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JP6895356B2 - 車輌用電子制御装置 - Google Patents
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本発明は、レイテントフォールト(潜在故障)を診断できる車輌用電子制御装置に関する。
特許文献1には、車輌の制御対象機器を制御するための演算を行う演算処理部(CPU:Central Processing Unit)と、この制御対象機器を駆動する駆動処理部とを備え、演算処理部と駆動処理部とがSPI(Serial Peripheral Interface)通信でデータの授受を行う車輌用電子制御装置が記載されている。駆動処理部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、当該駆動処理部における処理をウォッチドッグタイマで監視して自己診断を行っている。
特開2014−89672号公報
ところで、近年、自動車産業におけるISO26262(機能安全)対応において、レイテントフォールトによって車輌が危険状態へ陥る事を回避するために、安全機構が正しく動作することを診断しておくことが要求されている。例えば、上記特許文献1の車輌用電子制御装置では、SPIラインの故障や自己診断機能自体に異常が発生すると正常な診断ができなくなるため、より安全性を向上するにはレイテントフォールトの診断が必要になる。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、レイテントフォールトを診断できる車輌用電子制御装置を提供することにある。
本発明の車輌用電子制御装置は、自己診断機能を有し、制御対象を駆動する駆動装置と、前記制御対象に対する制御信号を生成し、SPI通信により前記駆動装置に供給する処理装置とを備え、前記処理装置からSPI通信の内容にエラー情報を設定し、前記自己診断機能による診断結果を用いて、前記処理装置によりレイテントフォールトを診断する車輌用電子制御装置であって、前記処理装置より送信されるマスターSPIからの通信にショートフレームデータ、ロングフレームデータ、及びCRCエラーデータを付けて順次駆動装置に送信し、前記処理装置は、前記駆動装置の自己診断回路による診断結果を用いてショートフレーム発生の有無、ロングフレーム発生の有無、及びCRCエラー発生の有無をそれぞれ判定し、ショートフレーム発生、ロングフレーム発生、及びCRCエラー発生の何れか1つが所定回数を超えた場合にフェールセーフモードに移行し、超えない場合には終了する、ことを特徴とする。
本発明によれば、駆動装置と処理装置間のSPI通信に意図的に異常を生じさせた際の動作を確認することで、自己診断機能のレイテントフォールトの有無を判定できる。また、SPI通信機能を含んだ状態で診断ができるので、駆動装置の自己診断結果の信頼性を向上できる。従って、安全機構が正しく動作することを診断でき、車輌が危険な状態に陥るのを回避できる。
本発明の実施形態に係る車輌用電子制御装置の概略図である。 図1のSPI通信部におけるSDIフレームとSDOフレームの構成例を示す図である。 エラー設定の際のSDIフレームの送信データと、SDOフレームの受信データを示す模式図である。 図1に示した車輌用電子制御装置における処理装置で実行される潜在故障診断処理の動作を示すフローチャートである。 SPI通信が正常な場合のクロック信号、送信信号、受信信号及びチップセレクト信号のタイミングチャートである。 ショートフレームエラー状態のクロック信号、送信信号、受信信号及びチップセレクト信号のタイミングチャートである。 ロングフレームエラー状態のクロック信号、送信信号、受信信号及びチップセレクト信号のタイミングチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車輌用電子制御装置を示しており、制御対象としてトランスミッション40の変速制御に用いられる油圧制御装置50のソレノイドバルブを駆動するTCU(Transmission Control Unit)10を例に取っている。トランスミッション40には、エンジン20からトルクコンバータ30やクラッチなどを介して動力が伝達される。トランスミッション40は、トルクコンバータ30から伝えられた回転動力を変速して出力軸に出力する変速機構40aと、油圧駆動部品に作動油を供給するオイルポンプ40bと、このオイルポンプ40bから供給される油圧を用いて変速機構40aを制御する油圧制御装置50とを備えている。
また、トランスミッション40内には入力回転数センサ、出力回転数センサ及び油温センサなどのセンサ40cが設けられている。これらセンサ40cの検出信号DSがTCU10に入力され、TCU10によりトランスミッション40の動作状態が検出される。そして、伝達された動力は、トランスミッション40によりトルクや回転数、回転方向が変えられ、変速機構40aの出力軸から図示しない駆動伝達経路を経由して駆動輪に伝えられる。
エンジン20は、ECU(Electronic Control Unit)60によって制御され、運転者の操作状況、各種センサにより検出したエンジン20の状態及び周囲環境などに応じて、例えば点火タイミング、燃料噴射量、スロットルバルブの開閉、及びバルブタイミングなどが制御されるようになっている。ECU60とTCU10との間では、エンジン20の制御とトランスミッション40の制御とを互いに関連づけて最適化するために、CAN(Controller Area Network)通信が行われる。
TCU10は、処理装置1と駆動装置2を備えている。処理装置1は、マイクロコンピュータ(マイコン)などから成り、例えばパルス幅変調されたパルス信号P1,P2,…,Pnを、油圧制御装置50の各ソレノイドバルブを駆動する制御信号として生成し、駆動装置2に出力する。この処理装置1は、SPI通信を行うためのSPI通信部3と潜在故障診断処理機能(ここでは潜在故障診断部7と表現する)を有する。SPI通信部3から出力されるクロック信号CLK、送信信号Tx及びチップセレクト信号CSはそれぞれ駆動装置2に入力され、この駆動装置2から出力される信号は受信信号RxとしてSPI通信部3に入力される。
駆動装置2は、ASICで構成されており、制御対象である油圧制御装置50のソレノイドバルブを駆動するドライバ5(例えばハイサイドドライバとローサイドドライバ)を備え、処理装置1から供給されたパルス信号P1,P2,…,Pnに基づいてソレノイドバルブのコイル(ソレノイド)に選択的に電流を流して駆動する。また、この駆動装置2は、自己診断回路6を備えており、ショートフレームエラー、ロングフレームエラー、及びCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生したか検知することで、自身が正常に動作しているか否かを自己診断可能に構成されている。
潜在故障診断部7は、自己診断回路6のレイテントフォールトを診断するもので、SDOフレーム(マスターSPIへ)のエラー情報を元にフェールセーフに移行するか否か判断する処理を実行する。この潜在故障診断部7からSPI通信部3に、通信内容にエラーとなる情報を送信するように指示する。そして、SPI通信にエラー情報を設定した場合の、自己診断回路6の診断結果に基づいて、処理装置1の潜在故障診断部7で自己診断機能のレイテントフォールトの有無を判定する。このレイテントフォールトの有無は、例えばエラー情報のデータ形式に応じて判定する。このように、駆動装置2と処理装置1間のSPI通信に意図的に異常を生じさせた際の自己診断回路6の動作を確認することで、レイテントフォールトの有無を処理装置1で判定できる。この際、SPI通信部3を介してエラー情報を送受信するので、通信機能(SPI通信部3と通信線)が正常に動作しているか否かも診断できる。
図2は、図1のSPI通信部3におけるSPIフレームの構成例であり、マスターSPIからのSDIフレームと、マスターSPIへのSDOフレームを示している。SDIフレームは、2バイトのレジスタFR0とFR1で構成され、3ビットのCRCデータ、13ビットのデータビット、7ビットのデータ、1ビットのリザーブビット(=0)、7ビットのアドレス及び1ビットのライト/リードビットWr/Rdnを有する。また、SDOフレームは、2バイトのレジスタFR0とFR1で構成され、3ビットのCRCデータ、13ビットのデータビット、7ビットのデータ、6ビットのチャネル例外、1ビットのCRCエラー、1ビットのロングフレームエラー及び1ビットのショートフレームエラーを有する。
図3は、エラー設定の際のSDIフレームの送信データと、SDOフレームの受信データを示す模式図である。処理装置1の潜在故障診断部7からSPI通信部3に、通信内容にエラーとなる情報を送信するように指示する。例えばSPI通信部3から、ショートフレームとなるようにクロック信号CLKを「CLK<32」に設定したデータSFa、ロングフレームとなるようにクロック信号CLKを「CLK>32」に設定したデータLFa、CRCの計算方法を変更してCRCエラーになるように設定したデータCRCaを送信する。そして、駆動装置2の自己診断回路6にエラーを検出させ、その診断結果をSDOフレームで処理装置1に返す。この診断結果は、ショートフレームエラー検出の有無を表すデータSFb、ロングフレームエラー検出の有無を表すデータLFb、CRCエラー検出の有無を表すデータCRCbである。その診断結果を元に潜在故障診断部7で潜在故障診断処理を実施し、フェールセーフモードに移行する必要があるかを判断する。
上記手順で正常と判定できなかった場合は、SPI通信部3、通信線あるいは自己診断回路6に問題があると判断し、制御対象である油圧制御装置50のソレノイドバルブに対する制御を抑制する、あるいは車輌を緩やかに停止させるなどのフェールセーフモードに移行する。
上述したSPI通信部3から駆動装置2へのエラー情報の注入は、所定周期で実施する。このようなエラーとなるデータの送信とエラー回答の受信を複数回繰り返し、エラーが所定回数以上検出されなかった場合に異常と判定する。
これにより、処理装置1側で駆動装置2の自己診断回路6が正常に動作しているか否かをリアルタイムで確認でき、レイテントフォールトを防ぐことができる。また、処理装置1で判断しているため、SPI通信部3と駆動装置2にも問題がないことを確認できる。
なお、図3では、実制御のマスターSPIからの通信の終端にエラーを発生させるデータを付加して連続的に送信する例を示したが、エラーを発生させるデータは1サイクル中のどのタイミングで送信しても良く、ショートフレームエラー、ロングフレームエラー及びCRCエラーを発生させるデータを分離して送信しても良いのは勿論である。
次に、上述したSPI通信部3と自己診断回路6のレイテントフォールトの診断について、図4により詳しく説明する。図4は、処理装置1で実行される潜在故障診断処理(潜在故障診断部7の動作)を示すフローチャートである。まず、処理装置1より送信されるマスターSPIからの通信にショートフレームデータSFaを付けて駆動装置2に送信する(ステップS1)。次に、処理装置1は、駆動装置2の自己診断回路6による診断結果(データSFb)を用いてショートフレーム発生の有無を判定する(ステップS2)。ショートフレーム発生有りと判定されると、正常に動作しているので変数Aを0に設定し(ステップS3)、ショートフレーム発生無しと判定されると、異常動作であるので変数Aをプラス1(A=A+1)する(ステップS4)。
SPI通信が正常な場合のクロック信号CLK、送信信号Tx、受信信号Rx及びチップセレクト信号CSは、それぞれ図5のタイミングチャートのようになる。本例では1フレームのクロック信号CLKは32ビットであり、クロック同期式のシリアル通信を行う。チップセレクト信号CSが有意レベル(ロウレベル)になると、クロック信号CLKで設定された1フレーム期間に送信信号Txと受信信号Rxの授受が行われる。
これに対し、ショートフレームエラーが発生すると、図6に示すように1フレームのクロック信号CLKは32ビットより少なくなる。そして、チップセレクト信号CSが有意レベルになると、クロック信号CLKで設定された32ビットより短い1フレーム期間に送信信号Txと受信信号Rxの授受が行われる。
次のステップS5では、処理装置1より送信されるマスターSPIからの通信にロングフレームデータLFaを付けて駆動装置2に送信する。処理装置1は、駆動装置2の自己診断回路6による診断結果(データLFb)を用いてロングフレーム発生の有無を判定する(ステップS6)。ロングフレーム発生有りと判定されると、正常に動作しているので変数Bを0に設定し(ステップS7)、ロングフレーム発生無しと判定されると、異常動作であるので変数Bをプラス1(B=B+1)する(ステップS8)。
ロングフレームエラーが発生すると、図7に示すように1フレームのクロック信号CLKは32ビットより多くなる。そして、チップセレクト信号CSが有意レベルになると、クロック信号CLKで設定された32ビットより長い1フレーム期間に送信信号Txと受信信号Rxの授受が行われる。
次のステップS9では、処理装置1より送信されるマスターSPIからの通信にCRCエラーデータCRCaを付けて駆動装置2に送信する。処理装置1は、駆動装置2の自己診断回路6による診断結果(データCRCb)を用いてCRCエラー発生の有無を判定する(ステップS10)。CRCエラー発生有りと判定されると、正常に動作しているので変数Cを0に設定し(ステップS11)、CRCエラー発生無しと判定されると、異常動作であるので変数Cをプラス1(C=C+1)する(ステップS12)。
次のステップS13では、変数A,B,Cの何れか1つが所定値mを超えたか否か判定し、超えた場合にはフェールセーフモードに移行し(ステップS14)、超えない場合には終了する。フェールセーフモードへの移行は、駆動装置2が備えている機能に依存するが、例えばソレノイドバルブの駆動による油圧制御装置50の制御を停止する。あるいはソレノイドバルブの駆動により、油圧制御装置50を使ってトランスミッション40で変速する/しないを制御している場合には、車輌は動かしながら変速できないようにする。また、変速制御やモータ駆動などのアクチュエータを制御しても良い。車輌としてのコアな部分を動かす場合には、処理装置1を停止させることもできる。更に、CAN通信を停止するようにしても良い。
これらのうち、少なくともいずれか1つを実施することで、駆動装置2の担う機能に応じたフェールセーフモードへの移行が行われる。フェールセーフモードは、正常に戻ったことを確認でき次第解除する。
上記のような構成によれば、駆動装置2と処理装置1間のSPI通信に意図的に異常を生じさせた際の動作を確認することで、自己診断機能のレイテントフォールトの有無を判定できる。また、SPI通信機能の診断もでき、SPI通信機能を含んだ状態で診断ができるので、駆動装置2の自己診断結果の信頼性を向上できる。従って、安全機構が正しく動作することを確認でき、レイテントフォールトによって車輌が危険な状態に陥るのを回避できる。
<変形例1>
なお、上記実施形態では、TCUの変速制御を行う油圧制御装置のソレノイドバルブの駆動を例に取って説明したが、制御対象はソレノイドバルブに限定されるものではなく、例えばインジェクタードライバの制御にも適用可能である。インジェクタードライバを制御する場合、処理装置1で異常を検知したときのフェールセーフモードとしては、運転者に異常を通知するとともに、燃料の噴射量やOの変化は意図しない加速や減速の危険があるため、車輌を緩やかに停止させる。もちろん、車輌や周囲の状況、異常の状態になど応じて何れか一方を実施しても良い。このフェールセーフモードは、正常に戻ったことを確認でき次第解除する。
<変形例2>
また、同様にして外付けEEPROMの制御にも適用することができる。この場合、処理装置1で異常を検知したときのフェールセーフモードとしては、次の(a)〜(c)のうち少なくともいずれか1つを実行すると良い。(a)運転者に異常を通知する。(b)EEPROMへの書き込みを禁止する。(c)デフォルト値で制御し、EEPROMに格納されたパラメータに頼らずにアクチュエータを制御するようにする。このフェールセーフモードは、正常に戻ったことを確認でき次第解除する。
<変形例3>
SPI通信部3からのエラー情報の注入を、クロック信号CLKの変更やチップセレクト信号CSの長さを変更することで行っても良い。
<変形例4>
SPI通信部3から駆動装置2にショートフレームエラー、ロングフレームエラー及びCRCエラーを注入する例について説明したが、チェックサムやハッシュを用いたエラー情報を注入することもでき、エラーを発生させるデータであればこれらに限られるものではない。
<変形例5>
処理装置1中に潜在故障診断部7を設けてSPI通信部3から駆動装置2にエラー情報を注入する例について説明したが、処理装置1中にメモリを設けて、予めエラー情報を発生するためのプログラムを記憶しておき、ソフトウェアによってSPI通信部3にエラー情報を注入することもできる。
<変形例6>
更に、処理装置(マイコン)1にSPI通信部3が内蔵されている例について説明したが、処理装置1の外部に設けられていても良いのは勿論である。
1…処理装置(マイクロコンピュータ)、2…駆動装置(ASIC)、3…SPI通信部、5…ドライバ、6…自己診断回路、7…潜在故障診断部、10…TCU、20…エンジン、30…トルクコンバータ、40…トランスミッション、40a…変速機構、40b…オイルポンプ、40c…センサ、50…油圧制御装置(制御対象)、60…ECU、P1,P2,…,Pn…パルス信号(制御信号)

Claims (3)

  1. 自己診断機能を有し、制御対象を駆動する駆動装置と、前記制御対象に対する制御信号を生成し、SPI(Serial Peripheral Interface)通信により前記駆動装置に供給する処理装置とを備え、
    前記処理装置からSPI通信の内容にエラー情報を設定し、前記自己診断機能による診断結果を用いて、前記処理装置によりレイテントフォールトを診断する車輌用電子制御装置であって、
    前記処理装置より送信されるマスターSPIからの通信にショートフレームデータ、ロングフレームデータ、及びCRCエラーデータを付けて順次駆動装置に送信し、
    前記処理装置は、前記駆動装置の自己診断回路による診断結果を用いてショートフレーム発生の有無、ロングフレーム発生の有無、及びCRCエラー発生の有無をそれぞれ判定し、
    ショートフレーム発生、ロングフレーム発生、及びCRCエラー発生の何れか1つが所定回数を超えた場合にフェールセーフモードに移行し、超えない場合には終了する、ことを特徴とする車輌用電子制御装置。
  2. 前記処理装置が、前記SPI通信機能及び前記自己診断機能の少なくとも一方のレイテントフォールトの有無を判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用電子制御装置。
  3. 前記レイテントフォールトの有無は、前記エラー情報のデータ形式に応じて判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用電子制御装置。
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