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JP6885447B2 - トリフルオロエチレンを含む流体の精製方法、およびトリフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents
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JP6885447B2 - トリフルオロエチレンを含む流体の精製方法、およびトリフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents

トリフルオロエチレンを含む流体の精製方法、およびトリフルオロエチレンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体の精製方法、およびトリフルオロエチレンの製造方法に関する。
従来、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動流体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の作動媒体としてはオゾン層への影響が少ない、ジフルオロメタン(HFC−32)、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン(HFC−125)等のヒドロフルオロカーボン(HFC)が用いられている。また、新たな環境規制によって、冷蔵、空調およびヒートポンプ装置等に用いる新たな冷媒が必要とされ、地球温暖化係数(GWP)の低い化合物が着目されている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記し、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、化合物名の前または化合物の略称の後に(E)または(Z)等の表記があるものは、幾何異性体のE体またはZ体であることを示す。
このような作動媒体としては、大気中のOHラジカルによって分解されやすいためにオゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ないことから、炭素−炭素二重結合を有するヒドロフルオロオレフィン(HFO)が提案されている。
なかでも、HFOとしては、GWPが高い飽和ヒドロフルオロカーボン(HFC)系の冷媒の代替物質として、トリフルオロエチレン(HFO−1123)が有望と考えられている。
HFOを冷媒として使用する際に、HFOに高レベルの水(湿分)が含まれると、信頼
性および性能上の種々の問題を引き起こすことがある。そのような好ましくない影響を抑えるために、水の含有量をできるだけ少なくすることが好ましい。
HFOの乾燥方法として、特許文献1には、フルオロプロペン類を含むガスを、最大寸法が約3Å〜約5Åである開口部を有する分子篩と接触させる方法が開示されている。そして、前記分子篩として、ゼオライトの3A、4Aおよび5Aが挙げられ、これらの分子篩を使用して2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む流体を乾燥(脱水)する例が記載されている。また、特許文献2には、フルオロオレフィンと炭素数1のアルカンを含む流体を合成ゼオライト3Aと接触させて、流体中の水を除去する方法が開示されている。
しかしながら、HFO−1123を含む流体の乾燥方法は、特許文献1および特許文献2に記載されていない。特に、前記流体が、HFO−1123と、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む場合に、特許文献1に記載された方法では、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンが分子篩に吸着され除去される場合があり、流体中の水だけを除去できないことがわかった。
また、HFO−1123の製造方法において、HFO−1123は、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンが含有される流体に含まれる化合物として得られるが、該流体から高純度のHFO−1123を十分に高い収率で得ることは難しかった。例えば、パラジウムまたは白金触媒の存在下にクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を水素還元することによってHFO−1123を得る場合、遷移金属触媒を使用するため、水素還元が過度に進行し、目的物であるHFO-1123とともに、過剰に還元された(E)−1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132(E))が副生する。HFO−1132(E)は、目的物であるHFO−1123と沸点が近いことからHFO−1123との精製分離が難しく、高純度のHFO−1123を十分に高い収率で得ることができなかった。
特表2009−539598号公報 特開2013−241389号公報
本発明は、上記観点からなされたものであり、HFO−1123と炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンや水等のHFO−1123以外の不純物を効率よく除去できるHFO−1123の精製方法を提供することを目的とする。
また、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体の精製を行うことで、HFO−1123を効率的に製造できるHFO−1123の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のトリフルオロエチレンの精製方法は、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、トリフルオロエチレンを除く。)とを含み、前記トリフルオロエチレンの含有モル量が、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計より多い流体を、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種の合成ゼオライトと接触させて、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを除去することを特徴とする。
本発明の精製方法において、前記トリフルオロエチレンの含有モル量に対する前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計の比が、0.1〜0.7であることが好ましい。
本発明の精製方法において、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンが、クロロメタン、フルオロメタン、ジフルオロメタン、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、2−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、E−および/またはZ−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、フルオロエチレン、3,3−ジフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、E−および/またはZ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン、E−および/またはZ−1,2−ジクロロフルオロエチレン、E−および/またはZ−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、E−および/またはZ−1−クロロ−2−フルオロエチレン、ペルフルオロシクロブタン、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ノルマルブテン、2−ノルマルブテン、イソブテンからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
本発明の精製方法において、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンが(E)−1,2−ジフルオロエチレンであり、前記合成ゼオライトが合成ゼオライト4Aおよび/または5Aであることが好ましい。また、前記流体がさらに水を含み、前記合成ゼオライトが3Aであり、前記接触により水を除去することが好ましい。
また、本発明の精製方法は、前記合成ゼオライトが、予め100〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理されたもの、または減圧下で加熱処理されたものであることが好ましい。
本発明のトリフルオロエチレンの製造方法は、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、トリフルオロエチレンを除く。)とを含み、前記トリフルオロエチレンの含有モル量が、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計より多い流体を、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種の合成ゼオライトと接触させて前記流体を精製する精製工程を有することを特徴とする。
本発明の製造方法は、触媒存在下にクロロトリフルオロエチレンを水素ガスにより還元して、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、トリフルオロエチレンを除く。)とを含む流体を製造する製造工程、および、前記精製工程を備えることが好ましい。
本発明の製造方法は、(クロロジフルオロメタンおよび/またはテトラフルオロエチレン)とクロロフルオロメタンとを含む組成物を、熱媒体の存在下で熱分解を伴う合成反応をさせて、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、トリフルオロエチレンを除く。)とを含む流体を製造する製造工程、および、前記精製工程を備えることが好ましい。
本発明の製造方法は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属存在下に1,1,1,2−テトラフルオロエタンを脱フッ化水素して、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、トリフルオロエチレンを除く。)を含む流体を製造する製造工程、および、前記精製工程を備えることが好ましい。
また、本発明の製造方法は、前記合成ゼオライトが、予め100〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理された、または減圧下で加熱処理されたものであることが好ましい。
なお、本明細書において、「少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、トリフルオロエチレンを除く。)」を、単に、「炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン」と記すことがある。
本発明の精製方法によれば、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンや水等のHFO−1123以外の不純物を効率よく除去できる。
また、本発明の製造方法によれば、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体を精製することで、HFO−1123を効率的に製造できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<HFO−1123を含む流体の精製方法>
本発明の第1の実施形態であるHFO−1123を含む流体の精製方法は、HFO−1123と、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体を特定の合成ゼオライトと接触させ、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを除去するHFO−1123を含む流体の精製方法である。HFO−1123は、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aのいずれにも吸着されにくい。そのため、本発明における流体を、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種の合成ゼオライトと接触させることで、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを除去し、流体の精製を行うことができる。
(炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン)
本発明における炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンは、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンが有する少なくとも1つの水素原子が塩素原子および/またはフッ素原子で置換されていてもよい、HFO−1123以外の化合物である。これら炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンは、合成ゼオライト4Aまたは5Aにより吸着される。炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンは、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよい。
また、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンにおいて、水素原子を置換する塩素原子またはフッ素原子は、塩素原子のみであってもよく、フッ素原子のみであってもよく、塩素原子と水素原子の両者であってもよい。炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンにおける1分子内の塩素原子数とフッ素原子数の合計は、燃焼性を低くする点から、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンにおける水素原子数以上であることが好ましい。塩素原子数は、0〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがさらに好ましい。塩素原子数が5個以上であると、沸点が高くなり、本発明の流体をガス状で取り扱う場合に気液分離を起こしやすくなる。フッ素原子数は、2〜12個であることが好ましく、3〜11個であることがさらに好ましい。
なかでも、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンとしては、1分子内の水素原子、塩素原子数およびフッ素原子数の合計は4〜8個であるものが好ましく、4〜6個であるものがさらに好ましい。
具体的には、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンとしては、クロロメタン(HCC−40)、フルオロメタン(HFC−41)、ジフルオロメタン(HFC−32)、クロロフルオロメタン(HCFC−31)、トリフルオロメタン(HFC−23)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CFC−113)、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−123a)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−133)、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−133b)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、2−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,2−ジフルオロエタン(HFC−152)、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ca)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、E−および/またはZ−1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)、フルオロエチレン(HFO−1141)、3,3−ジフルオロプロペン(HFO−1252zf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、E−および/またはZ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、ヘキサフルオロプロペン(FO−1216)、クロロトリフルオロエチレン(CFO−1113)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122)、E−および/またはZ−1,2−ジクロロフルオロエチレン(HCFO−1122a)、E−および/またはZ−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFO−1112)、テトラフルオロエチレン(FO−1114)、E−および/またはZ−1−クロロ−2−フルオロエチレン(HCFO−1131)、ペルフルオロシクロブタン(RC−318)、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ノルマルブテン、2−ノルマルブテン、イソブテン等が挙げられる。本実施形態における流体は、これらの化合物の1つ以上を含有することが好ましい。なお、E−および/またはZ−は、E体とZ体の混合物を意味する。
炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンとしては、後述する(I)CFO−1113の水素還元反応で得られる反応生成物に含まれる化合物が好ましい。このような化合物としては、CFO−1113、HFO−1132、HFO−1132a、HCFO−1122、HCFO−1122a、HFC−143、メタン、HFC−152a、HFC−152、HCFC−142、HCFC−142b、HCFC−133、HCFC−133b、HCFC−123a、CFC−113、およびCFO−1112が挙げられる。
また、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンとしては、後述する(II)(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31との熱分解を伴う合成反応で得られる反応生成物に含まれる化合物が好ましい。このような化合物としては、HCFC−22、HCFC−31、HFO−1132、HFO−1132a、HFO−1141、CFO−1113、HCFO−1122、HCFO−1122a、HFC−143、FO−1114、HCFO−1131、HFO−1252zf、HFO−1243zf、HFO−1234yf、HFO−1234ze、FO−1216、HFC−125、HFC−134、HFC−134a、HFC−143a、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−227ca、HFC−227ea、HFC−236fa、HFC−236ea、CFC−12、HFC−23、HFC−32、HFC−41、HCC−40、RC−318およびメタンが挙げられる。
また、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンとしては、後述する(III)HFC−134aの脱フッ化水素反応で得られる反応生成物に含まれる化合物が好ましい。このような化合物としては、HFC−134a、HFO−1132、HFO−1132a、HFC−143、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ノルマルブテン、2−ノルマルブテン、イソブテン、HFO−1141、HFO−1252zf、HFO−1243zf、HFO−1234yf、HFO−1234ze、FO−1216、HFC−125、HFC−134、HFC−143a、HFC−227ca、HFC−227ea、HFC−236fa、HFC−236ea、HFC−32、HFC−23およびHFC−41が挙げられる。
なかでも、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンとしては、合成ゼオライトとの接触によって効率的に除去できる点から、HFO−1132(E)であることが好ましい。
(HFO−1123と炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体)
本発明における流体は、HFO−1123と炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体であれば特に限定されない。精製の対象となる上記流体は、液体でも気体でもよい。また、当該流体はさらに、水を含んでいてもよい。流体に含まれる水は、例えば、HFO−1123の製造工程で生成する水や、HFO−1123の製造工程で得られた反応生成物を水やアルカリで洗浄した際に混入する水等が考えられる。流体がさらに水を含む場合、流体における水の含有量は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下が最も好ましい。上記流体はHFO−1123を微量でも含んでいればよいが、HFO−1123の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
本発明における流体において、HFO−1123と炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有比は特に限定されないが、その後の除去効率の点で、HFO−1123の含有モル量が、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計より多いことが好ましく、(炭素原子数1〜5のアルカンまたはアルケン)/(HFO−1123)で表わされるモル比で0.1〜0.7であることがより好ましい。
本発明における流体としては、例えば、HFO−1123を製造する目的で、各種原料成分を反応させて得られるHFO−1123を含有する反応生成物を用いることができる。すなわち、以下に例示するような、HFO−1123の製造工程で、反応生成物にHFO−1123が含まれている場合、反応生成物のガスをそのまま出発流体として使用し、流体中のHFO−1132(E)や水等のHFO−1123以外の不純物(以下、単に「HFO−1123以外の不純物」ともいう。)を除去することで、その後の精製工程を経て、高純度のHFO−1123を得ることができる。また、反応生成物のガスを水洗浄やアルカリ洗浄して、反応生成物に含有されるフッ化水素、塩化水素等の酸性物質を除去した後の混合ガスを出発流体として使用した場合にも同様に、流体中のHFO−1123以外の不純物を除去することで、高純度のHFO−1123を得ることができる。
本発明の精製方法が対象とする流体として具体的には、次の(I)〜(III)の方法で得られる、HFO−1123を含有する反応生成物が挙げられる。
(I)CFO−1113と水素ガスを触媒存在下で還元反応させる方法
(II)(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31とを含む組成物を、熱媒体の存在下で熱分解を伴う合成反応をさせる方法
(III)HFO−134aをアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属存在下で脱フッ化水素反応をさせる方法
(合成ゼオライト)
本発明における合成ゼオライトとは、以下の化学式(1)で示す化学組成を有する合成ゼオライトである。
Na[(AlO12(SiO12]・27HO …………(1)
(ここで、x+y=12であり、x:y=4:6〜8:2である。)
本発明における合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aとは、細孔径が0.25〜0.45nmを有する合成ゼオライトである。
本発明における合成ゼオライト3Aとは、細孔径が0.28±0.03nmを有する合成ゼオライトをいう。ただし、通常の操作温度において空洞内に入ってくる分子の伸縮と運動エネルギーのために、この合成ゼオライト3Aは有効直径0.3nmまでの分子を通過させることができるものである。
本発明における合成ゼオライト4Aとは、細孔径が0.35±0.03nmを有する合成ゼオライトをいう。
本発明における合成ゼオライト5Aとは、細孔径が0.42±0.03nmを有する合成ゼオライトをいう。
このような合成ゼオライトとして、A型合成ゼオライトのうちで3A、4Aおよび5Aと表記されるものが挙げられる。市販品としては、モレキュラーシーブ3A、4A、5A(ユニオン昭和社の商品名)等がある。なお、上記モレキュラーシーブの細孔径は、定容量式ガス吸着法により測定することができる。前記定容量式ガス吸着法に使用する吸着ガスとしては、N、CO、CH、H、Ar等が挙げられる。
本発明における合成ゼオライトは、HFO−1123を含む流体の精製に使用する前に、予め、100〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理するか、あるいは減圧下で加熱処理することが好ましい。それにより、ゼオライトは活性化され、HFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する。
(HFO−1123を含む流体からのHFO−1132(E)の除去)
本発明における流体がHFO−1132(E)を含む場合、HFO−1132(E)は、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aのいずれにも吸着されやすい。そのため、合成ゼオライトとして、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種を用いることで、本発明における流体から、HFO−1132(E)を効率よく除去して、当該流体を精製することができる。
(HFO−1123を含む流体からの水の除去)
本発明における流体がさらに水を含む場合、水は、合成ゼオライト3Aに吸着されやすい。そのため、本発明の精製方法においては、HFO−1123と、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体を合成ゼオライト3Aと接触させることで、流体中の水を選択的に除去し、精製することができる。
(合成ゼオライトと流体の接触方法)
本発明において、HFO−1123と炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体を、前記した合成ゼオライトに接触させることにより、流体中の炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンや水等のHFO−1123以外の不純物が吸着されて除去される。
本発明において、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、合成ゼオライト3A、4Aまたは5Aに加えて、X型合成ゼオライトである合成ゼオライト13Xを併用してもよい。一般的に、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aは、それぞれ炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンや水を吸着することができるが、精製対象である流体の組成や合成ゼオライトの種類(細孔の大きさ)によって、吸着し易い化合物が異なる。HFO−1123および炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体を精製対象とする本発明において、合成ゼオライト4Aは、例えば、本発明における流体中の炭素数1のアルカンを吸着し易い。また、合成ゼオライト5Aは、例えば、炭素数1〜2のアルカンまたはアルケンを吸着し易い。このような観点から、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aを単独であるいは組み合わせて用いることで、上記流体に含まれるHFO−1123以外の不純物のうち、所望の化合物を望まれる程度に除去することができる。
本発明の精製方法において、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aのうち2種以上を併用する場合には、接触させる合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aの順序は特に限定されない。流体を、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aの2種以上に、順に接触させてもよく、合成ゼオライト3A,4Aおよび5Aから選ばれる2種以上を混合する等して、同時に接触させてもよい。順に接触させる場合には、用いられる合成ゼオライトのそれぞれについて、後述する流体と合成ゼオライトの接触方法によって流体と接触させればよい。
合成ゼオライトに接触させる際の前記流体は、気体でも液体でもよい。流体を液体の状態で合成ゼオライトに接触させる際には、流体を低温または高圧下で液状とする、または前記流体を溶媒に溶解させ、液状とする。当該溶媒としては、HFO−1123よりも高沸点の溶媒を用いることで、蒸留等の方法で当該溶媒を精製後の流体から容易に除去することができる。
流体としてガス状の混合物を用いる方法を、以下に説明する。この方法では、例えば、合成ゼオライトを充填した吸着層を形成し、その吸着層に、HFO−1123を含む混合ガスを流通させることが好ましい。この方法による接触は、回分式(バッチ式)でもよく、連続式でもよい。
吸着層における合成ゼオライトの充填密度は、0.1g/cm以上が好ましく、0.25g/cm以上がより好ましい。合成ゼオライトの充填密度が下限値以上であれば、単位容積あたりの合成ゼオライトの充填量が多くなり、混合ガスの処理量を多くできるためHFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する。吸着層は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。吸着層が2つ以上の場合、それらの吸着層は並列であっても直列であってもよい。
接触時の吸着層の温度は、−10〜70℃が好ましく、−10〜30℃がより好ましい。吸着層の温度が下限値以上であれば、合成ゼオライトの、HFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する。吸着層の温度が上限値以下であれば、冷却に要するエネルギーがより少なくてすみ、設備等も簡便になる。
接触時の混合ガスの圧力(ゲージ圧)は、10〜2000kPaが好ましく、100〜1000kPaがより好ましい。圧力が下限値以上であれば、HFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する。圧力が上限値以下であれば、取り扱い性がよく、設備等が簡便ですむ。
吸着層に流通させる混合ガスと吸着層との接触時間は、1〜1000秒が好ましく、3〜300秒がより好ましい。混合ガスと吸着層との接触時間が下限値以上であれば、HFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する。混合ガスと吸着層との接触時間が上限値以下であれば、流体の精製に用いる吸着層が小さくて済むので、設備などが簡便になる。
また、除去効率の点から、吸着層に流通させる混合ガスに含まれるHFO−1123以外の不純物の合計量は、吸着層中の合成ゼオライトの総量に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。つまり、流体としてガス状の混合物を用いる方法においては、合成ゼオライトに接触させる混合物の量を、前記HFO−1123以外の不純物の合成ゼオライトに対する割合が前記上限値以下となるように調節して接触させることが好ましい。
混合ガスの合成ゼオライトとの接触に使用する反応器としては、合成ゼオライトを充填して吸着層を形成できる公知の反応器が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする合金、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素樹脂等が挙げられる。
次に、流体として液体の混合物を用いる方法を説明する。この方法では、流体としてガス状の混合物を用いる方法と同様に吸着層を形成し、その吸着層に、HFO−1123を含む混合液を流通させる方法を用いることができる。また、合成ゼオライトを充填した反器内で、合成ゼオライトと流体を混合し、必要に応じて撹拌する方法を用いることができる。合成ゼオライトとHFO−1123を含む混合液を反応器内で混合する方法では、HFO−1123を含む混合液の精製後に、沈降あるいはろ過によって、精製された混合液と合成ゼオライトを分離することができる。これらの方法による接触は、回分式(バッチ式)でもよく、連続式でもよい。
吸着層における合成ゼオライトの充填密度及び吸着層の構成の好ましい態様は流体としてガス状の混合物を用いる方法と同様である。
接触時の吸着層の温度は、−30〜70℃が好ましく、−30〜40℃がより好ましい。吸着層の温度が下限値以上であれば、HFO−1123以外の不純物の除去速度が向上する。吸着層の温度が上限値以下であれば、冷却に要するエネルギーがより少なくてすみ、設備等も簡便になる。
接触時の混合液の圧力(ゲージ圧)は、100〜2000kPaが好ましく、100〜1000kPaがより好ましい。圧力が下限値以上であれば、HFO−1123以外の不純物の除去速度が向上する。圧力が上限値以下であれば、取り扱い性がよく、設備等が簡便ですむ。
吸着層に流通させる混合液と吸着層との接触時間は、1〜1000秒が好ましく、3〜300秒がより好ましい。混合液と吸着層との接触時間が下限値以上であれば、HFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する。混合液と吸着層との接触時間が上限値以下であれば、流体の精製に用いる吸着層が小さくて済むので、設備などが簡便になる。
また、HFO−1123以外の不純物の除去効率が向上する点から、吸着層に流通させる混合液中のHFO−1123以外の不純物の総量は、合成ゼオライトの総量に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。つまり、流体として液状の混合物を用いる方法においては、合成ゼオライトに接触させる混合物の液量を、前記HFO−1123以外の不純物の合成ゼオライトに対する割合が前記上限値以下となるように調節して接触させることが好ましい。
混合液の、吸着層を形成した合成ゼオライトとの接触に使用する反応器としては、合成ゼオライトを充填して吸着層を形成できるものを使用することができる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする合金、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素樹脂等が挙げられる。混合液を合成ゼオライトと混合して接触させる反応器としては、所望の温度、圧力で、合成ゼオライトに混合物を液体状態で接触させることのできる反応器、例えばオートクレーブ等が挙げられる。
<HFO−1123の製造方法>
本発明の第2の実施形態であるHFO−1123の製造方法は、前記したHFO−1123を含む流体を精製する精製工程を有する。
本発明の製造方法においては、例えば、(I)〜(III)に示すHFO−1123の製造工程で得られる出口ガスや、出口ガスから酸性物質等を除去した混合ガスに対して前記第1の実施形態として示した精製を行うことで、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、HFO−1123以外の不純物を効率的に除去できる。
(I)CFO−1113の水素還元
CFO−1113と水素を含む原料組成物を、触媒担持担体が充填された触媒層を有する反応器内で、気相で反応させ、HFO−1123を含むガスを生成する。
この態様における反応器内の主な反応を、下記式(2)に示す。
Figure 0006885447
原料組成物におけるCFO−1113と水素の割合は、CFO−1113の1モルに対して水素が0.01〜4.0モルの範囲であることが好ましい。CFO−1113の触媒との接触時間は、4〜60秒が好ましく、8〜40秒がより好ましい。
触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、パラジウムやパラジウム合金のみを担体に担持させた触媒、またはパラジウムとパラジウム以外の他の金属とを担体に担持させた触媒が好ましい。担体としては、活性炭、金属酸化物(アルミナ、ジルコニア、シリカ等)等が挙げられる。
このようなCFO−1113の水素還元においては、HFO−1123と塩化水素等の酸性物質とを含む反応生成物を反応器の出口ガスとして得ることができる。そして、出口ガスに含まれる酸性物質をアルカリ洗浄等により除去して混合ガスを得ることができる。混合ガスに含有されるHFO−1123以外の化合物としては、未反応原料であるCFO−1113に加えて、HFO−1132、HFO−1132a、HCFO−1122、HCFO−1122a、HFC−143、メタン、HFC−152a、HFC−152、HCFC−142、HCFC−142b、HCFC−133、HCFC−133b、HCFC−123a、CFC−113、およびCFO−1112等が挙げられる。
このようにして得られる出口ガスまたは混合ガスに対して前記第1の実施形態として示した精製を行うことで、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、HFO−1123以外の不純物を効率的に除去できる。出口ガスまたは混合ガスに含まれるHFO−1123以外の上記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。そして、分離されたCFO−1113は原料の一部としてリサイクルが可能である。
(II)(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31との熱分解を伴う合成
(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31とを含む原料組成物を用い、熱媒体の存在下で熱分解を伴う合成反応により、HFO−1123を含むガスを生成する。該製造方法は、(HCFC−22および/またはFO−1114)の1モルに対してHCFC−31を0.01〜4.0モルの割合で予め混合し、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の時間滞留させ、また、熱媒体を当該反応器に供給する。そして、当該反応器内で、上記原料組成物と上記熱媒体を接触させる。
本製造方法における反応器内の主な反応を、下記式(3)に示す。
Figure 0006885447
原料組成物は、反応器内で熱分解および脱塩化水素反応によりジフルオロカルベン(FC:)とHCFC−31とを含む反応混合物を生成し、これらの反応混合物は、直接付加反応して、あるいは1種または2種以上の中間体を経て、HFO−1123へと転化されると考えられる。
原料組成物は、これら2成分または3成分以外に、反応器内で熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物、例えば、FO−1216、RC318、HFO−1132a、HFO−1113、HFO−1123等を含有することができる。原料組成物にこのような反応器内で熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物を用いる場合には、新たに用意した含フッ素化合物を用いてもよいが、本態様による(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31との熱分解反応により副生される含フッ素化合物を用いることが、リサイクルの観点から好ましい。
(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31とを含む原料組成物は、常温のまま反応器に導入してもよいが、反応器内での反応性を向上させるために、反応器に導入する際の温度を加熱等により調整してもよい。
熱媒体としては、反応器内の温度で熱分解が生じない媒体であり、具体的には、水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種または2種以上の気体が挙げられる。熱媒体としては、水蒸気を50体積%以上含み、残部が窒素および/または二酸化炭素である気体の使用が好ましい。
熱媒体の供給量は、熱媒体と前記原料組成物の供給量の合計に対して20〜98体積%となる割合が好ましい。熱媒体と前記原料組成物との反応器内での接触時間は、0.01〜10秒間とするのが好ましく、反応器内の圧力(ゲージ圧)は、0〜2.0MPaとすることが好ましい。
(HCFC−22および/またはFO−1114)とHCFC−31との熱分解を伴う合成においては、HFO−1123と塩化水素等の酸性物質とを含む反応生成物を上記反応器の出口ガスとして得ることができる。そして、出口ガスに含まれる酸性物質をアルカリ洗浄等により除去して混合ガスを得ることができる。混合ガスが含有するHFO−1123以外の化合物としては、未反応原料であるHCFC−22、FO−1114、HCFC−31に加えて、HFO−1132、HFO−1132a、HFO−1141、CFO−1113、HCFO−1122、HCFO−1122a、HFC−143、HCFO−1131、HFO−1252zf、HFO−1243zf、HFO−1234yf、HFO−1234ze、FO−1216、HFC−125、HFC−134、HFC−134a、HFC−143a、HCFC−124、HCFC−124a、HFC−227ca、HFC−227ea、HFC−236fa、HFC−236ea、CFC−12、HFC−23、HFC−32、HFC−41、クロロメタン、RC−318およびメタン等が挙げられる。
このようにして得られる出口ガスまたは混合ガスに対して前記第1の実施形態として示した精製を行うことで、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、HFO−1123以外の不純物を効率的に除去できる。出口ガスまたは混合ガスに含まれるHFO−1123以外の上記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。そして、分離されたFO−1114、FO−1216、CFO−1113およびRC318は、FC:を発生し得る化合物であり、原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。
(III)HFC−134aと固体反応剤との接触反応
HFC−134aを含む原料ガスと固体反応剤とを反応器内で接触させ、HFC−134aの脱フッ化水素反応を進行させることで、HFO−1123を含むガスを生成する。
HFC−134aと固体反応剤との反応は、下記反応式(4)または(5)で表すことができる。反応式(4)は、固体反応剤が触媒(Cat.)として作用する場合の反応を表し、反応式(5)は、固体反応剤が塩基性反応剤(MOH:Mは金属を表す。)として作用する場合の反応を表す。
Figure 0006885447
固体反応剤としては、酸化カルシウム、炭酸カリウム等が用いられる。また、反応器内の圧力(ゲージ圧)は、0〜5000kPaが好ましく、反応器内でのHFC−134aと固体反応剤との接触時間は、0.1〜500秒間が好ましい。
HFC−134aと固体反応剤との接触において、平均粒子径が1μm〜5000μmの粒子状の固体反応剤を用いて固体反応剤層を形成し、固体反応剤層が流動化した状態でHFC−134aと接触させて反応させる方法を採ることもできる。この態様では、HFC−134aを固体反応剤と接触させる温度は100℃〜500℃の範囲が好ましい。
なお、本態様において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計により測定した値である。
HFC−134aと固体反応剤との接触反応においては、HFO−1123とフッ化水素等の酸性物質とを含む反応生成物を上記反応器の出口ガスとして得ることができる。そして、出口ガスに含まれる酸性物質をアルカリ洗浄等により除去して混合ガスを得ることができる。混合ガスに含有されるHFO−1123と未反応の原料成分(HFC−134a)以外の化合物としては、フッ化水素、HFO−1132、HFO−1132a、HFC−143、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ノルマルブテン、2−ノルマルブテン、イソブテン、HFO−1141、HFO−1252zf、HFO−1243zf、HFO−1234yf、HFO−1234ze、FO−1216、HFC−125、HFC−134、HFC−143a、HFC−227ca、HFC−227ea、HFC−236fa、HFC−236ea、HFC−32、HFC−23およびHFC−41等が挙げられる。
このようにして(III)の方法で得られる出口ガスまたは混合ガスに対して前記第1の実施形態として示した精製を行うことで、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、HFO−1123以外の不純物を効率的に除去できる。さらに、出口ガスまたは混合ガスに含まれるHFO−1123以外の上記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。また、出口ガスまたは混合ガスから分離されたHFC−134aは、原料ガスの一部としてリサイクルが可能である。
以下に、本発明を実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
CFO−1113と水素からなる原料組成物(以下、原料ガスという)から、以下に示すようにしてHFO−1123を含む混合ガスを得た。
内径23mm、長さ50cmのステンレス鋼製の反応管に、ヤシ殻活性炭の100質量部に対して0.5質量部のパラジウムを担持させたパラジウム担持活性炭を充填して、高さ40cmの触媒層を形成した。触媒層におけるパラジウム担持活性炭の充填密度は、0.74g/cmであった。
こうして形成された反応管内の触媒層を電気ヒータによって80℃に管理し、内圧(ゲージ圧)40kPaで、CFO−1113と水素からなる原料組成物(以下、原料ガスともいう。)を反応管に供給した。以下、圧力はいずれもゲージ圧とする。
原料ガスにおける水素とCFO−1113のモル比(水素/CFO−1113)は、1.0となるようにして、原料ガスを反応管内に流通させた。触媒層に対する原料ガスの接触時間は30秒間とし、原料ガス成分(CFO−1113)の線速度uは1.3cm/秒とした。
反応中の触媒層の最高温度は、位置を移動させながら触媒層に挿入した挿し込み型の温度計により測定した。触媒層の最高温度は、236℃であった。
なお、反応器の出口より取り出された出口ガスには、反応により生成または副生したガスの他に、未反応の原料ガスも含まれる。
次いで、反応器の出口より取り出した出口ガスを、アルカリ洗浄を行って混合ガスを得た。混合ガスを、ガスクロマトグラフィ(以下、GCと示す)で分析し、混合ガスに含まれるガス成分のモル組成(モル%)を求めた。こうして得られた混合ガス成分のモル組成を、「初期モル組成」とする。また、混合ガスの水の含有量を、三菱化学社製のCA−100を使用し、Karl−Fisher法により測定した。
次に、内径20mm、長さ30cmのステンレス鋼製チューブに、合成ゼオライト3A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ3A)の粒状物50gを充填して形成された吸着層に、上記初期モル組成を有する混合ガスを10mL/min.の流速で流通させ、流通開始60分後の吸着層通過後のガスをGCで分析し、通過ガスのモル組成(モル%)を求めた。
次いで、各成分のモレキュラーシーブ3Aへの吸着されやすさを判別しやすくするために、各成分の「初期モル組成」および「MS3A通過後モル組成」から、「初期値」および「MS3A通過値」をそれぞれ以下に示すように求めた。すなわち、混合ガスに多く含まれるHFO−1123のモル組成を基準とし、この基準値に対する各成分のモル組成の比(各成分のモル%/HFO−1123のモル%×100)を、モレキュラーシーブ3Aの通過の前後で求め、各成分の「初期値」および「MS3A通過値」とした。これらの値を、混合ガスおよび通過ガスの水の含有量とともに、表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で反応を行い、反応器の出口より取り出した出口ガスを、アルカリ洗浄を行って「初期モル組成」の混合ガスを得た。混合ガスを、合成ゼオライト4A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ4A)を使用する以外は実施例1と同様の条件で吸着層に流通させ、通過したガスのモル組成(以下、「MS4A通過後モル組成」と示す)を求めた。さらに通過ガスの水の含有量を、前記した混合ガスと同様に測定した。
次いで、各成分の「MS4A通過後モル組成」から、HFO−1123のモル組成を基準とする比である「MS4A通過値」を、実施例1と同様に求めた。これらの値を、通過ガスの水の含有量とともに、表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で反応を行い、反応器の出口より取り出した出口ガスを、アルカリ洗浄を行って「初期モル組成」の混合ガスを得た。混合ガスを、合成ゼオライト5A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ5A)を使用する以外は実施例1と同様の条件で吸着層に流通させ、通過したガスのモル組成(以下、「MS5A通過後モル組成」と示す)を求めた。さらに通過ガスの水の含有量を、前記した混合ガスと同様に測定した。
次いで、各成分の「MS5A通過後モル組成」から、HFO−1123のモル組成を基準とする比である「MS5A通過値」を、実施例1と同様に求めた。これらの値を、通過ガスの水の含有量とともに、表1に示す。
Figure 0006885447
また、実施例1〜3について、接触前後のそれぞれの流体(ガス)について、流体中のHFO−1123のモル組成を基準とし、HFO−1132(E)および水のモル濃度を算出した。算出したモル濃度を用いて、HFO−1132(E)および水の減少率(=(接触前のモル濃度−接触後のモル濃度)/接触前のモル濃度)を算出した。結果を表2に示す。なお、上記ステンレスチューブに合成ゼオライトを充填せず、混合ガスを合成ゼオライトに接触させない場合には、HFO−1132(E)および水の減少率は0モル%であった。
Figure 0006885447
表1から、HFO−1123の製造において得られたガス流体の精製にモレキュラーシーブ3Aを使用した実施例1では、これを通る前後で流体のモル組成の比がほとんど変化しておらず、水の含有量のみが大幅に減少していることがわかる。
これに対して、モレキュラーシーブ4Aを使用した実施例2では、水の含有量の減少も見られるが、HFO−1123のモル組成に対する、炭素数1および炭素数2の飽和化合物のモル組成の比が減少している。また、モレキュラーシーブ5Aを使用した実施例3では、水の含有量の減少も見られるが、HFO−1123のモル組成に対する、HFO−1123以外の炭素数が2の不飽和化合物のモル組成の比が減少している。このことから、モレキュラーシーブ4Aは、炭素数1および炭素数2の飽和化合物を吸着し易く、モレキュラーシーブ5Aは、炭素数1および炭素数2の飽和化合物に加えて、HFO−1123以外の炭素数が2の不飽和化合物も吸着し易いことが分かる。
このような実施例の結果から、HFO−1123を含む流体から、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン等の有機成分を失うことなく水のみを除去するには、合成ゼオライト3Aであるモレキュラーシーブ3Aが最適であることがわかる。
また、表2より、モレキュラーシーブ3A、4Aまたは5Aを使用した実施例1〜3では、いずれも、HFO−1132(E)は吸着され易いことが分かる。したがって、本発明における流体を、モレキュラーシーブ3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種と接触させることで、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン、特にHFO−1123と沸点の近いHFO−1132(E)を効率的に除去できることが分かる。特に、HFO−1132(E)を効率的に除去するには、合成ゼオライト4Aであるモレキュラーシーブ4Aを使用することがより好ましく、合成ゼオライト5Aであるモレキュラーシーブ5Aが最適であることがわかる。
本発明の精製方法によれば、HFO−1123と炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンや水等のHFO−1123以外の不純物を効率的に除去することができる。
また、本発明の製造方法によれば、前記したHFO−1123を含む流体の精製を行うことで、HFO−1123と、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンを含む流体から、炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンや水等のHFO−1123以外の不純物を効率的に除去することができる。
なお、2014年2月20日に出願された日本特許出願2014−030854号および2014年4月28日に出願された日本特許出願2014−092296号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (11)

  1. トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、E−1,2−ジフルオロエチレンを含有し、トリフルオロエチレンを除く。)とを含み、前記トリフルオロエチレンの含有モル量が、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計より多い流体を、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種の合成ゼオライトと接触させて、前記E−1,2−ジフルオロエチレンを除去することを特徴とするトリフルオロエチレンを含む流体の精製方法。
  2. 前記トリフルオロエチレンの含有モル量に対する前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計の比が、0.1〜0.7である、請求項1に記載のトリフルオロエチレンを含む流体の精製方法。
  3. 前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンが、クロロメタン、フルオロメタン、ジフルオロメタン、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、2−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、Z−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、フルオロエチレン、3,3−ジフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、E−および/またはZ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン、E−および/またはZ−1,2−ジクロロフルオロエチレン、E−および/またはZ−1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、E−および/またはZ−1−クロロ−2−フルオロエチレン、ペルフルオロシクロブタン、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ノルマルブテン、2−ノルマルブテン、イソブテンからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項1又は2に記載のトリフルオロエチレンを含む流体の精製方法。
  4. 記合成ゼオライトが合成ゼオライト4Aおよび/または5Aである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトリフルオロエチレンを含む流体の精製方法。
  5. 前記流体がさらに水を含み、前記合成ゼオライトが合成ゼオライト3Aを含み、前記接触により水を除去する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトリフルオロエチレンを含む流体の精製方法。
  6. 前記合成ゼオライトが、予め100〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理されたもの、または減圧下で加熱処理されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトリフルオロエチレンを含む流体の精製方法。
  7. トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、E−1,2−ジフルオロエチレンを含有し、トリフルオロエチレンを除く。)とを含み、前記トリフルオロエチレンの含有モル量が、前記炭素数1〜5のアルカンまたはアルケンの含有モル量の合計より多い流体を、合成ゼオライト3A、4Aおよび5Aから選ばれる少なくとも1種の合成ゼオライトと接触させ、前記E−1,2−ジフルオロエチレンを除去して前記流体を精製する精製工程を有することを特徴とするトリフルオロエチレンの製造方法。
  8. 触媒存在下にクロロトリフルオロエチレンを水素ガスにより還元して、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、E−1,2−ジフルオロエチレンを含有し、トリフルオロエチレンを除く。)とを含む流体を製造する製造工程、および、
    前記精製工程を備える、請求項7に記載のトリフルオロエチレンの製造方法。
  9. クロロジフルオロメタンおよび/またはテトラフルオロエチレンとクロロフルオロメタンとを含む組成物を、熱媒体の存在下に熱分解を伴う合成反応をさせて、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、E−1,2−ジフルオロエチレンを含有し、トリフルオロエチレンを除く。)とを含む流体を製造する製造工程、および、
    前記精製工程を備える、請求項7に記載のトリフルオロエチレンの製造方法。
  10. アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属存在下に1,1,1,2−テトラフルオロエタンを脱フッ化水素して、トリフルオロエチレンと、少なくとも1つの水素原子が塩素原子またはフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜5のアルカンまたはアルケン(ただし、E−1,2−ジフルオロエチレンを含有し、トリフルオロエチレンを除く。)とを含む流体を製造する製造工程、および、
    前記精製工程を備える、請求項7に記載のトリフルオロエチレンの製造方法。
  11. 前記合成ゼオライトが、予め100〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理されたもの、または減圧下で加熱処理されたものである、請求項7〜10のいずれか1項に記載のトリフルオロエチレンの製造方法。
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