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JP6892582B2 - コンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法 - Google Patents
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JP6892582B2 - コンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法 - Google Patents

コンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法 Download PDF

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Description

本願発明は、例えば橋梁の床版のように表面積が大きなコンクリートの湿潤養生に関するものであり、より具体的には、養生範囲の湿潤状態及びコンクリート温度を判断したうえで適温の水を自動散水する、コンクリート養生における散水システムと散水方法に関するものである。
コンクリートは、水とセメントが反応(水和反応)することによって、時間の経過とともに硬化し、その強度が増していく。ところが、日光の直射による温度上昇や風等による乾燥のため、打ち込み直後のコンクリートからは水分が蒸発しやすい。コンクリートからの水分蒸発は、セメントの水和反応を阻害するうえ、プラスチック収縮ひび割れが生じるなど、その品質に悪影響を与えることとなる。そこで、打ち込み後のコンクリートの湿潤状態を維持する目的で、表面にコンクリート養生マット(以下、単に「養生マット」という。)を敷設し、さらに定期的な散水を行う「湿潤養生」が実施される。
コンクリートの湿潤養生は、日平均気温によっても異なるが、相当期間実施しなければならない。例えば、日平均気温が10℃程度であれば、普通ポルトランドセメントの場合1週間の湿潤養生が必要とされている。つまり、コンクリート打ち込み後、1週間にわたって定期的な散水を実施しなければならないわけである。
コンクリート構造物には、現場打ちの側溝など小規模なものもあれば、トンネルの覆工コンクリートのように比較的規模の大きなものもあり、当然ながらその規模に伴って湿潤養生の作業手間も異なる。特に、橋梁の床版コンクリートのようにコンクリート表面積が大きいと、それに応じて大きな養生マットが必要となり、散水する量も多くなる。特に散水に関しては、所定期間(例えば1週間)、広範囲かつ大量の散水を行うことになるが、従来では人がホース等を用いてこの散水作業を行っていたため、相当な作業手間と作業コストが掛かっていた。
そこで特許文献1では、トンネル覆工コンクリートの湿潤養生を行うに当たり、赤外線水分センサによってコンクリート表面の湿潤状態を判定し、その判定結果に応じて自動散水を行う技術を提案している。
特開2011−153497号公報
既述のとおりコンクリートは、セメントの水和反応によって硬化していき、そしてその強度が増加していく。一般に、コンクリートの圧縮強度と、養生温度、材齢の関係は、積算温度の概念で表すことができ、養生温度が低いと所定強度の発現には時間を要し、逆に養生温度が高いと早期に所定の強度が発現する。この養生温度として適切な範囲が示されているわけではないが、極端に養生温度が低いとセメントの水和反応が遅れ、強度発現が遅延するばかりでなく初期凍害を受けるおそれもある。一旦初期凍害を受けたコンクリートは、その後適切な養生を行っても強度を回復することはない。したがって養生温度は、ある程度以上の温度とすることが望ましい。また、極端に養生温度が高い場合、コンクリートの諸性状の変化が顕著となることが知られており、やはりある程度以下の温度で養生することが望まれる。
「コンクリート標準示方書 施工編(土木学会)」では、日平均気温が4℃以下となる状況で打ち込むコンクリートは、特に「寒中コンクリート」として特段の注意を払った施工を行うよう規定している。例えば、寒中コンクリートの養生は、所定の圧縮強度が得られるまではコンクリート温度を5℃以上に保ち、さらにその後2日間は0℃以上を保つこととしている。また、日平均気温が25℃以上となる状況で打ち込むコンクリートは、特に「暑中コンクリート」として特段の注意を払った施工を行うよう規定しており、打ち込み直後の急激なコンクリート温度上昇に伴う乾燥によって生じるひび割れを防ぐよう、養生することとしている。
寒中コンクリートや暑中コンクリートに限らず、適切なコンクリート温度を保ちながら養生することは、コンクリートの品質を確保する上では極めて重要である。そのため、湿潤養生で行われるコンクリート表面への散水作業は、コンクリート温度を管理しながら行うと好適となる。具体的には、散水に当たってコンクリート温度を計測し、その温度が管理下限値(下限閾値)よりも低い場合は比較的高温の水(以下、散水用の水を「養生水」という。)で散水し、その温度が管理上限値(上限閾値)よりも高い場合は比較的低温の養生水で散水する。
作業者がホース等を用いて散水作業を行う場合であれば、作業者が適宜コンクリート温度を計測し、作業者の判断によって養生水を適温に調節(昇温/冷却)したうえで散水することができる。ところが、特許文献1をはじめこれまで提案されてきた自動散水技術では、一定温度の養生水を散水することしかできなかった。仮に、従来の自動散水技術を採用し、かつ適温の養生水で散水しようとすると、作業者が温度計測や養生水の温度調節を行うこととなり、自動化したにもかかわらず相当の作業手間と作業コストが掛かる結果となる。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、コンクリートの湿潤状態に応じて適時に自動散水するとともに、コンクリート温度に応じた適温の養生水を散水することができる散水システムと散水方法を提供することにある。
本願発明は、コンクリートの湿潤状態と温度に基づいて、散水の要否及び養生水の温度調節の要否を判断したうえで自動散水を行う、という従来にはない発想に基づいて行われたものである。
本願発明のコンクリート養生における散水システムは、コンクリート養生マットが敷設されたコンクリート表面に散水するものであり、送水手段と、水分計測手段、散水制御手段、温度計測手段、温度調節手段、温度調節制御手段を備えたものである。このうち送水手段は、コンクリート養生マット内に水を送り出して散水する手段であり、水分計測手段は、コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置されるものであって周辺の湿潤状態を計測する手段であり、散水制御手段は、水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて散水の要否を判断する手段である。また、コンクリート温度計測手段は、コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置されるものであってコンクリート表面温度を計測する手段であり、温度調節手段は、送水手段によって送られる水を加温又は冷却する手段であり、温度調節制御手段は、コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度に基づいて温度調節手段による加温又は冷却の要否を判断する手段である。送水手段は、散水制御手段が要散水と判断したときに、あらかじめ定めた散水時間だけ継続して散水する。そして、温度調節手段は、散水制御手段が要散水と判断し、かつ温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したときに、(その後に計測されたコンクリート表面温度にかかわらず)散水時間だけ継続して加温又は冷却する。
本願発明のコンクリート養生における散水システムは、散水時間設定手段を備えたものとすることもできる。この散水時間設定手段は、水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて散水時間を設定する手段である。この場合、送水手段は、散水制御手段が要散水と判断したときに、散水時間設定手段で設定された散水時間だけ継続して散水し、温度調節手段は、散水制御手段が要散水と判断し、かつ温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したときに、散水時間設定手段で設定された散水時間だけ継続して加温又は冷却する。
本願発明のコンクリート養生における散水システムは、水を溜める貯水設備と、貯水設備内の水温を計測する水温計測手段を、さらに備えたものとすることもできる。この場合の送水手段は、貯水設備内の水をコンクリート養生マット内に送り出す。また、温度調節制御手段は、コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度又は水温計測手段で得られた水温に基づいて、要加温又は要冷却を判断する。そして温度調節手段は、散水制御手段が要散水と判断し、かつ温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したときに、(その後に計測されたコンクリート表面温度及び貯水設備内の水温にかかわらず)散水時間だけ継続して加温又は冷却する。
本願発明のコンクリート養生における散水システムは、コンクリート表面温度に基づいて目標水温を設定する水温設定手段を、さらに備えたものとすることもできる。この場合の温度調節手段は、送水手段によって送られる水の温度を、水温設定手段で設定された目標水温まで加温又は冷却する。
本願発明のコンクリート養生における散水システムは、分割領域(コンクリート養生マットが敷設された領域を複数に分割した小領域)ごとに散水の要否を判断するものとすることもできる。この場合の送水手段は、水を圧送する圧送手段と、圧送手段からの水を2以上に分岐させる分岐手段、分岐手段が具備する各分岐口に連結される送水管、送水管の途中に設けられる開放弁を有し、送水管の吐出口は分割領域ごとに配置される。また、水分計測手段はそれぞれ分割領域ごとに設置され、散水制御手段は分割領域ごとに散水の要否を判断する。そして、散水制御手段が要散水と判断した分割領域に対応する送水管の開放弁を開くことで、その分割領域のコンクリート養生マット内に散水する。さらにこの場合の本願発明のコンクリート養生における散水システムでは、送水管ごとに温度調節することもできる。具体的には、コンクリート温度計測手段がそれぞれ分割領域ごとに設置され、温度調節制御手段は分割領域ごとに要加温又は要冷却を判断する。そして、散水制御手段が要散水と判断し、かつ温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断した分割領域に対応する送水管の水に対して、送水管ごとに設置された温度調節手段が加温又は冷却する。
本願発明のコンクリート養生における散水システムは、2以上の分割領域に対して重複しないように散水することもできる。この場合の散水制御手段は、2以上の分割領域に対して要散水と判断したとき、同一時刻では1のみの開放弁が開放されるように、それぞれ開放弁の開放時刻と閉鎖時刻を設定し、それぞれの開放弁は、散水制御手段が設定した開放時刻と閉鎖時刻に基づいて開閉する。
本願発明のコンクリート養生における散水方法は、送水手段によって水を送り出すことでコンクリート表面に散水する方法であり、養生マット敷設工程と、水分計測工程、コンクリート温度計測工程、散水判断工程、温度調節判断工程を備えた方法である。このうち養生マット敷設工程では、打ち込み後のコンクリートにコンクリート養生マットを敷設し、水分計測工程では、コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置された水分計測手段によって湿潤状態を計測し、コンクリート温度計測工程では、コンクリート温度計測手段によってコンクリート表面温度を計測する。また、散水判断工程では、水分計測工程で得られた湿潤状態に基づいて散水の要否を判断し、温度調節判断工程では、コンクリート温度計測工程で得られたコンクリート表面温度に基づいて、送水手段によって送られる水に対する加温又は冷却の要否を判断する。そして、散水判断工程で要散水と判断したとき、あらかじめ定めた散水時間だけ継続して送水手段によって送水し、散水判断工程で要散水と判断し、かつ温度調節判断工程で要加温又は要冷却と判断したとき、(その後に計測されたコンクリート表面温度にかかわらず)送水手段によって送られる水を散水時間だけ継続して加温又は冷却する。
本願発明のコンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法には、次のような効果がある。
(1)自動的に散水作業が行われるため、人による作業手間が著しく削減され、作業コストも圧縮することができる。
(2)寒中コンクリートや暑中コンクリートに対しても、適切な温度の養生水で適切に湿潤養生を行うことができるため、確実に高品質のコンクリートを得ることができる。
(3)養生水の温度がコンクリート温度に応じて自動的に調節されるため、人による作業手間はかからず、適温の養生水で散水したとしても作業コストを圧縮することができる。
(4)コンピュータなどを利用して機械的に散水判断及び温度調節判断を行うため、ヒューマンエラー(例えば、散水作業の失念や、温度の誤調節)を排除した的確な散水作業が実践される。
橋梁床版に本願発明のコンクリート養生における散水システムを設置した状態を示す平面図。 コンクリート打ち込みから養生完了までの一連の流れを示すフロー図。 本願発明のコンクリート養生における散水システムの構成を示すブロック図。 (a)は吸水材を装着する前の水分センサを示すモデル図、(b)は吸水材を装着した後の水分センサを示すモデル図。 本願発明のコンクリート養生における散水システムの運転における主な処理の流れを示すフロー図。 温度調節制御手段が、コンクリート表面温度に基づいて養生水の温度調節の要否を判断する際の主な処理の流れを示すフロー図。 温度調節制御手段が、コンクリート表面温度と水源温度に基づいて養生水の温度調節の要否を判断する際の主な処理の流れを示すフロー図。 給水警告手段と充電警告手段の機能を説明するモデル図。 橋梁床版に本願発明のコンクリート養生における散水システムを設置し、分割領域ごとに散水する状況を示す平面図。 第2の実施形態のコンクリート養生における散水システムの構成を示すブロック図。 第2の実施形態で、それぞれの送水管に、それぞれ温度調節手段が設置されたコンクリート養生における散水システムの構成を示すブロック図。 複数の開放弁が同じ時刻に重複して解放されることがないように散水する処理の流れを示すフロー図。
本願発明のコンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法の実施形態の一例を図に基づいて説明する。
1.全体説明
本願発明のコンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法はあらゆるコンクリート構造物を対象として実施することができるが、ここでは便宜上橋梁のコンクリート床版を例に説明する。図1は、橋梁のコンクリート床版(以下、単に「床版100」という。)に本願発明のコンクリート養生における散水システム(以下、単に「散水システム300」という。)を設置した状態を示す平面図であり、そのうち1の範囲(図では中央部)で散水が行われている状況を示す平面図である。一般的に、床版コンクリートの打ち込みは橋軸方向に分割した範囲(以下、「打設スパン」という。)ごとに行う。この図では、コンクリート打ち込み後で湿潤養生中の打設スパン(以下、「養生領域110」という。)を中央に示し、既に養生が完了した既施工スパン120を右側に、まだコンクリートの打ち込みを行っていない未施工スパン130を左側に示している。
図2を参考にしながら、コンクリート打ち込みから養生完了までの一連の流れを説明する。まず、所定の打設スパンで床版コンクリートの打ち込み(Step100)を行った後、コンクリート表面に養生マット200を敷設する(Step200)。なお説明の便宜上、図1では養生領域110のうち一部にのみ養生マット200を示し、残りの部分では養生マット200下の散水状況を示しているが、実際には養生マット200は養生領域110全体を覆うように敷設される。
養生マット200の敷設が完了すると、いったん作業者によって散水作業が行われ、その後、本願発明の散水システム300を設置する(Step300)。なお、人による散水作業は、現場状況によって省略することもできる。散水システム300が設置できると、散水システム300の運転を開始する(Step400)。この散水システム300は、養生マット200内(養生マット200とコンクリート表面の間)の湿潤状態を維持するための散水を行うものであり、その湿潤状態(あるいは乾燥状態)に応じて適宜散水を行う。また、散水を行うにあたっては、コンクリート表面温度に応じて、養生水(散水用の水)を適切な温度に調節する。
既述のとおりコンクリートの湿潤養生を行う期間はあらかじめ定められている(例えば、日平均気温10℃の普通ポルトランドセメントでは1週間)ため、この間は継続して散水システム300の運転(Step400)を行い、養生期間を経過したとき(Step500:Yes)は散水システム300と養生マット200を撤去して(Step600)、当該養生領域110の湿潤養生を終了する。
以下、本願発明の散水システム300を用いた散水についてさらに詳しく説明する。なお散水システム300は、養生領域110全体に対して散水することもできるし、養生領域110を複数に分割した小領域(以下、「分割領域」という。)ごとに散水することもできる。そこで、養生領域110全体に対して散水するケースを第1の実施形態とし、分割領域ごとに散水するケースを第2の実施形態とし、それぞれ分けて説明する。
2.第1の実施形態
図3を参考にしながら、本願発明の散水システム300を構成する各手段について説明する。図3は本願発明の散水システム300の構成を示すブロック図である。
(送水手段)
図3では、貯水設備301に溜められた水を、養生領域110の養生マット200内(養生マット200とコンクリート表面の間)に散水する例を示しており、上流側(貯水設備302)から下流側(養生マット200)に見ると、貯水設備301、給水管302、圧送手段303、送水管304、開放弁305、出水手段306の順で接続されている。貯水設備301は、いわば貯水槽であり、必要量の水を溜めることができる容器である。給水管302は、例えば所定径のホースを使用することができ、その先端にはおもりが固定されて貯水設備301内の水中に沈設されている。
圧送手段303は、給水管302を通じて貯水設備301から給水するとともに、この水を前方(下流側)に圧送するものである。本願発明に使用する圧送手段303は、種々の動力によって駆動するものを選択することができるが、ここでは電力によって駆動する電動ポンプの場合で説明する。また、電力会社から供給される電力を受電する電動ポンプを利用することもできるし、充電式(バッテリータイプ)の電動ポンプを利用することもできる。なお、送水管304の圧力を感知し、所定の圧力がかかっていないとき(例えば、弁が開放しているとき)は自動的に圧送し、所定の圧力がかかると(例えば、弁が閉じると)自動的に圧送を停止する形式の電動ポンプもあるので、本願発明でも当該形式の電動ポンプを採用すると良い。
送水管304は、圧送手段301から圧送された水を前方(下流側)に送水するための管路であり、例えば所定径の金属管やホースを使用することができる。この送水管304の途中には開放弁305が設置されており、さらにその先端には出水手段306が接続されている。開放弁305は、その先への送水を制御するもので、つまり開放弁305が開くと送水管304内の水は出水手段306に送られ、開放弁305が閉まると送水管304内の水は出水手段306には送られない。また、本願発明に使用する開放弁305は、記憶手段(データロガ)を具備するものを利用することもできる。この記憶手段では、開放弁305の開閉時間(解放した時刻と閉鎖した時刻)や、有線で接続された水分センサにより得られた計測値を記憶することができる。なお、本実施形態では開放弁305を省略する(設けない)こともできる。
出水手段306は、多数の出水口を備え、同時に多条の出水ができるものであれば、例えばエバフロー(登録商標)など従来から用いられている種々の製品を利用することができる。出水手段306の本体は、円筒状(ホース状)であり、本体の一端が閉鎖されて他端が開口し、本体部に多数の出水口が設けられている。すなわち、送水管304を通じて送られた水が、出水手段306の本体の開口端から流入し、本体部の出水口から散水されるわけである。なお、床版100に横断勾配が設けられているときは、橋軸直角方向における高い側に出水手段280を設置するのが望ましい。
(散水制御手段)
散水制御手段311は、養生マット200内の湿潤状態に応じて散水の要否を判断するものであり、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。養生マット200とコンクリート表面の間に設置された水分計測手段(以下、「水分センサ312」という。)の計測値(以下、「水分計測値」という。)を受け取った散水制御手段311は、事前に設定された閾値(以下、「湿潤閾値」という。)に照らして散水の要否判断を行う。水分計測値が湿潤閾値を下回るときは、養生マット200内が散水を要する程度に乾燥しているとして散水が必要であると判断し、水分計測値が湿潤閾値を上回るときは、十分に湿潤状態が維持できているとして散水は必要ないと判断する。そして、要散水と判断した散水制御手段311は、開放弁305に対して開放(出水)するよう指令を出す。あるいは、(例えば、開放弁305を設置しないケースでは)散水制御手段311が圧送手段303に対して圧送するよう直接指令を出すこともできる。なお、水分センサ312の水分計測値と、開放弁305や圧送手段303に対する出水(停止)指令は、有線によって送受信することもできるし、もちろん無線によって送受信することもできる。
水分センサ312は、養生マット200とコンクリート表面の間に設置され、養生マット300内の湿潤状態(乾燥状態)を計測することができるものであれば、従来から用いられている種々の製品を利用することができる。ただし、水分センサ312周辺の湿潤状態を直接計測するのが難しいものもあり、その場合は吸水材を利用すると良い。図4は、吸水材312sを利用した水分センサ312を示すモデル図であり、(a)は吸水材312s装着前の、(b)は吸水材312s装着後の状態を示す。図4(a)に示すように、水分計測手段は湿潤状態を計測する検知部312tを備えており、この部分に例えばスポンジなどの吸水材312sを装着する。具体的には、吸水材312sに切り込み又は空洞を設け、その部分に検知部312tを挿入する(図4(b))。その結果、検知部312tは、水分を吸収した吸水材312sを計測することになり、養生マット300内の湿潤状態を容易かつ正確に計測することができる。
(温度調節制御手段)
温度調節制御手段321は、出水手段306から散水される水(つまり、養生水)の温度調節の要否を判断するものであり、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。したがって1つのコンピュータ装置で散水制御手段311と温度調節制御手段321を構成することもできるし、それぞれ別のコンピュータ装置で散水制御手段311と温度調節制御手段321を構成することもできる。
養生マット200とコンクリート表面の間に設置されたコンクリート温度計測手段(以下、「コンクリート温度センサ322」という。)の計測値(以下、「コンクリート表面温度」という。)を受け取った温度調節制御手段321は、事前に設定された閾値に照らして養生水の温度調節の要否判断を行う。コンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、逆にコンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する。養生水の加温及び冷却は、給水管302や送水管304の途中に設置される温度調節手段323によって行われる。温度調節手段323は、電気やガス等を利用して送水中の養生水を加温及び冷却するもので、比較的短時間で温度調節できるものが望ましい。
温度調節制御手段321は、コンクリート表面温度に加えて(あるいは代えて)、貯水設備301に設置された水温計測手段(以下、「水温計324」という。)の計測値(以下、「水源温度」という。)に基づいて養生水の温度調節の要否判断を行うこともできる。コンクリート表面温度と水源温度のどちらか一方(あるいは両方)が下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、逆にコンクリート表面温度と水源温度のどちらか一方(あるいは両方)が上限温度を上回るときは要冷却と判断する。
要加温又は要冷却と判断した温度調節制御手段321は、温度調節手段323に対して加温又は冷却するよう指令を出す。ただし、散水しないにもかかわらず養生水を加温又は冷却することは無駄となることから、散水制御手段311が要散水と判断したときのみ温度調節手段323に対して温度調節の指令を出す。なお、コンクリート温度センサ322のコンクリート表面温度や、水温計324の水分計測値、温度調節手段323に対する温度調節指令は、有線によって送受信することもできるし、もちろん無線によって送受信することもできる。
コンクリート温度センサ322は、コンクリート表面温度を計測することができるものであれば、従来から用いられている種々の製品を利用することができる。同様に水温計324は、水中の温度を計測することができるものであれば、従来から用いられている種々の製品を利用することができる。なお、コンクリート温度センサ322や水温計324による温度計測は、連続して、あるいは比較的短い(散水制御手段311が散水の要否判断を行う時間間隔よりも短い)時間間隔で行われる。
(散水システムの運転)
次に、散水システム300の運転(図2:Step400)について詳しく説明する。図5は、散水システム300の運転における主な処理の流れを示すフロー図である。既述のとおり、散水制御手段311は散水の要否判断を行うが、この要否判断はあらかじめ定められた時刻に行われ、通常は待機状態(Step410)を保ち、要否判断すべき時刻と判断される(Step420:Yes)と、後続の処理へ進む。なお、散水の要否判断すべき時刻は、毎正時や30分ごとなど一定間隔で設定することもできるし、朝夕は間隔をあけて昼間に集中して実施するなど不定期に設定することもできる。
散水制御手段311は、水分センサ312(あるいは開放弁305の記憶手段)から無線又は有線の通信手段を通じて水分計測値を受信し(Step431)、湿潤閾値と照らし合わせる(Step432)。そして、水分計測値が湿潤閾値を上回る場合(No)は、待機状態(Step410)に戻り、水分計測値が閾値を下回る場合(Yes)は要散水と判断したうえで、水分計測値に応じた散水時間を設定する(Step433)。例えば、水分計測値が閾値をやや下回るときは短い散水時間を設定し、水分計測値が閾値を大幅に下回るときは長い散水時間を設定する。なお、ここでは散水時間を設定することなく(Step433を省略して)、あらかじめ定めた(つまり、水分計測値にかかわらず定めた)所定の時間を散水時間として後続の処理を行うこともできる。
一方、コンクリート温度センサ322や水温計324では、連続して(あるいは比較的短い時間間隔で)コンクリート表面温度や水源温度が計測されており、この計測結果に基づいて、温度調節制御手段321は養生水の温度調節の要否判断を行う。この要否判断は、コンクリート温度センサ322や水温計324の計測結果を受けるたびに随時行うこともできるし、図5に示すように散水制御手段311が要散水と判断した(Step432:Yes)ときに行うこともできる。
温度調節制御手段321が行う養生水の温度調節の要否判断について、図6と図7を参考にしながら説明する。図6は、温度調節制御手段321がコンクリート表面温度に基づいて養生水の温度調節の要否を判断する際の主な処理の流れを示すフロー図であり、図7は、温度調節制御手段321がコンクリート表面温度と水源温度に基づいて養生水の温度調節の要否を判断する際の主な処理の流れを示すフロー図である。
図6のケースでは、はじめにコンクリート温度センサ322によって得られたコンクリート表面温度が、許容範囲内にあるか否かを判断する(Step441)。コンクリート表面温度が上限温度と下限温度の間にある場合(Yes)は、養生水を加温又は冷却することなくそのまま散水する(Step460)。コンクリート表面温度が下限温度を下回る場合(Step442:Yes)は、養生水を加温する(Step452)。このとき、あらかじめ定めた熱量で一定時間だけ加温することもできるし、コンクリート表面温度に応じて目標温度を設定し(Step451)、その目標温度となるまで養生水を加温することもできる。一方、コンクリート表面温度が上限温度を上回る場合(Step443:Yes)は、養生水を冷却する(Step454)。この場合も、あらかじめ定めた熱量で一定時間だけ冷却することもできるし、コンクリート表面温度に応じて目標温度を設定し(Step453)、その目標温度となるまで養生水を冷却することもできる。そして、温度調節(加温や冷却)された養生水は、出水手段306から養生マット200内に散水される(Step460)。
図7のケースでは、コンクリート表面温度だけでなく水源温度も合わせて、養生水の温度調節の要否を判断する。例えば、コンクリート表面温度が許容範囲内であっても、散水する養生水が極めて低温であれば、コンクリート表面温度も低下していくおそれがある。コンクリート表面温度に加え水源温度も監視しておけば、このような状況を防ぐことができて好適となるわけである。このケースでは、コンクリート温度センサ322によって得られたコンクリート表面温度と水温計324によって得られた水源温度が、許容範囲内にあるか否かを判断する(Step444)。コンクリート表面温度と水源温度がともに上限温度と下限温度の間にある場合(Yes)は、養生水を加温又は冷却することなくそのまま散水する(Step460)。コンクリート表面温度か水源温度のどちらか一方(あるいは両方)が下限温度を下回る場合(Step445:Yes)は、養生水を加温する(Step456)。このとき、あらかじめ定めた熱量で一定時間だけ加温することもできるし、コンクリート表面温度と水源温度に応じて目標温度を設定し(Step455)、その目標温度となるまで養生水を加温することもできる。この場合、コンクリート表面温度と水源温度の温度差が許容値(温度差閾値)以内となるように、目標温度を設定することもできる。一方、コンクリート表面温度が上限温度を上回る場合(Step446:Yes)は、養生水を冷却する(Step458)。この場合も、あらかじめ定めた熱量で一定時間だけ冷却することもできるし、コンクリート表面温度と水源温度に応じて目標温度を設定し(Step457)、その目標温度となるまで養生水を冷却することもできる。この場合も温度差閾値に基づいて目標温度を設定することができる。そして、温度調節(加温や冷却)された養生水は、出水手段306から養生マット200内に散水される(Step460)。
図5のフロー図に示すように、水分計測値に応じて設定した散水時間(あるいは、あらかじめ定めた一定の散水時間)は継続して散水する(Step460〜470)。つまり、散水の途中で仮に散水制御手段311が散水不要と判断したとしても、散水時間が経過するまでは散水を継続する。なお、散水制御手段311が散水の要否判断を行う時刻は、その間隔が散水時間以上となるように設定するとよい。
また、温度調節制御手段321が温度調節手段323に対して加温又は冷却するよう指令を出したとき(つまり、散水制御手段311が要散水と判断し、かつ温度調節制御手段321が要温度調節と判断したとき)は、やはり水分計測値に応じて設定した散水時間(あるいは、あらかじめ定めた一定の散水時間)は継続して養生水を加温又は冷却する(Step450〜470)。つまり、加温又は冷却の途中で仮に温度調節制御手段321が温度調節不要と判断したとしても、散水時間が経過するまでは加温又は冷却を継続する。コンクリート温度センサ322は養生マット200とコンクリート表面の間に設置され、そして養生マット200とコンクリート表面の間には温度調節された養生水が散水されるため、一旦散水が始まるとコンクリート温度センサ322はコンクリート表面温度よりも養生水の温度を計測することとなる。つまり、散水中におけるコンクリート温度センサ322の計測結果はコンクリート表面の温度とは考えられず、そのため当該計測結果に基づく温度調節制御手段321の温度調節要否判断は信頼性に乏しい。したがって、散水中における温度調節制御手段321の判断に従って加温や冷却を中止することは適切でなく、散水時間が経過するまでは温度調節制御手段321の当初の判断(要温度調節の判断)に従うこととするわけである。
(給水警告手段と充電警告手段)
本願発明の散水システム300は、給水警告手段や充電警告手段を備えたものとすることもできる。図8は、給水警告手段と充電警告手段の機能を説明するモデル図である。給水警告手段と充電警告手段は、散水制御手段311と同様、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。もちろん散水制御手段311や温度調節制御手段321として利用するコンピュータ装置を兼用することもできる。
図8に示すように開放時間記憶手段は、開放弁305の記憶手段(データロガ)から開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻を無線又は有線の通信手段を介して受信して記憶する。そして給水警告手段が、開放時間記憶手段から読み出した開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて、開放弁305が散水した水量を「推定散水量」として推定する。さらに給水警告手段は、推定散水量とあらかじめ設定された貯水設備301の貯水能力を照らし合わせ、推定散水量がこの貯水能力に近付くと、「貯水設備301に給水すべき」という情報を表示手段(例えばディスプレイ)に表示させる。なお、開放弁305を設置しない場合は、圧送手段303の稼働時間(圧送時間)に基づいて推定散水量を推定するとよい。
充電式(バッテリータイプ)の電動ポンプを圧送手段303とした場合、充電警告手段を備えるとよい。充電警告手段は、圧送手段303の稼働時間(圧送時間)とあらかじめ設定された可能稼働時間(1回の充電で稼働できる時間)を照らし合わせ、推定稼働時間が可能稼働時間に近付くと、「圧送手段303に充電すべき」という情報を表示手段に表示させる。なお、記憶手段(データロガ)を具備する開放弁305を設置した場合は、開放時間記憶手段から読み出した開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて、圧送手段303の稼働時間を推定してもよい。
3.第2の実施形態
第1の実施形態が養生領域110全体に対して散水するのに対して、第2の実施形態は養生領域110の分割領域ごとに散水する点で異なるが、他では共通する内容が多い。したがって、第1の実施形態と同じ内容に関する説明はここでは割愛し、第2の実施形態に特有の内容について説明することとする。すなわち、ここで説明しない内容は、既に説明した第1の実施形態の内容と同様である。
(分割領域)
本実施形態では、養生領域110を複数に分割した分割領域ごとにそれぞれ独立して散水する。例えば図9では、養生領域110を、第1分割領域110aと、第2分割領域110b、第3分割領域110cの3つに分割している。なおこの図では橋軸方向に3分割しているが、橋軸直角方向に分割してもよいし、橋軸方向と橋軸直角方向を組み合わせて分割してもよいし、もちろん2分割でも4以上の分割とすることもできる。
(送水手段)
図10は、第2の実施形態における散水システム300の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態では圧送手段303からの水を2以上に分岐させる分岐手段307が設置される。そして、分岐手段307が具備する各分岐口にはそれぞれ送水管304が連結され、各送水管304の吐出口は分割領域ごとに分配配置される。例えば図9や図10では、分岐手段307の分岐口に第1送水管304aと、第2送水管304b、第3送水管304cが連結され、第1送水管304aの吐出口が第1分割領域110aに、第2送水管304bの吐出口が第2分割領域110bに、第3送水管304cの吐出口が第3分割領域110cにそれぞれ配置されている。
各送水管304(第1送水管304a、第2送水管304b、第3送水管304c)の途中には、それぞれ開放弁305(第1開放弁305a、第2開放弁305b、第3開放弁305c)が設けられており、さらにその先端にはそれぞれ出水手段306(第1出水手段306a、第2出水手段306b、第3出水手段306c)が接続されている。本実施形態でも第1の実施形態と同様、記憶手段(データロガ)を具備する開放弁305を利用することができ、出水手段306はエバフロー(登録商標)など従来から用いられている種々の製品を利用することができる。
(散水制御手段)
散水制御手段311は、分割領域ごとに個別に散水の要否判断を行う。具体的には、第1分割領域110a、第2分割領域110b、第3分割領域110cそれぞれに水分センサ312(第1水分センサ312a、第2水分センサ312b、第3水分センサ312c)を設置し、各水分センサ312の水分計測値を受け取った散水制御手段311が、湿潤閾値に照らして分割領域ごとに散水の要否判断を行う。例えば散水制御手段311は、第2分割領域110bに設置された第2水分センサ312bの水分計測値では「要散水」と判断し、第1分割領域110aに設置された第1水分センサ312aと第3分割領域110cに設置された第3水分センサ312cの水分計測値によれば「散水不要」と判断することもある。
水分センサ312は、第1の実施形態と同様、養生マット200とコンクリート表面の間に設置される。ただし、それぞれの分割領域内には、少なくとも1つの水分センサ220が配置される。例えば図9や図10では、第1分割領域110aに第1水分センサ312a、第2分割領域110bに第2水分センサ312b、第3分割領域110cに第3水分センサ312cが配置されている。本実施形態でも第1の実施形態と同様、従来から用いられている種々の製品を利用することができ、図4に示す吸水材312sを具備する水分センサ312を利用することもできる。
(温度調節制御手段)
温度調節制御手段321は、各出水手段306から散水される養生水の温度調節の要否を判断するものであり、第1の実施形態と同様、コンクリート表面温度に基づいて温度調節の要否判断を行う(図6のフロー)こともできるし、コンクリート表面温度と水源温度に基づいて温度調節の要否判断を行う(図7のフロー)こともできる。
コンクリート温度センサ322は、養生マット200とコンクリート表面の間に設置され、養生領域110内に1つのコンクリート温度センサ322を設置することも、分割領域ごとにコンクリート温度センサ322を設置することもできる。養生領域110内に1つのコンクリート温度センサ322を設置した場合、そのコンクリート温度センサ322の計測結果を、養生領域110を代表するコンクリート表面温度として温度調節の要否判断を行う。また、図9や図10に示すように、分割領域ごとにコンクリート温度センサ322を設置した場合は、分割領域ごとに温度調節の要否判断を行うことができる。例えば図9や図10の例では、第1分割領域110aに設置された第1コンクリート温度センサ322aのコンクリート表面温度(あるいは、コンクリート表面温度と水源温度)に基づいて第1分割領域110aに対する温度調節の要否判断を行い、第2分割領域110bに設置された第2コンクリート温度センサ322bのコンクリート表面温度(あるいは、コンクリート表面温度と水源温度)に基づいて第2分割領域110bに対する温度調節の要否判断を行い、第3分割領域110cに設置された第3コンクリート温度センサ322cのコンクリート表面温度(あるいは、コンクリート表面温度と水源温度)に基づいて第3分割領域110cに対する温度調節の要否判断を行うわけである。
温度調節制御手段321は、散水制御手段311が要散水と判断し、かつ要加温又は要冷却と判断したとき、温度調節手段323に対して温度調節の指令を出す。この温度調節手段323は、給水管302や送水管304の途中に1つのみ設置することもできるし、送水管304ごとに設置することもできる。図9や図10では給水管302に1つの温度調節手段323を設置しており、図11ではそれぞれの送水管304(第1送水管304a、第2送水管304b、第3送水管304c)に、それぞれ温度調節手段323(第1温度調節手段323a、第2温度調節手段323b、第3温度調節手段323c)が設置されている。
図9や図10のケースでは全ての送水管304に対して1の判断が行われることから、全ての送水管304の養生水が加温又は冷却され、あるいは全ての送水管304の養生水が加温又は冷却されないことになる。そこで、図9や図10のケースであって、温度調節制御手段321が分割領域ごとに温度調節の要否判断を行う場合は、1の分割領域でも要温度調節と判断された場合は加温又は冷却することとし、すべての分割領域で温度調節が必要ないと判断されたときのみ加温又は冷却しないこととするとよい。一方、図11のケースであって、温度調節制御手段321が分割領域ごとに温度調節の要否判断を行う場合は、それぞれ分割領域の判断に応じて対応する送水管304に対する相当の処理を行うとよい。例えば、第2分割領域110bのみが要加温と判断され、第1分割領域110aと第3分割領域110cでは温度調節が不要と判断された場合、第2送水管304bに設置された第2温度調節手段323bに対してのみ加温するよう温度調節制御手段321が指令を送ることになる。
(散水システムの運転)
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、図5のフロー図に示すように散水の要否判断が行われ、図6や図7のフロー図に示すように養生水の温度調節の要否判断が行われ、温度調節された(あるいは、温度調節されない)養生水が出水手段306から養生マット200内に散水される。ただし本実施形態では、散水の要否判断は分割領域ごとに行われ、養生水の温度調節の要否判断は養生領域110全体あるいは分割領域ごとに行われる。なお、散水制御手段311は、分割領域ごとに散水時間を設定することもできるし、養生領域110を代表して1の散水時間を設定することもできる(この場合、例えば最長の散水時間を採用するとよい。)。あるいは、散水時間を設定することなく、あらかじめ定めた所定の時間を散水時間として後続の処理を行うこともできる
本実施形態では、分割領域ごとに散水の要否判断を行うことから、2以上の分割領域で要散水と判断され、対応する開放弁305に対してそれぞれ開放(出水)するよう指令が出されることもある。この場合、複数の開放弁305が同じ時刻に重複して解放されることがないように、それぞれの開放弁305の開放時刻と閉鎖時刻を設定するとよい。圧送手段303の圧送能力を分散させることなく1つの開放弁305(つまり送水管304)に集中させるためであり、これにより圧送能力が比較的小さな圧送手段303を使用した場合であっても、分割領域を十分にカバーした散水を行うことができる。
図12は、複数の開放弁305が同じ時刻に重複して解放されることがないように散水する処理の流れを示すフロー図である。散水制御手段311が要散水と判断されると(図5のStep432:Yes)、要散水と判断された分割領域が2以上あるか否か判断する(Step434)。ここで、要散水と判断された分割領域が1つのみであれば図5に示す流れに従って後続の処理(Step433〜)を行う。要散水と判断された分割領域が2以上あれば、要散水の分割領域ごとに散水時刻を設定する(Step435)。このとき、複数の分割領域で重複して散水されないように、つまり複数の開放弁305が同じ時刻に重複して解放されることがないように、それぞれ開放弁305の開放時刻と閉鎖時刻を設定する。例えば、第2分割領域110bと第3分割領域110cが要散水と判断され、さらに散水時間が30分と設定された場合、第2分割領域110bに対応する第2開放弁305bは10:00に開放して10:30分に閉鎖することとし、第3分割領域110cに対応する第3開放弁305cは10:30に開放して11:00分に閉鎖することとするわけである。
要散水の分割領域ごとに散水時刻(開放弁305の開放時刻と閉鎖時刻)が設定されると、必要に応じて養生水の温度を調節したうえで(Step440〜Step450)、順に要散水の分割領域に対して散水を行う(Step460)。要散水とされた全ての分割領域で散水が完了すると、養生期間が経過しているか否かの判断(Step500)に戻る。
本実施形態でも第1の実施形態と同様、散水制御手段311が要散水と判断した場合は水分計測値に応じて設定した散水時間(あるいは、あらかじめ定めた一定の散水時間)は継続して散水する。また、温度調節制御手段321が温度調節手段323に対して加温又は冷却するよう指令を出したとき(つまり、散水制御手段311が要散水と判断し、かつ温度調節制御手段321が要温度調節と判断したとき)は、やはり水分計測値に応じて設定した散水時間(あるいは、あらかじめ定めた一定の散水時間)は継続して養生水を加温又は冷却する。
(給水警告手段と充電警告手段)
本実施形態でも第1の実施形態と同様、給水警告手段や充電警告手段を備えることもできる。図8に示すように開放時間記憶手段が、それぞれの開放弁305の記憶手段(データロガ)から開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻を無線又は有線の通信手段を介して受信して記憶する。そして給水警告手段が、開放時間記憶手段から読み出したそれぞれの開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて、開放弁305が散水した水量の合計を「推定散水量」として推定する。さらに給水警告手段は、推定散水量とあらかじめ設定された貯水設備301の貯水能力を照らし合わせ、推定散水量がこの貯水能力に近付くと、「貯水設備301に給水すべき」という情報を表示手段に表示させる。
充電式(バッテリータイプ)の電動ポンプを圧送手段303とした場合、充電警告手段を備えるとよい。充電警告手段は、開放時間記憶手段から読み出したそれぞれの開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて圧送手段303の稼働時間(圧送時間)を推定し、この稼働時間とあらかじめ設定された可能稼働時間(1回の充電で稼働できる時間)を照らし合わせ、推定稼働時間が可能稼働時間に近付くと、「圧送手段303に充電すべき」という情報を表示手段に表示させる。
本願発明のコンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法は、道路橋や鉄道橋といったあらゆる用途の橋梁のコンクリート床版や橋台、橋脚に利用できるし、河川を跨ぐ橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。また橋梁に限らず、トンネル覆工コンクリートや大型コンクリート擁壁など種々のコンクリート構造物に対しても利用することができる。本願発明が、良好な品質のコンクリート構造物を提供し、いわば高品質な社会資本(インフラストラクチャー)を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 (橋梁のコンクリート)床版
110 養生領域
110a 第1分割領域
110b 第2分割領域
110c 第3分割領域
120 既施工スパン
130 未施工スパン
200 養生マット
300 本願発明のコンクリート養生における散水システム
301 貯水設備
302 給水管
303 圧送手段
304 送水管
304a 第1送水管
304b 第2送水管
304c 第3送水管
305 開放弁
305a 第1開放弁
305b 第2開放弁
305c 第3開放弁
306 出水手段
306a 第1出水手段
306b 第2出水手段
306c 第3出水手段
307 分岐手段
311 散水制御手段
312 水分センサ
312a 第1水分センサ
312b 第2水分センサ
312c 第3水分センサ
312b 第2水分センサ
312s 吸水材
312t 検知部
321 温度調節制御手段
322 コンクリート温度センサ
322a 第1コンクリート温度センサ
322b 第2コンクリート温度センサ
322c 第3コンクリート温度センサ
323 温度調節手段
323a 第1温度調節手段
323b 第2温度調節手段
323c 第3温度調節手段
324 水温計

Claims (8)

  1. コンクリート養生マットが敷設されたコンクリート表面に散水する散水システムにおいて、
    前記コンクリート養生マット内に水を送り出して散水する送水手段と、
    前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段と、
    前記水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて、散水の要否を判断する散水制御手段と、
    前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、コンクリート表面温度を計測するコンクリート温度計測手段と、
    前記送水手段によって送られる水を加温することができるとともに冷却することかできる温度調節手段と、
    前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する温度調節制御手段と、を備え、
    前記散水制御手段が要散水と判断したとき、前記送水手段は、あらかじめ定めた散水時間だけ継続して散水し、
    前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したとき、前記温度調節手段は、その後の温度調節制御手段の判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して加温又は冷却する、
    ことを特徴とするコンクリート養生における散水システム。
  2. コンクリート養生マットが敷設されたコンクリート表面に散水する散水システムにおいて、
    前記コンクリート養生マット内に水を送り出して散水する送水手段と、
    前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段と、
    前記水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて、散水の要否を判断する散水制御手段と、
    前記水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて、散水時間を設定する散水時間設定手段と、
    前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、コンクリート表面温度を計測するコンクリート温度計測手段と、
    前記送水手段によって送られる水を加温することができるとともに冷却することかできる温度調節手段と、
    前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する温度調節制御手段と、を備え、
    前記散水制御手段が要散水と判断したとき、前記送水手段は、前記散水時間設定手段で設定された前記散水時間だけ継続して散水し、
    前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したとき、前記温度調節手段は、その後の温度調節制御手段の判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して加温又は冷却する、
    ことを特徴とするコンクリート養生における散水システム。
  3. 水を溜める貯水設備と、
    前記貯水設備内の水温を計測する水温計測手段と、をさらに備え、
    前記送水手段は、前記貯水設備内の水を前記コンクリート養生マット内に送り出し、
    前記温度調節制御手段は、前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度又は前記水温計測手段で得られた水温があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度又は該水温があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断し、
    前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したとき、前記温度調節手段は、その後の温度調節制御手段の判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して加温又は冷却する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンクリート養生における散水システム。
  4. 前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度に基づいて目標水温を設定する水温設定手段を、さらに備え、
    前記温度調節手段は、前記送水手段によって送られる水の温度を、前記水温設定手段で設定された前記目標水温まで加温又は冷却する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンクリート養生における散水システム。
  5. 前記送水手段は、水を圧送する圧送手段と、該圧送手段からの水を2以上に分岐させる分岐手段と、該分岐手段が具備する各分岐口に連結される送水管と、該送水管の途中に設けられる開放弁と、を有し、
    前記コンクリート養生マットが敷設された領域を複数に分割した分割領域ごとに、前記送水管の吐出口が配置され、
    前記水分計測手段は、それぞれ前記分割領域ごとに設置され、
    前記散水制御手段は、前記分割領域ごとに散水の要否を判断し、
    前記散水制御手段が要散水と判断した前記分割領域に対応する前記送水管の前記開放弁を開くことで、該分割領域の前記コンクリート養生マット内に散水する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンクリート養生における散水システム。
  6. 前記コンクリート温度計測手段は、それぞれ前記分割領域ごとに設置され、
    前記温度調節制御手段は、前記分割領域ごとに要加温及び要冷却を判断し、
    前記送水管ごとに設置された前記温度調節手段は、前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断した前記分割領域に対応する前記送水管の水に対して加温又は冷却する、
    ことを特徴とする請求項5記載のコンクリート養生における散水システム。
  7. 前記散水制御手段は、2以上の前記分割領域に対して要散水と判断したとき、同一時刻では1のみの開放弁が開放されるように、それぞれ開放弁の開放時刻と閉鎖時刻を設定し、
    それぞれの前記開放弁は、前記散水制御手段が設定した開放時刻と閉鎖時刻に基づいて開閉し、複数の該開放弁が同じ時刻に重複して解放されることがない、
    ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載のコンクリート養生における散水システム。
  8. 送水手段によって水を送り出すことで、コンクリート表面に散水する散水方法において、
    打ち込み後のコンクリートにコンクリート養生マットを敷設する養生マット敷設工程と、
    前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置された水分計測手段によって、周辺の湿潤状態を計測する水分計測工程と、
    コンクリート温度計測手段によって、コンクリート表面温度を計測するコンクリート温度計測工程と、
    前記水分計測工程で得られた湿潤状態に基づいて、散水の要否を判断する散水判断工程と、
    前記コンクリート温度計測工程で得られたコンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する温度調節判断工程と、を備え、
    前記散水判断工程で要散水と判断したとき、あらかじめ定めた散水時間だけ継続して、前記送水手段によって送水し、
    前記散水判断工程で要散水と判断し、かつ前記温度調節判断工程で要加温又は要冷却と判断したとき、その後に行われる前記温度調節判断工程での判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して、前記送水手段によって送られる水を加温又は冷却する、
    ことを特徴とするコンクリート養生における散水方法。
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