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JP6897449B2 - 高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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JP6897449B2 - 高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高張力厚鋼板およびその製造方法に関し、具体的には、橋梁や高層ビルなどの大型構造物に使用され、大入熱溶接が適用でき、さらに溶接前の予熱が不要な溶接施工性に優れる高張力厚鋼板およびその製造方法に関する。
引張強さが570MPa以上の高張力厚鋼板は、橋梁や高層ビルなどの構造物に使用されている。また、橋梁の主桁を少なくする設計や広いビル空間の設計が望まれていることから鋼板の厚手化が進んでいる。しかし、鋼板の厚手化は溶接施工コストが増大するため、溶接施工コストを削減する目的で、大入熱溶接を適用する例が増えている。
しかし、鋼板の板厚を厚くすれば、鋼板の靭性の確保および大入熱溶接によるHAZ靭性の確保が困難になってくる。この理由は、鋼板の板厚が厚くなれば、強制冷却時に冷却速度が遅くなるために変態が高温で開始し、それにより、軟質で粗大な組織が形成され、強度と靭性の確保が困難になるためである。
冷却速度が遅くても低温で変態させることにより強度と靭性を確保する方法として、焼き入れ性を向上させる合金元素を添加する方法がある。しかし、合金元素の添加は溶接時にHAZを硬化させるため、HAZ靭性が劣化し、加えて低温割れ感受性も高くなる。
一般的に高強度鋼は低温割れ感受性が高いため、高強度鋼を溶接する際には、低温割れを防止するために鋼板の予熱が行われる。しかし、溶接施工現場において厚鋼板の予熱作業の負荷は大きく、溶接施工コストの増大につながる。このため、予熱が不要な鋼板も求められている。冬季の工事では、気温が0℃の環境で溶接を行う場合があり、0℃の環境においても予熱が不要であるという要望もある。
従来から、靭性および溶接性に優れた高強度の厚鋼板や、その製造方法の技術は数多く開示されている。しかし、強度が570MPaを超える厚鋼板は、板厚が50mm程度以下を対象とするものが主であり、板厚が50mm以上で溶接施工効率が高く、かつ割れ防止予熱温度が低い鋼板は殆ど開示されていない。
例えば、特許文献1には、板厚が100mmで、降伏比が80%以下で、引張強度が590MPa以上の低降伏比型高張力鋼板およびその製造方法の発明が開示されている。
特許文献2には、板厚40〜100mmを対象とした、溶接性に優れた600MPa級の鋼板およびその製造方法の発明が開示されている。
さらに、特許文献3には、靭性の良好な溶接性および靭性に優れた高張力厚鋼板およびその製造方法の発明が開示されている。特許文献3により開示された発明における溶接割れ防止鋼板温度は0℃であり、優れた低温割れ感受性を示している。
特開平9−3596号公報 特開平9−13143号公報 特開2000−54064号公報
特許文献1により開示された発明では、溶接の割れ防止予熱温度は50℃以下としている。
特許文献2の実施例から判断される限り、特許文献2により開示された発明の溶接割れ防止予熱温度は25℃である。
さらに、特許文献3により開示された発明における靭性は、鋼板特性についてのみであり、大入熱溶接を適用する際に問題となるHAZ靭性については何ら検討されていない。
本発明の目的は、引張強さ570MPa以上で靭性に優れ、かつ溶接割れ防止のための鋼板温度を0℃とすることができ、かつ、大入熱溶接においてHAZ靭性に優れる板厚が60mm以上の高張力厚鋼板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、板厚中央部の引張強さが570MPa以上かつ靭性に優れ、溶接時の鋼板温度が0℃でも予熱無しに溶接でき、さらにHAZ靭性にも優れる高張力厚鋼板の化学組成および製造方法を検討した。
まず、鋳片の製造において鋼中の介在物の制御を行った鋳片を製造し、この鋳片を熱間圧延および熱間圧延終了後にその温度から直接焼入れを行うことにより高張力厚鋼板を製造し、それを調査した。
高張力厚鋼板の低温割れ感受性を低くするには、下記式(2)により定義される溶接割れ感受性指数Pcmの値を低くする必要がある。
Pcm=[C%]+[Si%]/30+[Mn%]/20+[Cu%]/20+[Ni%]/60+[Cr%]/20+[Mo%]/15+[V%]/10+5×[B%]・・・(2)
式(2)において[ ]付元素はそれぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
この鋼板組成による溶接割れ感受性指数Pcmの値と、割れ停止温度との関係を調べた結果、高張力厚鋼板の温度を0℃とするためには、溶接割れ感受性指数Pcmを0.24以下にすればよいことがわかった。そこで、溶接割れ感受性指数Pcmが0.24以下の範囲において、所望の強度および靭性を得るための化学組成を検討した結果、以下に列記の知見を得られた。
(A)高張力厚鋼板の靭性を損なうことなく焼入れ性を向上させるためには、CrおよびCuが有効である。そこで、CrおよびCuを積極的に用いる。
(B)Moは、含有量が増加すると靭性を劣化させる傾向があるため、多くは含有しない。
(C)Bは、少量の含有により焼入れ性を大幅に向上でき、板厚の厚い鋼板でも強度を確保するのに極めて有効である。しかし、Bを一定量以上含有すると靭性を劣化させる。Bの含有による靭性の劣化を抑制してB含有量を増加するには、Cu、NiおよびMoの存在が有効である。Cu、NiおよびMoが含有されることにより、靭性を劣化させる含有量以上にBを含有しても、靭性の劣化を抑制でき、Bを効果的に利用できる。この範囲を数式により定義できる。
(D)Vは、焼入れ性を向上させ、析出硬化によって溶接による軟化を抑制するのに有効であると考えられたが、厚手の鋼板においては、板厚中央部の冷却速度が遅く、冷却過程においてV析出物が粗大化することにより靭性を劣化させるため、Vは極力含有しない。
(E)Vに替わる元素として、Nbが有効である。Nbは、未再結晶域を広げ、その領域で熱間圧延を行うと、高密度の転位を導入して変態核生成サイトを増加させることにより組織を微細化し、強度と靭性を向上させることができる。
(F)粒内変態核として組織の微細化に寄与する好適な介在物の組成を検討した結果、MnSを周囲に有するTi系介在物が有効である。すなわち、溶接時に旧オーステナイト粒内にて粒内フェライトを効果的に成長させるためには、粒内フェライトの生成核となる介在物の制御が必須である。
特に、板厚が厚い厚鋼板では、表面および内部での冷却速度の差異により、板厚方向での介在物の化学組成および個数の制御が困難であるため、粒内フェライトの生成核となる介在物を制御する必要がある。そこで、粒内フェライトの成長のメカニズムを検討した結果、下記(i)〜(iii)が判明した。
(i)製鋼段階でTi系酸化物の周辺にMnSが析出することによりTi系酸化物とMnSとを含有する複合介在物を生成させれば、MnSと母材のマトリクス界面にMnが欠乏した領域が形成される。このMn欠乏領域(以下、「初期Mn欠乏領域」という。)では、フェライト成長開始温度が大きく上昇する。そのため、母材を溶接した場合、その冷却過程において、このMn欠乏領域から粒内フェライトが優先的に成長する。
(ii)母材の溶接を行うと、Ti系酸化物の近傍に存在する母材のマトリクス中のMnが拡散してTi系酸化物の内部に存在する原子空孔に吸収される。この結果、溶接により熱履歴を受けた母材のHAZとTi系酸化物の界面にMnが欠乏した領域が形成される。このMn欠乏領域(以下、「溶接Mn欠乏領域」という。)も粒内フェライトの優先成長の起点となる。
(iii)上記(i)および(ii)の両作用によりHAZのフェライト量を確保できるため、必要なHAZの低温靭性を得ることができる。
(G)上記(F)項のメカニズムに基づき、介在物に複合するMnS量および個数密度を制御することにより、効果的に粒内フェライトを析出させることができる。さらに、上記結晶粒微細化効果を得るためには、鋼中の介在物が以下に列記の要件[1]〜[3]を満たす必要がある。
[1]鋼中にTi酸化物の周囲にMnSを有する複合介在物であり、複合介在物の断面におけるMnSの面積率が10〜50%である。
[2]複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上である。
[3]粒径0.5〜5.0μmの複合介在物の個数密度が10〜40個/mmである。
そして、複合介在物を適量得るためには、製鋼段階での制御が必要であり、優先的に酸化物を形成し易いAl含有量を抑制し、Tiを一定量以上含有した上で、酸素ポテンシャルを調整することが重要である。
本発明は、これらの知見A〜Gに基づくものであり、以下に列記の通りである。
(1)化学組成が、質量%で、C:C:0.05〜0.14%、Si:0.10〜0.5%、Mn:0.8〜1.8%、P:0.015%以下、S:0.001〜0.005%、Al:0.003%以下、Cu:0.30〜0.50%、Ni:0.15〜0.50%、Cr:0.30〜0.60%、Nb:0.015〜0.045%、Ti:0.005〜0.030%、B:下記式(1)により示される範囲、N:0.0020〜0.0050%、O:0.0005〜0.0050%、Mo:0〜0.40%、V:0〜0.008%を含有し、
下記式(2)により定義される溶接割れ感受性指数Pcmの値が0.17〜0.24であり、
残部はFeおよび不純物であり、
鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含み、前記複合介在物の断面における前記MnSの面積率が10〜50%であり、前記複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上であり、粒径0.5〜5.0μmの前記複合介在物の個数密度が10〜40個/mmである、引張強さ570MPa以上で、予熱無しで溶接が可能な板厚60mm以上の高張力厚鋼板。
0.0003≦[B%]≦0.0005+[Cu%]/1000+[Ni%]/500+[Mo%]/500・・・(1)
Pcm=[C%]+[Si%]/30+[Mn%]/20+[Cu%]/20+[Ni%]/60+[Cr%]/20+[Mo%]/15+[V%]/10+5×[B%]・・・(2)
式(1),(2)において[ ]付元素は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
(2)さらに、Mo:0.03〜0.4質量%を含有する、1項に記載の高張力厚鋼板。
(3)RH真空脱ガス処理前において、溶鋼中の酸素ポテンシャルを10〜30ppmとし、
RH真空脱ガス処理において化学組成を調整して溶鋼を製造し、
該溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片を製造し、
該鋳片を1050〜1250℃の温度に加熱および均熱してから、800〜900℃にて所定の板厚に仕上げるように熱間圧延を行い、熱間圧延の直後に焼入れをする、1または2項に記載の高張力厚鋼板の製造方法。
(4)前記焼入れを行った後に、350〜550℃の温度で焼戻しを行う、3項に記載の高張力厚鋼板の製造方法。
なお、本発明では、高張力厚鋼板の板厚を60mm以上と規定するが、本発明で規定する化学組成および介在物の要件を満足すれば本発明の特性を得られるため、板厚の上限は規定しない。しかし、本発明に係る高張力厚鋼板の製造を勘案すると、板厚は100mm以下となる。
本発明に係る板厚60mm以上の高張力厚鋼板および製造方法により、板厚中央部の引張強さが570MPa以上の高強度を有するとともに低温靭性に優れ、鋼板温度が0℃で溶接を行っても低温割れの発生がなく、さらに大入熱溶接を適用してもHAZ靭性が優れる高張力厚鋼板を提供できる。これにより、橋梁など大型構造物の製造において溶接施工効率を高めることができ、溶接施工コストを大幅に低減できる。
図1は、実施例におけるHAZ靭性を評価するために使用した開先形状を示す説明図である。 図2は、実施例におけるHAZ靭性を評価するための試験片採取要領を示す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以降の説明では、化学組成に関する「%」は、特に断りがない限り、「質量%」を意味する。
1.化学組成
本発明に係る高張力厚鋼板の化学組成を、上述のように限定する理由を説明する。はじめに必須元素を説明する。
(1−1)C:0.05〜0.14%
Cは、高張力厚鋼板の強度を決定する最も重要な元素である。C含有量が0.05%未満であると、必要とする570MPa以上の強度を得られない。したがって、C含有量は、0.05%以上であり、好ましくは0.07%以上であり、好ましくは0.08%以上である。
一方、C含有量が0.14%を超えると、鋼板靭性およびHAZ靭性が劣化するとともに低温割れ感受性が高くなる。したがって、C含有量は、0.14%以下であり、好ましくは0.13%以下であり、さらに好ましくは0.12%以下である。
高張力厚鋼板の強度、低温靭性およびHAZ靭性がバランスした特性を得るためには、C含有量は0.07〜0.11%であることが好ましい。
(1−2)Si:0.10〜0.5%
Siは、溶鋼の予備脱酸に有効な元素であり、かつ靭性を悪化させることなく強度を向上させる効果を有する。Si含有量が0.10%未満ではこの効果を十分に得られない。したがって、Si含有量は、0.10%以上であり、好ましくは0.11%以上であり、さらに好ましくは0.12%以上である。
一方、Si含有量が0.5%を超えると、鋼板の表面性状およびHAZ靭性が劣化する。したがって、Si含有量は、0.5%以下であり、好ましくは0.49%以下であり、さらに好ましくは0.42%以下である。
(1−3)Mn:0.8〜1.8%
Mnは、焼入れ性の向上を通じて強度を向上させるために重要であるとともに、HAZ靭性の向上に好適な介在物の形態を得るために必要である。したがって、Mn含有量は、0.8%以上であり、好ましくは0.83%以上であり、さらに好ましくは0.85%以上である。
一方、Mn含有量が1.8%を超えると、鋼板の靭性が劣化する。したがって、Mn含有量は、1.8%以下であり、好ましくは1.79%以下であり、さらに好ましくは1.60%以下である。
高張力厚鋼板の強度、靭性及びHAZ靭性がバランスした特性を得るためには、Mn含有量は1.0〜1.4%であることが好ましい。
(1−4)P:0.015%以下
Pは、結晶粒界に偏析して鋼板の靱性を劣化させるため、P含有量はできるだけ低いことが望ましい。P含有量が0.015%を超えると靭性の劣化が著しい。したがって、P含有量は、0.015%以下であり、好ましくは0.011%以下であり、さらに好ましくは0.010%以下である。
(1−5)S:0.001〜0.005%
Sは、MnSを複合析出させ、MnSと母材のマトリクス界面にMn欠乏領域を形成するのに有効であり、母材を溶接した場合、このMn欠乏領域から粒内フェライトが優先的に成長するため、HAZの低温靭性を確保することができる。そのため、S含有量は0.001%以上である。しかし、S含有量が0.005%を超えると、鋼板の延性や母材靭性を劣化させる原因ともなる。したがって、S含有量は、0.005%以下であり、好ましくは0.004%以下である。さらに好ましくは0.003%以下である。
(1−6)Al:0.003%以下
Alは、溶鋼の清浄度を得るために含有する元素である。Alは、他の元素よりも優先的に酸化物を形成するため、低温靭性およびHAZ靭性の向上に寄与するTi系酸化物が得られなくなる。したがって、Al含有量は、0.003%以下であり、好ましくは0.002%以下であり、さらに好ましくは0.001%以下である。
(1−7)Cu:0.30〜0.50%
Cuは、溶接性や靭性を大きく損なうことなく、焼入れ性の向上により強度を向上させることができる。したがって、Cu含有量は、0.30%以上であり、好ましくは0.31%以上であり、さらに好ましくは0.32%以上である。
一方、Cu含有量が0.50%を超えると靭性が劣化する。したがって、Cu含有量は0.50%以下であり、好ましくは0.47%以下であり、さらに好ましくは0.45%以下である。
(1−8)Ni:0.15〜0.50%
Niは、焼入れ性と靭性の両方を向上させ、さらに、Cuを多く含有する鋼板の熱間脆性を防止する。したがって、Ni含有量は、0.15%以上であり、好ましくは0.17%以上であり、さらに好ましくは0.18%以上である。
一方、Niは高価な合金元素であり、Ni含有量が0.5%を超えるとコストが嵩む。したがって、Ni含有量は、0.50%以下であり、好ましくは0.49%以下であり、さらに好ましくは0.47%以下である。
(1−9)Cr:0.30〜0.60%
Crは、Cuと同様に溶接性や靭性を損なうことなく、強度を向上させることができる。したがって、Cr含有量は、0.30%以上であり、好ましくは0.33%以上であり、さらに好ましくは0.40%以上である。
一方、Cr含有量が0.60%を超えると靭性が劣化する。したがって、Cr含有量は、0.60%以下であり、好ましくは0.59%以下であり、さらに好ましくは0.56%以下である。
強度を安定的に確保するために、Cr含有量は、好ましくは0.40〜0.60%である。
(1−10)Nb:0.015〜0.045%
Nbは、未再結晶域を広げ、その領域で圧延を行うことにより高密度の転位を導入し、変態核生成サイトを増加させることで組織の微細化を図ることができるため、靭性を向上することができる。したがって、Nb含有量は、0.015%以上であり、好ましくは0.016%以上であり、さらに好ましくは0.025%以上である。
一方、Nb含有量が0.045%を超えると、上記効果は飽和してコストが嵩むだけでなく、靭性や溶接性を劣化させる。したがって、Nb含有量は、0.045%以下であり、好ましくは0.042%以下であり、さらに好ましくは0.035%以下である。
靭性の向上効果を得るのに最適な範囲として、Nb含有量は、好ましくは0.025〜0.035%である。
(1−11)Ti:0.005〜0.030%
Tiは、窒化物を生成して結晶粒の粗大化を抑制するとともに、粒内変態核となる複合介在物の生成に必要である。しかし、Ti含有量が0.005%未満では、この作用が奏されない。したがって、Ti含有量は、0.005%以上であり、好ましくは0.010%以上である。
一方、Ti含有量が0.030%を超えると、Ti炭化物が過剰に析出し母材靱性および溶接部靱性に悪影響を及ぼす。したがって、Ti含有量は、0.030%以下であり、好ましくは0.025%以下であり、より好ましくは0.020%以下である。
(1−12)B:上記式(1)により示される範囲
Bは,少量で焼入れ性を向上することができるため、強度の向上に極めて有効である。さらに、Bは、溶接時にオーステナイト粒界に偏析し、粒界エネルギーを低下させることにより粒内から変態し、組織が微細化される。このため、HAZ靭性の向上にも効果がある。したがって、B含有量は、0.0003%以上であり、好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.0006%以上である。
一方、Bは、より多く含有すると靭性が劣化する傾向がある。この靭性劣化の傾向は、Cu、NiおよびMoの存在により緩和される。そこで、B含有量は、[B%]≦0.0005+[Cu%]/1000+[Ni%]/500+[Mo%]/500であることが好ましい。この式において、[ ]付元素は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
(1−13)N:0.0020〜0.0050%
Nは、窒化物を形成することにより加熱時の組織粗大化を抑制するため、靭性向上に寄与する。したがって、N含有量は、0.0020以上であり、好ましくは0.0024%であり、さらに好ましくは0.0031%である。
一方、N含有量が0.0050%を超えると、窒化物が粗大化することにより靭性が劣化する。したがって、N含有量は、0.0050%以下であり、好ましくは0.0043%以下であり、さらに好ましくは0.0038%以下である。
(1−14)O:0.0005〜0.0050%
O(酸素)は、粒内変態核となる複合酸化物の生成に有効である。したがって、O含有量は、0.0005%以上であり、好ましくは0.0008%以上であり、さらに好ましくは0.0011%以上である。
一方、Oは多量に含有すると清浄度の劣化が著しくなるため、母材、溶接金属部およびHAZともに実用的な靱性確保が困難になる。したがって、O含有量は、0.0050%以下であり、好ましくは0.0038%以下であり、さらに好ましくは0.0035%以下である。
次に、任意元素を説明する。
(1−15)Mo:0〜0.40%
Moは、強度を向上させ、またBの添加による靭性の劣化を緩和する効果を有するので、含有することが好ましい。しかし、Mo含有量が0.40%を超えると、靭性が著しく劣化する。このため、Moを含有しても靭性を劣化させないために、Mo含有量は、0.40%以下であり、好ましくは0.15%である。
上記効果を確実に得るために、Mo含有量は、好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.04%以上である。
(1−16)V:0.008%以下
Vは、一般的に焼入れ性を向上させ、析出硬化によって溶接による軟化を抑制するのに有効である。しかし、前述のように、板厚60mm以上といった厚鋼板では、冷却時の板厚中央部の冷却速度が遅く、冷却過程においてV析出物が粗大化して靭性が劣化する。したがって、Vが不純物で存在していたとしても、V含有量は、0.008%以下であり、好ましくは0.005%以下であり、さらに好ましくは0.004%以下である。Vは含有しないことが最も好ましい。
(1−17)上記式(2)により定義される溶接割れ感受性指数Pcmの値:0.17〜0.24
溶接割れ感受性指数Pcmの値が高いほど、溶接での低温割れを防止するための予熱温度が高くなる。溶接割れ感受性指数Pcmが0.24%を超えると、鋼板温度0℃で低温割れが発生する。したがって、溶接割れ感受性指数Pcmは、0.24以下であり、好ましくは0.23以下であり、さらに好ましくは0.22以下である。
一方、溶接割れ感受性指数Pcmの値が0.17%未満になると、所用の引張強さを確保できなくなる。したがって、溶接割れ感受性指数Pcmは、0.17以上であり、好ましくは0.18以上であり、さらに好ましくは0.20以上である。
(1−18)残部
上記以外の残部はFeおよび不純物である。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや、製造工程において含まれるものが例示される。
2.複合介在物
本発明に係る高張力厚鋼板は、HAZ組織の微細化に寄与する複合介在物として、鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含む。そして、複合介在物の断面におけるMnSの面積率、界面におけるMnSの割合、その介在物の粒径および個数密度が下記の範囲を取る。
(2−1)複合介在物の断面におけるMnSの面積率:10〜50%
本発明では、任意の切断面に現出した複合介在物を分析し、その複合介在物の断面積におけるMnSの面積率を測定することにより、複合介在物中のMnS量を規定する。
複合介在物の断面におけるMnSの面積率が10%未満であると、複合介在物中のMnS量が少なく、MnSとマトリクスとの界面に初期Mn欠乏層が十分に形成されない。その結果、溶接した際に粒内フェライトの生成が困難になる。したがって、複合介在物の断面におけるMnSの面積率は、10%以上であり、好ましくは11%以上であり、さらに好ましくは16%以上である。
一方、複合介在物の断面におけるMnSの割合が50%超であると、複合介在物がMnS主体となる。この場合、Ti系酸化物中の原子空孔に吸収されるMnは少なく、溶接Mn欠乏層が形成されず、粒内フェライトの生成が困難になる。このため、複合介在物の断面におけるMnSの面積率は、50%以下であり、好ましくは49%以下であり、さらに好ましくは42%以下である。
(2−2)複合介在物の周長に占めるMnSの割合:10%以上
複合介在物中のMnSは、Ti系酸化物の周囲に形成される。複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%未満であると、MnSとマトリクスとの界面に形成される初期Mn欠乏領域が小さく、溶接しても粒内フェライトの形成量が十分でないので、良好な低温HAZ靭性を得ることができない。したがって、複合介在物のマトリクスとの周長に占めるMnSの割合は、10%以上である。
MnSの割合が大きいほど初期Mn欠乏層は大きくなり粒内フェライトが生成し易くなるため、MnSの割合の上限は定めないが、通常80%以下となる。
(2−3)複合介在物(粒径0.5〜5.0μmの複合介在物)の個数密度:10〜40個/mm
複合介在物の個数密度とは、規定する粒径を有する複合介在物の単位面積当たりの個数をいう。複合介在物の粒径が0.5μm未満では、複合介在物の周囲から吸収できるMn量が少なく、その結果、粒内フェライトの生成量が低下する。一方、複合介在物の粒径が5.0μmより大きいと、複合介在物が破壊の起点になる。このため、本発明においては対象とする複合介在物の粒径を0.5〜5.0μmとする。
そして、この粒径を有する複合介在物の個数密度は、Mn吸収量に関わる。安定した粒内フェライトを生成させるためには、各複合介在物が旧オーステナイト内に少なくとも1つ程度含まれる必要がある。そのため、複合介在物の個数密度は、10個/mm以上とする。一方、複合介在物が過剰に多い場合は、延性破壊の吸収エネルギーが低下する。このため、複合介在物の個数密度は、40個/mm以下とする。
3.製造方法
次に、本発明に係る高張力厚鋼板は、上記の化学組成を有していても、所用のHAZ靭性を確保するためには、製造方法が適切でなければ、上記のような複合介在物が得られない。
本鋼材の鋳片製造では鋼中介在物の制御のために、RH(Ruhrstahl-Hausen)真空脱ガス処理前にArガスを上部より溶鋼内に吹き込み、溶鋼表面のスラグと溶鋼を反応させる。これにより、スラグ内のトータルFe量を調整し、溶鋼内の酸素ポテンシャルを10〜30ppmに制御する。Arガスの流量は100〜200L/minとすることが例示され、吹き込み時間を5〜15minとすることが例示される。
その後、RH真空脱ガス処理により各元素を添加して化学組成を調整して溶鋼を製造し、この溶鋼を用いて連続鋳造法により、例えば300mm厚の鋳片を製造する。
次に、この鋳片を以下の工程I〜工程IIIを順次に行う。
工程I:鋳片を1050〜1250℃の温度域へ加熱および均熱する。
工程II:熱間圧延の仕上げ温度が800〜900℃となるように所望の板厚まで熱間圧延を行う。
工程III:熱間圧延終了後、直ちに強制冷却(直接焼入れ)を行う。
さらに必要に応じて工程IIIの後に工程IVを行ってもよい。
工程IV:350〜550℃の温度での焼戻しを行う。
工程Iにおいて、加熱温度が1050℃未満であると、固溶Nbが不足し、未再結晶域を広げる効果が不足するため、高密度の転位導入ができず、変態核生成サイトが不足する。このため、組織微細化ができず、引張強さと低温靭性が確保できない。一方、加熱温度が1250℃を超えるとスケール付着量が多くなり、熱間圧延時に疵を生成する可能性がある。このため、鋳片の加熱温度は、1050〜1250℃とする。
工程IIにおいて、熱間圧延の仕上温度が800℃未満では、変態温度を大きく下回ることになり、十分な焼入れ強度が得られなくなる。一方で、仕上温度が900℃を超えると、高張力厚鋼板の靭性が低下するおそれがある。このため、熱間圧延の仕上げ温度は800〜900℃とする。
工程IIIにおいては、熱間圧延終了後に時間をおかずに強制冷却する。熱間圧延終了後できる限り早く強制冷却することが好ましいが、実際には圧延機から冷却装置まで距離があり、通板速度にも制限があるため、冷却までに時間が生じる。このように直ちに冷却できない場合でも、熱間圧延終了後、200秒後までに強制冷却すれば、十分な焼入れ効果を得ることができる。また、強制冷却は、水などの冷却媒体が鋼板面全体に均一にあたるようにし、板厚の中心部が1℃/sec以上となる冷却速度で行うことが好ましい。
さらに必要に応じて工程IVを行うことができ、350〜550℃に焼戻しを行うことで靭性を向上させることができる。
このようにして、本発明に係る高張力厚鋼板を製造することができる。本発明に係る高張力厚鋼板は、板厚60mm以上であり、引張強さ570MPa以上であるとともに、予熱無しで溶接が可能である。
さらに、本発明に係る高張力厚鋼板及びその製造方法を、実施例を参照しながら具体的に説明する。
本発明では、転炉で溶製し、表1,2に示す化学組成(残部はFeおよび不純物)を有する300mm厚の鋳片を、連続鋳造法にて作製した。ここで、複合介在物の制御の観点より、転炉においてRH真空脱ガス処理前の溶鋼中の酸素ポテンシャルOxpを表3,4に示す量に調整した後、Ti等を添加し成分調整した。その後、連続鋳造過程で、溶鋼の温度を過度に高くせず、溶鋼組成から決まる凝固温度に対し、その差が50℃以内になるように管理し、さらに凝固直前の電磁攪拌および凝固時の圧下を行って、300mm厚さの鋳片とした。
この鋳片を、表3,4に示す条件で、加熱および均熱し、板厚60〜90mmに仕上げるように熱間圧延を行い、熱間圧延の直後に焼入れを行い、一部についてはさらに焼戻しを行うことにより、高張力厚鋼板を得た。
Ti系複合介在物の断面におけるMnS面積率およびMnS周長割合の算出は、高張力厚鋼板の板厚1/4t部より採取した複合介在物分析用の試験片を用いた。複合介在物は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用い、複合介在物を面分析したマッピング画像から、MnS面積率および複合介在物の界面におけるMnS周長割合を測定した。MnS面積率および複合介在物の界面におけるMnS周長割合は、各試料につき20個ずつEPMAによる分析を行い、平均値を算出することにより求めた。
さらに、Ti系複合介在物の個数密度は、SEM-EDXを組み合わせた自動介在物分析装置から得た複合介在物の形状測定データから、粒径が0.5〜5.0μmの範囲である複合介在物の個数を算出することにより、個数密度を算出した。算出した結果を表3,4に示す。
また、表3,4に示す加工条件で得られた高張力厚鋼板の板厚中央部より圧延と直角の方向にJIS Z2241−2016に準拠した4号引張試験片(丸棒)(径=14mm)とJIS Z2242−2016に準拠したシャルピー試験片に準拠したシャルピー試験片(2mmVノッチ試験片)を採取した。ノッチ位置は板厚方向とした。それぞれ機械特性試験を行い、引張強さ、降伏強さ、−10℃のシャルピー吸収エネルギーを測定した。
図1は、HAZ靭性を評価するために使用した開先形状を示す説明図であり、図2は、HAZ靭性を評価するための試験片採取要領を示す説明図である。図2における符号1は鋼板を示し、符号2は溶接ビードを示し、符号3は2mmVノッチシャルピー試験片を示す。
HAZ靭性は、図1に示すように、高張力厚鋼板をX型開先で突き合わせた後、60k級鋼用の直径4.8mmのサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤ商品名Y−Dと溶接フラックス商品名NF−320M(共に日鐵住金溶接工業株式会社製)を用いて、溶接入熱100〜120kJ/cmにて、図2に示す多層盛り溶接を行った。
その後、溶接長手方向と垂直に切断し、図2に示すように1/2tの溶融部をノッチ位置としてシャルピー試験片を採取して、−10℃でシャルピー衝撃試験を行って吸収エネルギーを評価した。
耐低温割れ性の評価は、JIS Z3158−1993(y形溶接割れ試験方法)に準拠した方法で試験を行った。高張力厚鋼板をGapが1mmのy型に開先加工してy形溶接割れ試験体を作製し、温度0℃かつ湿度60%の一定雰囲気管理下の溶接場所において、60k級鋼用の直径1.2mmのガスシールドアーク溶接ワイヤ商品名YM−60C(日鐵住金溶接工業株式会社製)を用いて、シールドガスにCOガスを使用して、溶接入熱16.0〜17.5kJ/cmの条件にて試験を行い、溶接された試験体の断面観察を行って割れ率を測定した。
特性の評価基準は、以下に記載の基準を満足する場合を合格とした。
・引張強さ:570MPa以上
・−10℃吸収エネルギー:100J以上であること。
・HAZ部−10℃吸収エネルギー:47J以上であること。
・耐低温割れ性:0℃で断面割れ率が0であること。
得られた試験結果を表3,4にまとめて示す。
Figure 0006897449
Figure 0006897449
Figure 0006897449
Figure 0006897449
表1,3の記号A01〜A35は、本発明で規定する条件を全て満足する本発明例であり、表2,4の記号B01〜B30は、本発明で規定する条件を満足しない比較例である。
表1,3に示すように、記号A01〜A35は、引張強さ:570MPa以上、−10℃吸収エネルギー:100J以上およびHAZ部−10℃吸収エネルギー:47J以上の機械特性と、0℃で断面割れ率:0の溶接性を兼ね備えている。
このため、記号A01〜A35の高張力厚鋼板は、板厚中央部の引張強さが570MPa以上の高強度を有するとともに低温靭性に優れ、鋼板温度が0℃で溶接を行っても低温割れの発生がなく、さらに大入熱溶接を適用してもHAZ靭性が優れるため、例えば橋梁など大型構造物の製造において溶接施工効率を高めることができ、溶接施工コストを大幅に低減できる。
これに対し、表2,4の記号B01は、C含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、引張強さが不足した。
記号B02は、C含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、溶接性が不足した。
記号B03は、Si含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B04は、Si含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B05は、Mn含有量が本発明の範囲の下限を下回り、MnS面積率、MnS周長割合及び個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B06は、Mn含有量が本発明の範囲の上限を上回り、個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B07は、Al含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B08は、Cu含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、引張強さが不足した。
記号B09は、Cu含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B10は、Ni含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B11は、Cr含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、引張強さが不足した。
記号B12は、Cr含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B13は、Mo含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B14は、Nb含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B15は、Nb含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B16は、V含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B17は、Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回り、個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B18は、Ti含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B19は、B含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B20は、B含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B21は、N含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B22は、N含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B23は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルOxpが本発明の範囲の下限を下回り、O含有量が本発明の範囲の下限を下回り、個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B24は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルOxpが本発明の範囲の上限を上回り、O含有量が本発明の範囲の上限を上回り、個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B25は、溶接割れ感受性指数Pcmが本発明の範囲の上限を上回るため、溶接性が不足した。
記号B26は、溶接割れ感受性指数Pcmが本発明の範囲の下限を下回るため、引張強さが不足した。
記号B27は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルOxpが本発明の範囲の下限を下回り、MnS面積率および個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B28は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルOxpが本発明の範囲の上限を上回り、MnS面積率および個数密度が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
記号B29は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルOxpが本発明の範囲の下限を下回り、MnS周長割合が不十分となり、HAZ靭性が不足した。
さらに、記号B30は、S含有量が本発明の範囲の下限を下回り、MnS面積率およびMnS周長割合が不十分となったため、HAZ靭性が不足した。
1 鋼板
2 溶接ビード
3 2mmVノッチシャルピー試験片

Claims (4)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.05〜0.14%、
    Si:0.10〜0.5%、
    Mn:0.8〜1.8%、
    P:0.015%以下、
    S:0.001〜0.005%、
    Al:0.003%以下、
    Cu:0.30〜0.50%、
    Ni:0.15〜0.50%、
    Cr:0.30〜0.60%、
    Nb:0.015〜0.045%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    B:下記式(1)により示される範囲、
    N:0.0020〜0.0050%、
    O:0.0005〜0.0050%、
    Mo:0〜0.40%、
    V:0〜0.008%を含有し、
    下記式(2)により定義される溶接割れ感受性指数Pcmの値が0.17〜0.24であり、
    残部はFeおよび不純物であり、
    鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含み、
    前記複合介在物の断面における前記MnSの面積率が10〜50%であり、
    前記複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上であり、
    粒径0.5〜5.0μmの前記複合介在物の個数密度が10〜40個/mmである、
    引張強さ570MPa以上で、予熱無しで溶接が可能な板厚60mm以上の高張力厚鋼板。
    0.0003≦[B%]≦0.0005+[Cu%]/1000+[Ni%]/500+[Mo%]/500・・・(1)
    Pcm=[C%]+[Si%]/30+[Mn%]/20+[Cu%]/20+[Ni%]/60+[Cr%]/20+[Mo%]/15+[V%]/10+5×[B%]・・・(2)
    式(1),(2)において[ ]付元素は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
  2. さらに、Mo:0.03〜0.4質量%を含有する、請求項1に記載の高張力厚鋼板。
  3. RH真空脱ガス処理前において、溶鋼中の酸素ポテンシャルを10〜30ppmとし、
    RH真空脱ガス処理において化学組成を調整して溶鋼を製造し、
    該溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片を製造し、
    該鋳片を1050〜1250℃の温度に加熱および均熱してから、800〜900℃にて所定の板厚に仕上げるように熱間圧延を行い、熱間圧延の直後に焼入れをする、請求項1または2に記載の高張力厚鋼板の製造方法。
  4. 前記焼入れを行った後に、350〜550℃の温度で焼戻しを行う、請求項3に記載の高張力厚鋼板の製造方法。
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