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JP6889876B2 - 地盤補修工法及びそれに用いる固化剤 - Google Patents
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地盤補修工法及びそれに用いる固化剤 Download PDF

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Description

本発明は、地盤補修工法及びそれに用いる固化剤に関し、特に、クロボク土を含む地盤に生じた亀裂を補修するための地盤補修工法及びそれに用いる固化剤に関する。
2016年4月に発生した熊本地震により、熊本地方では農地を含む広範な範囲に地表に達する亀裂が生じている。地盤の亀裂を補修し農地として再生するには、亀裂部分やその周辺部分を土壌を一旦除去し、地盤を補修し、その後、土壌を埋め戻して整地する作業が必要となる。しかしながら、広大な農地を補修するには、膨大な費用と時間を要し、容易に実現することが難しい。
しかも、度重なる余震等が発生する中では、一旦修理した場所に再度亀裂が発生する可能性もあり、補修に掛かる費用がさらに増加するため、補修する時期が判断できず、復興が益々進まないという問題を生じている。
また、大規模な地盤の補修には、通常、ポルトランドセメント系の固化剤が使用されているが、セメント自体が強アルカリ性であり、農地に使用した場合には作物の生育への影響が懸念される。しかも、セメント系固化剤で固化した土壌は、再度補修する際に粉砕され瓦礫となる。このため、補修に際しては、この瓦礫を除去する作業も伴い、農地の再生費用が一層増大する。
さらに、熊本地方の土壌の多くは、火山灰が堆積したクロボク土で形成されている。特許文献1に示すように、クロボク土などの火山灰質粘性土は、砂質土の場合と異なり、セメント系固化剤を十分に混練することができないため、発現強度が低くなる。このため、大量の固化剤を必要とするという問題もある。
一方、土壌を固化する固化剤として、特許文献2に示すように、マグネシアセメントが提案されている。マグネシアセメントの原料には、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどが利用される。硫酸マグネシウムは風解性を有し、塩化マグネシウムは潮解性を有するため、原料の保存が難しい上、塩化マグネシウムは塩害の原因となり、植物の生育にも影響を及ぼす。
特許第5862911号公報 特許第5815903号公報
本発明が解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、地盤に亀裂を生じた農地を容易に補修でき、その後の地震に対しても再補修が容易であり、再生した農地が植物の生育を阻害しない地盤補修工法及びそれに用いる固化剤を提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明に係る地盤補修工法及びそれに用いる固化剤は以下の技術的特徴を有する。
(1) 亀裂を有する農地に対し、亀裂部分及びその近傍の土壌を除去すると共に、前記土壌を除去した穴の亀裂方向に垂直な断面形状は略逆三角形である土壌除去工程と、前記土壌を除去した穴に、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層を形成する補強層形成工程と、前記補強層の上に、前記土壌除去工程で除去した土壌を埋め戻す土壌埋め戻し工程とを備えた地盤補修工法である。
(2) 亀裂を有する農地に対し、亀裂部分及びその近傍の土壌を除去する土壌除去工程と、前記土壌を除去した穴に、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層を形成する補強層形成工程と、前記補強層の上に遮水性の粘土層が配置し、さらにその上に前記土壌除去工程で除去した土壌を埋め戻す土壌埋め戻し工程とを備えた地盤補修工法である。
(3) 上記(2)に記載の地盤補修工法において、該穴の該粘土層の上面の端部は、該穴の周囲の土壌の遮水性の層の上面と同じ位置になるように設定されていることを特徴とする。
) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の地盤補修工法において、該土壌はクロボク土を含むことを特徴とする。
) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の地盤補修工法において、該固化剤の原料は、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを含むことを特徴とする。
) 上記()に記載の地盤補修工法において、該補強層形成工程では、土壌成分と酸化マグネシウムとの重量比は、該土壌成分を1とすると酸化マグネシウムが0.1〜1の範囲であることを特徴とする。
) 上記()又は()に記載の地盤補修工法において、該固化剤が含有する酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比は、酸化マグネシウムのモル数を5とすると硫酸マグネシウムのモル数は0.1〜3であることを特徴とする。
) 上記(1)乃至()のいずれかに記載の地盤補修工法において、該穴に配置される該補強層の下には、固化剤を含まない土や砕石が配置されていることを特徴とする。
) 上記(1)乃至()のいずれかに記載の地盤補修工法に利用される固化剤であって、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを含み、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比は、酸化マグネシウムのモル数を5とすると硫酸マグネシウムのモル数は0.1〜3であることを特徴とする。
本発明は、亀裂を有する農地に対し、亀裂部分及びその近傍の土壌を除去する土壌除去工程と、前記土壌を除去した穴に、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層を形成する補強層形成工程と、前記補強層の上に、前記土壌除去工程で除去した土壌を埋め戻す土壌埋め戻し工程とを備えた地盤補修工法であるため、地盤に亀裂を生じた農地を容易に補修でき、その後の地震に対しても再補修が容易であり、再生した農地が植物の生育を阻害しない地盤補修工法を提供することが可能となる。しかも、この地盤補修工法に用いる固化剤を、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを含み、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比は、酸化マグネシウムのモル数を5とすると硫酸マグネシウムのモル数は0.1〜3とすることで、容易に提供することが可能となる。
地盤に亀裂を含む農地の断面図である。 本発明の地盤補修工法のプロセスを説明する図(その1)である。 本発明の地盤補修工法のプロセスを説明する図(その2)である。 本発明の地盤補修工法のプロセスを説明する図(その3)である。 本発明の地盤補修工法を施した地盤が再度ずれた場合の状況を説明する図である。 本発明の地盤補修工法に係る第2の実施例を説明する図である。 本発明の地盤補修工法に係る第3の実施例を説明する図である。 本発明の地盤補修工法に係る第4の実施例を説明する図である。
本発明の地盤補修工法及びそれに用いる固化剤について、以下に詳細に説明する。
本発明の地盤補修工法は、図1から図4に示すように、亀裂を有する農地(図1参照)に対し、亀裂部分及びその近傍の土壌を除去する土壌除去工程(図2参照)と、前記土壌を除去した穴Hに、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層10を形成する補強層形成工程(図3参照)と、前記補強層の上に、前記土壌除去工程で除去した土壌20を埋め戻す土壌埋め戻し工程(図4参照)とを備えた地盤補修工法である。
本発明の地盤補修工法では、土壌の固化剤として、酸化マグネシウムを主成分として用いる。また、酸化マグネシウムと組み合わせる成分として硫酸マグネシウムを使用する。これらの成分を選択する理由は、次のとおりである。
酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムは共に天然由来成分である。これらのマグネシウムは動物や植物に必要な代表的なミネラルで、コレステロールや中性脂肪を下げる効能もあり、マグネシウムが欠乏すると骨組軽症・心疾患・糖尿病等を誘発する可能性がある。また、酸化マグネシウムも硫酸マグネシウムも、いずれも胃腸薬にも含有されていて、特に、酸化マグネシウムは妊婦の便秘薬として病院で処方されている成分でもあり、人体を含む動物等への安全性が確認されている。植物の場合は光合成に必要なクロロフィル形成には不可欠で、マグネシウムが不足すると他の肥料が足りていても、植物の育成が活性化されないためマグネシア系の成分は追肥として用いられている。さらに酸化マグネシウムを土壌に混入するとpHが上昇し、硫酸マグネシウムはpHを降下させる働きがあるため、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを併用することで土壌のpHを中性に近い状態に維持し易い。
酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムを固化剤として使用した場合には、仮に、再び地震により同じ箇所に亀裂が生じても、固化した土壌(補強層)を粉砕し、新たな土壌として再利用することが可能である。このため、セメント系固化剤を使用した場合のように、瓦礫等の異物を除去する作業が不要となり、セメント等による土壌汚染も発生しないため、再補修に掛かる費用の増加を抑制することが可能となる。
酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムが固化する仕組みは、次のとおりである。
酸化マグネシウムが、硫酸イオン(SO 2−)の存在下で水和反応により結晶体(マグネシウムオキシサルフェート)を形成する。その反応の一例は、以下のような化学式で表現される。
5MgO+MgSO+8HO→5MgOMgSO・8HO (化学式1)
この結晶体は、針状や繊維状の結晶形状を形成しているため、相互に絡み易く、その結果、強固な結合が実現できる。上記化学式の結晶体中のMgOとMgSOとの比は、様々な比率が選択し得るが、モル比5:1が代表的な数値である。
酸化マグネシウムの水和反応のみでは、弱酸性を示すが、硫酸マグネシウムも一緒に水和反応を行なうと、上記のように結晶体が形成されるため、pHは中性より近くなる。
以下では、土壌としてクロボク土を中心に説明するが、本発明の土壌補修工法は、クロボク土に限定されるものではなく、広く多様な土壌に対して利用が可能であることは、言うまでもない。
土壌を固化する際に必要な固化剤の配合量を調べるため、以下の実験を行なった。
試験対象となる土壌には、熊本県阿蘇郡西原村大字河原字新藤25−1の山林で採取した表層土(クロボク土)を使用した。クロボク土は、高温乾燥器に24時間入れて絶乾燥状態となったものを使用した。
固化剤としては、酸化マグネシウム(MgO,製品名:軽焼マグネシアCWI−120,赤穂化成株式会社製)、硫酸マグネシウム(MgSO・3HO,硫酸マグネシウム3水塩,製品名:硫酸マグネシウムMG−3K,赤穂化成株式会社製)を使用した。
(試験例1)
クロボク土に対する固化剤の添加量を変化させた場合の性状(硬度)変化を調べるため、表1に示す各配合量で試験を行った。
試験に際しては、クロボク土と酸化マグネシウムを混合した混合物Aに、硫酸マグネシウムと水を混合した混合物Bを添加して、全体を均一に混ぜ合わせた。全体の混合物を2Lの円筒状シリンダーに充填し、24時間放置した。
24時間経過した試験体を前記シリンダーから取り出し、標準型山中式土壌硬度計(株式会社藤原製作所,スプリング強度8.0kg)を試験体の硬度を測定した。
Figure 0006889876
表1の酸化マグネシウムと硫酸マグネシウム(硫酸マグネシウム3水塩)との配合割合は、重量比が2:1となるように設定している。これは、酸化マグネシウム(MgO)と硫酸マグネシウム(MgSO)とのモル比が、酸化マグネシウムのモル数を5とした場合、硫酸マグネシウムのモル数は0.57に相当する。試験では、硫酸マグネシウムの3水塩を使用したが、無水塩や7水塩の硫酸マグネシウムを使用することが可能であることは言うまでも無い。
基本的には酸化マグネシウムのみでも硬化作用を発揮するが、硬化体中に上記化学式で示した針状や繊維状の結晶体を形成させることにより、より硬化体の強度を高くすることが可能となるため、硫酸マグネシウムを併せて使用することが好ましい。
酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比は、酸化マグネシウム(MgO)のモル数を5とすると、硫酸マグネシウム(MgSO)のモル数は、0.1〜3の範囲が好適である。硫酸マグネシウムのモル数が0.1を下回ると、硬化強度の顕著な変化が期待できず、3を超えると、上記化学式の結晶体(5MgOMgSO・8HO)を形成するのに必要な酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比5:1を大きく上回り、水溶性の塩である硫酸マグネシウムが余剰となり、固化反応そのものを阻害し、未反応の水溶性成分である硫酸マグネシウムの混在により、固化後の硬化体の強度も低下する。
水は水道水を使用し、各試験体では、硫酸マグネシウムと水との質量比が1:3となるように水を添加した。
表1の各試験体について、試料01から試料10に向かって、クロボク土に対する固化剤の量が多くなるに従い、土壌硬度計で測定した硬度指標(mm)は順次増加傾向を示した。具体的には、試料01では硬度指標が7.0mm、試料06では10.5mm、さらに試料10では31.8mmとなった。例えば、KMK06の硬度指標10.5mmは、長期許容地耐力度の変換地は、0.15MPaであり、これはN値(標準貫入試験)に換算すると約7〜15の範囲の値となる。このN値7は、粘土質地盤においては「硬い」地盤の部類に入る。
試料01の硬度指標が7.0mmの場合も、補強層として利用することは可能である。したがって、土壌成分であるクロボク土に対し、土壌成分と酸化マグネシウムとの重量比は、土壌成分が1とすると、酸化マグネシウムは、0.1以上であれば良い。なお、酸化マグネシウムを大量に使用すると、施工に掛かる経費が増加するため、現実的には、土壌成分1に対し酸化マグネシウムを0.1〜1の範囲で使用することが好ましい。
表1では、混合物をシリンダーに入れてから24時間後の試験体の硬度を測定したが、実際の作業現場では、作業時間を考慮して30〜60分程度の経過時間で固化作用が始まることが好ましい。固化作用の開始時間を調整するには、添加する酸化マグネシウムの分量など、固化剤の添加量の調整や、添加する水分量の調整、さらには、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとの混合比率の調整で行なうことが可能である。また、土壌と酸化マグネシウムを混練したものに、硫酸マグネシウムを混入した水を添加する方法は、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとを同時に混合する場合と比較し、比較的、固化作用の開始時間の調整に有効である。
次に、上述した固化剤を用いた地盤補修工法について説明する。
図1乃至4を用いて、本発明の地盤補修工法を説明する。
図1は、亀裂(断層)が生じた農地の断面図である。
a1(a2)は地表層でありクロボク土が主体のものである。b1(b2)、c1(c2)は、農地が畑か水田かで異なるが、例えば、畑の場合は、小石や砂などの砂利や砕石であり、水田の場合は、b1(b2)は粘土層などの遮水層であり、c1(c2)が砂利や砕石などである。d1(d2)は、強固な地盤を示している。当然、農地の場所により各地層の性状は異なるが、地表層(例えば、a1(a2))は、クロボク土が主体の土壌であることには変りはない。
図1では、縦ズレした断層を示しているが、その他にも、横ズレ断層や地面が水平方向に離間するように移動して発生する地面の亀裂に対しても、本発明では、「亀裂」と表現している。
(土壌除去工程)
まず最初に、亀裂部分やその近傍の土壌を、図2に示すように除去して穴Hを形成する。穴の形状(穴の亀裂方向に垂直な断面形状(図2の形状))は、逆三角形を含む略逆三角形で構成することが好ましい。略逆三角形とは、二等辺三角形や直角三角形などの三角形を上下逆にしたものだけでなく、下底の長さが上底の長さより短い台形であっても良い。
穴の形状を略逆三角形に形成する理由は、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムを用いた固化剤は、固化した際に混合物全体が体積膨張する。このため、略逆三角形の穴に沿って補強層を形成すると、補強層が固化して体積膨張した際に、補強層が周囲の土壌と密着すると共に、横に広がりきれない部分は上方向に持ち上がるため、補強層が上からの加重に対してより強固になることが期待される。
さらに、穴の形状を略逆三角形に形成すると、図5に示すように、再度地震が発生し、左右の地盤が上下別々に移動した場合でも、補修した土壌(地盤)の表面の高さは、左右の土壌(地盤)の表面の高さ位置の中間に位置することになる。このような状況では、地中の状態にも依存するが、例えば、土壌20の表面の高さを整地するだけで、現状復帰でき、極めて簡便に補修作業を行なうことができることが期待される。
(補強層形成工程)
土壌除去工程で土壌を除去した穴Hに、図3に示すように、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層を形成する。補強層に使用する土壌は、土壌除去工程で除去した土壌を利用しても良いし、別途、用意した土(小石や砂などの砂利であったり、他の土地から持ち込んだクロボク土などの火山灰質粘性土など)であっても良い。
使用する固化剤は、酸化マグネシウムを主成分とし、必要に応じて硫酸マグネシウムを添加したものが利用可能である。当然、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムの固化反応を阻害しない範囲で、他の添加剤を付加することも可能である。土壌と固化剤との配合比率は、上記試験で示したクロボク土を対象とする配合比率を用いることが可能である。土壌がクロボク土ではなく、砂質土などの場合は、より少ない分量の固化剤で、必要な硬度を得ることが期待できる。
土壌に固化剤を混練する方法は、土壌に酸化マグネシウム粉末、硫酸マグネシウム粉末及び水を投入し、全体を混練することで製造することができるが、上記試験で説明したように、土壌と酸化マグネシウムとを混ぜた混合物Aと、硫酸マグネシウムと水とを混ぜた混合物Bとを別々に調整し、その後、両者を混ぜて混練する方法もある。なお、酸化マグネシウム粉末と硫酸マグネシウム粉末とを予め所定の配合比で混合したものを固化剤として準備することも可能である。
土壌は、通常、30%程度の水分を含有している場合が多い。このため、添加する水の分量は、土壌が含有する水分量を差し引いた量を添加することが好ましい。
ただし、補修を行なう土壌の周りの土地が乾燥している場合や、表層土の下に砂利などの隙間が多い場合には、添加した水分が周りの土壌や地盤に吸収されてしまうため、それを考慮して、所定分量より多めの水分量を添加することが好ましい。
また、硫酸マグネシウムは水溶性であるため、水分の流出と共に硫酸マグネシウムも補強層から周囲に流出する可能性もある。このような場合には、添加する混合物Bの全体量を所定分量より多くすることが好ましい。
(土壌埋め戻し工程)
補強層10を穴の内部に形成した後は、補強層が固化した後、又は補強層が固化する前のいずれかで、図4に示すように、土壌除去工程で除去した土壌20を補強層の上に埋め戻す作業を行なう。本発明の地盤補修工法では、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を用いた場合は、土壌の含水量や硫酸マグネシウムの添加量により、固化に要する時間は区々ではあるが、いずれ固化することは分かっており、その間まで農地の使用さえ行なわなければ何ら問題がない。このため、補強層を形成した直後(未硬化時)であっても、表層土を埋め戻すことが可能である。しかも、補強層には、農地と同じ又はそれに近い土壌が利用され、固化剤も天然由来成分であるため、農地を汚染する心配もない。
以上が、本発明の地盤補修工法の第1の実施例であるが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、補強層を11及び12に分割し、補強層11の硬度を補強層12より弱く又は強くすることが可能である。地表からの圧力が強い場合には、補強層11の方を弱く設定し、補強層11が上からの圧力で地盤に食い込まないよう構成することができる。また、地盤c1(c2)やd1(d2)が強固な場合には、むしろ補強層11の方を強くすることで、周りの地盤との一体化を図り、補強層を安定化させることができる。
また、図6の符号11の層を、固化剤を用いた補強層ではなく、砂利、砂質土、砕石などで形成し、補強層12のみ固化剤を使用することも可能である。これにより、固化剤の使用を最小限とすることができる。
また、図7に示すように、補強層10の上に粘土層などの遮水層30を配置し、その上に、表層土(クロボク土)20を配置することも可能である。このような遮水層30は、水田に適しており、稲作や蓮根畑では不可欠な構成である。
さらに、図8に示すように、穴の粘土層30の上面の端部は、該穴の周囲の土壌の遮水性の層(b1,b2)の上面と同じ位置になるように設定されている。これにより、再度地震が発生し、周囲の地盤が移動した場合に、遮水層と周囲の地層(b1、b2)との間に亀裂が発生しても、遮水層の厚さ方向で周囲の遮水性の地層(b1、b2)と重なっている部分が残っている限り、両者の隙間を粘土層で容易に埋めて補修することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、地盤に亀裂を生じた農地を容易に補修でき、その後の地震に対しても再補修が容易であり、再生した農地が植物の生育を阻害しない地盤補修工法を提供することが可能となる。
a1〜d2:地層
10〜12:補強層
20:土壌(表層土)
30:遮水層

Claims (9)

  1. 亀裂を有する農地に対し、亀裂部分及びその近傍の土壌を除去すると共に、前記土壌を除去した穴の亀裂方向に垂直な断面形状は略逆三角形である土壌除去工程と、
    前記土壌を除去した穴に、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層を形成する補強層形成工程と、
    前記補強層の上に、前記土壌除去工程で除去した土壌を埋め戻す土壌埋め戻し工程とを備えた地盤補修工法。
  2. 亀裂を有する農地に対し、亀裂部分及びその近傍の土壌を除去する土壌除去工程と、
    前記土壌を除去した穴に、酸化マグネシウムを主成分とする固化剤を混練した土壌を前記穴の底部に敷き詰めて補強層を形成する補強層形成工程と、
    前記補強層の上に遮水性の粘土層が配置し、さらにその上に前記土壌除去工程で除去した土壌を埋め戻す土壌埋め戻し工程とを備えた地盤補修工法。
  3. 請求項2に記載の地盤補修工法において、該穴の該粘土層の上面の端部は、該穴の周囲の土壌の遮水性の層の上面と同じ位置になるように設定されていることを特徴とする地盤補修工法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の地盤補修工法において、該土壌はクロボク土を含むことを特徴とする地盤補修工法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の地盤補修工法において、該固化剤の原料は、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを含むことを特徴とする地盤補修工法。
  6. 請求項に記載の地盤補修工法において、該補強層形成工程では、土壌成分と酸化マグネシウムとの重量比は、該土壌成分を1とすると酸化マグネシウムが0.1〜1の範囲であることを特徴とする地盤補修工法。
  7. 請求項又はに記載の地盤補修工法において、該固化剤が含有する酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比は、酸化マグネシウムのモル数を5とすると硫酸マグネシウムのモル数は0.1〜3であることを特徴とする地盤補修工法。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の地盤補修工法において、該穴に配置される該補強層の下には、固化剤を含まない土や砕石が配置されていることを特徴とする地盤補修工法。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載の地盤補修工法に利用される固化剤であって、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを含み、酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとのモル比は、酸化マグネシウムのモル数を5とすると硫酸マグネシウムのモル数は0.1〜3であることを特徴とする固化剤。
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