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JP6887399B2 - 銅合金材料、電子部品、電子機器及び銅合金材料の製造方法 - Google Patents
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JP6887399B2 - 銅合金材料、電子部品、電子機器及び銅合金材料の製造方法 - Google Patents

銅合金材料、電子部品、電子機器及び銅合金材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅合金材料、電子部品、電子機器及び銅合金材料の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、厚みの変動を抑制した銅合金材料、電子部品、電子機器及び銅合金材料の製造方法に関する。
コネクタ、スイッチ、リレー、ピン、端子、リードフレーム等の各種電子部品に使用される電子材料用銅合金には、基本特性として高強度及び高導電性(又は熱伝導性)を両立させることが要求される。近年、電子部品の高集積化及び小型化・薄肉化が急速に進み、これに対応して電子機器部品に使用される銅合金に対する要求レベルはますます高度化している。
より具体的には、銅合金は電子部品用にプレス加工されるが、このプレス加工品にも小型化が要求される。また、プレス加工品の材料となる銅合金条についても肉薄化が求められる。特許文献1では、銅合金条について垂下カールを十分に抑制することを開示している。垂下カールが発生すると、電子材料用の端子をプレス加工する際、プレス加工後の形状が安定しない、すなわち寸法精度が低下するという問題が生じるので、極力抑制することが望まれる。
また、垂下カールと同様に、箔又は条の厚みがあらかじめ設計したものに合致していないと、電子材料用の端子をプレス加工する際、プレス加工後の形状が設計したとおりのものにならない、すなわち寸法精度が低下するという問題が生じるので、極力制御することが望まれる。
特開2012−211355号公報
銅合金材料をいくら肉薄化させても、平坦でなければ、プレス加工品の小型化を十分に実現することができない。この理由は、長さ方向で反った形状を有する材料のプレス加工品においては、反った形状による曲率の分、寸法に上乗せされるため、小型化の妨げになるからである。また、垂下カールと同様に、箔又は条の厚みがあらかじめ設計したものに合致していないと、電子材料用の端子をプレス加工する際、プレス加工後の形状が設計したとおりのものにならない、すなわち寸法精度が低下する。寸法精度が低下すると、形状の設計において寸法の許容範囲を大幅に拡張する必要があり、これは小型化の妨げになることである。
そこで、銅合金材料の製造時又はプレス加工前に、銅合金材料を平坦な形状に矯正する。また、特許文献1に開示されたようにカールの量を抑制することも1つの手段である。さらに、箔又は条の厚みについては、圧延機において自動板厚制御のシステムがあり、プレス加工品の設計において定めた規格の中央値に厚みを制御することができる。しかしながら、平坦な形状に矯正しても、あるいは、カールを抑制したとしても、さらには規格の中央値に厚みを制御したとしても依然としてプレス加工品の形状を一定にするには、改良の余地があった。特に、銅合金材料のうち、コルソン合金の条にそのような傾向が見られた。そこで、本発明は、プレス加工品の形状を一定にしやすい銅合金材料を提供することを目的とする。
本発明者らが調べたところ、銅合金の厚みは必ずしもプレス加工品の設計において定めた規格の中央値にあれば良いのではなく、長さ方向で厚みが変動しないことが重要であることが判明した。すなわち、厚みが規格の中央値にある材料(例、条、板、箔等)であっても、長さ方向で厚みが変動するものは、プレス加工品の形状は一定しない。また、規格の中央値からずれた厚みの材料(例、条、板、箔等)、さらには中央値からずれるだけでなく規格を少し外れる厚みのものであっても、長さ方向で厚みが変動しないものであれば、厚みに応じて矯正条件を調整することで、プレス加工品の形状は一定する。以上の知見に基づいて、本発明は、以下のように特定される。
(発明1)
Ni及びCoのうち1種以上を合計で0.5〜5.0質量%、
Siを0.1〜1.2質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金材料であり、
前記銅合金材料は、条、板又は箔であり、
圧延方向と平行な方向に60mmの間隔で並んで位置する5つの測定点での厚みの変動が0.0μm〜2.0μmである、銅合金材料。
(発明2)
Sn、Zn、Mg、Cr、Mn、Fe、Ti、Zr、P、Ag、Bのうち1種以上を総量で0.005〜3.0質量%更に含有する発明1の銅合金材料。
(発明3)
発明1又は2に記載の銅合金材料を備える電子部品。
(発明4)
発明3の電子部品を備える電子機器。
(発明5)
発明1又は2に記載の銅合金材料の製造方法であって、前記方法は、
溶解鋳造工程と、
熱間圧延工程と、
第一冷間圧延工程と、
第一溶体化処理工程と、
第二冷間圧延工程と、
第二溶体化処理工程と、
第三冷間圧延工程と、
第三溶体化処理工程と、
時効処理工程と、
最終冷間圧延工程と、
を含み、
前記第二冷間圧延工程における加工度が70%以上であり、
前記第三冷間圧延工程における加工度が50%以上70%以下であり、
前記第一溶体化処理工程が結晶粒度を0.090mm以上に調整することを含み、及び、第二溶体化処理工程が結晶粒度を0.020mm〜0.040mmに調整することを含む、
該方法。
本発明は、一側面において、長手方向に平行な方向における厚みの変動が0.0μm〜2.0μmである。これにより、プレス加工した時に、一定の形状を得ることができる。
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.銅合金材料
一実施形態において、本発明は、銅合金材料を包含する。前記材料の形状は、条、板、又は箔である。
「条」(strip、ribbon)とは、「0.1mm以上の均一な肉厚で、長方形断面をもち、スリットされたコイル形状で供給される圧延製品」をさす。
「板」(sheet、plate)とは、「0.1mm以上の均一な肉厚で、長方形断面をもち、シャー又はのこ(鋸)切断された平板で供給される圧延製品」をさす。
「箔」(foil)とは、「0.1mm未満の均一な肉厚で、長方形断面をもち、スリットされたコイル形状で供給される圧延製品」をさす。
1−1.組成
前記銅合金の組成は、Ni及びCoのうち1種以上を合計で0.5〜5.0質量%、Siを0.1〜1.2質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる。
1−1−1.Ni及びCo
前記Ni及びCoは、適当な熱処理を施すことにより金属間化合物を形成し、導電率を劣化させずに高強度化が図れる。Ni及びCoのうち1種以上を合計で0.5〜5.0質量%添加することができる。0.5質量%未満だと、所望の強度が得られず、逆に、5.0質量%超だと、高強度化は図れるが導電率が著しく低下し、曲げ加工性も低下する。より好ましくは、Ni及びCoのうち1種以上を合計で1.0〜3.0質量%添加することができる。
1−1−2.Si
前記Siは、Ni及びCoと同様に、適当な熱処理を施すことにより金属間化合物を形成し、導電率を劣化させずに高強度化が図れる。Siを0.1〜1.2質量%添加することができる。0.1質量%未満だと、所望の強度が得られず、逆に、1.2質量%超だと、高強度化は図れるが導電率が著しく低下し、曲げ加工性も低下する。より好ましくは、0.2〜0.7質量%添加することができる。
1−1−3.Sn、Zn、Mg、Cr、Mn、Fe、Ti、Zr、P、Ag、B
上記以外の元素として、Sn、Zn、Mg、Cr、Mn、Fe、Ti、Zr、P、Ag、Bのうち1種以上を、総量で0.005〜3.0質量%更に添加してもよく、又は添加しなくてもよい(例えば、0質量%であってもよい)。これらの元素を添加することで、製造においては熱間加工性、製品においては耐力、引張強さ、ばね限界値及び応力緩和特性等の機械的性質、はんだ特性及びめっき特性等の表面特性のうちいずれか1つ以上が良好になるという効果が得られる。添加し過ぎると導電率が低下するため、より好ましくは、0.005〜1.0質量%添加することができる。
1−1−4.残部
一実施形態において、上記以外の残部は、Cuであってもよい。ここで、前記Cu以外に不可避的不純物が含まれてもよい。不可避的不純物とは、例えば、S及びO等が挙げられる。また、不可避的不純物の含有量は特に限定されないが、例えば、合計で100質量ppm以下である。
1−2.寸法
一実施形態において、本発明の銅合金材料の幅は、特に限定されないが、10〜50mmであってもよい。10mm未満だと、単位ストロークのプレスで得られる個数が少なくなり生産性が低下する。50mm超だとプレス品の寸法精度が低下する。
一実施形態において、本発明の銅合金材料の厚さは、特に限定されないが、0.15mm以下であってもよい。この理由として、厚みの変動によるプレス加工の不具合は0.15mm以下で顕在化するためである。より好ましくは、0.1mm以下である。また、下限値については、特に限定されないが、典型的には0.05mm以上であってもよい。
1−3.厚み
一実施形態において、本発明の銅合金材料は、厚みの変動が特定の値以下である。ここでまず、厚みについて説明する。
一般に、銅及び銅合金の板、条並びに箔の厚みは、マイクロメータによって、1μm単位で測定される。本発明では、0.1μm単位の精度を有する仕様のマイクロメータを用いる(例えば、株式会社ニコン製、デジマイクロ(DIGIMICRO)、Nikon MH−15M)。
そして、後述するように、厚みは5つの箇所で測定し、その平均値を、銅合金材料の厚みの代表値とした。
1−4.厚み変動度
本明細書において、「厚み変動度」とは、以下の手順で測定及び算出して得られる値である。
(1)60mm間隔で圧延方向に離れて、圧延方向と平行方向の一直線上に並ぶ5 つの測定点で厚みを測定し、それにより得られる5つの厚みデータの最大値と最小値との差と定義する。
(2)このような5つの測定点での厚みの測定を少なくとも板、条または箔のコイルにつき一回行い、その少なくとも一回の測定で、5つの測定点の厚み変動が0.0μm〜2.0μmの範囲内であれば、本発明に含まれる。
なお、上記5つの測定点について、製品の幅にスリットされた、板、条または箔の幅方向の中央の位置で測定した。
一実施形態において、本発明の銅合金材料の厚み変動度は、2.0μm以下であってもよい。厚み変動度が2.0μmを超える材料は、銅合金材料のプレス加工において、プレス加工品の形状が一定しにくくなる。より好ましくは1.5μm以下であり、更に好ましくは1.0μm以下である。下限値は、特に限定されないが、典型的には0.0μm以上である。
2.製造方法
一実施形態において、本発明は、銅合金材料の製造方法を包含する。前記製造方法は、以下の工程を包含することができる。
(溶解鋳造工程)→(熱間圧延工程)→(第一冷間圧延工程)→(第一溶体化処理工程)→(第二冷間圧延工程)→(第二溶体化処理工程)→(第三冷間圧延工程)→(第三溶体化処理工程)→(時効処理工程)→(最終冷間圧延工程)。
上記各工程の間、前、及び/又は後には、別の工程を挿入してもよい。例えば、最終冷間圧延工程後に歪取焼鈍工程を導入してもよい。また、上述した工程完了後は、適切なサイズの幅に加工し(例えば、600〜650mm)、その後スリッタにして所定の幅に加工してもよい。そして、コイル状に巻き取り、製品として出荷することができる。
2−1.溶解鋳造
溶解鋳造工程では、上述した本発明の銅合金材料の組成と同じ組成を持つインゴットを使用して、溶解鋳造を行うことができる。インゴットの厚みついては、銅合金材料の厚みの1500倍以上であることが好ましい。1500倍以上であるにより、インゴットのマクロ組織における結晶方位および偏析が、その後の加工における金属組織の態様に影響するのを抑制することが容易になる。インゴットの厚みの上限値については、特に限定されないが、典型的には、銅合金材料の厚みの5000倍以下であってもよい。
溶解鋳造後は、熱間圧延を行い、次に素条に対して冷間圧延(第一冷間圧延工程)を行い、その後、第一溶体化処理を行うことができる。
2−2.第二冷間圧延工程
第一溶体化処理後は、第二冷間圧延工程を行うことができる。当該第二冷間圧延工程は、中間溶体化処理(第二溶体化処理工程)前に行うこと好ましい(即ち、中間溶体化処理前冷間圧延)。第二冷間圧延工程では、加工度が70%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。70%以上であることにより、合金元素の偏析層を薄くし合金元素が拡散するのに要する距離を小さくするとともに、合金元素の均質化に有効な加工歪を多く導入することができる。上限値については、特に規定されないが典型的には、95%以下である。
なお、本明細書において、加工度とは、以下の式により算出される値を指す。
圧延加工度(%)=100×(冷間圧延前の板厚−冷間圧延後の板厚)/冷間圧延前の板厚
2−3.第三冷間圧延工程
第三溶体化処理(最終溶体化処理)の前に、冷間圧延を行うことができる(最終溶体化処理前冷間圧延)。ここでも、第二冷間圧延工程と同様、加工度を高くすることで、合金元素の偏析層を薄くし合金元素が拡散するのに要する距離を小さくするとともに、合金元素の均質化に有効な加工歪を多く導入することができる。ただし、第二冷間圧延工程と異なる点として、加工度が高すぎると、最終溶体化処理で2次再結晶を伴う粗大な再結晶粒組織が生成しやすくなる。2次再結晶を伴う粗大な再結晶粒組織の影響と、インゴットのマクロ組織における結晶方位および偏析の影響との相乗効果によって、金属組織は長さ方向で変動する可能性がある。
以上の観点から、第三冷間圧延工程の加工度は、50%以上であることが好ましく、70%以下であることが更に好ましい。
2−4.最終冷間圧延工程
第三溶体化処理(最終溶体化処理)のあとに、冷間圧延を行うことができる(最終冷間圧延工程)。ここでは、主として、各種電子部品に使用される電子材料用銅合金の基本特性である強度が調整される。
2−5.溶体化処理
上記製造方法では、少なくとも3つの溶体化処理を行うことを特徴としている。特に重要となるのが、第一溶体化処理工程(素条溶体化処理工程)及び中間溶体化処理(第二溶体化処理工程)である。これらの処理工程では、高温で長時間の処理、すなわち結晶粒度が大きくなる条件で行うことが好ましい。これにより、インゴットのマクロ組織における結晶方位および偏析が、その後の加工における金属組織の態様に影響するのを抑制することができる。
しかし、その一方で、結晶粒度が大きくなると、2次再結晶を伴う粗大な再結晶粒組織が生成しやすくなる。2次再結晶を伴う粗大な再結晶粒組織の影響と、インゴットのマクロ組織における結晶方位および偏析の影響との相乗効果によって、金属組織は変動し厚みが変動しやすくなる。
以上の理由から、第一溶体化処理工程(素条溶体化処理工程)においては、結晶粒度が0.090mm以上、及び中間溶体化処理(第二溶体化処理工程)においては、結晶粒度が0.040mm以下になるようにすることが好ましい。更に好ましくは、第一溶体化処理工程においては、結晶粒度が0.100mm以上である。中間溶体化処理(第二溶体化処理工程)における結晶粒度の下限値については特に限定されないが、たとえば0.020mm以上であってもよい。第一溶体化処理工程における結晶粒度の上限値については特に限定されないが、例えば0.150mm以下であってもよい。こうした結晶粒度を達成するため、溶体化処理において、温度を700〜950℃、時間を1〜600秒の条件で、合金成分ごと及び板厚ごとに温度及び時間を調整することにより行うことができる。ここで、結晶粒度は、高温であるほど大きな値になり、また、長時間であるほど大きな値になるため、温度及び時間を適切なものに調整することにより、所望の結晶粒度を得ることができる。
結晶粒度の測定は、JISH0501(1986年)に基づき行う。ここで、結晶粒度を測定する面は、圧延面に対し平行な面とする。結晶粒度の測定方法は「切断法」とし、結晶粒度を測定する面を切断する線分の方向は圧延方向に対し直角の方向とする。
なお、最終溶体化処理においては、得られる金属組織は、電子電気部品用の銅合金条などに求められる種々の特性に影響することが知られている。厚み変動のみを考慮した場合は、結晶粒度が0.020mm以上0.040mm以下になるようにすることが好ましいが、厚み変動以外の事項について良好な特性を具備させるため、結晶粒度を0.020mm以下としてもよい。こうした結晶粒度を達成するため、溶体化処理において、温度を700〜950℃、時間を1〜600秒の条件で行うことができる。
2−6.歪取焼鈍
最終冷間圧延後に、歪取焼鈍を行っても良い。歪取焼鈍には、残留応力の低減、熱伸縮特性の向上、ばね性(ばね限界値等)の向上、引張試験における伸び率の向上、曲げ性の向上、低温焼鈍効果、及び、平坦度の向上等の効果がある。一般的な条件は、温度が350〜650℃で、時間が1〜600秒である。この範囲において、所望する上記の事項ごとに適切な温度及び時間を設定することができる。
3.加工
銅合金材料は、プレス加工を行うことができる。また、プレス加工の前後で、メッキ等(例えば、Niなど)の処理を行ってもよい。プレス加工等を経た銅合金加工品は、電子部品を組み立てる際の材料として使用することができる。さらに、当該電子部品を用いて、電子機器を組み立てることができる。
(厚み変動度の評価方法)
上述の方法で、厚み変動度を測定した。
(プレス性の評価方法)
JISZ2248(2006年)「金属材料曲げ試験方法」に規定される「Vブロック法」に準拠し、曲げ角度を90°とする曲げ試験(90°曲げ試験)を行った。試験片は、圧延方向と平行方向を長辺とする、幅が10mm、長さが100mmの長方形の形状とした。
試験では、まず、規定試験力を決める予備試験を行った。予備試験では、試験片をVブロック上に載せ、その中央部に押し金具を当て、試験力を加えて曲げる加工を行った。曲げる加工を行ったあと、試験片の曲げ角度を測定した。
また、予備試験では、試験力を試験片ごとに変えて曲げる加工を行った。試験力が大きい場合、試験片の曲げ角度は90°であった。試験力が小さい場合、試験片の曲げ角度は90°を下回った。曲げる加工をしたあとの試験片の曲げ角度が88.5°〜89.5°を示す試験力を規定試験力とした。
つぎに、50個の試験片につき、試験力を加え曲げる加工を行った。ここでの試験力は、上記の予備試験で求めた規定試験力とし、50個の試験片につき同一の試験力にて曲げる加工を行った。
曲げる加工を行ったあと、50個の試験片につき曲げ角度を測定し、曲げ角度の平均値と標準偏差を計算した。
標準偏差が平均値の1%以下である場合はプレス性が良好(表中に○を表示)であると判定し、標準偏差が平均値の1%超である場合はプレス性が不良(表中に×を表示)であると判定した。
(実施例1〜24、比較例1〜7)
表1に示す組成のインゴットを準備した。このインゴットに対して、溶解鋳造、熱間圧延、第一冷間圧延(素条冷間圧延)、第一溶体化処理(素条溶体化処理)、第二冷間圧延(中間溶体化処理前冷間圧延)、第二溶体化処理工程(中間溶体化処理)、第三冷間圧延(最終溶体化処理前冷間圧延)、第三溶体化処理工程(最終溶体化処理)、時効処理、最終冷間圧延を順次行った。ここで、第一溶体化処理(素条溶体化処理)は、700〜950℃の温度、1〜600秒の範囲において、合金成分ごと及び板厚ごとに温度及び時間を調整し、結晶粒度が0.120mmとなる溶体化処理材を得てその後の処理及び加工を行った。ただし、比較例6については、結晶粒度が0.060mmになるように、温度及び時間を調整した。そして、板厚が0.08mm(平均値)、幅が630mmの最終冷間圧延材を得た。ただし、実施例23では、板厚を0.12mm(平均値)、実施例24では板厚を0.15mm(平均値)とした。その後、スリッタにて幅を30mmにスリットした。得られた条について、60mm間隔で圧延方向に離れて並ぶ5つの測定点で厚みを測定し、それにより得られる5つの厚みデータの最大値と最小値との差を算出して、これを銅合金の厚み変動度とした。
得られた銅合金条に対して、上述の方法で厚み変動度と、プレス加工性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006887399
実施例1〜24いずれにおいても、厚み変動度が十分に抑制されていた。また、プレス性についても良好であった。
一方、比較例1は、インゴット厚み/製品厚みの比が低い値であったため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
比較例2は、第二冷間圧延(中間溶体化処理前冷間圧延)の圧延加工度が低かったため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
比較例3は、第三冷間圧延工程(最終溶体化処理前冷間圧延)の圧延加工度が高かったため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
比較例4は、第三冷間圧延工程(最終溶体化処理前冷間圧延)の圧延加工度が低かったため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
比較例5は、インゴット厚み/製品厚みの比、第二冷間圧延(中間溶体化処理前冷間圧延)の圧延加工度、および、第三冷間圧延(最終溶体化処理前冷間圧延)の圧延加工度のいずれもが好ましい範囲を外れたため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
比較例6は、素条溶体化処理(素条溶体化処理工程)結晶粒度が小さくなってしまったため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
比較例7は、中間溶体化処理(第二溶体化処理工程)における結晶粒度が大きくなってしまったため、厚み変動度が好ましい範囲を超え、プレス性が不良であった。
本明細書において、「又は」や「若しくは」という記載は、選択肢のいずれか1つのみを満たす場合や、全ての選択肢を満たす場合を含む。例えば、「A又はB」「A若しくはB」という記載の場合、Aを満たしBを満たさない場合と、Bを満たしAを満たさない場合と、Aを満たし且つBを満たす場合のいずれも包含することを意図する。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に提供することができる。また、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (6)

  1. Ni及びCoのうち1種以上を合計で0.5〜5.0質量%、
    Siを0.1〜1.2質量%含有し、
    残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金材料であり、
    前記銅合金材料は、条、板又は箔であり、
    厚さが0.05mm以上であり、
    圧延方向と平行な方向に60mmの間隔で並んで位置する5つの測定点での厚みの変動が0.0μm〜2.0μmである、銅合金材料。
  2. Sn、Zn、Mg、Cr、Mn、Fe、Zr、P、Ag、Bのうち1種以上を総量で0.005〜3.0質量%更に含有する請求項1の銅合金材料。
  3. Sn、Zn、Mg、Cr、Mn、Fe、Ti、Zr、P、Ag、Bのうち1種以上を総量で0.005〜1.0質量%更に含有する請求項1の銅合金材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金材料を備える電子部品。
  5. 請求項の電子部品を備える電子機器。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法であって、前記方法は、
    溶解鋳造工程と、
    熱間圧延工程と、
    第一冷間圧延工程と、
    第一溶体化処理工程と、
    第二冷間圧延工程と、
    第二溶体化処理工程と、
    第三冷間圧延工程と、
    第三溶体化処理工程と、
    時効処理工程と、
    最終冷間圧延工程と、
    を含み、
    前記第二冷間圧延工程における加工度が70%以上であり、
    前記第三冷間圧延工程における加工度が50%以上70%以下であり、
    前記第一溶体化処理工程が結晶粒度を0.090mm以上に調整することを含み、及び、第二溶体化処理工程が、結晶粒度を0.020mm〜0.040mmに調整することを含む、
    該方法。
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