以下、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺りについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
1.第1の実施形態
図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺り1の主な構成を説明する。図1には、本発明の第1,2,3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1,1a,1bの全体概要が示されており、図2には、図1に示された実施形態のうち、第1の実施形態の浴槽用手摺り1を主な部品に分解した態様が示されている。
図1,2に示されているように、浴槽用手摺り1の基本的骨格は、浴槽側壁の上面へ直接載置される載置部21と、載置部21と連結しており浴槽側壁の一の側面に当接される当接基部22とを備えた倒L字形の固定フレーム2と、固定フレーム2の載置部21の上にスライド可能に取り付けられるスライド部31と、スライド部31と連結しており浴槽側壁の他の側面に当接される垂直部32とを備えた倒L字形の可動フレーム3とから構成される。また、可動フレーム3のスライド部31には、可動フレーム3を固定フレーム2へ取付けた時、固定フレーム2の載置部21の底面と略同じレベルとなる下端部41を備えたスカート4が着脱自在に取り付けられている。
なお、可動フレーム3のフレーム幅やスライド長には特に制限はないが、本実施形態の浴槽用手摺り1では、可動フレーム3のスライド部31のフレーム幅を固定フレーム2の載置部21のフレーム幅よりも幅狭とし、スライド長を長くすることで、軽量構造にて多様な厚みの浴槽側壁に適合できるようになっている。
固定フレーム2の当接基部22の内側には、浴槽側壁の側面と当接する当接部23が取り付けられており、当接基部22の外側には、使用者の身体を支えるためのメイングリップ24と、浴槽用手摺り1の傾転を防止するための脚部25が取り付けられている。一方、可動フレーム3の垂直部32には、当接部23とは反対側の浴槽側壁の側面を押圧する押圧部5を前進及び後退させるための移動装置6と、浴槽内の使用者の動きを補助するためのサブグリップ33が取り付けられている。また、移動装置6はナット61を回転させるためのハンドルノブ62及びそのキャップ620を含んでおり、ナット61の回転により螺進退されるボルト63の先端には、矩形平面を有する板状の押圧部5が首振り自在に取り付けられている。
また、本実施形態の浴槽用手摺り1では、着脱自在に装着可能な保護カバー26,34を用いて固定フレーム2の載置部21と可動フレーム3のスライド部31、及び可動フレーム3の垂直部32を覆うことにより、凹凸部などの危険箇所を減らしたり、通常は操作不要な部位の誤操作を防止したりすると共に、視覚的に見栄えを良くして清潔にしている(図2参照)。
メイングリップ24は、平面視が略矩形のリング状の上部グリップ240と、上部グリップ240と連結されており、複数の固定孔241が設けられている1対のグリップ支持部242とを含んでおり、メイングリップ24は、グリップ支持部242の固定孔241へ、後述する固定フレーム2の挿入・解除手段27の挿入ピン270を挿入することより任意の高さに調節可能に固定することができる。
脚部25は、ネジ250により固定フレーム2へネジ止めされる主脚部251と、主脚部251の内部に設けられた雌ネジ部と螺合する雄ネジ部が外周面に設けられた補助脚部252とから構成されている。脚部25は、主脚部251に対し補助脚部252を回転させることによりその長さを調節することができる。
図3には、本実施形態の浴槽用手摺り1の固定フレーム2の背面図が示されている。図3を参照して理解されるように、本実施形態の固定フレーム2の載置部21には、載置部21から後述する当接基部22に亘り連続して延びている2本の補強リブ20と、可動フレーム3のスライド部31に装着されたスカート4を受け入れるための1対の切欠き7と、そして載置部21の幅方向において、グリップ支持部242よりも外側へ向けて延びた延出部28が設けられている。
延出部28は、浴槽側壁の長手方向に沿って水平方向の力がメイングリップ24へ加えられた時、浴槽側壁の上面と当接することによりメイングリップ24に働く回転モーメントに抗するようにメイングリップ24を支えるので、メイングリップ24が浴槽側壁の上面上で浴槽側壁の長手方向へ回転したり転倒したりするのを強力に阻止する。なお、「載置部21の幅方向」とは、固定フレーム2の載置部21において当接部23と押圧部5によって浴槽側壁をクランプする方向とは直交する方向の中の水平方向を意味し、浴槽用手摺り1を浴槽側壁へ取り付けた時、浴槽側壁の上面の長手方向と略一致する方向である。
一方、固定フレーム2の当接基部22には、1対のグリップ支持部242をスライド可能に受け入れるための円筒形のグリップ支持部収容部29が設けられている。また、1対のグリップ支持部収容部29の間には、1対の挿入ピン270と、挿入ピン270の後端部に取り付けられた1対のつまみ271と、挿入ピン270をグリップ支持部242へ向けて付勢する付勢手段272とからなる挿入・解除手段27が配設されている。
挿入ピン270は、グリップ支持部収容部29の貫通孔(図示せず)を通してグリップ支持部242の複数の固定孔241(図2)の少なくとも1つに抜き差し可能に挿入される。また、つる巻きバネ状の付勢手段272は、挿入ピン270をグリップ支持部収容部29の貫通孔の外側からグリップ支持部242の固定孔241へ向けて付勢する。つまみ271は、使用者が操作して付勢手段272による挿入ピン270の付勢の方向とは逆向きに付勢手段272に力を加えるためのものである。
このように、本実施形態の浴槽用手摺り1では、メイングリップ24のグリップ支持部242は、グリップ支持部収容部29と挿入解除機構27により固定フレーム2の当接基部22の背面に高さ調節自在に固定される。すなわち、挿入解除機構27の挿入ピン270をグリップ支持部242の固定孔241へ挿入した状態では、メイングリップ24は固定フレーム2へ連結及び固定され、一方、挿入ピン270をグリップ支持部242の固定孔241へ挿入していない状態では、メイングリップ24は固定フレーム2へ連結及び固定されない。
また、グリップ支持部収容部29は、その上部にグリップ支持部242のガタ付きを抑えて固定するための縮径部290及び縮径部290の外周面に螺合されるナット291を備えている。縮径部290は、グリップ支持部収容部29の上部に設けられたスリットである。また、縮径部290の外周面にはネジ山(ネジ溝)が設けられており、外周面は上方から下方へ向けて外径が徐々に大きくなるようにテーパーが付けられている。このため、縮径部290のネジ山(ネジ溝)へナット291を取り付け、ナット291を下方へ螺進するように回転させると、縮径部290はナット291によって縮径されるので、グリップ支持部242はグリップ支持部収容部29の中へガタ付くことなく固定される。
図4には、本実施形態に係る浴槽用手摺り1をボルト63の軸に沿って切り取った断面図が示されている。浴槽用手摺り1の固定フレーム2は、載置部21と、載置部21に連結されており浴槽側壁の一方の側面へ当接される当接部23を備えた当接基部22とを含んでおり、全体として倒L字形の断面形状を有している。また、固定フレーム2へスライド及び着脱自在に取り付けられる可動フレーム3は、スライド部31と、スライド部31に連結された垂直部32とを含んでおり、全体として下向きの略L字形の断面形状を有している。さらに、固定フレーム2の載置部21の内面及び当接部23の内面にはそれぞれ弾性を有する樹脂ラバー210、230が装着されており、浴槽側壁の傷付け防止及び滑り止めが施されている。
可動フレーム3の垂直部31には、移動装置6のナット61が回動自在に取り付けられており、ナット61の回転により螺進退されるボルト63の先端には、上述の当接部23が当接する浴槽側壁とは反対側の側面を押圧する押圧部5が首振り自在に取り付けられている。また、ナット61は、後述するトルク伝達・遮断手段64を介してハンドルノブ62によって回転される。
図4及び図2に示されているように、固定フレーム2の載置部21の上面には、可動フレーム3のスライド方向に沿って等ピッチに配列された複数の固定用ネジ穴211と、固定用ネジ穴211の配列方向と直行する方向であって固定用ネジ穴211の配列に対して左右対称の位置に配置された1対のガイド用ネジ穴212が設けられている。
一方、可動フレーム3のスライド部31には、固定フレーム2の1対のガイド用ネジ穴212と整列し、互いに平行であって可動フレーム3のスライド方向へ延びている1対のスリット310が設けられている。また、スライド部31には、1対のスリット310の間で、可動フレーム3のスライド方向に沿って、固定フレーム2の固定用ネジ穴211と同じピッチで複数の貫通孔311が設けられている。貫通孔311は、固定フレーム2の固定用ネジ穴211の数よりも多く、且つ両端に配列された貫通孔間の距離がスリット310の長さよりも長くなるように配列されている。
このため、本実施形態に係る浴槽用手摺り1は、可動フレーム3の1対のスリット310のそれぞれへ、スリット310の幅よりも大きな直径の頭部を有するガイド用ネジ312をスリット310を通過させ、固定フレーム2のガイド用固定穴212に取り付けることにより、可動フレーム3を固定フレーム2に対し、固定フレーム2から離脱させることなくそのスライド方向が一方向へ規制されるように位置決めすることができる。また、固定フレーム2に対する可動フレーム3の位置を決めた後、可動フレーム3の貫通孔311を通過させて固定用ネジ313を固定フレーム2の固定用ネジ穴211へネジ止めすることにより、可動フレーム3を固定フレーム2の所望の位置にしっかりと固定することができる。
このように、本実施形態の浴槽用手摺り1は、浴槽側壁の厚みに合わせて、可動フレーム3の垂直部32を、予め可能な限り固定フレーム2の当接基部22及び当接部23へ近接させておくことができるので、浴槽側壁をクランプするために必要となる押圧部5の移動距離を必要最小限に抑えることができるようになる。そのため、押圧部5を当接部23へ向けて螺進退させるためのボルト63などを含む移動装置6をコンパクトに設計することができる。
図5には、第1の実施形態の浴槽用手摺り1において、固定フレーム2と可動フレーム3とを(a)分離した状態、(b)離間接続した状態および(c)近接接続した状態のそれぞれの概要図が示されている。図6には、図5に示された本実施形態の浴槽用手摺り1において、固定フレーム2と可動フレーム3とを(a)離間接続した状態および(b)近接接続した状態のそれぞれの側面図が示されている。
図5及び図6を参照してよく理解されるように、可動フレーム3のスライド部31には、可動フレーム3を固定フレーム2へ取付けた時、固定フレーム2の載置部21の底面213と略同じレベルとなる下端部41を有するスカート4が設けられている。ただし、スカート4の長さは可動フレーム3のスライド部31の全長よりも短く、可動フレーム3に対して押圧部5が移動する範囲の長さに設定されている(図6(a)(b))。
本実施形態の場合、可動フレーム3のスライド部31の底面は平坦であるので、スカート4は、取り付けた時、可動フレーム3のスライド部31の底面から下方へ且つ可動フレーム3のスライド方向へ延びているリブのような形態を有している(図5(b))。また、スカート4は、スライド部31の幅方向における左側領域及び右側領域のそれぞれに垂直なリブを形成するように配置されている(図5(a))。
本実施形態では、スカート4は、取り付けた時、スライド部31の幅方向における左側領域及び右側領域のそれぞれに配置されているので、押圧部5の移動時に生じる回転を、押圧部5の上端部の幅方向の2箇所から規制することで安定して押圧部5を螺進退等させることができる。
すなわち、本実施形態の押圧部5の移動手段6はナット61を回動させてボルト63を螺進退させるものであるため、ボルト63に取り付けられた押圧部5は移動時に回転する。ところが、本実施形態では押圧部5が回転すると、押圧部5の上端部の左側領域又は右側領域がスカート4の下端部41と当接するため、押圧部5の移動時に生じる無制限な回転は確実に規制される。しかも、スカート4の下端部41は固定フレーム2の載置部21の底面213と略同じレベルに設定されているので(図6(a)(b))、移動時、押圧部5は可動フレーム3のスカート4の下端部41と固定フレーム3の載置部31の底面213との間で引っ掛かりを生じることなくスムーズに移動することができる。
本実施形態では、スカート4は可動フレーム3から分離独立した別部品として、可動フレーム3に対して着脱可能に構成されている。
本実施形態では、スカート4は断面視において下向きのコの字形状を有しており、スカート4aの下端部41a付近には、可動フレーム3の下面と摺接することによりスライド部32から離脱を防止する水平リブ42が内側へ向けて設けられている。本実施形態のスカート4は、可動フレーム3のスライド部31に対して横方向からスライド挿入することにより、スライド部31の上に簡単にスライド可能に取り付けることができる。また、スカート4は所定の下端部41を備えていれば可動フレーム3のような高い剛性を求められることはないので、形状が重視されるスカート4を強度が重視される可動フレーム3から分離することにより、過剰な材料の使用を抑制して効率よく製作することができる。
本実施形態では、スカート4の、可動フレーム3のスライド方向に沿った長さが一定であるので、浴槽用手摺り1の固定フレーム2は、押圧部5が押圧する浴槽側壁の側面とは反対側の他方の側面と当接する当接部23と、スカート4をスライド方向に受け入れることができる切欠き7とを有している(図2,3)。
本実施形態の浴槽用手摺り1は、浴槽側壁の上面に直置きされる固定フレーム2の中で、固定フレーム2の垂直部分(縦部材)を構成する当接基部22へ当接部23を有しているので、可動フレーム3に取り付けられた押圧部5を浴槽側壁を挟んで当接部23とは反対側から押し付けても、固定フレーム2と浴槽側壁の上面との間に位置ズレや応力(摩擦力)を生じることなく、当接部23と押圧部5のクランプ力により浴槽側壁へ強固に取り付けることができる。
また、本実施形態の浴槽用手摺り1は、上述したように、固定フレーム2の水平部分(横部材)を構成する載置部21へ所定の下端部41を備えたスカート4のリブをスライド方向に受け入れることができる切欠き7を有しているので、スカート4の可動フレーム3におけるスライド方向の長さが不変であっても、スカート4を固定フレーム2と干渉させることなく、可動フレーム3を固定フレーム2に対して自由に近接離間させることができる。切欠き7は、載置部21の先端縁部から中央部付近にかけて可動フレーム3のスライド方向に開口しており、下端部41を備えたスカート4のリブの位置に合わせて2つ形成されている。
スカート4がない場合、可動フレーム3を固定フレーム2に対して最も離間した位置に固定しようとすると、可動フレーム3のスライド部31の下面には重なり合う固定フレーム2の載置部21の端部により段差(図示せず)が形成される。ところが、本実施形態の浴槽用手摺り1では、可動フレーム3のスライド部31の底面が、押圧部5の移動する範囲において、スカート4の下端部41を介して固定フレーム2の載置部21の底面213と略同じレベルに接続されるため、引っ掛かりを生じることなく、可動フレーム3と固定フレーム2との間での押圧部5の円滑な移動が保証される(図5(b),図6(a)参照)。
一方、固定フレーム2に切欠き7が設けていない場合、可動フレーム3を固定フレーム2に対して最も近接した位置に固定しようとすると、下端部41を備えたスカート4のリブが固定フレーム2の載置部21と干渉してしまい、可動フレーム3をスカート4の長さ以下に固定フレーム2へ近接させることができなくなる。ところが、本実施形態の浴槽用手摺り1では、固定フレーム2の載置部21へ、スカート4のリブをスライド方向に受け入れるための切欠き7を設けているので、スカート4のリブを固定フレーム2の載置部21と干渉させることなく、可動フレーム3のスライド部31の大半を固定フレーム2の載置部21と重なり合うように近接させることができる(図5(c)参照)。
また、本実施形態の浴槽用手摺り1では、可動フレーム3のスライド部31の大半が固定フレーム2の載置部21と重なり合う場合においても、スカート4の下端部41が固定フレーム2の切欠き7の中で載置部21の底面213と略同じレベルに保持されるため、可動フレーム3を固定フレーム2に対して最も離間した位置に固定する場合と同様に、引っ掛かりを生じることなく、可動フレーム3と固定フレーム2との間での押圧部5の円滑な移動が保証される(図6(b)参照)。
図7には、図2に示される本実施形態の浴槽用手摺り1の固定フレーム2の分解図が示されている。
本実施形態の固定フレーム2は、浴槽側壁の上面へ載置される載置部21と、載置部21に連結されており浴槽側壁の一方の側面へ当接される当接部23が設けられている当接基部22から構成されており、当接基部22の背面にはメイングリップ24の1対のグリップ支持部242をスライド可能に収容するためのグリップ支持部収容部29が設けられている。また、グリップ支持部収容部29の上部には、メイングリップ24のグリップ支持部242をガタ付きなく固定するために、テーパー付きの縮径部290と、縮径部290のネジ山と螺合するナット291が設けられている。
固定フレーム2の載置部21には、載置部21から当接基部22にかけて連続して延びている2本の補強リブ20と、載置部21の幅方向において、グリップ支持部242よりも外側へ向けて延びた延出部28が設けられている。また、載置部21には、可動フレーム3を取付位置可変にネジ止めするために、可動フレーム3のスライド方向に沿って等ピッチに配列された複数の固定用ネジ穴211と、固定用ネジ穴211の配列方向と直行する方向であって固定用ネジ穴211の配列に対して左右対称の位置に配置された1対のガイド用ネジ穴212が設けられている。
固定フレーム2の載置部21の内面(裏側)及び当接部23の内面のそれぞれには、浴槽側壁への傷付け防止及び滑り止めを兼ねた弾性を有する樹脂ラバー210,230が装着されており、さらに当接基部22の内面であって当接部23の下部には、浴槽用手摺り1を取付ける時、当接部23が浴槽側壁の上面に乗り上げるのを防止するための案内部231が取り付けられている。なお、本実施形態では、当接部23及び案内部231は樹脂からできている。
図8には、図1に示される本実施形態の浴槽用手摺り1の可動フレーム3を、フレーム本体3、移動装置6(トルク伝達・遮断手段64を含む)及び押圧部5へ分解した状態の概要が示されている。
図8に示されているように、本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧部5は樹脂ラバー51を含んでおり、樹脂ラバー51は、その裏面に設けられた円形の凸部510を押圧部本体50の円形の凹部500へ嵌め込むことにより装着される。
また、押圧部本体50にはボルト63の先端部分と嵌合する固定穴501が設けられており、ボルト63の先端部分を固定穴501に挿通し、先端部分が露出した側からネジ502によりネジ止めすることにより、押圧部5がボルト63の先端部分へ取り付けられる。なお、本実施形態では、押圧部本体50のボルト63の先端部分への取付け部分には遊びを設けているので、押圧部本体50はボルト63の先端部分に対して首を振ることができる。このため、本実施形態の押圧部5は、曲面を有する浴槽側壁に対しても確実に押圧することができる。
本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧部5を当接部23へ向けて前進及び後退させるための移動装置6は、可動フレーム3の垂直部32へ回動可能に取り付けられたナット61と、ナット61を回動するためのハンドルノブ62と、そして先端部が押圧部5に連結されており且つナット61に螺合するボルト63とから構成されており、さらに所定の力未満ではハンドルノブ62からナット61へ回動力を伝達し、そして、所定の力以上ではハンドルノブ62からナット61への回動力の伝達を遮断するトルク伝達・遮断手段64を含んでいる。
本実施形態では、移動装置6はナット61及びボルト63によって構成されているので、ボルト63の螺進退により押圧部5を当接部23に対して容易に近接又は離間させることができ、さらにその状態も確実に保持することができる。さらに、本実施形態では、ナット61は可動フレーム3の垂直部32へ回動可能に取り付けられており、ハンドルノブ62によってナット61を回転させることによりボルト63及びその先端に取り付けられた押圧部5が螺進退するので、ハンドルノブ62の位置は垂直部32に対して変わることがない。その結果、本実施形態では、浴槽用手摺り1からハンドルノブ62が突出するのを抑制できるので使用者にとって安全である。
また、本実施形態の移動装置6はトルク伝達・遮断手段64を備えているので、使用者がハンドルノブ62を回して押圧部5を当接部23へ向けて強力に押し込んでも浴槽側壁を破損することなく、本実施形態の浴槽用手摺り1を必要にして十分な押圧力(クランプ力)をもって浴槽側壁へ取り付けることができる。また、押圧部5の移動装置6へ上述のトルク伝達・遮断手段64を設けても、ハンドルノブ62の位置は可動フレーム3の垂直部32に対して変わることがない。
本実施形態のトルク伝達・遮断手段64は、ハンドルノブ62の回転軸に対して直交する略円形のトルク伝達面650を備えており、そしてハンドルノブ62の回転と同調し且つハンドルノブ62の回転軸に沿ってスライド可能に内装される環状部材65と、トルク伝達面650に当接し且つナット61の回転軸に対して直交する略円形のトルク伝受面660を備えた第2の環状部材66と、フランジ610を備えたナット61と、環状部材65のトルク伝達面650をナット81のトルク伝受面660へ向けて付勢する付勢手段67とから構成されており、そしてトルク伝達面650およびトルク伝受面660は、それぞれに伝達される回動力が所定の力未満ではトルク伝達面650とトルク伝受面660とを相互に係止し、且つ伝達される回動力が所定の力以上ではトルク伝達面650とトルク伝受面660との間で滑りを生じさせる傾斜面を備えた凹部または凸部を含ませることにより構成されている。
トルク伝達・遮断手段64のトルク伝達面650の中心及びトルク伝受面660の中心は、ハンドルノブ62及びナット61の回転軸と同軸上に配置されている。またトルク伝達面650上及びトルク伝受面660上には、それぞれにトルク伝達面650又はトルク伝受面660から傾斜した斜面を含む凹部/凸部が形成されている。トルク伝達面650の傾斜面及びトルク伝受面660の傾斜面は、押圧部5を浴槽側壁へ押し込むようにハンドルノブ62を回す時、互いに対向する相手側の傾斜面を昇るように勾配が付けられている。
そして、トルク伝達面650を有する環状部材65はハンドルノブ62及びナット61の回転軸に沿ってスライド可能に装着されており、且つ弾性体の付勢手段67によってトルク伝受面660に向けて付勢されている。付勢手段67は、コイルバネ、皿バネ、弾性樹脂材料など弾性変形可能なものであれば特に限定されることなく公知のものを使用することができる。
このため、トルク伝達面650の傾斜面とトルク伝受面660の傾斜面との間には常に一定の摩擦力が生じている。そしてハンドルノブ62からナット61へ伝達されるトルクが所定の値未満である時、トルク伝達面650の傾斜面はトルク伝受面660の傾斜面を乗り越えることができず、互いに噛み合った状態で係合している。そしてこの係合により、ハンドルノブ62のトルクがナット61へ伝達され、該ナット61と螺合するボルト63が可動フレーム3に取り付けられた押圧部5を浴槽側壁へ向けて押し付ける。
一方、ハンドルノブ62からナット61へ伝達されるトルクが所定の値以上になると、トルク伝達面650の傾斜面はトルク伝受面660の傾斜面との間に滑りが生じる。その結果、トルク伝達面650を備えた環状部材65は付勢手段67に抗して後退し、トルク伝達面650の傾斜面がトルク伝受面660の傾斜面を乗り越えることによって両者の係合が解除される。このため、この状態でハンドルノブ62を回してもハンドルノブ62はナット61に対して空回りするのみであり、ハンドルノブ62からナット61へトルクが伝達されることはない。
また、トルク伝達面650の傾斜面の後端にはトルク伝達面650に略直交する垂直面が形成されており、トルク伝受面660の傾斜面の後端にはトルク伝受面660に略直交する垂直面が形成されている。トルク伝達面650の垂直面とトルク伝受面660の垂直面は、可動フレーム3の押圧部5を浴槽の側壁から離間させるようにハンドルノブ62を回す時、互いに当接し係合する。そのため、ハンドルノブ62を、押圧部5を浴槽の側壁から離間させるように回す時は、伝達されるトルクの大きさに拠らず、常にハンドルノブ62とナット61は同調して回転する。
このように、トルク伝達・遮断手段64において、ナット61の回転と同調して回動するトルク伝受面660は、ナット61の外周面に取り付けられている。このため、トルク伝達・遮断手段64は、ナット61本体と一部重複して配置することができるので、トルク伝達・遮断手段64及び該トルク伝達・遮断手段64を備えたハンドルノブ62の可動フレーム3からの突出長さを抑えることができる。
また、本実施形態では、消耗部品の交換を容易にすることでトルク伝達・遮断手段64のメンテナンス性を向上させるために、トルク伝受面660は、ナット61の回転と同調するようにナット61へ着脱自在に装着された第2の環状部材66上に形成されている。
さらに、可動フレーム3の垂直部32へのナット61の着脱を容易にすることでトルク伝達・遮断手段64のメンテナンス性を向上させるため、ナット61には可動フレーム3の垂直部32に設けられた開口314へ挿通される胴部612を設け、第2の環状部材66の外径は開口314より大きな外径とすることにより、装着時は、ナット61の胴部612を開口314へ挿通し、第2の環状部材66が当接する垂直部32の側面とは反対側の側面から、ネジ691により、開口314より大きな外径を有するフランジ部材69とカバー690を第2の環状部材66と連結することで、ナット81を垂直部32へ回転自在に取り付けられるようにしている。
また、第2の環状部材85やフランジ部材69の消耗を防ぎ、ナット61の回転を円滑にするため、可動フレーム3の垂直部32は、樹脂製のワッシャー68を介して第2の環状部材66及びフランジ部材69によって挟み込まれている。
さらに、本実施形態では、ハンドルノブ62の胴部の端部には、胴部よりも拡径された拡径部621が設けられている。そして、ハンドルノブ62は、トルク伝達面650を有する環状部材65と同調して回転させられると共に、ナット61から離脱しないように、拡径部621よりも小さな内径の開口を有する上下ハンドル固定カバー622によって可動フレーム3の垂直部32へ回転自在に取り付けられている。
なお、本実施形態のトルク伝達・遮断手段64では、ハンドルノブ62の内部に設けられており、突起と突起の間に形成された凹部等からなる第1の係止手段623と、ナット61の端部に設けた欠き等の凹部からなる第2の係止手段611とをピン等の係合手段(図示せず)によって連結することにより、所定の力以上でも、常にハンドルノブ62からナット61へ回動力を伝達できるようにすることができる。
2.第2の実施形態
図1及び図9〜15を用いて、本発明の第2の実施形態に係る浴槽用手摺り1aの主な構成を説明する。
図1には、第1,2,3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1,1a,1bの全体概要が示されている。図9には、図1に示された実施形態のうち、第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bを主な部品に分解した態様が示されており、図10には、第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bの固定フレーム2aの背面図が示されており、図14には、第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bの固定フレーム2aの分解図が示されており、そして図15には、スカート4a以外は第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bの可動フレーム3を、フレーム本体3、移動装置6(トルク伝達・遮断手段64を含む)及び押圧部5へ分解した状態の概要が示されている。
図9,10,14及び15を参照してよく理解されるように、第2の実施形態の浴槽用手摺り1a(後述する第3の実施形態の浴槽用手摺り1bも含む)は、第1の実施形態の浴槽用手摺り1に対して、スカート4aが、その全体の長さを自由に調節できるように複数の短い長さの分割スカート40aに分割されている点、及びスカート4a全体の長さ調節が可能であるため、固定フレーム2aの載置部21aには可動フレーム3のスライド部31に装着されたスカート4aを受け入れるための切欠きが設けられていない点においてのみ異なり、その他の構成はすべて第1の実施形態の浴槽用手摺り1の構成と同じである。
このため、第2の実施形態の浴槽用手摺り1aについては、主に第1の実施形態の浴槽用手摺り1と異なる構成について詳述することとし、その他の第1の実施形態の浴槽用手摺り1と同じ構成については、その説明を省略することとする。また、第2の実施形態の浴槽用手摺り1a(後述する第3の実施形態に係る浴槽用手摺り1bも含む)の構成要素のうち、第1の実施形態の浴槽用手摺り1と同じ構成要素については、原則、第1の実施形態の浴槽用手摺り1と同じ符号を用いて説明することとする。
図9,10及び14に示されているように、本実施形態の浴槽用手摺り1aの基本的骨格は第1の実施形態の浴槽用手摺り1と同じであり、浴槽側壁の上面へ直接載置される載置部21aと、載置部21aと連結しており浴槽側壁の一の側面に当接される当接基部22aとを備えた倒L字形の固定フレーム2aと、固定フレーム2aの載置部21aの上にスライド可能に取り付けられるスライド部31と、スライド部31と連結しており浴槽側壁の他の側面に当接される垂直部32とを備えた倒L字形の可動フレーム3とから構成される。また、可動フレーム3のスライド部31には、可動フレーム3を固定フレーム2aへ取付けた時、固定フレーム2aの載置部21aの底面と略同じレベルとなる下端部41aを備えたスカート4aが着脱自在に取り付けられている。
図10及び14に示されているように、本実施形態の固定フレーム2aには、第1の実施形態に係る浴槽用手摺り1と同様に、載置部21aから当接基部22に亘り連続して延びている2本の補強リブ20aと、載置部21aの幅方向においてグリップ支持部242よりも外側へ向けて延びた延出部28aが設けられているが、可動フレーム3のスライド部31に装着されたスカート4aを受け入れるための切欠き7は設けられていない。
図15に示されているように、本実施形態の可動フレーム3は、スカート4aが短い長さの複数の分割スカート40aに分割されていること以外は第1の実施形態の浴槽用手摺り1と同じ構成を有している。このため、本実施形態の押圧部5はナット61及びボルト63等からなる移動装置6のナット61を回すことにより、ナット61と螺合したボルトを螺進退させて移動される。また、移動装置6はトルク伝達・遮断手段64を含んであり、ナット61はトルク伝達・遮断手段64を介してハンドルノブ62によって回転される。
図11には、第2の実施形態の浴槽用手摺り1aをボルト63の軸に沿って切り取った断面図が示されている。また、図12には、第2の実施形態の浴槽用手摺り1aにおいて、固定フレーム2aと可動フレーム3とを(a)分離した状態、(b)離間接続した状態および(c)近接接続した状態のそれぞれの概要図が示されており、図13には、図12に示された第2の実施形態の浴槽用手摺り1aにおいて、固定フレーム2aと可動フレーム3とを(a)離間接続した状態および(b)近接接続した状態のそれぞれの側面図が示されている。
本実施形態のスカート4aは、第1の実施形態で説明をしたスカート4の可動フレーム3のスライド方向に沿った長さを短く分割することにより、それらの組み合わせ連結によりスカート4a全体の長さを調節できるようにしたものである。そのため、スライド方向の長さが短く分割された分割スカート40aはぞれぞれに、可動フレーム3を固定フレーム2aへ取付けた時、固定フレーム2aの載置部21aの底面213aと略同じレベルとなる下端部41aを備えている。
また、本実施形態では、固定フレーム2aに対する可動フレーム3の取り付け位置、換言すれば、固定フレーム2aの当接基部22aと可動フレーム3の垂直部32aとの離間距離を変更しても、固定フレーム2aの載置部21aの上面からははみ出した可動フレーム3のスライド部31の長さに合わせてスライド部31へ装着すべきスカート4a全体(分割スカート40aの連結体)の長さを調節することができる。このため、固定フレーム2aに対する可動フレーム3の取り付け位置をどのように変えても、固定フレーム2aの当接基部22aと干渉しないようにスカート4a長さを自由に調節できるので、固定フレーム2aの載置部21aにはスカート4aをスライド方向に受け入れるための切欠きは設けられておらず、省略されている。
本実施形態のスカート4aは、可動フレーム3とは分離独立した別部品として構成されており、スカート4aを構成する1つの分割スカート40aは、先述した第1の実施形態のスカート4の可動フレーム3のスライド方向の長さに対して約3分の1の長さへ分割されている。本実施形態では、上述した短い長さの分割スカート40aが複数個準備されているので、可動フレーム3のスライド部31へ装着する分割スカート40aの個数を調整することによりスカート4a全体の長さを調節することができる。
また、本実施形態の分割スカート40aは下向きのコの字形状を有しており、分割スカート40aの下端部41a付近には、可動フレーム3の下面と摺接することによりスライド部32から離脱を防止する水平リブ42aが内側へ向けて設けられている。このため、分割スカート40a及びそれらの集合体であるスカート4aは、可動フレーム3のスライド部32に対して横方向からスライド挿入することにより、スライド部32の上に簡単に着脱することができる。
本実施形態では、可動フレーム3のスライド方向に沿った分割スカート40aの長さは任意であり特に制限はないが、分割スカート40aの長さが短ければ短いほどスカート4a全体の長さを細かく調節することができる。例えば、本実施形態のように可動フレーム3のスライド部32がネジ止めにより固定フレーム2aの載置部21aへ固定されるようなタイプの場合、分割スカート40aの長さは少なくとも1種類がネジ止めに使用される固定用ネジ穴211a(又は貫通孔311)のピッチと同じ長さであることが好ましく、さらに固定用ネジ穴211a(又は貫通孔311)のピッチ以下の長さを有する分割スカート40aが準備されているとより好ましい。また、異なる長さの分割スカート40aを複数個準備しておけば、スカート4a全体の長さをより広範囲に且つ細かく調節することができるようになる。
本実施形態のように固定フレーム2aの上に可動フレーム3を取り付けるタイプの浴槽用手摺り1aの場合、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も離間した位置に固定しようとすると、可動フレーム3の水平部分(横部材)を構成するスライド部31の下面には重なり合う固定フレーム2aの載置部21aの端部により段差が形成される。ところが、本実施形態の場合は、押圧部5が移動する範囲のスライド部31の全領域において上述した分割スカート40aを装着することにより、スライド部31の分割スカート40aが装着された領域の下端部41aは固定フレーム2aの載置部21aの底面213aと略同じレベルに接続されるため、引っ掛かりを生じることなく、可動フレーム3と固定フレーム2aとの間での押圧部の円滑な移動が保証される(図12(b),図13(a)参照)。
一方、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も近接した位置に固定しようとすると、下端部41aを備えたスカート4aのリブが固定フレーム2aの載置部21aと干渉してしまい、可動フレーム3をスカート4aの長さ以下に固定フレーム2aへ近接させることができなくなる。ところが、本実施形態の場合、スカート4aはさらに短い複数個の分割スカート40aに分割されており、可動フレーム3のスライド部31に装着する分割スカート40aの個数を調整することによりスカート4a全体の長さを自由調節できるので、分割スカート40aのリブを固定フレーム2aの載置部21aと干渉させることなく、可動フレーム3のスライド部31の大半を固定フレーム2aの載置部21aと重なり合うように近接させることができる(図12(c)参照)。
本実施形態の場合、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も近接した位置に固定する時は、図12(c)及び図13(b)に示されているように、スライド部31への分割スカート40aの装着は省略される。
また、固定フレーム2aの載置部21aからはみ出した可動フレーム3のスライド部31には、押圧部5が移動する範囲に応じて任意の長さ、個数の分割スカート40aを取り付けることができるので、スライド部31の分割スカート40aが装着された領域の下端部41aは固定フレーム2aの載置部21aの底面213aと略同じレベルに保持される結果、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も離間した位置に固定する場合と同様に、引っ掛かりを生じることなく、可動フレーム3と固定フレーム2aとの間での押圧部5の円滑な移動が保証される(図13(b)参照)。
3.第3の実施形態
図1及び図9,10,14〜17を用いて、本発明の第3の実施形態に係る浴槽用手摺り1bの主な構成を説明する。
図1には、第1,2,3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1,1a,1bの全体概要が示されている。図9には、図1に示された実施形態のうち、スカート4a以外は第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bを主な部品に分解した態様が示されており、図10には、第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bの固定フレーム2aの背面図が示されており、図14には、第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bの固定フレーム2aの分解図が示されており、そして図15には、スカート4a以外は第2,第3の実施形態に共通の浴槽用手摺り1a,1bの可動フレーム3を、フレーム本体3、移動装置6(トルク伝達・遮断手段64を含む)及び押圧部5へ分解した状態の概要が示されている。
図9,10,14及び15を参照してよく理解されるように、第3の実施形態の浴槽用手摺り1bは、第1の実施形態の浴槽用手摺り1に対して、スカート4bの下端部41bを有する垂直リブが、その長さを自由に調節できるように短い長さの跳ね上げ可能な開閉リブ40bへ分割されている点、及びスカート4bの下端部41bを有する垂直リブ全体の長さ調節が可能であるため、固定フレーム2aの載置部21aには可動フレーム3のスライド部31に装着されたスカート4bを受け入れるための切欠きが設けられていない点においてのみ異なり、その他の構成はすべて第1の実施形態の浴槽用手摺り1の構成と同じである。
また、第3の実施形態の浴槽用手摺り1bは、第2の実施形態の浴槽用手摺り1aに対して、分割スカート4bの構造のみが異なり、その他の構成はすべて第2の実施形態の浴槽用手摺り1aの構成と同じである。なお、第3の実施形態では、短い長さの跳ね上げ可能な開閉リブ40bを有するスカート部分を分割スカート40bと呼ぶこともある。
このため、第3の実施形態の浴槽用手摺り1bについては、主に第1,第2の実施形態の浴槽用手摺り1,1aと異なる構成について詳述することとし、その他の第1,第2の実施形態の浴槽用手摺り1,1aと同じ構成については、その説明を省略することとする。また、第3の実施形態に係る浴槽用手摺り1bの構成要素のうち、第1,第2の実施形態の浴槽用手摺り1,1aと同じ構成要素については、原則、第1,第2の実施形態の浴槽用手摺り1,1aと同じ符号を用いて説明することとする。
図9,10及び14に示されているように、本実施形態の浴槽用手摺り1bの基本的骨格は第1,第2の実施形態の浴槽用手摺り1,1aと同じであり、浴槽側壁の上面へ直接載置される載置部21aと、載置部21aと連結しており浴槽側壁の一の側面に当接される当接基部22aとを備えた倒L字形の固定フレーム2aと、固定フレーム2aの載置部21aの上にスライド可能に取り付けられるスライド部31と、スライド部31と連結しており浴槽側壁の他の側面に当接される垂直部32とを備えた倒L字形の可動フレーム3とから構成される。また、可動フレーム3のスライド部31には、可動フレーム3を固定フレーム2aへ取付けた時、固定フレーム2aの載置部21aの底面と略同じレベルとなる下端部41bを備えたスカート4bが着脱自在に取り付けられている。
図10及び14に示されているように、本実施形態の固定フレーム2aには、第1の実施形態に係る浴槽用手摺り1と同様に、載置部21aから当接基部22に亘り連続して延びている2本の補強リブ20aと、載置部21aの幅方向においてグリップ支持部242よりも外側へ向けて延びた延出部28aが設けられているが、可動フレーム3のスライド部31に装着されたスカート4bを受け入れるための切欠き7は設けられていない。
図15に示されているように、本実施形態の可動フレーム3は、スカート4bの下端部41bを有する垂直リブが、その長さを自由に調節できるように短い長さの跳ね上げ可能な開閉リブ40bへ分割されていること以外は第1,第2の実施形態の浴槽用手摺り1,1aと同じ構成を有している。このため、本実施形態の押圧部5はナット61及びボルト63等からなる移動装置6のナット61を回すことにより、ナット61と螺合したボルトを螺進退させて移動される。また、移動装置6はトルク伝達・遮断手段64を含んであり、ナット61はトルク伝達・遮断手段64を介してハンドルノブ62によって回転される。
図16には、第3の実施形態の浴槽用手摺り1bにおいて、固定フレーム2aと可動フレーム3とを(a)分離した状態、(b)離間接続した状態および(c)近接接続した状態のそれぞれの概要図が示されており、図17には、図16に示された第3の実施形態の浴槽用手摺り1bにおいて、固定フレーム2aと可動フレーム3とを(a)離間接続した状態および(b)近接接続した状態のそれぞれの側面図が示されている。
本実施形態のスカート4bは、第1の実施形態で説明をしたスカート4の下端部41を有する垂直リブを、可動フレーム3のスライド方向に沿った長さが短く且つ個々に跳ね上げ可能な開閉リブ40bに分割することにより、開閉リブ40bの開閉個数の調整によりスカート4bの下端部41bを有する垂直リブ全体の長さを調節できるようにしたものである。そのため、スカート4bの開閉リブ40bは、可動フレーム3を固定フレーム2aへ取付けた状態において跳ね上げた(開いた)時は、固定フレーム2aの載置部21aよりも上側に配置され、閉じた時は、開閉リブ40bの下端部41bが固定フレーム2aの載置部21aの底面213aと略同じレベルとなるように配置される。
なお、本実施形態では、スカート4bの開閉リブ40bのそれぞれは、例えばヒンジ等の回動手段を介してスカート4bの水平部分に取り付けられており、可動フレーム3のスライド方向と直交する面に沿って跳ね上げることができる。
本実施形態では、固定フレーム2aに対する可動フレーム3の取り付け位置、換言すれば、固定フレーム2aの当接基部22aと可動フレーム3の垂直部32aとの離間距離を変更しても、固定フレーム2aの載置部21aの上面からははみ出した可動フレーム3のスライド部31の長さに合わせてスカート4bの開閉リブ40bを閉じた状態とし、残りの開閉リブ40bを開いた(跳ね上げた)状態とすることで、スカート4bの下端部41bを形成する垂直リブ全体の長さを調節することができる。
このため、本実施形態では、固定フレーム2aに対する可動フレーム3の取り付け位置をどのように変えても、固定フレーム2aの当接基部22aと干渉しないようにスカート4bの垂直リブ長さを自由に調節できるので、固定フレーム2aの載置部21aにはスカート4bの垂直リブをスライド方向に受け入れるための切欠きは設けられておらず、省略されている。
本実施形態のスカート4bは、可動フレーム3とは分離独立した別部品として構成されており、スカート4bの開閉リブ(分割スカート)40bは、先述した第1の実施形態のスカート4の可動フレーム3のスライド方向の長さに対して約3分の1の長さへ分割されている。本実施形態では、開閉リブ40bの閉じた状態と開いた(跳ね上げた)状態とを調整することで、スカート4bの下端部41bを形成する垂直リブ全体の長さを調節することができる。
また、本実施形態では、開閉リブ(分割スカート)40bを備えたスカート4bは、下向きのコの字又はCの字形状を有している。このため、スカート4bは、可動フレーム3のスライド部32に対して横方向からスライド挿入することにより、スライド部32の上に簡単に着脱することができる。
本実施形態では、可動フレーム3のスライド方向に沿ったスカート4bの開閉リブ(分割スカート)40bの長さは任意であり特に制限はないが、開閉リブ(分割スカート)40bの長さが短ければ短いほどスカート4bの垂直リブ全体の長さを細かく調節することができる。例えば、本実施形態のように可動フレーム3のスライド部32がネジ止めにより固定フレーム2aの載置部21aへ固定されるようなタイプの場合、開閉リブ(分割スカート)40bの長さは少なくとも1種類がネジ止めに使用される固定用ネジ穴211a(又は貫通孔311)のピッチと同じ長さであることが好ましく、さらに固定用ネジ穴211a(又は貫通孔311)のピッチ以下の長さを有する開閉リブ(分割スカート)40bが準備されているとより好ましい。
本実施形態のように、固定フレーム2aの上に可動フレーム3を取り付けるタイプの浴槽用手摺り1bの場合、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も離間した位置に固定しようとすると、可動フレーム3の水平部分(横部材)を構成するスライド部31の下面には重なり合う固定フレーム2aの載置部21aの端部により段差が形成される。ところが、本実施形態の場合は、スライド部31に装着したスカート4bのうち、スライド部31が固定フレーム2aの載置部21aの上部に配置される範囲の分割リブのみを跳ね上げ、固定フレーム2aの載置部21a以外で押圧部5が移動する範囲の開閉リブ(分割スカート)40bのみを下方へ倒すことにより、スライド部31の開閉リブ(分割スカート)40bが下方へ倒された領域の下端部41bは固定フレーム2aの載置部21の底面213aと略同じレベルに接続されるため、引っ掛かりを生じることなく、可動フレーム3と固定フレーム2aとの間での押圧部5の円滑な移動が保証される(図16(b),図17(a)参照)。
一方、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も近接した位置に固定しようとすると、下端部41bを備えたスカート4bの開閉リブ(分割スカート)40bが固定フレーム2aの載置部21aと干渉してしまい、可動フレーム3をスカート4bの長さ以下に固定フレーム2aへ近接させることができなくなる。ところが、本実施形態の場合は、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も離間した位置に固定する場合と同様に、スライド部31に装着したスカート4bの開閉リブ(分割スカート)40bうち、スライド部31が固定フレーム2aの載置部21aの上部に配置される範囲の開閉リブ(分割スカート)40bのみを跳ね上げ、固定フレーム2aの載置部21a以外で押圧部5が移動する範囲の開閉リブ(分割スカート)40bのみを下方へ倒すことにより、スカート4bの開閉リブ(分割スカート)40bを固定フレーム2aの載置部21aと干渉させることなく、可動フレーム3のスライド部31の大半を固定フレーム2aの載置部21aと重なり合うように近接させることができる(図16(c)参照)。
本実施形態の場合、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も近接した位置に固定する時は、図16(c)及び図17(b)に示されているように、スライド部31へ装着されたスカート4bの開閉リブ(分割スカート)40bは、全て固定フレーム2aの載置部21a上に跳ね上げられる。
また、固定フレーム2aの載置部21aからはみ出した可動フレーム3のスライド部31には、押圧部5が移動する範囲に応じて任意の長さに調整した開閉リブ(分割スカート)40bを有するスカート4bを取り付けることができるので、スライド部31のスカート4bが装着された領域の下端部41bは固定フレーム2aの載置部21aの底面213aと略同じレベルに保持される結果、可動フレーム3を固定フレーム2aに対して最も離間した位置に固定する場合と同様に、引っ掛かりを生じることなく、可動フレーム3と固定フレーム2aとの間での押圧部5の円滑な移動が保証される(図17(b)参照)。
4.その他
第1,2,3の実施形態の浴槽用手摺り1,1a,1bは、上述したように、可動フレーム3に対して移動可能に取り付けられた押圧部5が固定フレーム2,2aの端部によって可動フレーム3の下面に形成された段差での引っ掛かりを防止することをその目的としている。このため、本実施形態によりその利益を最も享受し得るタイプの押圧部5の移動手段としては、ボルト又はナットのいずれかを回動させてボルトに回動力を伝達させながら螺進退させるものがある。
より具体的には、本実施形態のように押圧部5を支持するボルト63と、ボルト63と螺合し且つ可動フレーム3の縦部材を構成する垂直部32に回動自在に取り付けられているナット61と、ナット61を回動するためのハンドルノブ62とを含んでいる移動装置6や、或いは特許文献1に記載されているように押圧部を支持するボルトと、ボルトと螺合し且つ可動フレームの縦部材を構成する垂直部に回動不能に固定されているナットと、ボルトを回動するためのハンドルノブとを含んでいる移動装置が、本実施形態によるスカート4,4a,4b及び切欠き7、若しくは分割スカート40a,40bの適用により最も利益を享受し得るタイプの移動手段として挙げられる。
また、第1,2,3の実施形態の浴槽用手摺り1,1a,1bは、側面視において逆L字形状を有している固定フレーム2,2aを浴槽側壁に直置きし、そして固定フレーム2,2aの横部材を構成する載置部21,21aの上に逆L字形状を有している可動フレーム3を取り付けることにより、可動フレーム3に取り付けられた押圧部5を浴槽側壁へ押し付けても固定フレーム2,2aと浴槽側壁の上面との間に位置ズレや応力(摩擦力)を生じることなく、当接部23,23aと押圧部5のクランプ力により浴槽側壁へ強固に取り付けることができることを特徴としている。
このため、本実施形態では、上記の特徴を最大限に活用するために、浴槽用側壁の上方であって固定フレーム2,2aの上方に配置されるメイングリップ24は、浴槽側壁の上面との関係で位置ズレや応力(摩擦力)を生じることない固定フレーム2,2a側へ取り付けられている。また、本実施形態では、押圧部5及びその移動装置6は洗い場側ではなく浴槽側にセットされる可動フレーム3に取り付けられるので、押圧部5及び押圧部5を担持したボルト63を螺進退させるためのハンドルノブ62の浴槽内への突出量は極力抑えられている。このため、第1,2,3の実施形態の浴槽用手摺り1,1a,1bでは、上述した2種類の押圧部の移動装置のうち、回転させても可動フレーム3に対するハンドルノブ62の位置が変わらない前者のタイプの移動装置6が採用されている。