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JP6896444B2 - Pc構造物の定着具盛替工法 - Google Patents
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JP6896444B2 - Pc構造物の定着具盛替工法 - Google Patents

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本発明は、PC構造物にプレストレスを付与するPC鋼棒の不良部分を撤去した上、新設定着具によりPC鋼棒を掛け止めて盛り替えるPC構造物の定着具盛替工法に関するものである。
近年、橋梁などのプレストレスが付与されたPC構造物のPC鋼棒が腐食し、撤去したり、取替たりする必要性が出てきている。特に、橋梁の橋桁の天端やその付近に定着具が設けられている場合(図1参照)、シース内に充填されたグラウトの充填不良やブリージングにより、定着部付近のPC鋼棒廻りに空洞やグラウトの硬化不良が生じているおそれがある。空洞や硬化不良個所があると、そこから水や塩化物イオンなどの劣化因子が侵入し、PC鋼棒が腐食して破断するおそれがある。また、PC鋼棒には強力なプレストレスが付与されているため、破断するとPC構造物の上縁のコンクリートやアスファルト舗装を突き破り、PC鋼棒がPC構造物の表面から突出して大事故につながるおそれがある。
その上、定着具が桁天端に設けられている場合は、グラウトの充填不良等だけでなく、舗装のやり替え時に定着部を損傷してしまうおそれもある。このため、PC鋼棒自体に腐食や損傷が発生している場合には、PC鋼棒の腐食部分や損傷部分を撤去するとともに、プレストレスを維持するため本設定着部を盛り替える必要性がある。
特許文献1には、既設の連続したコンクリート構造物の中間部における解体・撤去区間に緊張状態のまま露出して残るPC鋼材7を定着するPC鋼材7の中間定着具1において、PC鋼材7の周囲を所定の環状すきま9を保って挟み込む半割りスリーブ2aを合わせてなる鋼管スリーブ2aと、開口部4aを有し鋼管スリーブ2の外周に順に嵌め込まれて鋼管スリーブ2を補強する複数個の板状C形部材4と、を有するPC緊張材の中間定着具、及びそれを用いた中間定着方法が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0017]〜[0021]、図面の図1、図3等参照)。
特許文献1に記載の中間定着方法は、膨張材の膨張による拘束圧力でPC鋼材との摩擦力を確保する方法であり、中間定着によりPC構造物の一部を解体撤去する場合には、有効である。しかし、特許文献1に記載の中間定着方法は、長期に亘る実験で膨張材の膨張による拘束圧力が持続することが証明されたものではなく、PC鋼材がすべる可能性を完全には払拭できていないという問題があった。
また、特許文献2には、PC構造物の一部を解体撤去する場合において、PC構造物の切断位置周辺を斫って緊張材を露出させ、当該緊張材に中間定着具を固着させて一部を埋め戻し、その状態で露出した緊張材を切断した上、緊張材の端部を本設定着具で定着し、その後PC構造物の一部を解体・切断する既存PC構造物の切断工法が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0010]〜[0015]、図面の図1等参照)。
しかし、特許文献2に記載の既存PC構造物の切断工法は、緊張材の端部を従来の本設定着具で定着するものであり、構造物の表面にしか従来の本設定着具を設置できない関係上、PC構造物の一部を解体撤去して縮小するPC構造物の切断工法にしか適用できないという問題があった。その上、従来の本設定着具は、中間定着具から少し離れたところに本設定着具をセットすることとなるので、その分、斫り範囲が大きくなってしまうという問題点もある。
また、特許文献2に記載の既存PC構造物の切断工法は、本設定着具が中間定着具から少し離れたところにセットされるため、中間定着具で止めているPC鋼材が滑った場合、本設定着具でプレストレスを受けることとなる。このため、設計断面のプレストレスが不足するおそれがあった。また、本設定着具が一般的なくさび方式定着具である場合は、セット量が必要であるため、プレストレスが低下するおそれがある。その上、PC鋼材が構造物の表面に対して傾斜して設置されている場合、その角度や距離によっても摩擦によってプレストレスが低下するおそれがあるという問題があった。
さらに、本願出願人が提案した特許文献3には、コンクリートを削り緊張材61を露出させ、露出した緊張材61に、上枠71及び下枠72と、固定用ボルト73と、リング74などからなる中間定着具7を取り付け、この中間定着具7が取り付けられた緊張材3に沿って既設コンクリートを斫って新たなコンクリートを打設し、硬化後プレストレスを導入するPC構造物の補修方法が開示されている(特許文献3の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0060]〜[0071]、図面の図1等参照)。
しかし、特許文献3に記載のPC構造物の補修方法も、特許文献1に記載の中間定着方法と同様に、膨張材の膨張力によりプレストレスを維持する構成である。このため、長期に亘る膨張材の膨張による拘束圧力が持続する否かが証明されておらず、単純にPC構造物の定着具の盛り替えに適用した場合、PC鋼棒が滑ってプレストレスが低減されてしまう可能性を完全には払拭できていないという問題があった。
特開2007−277826号公報 特開平9−158126号公報 特開2015−86534号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、PC構造物においてプレストレスが作用するPC鋼棒の腐食部分や損傷部分を安全に撤去できるともに、PC鋼棒を機械的に掛け止めることにより、PC鋼棒が滑ってプレストレスが低減するおそれが長期に亘ってないPC構造物の定着具盛替工法を提供することにある。
第1発明に係るPC構造物の定着具盛替工法は、PC鋼棒の不良部分を撤去した上、新設定着具によりPC鋼棒を掛け止めて盛り替えるPC構造物の定着具盛替工法であって、前記PC鋼棒の不良部分と健全部分を確認し、前記PC鋼棒の撤去部分を特定する撤去部分特定工程と、前記撤去部分特定工程で特定した前記撤去部分の残部に、新設定着具を取り付ける所定の範囲を確保して中間定着具を取り付ける中間定着具取付工程と、前記中間定着具取付工程後に、前記PC鋼棒の前記所定の範囲を加工して新設定着具を機械的に取り付ける定着具取付工程と、を備え、前記新設定着具は、支圧板と、この支圧板を挟み込む複数のナットを有し、前記定着具取付工程では、前記所定の範囲を切削加工してねじ溝を切り、このねじ溝に前記ナットを螺合させて前記支圧板を取り付けることを特徴とする。
発明に係るPC構造物の定着具盛替工法は、PC鋼棒の不良部分を撤去した上、新設定着具によりPC鋼棒を掛け止めて盛り替えるPC構造物の定着具盛替工法であって、前記PC鋼棒の不良部分と健全部分を確認し、前記PC鋼棒の撤去部分を特定する撤去部分特定工程と、前記撤去部分特定工程で特定した前記撤去部分の残部に、新設定着具を取り付ける所定の範囲を確保して中間定着具を取り付ける中間定着具取付工程と、前記中間定着具取付工程後に、前記PC鋼棒の前記所定の範囲を加工して新設定着具を機械的に取り付ける定着具取付工程と、を備え、前記新設定着具は、内周面にリブを有した半割円筒体と、この半割円筒体と一体となった半割円板と、からなる一対の部材から構成され、前記定着具取付工程では、前記所定の範囲に凹部を形成し、当該凹部に前記リブを嵌め込んで、前記新設定着具を前記PC鋼棒に嵌着することを特徴とする。
第1発明及び第2発明によれば、中間定着具取付工程後に、PC鋼棒の所定の範囲を加工して新設定着具を取り付けるので、PC構造物においてプレストレスが作用するPC鋼棒の腐食部分や損傷部分を安全に撤去できる。また、第1発明及び第2発明によれば、PC鋼棒を加工して新設定着具を機械的に取り付けるので、PC鋼棒が滑ってプレストレスが低減するおそれが長期に亘ってない。その上、第1発明及び第2発明によれば、中間定着具に隣接して新設定着具がセットされ、しかもナットによる機械的に定着するため、セット量が発生しない。このため、万が一中間定着部でPC鋼棒が滑ったときも設計断面にプレストレスが伝達されやすい。
それに加え、第1発明によれば、PC鋼棒の外周面を切削加工してねじ溝を切り、このねじ溝にナットを螺合させて支圧板を取り付けるので、PC鋼棒が滑ってプレストレスが低減するおそれが長期に亘ってないとともに、新設定着具を取り付ける際にも緊張力が緩むおそれもない。
特に、第発明によれば、PC鋼棒に凹部を形成し、当該凹部にリブを嵌め込んで、新設定着具をPC鋼棒に嵌着するだけで定着具取付工程が完了するので、ねじ溝を切削加工する時間が不要となり、作業時間を短縮して、定着具盛替作業の作業コストを低減することができる。
本発明を適用する箱桁橋の状態を模式的に表した斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法のPC鋼棒斫り出し工程を示す工程説明図である。 同上の定着具盛替工法の中間定着具取付工程を示す工程説明図である。 同上の定着具盛替工法に用いる中間定着具を示す斜視図である。 同上の定着具盛替工法の腐食部撤去工程を示す工程説明図である。 同上の定着具盛替工法の本設定着具取付工程を示す工程説明図である。 図6の定着具の周りを拡大して示す部分拡大図であり、(a)は、定着具の取り付け前のねじを切った状態を示す図、(b)は、定着具の取り付け後を示す図である。 同上の定着具盛替工法の充填材打設工程を示す工程説明図である。 本発明の第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法の本設定着具取付工程を示す工程説明図である。 図9の本設定着具の周りを拡大して示す部分拡大図であり、(a)は、定着具の取り付け前の凹部を形成した状態を示す図、(b)は、定着具の取り付け後を示す図である。 図9の本設定着具をPC鋼棒に装着した状態を示す斜視図である。
以下、本発明に係るPC構造物の定着具盛替工法を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1〜図8を用いて、本発明の第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法についてPC構造物として箱桁橋を例示して説明する。先ず、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法を適用する箱桁橋1について簡単に説明する。図1は、本発明を適用する箱桁橋の状態を模式的に表した斜視図である。
橋梁では、橋桁の端部付近の上辺部分や中央底辺付近などの引張力が作用する箇所において、シース管にPC鋼棒を挿通しプレストレスを付与してPC構造物とし、PC鋼棒の緊張力で鉄筋コンクリートに作用する引張力を相殺して軽減することが行われている。箱桁橋1の箱桁2では、一般的に、図1に示すように、PC鋼棒3が斜めに配置され、その一端が、箱桁2の天端付近で既設定着具4により止め付けられている。
しかし、背景技術で述べたように、橋桁の天端やその付近に定着具が設けられている場合、グラウトの充填不良等により、既設定着具4付近のPC鋼棒3が腐食して破断するおそれがある。図1では、破線の楕円内の既設定着具4付近のPC鋼棒3が腐食して腐食部30となっており、残りが一点鎖線で示す健全部31となっている場合を示している。よって、このまま放置すれば、プレストレスによりPC鋼棒3が破断して箱桁2の上縁のコンクリートやアスファルト舗装を突き破り、PC鋼棒3が突出して大事故につながるおそれがある。
本発明の実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法は、この箱桁橋1のPC鋼棒3の腐食部30及び既設定着具4を撤去し、PC鋼棒3の箱桁2に定着する位置を健全部31の端部に移して既設定着具4を新設定着具5に盛り替える場合で説明する。
(1)撤去部分特定工程
本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、先ず、箱桁橋1において、PC鋼棒3の不良部分である腐食部30と健全部31を確認し、PC鋼棒3の撤去部分を特定する撤去部分特定工程を行う。
本工程では、ひび割れや発錆状況からPC鋼棒3の腐食部30のだいたいの当たりをつけて、箱桁2の側面からシース管に向け小径の孔を削孔し、内視鏡等のカメラでシース管内を観察する。それにより、シース管内のグラウト未充填部分やグラウト硬化不良部分を確認するとともに、シース管内のPC鋼棒3の腐食部30及び健全部31を確認し、撤去する撤去部を特定する。本実施形態では、PC鋼棒3の上端部分が腐食して腐食部30となっており、他の部分は、健全部31であるため、健全部31を残して腐食部30及び既設定着具4を撤去部分として特定する。
なお、撤去部の特定方法は、孔を削孔して内視鏡等で視認する場合に限らず、X線やその他の方法により、PC鋼棒3の腐食部30を確認しても良いことは云うまでもない。但し、孔を削孔して内視鏡等で視認する場合は、グラウト未充填部分等も併せて確認できるとともに、確実に特定することができる。
(2)グラウト再注入工程
次に、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、前工程で確認したシース管内のグラウト未充填部分にグラウトを再注入するグラウト再注入工程を行う。
本工程では、前工程で確認のために削孔した孔を利用するか、又は必要な箇所に箱桁2の側面からシース管に向け新たに孔を削孔し、その孔とポンプやチャンバー等と連結してグラウトを圧入又は自然流下で再注入する。
但し、前工程で特定した撤去部分より上方の上縁部には、グラウト未充填部分の有無にかかわらずグラウトの再注入は行わない。後で、シース管からPC鋼棒3の腐食部30を引き抜いて撤去するためである。
よって、本実施形態では、PC鋼棒3の健全部31にグラウト未充填部分が存在する場合にだけ、本工程を実行する。
(3)PC鋼材斫り出し工程
次に、図2に示すように、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、PC鋼棒3の腐食部30と健全部31の境目を斫り出して露出させるPC鋼材斫り出し工程を行う。図2は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法のPC鋼材斫り出し工程を示す工程説明図である。
本工程では、撤去部分特定工程で確認した腐食部30及び健全部31の範囲に基づいて、PC鋼棒3の腐食部30と健全部31の境目である箱桁2の側面の図2の矩形の破線部分を斫り、健全部31の一定範囲を露出させる。ここで、一定範囲とは、新設定着具5の取り付け代である100mmに中間定着具6の長さαを足した長さ、即ち、健全部31の端から100mm+αである。勿論、この範囲は、新設定着具5や中間定着具6の長さに応じて適宜定めればよい。
なお、斫り工事を行う方向は、図示したように外側からでもよいし、箱桁2の中に入れるのであれば、内側から行ってもよい。内側から行うことで足場の設置が容易となる。
(4)中間定着具取付工程
次に、図3に示すように、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、前工程で斫りだしたPC鋼棒3の健全部31に中間定着具6を取り付ける中間定着具取付工程を行う。図3は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法の中間定着具取付工程を示す工程説明図である。
図4は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法に用いる中間定着具を示す斜視図である。図4に示すように、中間定着具6は、特許文献1に記載の中間定着具と同様のものであり、一対の半割筒状のスリーブ60、61と、このスリーブ60、61に外嵌されてスリーブ60、61が外れるのを防止する複数のC形鋼板62など、から構成されている。このスリーブ60、61には、継ぎ目付近に設けられた膨張材を注入する注入口63と、この注入口63から注入された膨張材の体積に相当する空気を排気する排気口64が設けられている。
スリーブ60、61は、継ぎ目が図示しない止水テープで止水されるとともに、内周面の端部には、止水ゴムが設置され、PC鋼棒3と一定間隔の隙間が形成される膨張材が漏れない仕組みとなっている。
また、C形鋼板62は、開口部分が揃って強度的弱点とならないように、図4に示すように、複数のC形鋼板62が少しずつ回転させながら並設されてスリーブ60、61を覆うように設けられる。なお、図示C形鋼板は一部のみを示しており、実際は、スリーブ60、61の全ての外周面を覆うように設けられる。
そして、符号65は、斫り残した既存コンクリートと当接され、既存のPC鋼棒3に作用するプレストレスが緩まないようにするための支圧板である。本工程では、中間定着具6の健全部31側となるこの支圧板65を、斫り残した既存コンクリートと密着させて取り付ける(図3参照)。既存のPC鋼棒3に作用するプレストレスが緩まないようにするためである。
(5)腐食部撤去工程
次に、図5に示すように、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、露出したPC鋼棒3を切断し、撤去部分である腐食部30及び既設の既設定着具4を撤去する腐食部撤去工程を行う。図5は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法の腐食部撤去工程を示す工程説明図である。
本工程でPC鋼棒3を切断する位置は、腐食部30と健全部31の境目であり、撤去部分特定工程で撤去部を特定した際の位置である。この切断位置は、後述の新設定着具5の長さを考慮して中間定着具6のスリーブ60、61の端部から本実施形態では100mm程度の位置である。
このように、本工程では、前工程で取り付けた中間定着具6でPC鋼棒3に掛かるプレストレスの緊張力を受けて切断するので、限られた範囲である腐食部30に働くプレストレスを解放するだけとなる。このため、プレストレスの解放によるPC鋼棒3の変位も限られたものとなり、切断時の衝撃を低減してPC鋼棒3の突出の危険も低減することができる。
(6)本設定着具取付工程
次に、図6、図7に示すように、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、本設定着具である新設定着具5を取り付ける本設定着具取付工程を行う。図6は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法の本設定着具取付工程を示す工程説明図である。図7は、図6の本設定着具の周りを拡大して示す部分拡大図であり、(a)は、新設定着具5の取り付け前のねじを切った状態を示す図、(b)は、新設定着具5の取り付け後を示す図である。
本工程では、先ず、図7(a)に示すように、前工程で切断撤去した残部であるPC鋼棒3の先端(切断側の端)から新設定着具5の装着範囲となる所定の範囲(本実施形態では、前述のように100mm程度)を、ねじ切り機等で切削加工してねじ溝32を形成する。そして、その後、図7(b)に示すように、ナット51をねじ溝32に捩じ込んで、支圧板50を装着し、2つのナット51で支圧板50を挟み込んで挟持することで、新設定着具5をPC鋼棒3に取り付ける。
(7)充填材打設工程
次に、図8に示すように、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、PC鋼材斫り出し工程で斫り取った斜線部で示すコンクリート部分に新たなコンクリートを打設して埋め戻す充填材打設工程を行う。図8は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法の充填材打設工程を示す工程説明図である。
勿論、本工程で打設する充填材は、コンクリートに限らず、無収縮モルタルを打設してもよいし、早強セメントを用いて所定強度の発現を促進しても構わない。要するに、PC鋼材斫り出し工程で斫り取った斜線部に、既設コンクリートの強度以上の強度を発現する充填材で埋め戻すことができればよい。
以上により、本発明の第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法による定着具盛替工事が完了する。
本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法によれば、中間定着具6を取り付けた後に、PC鋼棒3の腐食部30等を切断撤去するので、プレストレスが付与されているPC鋼棒3の腐食部30及び既設定着具4を安全に撤去することができる。
また、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法によれば、中間定着具取付工程後に、PC鋼棒3の健全部31を切削加工してねじ溝32を形成する。その後、このねじ溝32にナット51を螺合させて支圧板50を挟持させて、新設定着具5を機械的にPC鋼棒3に取り付ける。このため、信頼性の高い鋼材の機械的機構に基づいてPC鋼棒3の緊張力を保持することとなり、長期に亘ってPC鋼棒3に掛かったプレストレスが低減するおそれがないだけでなく、新設定着具5を取り付ける際にも緊張力が緩むおそれもない。
[第2実施形態]
次に、図9〜図11を用いて、本発明の第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法について説明する。図1で示した箱桁橋1に第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法を適用する場合で説明する。
第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法が、第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法と相違する点は、新設定着具の形態とその装着方法である。よって、その点について主に説明し、同一工程は、説明を省略する。
第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法でも、第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法と同様に、(1)撤去部分特定工程〜(5)腐食部撤去工程を行う。同様に行うため、説明は省略する。
(6)本設定着具取付工程
次に、図9に示すように、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法では、本設定着具である新設定着具5’を取り付ける本設定着具取付工程を行う。図9は、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法の本設定着具取付工程を示す工程説明図である。
本工程で取り付ける新設定着具5’は、鋼材からなる本設定着具であり、図10、図11に示すように、半割円筒体と半割円板とが一体となった(図示状態で上下)一対の定着部材50’,51’から主に構成されている。また、定着部材50’,51’の半割円筒体の内周面には、リング状のリブ52’が形成されている(図10(b)参照)。図10は、図9の本設定着具の周りを拡大して示す部分拡大図であり、(a)は、新設定着具5’の取り付け前の凹部を形成した状態を示す図、(b)は、新設定着具5’の取り付け後を示す図である。また、図11は、図9の本設定着具をPC鋼棒3に装着した状態を示す斜視図である。
本工程では、先ず、図10(a)に示すように、前工程で切断撤去した残部であるPC鋼棒3の先端(切断側の端)から新設定着具5’のリブ52’と対応する位置に、リング状の凹部32’を形成する。このリング状の凹部32’の形成方法は、切削加工やプレス加工など、どのような加工方法でもよい。
そして、その後、図10(b)に示すように、新設定着具5’のリブ52’の位置と、凹部32’の位置とを合わせた上、図11に示すように、鋼材からなるC形リング53’を定着部材50’,51’の外周面に外嵌してPC鋼棒3に新設定着具5’を嵌着する。勿論、定着部材50’,51’同士の嵌合方法は、C形リング53’に限られず、フランジを設けてねじ止めするなど他の嵌合方法であっても構わない。
次に、第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法でも、第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法と同様に、(7)充填材打設工程を行うことにより、本実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法による定着具盛替工事が完了する。
本実施形態に係る定着具盛替工法によれば、中間定着具6を取り付けた後に、PC鋼棒3の腐食部30等を切断撤去するので、プレストレスが作用するPC鋼棒3の腐食部30及び既設定着具4を安全に撤去することができる。
また、本実施形態に係る定着具盛替工法によれば、中間定着具取付工程後に、PC鋼棒3の健全部31にリング状の凹部32’を形成し、この凹部32’にリブ52’を嵌合させて、新設定着具5’を機械的にPC鋼棒3に取り付ける。このため、信頼性の高い鋼材の機械的機構に基づいてPC鋼棒3の緊張力を保持することとなり、長期に亘ってPC鋼棒3に掛かったプレストレスが低減するおそれがないだけでなく、新設定着具5’を取り付ける際にも緊張力が緩むおそれもない。
それに加え、本実施形態に係る定着具盛替工法によれば、PC鋼棒3に凹部32’を形成し、当該凹部32’に新設定着具5’のリブ52’を嵌め込んで、新設定着具5’をPC鋼棒3に嵌着するだけで定着具取付工程が完了する。このため、第1実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法と比べて、ねじ溝を切削加工する時間が不要となり、作業時間を短縮して、定着具盛替作業の作業コストを低減することができる。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るPC構造物の定着具盛替工法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、中間定着として、特許文献1に記載の中間定着方法と同様に、膨張材の膨張圧力でPC鋼材のプレストレスを維持するものを例示して説明したが、特許文献3に記載の中間定着方法と同様でもよいし、その他の中間定着方法でも構わない。要するに、PC鋼材のプレストレスを一時的に維持できる方法であればよい。
1 :箱桁橋
2 :箱桁
20、20’ :アンカー孔
3 :PC鋼棒
30 :腐食部(不良部分)
31 :健全部
32 :ねじ溝
32’ :凹部
4 :既設定着具
5,5’ :新設定着具
50 :支圧板
51 :ナット
50’,51’ :定着部材
52’ :リブ
53’ :C形リング
6 :中間定着具
60,61 :スリーブ
62 :C形鋼板
63 :注入口
64 :排気口
65 :支圧板

Claims (2)

  1. PC鋼棒の不良部分を撤去した上、新設定着具によりPC鋼棒を掛け止めて盛り替えるPC構造物の定着具盛替工法であって、
    前記PC鋼棒の不良部分と健全部分を確認し、前記PC鋼棒の撤去部分を特定する撤去部分特定工程と、
    前記撤去部分特定工程で特定した前記撤去部分の残部に、新設定着具を取り付ける所定の範囲を確保して中間定着具を取り付ける中間定着具取付工程と、
    前記中間定着具取付工程後に、前記PC鋼棒の前記所定の範囲を加工して新設定着具を機械的に取り付ける定着具取付工程と、を備え
    前記新設定着具は、支圧板と、この支圧板を挟み込む複数のナットを有し、
    前記定着具取付工程では、前記所定の範囲を切削加工してねじ溝を切り、このねじ溝に前記ナットを螺合させて前記支圧板を取り付けること
    を特徴とするPC構造物の定着具盛替工法。
  2. PC鋼棒の不良部分を撤去した上、新設定着具によりPC鋼棒を掛け止めて盛り替えるPC構造物の定着具盛替工法であって、
    前記PC鋼棒の不良部分と健全部分を確認し、前記PC鋼棒の撤去部分を特定する撤去部分特定工程と、
    前記撤去部分特定工程で特定した前記撤去部分の残部に、新設定着具を取り付ける所定の範囲を確保して中間定着具を取り付ける中間定着具取付工程と、
    前記中間定着具取付工程後に、前記PC鋼棒の前記所定の範囲を加工して新設定着具を機械的に取り付ける定着具取付工程と、を備え
    前記新設定着具は、内周面にリブを有した半割円筒体と、この半割円筒体と一体となった半割円板と、からなる一対の部材から構成され、
    前記定着具取付工程では、前記所定の範囲に凹部を形成し、当該凹部に前記リブを嵌め込んで、前記新設定着具を前記PC鋼棒に嵌着すること
    を特徴とするPC構造物の定着具盛替工法。
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