JP6901098B2 - 天敵昆虫の保護装置 - Google Patents
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Description
本発明の天敵昆虫の保護装置を構成する本体部11は、空間を有する袋状又は筐体状であり、筐体状としては、例えば、円柱形状(底面が楕円、トラック形状であるものを含む)、角柱形状(底面が、三角形、四角形以上の多角形であるものを含む)等を有するものを挙げることができる。なお、底面の大きさは、長方形に換算して、例えば、10〜50×30〜100mm程度の大きさとすることが好ましい。また、本体部の縦は80〜300mm程度、横は70〜200mm程度の大きさとすることが好ましい。また、内部に密閉空間を有する本体部11は、図1〜図4に示すように、紙又はプラスチック製のシート状の基材を、短冊状に打ち抜き、空間を有する筐体状に組み立てることによって容易に形成することができる。なお、打ち抜き方法や組み立て方法については特に制限はない。本体部11を袋状として(不図示)、収容部12の大きさに合わせた紙製またはプラスチック製の袋を使用することによって、形成することもできる。
本実施の形態に用いられる収容部12は、本体部11の空間に配設される。具体的には、図2に示すように、天敵昆虫が出入り可能に収容された、空気路の確保のため、例えば、少なくとも2個の貫通孔(1以上の所定の大きさの開口であってもよい)(不図示)を有する、例えば、4〜8×4〜8cmの正方形又は長方形のティーバッグ状の袋体内に、天敵昆虫と餌ダニの組み合わせ、或いは、天敵昆虫と餌ダニと、天敵昆虫及び/又は餌ダニの増殖に必要な餌との組み合わせが収容されたものであることが好ましい。このように構成することによって、天敵昆虫の補遺的なエサ場を提供することができるとともに、上述の本体部11が有する機能に加えて、例えば、天敵昆虫の生存に影響を及ぼす化学農薬からのさらなるシェルターを提供すること等ができる。
上記したように、本発明の実施の形態に係る天敵昆虫の保護装置では、本体部11の内部に密閉空間14を形成し、その内部に上記した収容部12を配設するが、先に述べたように、その際、上記本体部11の内側表面と収容部12の外側表面と本体部内側表面とが構成する間隔が、3.0mm以下の部分を有するようにすることを要する。好ましくは、当該間隔が2.0mm以下、さらには1.0mm以下のできるだけ狭い間隔である部分が形成されるように配置することが好ましい。なお、この間隔は、収容部12を本体部11内に挿入するときに調整することができる。この間隔は、ノギス、デジタルノギス又は隙間ゲージを使用し測定することができる。
本発明の天敵昆虫の保護装置10は、図1に示したように、本体部11に連結された、設置対象である害虫から保護すべき作物の枝葉(不図示)に、設置するための設置部13を、さらに備えていることが好ましい。設置部13によって、設置対象である枝葉等に、直接簡易に吊り下げることができる。なお、使用の態様によっては、例えば、害虫から保護すべき作物の枝葉に、設置部13を用いずに設置してもよい。図1〜4に示した天敵昆虫の保護装置10では、本体部11を構成する後面部Bを形成するシートに続けて一体的に設けた設置部13を利用することで、本体部11の内部に設ける密閉空間に、散水したような場合にも水滴が浸入しないように封止している。具体的には、図3に示した、本体部11を構成する後面部Bに続けて設けたのりしろ部である(a)の部分を内側に折り曲げて、該(a)の部分に本体部11を構成する前面部Aの側端の内壁の(b)の部分を重ねて糊付けした後、本体部11を構成する後面部Bに続けて設けた設置部13の、該設置部13と本体部11とを画する境界にある破線の位置で、設置部13を、本体部11を構成する前面部A側に折り曲げ、さらに、図3に示した帯状の(c)の部分のみが前面部Aの上端部(d)と重なるように、設置部13を破線の位置で再び折り曲げ、この重なった部分を接着剤或いはステイプラー等で固定する。このようにすることで、図2に示したように、本体部11の内部に特に上部が強固に封止された密閉空間の形成が可能になる。また、上記したように、その製法は極めて簡便であり、この点で実用的である。
本発明の天敵昆虫の保護装置10は、それが筐体状である場合、例えば、図3に示す展開図に沿って、プラスチック又は紙製のシート状の基材を短冊状に打ち抜き、空間を有する筐体状に組み立てて本体部11を形成し、収容部12を挿入し、配設することによって、天敵昆虫の保護装置10を容易に製造することができる。袋状の場合も同様である。製品としては、例えば、図1又は図5に示した実施形態とする場合、底面部Cのみを組み立てていないシート状のものと、これに少なくとも天敵昆虫と餌ダニとが収容された収容部12と、必要に応じて水で膨潤させる前のボール状の高吸水性樹脂とを組み合わせたものとすることが好ましい。このようにすれば、作業者が、本体部11の内部に、収容部12と、必要に応じて水で膨潤させ、水を切ったボール状の高吸水性樹脂を底面部C側から単に挿入し、その後に底面部Cのみを組み立てるだけで、本発明の効果が得られる有用な天敵昆虫の保護装置10を得ることができる。
図1に示す天敵昆虫の保護装置10を、下記のようにして作製した。まず、厚さが0.4mmの表面を撥水処理した紙製のシート状の基材を短冊状に打ち抜いて、組み立てる前の図3に示す展開図の通りのシート状の基材を用意した。なお、図3中の点線は、袋体内に天敵昆虫と餌ダニとを出入り可能に収容してなる収容部12を配設する位置を示し、破線は、折り曲げる位置を示している。上記で用意した展開した状態のシート状基材を下記の手順で組み立てて、図1に示した本実施例の天敵昆虫の保護装置とした。
図1に示す天敵昆虫の保護装置10の筐体状の本体部11を、実施例1と同様にして形成した。本実施例では、実施例1で使用したと同様の収容部12を、本体部11の密閉空間14内に挿入し、実施例1で行ったと同様の状態に配設するとともに、産卵部(縦100mm×横50mm×厚さ1mmのフェルト)(不図示)を、収容部12に向かい合うようにして挿入した。底面部Cは、実施例1の場合と同様に(e)の部分を約90度折り曲げることによって、作製した。
実施例2で作製したと同様にして天敵昆虫の保護装置10の本体部11を組み立て、本体部11の密閉空間14内に、実施例2と同様に、実施例1で使用したと同様の収容部12と、収容部12に向かい合うようにして産卵部を挿入した。本実施例では、本体部11の密閉空間14内に、さらに、予め吸水させて、表面の水をよく切った高吸水性樹脂(球状で、吸水時で直径約1cm)を、一保護装置あたり3個、当該装置の底部に挿入し(図4参照)、(e)の部分を折り曲げて底面部Cを形成した。その後、上記のようにして作製した天敵昆虫の保護装置10を、その設置部13によって、温州ミカンの樹の枝に一樹あたり1個吊り下げた。この装置内を観察し、収容部12の外側、本体部11の内側で観察されたスワルスキーカブリダニの個体数(成幼虫)及び餌ダニであるサトウダニの個体数(成幼虫)をカウントした。その結果を表3に示した。
実施例2で作製したと同様にして天敵昆虫の保護装置10の本体部11を組み立てた。その際、本体部11の密閉空間14内に、実施例1で使用したと同様の収容部12と、透湿性の膜(商品名:透湿性フィルムKFT/三菱樹脂製)で水を封入した袋状の保水材とを挿入し、(e)の部分を折り曲げて底面部Cを形成した。前記保水材は、水を含んだ状態の重量で8gのものを用い、その大きさは、縦が80mm、横が40mmであり、厚みの最大値は5mmであった。このようにして作製した天敵昆虫の保護装置は、前記実施例3と同様に使用することができ、天敵昆虫の優れた定住性が発揮される。
11:本体部
12:収容部
13:設置部
14:密閉空間
15:徐放湿性の保水材
A:前面部
B:後面部
C、C’:底面部
D:放飼口
Claims (12)
- 害虫の天敵となる天敵昆虫の餌となる餌ダニの増殖を維持することで天敵昆虫の定住性を向上させた天敵昆虫の保護装置であって、
内部に密閉空間を有する袋状又は筐体状の本体部と、
前記本体部の前記密閉空間に配設された、袋体内に前記天敵昆虫及び前記餌ダニが出入り可能に収容された収容部と、徐放湿性の保水材からなる部材とを備え、
前記密閉空間が、前記天敵昆虫が外部に出入り可能で、本体部に散水した場合に水が浸入せず、且つ、その湿度が70%以上に30日間以上維持可能に構成され、
さらに、前記密閉空間を形成している前記本体部の内側表面と、前記収容部の外側表面とが対向する部分における両者の間隔が3.0mm以下である部分を有するように構成されていることを特徴とする天敵昆虫の保護装置。 - 害虫の天敵となる天敵昆虫の餌となる餌ダニの増殖を維持することで天敵昆虫の定住性を向上させた天敵昆虫の保護装置であって、
内部に密閉空間を有し、且つ、前記天敵昆虫の外部への放飼口を有する、少なくとも前記内部の密閉空間に対して徐放湿性を示す保水材で形成された袋状の本体部と、
前記密閉空間に配設された、袋体内に前記天敵昆虫及び前記餌ダニが出入り可能に収容された収容部を備え、
前記密閉空間が、前記天敵昆虫が外部に出入り可能で、本体部に散水した場合に水が浸入せず、且つ、その湿度が70%以上に30日間以上維持可能に構成され、
さらに、前記密閉空間を形成している前記本体部の内側表面と、前記収容部の外側表面とが対向する部分における両者の間隔が3.0mm以下である部分を有するように構成されていることを特徴とする天敵昆虫の保護装置。 - 前記密閉空間が、湿度80%以上に30日間以上維持可能に構成されている請求項1又は2に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記徐放湿性の保水材が、高吸水性樹脂からなる請求項1又は2に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記収容部が、徐放湿性の高吸水性樹脂製の袋内に収容され、前記本体部の前記密閉空間に配設されている請求項1に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記本体部は、袋状である場合はその下端に、筐体状の場合はその底面部に、前記天敵昆虫が外部に出入り可能な放飼口を有する請求項1に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記収容部は、ティーバッグ状の袋体内に、前記天敵昆虫及び前記餌ダニの組み合わせ、又は、前記天敵昆虫及び前記餌ダニに加えて、前記天敵昆虫及び/又は前記餌ダニの増殖に必要な餌との組み合わせ、のいずれかの組み合わせが収容された構成のものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記筐体状の本体部は、表面が撥水処理されてなる紙製又はプラスチック製の、シート状基材で前記密閉空間が形成され、該密閉空間は、前面部と、該前面部に対向する後面部と、底面部と、前記天敵昆虫が外部に出入り可能なスリット状の放飼口とを有し、且つ、該スリット状の放飼口以外、前記密閉空間内に外部から水滴が浸入しないように封止されている請求項1に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記底面部は、前記前面部及び/又は前記後面部を構成している前記基材シートの少なくとも1の下端を折り曲げた折り目によって、前記前面部及び/又は前記後面部と画されて形成されたものであり、折り曲げる前の前記基材シートの下端が、下に凸の第1の劣弧形状で、前記折り目の形状が、前記第1の劣弧形状の弦に対して対称な、上に凸の第2の劣弧形状であり、少なくとも、前記折り曲げられた下端が、前記前面部の内面又は前記後面部の内面と接する部分に、前記スリット状の放飼口が形成される構造を有する請求項8に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記天敵昆虫は、カブリダニ類であり、前記餌ダニは、サトウダニ、サヤアシニクダニ、ケナガコナダニのようなコナダニ類である請求項1〜9のいずれか1項に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記本体部の密閉空間に、その内部に形成される隙間を埋めるための充填用部材がさらに配置されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の天敵昆虫の保護装置。
- 前記充填用部材が、フェルト、スキマシート、麻製の根巻きシート、毛糸、麻ひも、手芸綿及び脱脂綿からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の天敵昆虫の保護装置。
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