特許文献1のような電気錠は、一般的には電磁ソレノイドによって構成される。そして、電磁ソレノイドの出力部に、カンヌキ等をロックするためのロック部材を連結しておくことで、電磁ソレノイドの出力部を進出状態にしてロック部材をロック位置とし、電磁ソレノイドの出力部を後退状態にしてロック部材をロック解除位置に切り替えることができる。
ところで、例えば、何らかの要因によってロック部材がロック位置で固定されたまま、電磁ソレノイドに対して出力部を後退させる方向に電圧が印加される場合が想定される。こうなると、電磁ソレノイドの動作が強制的に止められた状態で電圧が印加され続けることになり、電磁ソレノイドの破損を招く。
そこで、電磁ソレノイドの出力部とロック部材との間に伸長可能なスプリングを設けておくことが考えられる。この構成によれば、ロック部材がロック位置で固定されたまま、電磁ソレノイドに対して出力部を後退させる方向に電圧が印加されたとしても、スプリングの伸長によって電磁ソレノイドの後退動作を可能にして電磁ソレノイドの破損を回避することができる。
しかしながら、電磁ソレノイドの出力部とロック部材との間にスプリングを設けると、例えばロック部材の解錠時の衝撃力がスプリングに対して繰り返し作用することになり、特に勢いよくロック部材が解錠操作された場合にはスプリングやスプリングの連結ピンの破損を招くおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば電磁ソレノイドのような電気式駆動装置の出力部とロック部材との間にスプリングを設ける場合に、スプリングやその連結ピンに対して解錠時の衝撃力が伝わり難くして破損を抑制することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、扉に設けられるカンヌキ操作部材をロックするロック部材と、前記ロック部材を、前記カンヌキ操作部材をロックするロック位置と前記カンヌキ操作部材のロックを解除するロック解除位置とに切り替える電気式駆動装置と、前記ロック部材と、前記電気式駆動装置が有する出力部との間に設けられる伸長可能なスプリングと、前記スプリングの一端部を前記出力部に連結する連結ピンとを備える電気式施解錠装置において、前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で移動する前記ロック部材を当該移動方向に案内する案内部材を備え、前記ロック部材には、前記ロック位置から前記ロック解除位置に切り替えられたときに前記案内部材に対して当該ロック部材の移動方向から当接する当接部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、電気式駆動装置が出力部を例えば進出させることで、ロック部材がロック位置になり、カンヌキ操作部材がロックされる。一方、電気式駆動装置が出力部を後退させることで、ロック部材がロック解除位置になり、カンヌキ操作部材のロックが解除される。ロック位置とロック解除位置との間で移動するロック部材は、案内部材によって案内されるので、電気式駆動装置による瞬間的な移動においてもロック部材が予め定められた軌跡で移動する。尚、電気式駆動装置が出力部を後退させることでロックする一方、出力部を進出させることでロック解除するように構成することもできる。以下、同様である。
ここで、仮に、ロック部材がロック位置で固定されたまま、電気式駆動装置に対して出力部を後退させる方向に電圧が印加された場合を想定すると、スプリングの伸長によって電気式駆動装置の後退動作が可能になるので、電気式駆動装置の破損が回避される。
また、電気式駆動装置がロック部材をロック位置からロック解除位置に瞬間的に切り替えたとき、ロック部材の当接部が案内部材に対してその移動方向から当接し、案内部材が同方向の力を受けることになる。これにより、スプリングや連結ピンに作用する衝撃力が低下する。
尚、電気式駆動装置は、例えば電磁ソレノイドや、ギヤ及びモーターを使用した駆動装置等を挙げることができる。
第2の発明は、前記ロック位置にある前記ロック部材を、前記扉の外部からの手動操作によって前記ロック解除位置まで移動させる手動解錠機構を備え、前記当接部は、前記手動解錠機構に係合して当該手動解錠機構から出力されるロック解除方向の力を受けるように配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、例えば電気式駆動装置が故障した場合に、扉の外部から手動解錠機構を操作することで、手動解錠機構から出力されるロック解除方向の力が当接部に伝達されてロック位置にあるロック部材が手動でロック解除位置まで移動する。したがって、当接部が、スプリングや連結ピンに作用する衝撃力を低下させる部分としてだけでなく、手動解錠時にも使用されることになる。
第3の発明は、前記ロック部材は板材で構成され、前記案内部材は、前記ロック部材が前記移動方向に挿通される案内孔を有し、前記当接部は、前記ロック部材から前記移動方向と交差する方向に突出し、前記案内部材の前記案内孔の周縁部に当接する突出部で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ロック部材を案内孔に挿通することで、ロック部材の移動方向以外への動きが規制され、ロック部材を確実に案内することが可能になる。そして、ロック部材から突出する突出部を当接部とすることで、当接部が案内部材の案内孔の周縁部に確実に当接する。
第4の発明は、扉に設けられるカンヌキ操作部材をロックするロック部材と、前記ロック部材を、前記カンヌキ操作部材をロックするロック位置と前記カンヌキ操作部材のロックを解除するロック解除位置とに切り替える電気式駆動装置と、前記ロック部材と、前記電気式駆動装置が有する出力部との間に設けられる伸長可能なスプリングと、前記スプリングの一端部を前記出力部に連結する連結ピンとを備える電気式施解錠装置において、前記ロック部材と、前記スプリングとの間には、前記ロック部材を前記スプリングに連結する連結部材が設けられ、前記連結部材には、前記出力部が前記ロック部材を前記ロック位置とする状態で固定されているときに、前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させる移動許容部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、電気式駆動装置が出力部を例えば進出させることで、連結部材を介してロック部材がロック位置になり、カンヌキ操作部材がロックされる。一方、電気式駆動装置が出力部を後退させることで、連結部材を介してロック部材がロック解除位置になり、カンヌキ操作部材のロックが解除される。
ここで、仮に、ロック部材がロック位置で固定されたまま、電気式駆動装置に対して出力部を後退させる方向に電圧が印加された場合を想定すると、スプリングの伸長によって電気式駆動装置の後退動作が可能になるので、電気式駆動装置の破損が回避される。
また、電気式駆動装置の故障等により、出力部がロック部材をロック位置とする状態で固定されたまま移動しなくなった場合を想定すると、連結部材に移動許容部が設けられているので、ロック部材に対してロック解除方向に外力を作用させることで、スプリングや連結ピンに負担をかけることなく、ロック部材をロック解除位置に移動させることが可能になる。これにより、非常解錠時にスプリングや連結ピンに衝撃力が作用しなくなる。
第5の発明は、前記ロック位置にある前記ロック部材を、前記扉の外部からの手動操作によって前記ロック解除位置まで移動させる手動解錠機構を備え、前記ロック部材には、前記手動解錠機構に係合して当該手動解錠機構から出力されるロック解除方向の力を受ける突出部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、例えば電気式駆動装置が故障した場合に、扉の外部から手動解錠機構を操作することで、手動解錠機構から出力されるロック解除方向の力が突出部に伝達されてロック位置にあるロック部材が手動でロック解除位置まで移動する。このとき、連結部材に移動許容部が設けられているので、ロック部材の移動を連結部材が阻害することはない。
第6の発明は、前記ロック部材には、当該ロック部材の移動方向と交差する方向に延びる係合ピンが設けられ、前記連結部材の前記移動許容部は、前記係合ピンが挿通され、前記移動方向に長い長孔で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ロック部材の係合ピンを連結部材の長孔に挿通した状態で、ロック部材に対してロック解除方向に外力を作用させると、当該長孔がロック部材の移動方向に長いので、係合ピンが長孔の長手方向に移動する。これにより、ロック部材をロック解除位置に移動させることが可能になる。
第7の発明は、扉に設けられるカンヌキ操作部材をロックするロック部材と、前記ロック部材を、前記カンヌキ操作部材をロックするロック位置と前記カンヌキ操作部材のロックを解除するロック解除位置とに切り替える電気式駆動装置と、前記ロック部材と、前記電気式駆動装置が有する出力部との間に設けられる伸長可能なスプリングと、前記スプリングの一端部を前記出力部に連結する連結ピンとを備える電気式施解錠装置において、前記出力部には、前記スプリングの他端部側に向けて延びる保護カバー部材が連結され、前記ロック部材と、前記スプリングとの間には、前記ロック部材を前記スプリングに連結する連結部材が設けられ、前記保護カバー部材は、前記ロック部材が前記ロック位置から前記ロック解除位置に切り替えられたときに連動する前記連結部材に対して当該連結部材の移動方向に当接するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、電気式駆動装置が出力部を例えば進出させることで、連結部材を介してロック部材がロック位置になり、カンヌキ操作部材がロックされる。一方、電気式駆動装置が出力部を後退させることで、連結部材を介してロック部材がロック解除位置になり、カンヌキ操作部材のロックが解除される。
ここで、仮に、ロック部材がロック位置で固定されたまま、電気式駆動装置に対して出力部を後退させる方向に電圧が印加された場合を想定すると、スプリングの伸長によって電気式駆動装置の後退動作が可能になるので、電気式駆動装置の破損が回避される。
また、電気式駆動装置がロック部材をロック位置からロック解除位置に瞬間的に切り替えたとき、ロック部材に連動して連結部材が移動することになる。この連結部材は、保護カバー部材に対して当該連結部材の移動方向から当接するので、保護カバー部材が同方向の力を受けることになる。これにより、スプリングや連結ピンに作用する衝撃力が低下する。
第8の発明は、前記連結部材は板材で構成され、前記保護カバー部材には、前記連結部材が差し込まれるスリットが当該連結部材の移動方向に延びるように設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、連結部材が保護カバー部材のスリットに差し込まれた状態で、連結部材がスリットによって案内されることになる。
第9の発明は、前記保護カバー部材は、前記連結ピンにより前記出力部に連結されていることを特徴とする。
この構成によれば、スプリングの一端部を出力部に連結する連結ピンを用いて、保護カバー部材と出力部も連結することが可能になる。
第1の発明によれば、電気式駆動装置によって駆動されるロック部材を案内する案内部材を設け、ロック部材がロック位置からロック解除位置に切り替えられたときに当該ロック部材の当接部を案内部材に当接させるようにしたので、スプリングや連結ピンに作用する衝撃力を低下させることができ、スプリングや連結ピンの破損を抑制できる。
第2の発明によれば、当接部が手動解錠機構に係合してロック解除方向の力を受けるように配置されているので、スプリングや連結ピンに作用する衝撃力を低下させるだけでなく、手動解錠時にも当接部を利用することができる。
第3の発明によれば、ロック部材を案内孔に挿通することで確実に案内することができ、この場合にロック部材から突出する突出部を当接部としたので、当接部を案内部材の案内孔の周縁部に確実に当接させて、スプリングや連結ピンに作用する衝撃力を確実に低下させることができる。
第4の発明によれば、ロック部材をスプリングに連結する連結部材に、ロック部材をロック位置からロック解除位置に移動させるための移動許容部を設けたので、スプリングや連結ピンに衝撃を作用させることなく、非常解錠を行うことができる。
第5の発明によれば、ロック部材の移動を連結部材が阻害することなく、手動解錠機構によってロック部材をロック解除位置にすることができる。
第6の発明によれば、係合ピンと長孔とを利用することで、移動許容部を簡単に構成することができる。
第7の発明によれば、ロック部材がロック位置からロック解除位置に切り替えられたときの連結部材による衝撃力をスプリングの保護カバー部材によって受けることができるので、スプリングや連結ピンの破損を抑制できる。
第8の発明によれば、連結部材を保護カバー部材のスリットによって案内することで、動きをスムーズにすることができる。
第9の発明によれば、スプリングを出力部に連結する連結ピンによって保護カバー部材を出力部に連結することができるので部品点数の増加を抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る電気式施解錠装置を備えた開閉装置100の斜視図である。この開閉装置100は、例えば各種建築物に設置されて使用される。開閉装置100が設置される建築物としては、例えば各種ビル、工場、研究施設等を挙げることができる。この実施形態では、開閉装置100が研究施設に設置される場合について説明する。開閉装置100は、研究施設を構成している壁部や骨格部材等に設置することができ、部屋や室、通路を開閉するのに用いられる。
開閉装置100は、扉101と、扉101を支持する扉支持部材102と、扉101を扉支持部材102に対して回動可能に連結するヒンジ(図示せず)とを備えている。ヒンジは上下方向に延びる回動軸(図示せず)を備えており、扉101はヒンジの軸周りに回動することにより、図示する閉状態と、図示しない開状態とに切り替えられる。
扉101には、図2等に示す電気式施解錠装置1が内蔵されるとともに、開閉用のハンドル104やカンヌキ105、カンヌキ操作部材106が設けられている。ハンドル104は、扉101の本体部分に対して回転可能に設けられている。ハンドル104の回転力は、カンヌキ操作部材106に対して水平方向の力に変換されて伝達される。カンヌキ操作部材106の水平方向の移動によってカンヌキ105を進出させた状態と、後退させた状態とに切り替えることができる。進出した状態にあるカンヌキ105は、扉支持部材102と係合することによって扉101を閉状態で保持する。
尚、ハンドル104、カンヌキ105及びカンヌキ操作部材106の構成は上述した構成に限られるものではなく、どのような構成であってもよい。例えば、ハンドル104はレバー型のものであってもよい。また、カンヌキ105の数や位置も任意に設定することができる。また、カンヌキ操作部材106の形状や位置も任意に設定することができる。
図4に示すように、扉101は、電気式施解錠装置1が取り付けられる基板101aと、基板101aに取り付けられた電気式施解錠装置1を覆うカバー部材101bとを備えている。基板101aとカバー部材101bとの間には、電気式施解錠装置1を収容可能な収容空間Rが形成されている。
図2に示すように、電気式施解錠装置1は、カンヌキ操作部材106の後退を阻止することによってカンヌキ105を進出させた状態に維持することができるようになっており、この状態が施錠状態である。一方、電気式施解錠装置1は、施錠状態から図3に示す解錠状態に切り替えられるようになっており、この解錠状態では、カンヌキ操作部材106の後退が許容される。
以下に、電気式施解錠装置1の具体的な構成について説明する。電気式施解錠装置1は、上下方向に移動可能なロック部材2と、ロック部材2を駆動する電気式駆動装置としての電磁ソレノイド3と、連結部材4と、スプリング5と、連結ピン6と、上側案内部材7及び下側案内部材8と、手動解錠機構9とを備えている。ロック部材2は、カンヌキ操作部材106をロックするための部材であり、高強度な金属製の板材で構成されている。ロック部材2の長手方向が上下方向と略一致するようにロック部材2が設けられている。ロック部材2の幅方向は、扉101の幅方向と略一致しており、扉101の内面に沿ってロック部材2が延びている。ロック部材2の幅方向を説明の便宜上、左右方向とし、右側及び左側を各図に示すように定義するが、これは実際の使用状態を限定するものではない。
ロック部材2の左右方向の位置は、上側案内部材7及び下側案内部材8によって所定位置に決められている。ロック部材2の上下方向中間部には、当該ロック部材2の移動方向と交差する方向、即ち、右方向へ突出する突出部からなる板状の当接部2aが設けられている。当接部2aは、左方向に突出していてもよい。当接部2aは、ロック部材2の本体部分2bに対して一体成形されており、例えば所定形状の板材を切断することによって本体部分2bと当接部2aとを一体に切り出すことができる。当接部2aを本体部分2bとは別部材で構成してもよく、この場合、当接部2aを本体部分2bに対して固定しておけばよい。また、当接部2aは、正面視で矩形状をなしているが、当接部2aの形状は矩形状に限られるものではなく、任意の形状に設定することができる。当接部2aは、左右両側へ向けてそれぞれ突出するように、複数設けてもよい。
ロック部材2の下端部は、カンヌキ操作部材106の移動を阻止するための阻止部2cである。図2に示すように、ロック部材2が下方へ移動すると、阻止部2cが進出状態にあるカンヌキ操作部材106の端部106aと対向するように配置され、これにより、カンヌキ操作部材106の後退が阻止される。この位置がロック位置である。一方、図3に示すように、ロック部材2が上方へ移動すると、阻止部2cがカンヌキ操作部材106の端部106aよりも上に配置され、これにより、カンヌキ操作部材106の後退が許容される。この位置がロック解除位置である。
ロック部材2の上端部には、係合ピン2dが設けられている。係合ピン2dは、ロック部材2の移動方向(上下方向)と交差する方向に延びており、具体的には、ロック部材2の厚み方向に突出するように延びている。係合ピン2dは、ロック部材2とは別部材によって構成されており、例えばピン状の部材で構成されていてもよいし、ボルトやねじ等の軸を有する部材で構成されていてもよい。ボルトやねじを設ける場合、ボルトやねじの軸が係合ピン2dとなる。
電磁ソレノイド3は、ロック部材2を、カンヌキ操作部材106をロックするロック位置とカンヌキ操作部材106のロックを解除するロック解除位置とに切り替えるためのものである。電磁ソレノイド3は、従来から周知の構造のものを用いることができ、図示しないが、コイル、固定鉄心、可動鉄心、フレーム等を備えている。図2及び図3に示すように、電磁ソレノイド3は、ロック部材2の上端部から上方へ離れて配置されている。電磁ソレノイド3の代わりに、例えばギヤ及びモーターを使用した電気式駆動装置であってもよい。
電磁ソレノイド3は、コイル、固定鉄心、可動鉄心等を内蔵した本体部3aと、可動鉄心に固定されて当該可動鉄心と一体化された出力部3bと、同様に可動鉄心に固定された可動部3cとを有している。可動鉄心の進退方向は上下方向とされており、この実施形態では、図4に示すように、出力部3bがロック部材2の上端部の直上方に配置され、この状態で本体部3aが扉101の基板101aに固定されている。出力部3bは本体部3aから下方へ突出している。コイルに印加する電圧を切り替えることにより、可動鉄心、即ち出力部3bを上下方向に移動させることができ、図2に示すように出力部3bを下方へ移動させて進出させた進出状態と、図3に示すように出力部3bを上方へ移動させて後退させた後退状態とに切り替えることができる。
尚、図示しないが、電磁ソレノイド3には、制御部が接続されている。制御部には、施解錠を操作するための操作ボタンやスイッチ等からなる操作手段が接続されており、この操作手段の操作状態を制御部が検出して電磁ソレノイド3に対して所定の電圧を印加する。電磁ソレノイド3は、電圧が印加された瞬間に進出状態から後退状態、後退状態から進出状態に切り替えられ、その動作スピードは高速である。電磁ソレノイド3は進出状態でロック、後退状態でロック解除としてもよいし、後退状態でロック、進出状態でロック解除としてもよい。
電磁ソレノイド3の可動部3cは本体部3aから上方へ突出している。可動部3cは出力部3bと連動し、出力部3bが後退すると上方へ移動し、出力部3bが進出すると下方へ移動するようになっている。
電磁ソレノイド3の本体部3aよりも下方、かつ、ロック部材2の上方にスプリング5が配置されている。このロック部材2と、スプリング5との間には、ロック部材2をスプリング5に連結するための連結部材4が設けられている。連結部材4は、高強度な金属製の板材で構成されており、上下方向に長い形状とされ、ロック部材2の少なくとも上側部分に対してその厚み方向に重なるように配置されている。この状態で連結部材4の上側部分がロック部材2の上端部よりも上に位置している。
連結部材4の上下方向の寸法は、ロック部材2の上下方向の寸法の寸法よりも短く設定されている。また、連結部材4の左右方向の寸法は、ロック部材2の左右方向の寸法の寸法よりも長く設定されており、連結部材4の左端部はロック部材2の左端部よりも左側へ向けて突出し、連結部材4の右端部はロック部材2の右端部よりも右側へ向けて突出している。
連結部材4には、ロック部材2を相対的に移動可能にするための移動許容部4aが設けられている。移動許容部4aは、電磁ソレノイド3の出力部3bがロック部材2をロック位置とする状態で固定されているときに、ロック部材2をロック解除位置に移動可能にするための部分である。例えば、移動許容部4aを、ロック部材2の係合ピン2dが挿通される長孔で構成することができ、係合ピン2dは長孔内を上下方向に相対的に移動可能になっている。この長孔はロック部材2の移動方向に長く形成されるとともに、連結部材4を厚み方向に貫通する孔である。また、移動許容部4aは、連結部材4の略下半部の領域に形成されている。移動許容部4aの開口幅は、係合ピン2dの先端部に設けられている頭部が抜けないように、当該頭部の外径よりも狭く設定されている。
連結部材4の上端部近傍には、スプリング5の下端部を引っ掛けるためのスプリング取付孔4bが形成されている。スプリング取付孔4bは、例えば円形の孔で構成することができ、連結部材4を厚み方向に貫通している。
スプリング5は、ロック部材2と、電磁ソレノイド3が有する出力部3bとの間に設けられる部材であり、少なくとも伸長可能に構成されている。スプリング5としては、例えば引っ張りバネ等を用いることができるが、スプリング5の形式はこれに限られるものではなく、伸長に加えて縮むことが可能な部材であってもよい。
スプリング5の伸長方向は上下方向である。図8に示すように、スプリング5の上端部(一端部)には、輪状に形成された上端引っ掛け部5aが設けられ、また、スプリング5の下端部(他端部)には、同様に形成された下端引っ掛け部5bが設けられている。図2に示すように、下端引っ掛け部5bは、連結部材4のスプリング取付孔4bが形成された箇所に引っ掛けられるようになっている。
図2等に示す連結ピン6は、スプリング5の上端引っ掛け部5aを電磁ソレノイド3の出力部3bに連結するための部材であり、例えば金属材で構成されている。図4や図8等に示すように、電磁ソレノイド3の出力部3bの左右方向の両側には、それぞれピン挿通孔3dが左右方向に貫通するように形成されている。連結ピン6は左右方向に延びる姿勢とされ、左右方向の両端部が出力部3bのピン挿通孔3dに挿通された状態で出力部3bに保持されている。連結ピン6の抜け止めとしては、例えば止め輪(図示せず)等を用いることができる。連結ピン6の左右方向中間部がスプリング5の上端引っ掛け部5aに差し込まれている。これにより、スプリング5の上端引っ掛け部5aを連結ピン6に取り付けることができる。
図2に示すように、電磁ソレノイド3の出力部3bには、スプリング5を保護するための保護カバー部材10が連結されている。保護カバー部材10も電気式施解錠装置1の構成要素である。図7に示すように、保護カバー部材10は、スプリング5の上端引っ掛け部5aから下端部側向けて下端引っ掛け部5bまで延びる左側板部11及び右側板部12を有するとともに、左側板部11の上部と右側板部12の上部とを連結する上板部13を有している。
保護カバー部材10の左側板部11及び右側板部12は、電磁ソレノイド3の出力部3bの左側部と右側部との間に配置されており、連結部材4に対して直交する方向に延びている。左側板部11及び右側板部12の上端部には、連結ピン6が挿通する挿通孔(図示せず)が板部11、12を左右方向(厚み方向)に貫通するように形成されている。連結ピン6が左側板部11及び右側板部12の挿通孔に挿通されており、これにより、保護カバー部材10が連結ピン6により出力部3bに連結されることになる。
図7に示すように、左側板部11及び右側板部12の間にスプリング5が配置されている。スプリング5と左側板部11との間、スプリング5と右側板部12との間には、それぞれ隙間が形成されており、スプリング5の伸長動作を左側板部11及び右側板部12が阻害しないようになっている。また、図8に示すように、左側面視ではスプリング5が左側板部11によって完全に覆われるようになっている。図示しないが、右側面視においても同様にスプリング5が右側板部12によって完全に覆われるようになっている。
図2に示すように、左側板部11及び右側板部12の略下半部には、それぞれ連結部材4の上側部分が差し込まれるスリット11a、12aが当該連結部材4の移動方向である上下方向に延びるように設けられている。スリット11a、12aの下端部は開放されており、この開放部分から連結部材4を差し込むことが可能になっている。連結部材4は、スリット11a、12aに差し込まれた状態で保護カバー部材10に対して上下方向に相対移動可能になっており、保護カバー部材10におけるスリット11a、12aの上端部に連結部材4の上端部が当接することで、連結部材4の保護カバー部材10に対する上昇位置が規定され、それ以上、連結部材4が保護カバー部材10に対して上昇するのが阻止される。つまり、保護カバー部材10は、ロック部材2がロック位置からロック解除位置に切り替えられたときに連動する連結部材4に対して当該連結部材4の移動方向に当接するように形成されている。
上側案内部材7は、ロック位置とロック解除位置との間で移動するロック部材2を当該移動方向に案内するための部材である。図4にも示すように、上側案内部材7は、基板101aに固定される固定板部7aと、固定板部7aからカバー部材101b側へ突出する案内板部7bとを備えており、ロック部材2と同様な金属製の板材で構成されている。案内板部7bには、ロック部材2が移動方向に挿通される案内孔7cが形成されている。案内孔7cは、ロック部材2の断面形状に対応して左右方向に長く延びるように形成されている。ロック部材2が移動する際には、ロック部材2の外面が案内孔7cの内面の摺動することによって上下方向に案内される。また、ロック部材2の左右方向の移動が案内孔7cの内面によって規制される。
上側案内部材7は、ロック部材2の当接部2aよりも上に位置している。従って、ロック部材2がロック位置からロック解除位置に切り替えられると、ロック部材2の当接部2aが上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に対してロック部材2の移動方向から当接するようになっている。具体的には、ロック部材2の当接部2aの上端部が、上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に対して下方から当接することになる。これにより、ロック部材2の上昇位置が規定される。
下側案内部材8は上側案内部材7と同様に構成されており、固定板部8a及び案内板部8bを有するとともに、案内板部8bに案内孔8cが形成されている。上側案内部材7及び下側案内部材8によってロック部材2の上下両側がそれぞれ上下方向に案内される。
手動解錠機構9は、ロック位置にあるロック部材2を、扉101の外部からの手動操作によってロック解除位置まで移動させるための機構である。すなわち、手動解錠機構9は、扉101の基板101aに固定される固定板90と、手動解除用の操作ボタン91と、揺動板92とを有している。操作ボタン91は、扉101の外部からの手動操作が可能となるように、カバー部材101bから外部に臨むように配設されている。図4に示すように、操作ボタン91は、通常時に誤って操作されないようにボタンカバー101cにより覆われているが、このボタンカバー101cは省略してもよい。
操作ボタン91は、例えば指等で押動操作可能であり、指による押動力によって扉101の内方(基板101aに近づく方向)へ移動可能に固定板90に支持されている。操作ボタン91には、可動板91aが設けられている。操作ボタン91の押動操作に伴って可動板91aも同方向に移動するようになっている。揺動板92は、固定板90に対して左右方向に延びる軸92aによって上下方向に揺動自在に取り付けられている。揺動板92には、係合突起92b(図2及び図4に破線で示す)が設けられている。この係合突起92bは、操作ボタン91の可動板91aと係合するようになっており、操作ボタン91が押動操作されて可動板91aが移動すると、係合突起92bを可動板91aが押し、これにより、図4に仮想線で示すように揺動板92が軸92a周りに上方へ回動する。
揺動板92の上方には、上方へ回動する揺動板92に係合するように、ロック部材2の当接部2aが配置されている。つまり、ロック部材2の当接部2aは、揺動板92に係合して手動解錠機構9から出力されるロック解除方向の力(軸92a周りの上方へ向かう力)を受けるように配置されている。
(施錠動作)
施錠動作は、カンヌキ操作部材106が進出した状態で行われる。図示しない施解錠操作ボタンにより施錠操作がなされると、図2に示すように、電磁ソレノイド3が出力部3bを進出させる。これにより、スプリング5及び連結部材4を介して出力部3bに連結されているロック部材2は下方へ移動してロック位置に配置される。このとき、ロック部材2は自重によって下方へ移動させることができるが、図示しないバネ等の付勢手段による付勢力により下方へ移動させてもよい。ロック部材2がロック位置に配置されると、阻止部2cが進出状態にあるカンヌキ操作部材106の端部106aと対向するように配置され、これにより、カンヌキ操作部材106の後退が阻止される。
(解錠動作)
図示しない施解錠操作ボタンにより解錠操作がなされると、図3に示すように、電磁ソレノイド3が出力部3bを後退させる。これにより、スプリング5及び連結部材4を介して出力部3bに連結されているロック部材2は上方へ移動してロック解除位置に配置されるので、阻止部2cがカンヌキ操作部材106の端部106aよりも上に配置される。従って、カンヌキ操作部材106の後退が許容される。ロック部材2は、上側案内部材7及び下側案内部材8によって上下方向に案内されるので、ロック位置からロック解除位置に移動する際、ロック解除位置からロック位置に移動する際に、予め定められた軌跡で移動することになり、動作がスムーズに行われる。
また、ロック位置からロック解除位置に切り替える際、電磁ソレノイド3は、出力部3bを瞬間的に後退させるので、ロック部材2は高速で上昇することになる。このため、仮に当接部2aが無いと、ロック部材2の慣性力によってスプリング5及び連結ピン6に衝撃力が作用してしまう。これが繰り返し行われると、スプリング5や連結ピン6の破損に繋がるおそれがある。
本実施形態では、ロック部材2に当接部2aを設けており、ロック位置からロック解除位置に切り替える際に、当接部2aを上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に当接させてロック部材2が必要以上に上方へ移動しないように上昇位置を規制している。つまり、当接部2aの位置及び上側案内部材7の位置によってロック部材2の過度な上昇を防止しているので、スプリング5や連結ピン6に作用する衝撃力を大幅に低下させることができる。
また、ロック位置からロック解除位置に切り替える際、連結部材4も高速に上昇することになるが、連結部材4の上昇位置は、保護カバー部材10の左側板部11及び右側板部12に形成されているスリット11a、12aの上端部によって規制されているので、連結部材4の慣性力によってスプリング5及び連結ピン6に作用する衝撃力を大幅に低下させることができる。
(非常解錠時)
次に、非常解錠について説明する。例えば、電磁ソレノイド3の故障等によって電磁ソレノイド3が進出状態で動かなくなると、ロック部材2がロック位置のままになり、カンヌキ105を後退させることができなくなる。このような非常時には、扉101の外部から手動解錠機構9の操作ボタン91を押す。すると、可動板91aが移動して、揺動板92の係合突起92bを可動板91aが押し、これにより、揺動板92が軸92a周りに上方へ回動してロック部材2の当接部2aに対して上方へ向かう力が作用する。これによってロック部材2が上方へ移動しようとする。ロック部材2の係合ピン2dが連結部材4の移動許容部4aに挿通されているので、連結部材4が上方に動かなかったとしても、ロック部材2の上方への移動が許容され、これにより、ロック部材2をロック解除位置にすることができる。
手動でロック解除位置にする際にも、当接部2aを上側案内部材7の案内孔7cの周縁部に当接させることができるので、スプリング5や連結ピン6に作用する衝撃力を大幅に低下させることができる。
(異常操作時)
次に、異常操作時について説明する。図6に示すように、ロック位置にあるロック部材2が例えば他の部材に引っ掛かる等してロック解除位置に移動させることができない状態で、電磁ソレノイド3の出力部3bが後退した場合を想定する。この場合、電磁ソレノイド3の出力部3bとロック部材2との間にはスプリング5が介在しているので、スプリング5が伸長することで出力部3bの後退が許容される。スプリング5の伸長により、保護カバー部材10が連結部材4に対して上方へ相対的に移動する。これにより、電磁ソレノイド3の破損が回避される。
保護カバー部材10が上方へ移動する際には連結部材4が保護カバー部材10のスリット11a、12a内を移動することになる。このとき、スリット11a、12aの内面が連結部材4の外面を摺動して保護カバー部材10が連結部材4によって上方へ案内されるので、保護カバー部材10がスムーズに上方へ移動する。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る電気式施解錠装置1によれば、電磁ソレノイド3が出力部3bを進出させることで、ロック部材2がロック位置になり、カンヌキ操作部材106をロックすることができる。一方、電磁ソレノイド3が出力部3bを後退させることで、ロック部材2がロック解除位置になり、カンヌキ操作部材106のロックを解除することができる。したがって、外部からの電気信号によってロックとロック解除とを素早く切り替えることができる。
ロック位置とロック解除位置との間で移動するロック部材2は、上側案内部材7及び下側案内部材8によって案内することができるので、電磁ソレノイド3による瞬間的な移動においてもロック部材2を予め定められた軌跡で移動させることができる。
また、仮に、ロック部材2がロック位置で固定されたまま、電磁ソレノイド3に対して出力部3bを後退させる方向に電圧が印加された場合、スプリング5の伸長によって電磁ソレノイド3の後退動作が可能になるので、電磁ソレノイド3の破損を回避できる。
また、電磁ソレノイド3がロック部材2をロック位置からロック解除位置に瞬間的に切り替えたとき、ロック部材2の当接部2aが上側案内部材7に対してその移動方向から当接し、上側案内部材7が同方向の力を受ける。これにより、スプリング5や連結ピン6に作用する衝撃力を低下させることができ、スプリング5や連結ピン6の破損を抑制できる。
また、電磁ソレノイド3の故障等により、出力部3bがロック部材2をロック位置とする状態で固定されたまま移動しなくなった場合、連結部材4に移動許容部4aが設けられているので、手動解錠機構9を利用してロック部材2に対してロック解除方向に外力を作用させることで、連結部材4を停止させたまま、ロック部材2をロック解除位置に移動させることができる。これにより、非常解錠時に連結部材4を停止状態で保持することができるので、スプリング5や連結ピン6に衝撃力が作用しなくなり、スプリング5や連結ピン6の破損を抑制できる。
また、電磁ソレノイド3がロック部材2をロック位置からロック解除位置に瞬間的に切り替えたとき、ロック部材2に連動して連結部材4が移動することになるが、この連結部材4は、保護カバー部材10のスリット11a、12aの上端部に対して下方から当接するので、保護カバー部材10が同方向の力を受ける。これにより、スプリング5や連結ピン6に作用する衝撃力を低下させることができ、スプリング5や連結ピン6の破損を抑制できる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。