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JP6900866B2 - 圧延スケジュール作成装置、圧延スケジュール作成方法、およびプログラム - Google Patents
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Description

本発明は、圧延スケジュール作成装置、圧延スケジュール作成方法、およびプログラムに関し、特に、タンデム圧延機で圧延される被圧延材の圧延スケジュールを作成するために用いて好適なものである。
タンデム圧延機で板材を圧延する際には、各圧延スタンドの出側の板形状を一定の範囲に収めつつ、最終段の圧延スタンド(最下流の圧延スタンド)の出側の板クラウンを製品の許容範囲に収めることが求められる。各圧延スタンドの入側および出側の板クラウン比率が大きく異なると、板材の板幅方向の各位置における伸び率の差によって、板形状が悪くなり、安定通板に支障をきたすこととなる。
このため、各圧延スタンドのクラウン・形状制御端を適切に設定することが必要となる。各圧延スタンドのクラウン・形状制御端として、例えば、ロールベンダが用いられる。ロールベンダでは、ワークロールのドライブサイドとワークサイドのそれぞれにロールベンディング力を付与する。これにより、板クラウンおよび形状(伸差率等)を制御することができる。
しかしながら、望ましい板クラウン・形状を実現する際に、各圧延スタンドのクラウン・形状制御端の制御能力が不足する場合がある。このような場合には、板厚スケジュール(各圧延スタンドの出側板厚のスケジュール)を変更することにより、各圧延スタンドの圧延荷重を変更して、望ましい板クラウン・形状に近づけることが可能である。このような技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、目標板クラウンおよび目標板形状にするためのロールベンディング力を求め、それがハードウェア制約条件を満足しない場合には、板厚修正値と、板クラウンおよび板形状についての評価関数を用い、制約条件下で目標板クラウンおよび目標板形状に近づけるための板厚修正量を求める方法が開示されている。ここで特許文献1では、以下の(1)式の評価関数φを用いる。
Figure 0006900866
(1)式において、C*は、目標板クラウンである。Cn 0は、最終段の圧延スタンドの出側における板クラウンである。Δhjは、圧延スタンドjの板厚修正値である。αhj iは、板厚修正値の、最終段の圧延スタンドの出側における板クラウンに対する影響係数である。尚、板厚修正量Δhjの最適解(評価関数φを最小にする板厚修正量Δhj)は2次計画法を用いて求めることができる。
特許第2888364号公報 特開昭59−76605号公報
日本鉄鋼協会共同研究会 圧延理論部会編、「板厚延の理論と実際」、社団法人日本鉄鋼協会、平成22年9月30日発行
ここで、(1)式の評価関数φは、以下の(2)式のように変形することができる。すなわち、(1)式の評価関数φは、板厚の修正による板クラウンの変化を考慮した、最終段の圧延スタンドの出側における板クラウンCnと、目標クラウンC*との差の二乗で表される。
Figure 0006900866
このように、特許文献1に記載の技術では、板クラウンの予測値と目標値の偏差のみを評価としている。このため、(1)式の評価関数φを用いて得られた板厚修正量Δhjの最適解が、操業上望ましい板厚修正量にならない可能性がある。さらに、ほぼ同一の圧延条件であっても、大きく異なる板厚スケジュールが得られる可能性がある。したがって、(1)式の評価関数φを用いて算出された板厚修正量Δhjから得られる板厚スケジュールが、過去の経験に基づく板厚スケジュールからかけ離れたものになる可能性がある。
このことが操業上、どのような影響を与えるのかを説明すると、まず、板厚スケジュールが変更されると、各圧延スタンドの圧下量が変わるために圧延荷重が変化する。また、各圧延スタンドの入側と出側のマスフロー(板厚と板幅と板速度の積)を一定にするためには、圧延速度を変更する必要が生じる。このような圧延荷重と圧延速度の変化によって圧延に伴う発熱量や冷却による抜熱量が変わるために、板温度も変化する。板温度が変化すると、材料の塑性特性の変化によって圧延荷重が変わることになる。これらの基本的な圧延条件の変更により、その他、様々な圧延条件も変わってくる。そうすると、これらの圧延条件の変化に合わせて各圧延スタンドの設定を修正する必要が生じ、その修正量が大きい場合、品質のばらつきを増大させる要因となる。さらに、オペレータは、今回のスケジュール対象の板材と同様の材料を圧延した際の過去の経験を元に、圧延スタンドの設定の修正を行って、圧延の安定や品質の確保を行う。しかしながら、過去の圧延時と圧延条件が大きく異なる場合にはその経験を生かすことができず、適切な修正を行うことが難しくなる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ほぼ同一の圧延条件から得られる板厚スケジュールや、過去の経験に基づく板厚スケジュールからかけ離れないような板厚スケジュールを基に適切な板クラウンおよび形状の制御を行うことができるようにすることを目的とする。
本発明の圧延スケジュール作成装置は、タンデム圧延機を構成する複数の圧延スタンドにおける板クラウン・形状制御端の操作によって変更される前記圧延スタンドの出側における板クラウンの量である板クラウン制御量と、前記圧延スタンドにおける出側板厚とを含む圧延スケジュールを作成する圧延スケジュール作成装置であって、最終段の前記圧延スタンドの出側における板クラウンの許容範囲または目標値を規定する第1の制約式と、前記圧延スタンドの出側における被圧延材の形状の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第2の制約式と、前記板クラウン制御量の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第3の制約式を含む制約式を設定する制約式設定手段と、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を小さくすることを目的とする評価関数を設定する評価関数設定手段と、前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数の値が最小または最大になるときの、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記複数の圧延スタンドにおける前記板クラウン制御量を数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する最適計算手段と、前記最適計算手段により導出された、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記理想板厚とに基づいて、前記圧延スタンドにおける出側板厚を板厚スケジュールとして作成する板厚スケジュール作成手段と、を有することを特徴とする。
本発明の圧延スケジュール作成方法は、タンデム圧延機を構成する複数の圧延スタンドにおける板クラウン・形状制御端の操作によって変更される前記圧延スタンドの出側における板クラウンの量である板クラウン制御量と、前記圧延スタンドにおける出側板厚とを含む圧延スケジュールを作成する圧延スケジュール作成方法であって、最終段の前記圧延スタンドの出側における板クラウンの許容範囲または目標値を規定する第1の制約式と、前記圧延スタンドの出側における被圧延材の形状の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第2の制約式と、前記板クラウン制御量の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第3の制約式を含む制約式を設定する制約式設定工程と、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を小さくすることを目的とする評価関数を設定する評価関数設定工程と、前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数の値が最小または最大になるときの、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記複数の圧延スタンドにおける前記板クラウン制御量を数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する最適計算工程と、前記最適計算工程により導出された、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記理想板厚とに基づいて、前記圧延スタンドの出側板厚を板厚スケジュールとして作成する板厚スケジュール作成工程と、を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記圧延スケジュール作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、ほぼ同一の圧延条件から得られる板厚スケジュールや、過去の経験に基づく板厚スケジュールからかけ離れないような板厚スケジュールを基に適切な板クラウンおよび形状の制御を行うことができる。
熱間圧延設備の概略構成の一例を示した図である。 圧延スタンドに作用する圧延荷重と、ワークロールに付与するロールベンディング力の方向の一例を概念的に示す図である。 圧延スケジュール作成装置の機能的な構成の第1の例を示す図である。 圧延スケジュール作成装置の処理の第1の例を説明するフローチャートである。 板クラウンと伸差率の一例を説明する図である。 圧延スケジュール作成装置の機能的な構成の第2の例を示す図である。 圧延スケジュール作成装置の処理の第2の例を説明するフローチャートである。 比較例1についての、急峻度とWRベンダ設定値を示す図である。 比較例2についての、急峻度とWRベンダ設定値を示す図である。 発明例についての、急峻度とWRベンダ設定値を示す図である。 各圧延スタンドにおける圧下率を示す図である。 制約条件緩和量を一次で評価した場合の、板クラウン、急峻度、およびWRベンダ設定値の一例を示す図である。 制約条件緩和量を二次で評価した場合の、板クラウン、急峻度、およびWRベンダ設定値の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。尚、各図では、表記の都合上、構成の一部を省略化及び簡略化している。また、各図に示すxyz座標は、方向を示すものであり、各図におけるxyz座標の原点は同じである(各図に示した位置にxyz座標の原点があるわけではない)。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
<熱間圧延設備の概略構成>
図1は、熱間圧延設備の概略構成の一例を示した図である。
図1において、熱間圧延設備は、粗圧延機10と、仕上圧延機20と、ランアウトテーブル30と、と、コイル巻き取り装置40と、を有する。
粗圧延機10は、図示しない加熱炉により加熱され、熱間圧延ラインに供給されたスラブAを粗圧延し、被圧延材であるシートバーBを形成するためのものである。
仕上圧延機20は、複数の圧延スタンド(図1に示す例では7台の圧延スタンドF1〜F7)によりシートバーBを連続的に仕上げ圧延し、ストリップCを形成するためのものである。
タンデム圧延機を構成する各圧延スタンドF1〜F7には、ロードセル21a〜21gと、油圧圧下機構22a〜22gと、ロールベンダ23a〜23gとが設けられている。
ロードセル21a〜21gは、シートバーBが圧延スタンドF1〜F7の上下のワークロールの間を通過して圧延されるときに生じる圧延荷重を測定する。
油圧圧下機構22a〜22gは、圧延スタンドF1〜F7により圧延される際のシートバーBの圧下位置を調整する。
尚、図1では、圧延スタンドF1〜F7の上側にロードセル21a〜21gが配置され、圧延スタンドF1〜F7の下側に油圧圧下機構22a〜22gが配置されている場合を例に挙げて示す。しかしながら、ロードセル21a〜21gと油圧圧下機構22a〜22gの配置は図1に示すものに限定されない。例えば、圧延スタンドF1〜F7の下側にロードセル21a〜21gが配置され、圧延スタンドF1〜F7の上側に油圧圧下機構22a〜22gが配置されてもよい。また、圧延スタンドF1〜F7の上側と下側の双方にロードセル21a〜21gが配置されていてもよい。
ロールベンダ23a〜23gは、ワークロールの端部の軸受(チョック)に対して、油圧シリンダによってロールベンディング力(ベンダ力、ベンダ圧ともいう)を付与し、ワークロールに生じているたわみを矯正する。本実施形態では、ロールベンダ23a〜23gがクラウン・形状制御端の一例である。
図2は、圧延スタンドF1〜F7に作用する圧延荷重と、ワークロールに付与するロールベンディング力の方向の一例を概念的に示す図である。
図2に示す白抜きの矢印線で示す方向が、圧延スタンドF1〜F7に作用する圧延荷重の方向である。また、黒両矢印線で示す方向が、ワークロールに付与するロールベンディング力の方向である。図2に示すように、ロールベンディング力は、ワークロールの両端のそれぞれにおいて付与される。このように、ワークロールの両端部のうち、図1に示すロールベンダ23a〜23gが設けられている側の端部とは反対側の端部にもロールベンダが設けられている。
ロールベンダ23a〜23gは、例えば、インクリーズベンダとディグリーズベンダとを有する。インクリーズベンダは、上下のワークロールの軸受間の距離を広げる方向にロールベンディング力(曲げ力)を付与する。ディクリーズベンダは、上下のワークロールの軸受間を狭める方向にロールベンディング力(曲げ力)を付与する。
この他、各圧延スタンドF1〜F7には、ロードリレーがそれぞれ設けられている。圧延スタンドF1〜F7に備わっているロードリレーは、シートバーBの先端が圧延スタンドF1〜F7に噛み込むとオンし、シートバーBの尾端が圧延スタンドF1〜F7から抜けるとオフする。
また、仕上圧延機20の各圧延スタンドF1〜F7のワークロールに近接する位置には、ワークロールを冷却する不図示の冷却スプレーが設けられている。
ランアウトテーブル30は、仕上圧延機20により仕上げ圧延されたストリップCを冷却するためのものである。
コイル巻き取り装置40は、一般にコイラーと称されるものであり、ランアウトテーブル30により冷却されたストリップCを巻き取るためのものである。
<圧延スケジュール作成装置300>
本実施形態の圧延スケジュール作成装置300は、このような熱間圧延設備で熱間圧延される被圧延材(シートバーB)の各圧延スタンドF1〜F6の出側板厚と、ロールベンダ23a〜23gで付与するロールベンディング力を、当該被圧延材の圧延前に導出する。
図3は、圧延スケジュール作成装置300の機能的な構成の一例を示す図である。圧延スケジュール作成装置300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。また、図4は、圧延スケジュール作成装置300の処理の一例を説明するフローチャートである。
[データ格納部301]
データ格納部301は、熱間圧延設備における操業実績データと設備データを記憶する。ここでは、各種の操業実績データおよび設備データのうち、後述する理想板厚スケジュール取得部303で理想板厚スケジュールを作成する際に使用する操業実績データおよび設備データを記憶する。
操業実績データは、例えば、各圧延スタンドF1〜F7のそれぞれについての、入側板厚、出側板厚、圧延荷重、板温度、および板速度(ワークロールの回転速度)を含む。これらのデータが材料区分(被圧延材の材質)毎に操業実績データとしてデータ格納部301により記憶される。また、設備データは、各圧延スタンドF1〜F7のそれぞれについての、ワークロールのロール径、ワークロールおよびバックアップロールに生じているクラウンを含む。
[操業基準取得部302、ステップS401]
操業基準取得部302は、クラウン・形状制御端における制御量の基準値を取得する。前述したように本実施形態では、クラウン・形状制御端はロールベンダ23a〜23gである。したがって、操業基準取得部302は、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値を取得する。各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値は、材料区分(被圧延材の材質)毎の値である。
操業基準取得部302は、例えば、過去の操業実績から得られる各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の代表値(例えば平均値)を、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値として取得することができる。この場合、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値は、固定値になる。
また、操業基準取得部302は、ロジックを用いて、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値を計算してもよい。例えば、特許文献2に記載のように、被圧延材の板形状の通板限界値を考慮して、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力(クラウン・形状制御端における制御量)を計算し、計算した値を、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値とすることができる。
尚、以下の説明では、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値を必要に応じて、ロールベンディング力の基準値または単に基準値と略称する。
[理想板厚スケジュール取得部303、ステップS402]
理想板厚スケジュール取得部303は、データ格納部301に記憶されている操業実績データおよび設備データと、操業基準取得部302により得られた各圧延スタンドFiにおけるロールベンディング力の基準値とを用いて、各圧延スタンドFiの望ましい出側板厚を示す理想板厚スケジュールh0iを導出する。理想板厚スケジュールh0iは、材料区分(被圧延材の材質)毎に導出される。ここで、添字iは、圧延スタンドを識別するための変数であり、圧延スタンドの総数をnとすると、1〜nの整数となり、上流側の圧延スタンドであるほど、小さな値が与えられる。図1に示す例では、7基の圧延スタンドF1〜F7があるので、圧延スタンドの総数nは7であり、圧延スタンドF1、F2、・・・、F7に対し、1、2、・・・、7が変数iの値としてそれぞれ与えられる。
理想板厚スケジュール取得部303は、例えば、データ格納部301に記憶されている操業実績データおよび設備データと、操業基準取得部302により得られた各圧延スタンドFiにおけるロールベンディング力の基準値とを用いて、各圧延スタンドFiにおける望ましい圧延荷重のバランス(例えば、最も大きな圧延荷重の値を「1」としたときの各圧延スタンドFiにおける望ましい圧延荷重の値)を求め、求めた圧延荷重のバランスに近い(望ましくは一致する)圧延荷重のバランスとなるときの、各圧延スタンドF1〜F7の出側板厚を、理想板厚スケジュールh0iとして材料区分毎に導出する。
尚、理想板厚スケジュール取得部303は、理想板厚スケジュールh0iを導出せずに、外部装置で導出された理想板厚スケジュールh0iを取得してもよい。また、理想板厚スケジュールh0iが過去の知見等が得られている場合には、その理想板厚スケジュールh0iを用いてもよい。
[モデルパラメータ導出部304、ステップS403]
モデルパラメータ導出部304は、理想板厚スケジュール取得部303で得られた理想板厚スケジュールh0iを各圧延スタンドFiの出側板厚hiとして、圧延モデルを用いて、基準圧延荷重P0iと、出側板厚hから圧延荷重Pへの影響係数(∂P/∂h)iと、入側板厚Hから圧延荷重Pへの影響係数(∂P/∂H)iとを導出する。
基準圧延荷重P0iは、熱間圧延設備に対して現在適用されている板厚スケジュール(板厚スケジュールを変更しない)で圧延する場合の各圧延スタンドFiの圧延荷重である。尚、ここで用いる圧延モデルは、例えば、非特許文献1に記載の技術を用いることにより構築することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
また、モデルパラメータ導出部304は、圧延モデルと、操業基準取得部302により得られた各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値とを用いて、基準板クラウンC0i、基準伸差率ε0iを導出する。基準板クラウンC0iは、圧延スタンドFiにおけるロールベンディング力が基準値である場合の板クラウンCiである。また、基準伸差率ε0iは、圧延スタンドFiにおけるロールベンディング力が基準値である場合の伸差率εiである。
尚、ここで用いる圧延モデルも、例えば、非特許文献1に記載の技術を用いることにより構築することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
図5は、板クラウンCi(図5(a))と伸差率εi(図5(b))の一例を説明する図である。
図5(a)は、被圧延材(シートバーB)を、その板厚方向に沿って切った断面を示す。
図5(a)において、板クラウンCiは板幅方向の中央における板厚hiから、クラウン定義点501における板厚diを減算した値(=hi−di)である。板クラウンCiを板幅方向の中央における板厚hiで割った値(=Ci/hi)が板クラウン比率になる。クラウン定義点501は、板幅方向(x軸方向)の板端側の位置(板幅方向の端部からXmmの位置(Xは0以上の値))である。
図5(b)は、被圧延材(シートバーB)を仮想的に板の長手方向(y軸方向)に基準長さLだけ切り出したものを、y軸に沿って細く裁断し(図5(b)の点線)、z軸方向に表れる板波をx−y平面上に伸ばしたイメージを描いたものである。被圧延材(シートバーB)の板形状は板長さが板幅方向で異なることに起因するので、図5(b)では板形状が長手方向(y軸方向)の伸び差Δlとして表現され、伸差率εiは、伸び差Δlを基準長さLで割った値(=Δl/L)である。図5(b)に示すように被圧延材(シートバーB)が耳波である場合、クラウン定義点501における板長さは、被圧延材(シートバーB)の板幅方向の中央の位置における板長さより長く、伸び差Δlはその差である。一方、被圧延材(シートバーB)が中伸びである場合、クラウン定義点501における板長さは、被圧延材(シートバーB)の板幅方向の中央の位置における板長さより短く、伸び差Δlはその差である。尚、図5(b)に示すように被圧延材(シートバーB)が耳波である場合、伸び差Δlは正の値を示す。一方、被圧延材(シートバーB)が中伸びである場合、伸び差Δlは負の値を示す。基準長さLを計測する板幅方向(x軸方向)の位置は、被圧延材(シートバーB)の板長さが最も短くなる位置であるが、実際の伸び差Δlは基準長さLに比べて十分小さいので、伸差率εiには基準長さLを計測する幅方向の位置はほとんど影響しない。
図3の説明に戻り、モデルパラメータ導出部304は、圧延モデルを用いて、クラウン比率遺伝係数ηi、形状変化係数ξi、および圧延荷重Pから板クラウンCへの影響係数(∂Ci/∂Pi)を導出する。
尚、ここで用いる圧延モデルも、例えば、非特許文献1に記載の技術を用いることにより構築することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以下の説明では、モデルパラメータ導出部304で導出されるパラメータを総称する場合、必要に応じて、モデルパラメータと称する。
[制約式・評価関数設定部305、ステップS404]
制約式・評価関数設定部305は、モデルパラメータ導出部304で導出されたモデルパラメータ等を用いて制約式および評価関数を設定する。以下に、本実施形態で使用する制約式および評価関数について説明する。
[[モデル式]]
まず、モデル式について説明する。
圧延機による板厚延による板クラウンCi・伸差率εiは、以下の(3)式〜(5)式のモデル式で表現される。
Figure 0006900866
ここで、Ci、Ci-1は、それぞれ圧延スタンドFi、Fi−1の出側における板クラウンである。C0i、C0i-1、それぞれ圧延スタンドFi、Fi−1の出側における基準板クラウンC0iである。ηiは、圧延スタンドFiにおけるクラウン比率遺伝係数である。hi、hi-1は、それぞれ圧延スタンドFi、Fi−1における板幅方向の中央における出側板厚である。yiは、基準板クラウンC0iに対しクラウン・形状制御端(ロールベンダ23a〜23g)の操作によって変更させる板クラウン量である。以下の説明では、この板クラウン量を必要に応じて板クラウン制御量と称する。
εi、εi-1は、それぞれ圧延スタンドFi、Fi−1の出側における伸差率である。ε0i-1は、圧延スタンドFi−1の出側における基準伸差率ε0i-1である。ξiは、圧延スタンドFiにおける形状変化係数である。λiは、圧延スタンドFiの出側における急峻度である。急峻度は、伸び差によって被圧延材に発生する波の高さをその波のピッチで割った値である。
以上のモデル式の式変形を行うと、以下の(6)式〜(9)式に示すように、板クラウンCi・伸差率εiは、板クラウン制御量yiに関する線形式で表現される。
Figure 0006900866
αi,j(αi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)における板クラウン制御量yj(yk)の、圧延スタンドFiの出側における板クラウンに対する影響係数である。すなわち、αi,j(αi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)の板クラウン・形状制御端(ロールベンダ)に対する操作が、圧延スタンドFiの出側における板クラウンにどの程度影響を与えるかを示す係数である。
また、βi,j(βi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)における板クラウン制御量yj(yk)の、圧延スタンドFiの出側における伸差率に対する影響係数である。すなわち、βi,j(βi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)の板クラウン・形状制御端(ロールベンダ)に対する操作が、圧延スタンドFiの出側における伸差率にどの程度影響を与えるかを示す係数である。
圧延スタンドFiが圧延スタンドFjよりも上流側にある場合、圧延スタンドFjの板クラウン・形状制御端(ロールベンダ)を操作しても、圧延スタンドFiの出側における板クラウン・伸差率には影響を与えない。したがって、(8)式、(9)式に示すように、i<jのとき、αi,j、βi,jは0(ゼロ)になる。また、圧延スタンドFiの出側における板クラウン制御量yiは、そのまま圧延スタンドFiに適用される。したがって、(8)式、(9)に示すように、i=jのとき、αi,jは1になり、βi,jはξi/hiになる。
(6)式は、圧延スタンドFiの出側における板クラウンCiは、圧延スタンドFiの出側における基準板クラウンC0iと、各圧延スタンドFjの板クラウン・形状制御端の操作に起因して圧延スタンドFiの出側において生じる板クラウンの変化量とを加算した値であることを示す。
(7)式は、圧延スタンドFiの出側における伸差率εiは、圧延スタンドFiの出側における基準伸差率ε0iと、各圧延スタンドFjの板クラウン・形状制御端の操作に起因して圧延スタンドFiの出側において得られる伸差率の変化量とを加算した値であることを示す。
各圧延スタンドFiの出側板厚hiを制御量に加えるため、(6)式〜(9)式を以下の(10)式〜(15)式に拡張する。
Figure 0006900866
ここで、Δhi(Δhk)は、圧延スタンドFiの出側板厚の修正量である。P0iは、圧延スタンドFiにおける基準圧延荷重P0iである。(∂P/∂h)iは、圧延スタンドFiにおける、出側板厚hから圧延荷重Pへの影響係数である。(∂P/∂H)iは、圧延スタンドFiにおける、入側板厚Hから圧延荷重Pへの影響係数である。(∂Ci/∂Pi)は、圧延スタンドFiにおける、圧延荷重Pから板クラウンCへの影響係数である。
(10)式の右辺第3項、(11)式の右辺第3項、および(12)式の右辺第2項において、積算する範囲がk=1〜n−1となっているのは、最終段の圧延スタンドFnの出側板厚hnは、製品の板厚であるため変更できないので、修正可能なのは、それ以外の圧延スタンドF1〜Fn-1の出側板厚h1〜hn-1だからである。
φi,kは、圧延スタンドFkの出側板厚の変更による、圧延スタンドFiの出側における板クラウンへの影響の程度を示す影響係数である。μi,kは、圧延スタンドFkの出側板厚の変更による、圧延スタンドFiの伸差率への影響の程度を示す影響係数である。
(10)式の右辺第3項は、最終段の圧延スタンドFnを除く各圧延スタンドFkの出側板厚の変更に起因して圧延スタンドFiの出側において生じる板クラウンの変化量を示す。
(11)式の右辺第3項は、最終段の圧延スタンドFnを除く各圧延スタンドFkの出側板厚の変更に起因して圧延スタンドFiの出側において得られる伸差率の変化量を示す。
[[制約式]]
次に、制約式について説明する。圧延スタンドのハードウェアによる制約や、操業上の制約から求められる制約条件は、制約条件式(制約式)として表現される。本実施形態では、以下の制約式を用いる。
まず、圧延スタンドFiのクラウン・形状制御端(ロールベンダ)の制御能力に関する制約式は、板クラウン制御量yiの値の範囲として、以下の(16)式のように表現される。
Figure 0006900866
圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量yiの上限値ymax,iおよび下限値ymin,iは、圧延スタンドFiのクラウン・形状制御端(ロールベンダ)の制御能力に基づいて圧延モデルによって得ることができる。ここで用いる圧延モデルも、例えば、非特許文献1に記載の技術を用いることにより構築することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量yiの上限値ymax,iおよび下限値ymin,iについて過去の知見等が得られている場合には、その値を用いてもよい。
また、操業上求められる形状(伸差率)に関する制約は、以下の(17)式のように表現される。
Figure 0006900866
圧延スタンドFiの出側における伸差率εiの上限値εmax,iおよび下限値εmin,iは、被圧延材の材質やサイズ毎の伸差率の調査等による過去の知見等に基づいて得ることができる。
圧延スタンドFiの出側における伸差率εiは、(11)式により得られるものである。
また、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに関する制約は、以下の(18)式または(19)式のように表現される。
Figure 0006900866
(18)式は、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その目標値Caim,nが与えられている場合の制約式である。(19)式は、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その許容範囲(上限値Cmax,nおよび下限値Cmin,n)が与えられている場合の制約式である。
最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnは、(10)式により得られるものである。
制約式・評価関数設定部305は、圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量yiの上限値ymax,iおよび下限値ymin,iを(16)式に対して設定する。
また、制約式・評価関数設定部305は、圧延スタンドFiの出側における伸差率εiの上限値εmax,iおよび下限値εmin,iを(17)式に対して設定する。
最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その目標値Caim,nが与えられている場合、制約式・評価関数設定部305は、目標値Caim,nを(18)式に設定する。一方、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その許容範囲(上限値Cmax,nおよび下限値Cmin,n)が与えられている場合、制約式・評価関数設定部305は、上限値Cmax,nおよび下限値Cmin,nを(19)式に設定する。
その他、制約式・評価関数設定部305は、モデルパラメータ導出部304により導出されたモデルパラメータ、および圧延スタンドFkの総数(図1に示す例では7)を(8)式、(9)式、(13)式〜(15)式に設定する。また、制約式・評価関数設定部305は、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkとして理想板厚スケジュールh0kを、(8)式、(9)式に設定する。
[[評価関数]]
次に、評価関数について説明する。操業上望ましい板厚スケジュールを表現するための評価関数を定義する。本実施形態では、以下の(20)式の評価関数を用いる。
Figure 0006900866
(20)式の評価関数Jは、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを小さくすることを目的とする評価関数である。ここでは、その一例として、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを直接評価する。
ここで、上流側であるほど被圧延材の板厚は厚いので、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkは、上流側の圧延スタンドFkであるほど大きくなる場合が多い。そこで、それぞれの圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを同じように評価するため、(20)式では、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkの、理想板厚スケジュールh0kに対する比の絶対値を用いる。尚、前述したように、最終段の圧延スタンドFnの出側板厚は変更できないので、積算する範囲はk=1〜n−1になる。
制約式・評価関数設定部305は、モデルパラメータ導出部304により導出されたモデルパラメータ、圧延スタンドFkの総数n(図1に示す例では7)、理想板厚スケジュールh0kを(20)式に設定する。
[最適計算部306、ステップS405]
最適計算部306は、制約式・評価関数設定部305で設定された(16)式と、(17)式と、(18)式または(19)式を満足する範囲で、制約式・評価関数設定部305で設定された(20)式の評価関数Jの値が最小になるときの、圧延スタンドFkにおける板クラウン制御量ykと、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する。制約式は、線形の等式または不等式で表現され、評価関数は、線形式で表現される。したがって、板クラウン制御量ykと出側板厚の修正量Δhkとを決定変数とした線形計画法により、最適化計算を行うことができる。線形計画法による最適化計算は、公知のソルバーを用いることにより実現することができる。
[板厚スケジュール作成部307、ステップS406]
板厚スケジュール作成部307は、最適計算部306で導出された各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを、各圧延スタンドFk(k=1〜n−1)の出側板厚hkとして理想板厚スケジュールh0kに加算したものを板厚スケジュールとする。また、板厚スケジュール作成部307は、最終段の圧延スタンドFnの出側板厚hnとして、製品の板厚を板厚スケジュールに含める。
[出力部308、ステップS407]
出力部308は、板厚スケジュール作成部307で作成された板厚スケジュールと、最適計算部306で導出された各圧延スタンドFi(i=1〜n)における板クラウン制御量yiとを含む圧延スケジュールを作成して出力する。
また、出力部308は、最適計算部306で導出された各圧延スタンドFi(i=1〜n)における板クラウン制御量yiと、ロールベンディング力の変更による板クラウンへの影響の程度を示す影響係数とに基づいて、各圧延スタンドF1〜Fnにおけるロールベンディング力を導出し、各圧延スタンドF1〜Fnにおけるロールベンディング力を圧延スケジュールに含めて出力してもよい。
圧延スケジュールの出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示を行い、それを参照したオペレータが各圧延スタンドの圧下装置およびロールベンディング力を調整してもよいし、圧延スケジュール作成装置300から直接、各圧延スタンドの圧下装置およびロールベンディング力の制御装置の設定値として、板厚スケジュールおよびロールベンディング力を出力してもよい。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、各圧延スタンドFiの出側における板クラウン制御量yiおよび伸差率εiに関する制約式と、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに関する制約式を満足する範囲で、圧延スタンドFkの出側板厚の理想板厚スケジュールh0kからのずれ量を小さくすることを目的とする評価関数Jの値を最小化するときの、各圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量yiと、最終段を除く各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを導出する。したがって、各圧延スタンドF1〜Fnのクラウン・形状制御端(ロールベンダ)の制御能力が不足する場合に、圧延スタンドF1〜Fn−1の出側板厚の修正を必要最小限にする板厚スケジュールを作成することができる。これにより、ほぼ同一の圧延条件であれば比較的近い板厚スケジュールが得られる。また、同様の材質の被圧延材に対する過去の板厚スケジュールからかけ離れた板厚スケジュールが作成されることを抑制することができる。また、各圧延スタンドF1〜Fn−1の板厚修正量Δhkを一意に決めることができるので、操業に資する板厚スケジュールを作成することができる。よって、ほぼ同一の圧延条件から得られる板厚スケジュールや、過去の経験に基づく板厚スケジュールからかけ離れないような板厚スケジュールを基に適切な板クラウンCiおよび伸差率εiの制御を行うことが可能になる。
<変形例>
[[変形例1]]
本実施形態で説明した最適化計算による解を得られやすくするために、以下のようにしてもよい。
すなわち、制約式としては、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その目標値Caim,nが与えられている場合には(18)式に代えて以下の(21)式を、また、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その許容範囲(上限値Cmax,nおよび下限値Cmin,n)が与えられている場合には、(19)式に代えて(22)式を採用し、評価関数としては、(20)式に代えて、以下の(23)式を採用してもよい。
Figure 0006900866
(21)式〜(23)式にあるδcは、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対する制約式の制約条件緩和量である。制約条件緩和量δcは0または正の値を持つ変数であり、δc>0の場合には(18)式および(19)式の制約式の上下限の範囲を広げ、(16)式および(17)式と、(18)式または(19)式を満足する解の範囲を広げ、解を得られやすくする効果がある。
本変形例では、(23)式に示すように、制約条件緩和量δcを評価関数Jに含めることにより、制約条件緩和量δcが必要以上に大きな値にならないようにする。各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhk(圧延スタンドFkの出側板厚の理想板厚スケジュールh0kからのずれ量)を小さくする場合には、制約条件緩和量δcを大きくする必要があるので、これらはトレードオフの関係にある。(23)式の評価関数Jの第2項のwδcは、このトレードオフを調整する重み係数であり、制約条件緩和量δcの、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhk(圧延スタンドFkの出側板厚の、理想板厚スケジュールh0kからのずれ量)に対するバランスを表す。すなわち、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhk(圧延スタンドFkの出側板厚の理想板厚スケジュールh0kからのずれ量)を小さくすることよりも、制約条件を満足させることを優先させる場合には、重み係数wδcの値を大きくする。
本変形例では、制約式・評価関数設定部305は、モデルパラメータ導出部304により導出されたモデルパラメータ、圧延スタンドFkの総数n(図1に示す例では7)に加えて、重み係数wδcを設定する。
[[変形例2]]
また、変形例1で説明した最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンに対する制約条件緩和量δcに代えて、各圧延スタンドF1〜Fnの出側における伸差率(形状)に対する制約条件緩和量δεを用いてもよい。このようにする場合、制約式としては、(17)式に代えて、以下の(24)式を採用し、(18)式または(19)式はそのまま用いる。評価関数としては、(20)式に代えて以下の(25)式を採用する。
Figure 0006900866
[[変形例3]]
また、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンに対する制約条件緩和量δcと、各圧延スタンドF1〜Fnの出側における伸差率(形状)に対する制約条件緩和量δεとの双方を用いてもよい。本変形例では、制約式としては、(17)式に代えて、(24)式を採用し、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その目標値Caim,nが与えられている場合には(18)式に代えて(21)式を、また、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対して、その許容範囲(上限値Cmax,nおよび下限値Cmin,n)が与えられている場合には、(19)式に代えて(22)式を採用する。評価関数としては、(20)式に代えて、以下の(26)式を採用する。
Figure 0006900866
[[変形例4]]
また、板クラウンと伸差率(形状)以外の制約条件として、板クラウン制御量yiと出側板厚の修正量Δhkとの少なくとも何れか一方を用いた線形式で表される物理量gに関する制約式として、例えば、以下の(27)式または(28)式の制約式を追加すると共に、(28)式の制約式を追加する場合には、(20)式に代えて、例えば、(29)式を採用してもよい。(27)式、(28)式において、bは、物理量gに対する制約値である。(28)式、(29)式において、δgは、物理量gに対する制約条件緩和量である。物理量gとしては、例えば、(12)式に示す圧延荷重Piが挙げられる。
Figure 0006900866
[[変形例5]]
変形例1〜4に示した(23)式、(25)式、(26)式、(29)式の評価関数Jでは、評価関数Jの値が、制約条件緩和量δc、δε、δgに対し線形で変化する。線形計画法の一般的な性質として、最適解はすべての制約条件を満足する実行可能領域の境界上に存在するため、変形例1〜4に示した評価関数Jでは、制約条件緩和量δc、δε、δgが0(ゼロ)である解が存在すれば、その解が得られやすくなる。
しかしながら、圧延スタンドFiのクラウン・形状制御端(ロールベンダ)の制御能力(すなわち、圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量yi)が、その上下限値のぎりぎりである場合には、制約条件緩和量δc、δε、δc、δgが0(ゼロ)となる解が存在していても、制約条件緩和量δc、δε、δgを0(ゼロ)よりも僅かに大きい値にした方が、クラウン・形状制御端の制御能力に余裕のある望ましい解が得られる場合がある。
さらに、板クラウンCi、伸差率εiの計算値には、モデル式(例えば(10)式〜(15)式)の予測誤差が含まれる。したがって、制約条件緩和量δc、δε、δgを0(ゼロ)にすることと、制約条件緩和量δc、δε、δgを0(ゼロ)よりも僅かに大きくして本来の制約範囲から僅かに外れるようにすることとには、板クラウンCi、伸差率εiを望ましい値にするという点では実質的な違いがない場合が多い。
以上のような観点から、本変形例では、制約条件緩和量δc、δε、δgの二乗の項を評価関数Jに含めることにより、制約条件緩和量δc、δε、δgが、0(ゼロ)よりも僅かに大きい値(前述したモデル式の予測誤差に満たない程度(例えば1[μm]未満)の値))をとりやすくする。すなわち、本変形例では、(23)式に代えて、以下の(30)式を、(25)式に代えて、以下の(31)式を、(26)式に代えて、以下の(32)式を、(29)式に代えて、以下の(33)式をそれぞれ採用する。尚、このようにする場合には、線形計画法ではなく、例えば、二次計画法により最適化計算を行う。
Figure 0006900866
このようにすることによって、例えば、板クラウンCnに対する制約((21)式または(22)式)に於いて制約条件緩和量δcを0(ゼロ)にする解を選択することにより、(24)式において伸差率εiが上下限値ぎりぎりになったり、相互に隣接する圧延スタンド間における板クラウン制御量yiの差が大きくなったりすることを抑制することができる。したがって、板クラウンCn、伸差率εi、およびロールベンダに対する設定値のバランスを改善させることができる。
[[変形例6]]
本実施形態では、評価関数Jの値を最小化する最適化問題とする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、評価関数Jの右辺の各項に(−1)を乗算することにより、評価関数Jの値を最大化する最適化問題としてもよい。
[[変形例7]]
本実施形態では、評価関数Jにおいて、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkの絶対値を求める場合を例に挙げて説明した。しかしながら、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを小さくすることを目的とする評価関数Jを構築していれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、(20)式の評価関数Jの第1項の絶対値を二乗に置き換えてもよい(すなわち、|Δhk/h0k|を[Δhk/h0k]2にしてもよい)。この場合には、線形計画法ではなく、例えば、二次計画法により最適化計算を行う。
[[変形例8]]
本実施形態では、被圧延材の形状として伸差率を用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、被圧延材の形状は伸差率に限定されない。例えば、(5)式で表される急峻度を用いてもよい。
[[変形例9]]
本実施形態では、クラウン・形状制御端における制御量がロールベンディング力である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、クラウン・形状制御端における制御量はロールベンディング力に限定されない。例えば、圧延スタンドがペアクロスミルである場合、上下のワークロールとバックアップロールをペアでクロスさせる角度を、クラウン・形状制御端における制御量としてもよい。また、圧延スタンドがワークロールシフト機構を有するミルである場合、上下のワークロールのシフト量を、クラウン・形状制御端における制御量としてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。(13)式に示すように、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正の影響は線形ではない。そこで、本実施形態では、板厚スケジュール作成部307で作成された板厚スケジュールを構成する各圧延スタンドFkの出側板厚を、各圧延スタンドFkの新たな出側板厚hkとして、モデルパラメータの導出と最適化計算の実行と板厚スケジュールの作成と板クラウン制御量yiの導出とを所定の収束条件が満足するまで繰り返し行うことにより、圧延スケジュールの精度をより向上させる。このように本実施形態は、第1の実施形態に対し、繰り返し計算を行うようにした点が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図6は、本実施形態の圧延スケジュール作成装置600の機能的な構成の一例を示す図である。また、図7は、本実施形態の圧延スケジュール作成装置600の処理の一例を説明するフローチャートである。図7のフローチャートを参照しながら、本実施形態の圧延スケジュール作成装置600について説明する。
まず、ステップS701において、操業基準取得部302は、各圧延スタンドF1〜F7におけるロールベンディング力の基準値を取得する。ステップS701の処理は、第1の実施形態で説明したステップS401と同じである。
次に、ステップS702において、理想板厚スケジュール取得部303は、理想板厚スケジュールh0iを導出する。ステップS702の処理は、第1の実施形態で説明したステップS402と同じである。
次に、ステップS703において、モデルパラメータ導出部601は、モデルパラメータを導出する。ステップS703の1回目の処理は、第1の実施形態で説明したステップS403と同じである。2回目以降の処理では、モデルパラメータ導出部601は、理想板厚スケジュールh0iではなく、後述するステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(を構成する各圧延スタンドFkの出側板厚hk)を各圧延スタンドFiの出側板厚hiとして、圧延モデルを用いて、基準圧延荷重P0iと、出側板厚hから圧延荷重Pへの影響係数(∂P/∂h)iと、入側板厚Hから圧延荷重Pへの影響係数(∂P/∂H)iとを導出する。
次に、ステップS704において、制約式・評価関数設定部602は、モデルパラメータ導出部304で導出されたモデルパラメータ等を用いて制約式および評価関数を設定する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した評価関数Jおよび制約式を用いる。すなわち、評価関数Jとして、(20)式の評価関数Jを用いる。また、(16)式と、(17)式と、(18)式または(19)式の制約式を用いる。
ステップS704の1回目の処理では、制約式・評価関数設定部602は、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkとして理想板厚スケジュールh0kを(8)式、(9)式に設定するとともに、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δh k として理想板厚スケジュールh0 k からの修正量Δh k を(20)式に設定する。2回目以降の処理では、制約式・評価関数設定部602は、(8)式、(9)式については、理想板厚スケジュールh0 k ではなく、後述するステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(を構成する各圧延スタンドF1〜Fnの出側板厚h k )を設定するとともに、(20)式については、理想板厚スケジュールh0k からの修正量Δh k ではなく、後述するステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(を構成する各圧延スタンドF1〜Fnの出側板厚hkからの修正量Δh k を設定する。その他のステップS704の処理は、第1の実施形態で説明したステップS404と同じである。
次に、ステップS705において、最適計算部306は、ステップS704で設定された制約式を満足する範囲で、同じくステップS704で設定された評価関数Jの値が最小になるときの、圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量yiと、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する。ステップS705の処理は、第1の実施形態で説明したステップS405と同じである。
次に、ステップS706において、板厚スケジュール作成部603は、板厚スケジュールを作成する。ステップS706の1回目の処理は、第1の実施形態で説明したステップS406と同じである。すなわち、板厚スケジュール作成部603は、ステップS705で導出された各圧延スタンドF1〜Fn−1の出側板厚の修正量Δhkを理想板厚スケジュールh0kに加算したものを板厚スケジュールとする。2回目以降の処理では、板厚スケジュール作成部603は、ステップS705で導出された各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを、理想板厚スケジュールh0kではなく、後述するステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(を構成する各圧延スタンドFkの出側板厚hk)に加算したものを板厚スケジュールとする。
次に、ステップS707において、収束判定部604は、最適計算部306による最適化計算に対する収束条件を満足するか否かを判定する。収束条件としては、最適化計算に対する収束条件として用いられる公知の条件を採用することができる。例えば、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkの今回の値と前回の値との差の絶対値が閾値以下である場合に収束条件を満たすと判定する。また、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkの今回の値と前回の値との差の絶対値が閾値以下でなくても、収束条件の判定回数が所定値になった場合には収束条件を満たすと判定することができる。
この判定の結果、収束条件を満たす場合には、ステップS708に進む。ステップS708に進むと、出力部605は、収束条件を満たしたときに板厚スケジュール作成部603で作成された板厚スケジュールと、収束条件を満足したときの板クラウン制御量yiとを含む圧延スケジュールを作成して出力する。そして、図7のフローチャートによる処理を終了する。
一方、収束条件を満たさない場合には、ステップS709に進む。ステップS709に進むと、収束判定部604は、モデルパラメータ導出部601、制約式・評価関数設定部602、および板厚スケジュール作成部603で使用する板厚スケジュールを、(直前の)ステップS706で作成された板厚スケジュールに変更する。そして、前述したステップS703に戻る。
以上のように本実施形態では、収束条件を満たすまで圧延スケジュール(板クラウン制御量yiおよび板厚スケジュール)を更新する。したがって、第1の実施形態で説明した効果に加え、圧延スケジュール(板厚スケジュールおよび板クラウン制御量yi)を、より正確に導出することができる。
尚、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第2の実施形態では、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを小さくすることを目的とする評価関数Jとして、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkそのものを小さくすることを目的とする評価関数を用いる場合を例に挙げて説明した((20)式を参照)。しかしながら、被圧延材を安定して通板させるためには、各圧延スタンドFkの出側板厚を理想板厚スケジュールh0kになるべく近づけるのが好ましい。そこで、本実施形態では、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを小さくすることを目的とする評価関数Jとして、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkそのものではなく、圧延スタンドFkの出側板厚(=hk+Δhk)の、理想板厚スケジュールh0k(圧延スタンドFkの望ましい出側板厚)からのずれ量を小さくすることを目的とする評価関数を用いる。このように本実施形態と第2の実施形態は、評価関数Jが主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1〜第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図7に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第2の実施形態で説明した図7のフローチャートのステップS704において、制約式・評価関数設定部602は、評価関数Jとして、(20)式ではなく、以下の(34)式の評価関数を設定する。
Figure 0006900866
(34)式の評価関数Jは、(20)式と同様、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを小さくすることを目的とする評価関数である。ただし、(34)式は、その一例として、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkそのものではなく、各圧延スタンドFkの出側板厚(=hk+Δhk)の、理想板厚スケジュールh0k(圧延スタンドFkの望ましい出側板厚)からのずれ量を小さくすることを目的とする評価関数である。
ここで、上流側であるほど被圧延材の板厚は厚いので、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkは、上流側の圧延スタンドFkであるほど大きくなる場合が多い。そこで、それぞれの圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを同じように評価するため、(34)式でも、(20)式と同様に、圧延スタンドFkの出側板厚の理想板厚スケジュールh0kからのずれ量の、理想板厚スケジュールh0kに対する比の絶対値を用いる。
テップS704の1回目の処理では、制約式・評価関数設定部602は、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkとして、(34)式(の分子のhk)に、理想板厚スケジュールh0kを設定する。また、(34)式中のΔh k は、理想板厚スケジュールh0 k からの修正量である。したがって、1回目の処理においては、(20)式と(34)式とは同じ値となる。一方、2回目以降の処理では、制約式・評価関数設定部602は、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkとして、理想板厚スケジュールh0kではなく、ステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(を構成する各圧延スタンドF1〜Fnの出側板厚hk)を(34)式(の分子のhk)に設定する。ここで、(34)式中のΔh k は、後述するステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュールからの修正量である。
また、第2の実施形態と同じく、ステップS706の1回目の処理では、板厚スケジュール作成部603は、ステップS705で導出された各圧延スタンドF1〜Fn−1の出側板厚の修正量Δhkを理想板厚スケジュールh0kに加算したものを板厚スケジュールとする。一方、2回目以降の処理では、板厚スケジュール作成部603は、ステップS705で導出された各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを、理想板厚スケジュールh0kではなく、ステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(を構成する各圧延スタンドFkの出側板厚hk)に加算したものを板厚スケジュールとする。
以上のように本実施形態では、各圧延スタンドFkの出側板厚(=hk+Δhk)の、理想板厚スケジュールh0kからのずれ量を小さくするようにした。したがって、第1、第2の実施形態で説明した効果に加え、被圧延材をより安定して通板できるように、圧延スケジュール(板厚スケジュールおよび板クラウン制御量yi)を導出することができる。
尚、本実施形態でも、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。例えば、変形例1〜8のように(34)式の評価関数Jを変形することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第2の実施形態では、それぞれの圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを同じように評価するため、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkの、理想板厚スケジュールh0kに対する比の絶対値を用いて評価関数Jを表現する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、理想板厚スケジュールh0kを評価関数Jに含めずに、圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkの、圧延スタンドFkの出側板厚hkに対する比の絶対値を用いて評価関数Jを表現する。第3の実施形態ではなく第2の実施形態を用いる方が良いのは、理想板厚スケジュール取得部303で導出された理想板厚スケジュールが必ずしも安定通板上望ましいとは限らず、理想板厚スケジュールh0kからのずれ量を小さくすることが重視されないケースが存在する為と言える。従って、その様な場合に、評価関数Jの分母に対しても、第2の実施形態で用いた理想板厚スケジュールh0kの代わりに、圧延スタンドFkの出側板厚hkを用いようというのがその意図である。このように本実施形態と第2の実施形態は、評価関数Jの内容の一部が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1、第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図7等に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第2の実施形態で説明した図7のフローチャートのステップS704において、制約式・評価関数設定部602は、評価関数Jとして、(20)式ではなく、以下の(35)式の評価関数を設定する。
Figure 0006900866
(35)式の評価関数Jは、(20)式と同様、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを小さくすることを目的とする評価関数である。ただし、(35)式では、それぞれの圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを同じように評価するため、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkで、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを除算する。
テップS704の1回目の処理では、制約式・評価関数設定部602は、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkとして、(35)式(の分母のhk)に、理想板厚スケジュールh0kを設定する。また、(35)式中のΔh k は、理想板厚スケジュールh0 k からの修正量である。したがって、1回目の処理においては、(20)式と(35)式とは同じ値となる。尚、ステップS704の1回目の処理では、第3の実施形態で説明した(34)式についても、(20)式および(35)式と同じ値になる。一方、2回目以降の処理では、制約式・評価関数設定部602は、板厚スケジュールにおける各圧延スタンドFkの出側板厚hkとして、(35)式(の分母のhk)に、理想板厚スケジュールh0kではなく、ステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(における各圧延スタンドF1〜Fnの出側板厚hk)を設定する。ここで、(35)式中のΔh k は、後述するステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュールからの修正量である。
また、第2の実施形態と同じく、ステップS706の1回目の処理では、板厚スケジュール作成部603は、ステップS705で導出された各圧延スタンドF1〜Fn−1の出側板厚の修正量Δhkを理想板厚スケジュールh0kに加算したものを板厚スケジュールとする。一方、2回目以降の処理では、板厚スケジュール作成部603は、ステップS705で導出された各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを、理想板厚スケジュールh0kではなく、ステップS709で作成された(最新の)板厚スケジュール(における各圧延スタンドFkの出側板厚hk)に加算したものを板厚スケジュールとする。
以上のようにしても第2の実施形態で説明したのと同様の効果が得られる。
尚、本実施形態においても、第1、第2の実施形態で説明した変形例を採用することができる。例えば、変形例1〜8のように(35)式の評価関数Jを変形することができる。
また、第2、第3、第4の実施形態で説明したように収束計算を行えば、圧延スケジュール(板厚スケジュールおよび板クラウン制御量yi)の精度をより向上させることができるので好ましい。ただし、第3の実施形態で説明した(34)式の評価関数J、または、第4の実施形態で説明した(35)式の評価関数Jを、第1の実施形態で説明した(20)式の評価関数Jに代えて用い、第1の実施形態で説明したように、収束計算を行わずに、圧延スケジュール(板厚スケジュールおよび板クラウン制御量yi)を導出してもよい。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
<実施例1>
まず、第3の実施形態で説明した手法において、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正を行わないものとして、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度とロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を比較例1として導出した。ただし、ここでは、以下の(36)式に示すように、(34)式の右辺に、第1の実施形態の変形例1に示した(23)式の右辺第2項「Wδcδc」を加算したものを評価関数Jとして用いる。この場合、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正量Δhkを0(ゼロ)とするので、(34)式の評価関数Jの第1項の値は0(ゼロ)になる(すなわち、J=wδcδcになる)。
Figure 0006900866
図8は、このような比較例1についての、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度とロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す図である。尚、急峻度は(5)式により求められ、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)は、ロールベンディング力に対応する。
図8(a)において、破線801、802は、それぞれ、急峻度の上限値、下限値を示す。実線803は、求めた急峻度を示す。点線804は、急峻度の目標値を示す。即ち、急峻度の目標値と(5)式の関係とを用いて求めた伸差率の目標値と求めた伸差率との偏差を(36)式の評価関数に加えている。実操業においては、急峻度もしくは伸差率の目標値を設定し、目標値と設定値の偏差を評価関数に加えることがよく行われる。図8(b)において、破線811、812は、それぞれ、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の上限値、下限値を示す。実線813は、求めたロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す。尚、図8(a)、図8(b)内において、グラフの傍らに示す数値は、それぞれ、急峻度(実線803)、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値、実線813)の値(●の値)を示す。
図8(a)に示すように、各圧延スタンドFkの出側板厚の修正を行わないと、下流側の圧延スタンドF6、F7において、形状の制約範囲を満たさない。
また、特許文献1に記載の技術(各圧延スタンドFkの出側板厚の修正を行うが、修正量Δhkを含まない評価関数を用いる技術)により、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度とロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を比較例2として導出した。
図9は、このような比較例2についての、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度とロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す図である。
図9(a)において、破線901、902は、それぞれ、急峻度の上限値、下限値を示す。実線903は、求めた急峻度を示す。点線904は、急峻度の目標値を示す。図9(b)において、破線911、912は、それぞれ、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の上限値、下限値を示す。実線913は、求めたロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す。尚、図9(a)、図9(b)内において、グラフの傍らに示す数値は、それぞれ、急峻度(実線903)、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値、実線913)の値(●の値)を示す。
さらに、第3の実施形態の手法により、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度とロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を発明例として導出した。ただし、ここでも(36)式を評価関数Jとして用いる。
図10は、このような発明例についての、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度とロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す図である。
図10(a)において、破線1001、1002は、それぞれ、急峻度の上限値、下限値を示す。実線1003は、求めた急峻度を示す。点線1004は、急峻度の目標値を示す。図10(b)において、破線1011、1012は、それぞれ、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の上限値、下限値を示す。実線1013は、求めたロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す。尚、図10(a)、図10(b)内において、グラフの傍らに示す数値は、それぞれ、急峻度(実線1003)、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値、実線1013)の値(●の値)を示す。
また、図11は、各圧延スタンドF1〜F7における圧下率を示す図である。圧下率は入側板厚と出側板厚とから求められる。
図11(a)は、比較例2の手法で求めた結果として、変更前圧下率、変更後圧下率、および圧下修正率の一例を示す図である。図11(b)は、発明例の手法で求めた結果として、変更前圧下率、変更後圧下率、および圧下修正率の一例を示す図である。圧下修正率は、変更前圧下率に対する、変更後圧下率から変更前圧下率を減算した値の比を百分率で表したものである。
比較例2では、図9(a)に示すように、形状の制約範囲を満たすように板厚スケジュールを作成することができるが、図11(a)に示すように、板厚の修正量が大きくなる。これに対し、発明例では、図10(a)に示すように、形状の制約範囲を満たすように板厚スケジュールを作成することができ、しかも、図11(b)に示すように、板厚の修正量を比較例2に比べ小さくすることができ、必要最小限に抑えることができる。
<実施例2>
本実施例では、第1の実施形態の変形例5で説明したように、制約条件緩和量δc、δε、δgを一次で評価する場合と二次で評価する場合とを比較し、制約条件緩和量δc、δε、δgを二次で評価する場合の効果を検証した。ここでは、その一例として、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対する制約式の制約条件緩和量δcについて評価した。尚、本実施例では、実施例1とは異なる鋼種の被圧延材を圧延する場合についてシミュレーションを行った。
まず、制約条件緩和量δcを一次で評価する評価関数Jとして(36)式を用いると共に、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対する制約式として(22)式を用いて、第3の実施形態の手法により、各圧延スタンドF1〜F7の出側における板クラウンCiと、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度と、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を導出した。
図12は、制約条件緩和量δcを一次で評価した場合の、各圧延スタンドF1〜F7の出側における板クラウンCi、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度、およびロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の一例を示す図である。
図12(a)において、破線1201、1202は、それぞれ、最終段の圧延スタンドF7の出側における板クラウンC7の上限値、下限値を示す。実線1203は、求めた板クラウンCiを示す。最終段の圧延スタンドF7の出側における板クラウンC7は、40.0[μm]であった(点1204を参照)。
図12(b)において、破線1211、1212は、それぞれ、急峻度の上限値、下限値を示す。実線1213は、求めた急峻度を示す。点線1214は、急峻度の目標値を示す。図12(c)において、破線1221、1222は、それぞれ、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の上限値、下限値を示す。実線1223は、求めたロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す。
尚、図12(a)、図12(b)、図12(c)内において、グラフの傍らに示す数値は、それぞれ、板クラウン(実線1203)、急峻度(実線1213)、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値、実線1223)の値(●の値)を示す。
図12(a)に示すように、最終段の圧延スタンドF7の出側における板クラウンC7は、その上限値の40[μm]ちょうどであり、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに関する制約条件を満たす解(すなわち制約条件緩和量δcが0(ゼロ)になる(δc=0の)解)が得られている。しかしながら、図12(b)に示すように、急峻度と、その目標値1214との差が大きくなる。さらに、図12(c)に示すように、圧延スタンドF3、F4間のロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)には、94[t/c](=|(−118)−(−24)|)の差がある等、相互に隣接する圧延スタンド間のロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の差が大きくなった。すなわち、ロールベンダに対する設定値は、本実施例の計算対象となる製造ラインの過去の操業経験からはあまり望ましくない値になった。
次に、制約条件緩和量δcを二次で評価する評価関数Jとして以下の(37)式を用いると共に、最終段の圧延スタンドFnの出側における板クラウンCnに対する制約式として(22)式を用いて、第3の実施形態の手法により、各圧延スタンドF1〜F7の出側における板クラウンCiと、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度と、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を導出した。尚、(37)式の評価関数Jは、(34)式の右辺に、第1の実施形態の変形例5に示した(30)式の右辺第2項「Wδc(δc)2」を加算したものである。
Figure 0006900866
図13は、制約条件緩和量δcを二次で評価した場合の、各圧延スタンドF1〜F7の出側における板クラウンCi、各圧延スタンドF1〜F7における急峻度、およびロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の一例を示す図である。
図13(a)において、破線1301、1302は、それぞれ、最終段の圧延スタンドF7の出側における板クラウンC7の上限値、下限値を示す。尚、これらの上限値、下限値は、それぞれ、図12(a)に示した上限値、下限値と同じ値である。実線1303は、求めた板クラウンCiを示す。最終段の圧延スタンドF7の出側における板クラウンC7は40.2[μm]であった(点1304を参照)。
図13(b)において、破線1311、1312は、それぞれ、急峻度の上限値、下限値を示す。実線1313は、求めた急峻度を示す。点線1314は、急峻度の目標値を示す。尚、これらの上限値、下限値、目標値は、それぞれ、図12(b)に示した上限値、下限値、目標値と同じ値である。図13(c)において、破線1321、1322は、それぞれ、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の上限値、下限値を示す。尚、これらの上限値、下限値は、それぞれ、図12(c)に示した上限値、下限値と同じ値である。実線1323は、求めたロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)を示す。
尚、図13(a)、図13(b)、図13(c)内において、グラフの傍らに示す数値は、それぞれ、板クラウン(実線1303)、急峻度(実線1313)、ロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値、実線1323)の値を示す。
図13(a)に示す結果では、制約条件緩和量δcは0.2(δc=0.2)であった。すなわち、図13(a)に示すように、最終段の圧延スタンドF7の出側における板クラウンC7は40.2[μm]であり、その上限値の40[μm]を超えている。しかしながら、この値は、板クラウンCiのモデル式の予測精度(最低でも数μm程度)に比べて十分小さい。
また、図13(b)に示すように、急峻度は、図12(b)に示した急峻度よりも目標値1314に近くなる。
また、図13(c)に示すように、圧延スタンドF3、F4間のロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の差は、52[t/c](=|(−78)−(−26)|)となる等、相互に隣接する圧延スタンド間のロールベンダに対する設定値(WRベンダ設定値)の差は、図12(c)に示したものよりも抑えられており、過去の操業経験に照らしても問題ない程度になっている。
したがって、図13に示す結果では、図12に示す結果に対し、板クラウンCn、伸差率εi、およびロールベンダに対する設定値のバランスを改善することができ、望ましい設定が得られることが分かる。
(その他の変形例)
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態との関係を示す。尚、本発明は、変形例において説明したように、以下の関係に限定されるものではない。
制約式設定手段は、例えば、制約式・評価関数設定部305、602を用いることにより実現される。第1の制約式は、例えば、(18)式、(19)式、(21)式、または(22)式により実現される。第2の制約式は、例えば、(17)式、または(24)式により実現される。第3の制約式は、例えば、(16)式により実現される。第4の制約式は、例えば、(27)式、または(28)式により実現される。尚、制約式に緩和量を規定してもしなくてもよいことは、第1の実施形態の変形例1等に記載した通りである。また、形状が伸差率に限定されないことは、第1の実施形態の変形例8に記載した通りである。
評価関数設定手段は、例えば、制約式・評価関数設定部305、602を用いることにより実現される。
最適計算手段は、例えば、最適計算部306を用いることにより実現される。
板厚スケジュール作成手段は、例えば、板厚スケジュール作成部307、603を用いることにより実現される。
収束判定手段は、例えば、収束判定部604を用いることにより実現される。
請求項2は、第1の実施形態の変形例1〜5に対応し、請求項3は、第1の実施形態の変形例5に対応する。第2〜第4の実施形態においても、第1の実施形態の変形例1〜5を適用することができることは、第2〜第4の実施形態の後の変形例で説明した通りである。
請求項4は、第1の実施形態に対応し、請求項4に記載の評価関数は、例えば、第1の実施形態の評価関数J((20)式)に対応する。
請求項5は、第2の実施形態に対応し、請求項5に記載の評価関数は、例えば、第2の実施形態の評価関数J((20)式)に対応する。
請求項6は、第3の実施形態に対応し、請求項6に記載の評価関数は、例えば、第3の実施形態の評価関数J((34)式)に対応する。
請求項7は、第4の実施形態に対応し、請求項7に記載の評価関数は、例えば、第4の実施形態の評価関数J((35)式)に対応する。
尚、(34)式または(35)式を(20)式の代わりに用いて第1の実施形態のようにしてもよい(収束計算を行わなくてもよい)ことは、第4の実施形態の説明の後の変形例で説明した通りである。
請求項9は、第1の実施形態の変形例4に対応し、第4の制約式は、例えば、(27)式により実現される。請求項10も、第1の実施形態の変形例4に対応し、第4の制約式は、例えば、(28)式により実現され、評価関数は、例えば、(29)式により実現される。請求項11は、第1の実施形態の変形例5に対応する。 請求項12に記載の第1の項は、例えば、(10)式の右辺第1項により実現され、第2の項は、例えば、(10)式の右辺第2項により実現され、第3の項は、例えば、(10)式の右辺第3項により実現される。第4の項は、例えば、(11)式の右辺第1項により実現され、第5の項は、例えば、(11)式の右辺第2項により実現され、第6の項は、例えば、(11)式の右辺第3項により実現される。
300・600:圧延スケジュール作成装置、301:データ格納部、302:操業基準取得部、303:理想板厚スケジュール取得部、304・601:モデルパラメータ導出部、305・602:制約式・評価関数設定部、306:最適計算部、307・603:板厚スケジュール作成部、308:出力部、605:収束判定部

Claims (14)

  1. タンデム圧延機を構成する複数の圧延スタンドにおける板クラウン・形状制御端の操作によって変更される前記圧延スタンドの出側における板クラウンの量である板クラウン制御量と、前記圧延スタンドにおける出側板厚とを含む圧延スケジュールを作成する圧延スケジュール作成装置であって、
    最終段の前記圧延スタンドの出側における板クラウンの許容範囲または目標値を規定する第1の制約式と、前記圧延スタンドの出側における被圧延材の形状の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第2の制約式と、前記板クラウン制御量の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第3の制約式を含む制約式を設定する制約式設定手段と、
    前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を小さくすることを目的とする評価関数を設定する評価関数設定手段と、
    前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数の値が最小または最大になるときの、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記複数の圧延スタンドにおける前記板クラウン制御量を数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する最適計算手段と、
    前記最適計算手段により導出された、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記理想板厚とに基づいて、前記圧延スタンドにおける出側板厚を板厚スケジュールとして作成する板厚スケジュール作成手段と、を有することを特徴とする圧延スケジュール作成装置。
  2. 前記第1の制約式と前記第2の制約式の少なくとも何れか一方の制約式には、当該制約式に対して規定される前記許容範囲に対する緩和量が更に規定され、
    前記評価関数は、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記緩和量と、それらのバランスをとるための重み係数とを含む関数であることを特徴とする請求項1に記載の圧延スケジュール作成装置。
  3. 前記評価関数は、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記緩和量の二乗の項と、それらのバランスをとるための重み係数とを含む関数であることを特徴とする請求項2に記載の圧延スケジュール作成装置。
  4. 前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の圧延スケジュール作成装置。
  5. 前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する収束判定手段を更に有し、
    前記収束判定手段により前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、少なくとも、前記収束していないと判定された前記最適化計算により導出された前記圧延スタンドの出側板厚の修正量で修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚を、前記制約式および前記評価関数に再設定することと、前記再設定された前記評価関数を用いて前記最適化計算を行うことと、前記最適化計算により導出された前記圧延スタンドの出側板厚の修正量で前記圧延スタンドの出側板厚を修正して最新の出側板厚とすることと、を繰り返す収束計算を行うスケジュール作成装置であって、
    前記収束計算の1回目の計算に於いては、前記最適化計算により導出される、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の修正量として、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量が導出され、且つ、前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含み、
    前記収束計算の2回目以降の計算に於いては、前記最適化計算により導出される、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の修正量として、前記圧延スタンドの出側板厚の、前回の収束計算において修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚からの修正量が導出され、且つ、前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量に代えて、前記圧延スタンドの出側板厚の、前回の収束計算において修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含むことを特徴とする請求項4に記載の圧延スケジュール作成装置。
  6. 前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する収束判定手段を更に有し、
    前記収束判定手段により前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、少なくとも、前記収束していないと判定された前記最適化計算により導出された前記圧延スタンドの出側板厚の修正量で修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚を、前記制約式および前記評価関数に再設定することと、前記再設定された前記評価関数を用いて前記最適化計算を行うことと、前記最適化計算により導出された前記圧延スタンドの出側板厚の修正量で前記圧延スタンドの出側板厚を修正して最新の出側板厚とすることと、を繰り返す収束計算を行うスケジュール作成装置であって、
    前記収束計算の1回目の計算に於いては、前記最適化計算により導出される、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の修正量として、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量が導出され、且つ、前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含み、
    前記収束計算の2回目以降の計算に於いては、前記最適化計算により導出される、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の修正量として、前回の収束計算において修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚からの修正量で修正された場合における、当該前回の収束計算において修正された当該圧延スタンドの最新の出側板厚の、理想板厚からの修正量が導出され、且つ、前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量に代えて、前回の収束計算において修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚からの修正量で修正された場合における、当該前回の収束計算において修正された当該圧延スタンドの最新の出側板厚の、理想板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含むことを特徴とする請求項4に記載の圧延スケジュール作成装置。
  7. 前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する収束判定手段を更に有し、
    前記収束判定手段により前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、少なくとも、前記収束していないと判定された前記最適化計算により導出された前記圧延スタンドの出側板厚の修正量で修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚を、前記制約式および前記評価関数に再設定することと、前記再設定された前記評価関数を用いて前記最適化計算を行うことと、前記最適化計算により導出された前記圧延スタンドの出側板厚の修正量で前記圧延スタンドの出側板厚を修正して最新の出側板厚とすることと、を繰り返す収束計算を行うスケジュール作成装置であって、
    前記収束計算の1回目の計算に於いては、前記最適化計算により導出される、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の修正量として、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量が導出され、且つ、前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含み、
    前記収束計算の2回目以降の計算に於いては、前記最適化計算により導出される、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の修正量として、前記圧延スタンドの出側板厚の、前回の収束計算において修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚からの修正量が導出され、且つ、前記評価関数は、前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を、当該圧延スタンドの出側の理想板厚で割る除算に代えて、前記圧延スタンドの出側板厚の、前回の収束計算において修正された前記圧延スタンドの最新の出側板厚からの修正量を、前記前回の収束計算において修正された当該圧延スタンドの最新の出側板厚で割る除算を行った値の絶対値または二乗の、前記最終段の圧延スタンドを除く前記複数の圧延スタンドについての総和を求める項を含むことを特徴とする請求項4に記載の圧延スケジュール作成装置。
  8. 前記形状は、伸差率または急峻度であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の圧延スケジュール作成装置。
  9. 前記制約式は、前記板クラウンおよび前記形状とは異なる物理量であって、前記板クラウン制御量と、前記圧延スタンドの出側板厚の変更量との少なくとも何れか一方に基づいて導出される物理量の許容範囲を規定する第4の制約式を更に有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の圧延スケジュール作成装置。
  10. 前記第4の制約式には、当該第4の制約式に対して規定される前記許容範囲に対する緩和量が更に規定され、
    前記評価関数は、前記複数の圧延スタンドのうち、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記第4の制約式に対して規定される前記緩和量と、それらのバランスをとるための重み係数とを含む関数であることを特徴とする請求項9に記載の圧延スケジュール作成装置。
  11. 前記評価関数は、前記複数の圧延スタンドのうち、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記第4の制約式に対して規定される前記緩和量の二乗の項と、それらのバランスをとるための重み係数とを含む関数であることを特徴とする請求項10に記載の圧延スケジュール作成装置。
  12. 前記圧延スタンドの出側における板クラウンを導出する式は、当該圧延スタンドにおける基準の板クラウンを示す第1の項と、当該圧延スタンドおよび当該圧延スタンド以外の前記複数の圧延スタンドにおける前記板クラウン・形状制御端の操作に起因して当該圧延スタンドの出側において生じる板クラウンの、前記複数の圧延スタンドのそれぞれについての積算値を求める第2の項と、当該圧延スタンドおよび当該圧延スタンド以外の前記複数の圧延スタンドの出側板厚の変更に起因して当該圧延スタンドの出側において生じる板クラウンの、前記複数の圧延スタンドのうち最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドのそれぞれについての積算値を求める第3の項と、を含み、
    前記圧延スタンドの出側における形状を導出する式は、当該圧延スタンドにおける基準の前記形状を示す第4の項と、当該圧延スタンドおよび当該圧延スタンド以外の前記複数の圧延スタンドにおける前記板クラウン・形状制御端の操作に起因して当該圧延スタンドの出側において得られる前記形状の、前記複数の圧延スタンドのそれぞれについての積算値を求める第5の項と、当該圧延スタンドおよび当該圧延スタンド以外の前記複数の圧延スタンドの出側板厚の変更に起因して当該圧延スタンドの出側において得られる前記形状の、前記複数の圧延スタンドのうち最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドのそれぞれについての積算値を求める第6の項と、を含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の圧延スケジュール作成装置。
  13. タンデム圧延機を構成する複数の圧延スタンドにおける板クラウン・形状制御端の操作によって変更される前記圧延スタンドの出側における板クラウンの量である板クラウン制御量と、前記圧延スタンドにおける出側板厚とを含む圧延スケジュールを作成する圧延スケジュール作成方法であって、
    最終段の前記圧延スタンドの出側における板クラウンの許容範囲または目標値を規定する第1の制約式と、前記圧延スタンドの出側における被圧延材の形状の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第2の制約式と、前記板クラウン制御量の許容範囲を前記複数の圧延スタンドのそれぞれについて規定する第3の制約式を含む制約式を設定する制約式設定工程と、
    前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量を小さくすることを目的とする評価関数を設定する評価関数設定工程と、
    前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数の値が最小または最大になるときの、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記複数の圧延スタンドにおける前記板クラウン制御量を数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する最適計算工程と、
    前記最適計算工程により導出された、前記最終段の圧延スタンドを除く前記圧延スタンドの出側板厚の、理想板厚からの修正量と、前記理想板厚とに基づいて、前記圧延スタンドの出側板厚を板厚スケジュールとして作成する板厚スケジュール作成工程と、を有することを特徴とする圧延スケジュール作成方法。
  14. 請求項1〜12の何れか1項に記載の圧延スケジュール作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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