JP6899334B2 - テルペン合成酵素をコードするポリヌクレオチド、植物の芳香性の改変方法及びテルペン合成能が高い植物体の選別方法 - Google Patents
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(a)配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号1の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号1の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドに相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(e)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(f)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(g)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
本発明の発現ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
上記非ヒト宿主は、植物体又はその部分であることが好ましい。また、上記植物体又はその部分が、ホップの植物体又はその部分であることが好ましい。
本発明の形質転換体の子孫、栄養繁殖体、器官、組織又は細胞は、本発明の形質転換体と同一の性質を有することを特徴とする。
本発明の非ヒト宿主の芳香性の改変方法においては、上記非ヒト宿主が、植物体又はその部分であることが好ましい。また、上記植物体又はその部分は、ホップの植物体又はその部分であることが好ましい。
本発明の非ヒト宿主の芳香性の改変方法は、さらに、上記ポリヌクレオチド又は上記発現ベクターが導入された上記非ヒト宿主を、生育させる工程を含むことが好ましい。
(A)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質
(C)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質
本発明のタンパク質において、上記テルペン合成活性は、モノテルペン合成活性を含むことが好ましく、モノテルペン合成活性及びセスキテルペン合成活性であることがより好ましい。
本発明のテルペンの製造方法は、本発明の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とする。
(1)植物体又はその部分からDNA又はRNAであるポリヌクレオチドを抽出する工程、
(2)上記ポリヌクレオチドがRNAである場合に、逆転写してcDNAを合成する工程、
(3)上記(1)又は(2)の工程で得られたDNAから配列番号1の塩基配列の少なくとも一部を含有するDNA断片を増幅する工程、
(4)(3)の工程で増幅したDNA断片中の突然変異及び/又は多型の存在を、上記DNA断片の塩基配列と配列番号1の塩基配列とを比較して決定することにより、テルペン合成酵素遺伝子の突然変異及び/又は多型を検出する工程、
(5)(4)の工程で上記突然変異及び/又は多型が検出された植物体について、上記テルペン合成酵素遺伝子の発現量又は上記遺伝子がコードするテルペン合成酵素のテルペン合成活性を測定し、既存品種と比較する工程、及び、
(6)上記遺伝子の発現量又はテルペン合成酵素のテルペン合成活性が既存品種と比較して高い植物体を、テルペン合成能が高い植物体と判定する工程、
を含むことを特徴とする。
本発明の方法においては、上記植物体が、ホップの植物体であることが好ましい。本発明の方法は、ホップにおけるテルペン合成酵素遺伝子の突然変異及び/又は多型の存在を検出し、該突然変異及び/又は多型により既存品種と比較してテルペン合成能が高い植物体を選別する方法として好適である。
上記テルペン合成能が高い植物体を選別する方法においては、上記ポリヌクレオチドの発現量を複数の植物体間で比較して、上記発現量が多い植物体を選別することが好ましい。
本発明の植物体を選別する方法においては、上記植物が、ホップであることが好ましい。
本発明のポリヌクレオチドは、下記(a)〜(g)からなる群から選択される少なくとも一つのポリヌクレオチドである。
(a)配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(b)配列番号1の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号1の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドに相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(e)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(f)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(g)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃又は5×SSC、1% SDS、50mM Tris−HCl(pH7.5)、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃又は0.2×SSC、0.1% SDS、65℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い同一性を有するポリヌクレオチドが効率的に得られることが期待できる。ただし、ストリンジェンシーに影響する要素としては、温度、塩濃度、プローブの濃度及び長さ、イオン強度、時間等の複数の要素が考えられ、当業者であれば、これらの要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したSambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol. 3, Cold Spring Harbor, Laboratory Press 2001等に記載の条件を採用することもできる。
また、このようなタンパク質としては、配列番号2のアミノ酸配列に対して、例えば90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、96%以上又は97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質等が挙げられる。
上記同一性は、90%以上であり、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、96%以上又は97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。
上記(a)〜(g)のポリヌクレオチドは、好ましくはDNAである。
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、適切な発現ベクターに挿入された状態で宿主に導入される。例えば、後述するような本発明の発現ベクターにより、ポリヌクレオチドを上記宿主に導入することが好ましい。
本発明の発現ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含む。本発明の発現ベクターを用いると、例えば、本発明のポリヌクレオチドを容易に宿主へ導入することができる。また、宿主における本発明のポリヌクレオチドの発現を、容易に制御することができる。本発明の発現ベクターの用途等は特に限定されず、上述した本発明のポリヌクレオチドと同様である。
本発明の形質転換体は、本発明のポリヌクレオチド又は本発明の発現ベクターが導入された非ヒト宿主である。以下、「本発明のポリヌクレオチドの導入」は、特に示さない限り、「本発明の発現ベクターの導入」の意味も含む。
上記宿主として、例えば、植物体又はその部分、微生物、動物細胞、昆虫細胞、これらの培養細胞等が挙げられる。非ヒト宿主は、形質転換体の用途等に応じて適宜選択すればよい。中でも、植物体又はその部分、微生物を宿主とすることが好ましい。
本発明の形質転換体と同一の性質を有する、上記形質転換体の子孫、栄養繁殖体、器官、組織又は細胞も、本発明に包含される。
本発明の非ヒト宿主の芳香性の改変方法は、非ヒト宿主に、本発明のポリヌクレオチド又は発現ベクターを導入する工程を含む。
本発明は、テルペン合成酵素遺伝子の発現を抑制する方法も提供する。テルペン合成酵素遺伝子としては、上述した本発明のポリヌクレオチドが挙げられ、好ましくは配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチドであり、より好ましくは配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。テルペン合成酵素遺伝子の発現を抑制するとは、上記ポリヌクレオチドの転写産物としてのRNA、翻訳産物としてのタンパク質、該タンパク質のテルペン合成活性のいずれかの量を低下させるか、又は、消失させることをいう。本発明の方法は、例えば、上述した植物体又はその部分に適用することができる。特に、植物体又はその部分においてテルペン合成酵素遺伝子の発現を抑制するために好適に使用される。
植物体又はその部分は、好ましくはホップの植物体又はその部分である。
本発明のタンパク質は、下記(A)〜(C)からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質である。
(A)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質
(C)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質
本発明のタンパク質は、テルペン合成活性のみを有してもよいし、さらに、その他の触媒機能を有してもよい。
本発明のタンパク質の製造方法は、テルペン合成活性を有するタンパク質の製造方法である。本発明の製造方法は、本発明のポリヌクレオチドを発現させることにより、該ポリヌクレオチドがコードするテルペン合成活性を有するタンパク質を合成するタンパク質合成工程を含む。
本発明のテルペンの製造方法は、本発明のテルペン合成活性を有するタンパク質を使用し、上記タンパク質のテルペン合成活性により、テルペンを合成するテルペン合成工程を含む。
本発明のテルペン合成能が高い植物体を選別する方法(以下、本発明の選別方法ともいう)は、配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチドを用いてテルペン合成能が高い植物体を選別する。
テルペン合成酵素遺伝子である配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチドを用いることにより、テルペン合成能が変化している植物体を検出したり、選別したりすることができる。テルペン合成能が変化している植物体は、好ましくは既存品種に対してテルペン合成能が変化している植物体である。既存品種に対してテルペン合成能が変化している植物体は、後述するテルペン合成酵素遺伝子の発現量又はテルペン合成酵素の活性が既存品種に対して変化している植物体であり、既存品種に対してテルペンの合成量が増大又は低下している植物体ともいえる。例えばテルペン合成能がより高い植物体は、テルペンの合成量がより多く、通常、テルペンに由来する芳香性が増強されている。このため、既存品種に対してテルペン合成能が高い植物体は、既存品種に対して芳香性が高い(増強された)植物体であるといえる。また、既存品種に対してテルペン合成能が低い植物体は、既存品種に対して芳香性が抑えられた(低減した)植物体であるといえる。従ってテルペン合成能が変化している植物体を選別することにより、芳香性が高い又は芳香性が抑えらえた植物体を選別することができる。植物体は、好ましくはホップの植物体である。
本発明の選別方法は、ホップにおけるテルペン合成能が高い植物体を選別する方法として好適である。
(1)植物体又はその部分からDNA又はRNAであるポリヌクレオチドを抽出する工程
(2)上記ポリヌクレオチドがRNAである場合に、逆転写してcDNAを合成する工程
(3)上記(1)又は(2)の工程で得られたDNAから配列番号1の塩基配列の少なくとも一部を含有するDNA断片を増幅する工程
(4)(3)の工程で増幅したDNA断片中の突然変異及び/又は多型の存在を、上記DNA断片の塩基配列と配列番号1の塩基配列とを比較して決定することにより、テルペン合成酵素遺伝子の突然変異及び/又は多型を検出する工程
(5)(4)の工程で上記突然変異及び/又は多型が検出された植物体について、上記テルペン合成酵素遺伝子の発現量又は上記遺伝子がコードするテルペン合成酵素のテルペン合成活性を測定し、既存品種と比較する工程
(6)上記遺伝子の発現量又はテルペン合成酵素のテルペン合成活性が既存品種と比較して高い植物体を、テルペン合成能が高い植物体と判定する工程
工程(4)において、DNA断片の塩基配列と配列番号1の塩基配列とを比較することによりDNA断片中の突然変異及び/又は多型の存在を決定する方法は特に限定されない。例えば、増幅したDNA断片の塩基配列を決定し、得られた塩基配列を配列番号1の塩基配列と比較することにより、テルペン合成酵素遺伝子の突然変異及び/又は多型の存在を決定することができる。また、ミスマッチペアの片側を切断する酵素を用いて突然変異を検出するTILLING法(Till et al. 2003 Genome Res 13:524-530)等の変異遺伝子と正常遺伝子の相同性を利用し検出する方法も用いることができる。該技術により得られた配列データを配列番号1の塩基配列と比較することで、テルペン合成酵素遺伝子の突然変異及び/又は多型の存在を決定することができる。
既存品種の植物体についても、配列番号1の塩基配列の少なくとも一部を含有するDNA断片から発現されるmRNA量を測定する。
被検植物体における上記mRNA量を既存品種の植物体における上記mRNA量と比較することにより、既存品種に対するテルペン合成酵素遺伝子の発現量の差を決定することができる。
本発明の方法によれば、植物におけるテルペン合成酵素遺伝子の突然変異及び/又は多型の存在を検出し、該突然変異及び/又は多型の存在により遺伝子発現が増強又は抑制されていることを確認することができる。
その後、被検植物体における上記cDNA量と、既存品種の植物体で得られたcDNAの量とを比較することでmRNA量の差を決定することができる。例えばホップであれば、ホップの既存品種(例えば、ザーツ、ナゲット、信州早生等の品種)等から得られたcDNAの量と比較することで、mRNA量の差を決定することができる。
植物体又はその部分のテルペン含量の分析方法は特に限定されず、公知のテルペンの定量方法により行えばよい。好ましくは、モノテルペン(例えばリナロール、ゲラニオール、リモネン、α−テルピネオール、β−オシメン、ミルセン)及び/又はセスキテルペン(例えば、トランス−β−ファルネッセン)の含量を定量する。これらの1種又は2種以上のテルペンを定量すればよい。
また、植物体又はその部分から該テルペン合成酵素を抽出又は精製し、テルペン合成活性を測定してもよい。このように測定したテルペン含量等を既存品種と比較することにより、既存品種に対するテルペン合成酵素のテルペン合成活性の差を決定することができる。
本発明は、このようなテルペン合成酵素遺伝子の発現能又は該遺伝子にコードされるテルペン合成酵素の活性が既存品種に対して改変された植物体も包含する。
本発明の別の実施態様において、植物における本発明のテルペン合成酵素における突然変異及び/又は多型に基づく活性の変化等を既存品種に対して比較、同定することによって、テルペン合成能が既存品種に対して変化している品種を選別、確立することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、上述した(a)〜(g)からなる群から選択される少なくとも一つのポリヌクレオチドであり、好ましくは、配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチドであり、より好ましくは配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。本発明においては、配列番号1の塩基配列のポリヌクレオチドの発現量を指標とすることが好ましい。本発明のポリヌクレオチドの発現量の測定方法は特に限定されず、上述した方法により植物体又はその部分からRNAを抽出し、本発明のポリヌクレオチド(好ましくは配列番号1の塩基配列のポリヌクレオチド)のmRNAを定量すればよい。RNAを抽出する被検植物の部位は特に限定されないが、例えば、テルペン合成能が高いホップの植物体を選別する場合には、ホップの毬花(雌花)、葉等が好ましい。
テルペン合成能が高い植物体は、好ましくは、その植物の種に含まれる既存品種に対してテルペン合成能が高い植物体である。例えば、ある植物体(被検植物体)と既存品種の植物体との間で上記ポリヌクレオチドの発現量を比較し、既存品種よりも該発現量が多い植物体を選別することにより、既存品種に対してテルペン合成能が高い植物体を選別することができる。
また、例えば、被検植物体と既存品種の植物体との間で上記ポリヌクレオチドの発現量を比較し、既存品種よりも該発現量が少ない植物体を選別することにより、既存品種に対してテルペン合成能が低い植物体を選別することができる。
また、被検植物体と既存品種の植物体との間で上記ポリヌクレオチドの発現量を比較する場合、本発明で選別されるテルペン合成能が高い植物体は、すべての既存品種に対して該ポリヌクレオチドの発現量が多い必要はない。特定の既存品種に対して該ポリヌクレオチドの発現量が多ければ、テルペン合成能が高い植物体として選別することができる。
発現ベクターの構築
ホップのcDNAから得た、配列番号1の塩基配列からなる遺伝子にコードされるタンパク質(以下、Hl_TPS40096ともいう)の生化学的な機能を明らかにするため、該タンパク質を大腸菌において発現させた。配列番号1の塩基配列からなる遺伝子にコードされるタンパク質(Hl_TPS40096)のアミノ酸配列を、配列番号2に示す。
まず、下記の制限酵素サイトを付加したプライマーセット(配列番号3、4)を用いて、配列番号1の塩基配列からなるDNAをPCR法によって増幅した。なお、プライマー中の下線を付した塩基配列は、プライマーに付加した制限酵素認識配列である。
5’- TGCCGCGCGGCAGCCATATGTCAGATCATCAGGTCTCA -3’(配列番号3)
BamHI- Hl_TPS40096-Rv:
5’- GTTAGCAGCCGGATCCTTATAATGGGATTGGATTTATAAGC -3’(配列番号4)
酵素発現及び精製
上記で得られたHl_TPS40096の大腸菌発現用ベクターを用い定法に従って大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。得られた形質転換体を、50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地(10 g/L typtone pepton,5 g/L yeast extract,1 g/L NaCl)4mLにて、37℃で一晩振盪培養した。静止期に達した培養液2mLを同組成の培地98mLに接種し、Overnight Express Autoinduction System 1(Novagen社)を用いて25℃で20時間振盪培養した。
図1に、組換えタンパク質Hl_TPS40096の発現を確認した結果を示す((a):SDS−PAGE、(b):ウエスタンブロット解析)。図1の(a)及び(b)中の矢印は溶出したHisTag融合Hl_TPS40096タンパク質を示す。図1中、Mは分子量マーカー、NCはネガティブコントロール区、EZはHisTag融合Hl_TPS40096タンパク質を含む画分である。
活性測定
標準的な酵素反応条件は以下の通りである。終濃度50mM Tris-HClバッファー(pH7.5)、10mM MgCl2、5 mM DTT、20μM GPP又はFPPの溶液(基質溶液)に、精製した組換えタンパク質Hl_TPS40096 150μLを加え、蒸留水で200μLに調製したものを反応溶液とした。なお、上記の精製した組換えタンパク質Hl_TPS40096とは、実施例2で得た、200 mM imidazole溶出画分を、上述したようにバッファー置換した、該組換えタンパク質を含む溶液である。ネガティブコントロールには、組換えタンパク質Hl_TPS40096の代わりに、上記空ベクター由来の溶出液を基質溶液に添加したものを使用した。この反応溶液の上にさらに200μLのジエチルエーテルとペンタンの1:1混合溶液(有機溶媒層)を重層させ、30℃、2時間反応させた。反応後、200μLのジエチルエーテルをさらに重層した後、有機溶媒層を300μL別バイアルに移し、少量の硫酸ナトリウムを加え、2時間脱水を行った。脱水を行った後、有機溶媒層100μLを、ガラスインサート入りのGCバイアルに移し、下記条件にてガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により解析を行った。
カラム:DB−WAXETR(60m(Length)、0.320mm(Diam.)、0.25μm(Film))
オーブンプログラム:70℃で1分保持の後、6℃/分にて240℃まで昇温、そののち5分保持。
注入量:0.2μL
注入方法:スプリット
スプリット比:15:1
キャリアガス:He
線速度:30.442cm/秒
EI (−70eV)
Scan mode:(m/z 35−350)
SIM mode:(m/z 69, 93, 95)
組換えタンパク質Hl_TPS40096の反応生成物とモノテルペン標品の保持時間及びMSスペクトルの比較から、これらの生成物は、それぞれミルセン、リモネン、β−オシメン、リナロール、α−テルピネオール、ゲラニオールと同定された。さらにFPPと組換えタンパク質Hl_TPS40096との反応液中においても新たな生成物(RT16.666)が認められ(図8)、同様の方法によりトランス−β−ファルネッセンと同定された。これらの生成物ピークはネガティブコントロール(空ベクター区)では認められなかったため、組換えタンパク質Hl_TPS40096によって生成したことが確認できた。図2〜8に、各テルペン標品、組換えタンパク質Hl_TPS40096の反応生成物及びネガティブコントロールの反応生成物のGC/MS分析チャートを示す。
図2は、リナロール標品、及び、ネガティブコントロール(NC)又は組換えタンパク質Hl_TPS40096とGPPとの反応生成物のGC/MS分析チャートである。より詳細には、図2の(a)は、リナロール標品、NCとGPPとの反応生成物及び組換えタンパク質Hl_TPS40096とGPPとの反応生成物(リナロール)のGCチャートであり、(b)〜(d)は、(a)に示すRT14.852の各ピークのマススペクトル(MS)である((b):リナロール標品、(c):NCによる反応生成物、(d):組換えタンパク質Hl_TPS40096による反応生成物)。
実施例1と同様にして、ホップ雌花及び葉(品種:信州早生及びザーツ品種)由来cDNAを鋳型に、配列番号3及び4のプライマーセットを用いてPCRを行った。増幅された断片量の差から、これらの品種間における配列番号1の塩基配列を有するテルペン合成酵素遺伝子の発現量の相違を検出することができた。
Claims (21)
- 下記(a)〜(c)及び(e)〜(g)からなる群から選択される少なくとも一つのポリヌクレオチド。
(a)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)配列番号1の塩基配列において、1〜9個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号1の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(e)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(f)配列番号2のアミノ酸配列において、1〜9個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(g)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド - 前記テルペン合成活性が、モノテルペン合成活性を含む請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記テルペン合成活性が、モノテルペン合成活性及びセスキテルペン合成活性である請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチドからなることを特徴とするテルペン合成酵素遺伝子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクター。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド又は請求項5に記載の発現ベクターが導入された非ヒト宿主であることを特徴とする形質転換体。
- 前記非ヒト宿主が、植物体又はその部分である、請求項6に記載の形質転換体。
- 前記植物体又はその部分が、ホップの植物体又はその部分である、請求項7に記載の形質転換体。
- 非ヒト宿主に、請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド又は請求項5に記載の発現ベクターを導入する工程を含むことを特徴とする非ヒト宿主の芳香性の改変方法。
- 前記非ヒト宿主が、植物体又はその部分である、請求項9に記載の改変方法。
- 前記植物体又はその部分が、ホップの植物体又はその部分である、請求項10に記載の改変方法。
- さらに、前記ポリヌクレオチド又は前記発現ベクターが導入された前記非ヒト宿主を、生育させる工程を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の改変方法。
- 下記(A)〜(C)からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質。
(A)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列番号2のアミノ酸配列において、1〜9個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質
(C)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、テルペン合成活性を有するタンパク質 - 前記テルペン合成活性が、モノテルペン合成活性を含む請求項13に記載のタンパク質。
- 前記テルペン合成活性が、モノテルペン合成活性及びセスキテルペン合成活性である請求項13又は14に記載のタンパク質。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチドを発現させることにより、前記ポリヌクレオチドがコードするテルペン合成活性を有するタンパク質を合成するタンパク質合成工程を含むことを特徴とする、テルペン合成活性を有するタンパク質の製造方法。
- 請求項13〜15のいずれかに記載のタンパク質を使用し、前記タンパク質のテルペン合成活性により、テルペンを合成するテルペン合成工程を含むことを特徴とするテルペンの製造方法。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とするテルペンの製造方法。
- 植物における請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチドの発現量を測定する工程を含み、前記発現量を指標として、テルペン合成能が高い植物体を選別することを特徴とするテルペン合成能が高い植物体を選別する方法。
- 前記ポリヌクレオチドの発現量を複数の植物体間で比較して、前記発現量が多い植物体を選別する請求項19に記載の植物体を選別する方法。
- 前記植物が、ホップである請求項19又は20に記載の植物体を選別する方法。
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