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JP6897545B2 - 同期制御装置 - Google Patents
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Description

本発明は、2軸以上の同期制御を行う同期制御装置に関する。
2軸以上の同期制御を行う同期制御装置として、FF(フィードフォワード)トルク指令とFB(フィードバック)トルク指令とを生成・加算することでトルク指令を生成し、生成したトルク指令を、ノッチフィルタ等のゲイン補償器で処理し、処理後のトルク指令に従ってモータを制御する制御部を、軸毎に備えた装置が知られている。
上記構成を有する同期制御装置における各軸用の制御部には、各軸の機械負荷の特性(共振周波数等)に応じた特性を有するゲイン補償器が使用されることになる。そのため、上記構成を有する同期制御装置では、各軸のゲイン補償器の特性の違いに起因した同期ずれが生じ得るのであるが、当該同期ずれを抑制できる技術は未だ開発されていないのが現状である(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2016−212923号公報 特開2000−339032号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、FFトルク指令とFBトルク指令とを生成・加算することでトルク指令を生成し、生成したトルク指令をゲイン補償器で処理する制御部を軸毎に備えたタイプの、機械系を軌道追従性よく制御できる同期制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る、第1モータと第2モータとを制御する同期制御装置は、前記第1モータについての位置指令である第1位置指令及び前記第2モータについての位置指令である第2位置指令が入力され、入力された前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する調整部と、前記調整部を介して入力される前記第1位置指令に基づき、第1フィードフォワード(FF)トルク指令を生成する第1FFトルク指令生成部と、前記調整部を介して入力される前記第1位置指令をフィルタリングする第1遅延時間補償器と、前記第1遅延時間補償器を通過した前記第1位置指令と、前記第1モータの位置又は前記第1モータにより駆動される機械負荷の位置の指標値の測定結果とに基づき、第1フィードバック(FB)トルク指令を生成する第1FBトルク指令生成部と、前記第1FFトルク指令と前記第1FBトルク指令との加算により得られた第1トルク指令をフィルタリングする第1ゲイン補償器と、前記第1ゲイン補償器を通過した前記第1トルク指令に従って前記第1モータを制御する第1モータ制御部と、を備える。また、同期制御装置は、前記調整部を介して入力される前記第2位置指令に基づき、第2FFトルク指令を生成する第2FFトルク指令生成部と、前記調整部を介して入力される前記第2位置指令をフィルタリングする第2遅延時間補償器と、前記第2遅延時間補償器を通過した前記第2位置指令と、前記第2モータの位置又は前記第2モータにより駆動される機械負荷の位置の指標値の測定結果とに基づき、第2FBトルク指令を生成する第2FBトルク指令生成部と、前記第2FFトルク指令と前記第2FBトルク指令との加算により得られた第2トルク指令をフィルタリングする第2ゲイン補
償器と、前記第2ゲイン補償器を通過した前記第2トルク指令に従って前記第2モータを制御する第2モータ制御部と、を備える。そして、同期制御装置の前記第1遅延時間補償器は、前記第1ゲイン補償器の等価時定数に応じた等価時定数を有し、前記第2遅延時間補償器は、前記第2ゲイン補償器の等価時定数に応じた等価時定数を有し、前記調整部は、入力された前記第1位置指令が前記第1遅延時間補償器から出力されるまでの時間と、入力された前記第2位置指令が前記第2遅延時間補償器から出力されるまでの時間との間の差が小さくなるように、前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する。
すなわち、本発明の一態様に係る同期制御装置は、位置指令とモータ/負荷の位置の指標値とが同等の遅れで各モータ用のFBトルク指令生成部に入力される構成を有する。また、同期制御装置は、入力された前記第1位置指令が前記第1遅延時間補償器から出力されるまでの時間と、入力された前記第2位置指令が前記第2遅延時間補償器から出力されるまでの時間との間の差が小さくなるように、前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する調整部も備えている。従って、この同期制御装置によれば、各軸のゲイン補償器の特性の違いに起因した同期ずれを抑制できるため、機械系(2軸)を軌道追従性良く制御することができる。
なお、同期制御装置の調整部に入力される各位置指令(第1,第2位置指令)は、外部装置から入力される情報であっても、同期制御装置内で生成される情報であっても良い。また、各モータ/負荷の位置の指標値は、各モータ/負荷の位置を直接的に示す情報であっても、各モータ/負荷の位置を間接的に示す情報(モータ/負荷の速度等)であっても良い。
第1遅延時間補償器は、第1ゲイン補償器の等価時定数と同じ等価時定数を有していても良く、第2遅延時間補償器は、前記第2ゲイン補償器の等価時定数と同じ等価時定数を有していても良い。調整部は、入力された前記第1位置指令が前記第1遅延時間補償器から出力されるまでの時間と、入力された前記第2位置指令が前記第2遅延時間補償器から出力されるまでの時間との間の差が“0”となるように、前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整するものであっても良い。
同期制御装置に、『第1遅延時間補償器の等価時定数よりも、前記第2遅延時間補償器の等価時定数の方が大きく、前記調整部は、前記第1位置指令の位相を調整することなく、前記第2位置指令の位相を調整する』構成を採用しておいても良い。また、調整部は、前記第2位置指令の位相を調整する全域通過フィルタで構成されていても良く、前記第1位置指令の位相を調整する第1全域通過フィルタと、前記第2位置指令の位相を調整する第2全域通過フィルタとで構成されていても良い。
第n(n=1,2)遅延時間補償器は、第nゲイン補償器の等価時定数に応じた等価時定数を有するもの(フィルタ)でありさえすれば、ローパスフィルタ又は全域通過フィルタであっても良い。当然、第n(n=1,2)遅延時間補償器は、第nゲイン補償器と同じフィルタであっても良い。
本発明によれば、機械系を軌道追従性よく制御できる同期制御装置を提供することができる。
本発明が適用される同期制御装置の構成の説明図である。 本発明の適用例の説明図である。 位相調整部の構成例の説明図である。 位相調整部の構成例の説明図である。 同期制御装置のハードウェア構成例の説明図である。 同期制御装置のハードウェア構成例の説明図である。 本発明の第1実施例に係る同期制御装置の概略構成図である。 無補償装置を用いた場合に得られる実軌道の説明図である。 位相無補償装置を用いた場合に得られる実軌道の説明図である。 第1実施例に係る同期制御装置を用いた場合に得られる実軌道の説明図である。 本発明の第2実施例に係る同期制御装置の概略構成図である。 第2実施例に係る同期制御装置を用いた場合に得られる実軌道の説明図である。 本発明の第3実施例に係る同期制御装置の概略構成図である。 第3実施例に係る同期制御装置を用いた場合に得られる実軌道の説明図である。 本発明の第4実施例に係る同期制御装置の概略構成図である。 位相調整をAPFで行い、遅延時間の調整をLPFで行った場合に得られる実軌道の説明図である。 第4実施例に係る同期制御装置を用いた場合に得られる実軌道の説明図である。
〔適用例〕
まず、本発明の適用例について説明する。
本発明は、図1に示したような構成を有する同期制御装置に適用されるものである。
この同期制御装置は、2軸(負荷35が接続された2つのモータ30)を同期的に制御する装置である。同期制御装置は、第1位置指令に基づき、第1モータ30を制御する制御部50と、第2位置指令に基づき、第2モータ30を制御する制御部50とを備える。なお、図1には、各位置指令を、同期制御装置外から制御部50に入力されるものとして示してあるが、各位置指令は、同期制御装置内で生成されるものであっても良い。以下、第n(n=1,2)位置指令に基づき、第nモータ30を制御する制御部50のことを、第n制御部50と表記する。さらに、第n制御部50内の各ユニット(FFトルク指令生成部11等)のことを、第nユニット(第1FFトルク指令生成部11等)と表記する。
第n(n=1、2)FFトルク指令生成部11は、第n位置指令からFF(フィードフォワード)トルクを生成するユニット(機能ブロック)である。第nFBトルク指令生成部13は、第nモータ30に取り付けられた位置検出器31により検出される第nモータ30の実位置と第n位置指令の差に基づき、FFトルク指令の過剰分・不足分を補償するためのFB(フィードバック)トルク指令を生成するユニットである。なお、各FBトルク指令生成部13にモータ30側から入力される情報は、モータ30の位置又は負荷(機械負荷)35の位置を求められる情報の測定結果であれば良い。従って、FBトルク指令生成部13にモータ30側から入力される情報は、モータ30の速度、負荷35の位置、負荷35の速度等の測定結果であっても良い。
FFトルク指令とFBトルク指令の加算器18による加算結果(以下、トルク指令と表記する)が入力されている各ゲイン補償器14は、ノッチフィルタ、トルクフィルタ等の、特定の周波数帯域の信号を減衰させるデジタルフィルタである。各インバータ部(INV)15は、モータ30に供給される電流を生成するインバータと、ゲイン補償器14から供給されるトルク指令に従って、インバータをPWM(pulse width modulation)制御
するPWM制御部とにより構成されたユニットである。
以上、説明したような構成を有する制御部50によりモータ30を制御する場合、トルク指令のインバータ部15への伝達が、ゲイン補償器14により遅延する。従って、実位置も、その分、遅延することになるが、FBトルク指令生成部13にて、実位置との間の差が算出される位置指令は遅延していない。そのため、制御部50のFBトルク指令生成部13により生成されるFBトルク指令には、位置指令と実位置の遅延時間が異なることに起因する誤差が含まれる。
実位置の遅延時間は、ゲイン補償器14の等価時定数に応じたものとなる。ただし、ゲイン補償器14の特性は、負荷35の共振周波数等に応じて定められるものであるため、各制御部50内のゲイン補償器14の等価時定数は通常異なる。そのため、図1に示したような構成を有する同期制御装置では、各軸用の制御部50内のゲイン補償器14の特性の差異により、各軸におけるFBトルク指令の遅延時間の違いが生じ、その結果として、十分な軌道追従性が得られない場合がある。
そこで、本発明では、上記タイプの同期制御装置の軌道追従性の向上を図るために、図2に示した構成を採用する。なお、以下の説明においても、図1に関する説明時と同様に、第n(n=1,2)位置指令が入力されている制御部10のことを、第n制御部10と表記し、第n制御部10内の各ユニットのことを、第nユニットと表記する。
この同期制御装置(図2)の第n(n=1,2)制御部10は、第n位置指令が、第n遅延時間補償器12を介して第nFBトルク指令生成部13に入力されるように、第n制御部50を改良したユニットである。第n遅延時間補償器12は、第nゲイン補償器14の等価時定数τgnに応じた等価時定数τdnを有するフィルタ(ノッチフィルタ、ローパスフィルタ、全域通過フィルタ等)である。第n遅延時間補償器12としては、通常、その等価時定数τdnが、第nゲイン補償器14の等価時定数τgnと一致するフィルタが用いられる。ただし、等価時定数τdnが、等価時定数τgnと一致している必要はない。等価時定数τgnは、等価時定数τdn近傍の値(例えば、等価時定数τdnの80〜120%)であればよい。
2つの制御部10の前段に設けられている位相調整部20は、第1位置指令が第1遅延時間補償器12から出力されるまでの時間と、第2位置指令が第2遅延時間補償器12から出力されるまでの時間との間の時間差が、両位置指令の位相が調整されていない場合よりも小さくなるように、第1位置指令及び第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整するユニットである。この位相調整部20は、上記時間差が小さくなるようにすることができるものであれば良い。従って、位相調整部20は、図3Aに示したような、第1位置指令の位相を調整する位相調整器21(以下、第1位相調整器21とも表記する)と第2位置指令の位相を調整する位相調整器21(以下、第2位相調整器21とも表記する)とで構成されたユニットであっても良い。また、位相調整部20は、図3Bに示したような、いずれか一方の位置指令(図では、第1位置指令)の位相を調整する位相調整器21のみからなるユニットであっても良い。
なお、同期制御装置のハードウェア構成は特に限定されない。例えば、図3C、図3Dに模式的に示したように、単軸制御用の2台のサーボドライバ40により、同期制御装置を構成しても良い。
以下、実施例に基づき、本発明について、さらに具体的に説明する。なお、以下で説明する各実施例においても、第n位置指令が入力されている制御部のことを、第n制御部と表記し、第n制御部内の各ユニットのことを、第nユニットと表記する。
〔第1実施例〕
図4に、本発明の第1実施例に係る同期制御装置1の概略構成を示す。この図に示してあるFFトルク指令生成部11、FBトルク指令生成部13の構成は、一般的に使用されているものである。そのため、各指令生成部の詳細説明は省略するが、J1,J2は、機械系(モータ30及び負荷35)のイナーシャ、Kppは、位置ループゲイン、Kvpは、速度ループゲイン、Kiは、積分ゲイン、sは、ラプラス演算子である。
図示してあるように、本実施例に係る同期制御装置1は、第1ゲイン補償器14として、中心周波数ωが200HzのノッチフィルタNF1が用いられ、第2ゲイン補償器14が、中心周波数ωが1000HzのノッチフィルタNF2が用いられた装置である。以下、ノッチフィルタNFn(n=1,2)の等価時定数のことを、τnfnと表記する。
また、同期制御装置1には、第1遅延時間補償器12、第2遅延時間補償器12として、それぞれ、ノッチフィルタNF1、ノッチフィルタNF2が用いられている。すなわち、同期制御装置1は、第1遅延時間補償器12の等価時定数τd1(=τnf1)と、第1ゲイン補償器14の等価時定数τg1(=τnf1)とが一致し、第2遅延時間補償器12の等価時定数τd2(=τnf2)と、第1ゲイン補償器14の等価時定数τg2(=τnf2)とが一致する構成を有している。
また、同期制御装置1の位相調整部20は、第1位相調整器21、第2位相調整器21として、それぞれ、ノッチフィルタNF2、ノッチフィルタNF1を備えている。また、位相調整部20は、第2位相調整器21として、ノッチフィルタNF1の等価時定数τnf1と同じ等価時定数τp2を有するローパスフィルタLPF2を備えている。
第1位相調整器21がノッチフィルタNF2である場合、第1位置指令がFBトルク指令生成部13に到達するまでに通過するフィルタ(第1位相調整器21、第1遅延時間補償器12)の等価時定数の総和は、“τnf2+τnf1”となる。また、第2位相調整器21がノッチフィルタNF1である場合、第2位置指令が第2FBトルク指令生成部13に到達するまでに通過するフィルタ(第2位相調整器21、第2遅延時間補償器12)の等価時定数の総和も、“τnf1+τnf2”となる。従って、上記構成を有する位相調整部20によれば、第1位置指令が第1遅延時間補償器12から出力されるまでの時間と、第2位置指令が第2遅延時間補償器12から出力されるまでの時間との間の時間差を位相調整部20がない場合よりも小さくすることができる。
そして、既に説明したように、同期制御装置1では、第1遅延時間補償器12の等価時定数τd1が、第1ゲイン補償器14の等価時定数τg1と一致し、第2遅延時間補償器12の等価時定数τd2が、第2ゲイン補償器14の等価時定数τg2と一致している。従って、同期制御装置1によれば、2つのモータ30を良好に制御することができる。
具体的には、図5Aに、“同期制御装置1から第1及び第2遅延時間補償器12と位相調整部20とを除去した同期制御装置”(以下、無補償装置と表記する)によって、或る制御対象部材に円運動させることが可能な機械系(2組のモータ30及び負荷35)を制御した場合における実軌道のシミュレーション結果を示す。また、図5B、図5Cに、上記機械系を、それぞれ、“同期制御装置1から位相調整部20を除去した同期制御装置”(以下、位相無補償装置と表記する)、同期制御装置1によって制御した場合における実軌道のシミュレーション結果を示す。
なお、図5A〜図5Cのシミュレーション結果は、いずれも、制御対象部材に半径0.
05[m]、速度10[cycle/s]の円運動を2回行わせた場合の結果であり、当該円運動の開始位置は、各図における座標(0,0)の点であり、円運動の回転方向は時計回りである。また、図5A〜図5Cに示してある各実軌道は、目標軌道(点線)からの誤差を20倍に拡大したものである。さらに、シミュレーションに用いたノッチフィルタNF1の伝達関数NF、ノッチフィルタNF2の伝達関数NFは、以下のものである。
Figure 0006897545

これらの伝達関数において、d(n=1,2)、ζ、ωは、それぞれ、ノッチフィルタNFnのノッチ深さ、減衰定数、中心周波数である。
図5Aに示してあるように、無補償装置によって上記機械系を制御した場合、ノッチフィルタNF1(第1ゲイン補償器14)の中心周波数ωと、ノッチフィルタNF2(第2ゲイン補償器14)であるとの中心周波数ωとが異なるため、実軌道が斜めに傾いたものとなる。また、ノッチフィルタNF1が実位置(トルク指令)に与える影響と、ノッチフィルタNF2が実位置に与える影響とが異なるため、制御開始直後に比較的大きなハンチングが生じる。
位相無補償装置(同期制御装置1から位相調整部20を除去した同期制御装置)では、第n(n=1、2)位置指令が、第nトルク指令を処理するノッチフィルタNFn(第nゲイン補償器)と同じノッチフィルタNFn(第n遅延時間補償器12)により処理される。そのため、位相無補償装置で上記機械系を制御した場合には、図5Bに示してあるように、軌道再現性が向上する。ただし、第1,2遅延時間補償器12が設けられている分、誤差量自体は、大きくなる。
一方、同期制御装置1は、上記構成の位相調整部20も備えている。従って、同期制御装置1によって上記機械系を制御した場合には、図5Cに示してあるように、実軌道が大きく傾くことも誤差量が大きくなることもない形で、機械系を制御することができる。
〔第2実施例〕
図6に、本発明の第2実施例に係る同期制御装置2の概略構成を示す。
図示してあるように、本実施例に係る同期制御装置2は、同期制御装置1と同様に、第1ゲイン補償器14として、中心周波数ωが200HzのノッチフィルタNF1が用いられ、第2ゲイン補償器14が、中心周波数ωが1000HzのノッチフィルタNF2が用いられた装置である。
ただし、同期制御装置2には、第1遅延時間補償器12として、ノッチフィルタNF1ではなく、ノッチフィルタNF1(第1ゲイン補償器14)の等価時定数τnf1と同じ
等価時定数τp1を有するローパスフィルタLPF1が用いられている。また、同期制御装置2には、第2遅延時間補償器12として、ノッチフィルタNF2ではなく、ノッチフィルタNF2(第2ゲイン補償器14)の等価時定数τnf2と同じ等価時定数τp2を有するローパスフィルタLPF2が用いられている。そして、同期制御装置2の位相調整部20は、第1位相調整器21、第2位相調整器21として、それぞれ、ローパスフィルタLPF2、ローパスフィルタLPF1を備えている。
この同期制御装置2も、同期制御装置1と同様に、第1遅延時間補償器12の等価時定数τd1(=τp1=τnf1)が、第1ゲイン補償器14の等価時定数τg1(=τnf1)と一致し、第2遅延時間補償器12の等価時定数τd2(=τp2=τnf2)が、第2ゲイン補償器14の等価時定数τg2(=τnf1)と一致する構成を有している。また、同期制御装置2においても、同期制御装置1と同様に、第1位相調整器21、第1遅延時間補償器12の等価時定数の総和と、第2位相調整器21、第2遅延時間補償器12の等価時定数の総和とが一致している。
従って、同期制御装置2によっても、図7に示したように、同期制御装置1と同様に、2軸を同期性良く制御することができる。
なお、この図7に示した実軌道は、図5Cの実軌道のシミュレーション条件と同じ条件でのシミュレーションにより得られた、目標軌道(点線)からの誤差を20倍に拡大した実軌道である。また、シミュレーションに用いたノッチフィルタNF1、NF2の伝達関数は、上記したNF、NFであり、シミュレーションに用いたローパスフィルタLPF1、LPF2の伝達関数は、それぞれ、以下のLPF、LPFである。
Figure 0006897545
図7に示したように、同期制御装置2によっても、同期制御装置1と同様に、2軸を同期性良く制御することができる。そして、同期制御装置2に、位相調整器21、遅延時間補償器12として使用されているデジタルフィルタは、必要とされる演算量が、ノッチフィルタよりも少ないローパスフィルタである。従って、同期制御装置2によれば、同期制御装置1よりも少ない演算量で、2軸を同期性良く制御できることにもなる。
〔第3実施例〕
図8に、本発明の第3実施例に係る同期制御装置3の概略構成を示す。
この図8と図6とを比較すれば明らかなように、本実施例に係る同期制御装置3は、同期制御装置2(図6)と、位相調整部20の構成のみが異なる装置である。
具体的には、同期制御装置3が備える位相調整部20は、第2位置指令の位相を調整するための第2位相調整器21のみで構成されている。そして、当該第2位相調整器21と
しては、その等価時定数τp0が、“第1遅延時間補償器12の等価時定数τd1−第2遅延時間補償器12の等価時定数τd2”と一致するローパスフィルタLPF0が用いられている。なお、本実施例に係る同期制御装置3の第1遅延時間補償器12、第2遅延時間補償器12は、それぞれ、ローパスフィルタLPF1、ローパスフィルタLPF2である。同期制御装置3では、τp0=τp1−τp2、τp0=τnf2−τnf2も成立することになる。
位相調整部20が上記構成のものである場合、第1位置指令がFBトルク指令生成部13に到達するまでに通過するフィルタ(第1遅延時間補償器12)の等価時定数の総和は、τd1となる。また、第2位置指令が第2FBトルク指令生成部13に到達するまでに通過するフィルタ(第2位相調整器21、第2遅延時間補償器12)の等価時定数の総和は、τd1−τd2+τd2=τd1となる。
すなわち、位相調整部20が上記構成のものであっても、第1位置指令がFBトルク指令生成部13に到達するまでに通過するフィルタの等価時定数の総和と、第2位置指令が第2FBトルク指令生成部13に到達するまでに通過するフィルタの等価時定数の総和とを一致させることができる。そして、上記構成の位相調整部20によれば、第1位置指令の位相を遅らすことなく、第1位置指令が第1遅延時間補償器12から出力されるまでの時間と、第2位置指令が第2遅延時間補償器12から出力されるまでの時間との間の時間差を小さくすることができる。
従って、同期制御装置3によれば、図9に示したように、同期制御装置2よりも軌道追従性が良くなる形で2軸を制御することができる。なお、この図9に示した実軌道は、図5C、図7の実軌道のシミュレーション条件と同じ条件でのシミュレーションにより得られた、目標軌道(点線)からの誤差を、50倍に拡大した実軌道である。
〔第4実施例〕
図10に、本発明の第4実施例に係る同期制御装置4の概略構成を示す。
本実施例に係る同期制御装置4は、同期制御装置3(図8)の各ローパスフィルタを、オールパスフィルタに置き換えた装置である。
具体的には、同期制御装置4には、第1遅延時間補償器12として、その等価時定数τa1が、第1ゲイン補償器14として使用されているノッチフィルタNF1の等価時定数τnf1と一致するオールパスフィルタAPF1が使用されている。また、同期制御装置4には、第2遅延時間補償器12として、その等価時定数τa2が、第2ゲイン補償器14として使用されているノッチフィルタNF2の等価時定数τnf2と一致するオールパスフィルタAPF2が使用されている。
そして、同期制御装置4の位相調整部20は、第1位相調整器21を備えず、その等価時定数τa0が、“第1遅延時間補償器12の等価時定数τd1(=τa1)−第2遅延時間補償器12の等価時定数τd2(=τa2)”と一致するオールパスフィルタAPF0を第2位相調整器21として備えたものとなっている。
位相調整器21や遅延時間補償器12にゲイン特性があると、当該ゲイン特性により軌道再現性が低下することがあるが、本実施例に係る同期制御装置4には、位相調整器21及び遅延時間補償器12として、ゲイン特性がないオールパスフィルタが使用されている。そのため、同期制御装置4によれば、上記した同期制御装置1〜3や、位相調整器21及び遅延時間補償器12の一部としてオールパスフィルタを使用した同期制御装置1〜3よりも、軌道再現性良く機械系を制御することができる。
具体的には、図11Aに、各遅延時間補償器12をローパスフィルタに置換した同期制御装置4についての実軌道のシミュレーション結果を示す。また、図11Bに、同期制御装置4についての実軌道のシミュレーション結果を示す。なお、図11A及び11Bに示してある各シミュレーション結果(実軌道)は、目標軌道(点線)からの誤差を50倍に拡大したものである。また、各シミュレーション結果は、13[cycle/s]という、図7等のシミュレーション時よりも早い円運動でのシミュレーション結果である。さらに、各シミュレーションに用いたAPFm(m=1〜3)の伝達関数APFは、以下のものである。
Figure 0006897545
《変形例》
上記した各実施例に係る同期制御装置は、各種の変形を行えるものである。例えば、各実施例に係る同期制御装置を、3軸以上を制御する装置に変形しても良い。なお、同期制御装置を、P(≧3)軸を制御する装置に変形することは、例えば、同期制御装置1〜4に、P−2軸〜P軸用の上記構成の制御部10を追加し、上記した2軸用の位相調整部20の代わりに、“位相調整器21の等価時定数+遅延時間補償器12の等価時定数”を全軸においてほぼ同一とすることができる位相調整部を採用しておけば良い。
各実施例に係る同期制御装置に、位相遅れ補償ではなく、位相進み補償を行う位相調整部20を採用しておいてもよい。また、同期制御装置の位相調整部20を、PLC(programmable logic controller)等の位置指令を出力する上位装置側に設けても良い。
《付記》
本発明の構成要件と実施形態の構成とを対比可能とするために、以下に、独立請求項1にかかる発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
[請求項1]
第1モータ(30)と第2モータ(30)とを制御する同期制御装置において、
前記第1モータ(30)についての位置指令である第1位置指令及び前記第2モータ(30)についての位置指令である第2位置指令が入力され、入力された前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する調整部(20)と、
前記調整部(20)を介して入力される前記第1位置指令に基づき、第1フィードフォワード(FF)トルク指令を生成する第1FFトルク指令生成部(11)と、
前記調整部(20)を介して入力される前記第1位置指令をフィルタリングする第1遅延時間補償器(12)と、
前記第1遅延時間補償器(12)を通過した前記第1位置指令と、前記第1モータ(30)の位置又は前記第1モータ(30)により駆動される機械負荷(35)の位置の指標値の測定結果とに基づき、第1フィードバック(FB)トルク指令を生成する第1FBトルク指令生成部(13)と、
前記第1FFトルク指令と前記第1FBトルク指令との加算により得られた第1トルク指令をフィルタリングする第1ゲイン補償器(14)と、
前記第1ゲイン補償器(14)を通過した前記第1トルク指令に従って前記第1モータ
(30)を制御する第1モータ制御部(15)と、
前記調整部(20)を介して入力される前記第2位置指令に基づき、第2FFトルク指令を生成する第2FFトルク指令生成部(11)と、
前記調整部(20)を介して入力される前記第2位置指令をフィルタリングする第2遅延時間補償器(12)と、
前記第2遅延時間補償器(12)を通過した前記第2位置指令と、前記第2モータ(30)の位置又は前記第2モータ(30)により駆動される機械負荷(35)の位置の指標値の測定結果とに基づき、第2FBトルク指令を生成する第2FBトルク指令生成部(13)と、
前記第2FFトルク指令と前記第2FBトルク指令との加算により得られた第1トルク指令をフィルタリングする第2ゲイン補償器(14)と、
前記第2ゲイン補償器(14)を通過した前記第2トルク指令に従って前記第2モータ(30)を制御する第2モータ制御部(15)と、
を備え、
前記第1遅延時間補償器(12)は、前記第1ゲイン補償器(14)の等価時定数に応じた等価時定数を有し、
前記第2遅延時間補償器(12)は、前記第2ゲイン補償器(14)の等価時定数に応じた等価時定数を有し、
前記調整部(20)は、入力された前記第1位置指令が前記第1遅延時間補償器(12)から出力されるまでの時間と、入力された前記第2位置指令が前記第2遅延時間補償器(12)から出力されるまでの時間との間の差が小さくなるように、前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する、
ことを特徴とする同期制御装置。
1、2、3、4 同期制御装置
10、50 制御部
11 FFトルク指令生成部
12 遅延時間補償器
13 FBトルク指令生成部
14 ゲイン補償器
15 インバータ部
18 加算器
20 位相調整部
21 位相調整器
22 検知部
30 モータ
31 位置検出器
35 負荷

Claims (7)

  1. 第1モータと第2モータとを制御する同期制御装置において、
    前記第1モータについての位置指令である第1位置指令及び前記第2モータについての位置指令である第2位置指令が入力され、入力された前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する調整部と、
    前記調整部を介して入力される前記第1位置指令に基づき、第1フィードフォワード(FF)トルク指令を生成する第1FFトルク指令生成部と、
    前記調整部を介して入力される前記第1位置指令をフィルタリングする第1遅延時間補償器と、
    前記第1遅延時間補償器を通過した前記第1位置指令と、前記第1モータの位置又は前記第1モータにより駆動される機械負荷の位置の指標値の測定結果とに基づき、第1フィードバック(FB)トルク指令を生成する第1FBトルク指令生成部と、
    前記第1FFトルク指令と前記第1FBトルク指令との加算により得られた第1トルク指令をフィルタリングする第1ゲイン補償器と、
    前記第1ゲイン補償器を通過した前記第1トルク指令に従って前記第1モータを制御する第1モータ制御部と、
    前記調整部を介して入力される前記第2位置指令に基づき、第2FFトルク指令を生成する第2FFトルク指令生成部と、
    前記調整部を介して入力される前記第2位置指令をフィルタリングする第2遅延時間補償器と、
    前記第2遅延時間補償器を通過した前記第2位置指令と、前記第2モータの位置又は前記第2モータにより駆動される機械負荷の位置の指標値の測定結果とに基づき、第2FBトルク指令を生成する第2FBトルク指令生成部と、
    前記第2FFトルク指令と前記第2FBトルク指令との加算により得られた第2トルク指令をフィルタリングする第2ゲイン補償器と、
    前記第2ゲイン補償器を通過した前記第2トルク指令に従って前記第2モータを制御する第2モータ制御部と、
    を備え、
    前記第1遅延時間補償器は、前記第1ゲイン補償器の等価時定数に応じた等価時定数を有し、
    前記第2遅延時間補償器は、前記第2ゲイン補償器の等価時定数に応じた等価時定数を有し、
    前記調整部は、入力された前記第1位置指令が前記第1遅延時間補償器から出力されるまでの時間と、入力された前記第2位置指令が前記第2遅延時間補償器から出力されるまでの時間との間の差が小さくなるように、前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する、
    ことを特徴とする同期制御装置。
  2. 前記第1遅延時間補償器は、前記第1ゲイン補償器の等価時定数と同じ等価時定数を有し、
    前記第2遅延時間補償器は、前記第2ゲイン補償器の等価時定数と同じ等価時定数を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の同期制御装置。
  3. 前記調整部は、入力された前記第1位置指令が前記第1遅延時間補償器から出力されるまでの時間と、入力された前記第2位置指令が前記第2遅延時間補償器から出力されるまでの時間との間の差が“0”となるように、前記第1位置指令及び前記第2位置指令の中の少なくとも一方の位相を調整する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御装置。
  4. 前記第1遅延時間補償器の等価時定数よりも、前記第2遅延時間補償器の等価時定数の方が大きく、
    前記調整部は、前記第1位置指令の位相を調整することなく、前記第2位置指令の位相を調整する、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の同期制御装置。
  5. 前記調整部が、前記第2位置指令の位相を調整する全域通過フィルタである、
    ことを特徴とする請求項4に記載の同期制御装置。
  6. 前記調整部は、前記第1位置指令の位相を調整する第1全域通過フィルタと、前記第2位置指令の位相を調整する第2全域通過フィルタとを備える、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の同期制御装置。
  7. 前記第1遅延時間補償器が、ローパスフィルタ又は全域通過フィルタであり、
    前記第2遅延時間補償器が、ローパスフィルタ又は全域通過フィルタである
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の同期制御装置。
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