JP6892582B2 - コンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法 - Google Patents
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Description
(1)自動的に散水作業が行われるため、人による作業手間が著しく削減され、作業コストも圧縮することができる。
(2)寒中コンクリートや暑中コンクリートに対しても、適切な温度の養生水で適切に湿潤養生を行うことができるため、確実に高品質のコンクリートを得ることができる。
(3)養生水の温度がコンクリート温度に応じて自動的に調節されるため、人による作業手間はかからず、適温の養生水で散水したとしても作業コストを圧縮することができる。
(4)コンピュータなどを利用して機械的に散水判断及び温度調節判断を行うため、ヒューマンエラー(例えば、散水作業の失念や、温度の誤調節)を排除した的確な散水作業が実践される。
本願発明のコンクリート養生における散水システム、及びコンクリート養生における散水方法はあらゆるコンクリート構造物を対象として実施することができるが、ここでは便宜上橋梁のコンクリート床版を例に説明する。図1は、橋梁のコンクリート床版(以下、単に「床版100」という。)に本願発明のコンクリート養生における散水システム(以下、単に「散水システム300」という。)を設置した状態を示す平面図であり、そのうち1の範囲(図では中央部)で散水が行われている状況を示す平面図である。一般的に、床版コンクリートの打ち込みは橋軸方向に分割した範囲(以下、「打設スパン」という。)ごとに行う。この図では、コンクリート打ち込み後で湿潤養生中の打設スパン(以下、「養生領域110」という。)を中央に示し、既に養生が完了した既施工スパン120を右側に、まだコンクリートの打ち込みを行っていない未施工スパン130を左側に示している。
図3を参考にしながら、本願発明の散水システム300を構成する各手段について説明する。図3は本願発明の散水システム300の構成を示すブロック図である。
図3では、貯水設備301に溜められた水を、養生領域110の養生マット200内(養生マット200とコンクリート表面の間)に散水する例を示しており、上流側(貯水設備302)から下流側(養生マット200)に見ると、貯水設備301、給水管302、圧送手段303、送水管304、開放弁305、出水手段306の順で接続されている。貯水設備301は、いわば貯水槽であり、必要量の水を溜めることができる容器である。給水管302は、例えば所定径のホースを使用することができ、その先端にはおもりが固定されて貯水設備301内の水中に沈設されている。
散水制御手段311は、養生マット200内の湿潤状態に応じて散水の要否を判断するものであり、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。養生マット200とコンクリート表面の間に設置された水分計測手段(以下、「水分センサ312」という。)の計測値(以下、「水分計測値」という。)を受け取った散水制御手段311は、事前に設定された閾値(以下、「湿潤閾値」という。)に照らして散水の要否判断を行う。水分計測値が湿潤閾値を下回るときは、養生マット200内が散水を要する程度に乾燥しているとして散水が必要であると判断し、水分計測値が湿潤閾値を上回るときは、十分に湿潤状態が維持できているとして散水は必要ないと判断する。そして、要散水と判断した散水制御手段311は、開放弁305に対して開放(出水)するよう指令を出す。あるいは、(例えば、開放弁305を設置しないケースでは)散水制御手段311が圧送手段303に対して圧送するよう直接指令を出すこともできる。なお、水分センサ312の水分計測値と、開放弁305や圧送手段303に対する出水(停止)指令は、有線によって送受信することもできるし、もちろん無線によって送受信することもできる。
温度調節制御手段321は、出水手段306から散水される水(つまり、養生水)の温度調節の要否を判断するものであり、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。したがって1つのコンピュータ装置で散水制御手段311と温度調節制御手段321を構成することもできるし、それぞれ別のコンピュータ装置で散水制御手段311と温度調節制御手段321を構成することもできる。
次に、散水システム300の運転(図2:Step400)について詳しく説明する。図5は、散水システム300の運転における主な処理の流れを示すフロー図である。既述のとおり、散水制御手段311は散水の要否判断を行うが、この要否判断はあらかじめ定められた時刻に行われ、通常は待機状態(Step410)を保ち、要否判断すべき時刻と判断される(Step420:Yes)と、後続の処理へ進む。なお、散水の要否判断すべき時刻は、毎正時や30分ごとなど一定間隔で設定することもできるし、朝夕は間隔をあけて昼間に集中して実施するなど不定期に設定することもできる。
本願発明の散水システム300は、給水警告手段や充電警告手段を備えたものとすることもできる。図8は、給水警告手段と充電警告手段の機能を説明するモデル図である。給水警告手段と充電警告手段は、散水制御手段311と同様、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。もちろん散水制御手段311や温度調節制御手段321として利用するコンピュータ装置を兼用することもできる。
第1の実施形態が養生領域110全体に対して散水するのに対して、第2の実施形態は養生領域110の分割領域ごとに散水する点で異なるが、他では共通する内容が多い。したがって、第1の実施形態と同じ内容に関する説明はここでは割愛し、第2の実施形態に特有の内容について説明することとする。すなわち、ここで説明しない内容は、既に説明した第1の実施形態の内容と同様である。
本実施形態では、養生領域110を複数に分割した分割領域ごとにそれぞれ独立して散水する。例えば図9では、養生領域110を、第1分割領域110aと、第2分割領域110b、第3分割領域110cの3つに分割している。なおこの図では橋軸方向に3分割しているが、橋軸直角方向に分割してもよいし、橋軸方向と橋軸直角方向を組み合わせて分割してもよいし、もちろん2分割でも4以上の分割とすることもできる。
図10は、第2の実施形態における散水システム300の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態では圧送手段303からの水を2以上に分岐させる分岐手段307が設置される。そして、分岐手段307が具備する各分岐口にはそれぞれ送水管304が連結され、各送水管304の吐出口は分割領域ごとに分配配置される。例えば図9や図10では、分岐手段307の分岐口に第1送水管304aと、第2送水管304b、第3送水管304cが連結され、第1送水管304aの吐出口が第1分割領域110aに、第2送水管304bの吐出口が第2分割領域110bに、第3送水管304cの吐出口が第3分割領域110cにそれぞれ配置されている。
散水制御手段311は、分割領域ごとに個別に散水の要否判断を行う。具体的には、第1分割領域110a、第2分割領域110b、第3分割領域110cそれぞれに水分センサ312(第1水分センサ312a、第2水分センサ312b、第3水分センサ312c)を設置し、各水分センサ312の水分計測値を受け取った散水制御手段311が、湿潤閾値に照らして分割領域ごとに散水の要否判断を行う。例えば散水制御手段311は、第2分割領域110bに設置された第2水分センサ312bの水分計測値では「要散水」と判断し、第1分割領域110aに設置された第1水分センサ312aと第3分割領域110cに設置された第3水分センサ312cの水分計測値によれば「散水不要」と判断することもある。
温度調節制御手段321は、各出水手段306から散水される養生水の温度調節の要否を判断するものであり、第1の実施形態と同様、コンクリート表面温度に基づいて温度調節の要否判断を行う(図6のフロー)こともできるし、コンクリート表面温度と水源温度に基づいて温度調節の要否判断を行う(図7のフロー)こともできる。
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、図5のフロー図に示すように散水の要否判断が行われ、図6や図7のフロー図に示すように養生水の温度調節の要否判断が行われ、温度調節された(あるいは、温度調節されない)養生水が出水手段306から養生マット200内に散水される。ただし本実施形態では、散水の要否判断は分割領域ごとに行われ、養生水の温度調節の要否判断は養生領域110全体あるいは分割領域ごとに行われる。なお、散水制御手段311は、分割領域ごとに散水時間を設定することもできるし、養生領域110を代表して1の散水時間を設定することもできる(この場合、例えば最長の散水時間を採用するとよい。)。あるいは、散水時間を設定することなく、あらかじめ定めた所定の時間を散水時間として後続の処理を行うこともできる
本実施形態でも第1の実施形態と同様、給水警告手段や充電警告手段を備えることもできる。図8に示すように開放時間記憶手段が、それぞれの開放弁305の記憶手段(データロガ)から開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻を無線又は有線の通信手段を介して受信して記憶する。そして給水警告手段が、開放時間記憶手段から読み出したそれぞれの開放弁305の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて、開放弁305が散水した水量の合計を「推定散水量」として推定する。さらに給水警告手段は、推定散水量とあらかじめ設定された貯水設備301の貯水能力を照らし合わせ、推定散水量がこの貯水能力に近付くと、「貯水設備301に給水すべき」という情報を表示手段に表示させる。
110 養生領域
110a 第1分割領域
110b 第2分割領域
110c 第3分割領域
120 既施工スパン
130 未施工スパン
200 養生マット
300 本願発明のコンクリート養生における散水システム
301 貯水設備
302 給水管
303 圧送手段
304 送水管
304a 第1送水管
304b 第2送水管
304c 第3送水管
305 開放弁
305a 第1開放弁
305b 第2開放弁
305c 第3開放弁
306 出水手段
306a 第1出水手段
306b 第2出水手段
306c 第3出水手段
307 分岐手段
311 散水制御手段
312 水分センサ
312a 第1水分センサ
312b 第2水分センサ
312c 第3水分センサ
312b 第2水分センサ
312s 吸水材
312t 検知部
321 温度調節制御手段
322 コンクリート温度センサ
322a 第1コンクリート温度センサ
322b 第2コンクリート温度センサ
322c 第3コンクリート温度センサ
323 温度調節手段
323a 第1温度調節手段
323b 第2温度調節手段
323c 第3温度調節手段
324 水温計
Claims (8)
- コンクリート養生マットが敷設されたコンクリート表面に散水する散水システムにおいて、
前記コンクリート養生マット内に水を送り出して散水する送水手段と、
前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段と、
前記水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて、散水の要否を判断する散水制御手段と、
前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、コンクリート表面温度を計測するコンクリート温度計測手段と、
前記送水手段によって送られる水を加温することができるとともに冷却することかできる温度調節手段と、
前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する温度調節制御手段と、を備え、
前記散水制御手段が要散水と判断したとき、前記送水手段は、あらかじめ定めた散水時間だけ継続して散水し、
前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したとき、前記温度調節手段は、その後の温度調節制御手段の判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して加温又は冷却する、
ことを特徴とするコンクリート養生における散水システム。 - コンクリート養生マットが敷設されたコンクリート表面に散水する散水システムにおいて、
前記コンクリート養生マット内に水を送り出して散水する送水手段と、
前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段と、
前記水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて、散水の要否を判断する散水制御手段と、
前記水分計測手段で得られた湿潤状態に基づいて、散水時間を設定する散水時間設定手段と、
前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置され、コンクリート表面温度を計測するコンクリート温度計測手段と、
前記送水手段によって送られる水を加温することができるとともに冷却することかできる温度調節手段と、
前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する温度調節制御手段と、を備え、
前記散水制御手段が要散水と判断したとき、前記送水手段は、前記散水時間設定手段で設定された前記散水時間だけ継続して散水し、
前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したとき、前記温度調節手段は、その後の温度調節制御手段の判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して加温又は冷却する、
ことを特徴とするコンクリート養生における散水システム。 - 水を溜める貯水設備と、
前記貯水設備内の水温を計測する水温計測手段と、をさらに備え、
前記送水手段は、前記貯水設備内の水を前記コンクリート養生マット内に送り出し、
前記温度調節制御手段は、前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度又は前記水温計測手段で得られた水温があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度又は該水温があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断し、
前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断したとき、前記温度調節手段は、その後の温度調節制御手段の判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して加温又は冷却する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンクリート養生における散水システム。 - 前記コンクリート温度計測手段で得られたコンクリート表面温度に基づいて目標水温を設定する水温設定手段を、さらに備え、
前記温度調節手段は、前記送水手段によって送られる水の温度を、前記水温設定手段で設定された前記目標水温まで加温又は冷却する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンクリート養生における散水システム。 - 前記送水手段は、水を圧送する圧送手段と、該圧送手段からの水を2以上に分岐させる分岐手段と、該分岐手段が具備する各分岐口に連結される送水管と、該送水管の途中に設けられる開放弁と、を有し、
前記コンクリート養生マットが敷設された領域を複数に分割した分割領域ごとに、前記送水管の吐出口が配置され、
前記水分計測手段は、それぞれ前記分割領域ごとに設置され、
前記散水制御手段は、前記分割領域ごとに散水の要否を判断し、
前記散水制御手段が要散水と判断した前記分割領域に対応する前記送水管の前記開放弁を開くことで、該分割領域の前記コンクリート養生マット内に散水する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンクリート養生における散水システム。 - 前記コンクリート温度計測手段は、それぞれ前記分割領域ごとに設置され、
前記温度調節制御手段は、前記分割領域ごとに要加温及び要冷却を判断し、
前記送水管ごとに設置された前記温度調節手段は、前記散水制御手段が要散水と判断し、かつ前記温度調節制御手段が要加温又は要冷却と判断した前記分割領域に対応する前記送水管の水に対して加温又は冷却する、
ことを特徴とする請求項5記載のコンクリート養生における散水システム。 - 前記散水制御手段は、2以上の前記分割領域に対して要散水と判断したとき、同一時刻では1のみの開放弁が開放されるように、それぞれ開放弁の開放時刻と閉鎖時刻を設定し、
それぞれの前記開放弁は、前記散水制御手段が設定した開放時刻と閉鎖時刻に基づいて開閉し、複数の該開放弁が同じ時刻に重複して解放されることがない、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載のコンクリート養生における散水システム。 - 送水手段によって水を送り出すことで、コンクリート表面に散水する散水方法において、
打ち込み後のコンクリートにコンクリート養生マットを敷設する養生マット敷設工程と、
前記コンクリート養生マットとコンクリート表面との間に設置された水分計測手段によって、周辺の湿潤状態を計測する水分計測工程と、
コンクリート温度計測手段によって、コンクリート表面温度を計測するコンクリート温度計測工程と、
前記水分計測工程で得られた湿潤状態に基づいて、散水の要否を判断する散水判断工程と、
前記コンクリート温度計測工程で得られたコンクリート表面温度があらかじめ定めた下限温度を下回るときは養生水に対して要加温と判断し、該コンクリート表面温度があらかじめ定めた上限温度を上回るときは要冷却と判断する温度調節判断工程と、を備え、
前記散水判断工程で要散水と判断したとき、あらかじめ定めた散水時間だけ継続して、前記送水手段によって送水し、
前記散水判断工程で要散水と判断し、かつ前記温度調節判断工程で要加温又は要冷却と判断したとき、その後に行われる前記温度調節判断工程での判断にかかわらず、前記散水時間だけ継続して、前記送水手段によって送られる水を加温又は冷却する、
ことを特徴とするコンクリート養生における散水方法。
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