本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、シフトロック機能を備える車両用のシフトレバーユニット1に関する例である。この内容について、図1〜図19を用いて説明する。
図1〜図3に例示するシフトレバーユニット1は、シフト位置を切り換えるためのシフト操作を受け付ける棒状のシフトレバー10が、ベースブラケット(筐体)3により回動可能に支持された車両用のユニットである。図1は、ベースブラケット3の図示を省略したシフトレバー10の図であり、図2及び図3は、シフトレバーユニット1の両側の側面を示す図である。なお、図1(a)、図2及び図3では、シフトノブ11の図示を省略している。
シフトレバーユニット1は、シフトレバー10の側面に設けられた貫通溝155を介して径方向外周側に突出する突出部180を備えるグルーブドピン(規制部材)18と、シフトレバー10の回動に伴って突出部180が回動する空間を確保するためにベースブラケット3の側壁30に穿設されたディテント窓(回動窓)32と、を有している。
このシフトレバーユニット1では、ディテント窓32に設けられた段差325に対して、突出部180が回動方向から押し当たることで特定のシフト操作が規制される。シフトレバーユニット1は、段差325に対して突出部180が押し当たって特定のシフト操作が規制される状態を確実性高く保持するために有効な後述の第1及び第2の構造を備えている。
以下、このシフトレバーユニット1の内容を詳しく説明する。なお、以下の説明では、シフトレバー10の軸方向を単に軸方向といい、シフトレバー10の径方向を単に径方向という。ディテントロッド12などのシフトレバー10の構成部品の説明では、組み付け状態においてシフトレバー10の軸方向あるいは径方向に沿うことになる方向を単に軸方向あるいは径方向という。但し、例えばベースブラケット3が備える「ブラケット側軸孔300を中心とした径方向」といった説明における「径方向」は、上記のシフトレバー10の径方向とは異なっている。
図1〜図3に例示のシフトレバーユニット1は、図示しない車両の前後方向に当たるシフト方向にシフトレバー10を操作可能なストレート式の操作ユニットである。図示は省略するが、このシフトレバーユニット1によれば、車両の進行方向前側からシフト方向に沿って配列されたパーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、ドライブレンジ(Dレンジ)、セカンドレンジ及びローレンジのうちの何れかをシフト位置として選択できる。
シフトレバーユニット1は、図2及び図3のごとく、シフトレバー10を回動可能に軸支するベースブラケット3を備えている。シフトレバーユニット1は、図示しないシフトパネルを介してシフトレバー10が車室側に突き出すよう、ベースブラケット3を利用して車両側に取り付けられる。シフトレバー10の先端には、運転者の持ち手をなすシフトノブ(操作部)11が取り付けられている。
このシフトレバーユニット1は、運転者がシフトレバー10を操作しやすいよう、運転席と助手席との間のセンターコンソールや、運転者に対面するダッシュパネル等に設置される。なお、車両側の図示しないシフトパネルには、シフトロック機能を強制解除するための図示しない鍵穴が設けられている。
筐体をなすベースブラケット3は、シフトレバー10の回動動作のガイド面(支持面)をなす一対の側壁30を有している。ベースブラケット3では、一対の側壁30の間隙がシフトレバー10の回動空間となっている。各側壁30には、シフトレバー10の回動動作を軸支するシフト軸100を固定するためのブラケット側軸孔300が穿設されている。さらに、各側壁30には、グルーブドピン18の突出部180を貫通配置するためのディテント窓32及び経路溝321が穿設されている(図4参照。)。両側の側壁30のディテント窓32及び経路溝321は形状仕様が共通している。
また、図2で示す側の側壁30には、シフト操作が可能になる解除位置への突出部180Aの変位を規制するシフトロックリンク(S/Lリンク)21、及びこのS/Lリンク21を回動駆動する電磁ソレノイド24が取り付けられている。
ディテント窓32は、S/Lリンク21が回動駆動された状態を示す図4において全体形状を確認できる。ディテント窓32は、ブラケット側軸孔300回りの周方向に延在する貫通窓であり、Pレンジから他のレンジへのシフト操作が行われる際、突出部180が回動変位する空間である。このディテント窓32では、シフトレバー10の回動中心CR(図5参照。)からの径方向の距離が切り替わる段差325が設けられている。
なお、本例では、図5のごとく、ディテント窓32の段差325のうち、Pレンジから他のシフト位置に向かう第1回動方向側に面する段差面325Aについては、シフトレバー10の回動中心CRを基準とする径方向に対して10度の角度が設定されている。また、第1回動方向側とは逆側の第2回動方向側に面する段差面325Bについては、同径方向に対して6度の角度が設定されている。この角度の作用効果については、後で詳しく説明する。
経路溝321は、ブラケット側軸孔300を中心とした径方向に延在する貫通溝であり、Pレンジに対応して形成されている。Pレンジのとき、突出部180が経路溝321に貫通配置された状態となる。この経路溝321は、図4のごとく、ブラケット側軸孔300側の端部においてディテント窓32に連通している。Pレンジから他のレンジへのシフト操作が規制される突出部180の規制位置、及びこのシフト操作が許容される突出部180の解除位置は、この経路溝321において溝方向に離間する2箇所に位置している。
突出部180の解除位置は、経路溝321のうちのディテント窓32に連通する箇所、すなわちブラケット側軸孔300に近い端部側に位置している。突出部180の規制位置は、ブラケット側軸孔300側とは反対側の経路溝321の端部側に位置している(図2〜図4中の突出部180の位置)。解除位置に突出部180が位置する場合、ディテント窓32に進入する突出部180の回動変位が可能となり、シフト操作が許容される。一方、規制位置に突出部180が位置する場合には、ブラケット側軸孔300を中心として径方向に延在する経路溝321の内側面により突出部180の回動変位が規制され、これによりシフト操作が規制される。車両に搭載されたシフトレバーユニット1の使用状態において、突出部180がこの規制位置から解除位置に至る範囲がグルーブドピン18の可動範囲(図10参照。)となっている。
S/Lリンク21を取り付ける側の側壁30(図2及び図4)では、略円弧状に成形されたエラストマー系軟質樹脂製のクッションシート(弾性部材)328がディテント窓32の外周側に取り付けられている。このクッションシート328の内周側の縁部の形状は、ディテント窓32の内側に略一定幅で張り出すように形成されている。このクッションシート328によれば、適切な操作がなされた際のディテント窓32の内壁面に対する突出部180の直接的な接触を回避でき、この直接的な接触に起因する打音を抑制できる。なお、図5では、クッションシート328の張り出し形状を破線328Lにより図示している。また、後で参照する図14及び図15では、クッションシート328の図示を省略している。
適切な操作の場合、段差面325A・Bや段差325の底面等、ディテント窓32の内周壁面にグルーブドピン18の突出部180が直接、接触することは少ない。突出部180は、クッションシート328の縁部を介してディテント窓32の内周壁面に干渉する。一方、後述する解除操作が行われることなく上記の特定のシフト操作が不適切に行われた場合、クッションシート328が押し潰れるような弾性変形により圧縮されて段差面325A・Bに突出部180が直接、押し当たる状態となる。
上記のS/Lリンク21は、図2、図4及び図6のごとく、グルーブドピン18等との組み合わせによりシフトロック機構を構成する部品である。S/Lリンク21は、ベースブラケット3の側壁30に立設された支持軸35(図7参照。)により側壁30に沿って回動可能に軸支されている。
S/Lリンク21は、ブレーキペダル(図示略)の踏み込み操作に応じて通電状態に切り替わる電磁ソレノイド24により回動駆動されると共に、図示しないコイルスプリングにより逆向きに付勢されている。以下の説明では、電磁ソレノイド24によってS/Lリンク21が回動駆動される側を駆動側といい、コイルスプリングによりS/Lリンク21が付勢される側を復帰側という。
S/Lリンク21は、図6及び図7のごとく、ベースブラケット3の側壁30に立設された支持軸35を回転可能に収容するための有底円筒状の軸収容部21Cを有している。軸収容部21Cの両側には、第1腕部21Aと第2腕部21Bとが延設されている。第1腕部21Aでは、ドーナツ状のストッパゴム(図示略)を取り付けるための軸210が先端に立設されている。第2腕部21Bでは、グルーブドピン18(突出部180A)が当接する荷重受け面211が先端面に設けられている。
第1腕部21Aに取り付けられるストッパゴムは、上記のコイルスプリングの付勢力によるS/Lリンク21の回動変位に応じてベースブラケット3側に押し当たり、S/Lリンク21を初期回動位置に規制する。弾性部材であるストッパゴムによれば、電磁ソレノイド24への通電終了に応じてS/Lリンク21が初期回動位置に復帰する際に発生するおそれがある打音を低減できる。
ここで、S/Lリンク21の初期回動位置は、上記のベースブラケット3に設けられた経路溝321に沿う位置である(図2に示す位置。)。電磁ソレノイド24等により回動駆動されたS/Lリンク21は、経路溝321から外れる回動位置に変位する(図4に示す位置。)。これにより、経路溝321に沿うグルーブドピン18(突出部180)の変位が可能となり、シフトロック機能が解除されてシフトアンロック状態となる。
第2腕部21Bの先端には、図6及び図7のごとく、前記荷重受け面211のほか、上記のシフトロック機能の強制解除のための受け部212が設けられている。第2腕部21Bの中間的な位置には、電磁ソレノイド24に駆動される連結部材242(図4参照。)が係止される駆動ピン213が立設されている。また、ベースブラケット3の側壁30に面する第2腕部21Bの側面には、断面矩形状のサポート部214が立設されている。
荷重受け面211は、シフトロック状態においてグルーブドピン18の突出部180が押し当たる面である(図13(b)参照。)。
受け部212は、シフトロック機能を強制解除するための操作に連動する図示しないリンク部材の係合部である。このリンク部材を介して強制解除の操作が受け部212に伝達され、S/Lリンク21が図4に示す回動位置に駆動される。
受け部212は、荷重受け面211に対して上記の駆動側にオフセットして設けられている(図6参照。)。受け部212の付け根は、荷重受け面211と面一をなすように形成されており、これにより、荷重受け面211を含む第2腕部21Bの先端面は略L字状の正面形状をなしている。この略L字状の正面形状の内側には、窪み215が形成されている。駆動側に位置する受け部212に対して、この窪み215は復帰側に位置している。
第2腕部21Bに設けられた上記のサポート部214は、荷重受け面211に突出部180Aが当接する図7のシフトロック状態において、ベースブラケット3側に設けられた棚面30Sとグルーブドピン18により挟持される状態となる。グルーブドピン18がS/Lリンク21に作用する荷重の一部は、サポート部214を介してベースブラケット3側に伝達され、これによりS/Lリンク21の先端の荷重受け面211に作用する当接荷重が低減される。
続いてシフトレバー10は、図1及び図8のごとく、先端にシフトノブ11が取り付けられるレバー本体15を中心として構成されている。中空構造をなす筒状のレバー本体15には、グルーブドピン18を軸方向に駆動するための後述するディテントロッド12が内挿配置されている。
シフトノブ11は、車両の前後方向前側に当たる側面に、シフトノブ11を把持する手の人差し指などで操作されるシフトボタン110を有している。シフトボタン110を取り外したシフトノブ11の内部には、孔112が穿設された隔壁113が設けられている(図9参照。)。組立状態のシフトレバー10では、後述するディテントロッド12の端部がこの孔112に貫通配置されてシフトボタン110に干渉する状態となる。
レバー本体15は、図8及び図10のごとく、断面の外形状が略四角形を呈する角筒状の樹脂成形品である。レバー本体15は、先端側にシフトノブ11のノブ取付部153を有している。反対側の基部15Fには、シフト軸100を貫通配置するためのレバー側軸孔150が設けられている。レバー側軸孔150には、ブラケット側軸孔300に固定されたシフト軸100が貫通配置される。シフトレバー10は、ベースブラケット3側に固定されたシフト軸100により回動可能に軸支される(図2及び図3参照。)。
レバー本体15には、軸方向に沿うように貫通溝155が穿設されている。貫通溝155は、径方向に貫通し、レバー側軸孔150が位置する両側面に開口している。貫通溝155は、後述する差込部156を除き、グルーブドピン18の突出部180を貫通配置できる一方、グルーブドピン18の全体が挿通できない溝幅に設定されている。差込部156を除く貫通溝155は、シフトレバー10の径方向におけるグルーブドピン18の位置を規制する。
レバー本体15の両側面に開口する貫通溝155の開口形状は、表側と裏側とで基部15F側の端部の形状が異なっている(図10中のC−C断面参照。)。S/Lリンク21が取り付けられる側壁30(ベースブラケット3)側の貫通溝155では、基部15F側の端部に、溝幅が他の部分よりも広い差込部156が設けられている。この差込部156は、グルーブドピン18の全体を挿通可能に形成されており、径方向外周側からグルーブドピン18を組み付けるために利用される(図8参照。)。
貫通溝155は、図10のごとく、上記の規制位置と解除位置との間でグルーブドピン18(突出部180)が進退する可動範囲を包含するように形成されている。そして、差込部156は、軸方向においてこの可動範囲の外側に配設されている。したがって、シフトレバーユニット1の使用状態においては、グルーブドピン18が差込部156の位置に到達することがない。
特に、本例のシフトレバーユニット1では、貫通溝155のうち上記の可動範囲の内側面に、周囲よりも窪む領域である係止部155A・Bが穿設されている(図16参照。)。係止部155A・Bは、Rレンジが選択されたときのグルーブドピン18の位置に対応して設けられている。詳しくは後述するが、シフトボタン110が操作されずにPレンジ側へシフトレバー10が操作されたとき、この係止部155A・Bにグルーブドピン18が係合し、グルーブドピン18の軸方向の変位が規制される。なお、本例では、RレンジからPレンジへのシフト操作に対応できるよう、貫通溝155の内側面のうちの第1回動方向(図15、図16参照。)側に位置する内側面のみに係止部155A・Bを設けてある。
また、レバー本体15の両側面では、図8及び図10のごとく、貫通溝155とレバー側軸孔150との間隙に当たる位置に、貫通孔157が穿設されている。この貫通孔157は、鉄製の丸ピン131を貫通配置するための孔である。丸ピン131は、貫通孔157に圧入されて固定され、コイルスプリング130の座として機能する。
上記のグルーブドピン18は、図8、図11及び図12のごとく、ディテントロッド12に貫通配置される樹脂成形品である。グルーブドピン18は、略短冊板状をなし、中央に位置する胴部18Bの両側に突出部180が延設されている。突出部180は、胴部18Bの上側面と面一をなす一方、下側に切り欠きが設けられて胴部18Bよりも高さ方向の寸法が小さくなっている。また、胴部18Bの表裏の両側面には、外側に畝状に張り出す抜止め突起181が胴部18Bの下端に沿って設けられている。
グルーブドピン18の両端の突出部180のうち、S/Lリンク21に干渉する側の突出部180Aの付け根には、高さ方向の寸法が急激に拡大する顎部189が形成されている。この顎部189は、突出部180AがS/Lリンク21の荷重受け面211に当接したとき、上記のごとくベースブラケット3側に荷重を伝達するS/Lリンク21のサポート部214(図7及び図13参照。)に対して僅かな隙間を空けて対面するように形成されている。グルーブドピン18からS/Lリンク21に作用する荷重が過大になると、S/Lリンク21の弾性変位に応じて顎部189がサポート部214に当接し、過大な荷重の一部がベースブラケット3側に伝達される。
突出部180Aの先端には、カギ状をなすように下方に折れ曲がるフック部185が設けられている。フック部185は、突出部180Aの先端において、向かって右側にオフセットして配設されている。組立状態のシフトレバーユニット1において、この右側はS/Lリンク21の復帰側に当たる側となっている(図13参照。)。
グルーブドピン18の上側面には、サメの背びれのように上方に張り出す略直角三角形状の支持部183が設けられている。支持部183は、グルーブドピン18がディテントロッド12に貫通配置されたときに、ディテントロッド12の外周面に対面するように形成されている(図7参照。)。支持部183は、S/Lリンク21からの反力に由来してグルーブドピン18に生じる回転モーメントをディテントロッド12の外周面に作用する。支持部183によれば、グルーブドピン18の先端側が煽られるようなピッチング方向の回転変位を確実性高く規制できる。
図11及び図12のごとく、突出部180の付け根部分に当たるグルーブドピン18の両側面には、窪み186、187が設けられている。グルーブドピン18の一方の側面では、両端の突出部180の付け根に当たる部分に窪み186が設けられ、他方の側面では同様に窪み187が設けられている。窪み186、187は、それぞれ、突出部180の突出方向の断面形状が略一定をなし、この突出方向の所定範囲に形成されている。窪み186、187は、ディテント窓32の上記の10度の段差面325A(図5参照。)、あるいは6度の段差面325Bに対応する傾斜面186S、187Sを含んで形成されている。なお、この傾斜面186S、187Sの作用効果については後で詳しく説明する。
グルーブドピン18の一方の側面では、抜止め突起181に対して突出部180A側に隣接して周囲から窪む凹み部184が形成されている。この凹み部184の上側の境目は、上記の突出方向に沿って延在する直線的な棚面184Gを形成している。この棚面184Gは、上記のレバー本体15の係止部155Aに係合する段差をなしている。反対側の突出部180側では、胴部18Bに隣接する下側面188が設けられている。この下側面188のうち上記の一方の側面に隣接する側端部が、上記のレバー本体の係止部155Bに係合する角部をなしている。なお、係止部155A・Bに対する棚面184Gあるいは下側面188の係合については、後で詳しく説明する。
ディテントロッド(伝達部材)12は、図8及び図11のごとく、角筒状のレバー本体15に内挿配置される軸状の樹脂成形品である。ディテントロッド12は、シフトノブ11が受け付けた運転者の操作(シフトボタン110の押込みによる解除操作)をグルーブドピン18に伝達し、シフトレバー10の軸方向にグルーブドピン18を変位させるように機能する。なお、ディテントロッド12は、剛性を確保しながら重量を低減可能な断面形状に成形されている。
レバー本体15に組み付けたときに基部15F側に位置するディテントロッド12の端部の外周側面には、グルーブドピン18を貫通配置するための貫通孔である収容孔121が穿設されている。その端面には、コイルスプリング130の座125が設けられている。ディテントロッド12の反対側の端部は、シフトノブ11の孔112(図9参照。)に挿入され、シフトボタン110の図示しない内部構造に干渉する端部である。ディテントロッド12は、シフトボタン110の押込み操作に応じて軸方向に押し出される。
収容孔121は、グルーブドピン18の胴部18Bに対応する断面形状を備えている。収容孔121の断面は略矩形状をなし、その長手方向がディテントロッド12の軸方向に沿っている。座125側の収容孔121の端部には、グルーブドピン18の抜止め突起181を収容できるように拡幅された突起収容部123が形成されている。なお、収容孔121は、グルーブドピン18に対して隙間嵌めに相当する嵌合いの寸法で穿孔されており、指の力程度の軽い力でグルーブドピン18を挿抜可能である。
次に、シフトレバー10の組み立て手順について説明する。図8に示すように、シフトレバー10を組み立てるに当たっては、まず、レバー本体15の貫通孔157に丸ピン131を圧入して固定し、予めコイルスプリング130の座を設けておく必要がある。そして、レバー本体15のノブ取付部153側の開口端から、コイルスプリング130、及びディテントロッド12をこの順番で挿入する。
レバー本体15の開口端から突き出すディテントロッド12の端部を押し込めば、コイルスプリング130の圧縮変形を伴ってディテントロッド12を基部15F側に変位できる。このようにして、ディテントロッド12の収容孔121の突起収容部123が、レバー本体15の上記の差込部156に一致するよう、ディテントロッド12を軸方向に押し込む。この状態であれば、レバー本体15の差込部156を介して抜止め突起181(胴部18B)がレバー本体15の外周側壁を通過でき、レバー本体15に内挿配置されたディテントロッド12の収容孔121に対して、例えば手作業によりグルーブドピン18を貫通配置できる。
グルーブドピン18を貫通配置させた後、ディテントロッド12の端部を押し込む力を解放すると、弾性復帰するコイルスプリング130の付勢力によりディテントロッド12が軸方向に押し戻される。このとき、グルーブドピン18の両端に延設された突出部180は、レバー本体15の貫通溝155から径方向外周側に突出する状態を維持しながら軸方向に変位する。上記の通り、貫通溝155は、グルーブドピン18の胴部18Bが挿通できない溝幅に設定されているため、シフトレバー10に保持されたグルーブドピン18は、貫通溝155により径方向の位置が規制される。
ディテントロッド12を組み付けたレバー本体15に対してシフトノブ11を取り付けると、シフトノブ11の内部に突き出すディテントロッド12の端部がシフトボタン110側に干渉する。ディテントロッド12は、シフトボタン110により軸方向に若干、押し出された状態となる。
以上のように組み立てたシフトレバー10をベースブラケット3に組み付け、さらに、S/Lリンク21や電磁ソレノイド24等をベースブラケット3に組み付ければ、シフトレバーユニット1の組み立て作業が完了する。Pレンジが選択されたときのシフトレバーユニット1では、グルーブドピン18の突出部180がベースブラケット3の経路溝321に位置する状態となる(図2及び図3参照。)。
上記の通り、本例のシフトレバーユニット1では、Pレンジが選択され、シフトボタン110が操作されない場合の突出部180(グルーブドピン18)の軸方向の位置が規制位置となっている(図2及び図3に示す状態)。突出部180が規制位置にあるときにPレンジから他のレンジにシフトレバー10を操作しようとしても、ブラケット側軸孔300を中心とした径方向に延在する経路溝321の内側面により突出部180の回動変位が規制され、これによりシフト操作が規制される。
シフトボタン110が押込み操作された場合には、ディテントロッド12が軸方向に押し出され、これにより、グルーブドピン18の突出部180が規制位置から解除位置に向けて駆動される。しかし、図示しないブレーキペダルが踏み込まれていない場合には、電磁ソレノイド24に通電されず、S/Lリンク21が経路溝321を封鎖する初期回動位置のままである(図2に示す位置。)。それ故、突出部180Aは、S/Lリンク21の荷重受け面211に押し当たり解除位置に到達できない。この場合には、上記のシフトボタン110が操作されない場合と同様、突出部180の回動変位が経路溝321の内側面により規制されシフト操作が規制される。
一方、図示しないブレーキペダルが踏み込まれた場合には、電磁ソレノイド24への通電に応じてS/Lリンク21が回動駆動されて経路溝321を開放する回動位置に変位する(図4に示す位置。)。これにより経路溝321が開放され、解除位置への突出部180の変位が可能になる。経路溝321がディテント窓32に連通する箇所である解除位置に突出部180が変位すれば、この突出部180の回動変位を伴うシフトレバー10の回動操作が可能となり、これによりDレンジ等に切り替えるシフト操作が可能になる。
ここで、Pレンジから他のレンジへのシフト操作が規制されるシフトロック状態においてS/Lリンク21にグルーブドピン18が当接する構造について詳しく説明する。本例のシフトレバーユニット1では、S/Lリンク21に対してグルーブドピン18が当接する状態を確実性高く保持するために以下の構造が設けられている。
上記のごとく、グルーブドピン18では、S/Lリンク21に当接する突出部180Aに略カギ状のフック部185が設けられている。このフック部185は、突出部180Aの先端において復帰側にオフセットして設けられている。一方、突出部180Aが当接する側のS/Lリンク21の先端面は、略L字状の正面形状をなし、その略L字状の内側に窪み215が形成されている。この窪み215は、フック部185と同様、S/Lリンク21の第2腕部21Bの先端において、復帰側にオフセットして設けられている。
したがって、S/Lリンク21に対してグルーブドピン18(突出部180A)が当接する図13(b)のシフトロック状態では、窪み215に対してフック部185が食い込み、S/Lリンク21とグルーブドピン18とが噛み合う状態となる。この噛み合い状態によれば、突出部180Aの先端方向にS/Lリンク21が倒れ込む変形等を規制できると共に、S/Lリンク21の回動変位を規制でき、これにより、S/Lリンク21から突出部180Aが外れてしまう状況を確実性高く回避できる。
さらに、本例のシフトレバーユニット1では、例えばDレンジからRレンジ、RレンジからPレンジ、セカンドレンジからローレンジ等の特定のシフト操作を規制する機能が設けられている。これらの特定のシフト操作については、シフトボタン110の押込みによる解除操作が必要となっている。この解除操作が行われない場合には、ディテント窓32の段差325に対して回動方向からグルーブドピン18の突出部180が押し当たり(図14参照。)、シフトレバー10の回動を伴うシフト操作が規制される。
上記の特定のシフト操作を可能にするには、突出部180が段差325を乗り越えることができるよう、シフトボタン110の押込みによる解除操作によりグルーブドピン18を基部15Fに向けて軸方向に変位させれば良い。このようにシフトレバーユニット1では、上記の特定のシフト操作について、シフトボタン110の押込み操作が行われない不用意な操作、あるいは運転者が意図しない操作が規制される。
本例のシフトレバーユニット1では、操作力が過大であっても上記の不用意な操作等を確実性高く規制できるよう、2種類の特別な構造が採用されている。以下、この2種類の構造について説明する。
(第1の構造)
第1の構造は、ディテント窓32の段差325に対する突出部180の当接荷重を元にして、グルーブドピン18を軸方向に付勢する力を生じさせる付勢構造である。この付勢力は、グルーブドピン18をシフトノブ11側へ付勢するように作用し、段差325に突出部180が押し当たる状態を確実性高く保持するために役立つ。
図5及び図14のごとく、この付勢構造は、ディテント窓32の段差面325A・Bと、グルーブドピン18に設けられた傾斜面186S、187Sと、の組み合わせを含んで構成されている。なお、図14では、Pレンジ、Rレンジ、及びDレンジのときのグルーブドピン(規制部材)18の位置を例示している。
第1回動方向側に面する段差面325Aは、グルーブドピン18の傾斜面186Sが押し当たる面である。また、第2回動方向側に面する段差面325Bは、グルーブドピン18の傾斜面187Sが押し当たる面である。上記のごとく、段差面325A(B)は、シフトレバー10の回動中心(図5中の点CR)を基準とした径方向に対して10度(6度)で傾く斜面となっている。そして、この段差面325A(B)に押し当たる傾斜面186S(187S)についても、段差面325A(B)の傾斜角度と同様の10度(6度)の角度となっている(図12中のD−D断面及びE−E断面参照。)。
段差面325A・Bは、上記の傾斜角度により、グルーブドピン18側から見て、シフトレバー10の回動中心CRに近いほど張り出し、遠ざかるほど低くなる滑り台のような傾斜面となっている。このように傾斜する段差面325A・Bに対してグルーブドピン18が押し当たる場合、突出部180が作用する当接荷重の分力として、径方向外周側、すなわちシフトノブ11側へグルーブドピン18を付勢する力(付勢力)が生じる。この付勢力は、グルーブドピン18をシフトノブ11側に付勢するように作用し、突出部180の当接荷重が大きくなるほど強くなる。
このような付勢力は、例えばRレンジが選択された状態で、シフトボタン110が操作されることなくシフトレバー10が不用意に、あるいは意図せずPレンジに向けて操作されたときに有効に作用する。段差面325Aに対して突出部180が押し当たる際の当接荷重に由来してグルーブドピン18に作用する付勢力は、基部15F側にグルーブドピン18が変位するおそれを抑制し、突出部180が段差325を乗り越えてしまう状況を回避できるように作用する。
なお、段差面325A・Bが傾斜する角度を大きく設定すれば上記の付勢力が大きくなる傾向にある。しかし、これらの角度を大きくし、対応するグルーブドピン18側の傾斜面186S、187Sの角度を同様に大きくするためには、窪み186、187の凹みを深くする必要が生じる。窪み186、187の凹みが深くなれば、突出部180の付け根部分の厚さが薄くなり剛性の低下が不可避である。
ここで、RレンジとPレンジとの中間に位置する段差325は半島状を呈しており、他の段差325と比べて段差325自体の剛性の確保が容易ではない。段差325側の剛性が低いと、突出部180の当接荷重が作用したときの弾性変形の度合いが大きくなり、弾性変形した段差325を突出部180が乗り越えてしまうおそれが生じる。
そこで、シフトレバーユニット1では、RレンジとPレンジとの中間に位置する段差325については、上記の付勢力が大きくなるように段差面325Aの角度を10度と大きく設定している。一方、段差325の剛性確保が比較的容易な段差面325Bについては、グルーブドピン18側の剛性確保を優先し、角度を6度と小さく設定している。
(第2の構造)
第2の構造は、解除操作を伴わないRレンジからPレンジへのシフト操作が行われたとき、グルーブドピン18の軸方向の変位を確実に規制するための構造である。上記の通り、RレンジとPレンジとの中間の段差325は剛性が低く、弾性変形に応じて段差325を突出部180が乗り越えてしまうおそれがある。そこで、図15〜図17のごとく、Rレンジが選択されたときのグルーブドピン18の位置に対応して第2の構造を構成する係止部155A・Bが配設されている。この係止部155A・Bは、グルーブドピン18が係合するように構成され、この係合により基部15F側へのグルーブドピン18の変位が規制される。なお、図15では、S/Lリンク21、電磁ソレノイド24等の図示を省略している。なお、図17中のF部拡大は、図16中のF領域を拡大した図である。
周囲から窪むように穿設された係止部155A・Bは、図16及び図17のごとく、正面形状が似通っている。係止部155A・Bは、いずれも、基部15F側の縁部をなす棚面155Gが軸方向に直交して延在していると共に、貫通溝155の開口側(突出部180の突出方向に当たる側)に向けて形成高さが次第に高くなる略三角形の正面形状を呈している。なお、係止部155A・Bは、軸方向の位置が相違している。係止部155Aには、グルーブドピン18の側面に設けられた棚面184Gが係合する一方、係止部155Bは、グルーブドピン18の下側面188が係合するように形成されているためである。
Rレンジの選択中にシフトボタン110が押込み操作(解除操作)されることなく、シフトレバー10がPレンジに向けて第2回動方向に操作されたとき、グルーブドピン18の両端の突出部180がディテント窓32の段差面325Aに押し当たる。このときの操作力が過大であると、突出部180が段差面325Aに作用する当接荷重が大きくなると共に段差325からの反力が大きくなる。
この反力が大きくなれば、図18のごとく、グルーブドピン18の両端の突出部180が段差325から押し返され、ディテントロッド12に収容された胴部18Bを中心として、グルーブドピン18全体が反るように湾曲する弾性変形が生じる。このようなグルーブドピン18の湾曲変形が生じると、棚面184Gが係止部155Aに収容されると共に、グルーブドピン18の下側面188の側端部が係止部155Bに収容される。そうすると、係止部155Aの棚面155Gに棚面184Gが係合すると共に、係止部155Bの棚面155Gに下側面188が係合し、これにより基部15F側へのグルーブドピン18の変位が確実性高く規制された状態となる。
このようにシフトレバーユニット1では、グルーブドピン18を湾曲変形させる程の過大な操作力がシフトレバー10に作用したとき(図18参照。)、グルーブドピン18が係止部155A・Bに係合し、これによりグルーブドピン18の軸方向の変位が確実に規制される。図18のような湾曲変形は、グルーブドピン18の両端側に近くなるほど変形量が大きくなる。そこで本例では、グルーブドピン18が係合する側の係止部155A・Bについて、グルーブドピン18の両端側に当たる径方向外周側に向かって次第に形成高さが高くなるように形成し、これにより係止部155A・Bの正面形状が上記のように略三角形状となっている。
なお、RレンジからPレンジへのシフト操作の際、適切にシフトボタン110の押込みによる解除操作が行われた場合には、上記の第2の構造は無効のまま維持される。適切な解除操作が行われた場合には、グルーブドピン18に湾曲変形が生じることがなく、係止部155A・Bに係合しないためである。この場合には、シフトボタン110の押込みによる解除操作に応じて、グルーブドピン18が基部15F側に滑らかに変位できる。
以上のように、シフトレバーユニット1は、シフトボタン110の押込みによる解除操作が必要な特定のシフト操作が不用意あるいは意図せずに行われたとき、そのシフト操作を確実に規制する上記の第1及び第2の構造を備えている。
第1の構造は、ディテント窓32の段差325に突出部180が回動方向から押し当たる際の当接荷重に応じてグルーブドピン18をシフトノブ11側に付勢する力を発生させる構造である。
第2の構造は、この当接荷重が過大となったときにグルーブドピン18に起こり得る弾性的な湾曲変形を積極的に活用する構造である。図18のような湾曲変形が生じたグルーブドピン18は、レバー本体15の貫通溝155に設けられた係止部155A・Bに係合し、基部15F側への変位が規制される。
第1及び第2の構造は、ディテント窓32の段差325に突出部180が押し当たる状態を保持するために有効に機能する。第1及び第2の構造を備えるシフトレバーユニット1では、突出部180が段差325に押し当たる状態を確実に保持するため、ディテント窓32の剛性や、グルーブドピン18自体の剛性や、グルーブドピン18の組み付け剛性等を確保する必要性が低減されている。したがって、このシフトレバーユニット1では、部品の小型化設計や軽量設計が比較的容易であり、ユニット全体の小型化や軽量化を実現し易くなっている。
特に、本例のシフトレバーユニット1は、樹脂製のグルーブドピン18を採用すると共に、手作業での組み付けを可能としている。従来の鉄製のグルーブドピンをディテントロッドに圧入する構造であれば、剛性の確保が比較的容易である。一方、樹脂製のグルーブドピン18を手作業で組み付ける構造について剛性を十分確保するためには、グルーブドピン18自体を大型化して剛性を高くしたり、組み合わせるディテントロッド12の剛性を高めたり、ディテント窓32側の剛性を高める必要がある。本例のシフトレバーユニット1では、グルーブドピン18の基部15F側への変位を規制するために有効に作用する上記の第1及び第2の構造を取り入れることで、ディテント窓32やグルーブドピン18やディテントロッド12などに要求される剛性を低く抑えている。
なお、例示したシフトレバーユニット1では、Rレンジが選択されているときのグルーブドピン18に対応して係止部155A・Bが設けられている。各レンジに対応するよう、貫通溝155の溝方向に図19のような鋸刃状の係止部155Cを設けることも良い。さらに、本例では第1回動方向へのシフト操作に対応する係止部155A・Bを貫通溝155の片側の内側面に形成している。第2回動方向のシフト操作にも対応できるよう、貫通溝155の両側の内側面に係止部を設けることも良い。
グルーブドピン18の突出部180が回動する空間をなすディテント窓32として、本例では、全周を壁面によって取り囲まれた窓を例示しているが、周方向の一部が外部に連通する不完全な窓であっても良い。
本例では、シフトボタン110の押込みによる解除操作に応じてグルーブドピン18がシフトレバー10の軸方向に変位し、この変位に伴って突出部180が同様に軸方向に変位する構成を例示している。これに代えて、解除操作に応じて突出部が径方向内周側に後退する構成を採用することも良い。この場合の付勢構造としては、段差325に突出部が押し当たることで、径方向外周側(突出部の突出方向の側)への付勢力が生じる構造を採用すれば良い。突出部の径方向内周側への変位を規制する係止部としては、軸方向に沿って延在する段差を有する係止部を設けると良い。突出部側には、係止部の段差に係合する相手方の段差を軸方向に沿って設けると良い。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。