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JP6901715B2 - パイナップル残渣の処理方法 - Google Patents
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Description

本発明はパイナップル残渣の処理方法に関する。
特許文献1(特開2016−044129号公報)にはパイナップル果芯の処理方法として、切断や破砕したパイナップル果芯に対してpH4〜8、好ましくはpH5〜7の条件下においてセルラーゼ酵素処理剤により酵素処理する方法が示されている。この方法により化粧料の原料等として用いられ得る新規な保湿剤が得られ、廃棄物として扱われてきたパイナップル果芯の有効利用が図られる。
ところで、工業用酵素剤として提供されているセルラーゼ酵素剤は、微生物から取得される酵素であって、セルラーゼを1種又は複数種含み、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼの他にβ−グルコシダーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼなど多糖類の還元末端や非還元末端から単糖に分解する加水分解酵素などを含む。そのために、特許文献1に記載された方法により得られた生成物中にはグルコースが多く含まれることが予想され、実測したところグルコースの含有量が高いことが分かった。従って、この方法で得られた生成物を食品などに添加した場合には甘味が増加するなど味質に影響を与え、摂取カロリーが多くなるなど使用上の制限や不適切事案が発生する。したがって、パイナップル果芯の処理物を食品等へ使用するためには出来る限りグルコース生成量を抑えた処理方法が望まれる。そのためにはセルラーゼを含まないヘミセルラーゼのみを分離精製するか、もしくは、酵素剤による分解後にグルコースを除去する必要があった。
ところで、種々のセルラーゼ酵素剤を用いてリグニン、セルロース、ヘミセルロースなどを含むセルロース系原料からオリゴ糖含有量の多い処理物を得る方法が知られている。例えば、特許文献2(再公表特許WO2017/170919号公報)には、pH5.5〜8に調整したキシラナーゼを含むセルラーゼ酵素剤を35〜60℃で保温することでβ−キシロシダーゼやβ−グルコシダーゼを失活させたセルロース酵素剤を用いて、好ましくはpH6.0〜8.0で加水分解してキシロオリゴ糖を得る方法が示されている。特許文献3(特開2009−189293号公報)には、セルラーゼ酵素剤を水系媒体に懸濁又は溶解させ、pH7以上で30℃以上に加熱することでβ−グルコシダーゼ活性を抑えたセルラーゼ酵素剤を用いて、セロオリゴ糖を得る方法が示されている。また、特許文献4(特開2006−204294号公報)では、好ましくはpH5.5〜9.0に調整したセルローススラリーにセルラーゼを添加し、5〜60℃の温度でβ−グルコシダーゼ以外のセロオリゴ糖生成に必要な酵素をセルロースに吸着させてさらに酵素反応を行わせる方法が、そして特許文献5(特開昭63−226294号公報)には、不溶性セルロースを含有する物質とセルラーゼを水性媒体中、好ましくはpH3〜7の水性媒体中で保温した後に固形画分を分離するとともに、得られた固形画分をさらに好ましくはpH3〜7の水溶性溶液を用いて洗浄することでβ−グルコシダーゼを除き、その後に固形画分を好ましくはpH3〜7で加水分解することで高い含有量のセロビオースを含む生成物を得る方法が示されている。
しかしながら、特許文献2に示された方法では、β−グルコシダーゼ活性やβ−キシロシダーゼ活性が低減しているといえどもセルラーゼ活性が残っているためにそれらを用いてパイナップル果芯を処理した場合に、グルコースの含有量が抑えられたオリゴ糖が生成されるとは言えなかった。特許文献3ではアルカリ側で加熱することでセルラーゼ活性が失われないことが示されているが、この方法で得られた酵素を用いて特許文献1に記載された方法と同様に処理した場合にはグルコースの生成を抑制することはできない。また、特許文献4においては大部分のリグニン、ヘミセルロースが除去されたパルプが用いられ、特許文献5においては合成されたセルロースが用いられている。このため、リグニンやヘミセルロースなどが付着したパイナップル果芯を同様な方法で処理した場合にもセロビオース以外のオリゴ糖が生成されるとも考えられなかった。それだけでなく、特許文献4や5では最終的にセルラーゼでセルロースを分解させているので、この処理方法でもパイナップル果芯中のセルロースからグルコースが生成することが容易に予測される。
特開2016−044129号公報 再公表特許WO2017/170919号公報 特開2009−189293号公報 特開2006−204294号公報 特開昭63−226294号公報
本願に係る発明は上記の背景技術のもとになされたものであって、本願に係る発明が解決しようとする課題は、廃棄物として処理されているパイナップル残渣を飲食品・化粧品などに再利用できる処理方法を提供することにある。
そこで本願発明者らは種々試行錯誤したところ、まず中性からアルカリ性の条件下でセルラーゼ酵素剤とパイナップル残渣を接触させた後、その後固液分離して得られた固体部分を酸性液体中で加温したところ、グルコースの生成量が抑えられた状態でヘミセルロース分解物が生成することを見いだし、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明に係る処理方法は、パイナップル残渣をpH7以上の中性からアルカリ性条件下の水性媒体中でセルラーゼ酵素剤と接触させる第1の工程と、前記接触後に固液分離する第2の工程と、分離して得られた固形部分を水性媒体中で放置する第3の工程を有するパイナップル残渣の処理方法である。
本願発明によると、パイナップル残渣からグルコースの生成が抑制されたヘミセルロース分解物を含む処理物が得られる。
図1は本願発明に係る処理方法の一例を示すフロー図である。 図2は前処理の異なるパイナップル残渣を処理した際に得られた生成物の薄層クロマトグラムの画像である。レーン1〜6は本願発明による処理方法を行ったものであって、レーン1,4は非加熱の無処理パイナップル果芯残渣を用いた場合、レーン2,5は100℃10分の加熱処理を行ったパイナップル果芯残渣を用いた場合、レーン3,6は121℃15分のオートクレーブによる加熱処理を行ったパイナップル果芯残渣を用いた場合を示し、レーン7,8は酸性下で直ちにパイナップル果芯残渣を酵素処理した比較例であって、レーン7は非加熱の無処理パイナップル果芯残渣を用いた場合、レーン8は121℃15分のオートクレーブによる加熱処理を行ったパイナップル果芯残渣を用いた場合を示す。 図3は異なるpHでパイナップル果芯残渣を処理した際に得られた生成物の薄層クロマトグラムの画像である。 図4は異なる種類のセルラーゼ酵素剤を用いてパイナップル果芯残渣を処理した際に得られた生成物の薄層クロマトグラムの画像である。
本願発明に係る処理方法は、パイナップル残渣をpH7以上の中性からアルカリ性の条件下において水性媒体中でセルラーゼ酵素剤と接触させる第1の工程と、前記接触後に固液分離する第2の工程と、分離して得られた固形部分を水性媒体中で放置する第3の工程を有するパイナップル残渣の処理方法である。
本願方法において用いられるパイナップル残渣は、パイナップル科アナナス属に属する植物であるパイナップルの果実から可食部及び果皮を除いたいわゆるパイナップル果芯の部分を含む残渣であり、食用への加工後通常廃棄される部分である。本願発明はこの廃棄される部分を利用するものであるが、可食部が含まれることもあり得る。例えば、パイナップルから果皮及び可食部を除いた果芯部分やパイナップル果実から果汁を搾り取った後の残渣(果芯部分を含む)が用いられる。
パイナップル残渣は、セルラーゼ酵素剤と接触させる前に予め切断及び/又は破砕されることが好ましい。オートクレーブや煮沸などによる加熱処理を行ったパイナップル残渣を用いることもできるが、本願発明においては加熱処理を行っていないパイナップル残渣を用いるのが好ましい。加熱処理を行うことで処理物中のグルコースが増える傾向にあるからである。一方、脱リグニン処理が施されたパイナップル残渣を用いることもできる。脱リグニン処理の方法は特に限定されるものでなく、例えば1〜10%程度の次亜塩素酸のアルカリ性水溶液に室温又は30℃〜50℃程度の加温下で30分〜数時間、パイナップル残渣を浸漬させることで行われる。
第1の工程はパイナップル残渣とセルラーゼ酵素剤をpH7以上の中性からアルカリ性の条件下、水性媒体中で接触させる工程である。本発明において用いられ得るセルラーゼ酵素剤はセルラーゼ及びヘミセルラーゼを含む酵素剤であればよい。セルラーゼはセルロース分解活性を有する酵素、ヘミセルラーゼはヘミセルロース分解活性を有する酵素であり、ヘミセルロース分解活性を有する酵素として、例えば、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、グルカナーゼ、ペクチナーゼ、アラバナーゼ、マンナナーゼ、マンノシダーゼなどが挙げられる。セルラーゼ酵素剤には、キシロシダーゼやガラクトシダーゼ、グルコシダーゼなど多糖類を還元末端や非還元末端から加水分解して単糖を生成する酵素も含み得る。また、本願発明において用いられ得るセルラーゼ酵素剤は、セルラーゼやヘミセルラーゼと称される酵素剤の他、ペクチナーゼ、フェルラ酸エステラーゼなどとセルラーゼやヘミセルラーゼ以外の名称で称される酵素剤でもあり得る。ペクチナーゼ、フェルラ酸エステラーゼなどと称される酵素剤は酵素活性が強い酵素名が標榜されているものであって、微生物由来のこれらの酵素剤には副産物としてセルラーゼを含み得るからである。セルラーゼ酵素剤の由来は問われず、例えば特許文献2や3に例示されたように、アスペルギウス属、例えばアスペルギウス・ニガー(Aspergillus niger)由来のセルラーゼ酵素剤や、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来の各種酵素剤が使用され得る。
第1工程において用いられる水性媒体は好ましくは水である。セルラーゼ酵素剤中のヘミセルラーゼ活性を大きく失活させない限り、アルコールなどの有機溶媒も含み得る。水性媒体のpHは7以上である。一方、アルカリ性が高くなればグルコースの生成が抑えられる傾向にあるがヘミセルロース分解物の生成量が少なくなる傾向にあるので、好ましくはpH10以下、より好ましく9以下、望ましくはpH7以上8以下に調整される。pHが7未満であれば、セルラーゼ酵素剤とパイナップル残渣の接触によりグルコースが多量に生成され得る。また、pH10を越えるとグルコースの生成が抑えられる傾向にあるが、ヘミセルロース分解物の生成量も少なくなる傾向にある。
水性媒体中におけるセルラーゼ酵素剤とパイナップル残渣の接触は1℃以上の温度条件で行えばよく、好ましくは20℃〜40℃程度に加温することが好ましい。加温することでセルラーゼ酵素剤とパイナップル残渣の接触が良くなり、最終生成物中のグルコース生成量が少なくなる傾向にある。ただし、加温しすぎるとセルラーゼの活性によりグルコースが生成されるだけでなく、セルラーゼ酵素剤が失活して処理物中のヘミセルロース分解物の生成量が少なくなるおそれがある。
接触時間も当業者が適宜決定できる事項であって、接触温度やpH、処理量によっても異なるが、概ね5分〜1時間程度である。この第1の工程においては、セルラーゼ酵素剤中の主としてヘミセルラーゼが吸着されると考えられるので、十分な吸着が行われる時間が必要である。従って、少なくとも5分以上、好ましくは10分以上接触させるのがよい。一方、長時間接触させる意義は少なく、接触時間が長くなるとグルコースの生成量が増える傾向にあるので、長くとも2〜3時間もあれば十分である。
第2の工程はセルラーゼ酵素剤とパイナップル残渣を接触させた後、固形部分と液体部分を分離する工程である。この工程により、パイナップル残渣とその残渣に吸着された酵素と、吸着されなかった酵素が分離される。固液分離する方法は特に限定されるものでなく、ろ過や遠心分離する方法が例示される。また、目視でパイナップル残渣を取り出してもよい。その後、固液分離された固形部分は第3の工程に付される。このとき、必要に応じて取得した固形部分を水などの水性媒体で洗浄することが好ましい。
第3の工程は固液分離で得られた固形部分を水性媒体中で放置する工程である。この工程において固形成分であるパイナップル残渣が酵素反応により分解され、パイナップル残渣の分解が進む。固形部分にはヘミセルラーゼが固液分離で分離されずに残存していると考えられるので、パイナップル残渣の加水分解が生じてヘミセルロース分解物が生成する。従って、この第3の工程では外部からセルラーゼ酵素剤を新たに加えることなくヘミセルロース分解物を生成させることができる。第3の工程において用いられる水性媒体も好ましくは水である。ヘミセルラーゼ活性を大きく失活させない限り、水性媒体にはアルコールなどの有機溶媒も含み得る。
第3の工程は固形部分が酵素反応により徐々に進行するので、水性媒体に固形部分を懸濁させて放置するだけでもよい。この際、酵素反応が生じる条件下で放置すればよく、例えば1〜30℃程度の室温におくだけでよい。もっとも、ヘミセルロース分解物を生成、取得する目的の場合には酵素反応を促進させることが好ましい。酵素反応を促進させる観点からは、好ましくは残存した酵素の好適な反応条件で放置する。ヘミセルラーゼは一般にはpH7未満の酸性下、特にpH4〜6に至適pHを有する種類の酵素が多いので、ヘミセルロース分解物の生成のためには水性媒体はpH7未満の酸性下、好ましくはpH4以上6以下に調整される。また30℃以上60℃以下に加温することが好ましい。さらに分解を促進する観点からは攪拌することが望まれる。放置時間も適宜定め得るが、長時間加温し過ぎるとキシロースやグルコースその他の単糖が多く生成する可能性がある。
この第3の工程によってパイナップル残渣に由来する固形部分とそれ以外の液体部分とからなる処理物が得られる。固形部分はパイナップル残渣の分解物である繊維質を含み、液体部分はヘミセルロースがヘミセルラーゼによって分解されたヘミセルロース分解物を含む。このヘミセルロース分解物には2〜10個の単糖から構成されるオリゴ糖及びそれ以上30個程度までの糖鎖長を有する多糖が含まれる。処理物は必要に応じて固形部分と液体部分に分離される。分離する方法も適宜の方法で行われ、ろ過や遠心分離する方法が例示される。また、固形部分と液体部分に分離するか否かを問わず、処理物に対して必要に応じて加熱などの酵素を失活させる処理を施しても良い。
液体部分に含まれるヘミセルロース分解物の多くはアラビノース、キシロース、ガラクトースを構成糖とする。第1及び第2の工程を経ることでセルラーゼが除去されていると考えられるのでそれらはほぼヘミセルロース由来のものと考えられる。また、液体部分はキシロースやガラクトースの他グルコースなどの単糖類も含み得るが、第1及び第2の工程を経ずに処理した場合に比べるとグルコースの生成量は抑えられる。従って、液体からグルコースを分離せずに用いた場合でも甘味が少なく低カロリーの組成物を得ることができる。また、本発明の処理方法により得られた処理物の液体部分は、アラビノースやキシロース、ガラクトース、グルコースなどを構成糖とする多種類のヘミセルロース分解物を含むので、健康志向を目指した食品組成物に好適に使用できる。また、それだけでなく、医薬組成物の添加物や化粧用組成物の素材として好適に用いることができ、パイナップル残渣、特にパイナップル果芯といったパイナップル由来の廃棄物のさらなる有効利用が図られる。
上記3つの工程によって得られた処理物を固液分離して得られた液体部分は、そのまま前記各組成物の原料として用いることができる他、濃縮、凍結乾燥やスプレードライにより乾燥物の形態で利用できるのは言うまでもなく、さらに種々の方法により分画、精製して構成糖が異なるヘミセルロース分解物として使用することもできる。一方、処理物中の固形部分はそのままあるいは乾燥物の形態で食物繊維として利用したり、動物用飼料として利用することもできる。もちろん、液体部分と固体部分を分離することなく利用してもよく、得られた処理物を乾燥させた後に、ヘミセルロース分解物を含む乾燥物を得る方法も採用できる。
以下、本願に係る発明について実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されないのは言うまでもない。
廃棄物として出されたパイナップル果芯を用いてセルラーゼ酵素剤による処理を試みた。セルラーゼ酵素剤には、市場で入手される商品名Multifect GC Extra(デュポン社製:以下「Multifect」と称する。)を用いた。このセルラーゼ酵素剤は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来の(hemi)cellulase、xylanase及びglucanaseを少なくとも含む。
図1にパイナップル残渣の処理方法を示した。すなわち、パイナップルの果芯を破砕して得られた果芯残渣1gにpH7のリン酸緩衝液を加えた後、水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整した。これにセルラーゼ酵素剤を加えて攪拌した後、30℃で30分放置した。次いで、濾過により固形部分である残渣(R1)と濾液(S1)を得た。残渣(R1)を水で洗浄した後、残渣に水を加えて塩酸でpH5に調整した。その後、50℃で約2時間加温を行って処理物を得た後、濾過を行って液体部分である濾液(S2)と固形部分である残渣(R2)に分離した。その後、濾液(S2)を凍結乾燥して乾燥物を得た。ここでは加熱処理などの処理が施されていない生の果芯残渣(無処理果芯残渣)と100℃10分の加熱処理又は121℃15分の加熱処理(オートクレーブ処理:AC処理)を行った加熱処理残渣についても同様の処理を行った。また比較例として、無処理果芯残渣と121℃15分の加熱処理を行った加熱処理残渣について、pH5の酸性下で直ちに酵素処理を行った。
パイナップル果芯から得られた濾液(S2)中の糖成分を薄層クロマトグラフィ(TLC)により分析した。得られた薄層クロマトグラムの画像を図2に示した。また、濾液中(S2)の糖成分について分析したところ表1に示す結果が得られた。
次に実施例である無処理果芯残渣における濾液(S2)を酸加水分解することで構成糖の変化を調べた。その結果を表2に示す。構成糖の含有量はHPAEC-PAD(High Performance Anion Exchange chromatography - Pulsed Amperometric Detection)を用いて測定した。また、図示はしないが、高速液体クロマトグラフィを用いて濾液(S2)中の糖を分析したところ、平均重合度が約10から30の糖成分(多糖)が検出され、これを酸加水分解したところ単糖のピークのみが検出された。
Figure 0006901715
Figure 0006901715
図2に示されたように、pH7で放置した後の濾液(レーン1,2,3)においてはいずれの果芯残渣もグルコースの生成量が少なく、また、オリゴ糖のスポットやそれ以外のオリゴ糖や多糖を含むヘミセルロース分解物と思われる原点成分の生成も見られたがその量は少なかった。しかし、第2の工程により得られた残渣(R1)を酸性液体中で加温したところ(第3の工程)、いずれの果芯残渣(レーン4,5,6)においても単糖類、オリゴ糖及び原点成分の増加は見られたものの、特に加熱処理を行っていない無処理果芯(レーン4)では、pH5で直ちに酵素分解した場合(レーン7,8)に比べてグルコースの増加量が著しく抑えられていた。表1に示されたように、オートクレーブ処理した果芯残渣を用いて第1〜第3の工程を経た場合には、オートクレーブ処理を行わなかった場合に比べてグルコースの生成量が増加し、第1,第2の工程を経ることなく酵素処理を行った場合には、グルコースの生成量がさらに増加した。また、表2に示されたように濾液(S2)中にはグルコースの他アラビノースやガラクトース、キシロースが含まれるが、酸加水分解により、グルコースはほとんど増加しないのに対し、アラビノース、ガラクトース 、キシロースが顕著に増加した。これらのことから、第3の工程ではセルラーゼによるセルロースの分解ではなく、ヘミセルラーゼによるヘミセルロースの分解により、ヘミセルロース分解物が生じていると考えられた。
第3の工程における接触時間を変化させて実施例1と同様な処理を行った。その結果を表3に示す。これは無処理果芯残渣を用いた場合である。グルコース量、全糖量及び還元糖量から推定される平均重合度は、接触時間1〜2時間でピークに達し、以後、重合度が低下し、還元糖量やグルコース量が増加する傾向が認められた。従って、接触時間は1〜2時間程度、長くても4時間程度でグルコースの生成が少ないヘミセルロース分解物が得られる。
Figure 0006901715
第1の工程において異なるpHで接触させ、接触時のpHによる影響を調べた。水酸化ナトリウム水溶液でそれぞれpHを8、9、10に調整してセルラーゼ酵素剤とパイナップル果芯残渣(無処理果芯残渣)を接触させた。その結果を図3に示した。
この結果、濾液(S1)ではpHの上昇につれてヘミセルロース分解物の生成量が少なくなり、濾液(S2)では接触時のpHが上昇してもヘミセルロース分解物の生成量はほぼ変化なく、グルコースの生成量は少なくなった。一方、pH10付近ではグルコースの生成量は著しく少なくなったがヘミセルロース分解物の生成量も少なくなった。
実施例1で用いたセルラーゼ酵素剤とは異なるセルラーゼ酵素剤を用いて、実施例1と同様の条件で処理を試みた。新日本化学工業株式会社から入手した24種類の食品工業用酵素剤のうち、パイナップル残渣に対する分解活性(pH5の酸性下においてパイナップルの無処理果芯残渣と接触させた際の不溶性画分の減少量(減容化能))の高い3つのセルラーゼ酵素剤(スミチームC:Trichoderma longibrachiatum由来のセルラーゼ、スミチームSPC: Aspergillus niger由来のペクチナーゼ、スミチームFE:Aspergillus niger由来フェルラ酸エステラーゼ)を用いた。第3の工程における接触時間は1時間及び2時間とした。その結果を図4に示した。これによると、第1、第2の工程を経ずに処理を行った場合と比べ、本発明による処理を行った場合には、グルコースの生成がわずかであるかほとんど見られず、その一方でヘミセルロース分解物の生成量は多くなることが確認された。このことから、パイナップル残渣をセルラーゼ酵素剤とpH7以上の中性からアルカリ性条件下で接触させることで、セルラーゼによる分解が抑えられグルコースの生成量が少ない処理物を得られると言える。
本発明によると、廃棄物として処理されてきたパイナップル残渣の新たな利用法が提供される。

Claims (11)

  1. パイナップルの果実から可食部及び果皮を除いたパイナップル果芯の部分を含むパイナップル残渣をpH7以上の水性媒体中でセルラーゼ酵素剤と接触させる第1の工程と、
    前記接触後に固液分離する第2の工程と、
    分離して得られた固形部分を水性媒体中で放置する第3の工程を有するパイナップル残渣の処理方法。
  2. 前記第1の工程においてpH7以上pH10以下の水性媒体中で接触させる請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記第3の工程においてpH4以上pH6以下で放置する請求項1又は2に記載の処理方法。
  4. パイナップルの果実から可食部及び果皮を除いたパイナップル果芯の部分を含むパイナップル残渣をpH7以上の水性媒体中でセルラーゼ酵素剤と接触させる第1の工程と、
    前記接触後に固液分離する第2の工程と、
    分離して得られた固形部分を水性媒体中で放置する第3の工程を有する処理方法によって得られた処理物を含ませる工程を有する組成物の製造方法。
  5. 前記第1の工程においてpH7以上pH10以下の水性媒体中で接触させる請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記第3の工程においてpH7未満で放置する請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 前記組成物に含ませる処理物は、前記第3の工程で得られた放置混合物を固液分離して得られた液体部分及び/又は固形部分、及び/又はそれらから得られた乾燥物である請求項4〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 前記組成物に含ませる処理物は、前記第3の工程で得られた放置混合物の乾燥物である請求項4〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 前記組成物は、食品組成物、医薬組成物、化粧用組成物の何れかである請求項4〜8の何れか1項に記載の製造方法。
  10. パイナップルの果実から可食部及び果皮を除いたパイナップル果芯の部分を含むパイナップル残渣をpH7以上の水性媒体中でセルラーゼ酵素剤と接触させる第1の工程と、
    前記接触後に固液分離する第2の工程と、
    分離して得られた固形部分からヘミセルロース分解物を生成させる第3の工程を有するヘミセルロース分解物の製造方法。
  11. 前記第3の工程は、分離して得られた固形部分をpH7未満で水性媒体と接触させる工程である請求項10に記載のヘミセルロース分解物の製造方法。
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