして、出力部244が、末尾車両Cに対する判定結果であることが分かる態様で、混雑度検出部243の判定結果を報知部40に出力し(ステップS21)、本処理を終了する。
図7に、報知部40の構成を示す。報知部40は、次駅のホームF2における各車両Cの到着位置毎に配置される文字情報表示器41及び発光器42を有する。文字情報表示器41は、ホームF2の軌道側の縁に沿って配置される可動ホーム柵の戸袋Pに設けられ、発光器42は、戸袋Pに出入可能なドアGの開閉部分に跨がって設けられる。
文字情報表示器41は、それが設けられている位置に到着する車両Cに対する混雑度検出部243の混雑度の検出結果を文字情報として報知する。具体的には、文字情報表示器41は、その位置に到着する車両Cの乗車率が、0%以上25%未満、25%以上50%未満、50%以上75%未満、又は75%以上のいずれであるかを表示する。
発光器42は、それが設けられている位置に到着する車両Cに対する混雑度検出部243の混雑度の検出結果を発光色として報知する。具体的には、発光器42は、その位置に到着する車両Cの乗車率が、0%以上25%未満であれば青色に発光し、25%以上50%未満であれば緑色に発光し、50%以上75%未満であれば黄色に発光し、75%以上であれば赤色に発光する。
次駅の客は、文字情報表示器41に表示される文字又は発光器42の発光色によって、到着する車両Cの混雑度を認識できる。このため、どの車両Cが空いているかを知ることができ、空いた車両に乗ることができる。この結果、車両C間での混雑度の偏りを緩和することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る混雑度報知システム100によれば、計測部10が、レーザ光Lを用いて、列車Tの外形を計測する。このため、処理部20は、計測部10で計測された列車Tの外形によって、1車両区間を容易に特定できる。
また、計測部10が、レーザ光Lを用いて列車Tの車両Cの内部形状も計測する。このため、処理部20は、その内部形状によって、近接した複数の乗客を区別しうる。この結果、混雑度の検出の正確性を向上できる。
また、1車両区間の検出と混雑度の検出の双方に共通のレーザ距離計11を用いるので、検出部30の構成の大型化を抑えることができる。
また、検出部30が1車両区間を検出するので、予め準備した列車Tの形状を表す形状データによって車両Cを特定していた従来技術に比べると、列車Tの変更に柔軟に対応できる。
また、従来は列車Tの全長にわたって混雑度の検出を終えた後に、その検出結果と上記形状データを照らし合わせることで、どの1車両区間について混雑度の検出を行ったかを特定していた。これに対し、本実施形態では、処理部20が、計測部10から計測結果を取得しつつ区間検出と混雑度検出とを行うので、それらの検出結果を1車両区間別にリアルタイムに報知部40に報知できる。
[実施形態2]
上記実施形態1では、レーザ光Lを車両Cの高さ方向に走査させたが、高さの異なる複数の出射位置の各々から車両Cに向けてレーザ光Lを出射させてもよい。以下、その具体例について説明する。
図8に示すように、本実施形態では、計測部10が、高さ方向に配列されたレーザ距離計11a〜11fによって構成されている。レーザ距離計11a〜11fによって、高さの異なる複数の出射位置の各々から車両Cに向けてレーザ光La〜Lfを出射する。
可視光透過ガラスWに入射するレーザ光Lb〜Ldによって、乗客Aの身体における高さの異なる複数の位置までの距離を計測可能である。処理部20は、レーザ光LbとLcで計測される距離と、レーザ光Ldで計測される距離との相違から、乗客AとBを区別してカウントすることができる。
車両Cの外面に入射するレーザ光La、Le、及びLfによって、車両Cの外形を捉えることができる。処理部20は、その外形によって、連結部Jを検出できる。
本実施形態によれは、走査機構12が不要となる。1本のレーザ光Lを走査機構12で走査させる場合、走査の速度が列車Tの速度に対して遅すぎると、高さ方向の形状変化を充分に検出できないが、本実施形態では、高さの異なる複数の位置までの距離を同時に計測できるので、かかる問題は回避される。
なお、異なる高さを伝播する複数のレーザ光La〜Lfの少なくとも1つを、実施形態1の場合のように、車両Cの高さ方向に走査させる構成としてもよい。
[実施形態3]
上記実施形態1では、レーザ距離計11が、レーザ光Lの出射位置から反射位置までの距離のみを計測したが、距離の計測に加えて、対象物で反射されて戻ってきたレーザ光Lの強度を検出してもよい。以下、その具体例について説明する。
図9で、本実施形態に係る計測部10は、レーザ光Lを出射し、レーザ光Lの出射位置から反射位置までの距離を計測すると共に、対象物で反射されて戻ってきたレーザ光Lの受光強度も検出し、距離の計測結果と、受光強度の検出結果とを処理部20に出力する。
本実施形態によれば、計測部10の検出結果に受光強度も含まれるので、処理部20による区間検出及び混雑度検出の正確性を高めることができる。
計測部10から連結部Jまでの距離x1と、計測部10から乗客Aまでの距離x2とが近似する場合を考える。この場合、距離の計測のみでは、処理部20が、乗客Aの位置まで連結部Jが存在すると判断し、乗客Aを検出し損ねる可能性がある。この点、本実施形態によれば、処理部20は、連結部Jからの反射光の受光強度と、乗客Aからの反射光の受光強度との相違から、乗客Aを検出できる。
[実施形態4]
上記実施形態1では、1つの計測部10を用いたが、複数の計測部10を列車Tの進行方向に間隔をあけて配置してもよい。以下、その具体例について説明する。
図10に示すように、本実施形態では、列車Tの進行方向に間隔をあけて2つの計測部10を配置した。これにより、処理部20では、一方の計測部10の検出結果が表す3次元形状と、他方の計測部10の検出結果が表す3次元形状とを重ね合わせることで、各々の計測部10がもつ測定の空間分解能の2倍の空間分解能を得ることができる。
なお、ここでは計測部10を2つ用いたが、一般にn個の計測部10を列車Tの進行方向に間隔をあけて配置することにより、各々の計測部10がもつ空間分解能のn倍の空間分解能を得ることができる。
[実施形態5]
上記実施形態1では、区間検出と混雑度検出の双方を、レーザ距離計11を用いて行ったが、区間検出のみをレーザ距離計11を用いて行ってもよい。以下、その具体例について説明する。
図11に示すように、本実施形態では、計測部10が、互いに異なる高さ位置に配置された3つのレーザ距離計11と、車両C内の熱を検出する熱センサ13とで構成される。処理部20は、3つのレーザ距離計11の計測結果によって区間検出を行い、熱センサ13の計測結果によって混雑度検出を行う。
熱センサ13は、可視光透過ガラスW越しの熱検出が可能であり、車両C内の乗客A及びBが放射する赤外線を受けることで熱を検出する。熱センサ13が検出する熱量は、車両C内の乗客の混雑度に依存する。このため、処理部20は、熱センサ13の検出結果に基づいて、混雑度を検出できる。具体的には、処理部20は、熱センサ13が検出する熱量を、1車両区間にわたって累積し、その累積値を複数段階評価することで、混雑度の検出を行うことがきる。
[実施形態6]
上記実施形態では、区間検出と混雑度検出の少なくとも一方にレーザ距離計11を用いたが、区間検出と混雑度検出の少なくとも一方に、列車を撮像する撮像手段としてのカメラを用いてもよい。以下、その具体例について説明する。
図12に示すように、本実施形態に係る混雑度報知システム200は、駅のホームF1に配置される検出部70と、次駅のホームF2に配置される報知部40とを備える。報知部40の構成は、実施形態1〜5の場合と同様である。
検出部70は、列車Tを撮像して撮像データを生成するカメラ50と、カメラ50から撮像データを取得し、取得した撮像データを用いて区間検出と混雑度検出とを行い、それら区間検出と混雑度検出の結果を報知部40に出力する処理部60と、を有する。
カメラ50は、ホームF1の先頭部分における線路Rの側方に設置されている。ここでホームF1の先頭部分とは、線路Rの長さ方向に関して、ホームF1の、次駅のホームF2に近い端部を指す。カメラ50は、線路Rの側方から、カメラ50の視野を通過する列車Tを繰り返し撮像する。
図13に示すように、カメラ50の視野は、列車Tの車両Cの外面、具体的には側面を撮像可能なように調整されている。カメラ50は、ホームF1において、車両Cの側面の窓や乗降扉に設けられた可視光透過ガラスWを視野内に捉えることができる高さに設置されている。具体的には、カメラ50は、図7にも示した可動ホーム柵の戸袋Pに取り付けられている。
カメラ50から処理部60に出力される撮像データは、カメラ50が列車Tを撮像する毎に生成されるソース画像データの時系列によって構成される。処理部60は、そのソース画像データの時系列を用いて、列車Tのパノラマ画像を表すパノラマ画像データを形成する。以下、図14を参照して具体的に説明する。
図14に、ソース画像データ群が表す画像SG1〜SG6を示す。画像SG1〜SG6の順番にソース画像データが生成される。理解を容易にするために、図14には、6つのソース画像データに対応する6つの画像SG1〜SG6のみを示すが、カメラ50が撮像を行う毎に、新たにソース画像データが追加される。
カメラ50による撮像の繰り返し周波数は、時間的に隣接するソース画像データ同士、即ち或るソース画像データと、その1コマ後のソース画像データとが、重複部分LPを有し得るように、調整されている。具体的には、カメラ50による撮像の繰り返し周波数は10Hz以上である。
画像SG1〜SG6を、時間的に隣接するもの同士の重複部分LPが重なるように繋ぎ合わせることで、列車Tのパノラマ画像PGが得られる。図12及び13に示した処理部60は、このような処理を行う。つまり、処理部60は、時間的に隣接するソース画像データ間の重なり合う部分を結合することにより、パノラマ画像PGを表すパノラマ画像データを形成する。
パノラマ画像データは、カメラ50からソース画像データが出力される度に更新される。即ち、処理部60は、新たに出力されたソース画像データを、既にパノラマ画像PGを構成している1コマ前のソース画像データと繋ぎ合わせる。このようにして、最終的には、列車Tの全体を表すソース画像データが形成される。
そして、処理部60は、パノラマ画像PGの形成と並行して、それまで形成したパノラマ画像データを用いて区間検出と混雑度検出とを行う。
まず、区間検出の方法について説明する。処理部60は、列車Tのパノラマ画像PGの中から、パターン認識によって連結部Jを検出する。そのために、処理部60は、連結部Jの特徴的な2次元形状を予め記憶している。連結部Jを検出することで、列車Tの1車両区間が特定されるため、区間検出が達成される。
図15を参照し、次に混雑度検出の方法について説明する。図15は、カメラ50の視野に車両Cの可視光透過ガラスWが入ったタイミングで撮像された画像を示す。カメラ50の視野に可視光透過ガラスWが入ったタイミングでは、可視光透過ガラスWを通して、車両Cの客室内が撮像される。つまり、可視光透過ガラスWの領域内に、立っている乗客A及び座っている乗客Bが映り込む。
まず、処理部60は、上述したパノラマ画像PGの中から、パターン認識によって可視光透過ガラスWを検出する。また、処理部60は、可視光透過ガラスWの領域内において、パターン認識によって乗客A及びBの存在及びその輪郭を検出する。
パターン認識を行うために、処理部60は、車両Cの窓や乗降扉に設けられた可視光透過ガラスWの特徴的な2次元形状と、乗客A及びBの特徴的な2次元形状とを予め記憶している。また、立っている乗客Aの存在を検出するためのパターン認識には、乗客Aの顔を認識する顔認識も含まれる。
そして、処理部60は、パノラマ画像PG内における乗客A及びBの輪郭が占める領域の面積、又はその面積と可視光透過ガラスWの全領域の面積との比を算出する。そして、この算出結果を複数段階的に評価した結果をもって、可視光透過ガラスWの部分における混雑度とする。各領域の面積は、その領域を示す画素の数によって求めることができる。
なお、1車両区間内には、可視光透過ガラスWが複数存在する。そこで、可視光透過ガラスW毎の混雑度の、1車両区間内での平均値をもって、その1車両区間における混雑度とする。
以下、図16(A)及び(B)を参照し、処理部60の構成について詳細に説明する。
図16(A)に示すように、処理部60は、1車両区間毎に混雑度を検出する区間別混雑度検出処理の手順を規定した区間別混雑度検出プログラム61aを記憶する記憶部61と、揮発性の記憶媒体で構成されるRAM62と、外部機器とのデータ通信を担う通信I/F63と、区間別混雑度検出プログラム61aを実行するCPU64とが、バス65で接続された構成をもつ。
図16(B)は、CPU64が実現する機能を表すブロック図である。CPU64は、区間別混雑度検出プログラム61aを実行することで、カメラ50から撮像データを取得する取得部641、撮像データを用いてパノラマ画像データを形成する画像処理部642、パノラマ画像データを用いて1車両区間を検出する区間検出部643、パノラマ画像データを用いて1車両区間の混雑度を検出する混雑度検出部644、及び1車両区間別に混雑度の検出結果を出力する出力部645、として機能する。
取得部641は、通信I/F63を介して、カメラ50から撮像データを取得する。
画像処理部642は、撮像データを用いて、列車Tが発車したことを検出する。具体的には、画像処理部642は、取得部641によって取得される撮像データを常時監視しており、撮像データを構成するソース画像データが表す画像中に、列車Tの先頭部分が現れたことをパターン認識によって検出すると、列車Tが発車したと判断する。
また、画像処理部642は、列車Tの発車を検出すると、図14を参照して説明した要領で、列車Tのパノラマ画像PGを表すパノラマ画像データの形成を開始する。パノラマ画像データは、ソース画像データが出力される度に更新される。
また、画像処理部642は、撮像データを用いて、列車Tが過ぎ去ったことを検出する。具体的には、画像処理部642は、カメラ50の視野内に列車Tが現れない状態が一定期間継続すると、列車Tが過ぎ去ったと判断し、パノラマ画像データの形成を停止する。
区間検出部643は、撮像データのうち、列車Tの外面を表す外面撮像データを用いて、1車両区間を検出する。具体的には、区間検出部643は、図14を参照して説明したように、パターン認識によって、パノラマ画像PGの中から連結部Jを特定することにより、1車両区間を検出する。
混雑度検出部644は、撮像データのうち、列車Tの客室内を表す列車内部撮像データを用いて、1車両区間における乗客の混雑度を検出する。具体的には、混雑度検出部644は、図15を参照して説明したように、パターン認識によってパノラマ画像PGの中から可視光透過ガラスWを特定すると共に、可視光透過ガラスWを通して客室内が撮像された部分から、パターン認識によって、乗客A及びBを検出する。
そして、混雑度検出部644は、パノラマ画像PGにおける乗客A及びBが占める領域の面積、又はその面積と可視光透過ガラスWの全領域の面積との比を算出する。この算出結果を複数段階的に評価した結果をもって混雑度の検出結果とする。
出力部645は、区間検出部643によって検出された1車両区間別に、混雑度検出部644による混雑度の検出結果を、通信I/F63を介して、報知部40に出力する。
図17を参照し、以下、処理部60を構成する上記各部641〜645によって行われる区間別混雑度検出処理について具体的に説明する。
前提として、区間検出部643は、車両が何両目であるかを表す整数型変数nに初期値として1を代入しているものとする(ステップS31)。
画像処理部642は、取得部641によって取得される撮像データを監視しており、カメラ50の視野内に列車Tの先頭車両Cが現れたことをパターン認識によって検出するまで待機する(ステップS32)。
画像処理部642は、パターン認識によって先頭車両Cの到来を検出すると(ステップS32;YES)、図14を参照して説明した要領で、パノラマ画像データの形成を開始する。パノラマ画像データは、取得部641によってソース画像データが取得される度に更新される。
混雑度検出部644は、画像処理部642によって形成されるパノラマ画像データを監視し、パノラマ画像データの中から、可視光透過ガラスWの部分が特定されたか否かを判定する(ステップS33)。混雑度検出部644は、パターン認識によって、パノラマ画像データの中から可視光透過ガラスWの部分を特定すると(ステップS33;YES)、図15を参照して説明した要領で、その可視光透過ガラスWの部分における混雑度を検出する(ステップS34)。
一方、画像処理部642は、パノラマ画像データの形成と並行して、列車Tの末尾車両が通過したか否かの判定も行っている(ステップS35)。上述のように、画像処理部642は、カメラ50の視野内に、列車Tが現れない状態が一定期間継続したことをもって、列車の末尾車両が通過したと判定する。
また、区間検出部643も、混雑度検出部644と同様に、画像処理部642によって形成されるパノラマ画像データを監視している。区間検出部643は、未だ末尾車両Cが通過していない場合(ステップS35;NO)、パノラマ画像データの中から、連結部Jを検出したか否かを判定する(ステップS36)。区間検出部643が連結部Jを検出しない場合は(ステップS36;NO)、ステップS33に戻る。
区間検出部643がパターン認識によって連結部Jを検出すると(ステップS36;YES)、混雑度検出部644が、n両目の車両Cについて、それまで検出した混雑度の平均値をもって、n両目の車両Cについての混雑度を確定する(ステップS37)。つまり、上述したように、1車両区間内に可視光透過ガラスWが複数存在するため、混雑度検出部644は、可視光透過ガラスW毎の混雑度の、1車両区間内での平均値をもって、その1車両区間における混雑度とする。
次に、出力部645が、n両目の車両Cに対する混雑度であることが分かる態様で、混雑度検出部644によって確定された混雑度を、報知部40に出力する(ステップS38)。これにより、次駅では、報知部40によって客に対して混雑度の報知がなされる。
その後、区間検出部643が、整数型変数nの値を1だけインクリメントし(ステップS39)、ステップS33に戻る。
また、ステップS35で、区間検出部643によって末尾車両Cの通過が検出された場合は(ステップS35;YES)、同様にして、混雑度検出部644が、末尾車両Cについて、それまで検出した混雑度の平均値をもって、末尾車両Cについての混雑度を確定する(ステップS40)。
そして、出力部645が、末尾車両Cに対する混雑度であることが分かる態様で、混雑度検出部644によって確定された混雑度を報知部40に出力し(ステップS41)、本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る混雑度報知システム200によれば、1台のカメラ50が、視野を通過する列車Tの撮像を繰り返し行う。このため、特許文献2に示される従来技術の構成、即ち列車の車両毎にカメラを設置した大掛かりな構成を必要とせずに、1台のカメラ50によって列車Tの複数の部位を撮像できる。このため、列車Tの車両毎の混雑度の検出を、従来よりも簡素な構成で行える。
また、1車両区間の検出と混雑度の検出の双方に共通のカメラ50を用いたことも、検出部70の構成の簡素化に寄与している。
また、処理部60が、カメラ50から撮像データを取得しつつ区間検出と混雑度検出とを行うので、それらの検出結果を1車両区間別にリアルタイムに報知部40に報知できる。
[実施形態7]
上記実施形態6では、1つのカメラ50を用いたが、カメラ50を列車Tの進行方向に間隔をおいて複数配置してもよい。以下、その具体例について説明する。
図18に示すように、本実施形態では、線路Rの側方に、列車Tの進行方向に間隔をあけて2つのカメラ50が配置されている。これにより、処理部60では、一方のカメラ50が生成する撮像データと、他方のカメラ50が生成する撮像データとを用いて、パノラマ画像データを形成できる。
このため、1つのカメラ50のみを用いる場合に比べて、2倍の時間分解能を得ることができる。つまり、各々のカメラ50の撮像の繰り返し周波数の2倍の周波数をもつカメラを用いたのと同様の効果が得られる。従って、列車Tの速度が速い場合でも、処理部60では、途切れのないパノラマ画像PGを形成できる。
なお、ここではカメラ50を2つ用いたが、一般にm個のカメラ50を配置することにより、各々のカメラ50がもつ時間分解能のm倍の時間分解能を得ることができる。
[実施形態8]
上記実施形態6及び7では、区間検出と混雑度検出の双方に、撮像手段としてのカメラ50を用いたが、区間検出のみに撮像手段を用いてもよい。また、上記実施形態6及び7では、撮像手段として、静止画の連写が可能なカメラ50を用いたが、撮像手段として、動画を撮像可能なビデオカメラを用いてもよい。以下、その具体例について説明する。
図19に示すように、本実施形態では、検出部70が、レーザ距離計11及び走査機構12と、車両Cを撮像するビデオカメラ80とで構成される。処理部60は、実施形態1で述べた要領でレーザ距離計11の計測結果によって混雑度検出を行い、ビデオカメラ80の撮像結果によって区間検出を行う。
ビデオカメラ80は、図13に示したカメラ50と同様、線路Rの側方、具体的には可動ホーム柵の戸袋Pに設置される。ビデオカメラ80の視野は、車両Cの連結部Jを撮像可能なように調整されている。ビデオカメラ80は、列車Tの進行速度に見合ったフレームレートでカラー動画の撮像が可能である。フレームレートは60fps以上である。
ビデオカメラ80は、列車Tの側面を撮像して得られる動画データを生成し、処理部60に出力する。処理部60は、ビデオカメラ80で撮像されて得られた動画データの中から、パターン認識によって連結部Jを検出することにより、区間検出を達成する。
レーザ距離計11から出力される計測値の時系列データと、ビデオカメラ80から出力される動画データとは時間的に同期が取られる。このため、処理部60は、ビデオカメラ80を用いて検出される1車両区間別に、レーザ距離計11を用いて検出される混雑度を出力することができる。
本実施形態によれば、区間検出はビデオカメラ80を用いて行うので、レーザ距離計11から出射されるレーザ光Lを可視光透過ガラスWより高い部分及び低い部分に入射させる必要がない。このため、走査機構12によるレーザ光Lの走査角θは、可視光透過ガラスWの高さの範囲内でレーザ光を走査可能な値であれば足りる。
[実施形態9]
上記実施形態6及び7では、区間検出と混雑度検出の双方に、撮像手段としてのカメラ50を用いたが、混雑度検出のみに撮像手段を用いてもよい。また、上記実施形態6及び7では、撮像手段として、可視光に感度をもつカメラ50を用いたが、撮像手段として、赤外光に感度をもつ赤外線カメラを用いてもよい。以下、その具体例について説明する。
図20に示すように、本実施形態では、検出部70が、レーザ距離計11及び走査機構12と、赤外線カメラ90とで構成される。処理部60は、実施形態1で述べた要領でレーザ距離計11の計測結果によって区間検出を行い、赤外線カメラ90の撮像結果によって混雑度検出を行う。
赤外線カメラ90は、線路Rの側方、具体的には列車Tの可視光透過ガラスWと対面する位置に設置される。赤外線カメラ90は、図19に示したビデオカメラ80と同様、列車Tの進行速度に見合ったフレームレートで動画の撮像が可能である。赤外線カメラ90のフレームレートは60fps以上である。
赤外線カメラ90は、各々のフレームが物体の温度に相当する輝度の画素からなる熱動画データを生成する。温度が高い領域程、画素の輝度が高い。このため、赤外線カメラ90が可視光透過ガラスWを通して客室内を撮像することで得られた熱動画データによれば、温度が相対的に高い領域によって乗客の存在を検出できる。
そこで、処理部60は、乗客の表面温度より低く、客室の内面の温度より高い温度を表す輝度のしきい値を予め記憶しており、そのしきい値より輝度の高い領域を、乗客の存在を表す領域と判断する。そして、処理部60は、フレーム内における乗客の存在を表す領域の面積によって、混雑度を判定する。面積は画素数により求まる。
赤外線カメラ90から出力される熱動画データと、レーザ距離計11から出力される計測値の時系列データとは時間的に同期が取られる。このため、処理部60は、レーザ距離計11を用いて検出される1車両区間別に、上述した乗客の存在を表す領域の面積を求めることができる。即ち、処理部60は、1車両区間別に混雑度を検出できる。
本実施形態によれば、処理部60が、フレーム内における相対的に輝度の高い領域の面積によって混雑度を検出するため、実施形態6で必要であった、乗客を背景から区別するためのパターン認識が必須ではなくなる。このため、処理部60は、混雑度検出を容易に行うことができる。
[実施形態10]
図7には、列車の単位長さ区間別に混雑度を報知するために専用に設けられた文字情報表示器41及び発光器42を示したが、既存のものを報知部40として用いてもよい。以下、その具体例について述べる。
図21に示すように、本実施形態では、次駅F2の可動ホーム柵に元々設置されている状態表示灯43を報知部40として用いる。状態表示灯43は、可動ホーム柵のドアGが開動作中若しくは閉動作中であること、ドアGが問題なく閉鎖されたこと、乗降客若しくは乗降客の荷物がドアGに挟まれたこと、又は可動ホーム柵が故障したこと等を、駅員若しくは乗員又は他の乗降客に報知するためのものとして、元々可動ホーム柵に設置されているものである。状態表示灯43は、駅員若しくは乗員が列車Tの両端から視認しやすいように、戸袋Pの上面に取り付けられている。
本実施形態では、状態表示灯43が、上述した元々の役割に加えて、自己が設けられている位置に到着する車両Cに対する、検出部30又は70による混雑度の検出結果を、点滅の仕方又は点灯色の違いによって報知する。次駅F2の客は、状態表示灯43の点滅の仕方又は点灯色の違いによって、到着する車両Cの混雑度を認識できる。このため、どの車両Cが空いているかを知ることができ、空いた車両に乗ることができる。この結果、車両C間での混雑度の偏りを緩和することができる。
本実施形態によれば、元々次駅F2の可動ホーム柵に設置されている状態表示灯43を報知部40として用いるので、新たに専用の報知部40を設ける場合に比べて、混雑度報知システム100及び200を安価に構築できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。本発明はこれに限られず、以下に述べる変形も可能である。
上記実施形態1〜10では、列車の混雑度を判定する領域の単位となる単位長さ区間を1車両区間としたが、単位長さ区間は、1車両区間に限られない。単位長さ区間は、列車の乗降口から隣の乗降口までの区間であってもよい。図4に示すように、車両Cの乗降口Eは、車両Cの側面における他の部分よりも奥方に位置する。また、乗降口Eに設けられる可視光透過ガラスWは、窓に設けられる可視光透過ガラスWよりも高さが高い。このような特徴に基づいて、処理部20は、パターン認識によって乗降口Eを検出することもできる。
また、列車Tにおいて、或る単位長さ区間と、隣の単位長さ区間との長さが異なっていてもよい。互いに長さの異なる車両を連結して列車を構成する場合は、車両毎に1車両区間の長さが異なることになる。また、乗降口から隣の乗降口までの間隔が、列車Tの長さ方向の位置によって異なっている場合もありうる。
上記実施形態1〜10では、報知部40を、列車Tが次に停車する次駅以降の停車駅に配置したが、報知部40と検出部30とを同じ駅に配置してもよい。検出部30は、区間検出と混雑度検出をリアルタイムに行えるので、検出部30を、ホームの、線路Rの長さ方向に関して列車Tが入線する側の端部に配置すれば、同ホームに列車が停止するまでの間に、報知部40による報知を終えることも可能である。
上記実施形態1〜10では、検出部30を駅のホームF1に配置したが、検出部30は、必ずしもホームF1に配置する必要はない。検出部30は、ホームF1以外の部分における線路Rの側方に配置してもよい。検出部30は、列車Tが通過するトンネルに配置してもよい。
図7及び図21には、報知部40が、文字、発光色、又は点滅パターンによって報知を行う例を示したが、報知の仕方は客が認識できる態様であれば特に限定されない。報知部40は、映像によって報知を行ってもよい。
上記実施形態1〜5、8、及び9では、レーザ距離計11が、TOF方式で距離を計測したが、波動を用いた距離計測の原理は特に限定されない。三角法によって、波動の出射位置と、対象物で反射されて戻ってきた波動の戻り位置との関係から、距離を計測することもできる。
上記実施形態1〜5、8、及び9では、距離を計測するための波動として、レーザ光Lを用いたが、波動はレーザ光Lに限られない。波動として、レーザ光L以外の電磁波を用いてもよいし、超音波を用いてもよい。反射位置の座標検出の空間的な分解能を高めるためには、波動はレーザ光Lその他のビーム状に絞られた電磁波ビームであることが好ましい。
上記実施形態1〜5では、計測部10をホームF1に設置し、上記実施形態6〜9ではカメラ50、ビデオカメラ80、及び赤外線カメラ90をホームF1に設置した。これら計測部10、カメラ50、ビデオカメラ80、及び赤外線カメラ90は、必ずしもホームF1に設置する必要はなく、線路Rを挟んでホームF1と対向する位置に設置してもよいし、線路RとホームF1との間に設置してもよい。
上記実施形態4では、計測部10を列車Tの進行方向に間隔をおいて複数設置し、上記実施形態7では、カメラ50を列車Tの進行方向に間隔をおいて複数設置した。計測部10及びカメラ50は、列車Tの進行方向に関する位置は同じで高さが異なる複数の位置に設置してもよい。
上記実施形態6では、処理部60が、列車Tの末尾車両がカメラ50の視野から過ぎ去ったか否かの判定を行ったが、同判定は必須ではない。処理部60は、同判定を行わずに、列車Tの発車を検出した時点、具体的には、カメラ50の視野内に列車Tの先頭車両が現れた時点から、列車Tの通過に要する時間として予め定められた列車通過時間だけ経過した後に、自動的に区間検出及び混雑度検出を停止するようにしてもよい。
上記実施形態6では、処理部60が、カメラ50から出力される撮像データを用いて、列車Tの発車と過ぎ去りとを検出したが、列車Tの発車と過ぎ去りとを検出する検出手段を別途備えてもよい。この場合、カメラ50は、検出手段によって列車Tの発車が検出されたときに撮像を開始し、検出手段によって列車Tの過ぎ去りが検出されたときに撮像を停止する。かかる検出手段は、列車Tの通過を検出できるセンサ、具体的には、線路Tを挟んで対向する発光部と受光部からなる光センサによって構成できる。
上記実施形態6では、カメラ50による連写の繰り返し周波数を固定値とし、上記実施形態8では、ビデオカメラ80のフレームレートを固定値とし、上記実施形態9では、赤外線カメラ90のフレームレートを固定値とした。これら繰り返し周波数及びフレームレートを、列車Tの増速に伴って高められるように、列車の速度に応じて制御する制御手段を検出部30又は70が備えてもよい。なお、列車Tの速度は、撮像データを用いて検出してもよいし、別途設けた速度センサで検出してもよい。
上記実施形態6では、処理部60がパノラマ画像PGを表すパノラマ画像データを形成したが、パノラマ画像データの形成は必須ではない。処理部60は、パノラマ画像データを形成しなくても、撮像データを用いてパターン認識によって区間検出及び混雑度検出を行うことができる。但し、パノラマ画像データを形成することで、ソース画像データ間の重複を除去できるため、区間検出及び混雑度検出の正確性を高めることができる。
実施形態6〜8においては、カメラ50又はビデオカメラ80が、それらの視野を照らす光照射器をさらに備えてもよい。これにより、列車Tをより鮮明に撮像できるので、区間検出及び混雑度検出の正確性を高めることができる。
区間別混雑度検出プログラム21a又は61aをコンピュータにインストールすることで、そのコンピュータを処理部20又は60として機能させることもできる。区間別混雑度検出プログラム21a又は61aの配布方法は任意であり、通信回線を介して配布してもよいし、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよい。