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JP6905472B2 - クロロプレンゴム組成物、加硫成形体及びその用途 - Google Patents
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JP6905472B2 - クロロプレンゴム組成物、加硫成形体及びその用途 - Google Patents

クロロプレンゴム組成物、加硫成形体及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ塩化ビニルと多官能性求核試薬とを化学反応させて得られた改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体を含むクロロプレンゴム組成物に関する。さらに、本発明は、該クロロプレンゴム組成物を加硫成形して得られた加硫成形体、並びに該加硫成形体を用いた機械用ベルト、防振ゴム、ゴムタイヤなどの各種ゴム製品に関する。
クロロプレンゴムは機械特性、耐候性、難燃性などの物性バランスに優れており、加工しやすいことから各種自動車用部品、ベルト、ホース、防振ゴムなどの工業用ゴム部品の原材料として広く使用されている。ポリ塩化ビニルもまた、安価で機械物性や耐候性などに優れた工業用材料として広く使用されている。
クロロプレンゴムとポリ塩化ビニルの溶解性パラメータの値は互いに近く、どちらも極性の高い高分子であるため、クロロプレンゴムにポリ塩化ビニルを加えることにより、クロロプレンゴムを用いた各種製品のコストを下げると同時に、耐油性、耐薬性、耐候性、耐火性などを向上させたゴム組成物が得られると期待される。しかしながら、実際にはクロロプレンゴムの結晶性が障害となってこれらの化合物は均一に混合しない。このため、クロロプレンゴムとポリ塩化ビニルを相溶させる技術が検討されてきた。
クロロプレンゴムとポリ塩化ビニルとを均一に混合させるための技術として、クロロプレンゴムとポリ塩化ビニルの混合物に、特定の化合物を添加して特定温度で複数回の混練する手段が知られている(非特許文献1参照)。
また、使用済みの農業用ポリ塩化ビニルと天然ゴム(又は合成ゴム)とが特定の温度において良好にブレンドできることが知られている(特許文献1参照)。
日本ゴム協会誌、第52巻、第4号、70〜76頁(1979年)
特開平10−287750号公報
これらの手段によってポリ塩化ビニルとクロロプレンゴムを相溶させることができる。しかしながら、得られた製品は耐油性が十分でなく、さらなる耐油性の向上が求められていた。
そこで、本発明では、ダンベル試験片の引張り試験で評価される機械的特性を損なわずに、耐油熱性をさらに向上させたクロロプレンゴム組成物を提供することを課題とする。さらに、該クロロプレンゴム組成物の加硫成形体、並びに該加硫成形体を用いた機械用ベルト、防振ゴム、車両用タイヤなどの各種ゴム製品を提供することを課題とする。
本発明者らは、係る課題を解決するために、ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体を得るための薬剤の種類、及び操作条件や手順などを種々検討したことにより、機械的特性を損なうことなく、耐油性を向上させたクロロプレンゴム組成物を得ることに成功し、本発明の完成に至った。
即ち本発明は、ポリ塩化ビニルと多官能性求核試薬とを化学反応させて得られた改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体を含む、クロロプレンゴム組成物である。
改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体は、改質ポリ塩化ビニル5〜45質量部とポリクロロプレン95〜55質量部からなるものであることが好ましい。
多官能性求核試薬は、チオール化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
改質ポリ塩化ビニルは、ポリ塩化ビニルと多官能性求核試薬を140〜160℃で化学反応させて得られたものであることが好ましく、改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体は、改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとを120〜140℃で共架橋させて得られたものであることが好ましい。
ポリ塩化ビニルは、軟化温度80〜160℃のものであることが好ましく、改質ポリ塩化ビニル中の多官能性求核試薬は、ポリ塩化ビニル100質量%中、0.1〜1.5質量%であることが好ましい。
クロロプレンゴム組成物は、加硫成形することで加硫成形体とすることができる。
加硫成形体を使用した具体的な製品の例としては、機械用ベルト、防振ゴム、ゴムタイヤ、ワイパー用ブレード、スポンジ、ホース、電線ケーブル用被覆、ゴムライニングなどがある。
本発明の実施により、引張り試験で評価される機械特性を損なわず、かつ従来よりも耐油性がさらに向上した加硫成形体となるクロロプレンゴム組成物及びこれを用いた加硫成形体が得られる。
<クロロプレンゴム組成物>
クロロプレンゴム組成物は、(1)改質ポリ塩化ビニルと(2)ポリクロロプレンとの共架橋体を含むものである。
(1)改質ポリ塩化ビニル
改質ポリ塩化ビニルとは、多官能性求核試薬とポリ塩化ビニルとを混合して加熱することにより、多官能性求核試薬をポリ塩化ビニルに化学的に結合させた化合物である。
多官能性求核試薬は、ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの共架橋を促進させるために用いるものである。多官能性求核試薬は、単にポリ塩化ビニルとポリクロロプレンに添加するだけではポリクロロプレンの架橋が進んで、ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの共架橋が進まない。このため、多官能性求核試薬をポリ塩化ビニルと予め化学反応させてポリ塩化ビニルに架橋点として導入し、この架橋点にポリクロロプレンが架橋することによりポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋を促進させることができる。
多官能性求核試薬は、求核性の官能基を複数有する化合物であり、公知のものを用いることが可能である。多官能性求核試薬としては、チオール化合物があり、具体的には、チオール化合物としては、チオシアヌル酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンから選ばれる1種又は、2種以上を含み、ポリイソ(チオ)シアナート化合物が、m−キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートがある。
これらの多官能性求核試薬は、単独で用いても、複数種類の試薬を併用することも可能である。また、これらの多官能性求核試薬が3個〜10個重合した重合体を用いることも可能である。
多官能性求核試薬の添加量は、ポリ塩化ビニルの全質量に対して0.1〜1.5質量%の範囲とすると、得られるクロロプレンゴム組成物の耐油性と機械強度のバランスが向上するため好ましい。
ポリ塩化ビニルは、一般に市販されているポリ塩化ビニルを使用することができ、その分子量、分子量分布、化学的な改質、ポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤などの添加剤の種類や添加量は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定はない。ポリ塩化ビニルの軟化温度は80〜160℃の範囲とすることが好ましい。ポリ塩化ビニルの軟化温度が80℃未満であると、改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンを共架橋させる際に改質ポリ塩化ビニルが熱軟化して目的としたクロロプレンゴム組成物が得られない場合がある。
ポリ塩化ビニルの軟化温度が160℃を超えると、必然的に多官能性求核試薬とポリ塩化ビニルとの反応温度が160℃を超えてしまう。このため、得られる改質ポリ塩化ビニルに導入される架橋点の数が少なくなってしまい、目的としたクロロプレンゴム組成物が得られなくなる可能性がある。
改質ポリ塩化ビニルを得るには、多官能性求核試薬とポリ塩化ビニルとを混合して加熱すればよい。具体的には、公知のバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、オープンロールなどの混練装置を用いてポリ塩化ビニルの軟化温度以上に設定した温度でポリ塩化ビニルを混練し、これに多官能性求核試薬を添加し、さらに所定時間混練を続けることにより、多官能性求核試薬とポリ塩化ビニルが化学反応をして改質ポリ塩化ビニルが得られる。
混練装置の混練温度は、140〜160℃に調整することにより、得られるクロロプレンゴム組成物の機械強度が向上するため好ましい。
(2)ポリクロロプレン
ポリクロロプレンは、クロロプレンの単独重合体又は、クロロプレンと、クロロプレンと共重合可能な他の単量体との共重合体である。クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、並びにアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステル類などがあり、本発明の目的を満たす範囲で用いることができる。本発明においては、本発明の効果を阻害しない限り、いずれのポリクロロプレンを用いることが可能である。
本発明のポリクロロプレンは、用いる分子量調節剤により、メルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプ、硫黄変性タイプに分類される。メルカプタン変性タイプのクロロプレンゴムは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルオクチルメルカプタン、オクチルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類を分子量調節剤に使用して得られるものであり、キサントゲン変性タイプのクロロプレンゴムは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤に使用して得られるものである。また、硫黄変成タイプのクロロプレンゴムは、イオウとクロロプレン系単量体を共重合したポリマーをチウラムジスルフィドで可塑化し、所定のムーニー粘度に調整したものである。本発明においては、本発明の効果を阻害しない限り、いずれのポリクロロプレンを用いることが可能である。
改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとを共架橋させるには、改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとを混合して加熱すればよい。具体的には、上述の方法によって得られた改質ポリ塩化ビニルにポリクロロプレンを加えて120〜140℃の範囲で所定時間混練すればよい。混練温度をこの範囲に調整することにより、得られるクロロプレンゴム組成物の機械強度が向上するため好ましい。改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンを混練する装置は、公知のバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、オープンロールなどの混練装置を用いればよい。
改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体は、ポリ塩化ビニルの組成比が5〜45質量部、ポリクロロプレンの組成比が95〜55質量部の範囲に調整すると、得られるクロロプレンゴム組成物がクロロプレンゴムをマトリックスとした組成物となり、引張り試験で評価される機械特性が維持されるため好ましい。
クロロプレンゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらに公知の加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、一次老化防止剤、二次老化防止剤、可塑剤、加工助剤を添加してもよい。
加硫剤は、硫黄、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、バリウム、ゲルマニウム、チタニウム、錫、ジルコニウム、アンチモン、バナジウム、ビスマス、モリブデン、タングステン、テルル、セレン、鉄、ニッケル、コバルト、オスミウムなどの金属単体、及びこれら金属の酸化物や水酸化物を使用することができる。これら添加可能な加硫剤のなかでも、特に硫黄、酸化カルシウムや酸化亜鉛、三酸化鉄、二酸化チタン、酸化鉛、四酸化三鉛、二酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイトの加硫効果が高いため好ましい。また、これらの加硫剤は2種以上を併用して用いてもよい。加硫剤の配合量は、クロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加することが可能である。
加硫促進剤は、クロロプレンゴム組成物の加硫を促進させるために添加する化合物であり、クロロプレンゴムの加硫に一般に用いられるチオウレア系、グアニジン系、チウラム系、チアゾール系、過酸化物などがある。
チオウレア系化合物としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレアなどがある。
グアニジン系化合物としては、グアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、ジ−m−トリルグアニジン、ジ−p−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、1−m−トリルビグアニド、1−p−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリグアニジン塩、ジカテコールボレートのジ−m−トリルグアニジン塩、ジカテコールボレートのジ−p−トリグアニジン塩、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、りん酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、ホルミルグアニジン、アセチルグアニジン、クロルアセチルグアニジン、1,2−n−ジアセチルグアニジン、1,3−n−ジアセチルグアニジン、1,3−n−ジプロピオニルグアニジン、ヒプリルグアニジン、ベンゼンスルフォニルグアニジンなどがある。
チウラム系化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチルチウラムテトラスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラキス2−エチルヘキシルチウラムジスルフィドなどがある。
チアゾール系化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−モルフォリノジチオベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、1−(N,N−ジエチルチオカルバモイスルファニル)−1,3−ベンゾチアゾールなどがある。
過酸化物としては、ジクミル過酸化物、バレレート過酸化物、アルキル過酸化物、置換アルキル芳香族過酸化物などがある。
その他の加硫促進剤として、3−メチルチアゾリジンチオン−2−チアジアゾールとフェニレンジマレイミドとの混合物、ジメチルアンモニウムハイドロジェンイソフタレートあるいは1,2−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導体などの加硫促進剤も使用することができる。
これらの加硫促進剤は上記に挙げたものを二種以上併用して用いてもよい。これらの加硫促進剤の添加量は、本発明のクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して0.5〜5質量部とすることが可能である。
加硫助剤は、加硫促進剤の効率を上げるために添加する化合物であり、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸やその金属塩がある。過酸化物を用いる場合には、二官能性エステル化合物又は三官能性エステル化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を併用することが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパン、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアネート、フェニレンジマレイミドが用いられる。
これら加硫促進助剤の添加量は、本発明のクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して0.5〜5質量部が可能である。
一次老化防止剤は、得られるクロロプレンゴム組成物加硫成形体やその防振ゴムが加熱されたときのデュロメータ硬さ、破断伸び、圧縮永久歪みの低下を抑え、耐熱性を向上させるために添加する化合物であり、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、アクリレート系老化防止剤、カルバミン酸金属塩及びワックスがある。これらの一次老化防止剤は、一種類もしくは併用して使用することができる。これら化合物の中でも、アミン系老化防止剤の4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンやオクチル化ジフェニルアミンは、耐熱性の改善効果が大きいため好ましい。
一次老化防止剤の配合量は、本発明のクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対し、0.1〜10質量部とすることが可能である。一次老化防止剤の配合量をこの範囲に設定することにより、得られる加硫成形体の破断伸び等の機械物性の低下が抑えられ、耐熱性を向上させることができる。
二次老化防止剤は、得られるクロロプレンゴム組成物加硫成形体やその防振ゴムが加熱されたときのデュロメータ硬さ、破断伸び、圧縮永久歪みの低下を抑え、耐熱性を向上させるために添加するものであり、リン系老化防止剤、イオウ系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤を挙げることができる。これらの二次老化防止剤は、一種類もしくは併用して使用することができる。これらの化合物の中でも、リン系老化防止剤のトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、イオウ系老化防止剤のチオジオプロピオン酸ジラウリル、ジミスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、イミダゾール系老化防止剤の2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾールは、耐熱性改善効果が大きいため好ましい。
二次老化防止剤の配合量は、本発明のクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが可能である。二次老化防止剤の配合量をこの範囲にすることにより、得られる加硫成形体の破断伸び等の機械物性の低下が抑えられ、耐熱性を向上させることができる。
可塑剤は、得られるクロロプレンゴム組成物を可塑化するために添加する化合物であり、菜種油などの植物油、アマニ油、ヒマシ油、ヤシ油などの植物油、フタレート系可塑剤、DUP(フタル酸ジウンデシル)、DOS(セバシン酸ジオクチル)、DOA(アジピン酸ジオクチル)、エステル系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤、チオエーテル系可塑剤、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、潤滑油、プロセスオイル、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、石油アスファルトなどの石油系可塑剤がある。クロロプレンゴム組成物に要求される特性に合わせて一種類もしくは複数を併用して使用することができる。可塑剤の配合量は、本発明のクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して、5〜50質量部とすることができる。
加工助剤は、クロロプレンゴム組成物がロールや成形金型、押出機のスクリューなどから剥離しやすくなるようにするなど、加工特性を向上させるために添加する化合物である。具体的には、ステアリン酸などの脂肪酸あるいはポリエチレンなどのパラフィン系加工助剤、脂肪酸アミドなどがあり、本発明のクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して、0.5〜5質量部まで添加できる。
クロロプレンゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに各種の充填剤や補強剤を添加することができる。充填剤や補強剤の例としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどがある。これら充填剤、補強剤は使用目的に合わせて、2種以上を併用して用いてもよい。これら充填剤、補強剤の添加量はクロロプレンゴム組成物中のポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの合計100質量部に対して、1〜100質量部とすることが可能である。
<加硫成形体>
加硫成形体は、上述の方法によって得られたクロロプレンゴム組成物を加硫成形して得たものである。加硫成形体は、クロロプレンゴム組成物を所望する各種の形状に成形した後に加硫したものでも、又は予めクロロプレンゴム組成物を加硫しておき、その後各種の形状に成形したものであってもよい。クロロプレンゴム組成物や加硫ゴムを成形する方法は、従来のプレス成形、押出成形、カレンダー成形などの方法がある。これらは、通常のゴム工業で用いられている方法を採用すればよい。
クロロプレンゴム組成物の加硫は特にその方法を選ばないが、一般的なスチーム加硫やUHF加硫により加硫することができる。スチーム加硫は、未加硫のクロロプレンゴム組成物に、熱媒体としてのスチームガスによって圧力と温度を与えて加硫させる手段であり、UHF加硫は、クロロプレンゴム組成物にマイクロ波を照射して加硫させる手段である。また、プレス加硫や射出成形の際に成形用金型の内部にクロロプレンゴム組成物を保持したまま金型温度を加硫温度まで上昇させて加硫させてもよい。加硫温度はクロロプレンゴム組成物の配合や加硫剤の種類によって適宜設定でき、通常は140〜220℃が好ましく、150〜180℃の範囲がより好ましい。
加硫成形体は、具体的には、機械用ベルト、防振ゴム、ゴムタイヤ、ワイパー用ブレード、スポンジ、ホース、電線ケーブル用被覆、ゴムライニングとして利用される。
以下、参考例、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、以下の参考例、実施例で用いるインターナルミキサー、二本ロール等の装置類、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、各種薬剤はすべて共通して使用するものとする。
<改質ポリ塩化ビニルAの作製>
インターナルミキサー(装置名:ラボプラストミル75C 100型、株式会社東洋精機製作所製)を用い、ポリ塩化ビニル(Shanghai Chlor-Alkali Chemical Co., Ltd.製)20質量部、チオシアヌル酸(黄岩東海化工有限公司製)0.3質量部、酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製)4質量部を添加し、130℃で12分間混練して改質ポリ塩化ビニルAを得た。
<改質ポリ塩化ビニルB〜Eの作製>
ポリ塩化ビニルと各添加剤を混練する温度を、それぞれ140℃、150℃、160℃、170℃とした他は、全ての条件を改質ポリ塩化ビニルAの条件に揃え、改質ポリ塩化ビニルB〜Eを得た。
<改質ポリ塩化ビニルF、Gの作製>
ポリ塩化ビニルと各添加剤を混練する時間を、それぞれ8分、及び16分とした他は、全ての条件を改質ポリ塩化ビニルCの条件に揃え、改質ポリ塩化ビニルF、Gを得た。
<改質ポリ塩化ビニルHの作製>
チオシアヌル酸0.3質量部を、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(Adamas Reagent, Ltd.製)0.3質量部に変更した他は、全ての条件を改質ポリ塩化ビニルCを作製した条件に揃え、改質ポリ塩化ビニルHを得た。
改質ポリ塩化ビニルA〜Hで使用した多官能性求核試薬の種類、混練温度、混練時間をまとめて表1に示す。
Figure 0006905472
<共架橋体Aの作製>
インターナルミキサーを用い、改質ポリ塩化ビニルA20質量部、ポリクロロプレン(電気化学工業株式会社製DCR−OM−40)80質量部を配合し、130℃で4分間混練して、共架橋体Aを得た。
<共架橋体B〜Hの作製>
改質ポリ塩化ビニルAを、それぞれ改質ポリ塩化ビニルB〜Hに置き換えた他は、全ての条件を共架橋体Aを作製した条件に揃え、共架橋体B〜Hを得た。
<共架橋体I、Jの作製>
改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンを混練する温度を、それぞれ120℃、140℃、とした他は、全ての条件を共架橋体Cを作製した条件に揃え、共架橋体I、Jを得た。
<共架橋体K、Lの作製>
改質ポリ塩化ビニルC及びポリクロロプレンの配合量を、それぞれ5:95、45:55とした他は、全ての条件を共架橋体Cを作製した条件に揃え、共架橋体K、Lを得た。
<共架橋体M、Nの作製>
改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンを混練する温度を、それぞれ105℃、155℃、とした他は、全ての条件を共架橋体Cを作製した条件に揃え、共架橋体M、Nを得た。
<共架橋体Oの作製>
前記インターナルミキサーを用い、前記ポリ塩化ビニル20質量部と前記ポリクロロプレン80質量部とを14分間混練した後、前記チオシアヌル酸を0.3質量部、前記酸化マグネシウムを4質量部添加し、さらに4分間混練を継続して、共架橋体Oを得た。
<共架橋体Pの作製>
チオシアヌル酸0.5質量部を、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(Adamas Reagent, Ltd.製)0.3質量部に変更した他は、全ての条件を共架橋体Oを作製した条件に揃え、共架橋体Pを得た。
<共架橋体Qの作製>
チオシアヌル酸0.5質量部を、添加しなかった他は、全ての条件を共架橋体Oを作製した条件に揃え、共架橋体Qを得た。
共架橋体A〜Qの製造条件をまとめて表2に示す。
Figure 0006905472
<実施例1>
上述の方法によって得られた共架橋体Aを100質量部と、酸化亜鉛(三井金属工業株式会社製)5質量部、エチレンチオウレア(製品名:アクセル22S、川口化学工業株式会社製)0.5質量部、ステアリン酸(中国国薬集団化学試剤有限公司製)0.5質量部を加え、直径4インチの二本オープンロールを用いて40℃で、5分間混練することにより、実施例1のクロロプレンゴム組成物を得た。
<評価>
上述の方法によって得られた実施例1のクロロプレンゴム組成物を、160℃×20分、圧力0.8MPaの条件でプレス加硫し、厚さ2.0mmの加硫成形体シートを作製した。この加硫成形体シートから試験片を切り出し、試験片作製直後に、JIS K6251に準拠して機械的強度試験(引張り強さ、破断伸び、100%引張り弾性率測定)を行った。具体的には、加硫成形体シートからダンベル3号形をもちいて試験片を切り出し、全自動ゴム引張り試験機(装置名:AGS‐H、島津製作所製)を用いて、雰囲気温度を23℃、引張り速度500mm/分の条件で測定した。
また、切り出した試験片を、ASTM No.3オイルに、100℃で、70時間浸漬した後に、JIS K6258に準拠して浸漬試験を行い、耐油性試験(体積変化率、重量変化率)を行った。クロロプレンゴム組成物を用いて得た加硫成形体の機械的強度は、引張り強さ7.5MPa以上、破断伸び220%以上、100%引張り弾性率0.2MPaであれば合格とした。耐油性は、体積変化率80%以下、重量変化率100%以下であれば合格とした。得られた結果を表3に示す。
Figure 0006905472
<実施例2〜12、比較例1〜5>
共架橋体Aを、それぞれ共架橋体B〜Qに置き換えた他は、全ての条件を実施例1の条件に揃え、実施例2〜12及び比較例1〜5のクロロプレンゴム組成物を作製し、実施例1と同一の条件で評価をおこなった。評価結果を表3に示す。比較例1は、混練温度が低かったため、改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンが均一に分散せずクロロプレンゴム組成物を得られなかった。比較例2は、混練温度が高かったため、改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンの一部が加硫してしまい一部が粉状のクロロプレンゴム組成物となってしまった。このため、比較例1と比較例2については、評価を行わなかった。
本発明のクロロプレンゴム組成物は、表3に示すとおり引張り試験で評価される機械的特性を損なわずに、耐油熱性をさらに向上させたクロロプレンゴム組成物の加硫物を得ることができた。
本出願は、2015年5月04日に中国特許局に提出し、出願番号が201510221849.6であり、発明名称が「クロロプレンゴム組成物、加硫成形体及びその用途」との中国特許出願を基礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。

Claims (7)

  1. ポリ塩化ビニルと多官能性求核試薬とを化学反応させて得られた改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体と、
    前記ポリ塩化ビニルと前記ポリクロロプレンの合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の加硫剤とを含み、
    前記多官能性求核試薬が、チオール化合物から選ばれる少なくとも一種であり、
    前記共架橋体が、前記改質ポリ塩化ビニル5〜20質量部と前記ポリクロロプレン95〜80質量部との共架橋体である、クロロプレンゴム組成物。
  2. 改質ポリ塩化ビニルとポリクロロプレンとの共架橋体と、加硫剤とを含むクロロプレンゴム組成物の製造方法であって、
    ポリ塩化ビニルと多官能性求核試薬を140〜160℃で化学反応させて前記改質ポリ塩化ビニルを得る工程と、
    前記改質ポリ塩化ビニル5〜20質量部と前記ポリクロロプレン95〜80質量部とを共架橋させて前記共架橋体を得る工程と、
    前記ポリ塩化ビニルと前記ポリクロロプレンの合計100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の前記加硫剤を、前記共架橋体に添加する工程と、を備え、
    前記多官能性求核試薬が、チオール化合物から選ばれる少なくとも一種である、製造方法。
  3. 前記共架橋体を得る工程において、前記改質ポリ塩化ビニルと前記ポリクロロプレンとを120〜140℃で共架橋させる、請求項2記載の製造方法。
  4. 前記ポリ塩化ビニルが、軟化温度80〜160℃のものである、請求項1記載のクロロプレンゴム組成物。
  5. 前記改質ポリ塩化ビニル中の前記多官能性求核試薬が、前記ポリ塩化ビニル100質量%中、0.1〜1.5質量%である、請求項1又は4記載のクロロプレンゴム組成物。
  6. 請求項1、4及び5のいずれか一項記載のクロロプレンゴム組成物を用いて得られた加硫成形体。
  7. 前記ポリ塩化ビニルの軟化温度が80〜160℃であり、
    前記多官能性求核試薬の添加量が、前記ポリ塩化ビニルの全質量に対して0.1〜1.5質量%である、請求項2又は3に記載の製造方法。
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