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JP6907259B2 - ダイカスト用離型剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
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ダイカスト用離型剤組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本願は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等を含むダイカスト成形物を製造するために用いられるダイカスト用離型剤組成物及びその製造方法に関し、詳しくは蛍光剤を含むダイカスト用離型剤組成物及びその製造方法に関する。
通常、アルミニウム合金、マグネシウム合金等を含むダイカスト成形物を製造する際に、離型性を付与するために金型にダイカスト用離型剤を塗布する。このとき、金型における離型剤の付着状態が適切でない場合、焼き付き等の問題が起こり、ダイカスト成形物の品質に悪影響を与える。よって、金型に吹き付けた離型剤の付着状態を知ることは重要な課題である。
これについて、特許文献1には光顔料を発色剤として含むことを特徴とするダイカスト離型剤が開示されており、さらに当該離型剤を熱した金型に吹き付け、ブラックライトに照射したときの発光から離型剤の付着状態を目視で確認することが記載されている。
特許文献2には、水性ベース成分及び場合により潤滑成分を含有する金属塑性加工用の塗布型水性潤滑被膜形成剤において、水性蛍光染料をさらに含有することを特徴とする潤滑被膜形成剤が開示されている。
特開2006−68751号公報 特開2007−277468号公報
特許文献1のダイカスト用離型剤は、実施形態1に記載されているように、発色剤を含有する離型剤を250℃の金型に用いた場合、発光がかろうじて確認できる程度であり、発色剤が熱分解し蛍光活性が失活している虞がある。
特許文献2の水性蛍光塗料は「水性」であるため、シリコーン化合物に対する溶解性が非常に低い。よって、金型に離型剤を付着させた際に、シリコーン化合物の付着状態と蛍光塗料の付着状態とが相関しない虞がある。
そこで発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討の結果、シリコーン化合物に対して適度に溶解し、かつ、高温に対する耐熱性が高い蛍光剤を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本願は上記課題を解決する手段の1つとして、
シリコーン化合物及び365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤を含み、前記蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有し、前記蛍光剤の分子量が300以上600以下である、ダイカスト用離型剤組成物、を開示する。
ここで「6/6員環の縮環構造」とは、2つの6員環構造が2つの原子及び1つの結合を共有している縮環構造(オルト縮合構造)を意味し、「6/6員環の縮環構造を有し」とは、分子構造に6/6員環の縮環構造を有することを意味する。すなわち、本開示の蛍光剤はナフタレン骨格や、クマリン骨格、キノリン骨格等の6/6員環の縮環構造を含む化合物だけでなく、フェナントレン骨格のような6/6/6員環の縮環構造等を含む化合物も包含する。
前記組成物において、前記蛍光剤の6/6員環の縮環構造がナフタレン骨格又はクマリン骨格であることが好ましい。
また、前記蛍光剤の含有量は前記シリコーン化合物及び前記蛍光剤の合計を基準として0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。前記シリコーン化合物の含有量は前記組成物全体を基準として5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
前記組成物が油性である場合は、さらに炭化水素系溶剤を含むことが好ましい。一方、前記組成物が水性である場合は、さらに界面活性剤及び水を含むことが好ましい。また、水性である場合は前記組成物が乳化されてなることが好ましい。
また、本願は上記課題を解決する手段の1つとして、
365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤をシリコーン化合物に溶解させる工程を備え、前記蛍光性化合物は6/6員環の縮環構造を有し、前記蛍光性化合物の分子量が300以上600以下である、ダイカスト用離型剤組成物の製造方法、を開示する。
本開示のダイカスト用離型剤組成物に用いられる蛍光剤は高温(250℃以上)に対する耐熱性を備えるため、金型の温度が250℃以上であっても蛍光活性が失活しない。
また本開示のダイカスト用離型剤組成物に用いられる蛍光剤はシリコーン化合物に対し適度に溶解するため、離型剤中に蛍光剤が均一に分散され易い。このため、金型に離型剤を吹き付けた際に、金型における離型剤(シリコーン化合物)の付着状態と蛍光剤の付着状態とが相関し易くなるため、365nmの紫外線照射による蛍光剤の発光から離型剤(シリコーン化合物)の付着状態が簡易に確認できる。
よって、本開示のダイカスト用離型剤組成物によれば、従来では困難であった高温の金型における離型剤(シリコーン化合物)の付着状態を簡易に確認することができる。
実施例で用いたクマリン系蛍光剤の構造を説明する図である。 実施例で用いたナフタレン系蛍光剤の構造を説明する図である。 実施例で用いたその他の蛍光剤の構造を説明する図である。 濃度試験の結果を説明する図である。 油性試験の結果を説明する図である。
本開示のダイカスト用離型剤組成物はシリコーン化合物及び365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤を含み、蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有し、蛍光剤の分子量が300以上600以下である、ことを特徴としている。
<シリコーン化合物>
シリコーン化合物としては、シリコーンオイルやシリコーンワックス等の公知のシリコーン化合物を使用することができる。
具体例としては、ジメチルシリコーン、環状シリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、オルガノ変性シリコーン化合物等が挙げられる。オルガノ変性シリコーン化合物としては、アルキル基、アラルキル基、アミノ基、カルボキシルアルキル基又はカルボン酸アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、ポリエーテル基等により、一部あるいは全体を変性されたオルガノポリシロキサン等が挙げられる。なお、これらのシリコーン化合物は単独で用いてよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン化合物の含有量は組成物全体を基準として5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。シリコーン化合物の含有量が上記範囲にあることにより、組成物に適切な離型性を付与し、焼き付きを防止することができる。
<蛍光剤>
本開示の組成物に用いることができる蛍光剤は365nmの紫外線照射によって発光することが重要である。これにより、蛍光剤の発光から離型剤(シリコーン化合物)の付着状態を簡易に確認することができる。
なお、本開示の蛍光剤は、単一の蛍光性化合物からなっていてもよく、複数の蛍光性化合物からなっていてもよい。よって、以下において「蛍光剤」とは、蛍光剤が単一の蛍光性化合物からなる場合はその蛍光性化合物を指し、複数の蛍光性化合物からなる場合はこれら全ての蛍光性化合物を指す。
蛍光剤としては6/6員環の縮環構造を有する構造であることが好ましい。これにより、蛍光剤の耐熱性が向上し、かつ、シリコーン化合物に対して適度な溶解性を備えることができる。
ここで「6/6員環の縮環構造」とは、2つの6員環構造が2つの原子及び1つの結合を共有している縮環構造(オルト縮合構造)を意味し、「6/6員環の縮環構造を有し」とは、分子構造に6/6員環の縮環構造を有することを意味する。すなわち、本開示の蛍光剤はナフタレン骨格や、クマリン骨格、キノリン骨格等の6/6員環の縮環構造を含む化合物だけでなく、フェナントレン骨格のような6/6/6員環の縮環構造等を含む化合物も包含する。
ただし、シリコーン化合物に対する溶解性を向上させる観点から、蛍光剤はナフタレン骨格又はクマリン骨格を含むことがより好ましい。さらに好ましくはナフタレン骨格が下記構造(1)であり、クマリン骨格が下記構造(2)又は(3)である。
Figure 0006907259
はそれぞれ独立に炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐したアルキル基を表している。l、m、nは0以上の整数を表しており、シリコーン化合物に対する溶解性を向上させる観点からl+m+n≧2であることが好ましい。Xはそれぞれ独立にO、S、NRを表しており、Rは水素又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐したアルキル基である。
Figure 0006907259
は水素、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐したアルキル基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、又はベンゾチアゾール基を表しており、好ましくはベンゾチアゾール基である。Rは水素、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐したアルキル基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、又はベンゾチアゾール基を表している。R及びRの少なくとも一方はベンゾイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、又はベンゾチアゾール基であることが好ましい。これにより蛍光剤の耐熱性が向上する。
YはNR 又はORを表しており、Rは水素又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐したアルキル基である。なお、Rがアルキル基であるとき、当該アルキル基の末端がクマリン骨格の6位又は8位に結合し環構造を形成していてもよい。Yを有することにより、より一層強い蛍光を発するようになる。
Figure 0006907259
及びYは上述のとおりである。Zはメチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基等のアルキレン基、カルボニル基、又はスルホニル基を表し、好ましくはカルボニル基又はスルホニル基である。Zの結合位置に関しては、好ましくはYが2つのクマリン骨格の3位同士に結合している構造である。
なお、ナフタレン骨格及びクマリン骨格の骨格構造のみを比較するとナフタレン骨格が好ましい。クマリン骨格を有する蛍光剤は可視光下においても発色し易いため、使用の際に離型剤を目的外の場所に塗布したり床や衣服にこぼしてしたりすると清掃し難い汚れとなり作業環境が悪化する虞がある。
蛍光剤の分子量は300以上600以下であることが好ましい。蛍光剤の分子量が300未満であると、蛍光剤の耐熱性が低下し高温の金型に離型剤を吹き付けた際に蛍光剤が熱分解して蛍光活性が失われる虞がある。一方、蛍光剤の分子量が600を超えると、シリコーン化合物に対する溶解性が低下する。そのため紫外線照射による蛍光剤の発光量も低下し、目視では蛍光剤の発光を確認し難くなる虞がある。
ただし蛍光剤がナフタレン骨格を有する場合は、蛍光剤の分子量は400以上520以下であることがより好ましく、450以上520以下であることが特に好ましい。蛍光剤がクマリン骨格を有する場合は、蛍光剤の分子量は300以上420以下であることがより好ましく、350以上420以下であることが特に好ましい。これにより、シリコーン化合物に対する溶解性が向上する。
なお、蛍光剤が複数の蛍光性化合物からなる場合は、これらの混合比から算出される加重平均分子量を蛍光剤の分子量として用いる。
蛍光剤の含有量はシリコーン化合物及び蛍光剤の合計を基準として、下限が0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.25質量%であることがさらに好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。シリコーン化合物及び蛍光剤の合計を基準とする蛍光剤の含有量の下限が0.1質量%以上であることにより、蛍光剤の発光が確認し易くなる。0.2質量%以上であると明確に発光を確認することができ、0.5質量%以上であるとより明確に発光を確認することができる。
一方で、蛍光剤の含有量の上限はシリコーン化合物及び蛍光剤の合計を基準として、3.0質量%以下であることが好ましい。シリコーン化合物及び蛍光剤の合計を基準とする蛍光剤の含有量が3.0質量%を超えると、蛍光剤の発光が飽和するため、経済的に不利である。また、組成物を水性で用いる場合、組成物が乳化し難くなる。
また、蛍光剤の含有量は組成物全体を基準とする場合、下限が0.025質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.0625質量%以上であることがさらに好ましく、0.125質量%以上が特に好ましい。組成物全体を基準とする蛍光剤の含有量の下限が0.025質量%以上であることにより、蛍光剤の発光が確認し易くなる。0.05質量%以上であると明確に発光を確認することができ、0.125質量%以上であるとより明確に発光を確認することができる。
一方で、蛍光剤の含有量の上限は組成物全体を基準として3.0質量%以下であることが好ましい。
<ダイカスト用離型剤組成物>
本開示のダイカスト用離型剤組成物は上記シリコーン化合物及び上記蛍光剤を含有していればよい。すなわち、ダイカスト用離型剤組成物を油性で用いてもよく、水性で用いてもよい。
本開示のダイカスト用離型剤を油性で用いる場合は、さらに炭化水素系溶剤を含むことが好ましい。
炭化水素系溶剤としては、特に限定されないが、取り扱いのし易さから引火点が70℃以上のパラフィン類を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤の含有量は特に限定されないが、組成物全体を基準として下限が70質量%以上であることが好ましく、上限が95質量%以下であることが好ましい。炭化水素系溶剤の含有量が70質量%未満であると、シリコーン化合物等の離型成分が濃くなりすぎるため付着ムラの原因となる。一方、炭化水素系溶剤の含有量が95質量%を超えると、金型への離型成分の付着不足による焼付きが生じる虞がある。
一方、本開示のダイカスト用離型剤を水性で用いる場合は、さらに界面活性剤及び水を含むことが好ましい。また、組成物は乳化されてなることが好ましい。乳化されてなることにより、ミセル中で蛍光剤が安定化され、金型に離型剤を吹き付けた際に蛍光剤の発光の経時変化(発光の沈降)が起こり難くなり、発光のムラやばらつきが低減する。
界面活性剤の種類としては、シリコーン化合物を安定に乳化させることができれば特に限定されない。例えば、アニオン性、カチオン性、両性、又はノニオン性の界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でもノニオン性界面活性剤が好ましい。具体的には、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が好ましい。
これらの界面活性剤は単独で使用されても良く、複数組み合わせて使用しても良い。
界面活性剤の含有量は、シリコーン化合物を安定に乳化させる観点から、組成物全体を基準として下限が0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましく、上限が10質量%以下であることが好ましい。
水としては、純水、イオン交換水、水道水等のいずれも用いることができる。
(その他の添加剤)
その他の添加剤としては、ダイカスト用離型剤組成物の潤滑性を補う目的で、鉱物油、油脂、合成エステル油、油性剤、合成ワックス等を配合しても良い。また、上記以外の各種添加物が含まれていても良い。例えば、消泡剤、発泡剤、乾燥促進剤、腐食防止剤、防腐剤、防錆剤、増粘材、酸化防止剤、等が挙げられる。
<ダイカスト用離型剤組成物の使用方法>
本開示のダイカスト用離型剤組成物は一般的な量で塗布する使用のほかに、いわゆる少量塗布の使用にも対応している。
近年、サイクルタイムの短縮による生産性の向上や廃液削減による環境負荷低減を目的に、離型剤の塗布量の低減化が進められている。一方で、金型が250℃以上の高温に達した条件で離型剤が使用されるケースが増えており、離型剤の塗布量を低減すると冷却効果が充分に得られない場合がある。
本開示のダイカスト用離型剤組成物はこのような高温条件における少量塗布にも対応しており、例えば、スプレーノズルを介して離型剤を金型へと塗布する工程において、金型に対する塗布量を0.0005ml/cm以上、0.01ml/cm以下にしたとしても、十分な冷却性や離型性を付与でき、かつ、離型剤の付着状態も簡易に確認することができる。
<ダイカスト用離型剤組成物の製造方法>
ダイカスト用離型剤組成物の製造方法としては、上記蛍光剤を上記シリコーン化合物に溶解させる工程を備えることが好ましい。
蛍光剤をシリコーン化合物に溶解させることにより、蛍光剤を離型剤中(シリコーン化合物中)に均一に分散させることができる。
また水性のダイカスト用離型剤組成物を製造する場合は、上記溶解させる工程により得られる溶液を乳化させる工程を備えることが好ましい。これにより、ミセル中で蛍光剤が安定化され、金型に離型剤を吹き付けた際に蛍光剤の発光の経時変化(発光の沈降)が起こり難くなり、発光のムラやばらつきが低減する。
なお、乳化させる工程は水性のダイカスト用離型剤を製造する際に用いられる公知の方法を採用することができる。
以下、実施例について説明するが本開示のダイカスト用離型剤はこれに限定されない。
図1〜図3に実施例に用いた蛍光剤を示した。なお、ナフタレン系蛍光剤Cはt−ブチル基(t−Bu)の置換数が異なる3種の化合物の混合物である。具体的には、図2に記載されているナフタレン系蛍光剤Cのt−Buの置換数がl+m+n=2の2置換体(分子量:474.6)、t−Buの置換数がl+m+n=3の3置換体(分子量:530.1)、及びt−Buの置換数がl+m+n=4の4置換体(分子量:586.8)の混合物である。そして、これらの混合比は2置換体:3置換体:4置換体=42.3:45.0:12.7であり、この混合比から算出されたナフタレン系蛍光剤Cの加重平均分子量は514である。
また、実施例に用いたシリコーン化合物の粘度は、JPI−5S−26−99に沿って回転粘度計により測定した。
<耐熱性試験>
蛍光剤の耐熱性及び蛍光剤を用いた離型剤の耐熱性について検討した。
(熱分解開始温度の測定)
蛍光剤自体の耐熱性を調べるために、蛍光剤の熱分解開始温度を測定した。結果を表1に示した。
測定条件は以下のとおりである。
[測定条件]
・装置:TG−DTA(株式会社日立ハイテクサイエンス製 STA7200)
・試料量:3.0mg
・測定温度範囲:室温〜350℃
・昇温速度:20℃/min
・雰囲気:Air
・Airの流量:300ml/min
(発光試験)
蛍光剤を含有した離型剤の耐熱性を調べるために、以下の試験を行った。すなわち、250℃及び300℃に熱した鋼板それぞれに蛍光剤を含有する離型剤を吹き付け、そして吹き付けた箇所に紫外線を照射し、離型剤の発光を目視で確認した。発光を確認できなかったものを「×」、発光をかろうじて確認できたものを「△」、発光を明確に確認できたものを「○」として評価した。結果を表1に、試験条件を表2に示した。
試験に用いた離型剤は次のように作製した。まず、蛍光剤をオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に溶解させ、蛍光剤の含有量が0.3質量%である溶液を得た(表1の*で示した例は蛍光剤の溶解性が低かったため0.1質量%で試験したものである。)。次いで、界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(EO イソデシルエーテル))及び水を用いて上記溶液を乳化させた。このとき、蛍光剤及びシリコーン化合物の含有量が離型剤全体を基準として25質量%となるように行った。界面活性剤の含有量は離型剤全体を基準として1.5質量%であった。
Figure 0006907259
Figure 0006907259
(結果)
6/6員環の縮環構造を有さない比較例1〜3の蛍光剤は分子量に関わらず耐熱性(熱分解開始温度)が低いことが分かった。比較例4の蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有しているが、分子量が小さく、耐熱性が低かった。よって、比較例1〜4の離型剤は高温の金型に吹き付けると蛍光活性が失活したため、発光が確認できなかったものと考えられる。
一方、実施例1〜7の蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有し、かつ、分子量も比較的大きいため、耐熱性が高く、高温の金型に吹き付けられたとしても蛍光活性を保持した。なお、実施例3、4の金型温度300℃における結果が「△」になっているが、これは蛍光剤の蛍光活性が失活しているわけではなく、通常金型の温度が高くなるほど離型剤の付着量は低下するため、実施例3、4の離型剤においても離型剤の付着量が小さくなり、蛍光剤の発光が確認し難くなったためであると考えられる。よって、実施例3、4において塗布する離型剤の液量を増大させることにより、発光が確認可能になると考えられる。
<溶解性試験>
蛍光剤のシリコーン化合物に対する溶解性を粘度の異なるオルガノ変性シリコーン化合物を用いて検討した。表3にオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度900mPa・s)に対する溶解性の結果を、表4にはオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に対する溶解性の結果を示した。表3、4の「○」は蛍光剤がシリコーン化合物に対して溶解し、均一に分散したことを示し、「×」は蛍光剤がシリコーン化合物に対して溶解していないことを示している。
また、表3、4において、蛍光剤がシリコーン化合物に対して0.1質量%以上溶解するものを「△」、0.25質量%以上溶解するものを「○」、0.5質量%以上溶解するものを「◎」として、溶解性を評価した。
Figure 0006907259
Figure 0006907259
(結果)
試験した蛍光剤の全てがシリコーン化合物に対して、適度に溶解することが分かった。また、その中でもクマリン系蛍光剤A〜C及びナフタレン系蛍光剤B、Cは特にシリコーン化合物に対して溶解性が高いことが分かった。
以上、ここまでの結果をまとめると、表1、3、4の結果から、クマリン系蛍光剤B〜E及びナフタレン系蛍光剤A〜Cは耐熱性が高く、かつ、シリコーン化合物に対し適度に溶解することが分かった。また、その中でも、クマリン系蛍光剤B、C、及びナフタレン系蛍光剤B、Cが耐熱性及びシリコーン化合物に対する溶解性に特に優れていることが分かった。
よって、実施例1〜7の離型剤によれば高温の金型における離型剤の付着状態を簡易に確認することができると考えられる。また、その中でも実施例1、2、6,7の離型剤が特に優れていると考えられる。
<濃度試験>
次に、シリコーン化合物に対する蛍光剤の含有量の変化による発光の変化を検討した。試験方法は次のとおりである。高温の鋼板に離型剤を吹き付けた後、金型に対して紫外線を照射し、離型剤の発光を目視で確認した。目視で発光をかろうじて確認できたものを「△」、発光を明確に確認できたものを「○」、発光をより明確に確認できたものを「◎」として評価した。表5、図4に結果を、表6に試験条件を示した。
試験に用いた離型剤は次のように作製した。まず、ナフタレン系蛍光剤Bをオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に溶解させた。得られた溶液中の蛍光剤の含有量は表5のとおりである。次いで、界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(EO イソデシルエーテル))及び水を用いて上記溶液を乳化させた。このとき、蛍光剤及びシリコーン化合物の含有量が離型剤全体を基準として25質量%となるように行った。界面活性剤の含有量は離型剤全体を基準として0.1質量%であった。
Figure 0006907259
Figure 0006907259
(結果)
実施例8、9の離型剤は発光がかろうじて確認できる程度であったが、これは上記実施例3,4の300℃における結果と同様に、付着量が少なかったためであると考えられる。一方、蛍光剤の含有量が0.25質量%である実施例10の離型剤では発光が明確に確認できた。蛍光剤の含有量がさらに大きい実施例11、12では発光がより明確に確認できた。
<油性試験>
ここまでの検討は、蛍光剤を水性の離型剤に用いた場合である。よって、ここでは油性の離型剤に蛍光剤を含有させた場合について検討した。
試験方法は次のとおりである。高温の鋼板に離型剤を吹き付けた後、金型に対して紫外線を照射し、離型剤の発光を目視で確認した。目視で発光を確認できなかったものを「×」と、発光を明確に確認できたものを「○」として評価した。表7、図5に結果を、表8に試験条件を示した。
試験に用いた離型剤は次のように作製した。まず、蛍光剤をオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に溶解させ、蛍光剤の含有量が0.2質量%である溶液を得た。次いで、炭化水素系溶剤(パラフィン類)を用いて上記溶液を希釈した。このとき、蛍光剤及びシリコーン化合物の含有量が離型剤全体を基準として15質量%となるように行った。
Figure 0006907259
Figure 0006907259
(結果)
表1の結果と同様に、6/6員環の縮環構造を有さない蛍光剤を用いた比較例では、発光が確認できなかった。一方で、6/6員環の縮環構造を有し、かつ、分子量も大きい蛍光剤を用いた実施例13では、明確に発光を確認することができた。
よって、本開示の蛍光剤は油性の離型剤においても使用できることが分かった。

Claims (7)

  1. シリコーン化合物及び365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤を含み、
    前記蛍光剤は下記(3)に示す構造のクマリン骨格を有し、前記蛍光剤の分子量が300以上600以下である、
    ダイカスト用離型剤組成物。
    Figure 0006907259
    は水素、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐したアルキル基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、又はベンゾチアゾール基を表している。YはNR 又はORを表しており、Rは水素又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐したアルキル基を表している。Zはメチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、カルボニル基、又はスルホニル基を表している。
  2. 前記蛍光剤の含有量は前記シリコーン化合物及び前記蛍光剤の合計を基準として0.1質量%以上3.0質量%以下である、請求項1に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  3. 前記シリコーン化合物の含有量は前記組成物全体を基準として5質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  4. さらに炭化水素系溶剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  5. さらに界面活性剤及び水を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  6. 乳化されてなる請求項5に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  7. 365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤をシリコーン化合物に溶解させる工程を備え、
    前記蛍光剤は下記(3)に示す構造のクマリン骨格を有し、前記蛍光剤の分子量が300以上600以下である、
    ダイカスト用離型剤組成物の製造方法。
    Figure 0006907259
    は水素、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐したアルキル基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、又はベンゾチアゾール基を表している。YはNR 又はORを表しており、Rは水素又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐したアルキル基を表している。Zはメチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、カルボニル基、又はスルホニル基を表している。
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