JP6907259B2 - ダイカスト用離型剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、水性ベース成分及び場合により潤滑成分を含有する金属塑性加工用の塗布型水性潤滑被膜形成剤において、水性蛍光染料をさらに含有することを特徴とする潤滑被膜形成剤が開示されている。
特許文献2の水性蛍光塗料は「水性」であるため、シリコーン化合物に対する溶解性が非常に低い。よって、金型に離型剤を付着させた際に、シリコーン化合物の付着状態と蛍光塗料の付着状態とが相関しない虞がある。
シリコーン化合物及び365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤を含み、前記蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有し、前記蛍光剤の分子量が300以上600以下である、ダイカスト用離型剤組成物、を開示する。
365nmの紫外線照射によって発光する蛍光剤をシリコーン化合物に溶解させる工程を備え、前記蛍光性化合物は6/6員環の縮環構造を有し、前記蛍光性化合物の分子量が300以上600以下である、ダイカスト用離型剤組成物の製造方法、を開示する。
また本開示のダイカスト用離型剤組成物に用いられる蛍光剤はシリコーン化合物に対し適度に溶解するため、離型剤中に蛍光剤が均一に分散され易い。このため、金型に離型剤を吹き付けた際に、金型における離型剤(シリコーン化合物)の付着状態と蛍光剤の付着状態とが相関し易くなるため、365nmの紫外線照射による蛍光剤の発光から離型剤(シリコーン化合物)の付着状態が簡易に確認できる。
よって、本開示のダイカスト用離型剤組成物によれば、従来では困難であった高温の金型における離型剤(シリコーン化合物)の付着状態を簡易に確認することができる。
シリコーン化合物としては、シリコーンオイルやシリコーンワックス等の公知のシリコーン化合物を使用することができる。
具体例としては、ジメチルシリコーン、環状シリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、オルガノ変性シリコーン化合物等が挙げられる。オルガノ変性シリコーン化合物としては、アルキル基、アラルキル基、アミノ基、カルボキシルアルキル基又はカルボン酸アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、ポリエーテル基等により、一部あるいは全体を変性されたオルガノポリシロキサン等が挙げられる。なお、これらのシリコーン化合物は単独で用いてよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示の組成物に用いることができる蛍光剤は365nmの紫外線照射によって発光することが重要である。これにより、蛍光剤の発光から離型剤(シリコーン化合物)の付着状態を簡易に確認することができる。
なお、本開示の蛍光剤は、単一の蛍光性化合物からなっていてもよく、複数の蛍光性化合物からなっていてもよい。よって、以下において「蛍光剤」とは、蛍光剤が単一の蛍光性化合物からなる場合はその蛍光性化合物を指し、複数の蛍光性化合物からなる場合はこれら全ての蛍光性化合物を指す。
ここで「6/6員環の縮環構造」とは、2つの6員環構造が2つの原子及び1つの結合を共有している縮環構造(オルト縮合構造)を意味し、「6/6員環の縮環構造を有し」とは、分子構造に6/6員環の縮環構造を有することを意味する。すなわち、本開示の蛍光剤はナフタレン骨格や、クマリン骨格、キノリン骨格等の6/6員環の縮環構造を含む化合物だけでなく、フェナントレン骨格のような6/6/6員環の縮環構造等を含む化合物も包含する。
YはNR5 2又はOR5を表しており、R5は水素又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐したアルキル基である。なお、R5がアルキル基であるとき、当該アルキル基の末端がクマリン骨格の6位又は8位に結合し環構造を形成していてもよい。Yを有することにより、より一層強い蛍光を発するようになる。
ただし蛍光剤がナフタレン骨格を有する場合は、蛍光剤の分子量は400以上520以下であることがより好ましく、450以上520以下であることが特に好ましい。蛍光剤がクマリン骨格を有する場合は、蛍光剤の分子量は300以上420以下であることがより好ましく、350以上420以下であることが特に好ましい。これにより、シリコーン化合物に対する溶解性が向上する。
なお、蛍光剤が複数の蛍光性化合物からなる場合は、これらの混合比から算出される加重平均分子量を蛍光剤の分子量として用いる。
一方で、蛍光剤の含有量の上限はシリコーン化合物及び蛍光剤の合計を基準として、3.0質量%以下であることが好ましい。シリコーン化合物及び蛍光剤の合計を基準とする蛍光剤の含有量が3.0質量%を超えると、蛍光剤の発光が飽和するため、経済的に不利である。また、組成物を水性で用いる場合、組成物が乳化し難くなる。
一方で、蛍光剤の含有量の上限は組成物全体を基準として3.0質量%以下であることが好ましい。
本開示のダイカスト用離型剤組成物は上記シリコーン化合物及び上記蛍光剤を含有していればよい。すなわち、ダイカスト用離型剤組成物を油性で用いてもよく、水性で用いてもよい。
炭化水素系溶剤の含有量は特に限定されないが、組成物全体を基準として下限が70質量%以上であることが好ましく、上限が95質量%以下であることが好ましい。炭化水素系溶剤の含有量が70質量%未満であると、シリコーン化合物等の離型成分が濃くなりすぎるため付着ムラの原因となる。一方、炭化水素系溶剤の含有量が95質量%を超えると、金型への離型成分の付着不足による焼付きが生じる虞がある。
これらの界面活性剤は単独で使用されても良く、複数組み合わせて使用しても良い。
その他の添加剤としては、ダイカスト用離型剤組成物の潤滑性を補う目的で、鉱物油、油脂、合成エステル油、油性剤、合成ワックス等を配合しても良い。また、上記以外の各種添加物が含まれていても良い。例えば、消泡剤、発泡剤、乾燥促進剤、腐食防止剤、防腐剤、防錆剤、増粘材、酸化防止剤、等が挙げられる。
本開示のダイカスト用離型剤組成物は一般的な量で塗布する使用のほかに、いわゆる少量塗布の使用にも対応している。
近年、サイクルタイムの短縮による生産性の向上や廃液削減による環境負荷低減を目的に、離型剤の塗布量の低減化が進められている。一方で、金型が250℃以上の高温に達した条件で離型剤が使用されるケースが増えており、離型剤の塗布量を低減すると冷却効果が充分に得られない場合がある。
本開示のダイカスト用離型剤組成物はこのような高温条件における少量塗布にも対応しており、例えば、スプレーノズルを介して離型剤を金型へと塗布する工程において、金型に対する塗布量を0.0005ml/cm2以上、0.01ml/cm2以下にしたとしても、十分な冷却性や離型性を付与でき、かつ、離型剤の付着状態も簡易に確認することができる。
ダイカスト用離型剤組成物の製造方法としては、上記蛍光剤を上記シリコーン化合物に溶解させる工程を備えることが好ましい。
蛍光剤をシリコーン化合物に溶解させることにより、蛍光剤を離型剤中(シリコーン化合物中)に均一に分散させることができる。
なお、乳化させる工程は水性のダイカスト用離型剤を製造する際に用いられる公知の方法を採用することができる。
また、実施例に用いたシリコーン化合物の粘度は、JPI−5S−26−99に沿って回転粘度計により測定した。
蛍光剤の耐熱性及び蛍光剤を用いた離型剤の耐熱性について検討した。
蛍光剤自体の耐熱性を調べるために、蛍光剤の熱分解開始温度を測定した。結果を表1に示した。
測定条件は以下のとおりである。
[測定条件]
・装置:TG−DTA(株式会社日立ハイテクサイエンス製 STA7200)
・試料量:3.0mg
・測定温度範囲:室温〜350℃
・昇温速度:20℃/min
・雰囲気:Air
・Airの流量:300ml/min
蛍光剤を含有した離型剤の耐熱性を調べるために、以下の試験を行った。すなわち、250℃及び300℃に熱した鋼板それぞれに蛍光剤を含有する離型剤を吹き付け、そして吹き付けた箇所に紫外線を照射し、離型剤の発光を目視で確認した。発光を確認できなかったものを「×」、発光をかろうじて確認できたものを「△」、発光を明確に確認できたものを「○」として評価した。結果を表1に、試験条件を表2に示した。
試験に用いた離型剤は次のように作製した。まず、蛍光剤をオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に溶解させ、蛍光剤の含有量が0.3質量%である溶液を得た(表1の*で示した例は蛍光剤の溶解性が低かったため0.1質量%で試験したものである。)。次いで、界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(EO イソデシルエーテル))及び水を用いて上記溶液を乳化させた。このとき、蛍光剤及びシリコーン化合物の含有量が離型剤全体を基準として25質量%となるように行った。界面活性剤の含有量は離型剤全体を基準として1.5質量%であった。
6/6員環の縮環構造を有さない比較例1〜3の蛍光剤は分子量に関わらず耐熱性(熱分解開始温度)が低いことが分かった。比較例4の蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有しているが、分子量が小さく、耐熱性が低かった。よって、比較例1〜4の離型剤は高温の金型に吹き付けると蛍光活性が失活したため、発光が確認できなかったものと考えられる。
一方、実施例1〜7の蛍光剤は6/6員環の縮環構造を有し、かつ、分子量も比較的大きいため、耐熱性が高く、高温の金型に吹き付けられたとしても蛍光活性を保持した。なお、実施例3、4の金型温度300℃における結果が「△」になっているが、これは蛍光剤の蛍光活性が失活しているわけではなく、通常金型の温度が高くなるほど離型剤の付着量は低下するため、実施例3、4の離型剤においても離型剤の付着量が小さくなり、蛍光剤の発光が確認し難くなったためであると考えられる。よって、実施例3、4において塗布する離型剤の液量を増大させることにより、発光が確認可能になると考えられる。
蛍光剤のシリコーン化合物に対する溶解性を粘度の異なるオルガノ変性シリコーン化合物を用いて検討した。表3にオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度900mPa・s)に対する溶解性の結果を、表4にはオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に対する溶解性の結果を示した。表3、4の「○」は蛍光剤がシリコーン化合物に対して溶解し、均一に分散したことを示し、「×」は蛍光剤がシリコーン化合物に対して溶解していないことを示している。
また、表3、4において、蛍光剤がシリコーン化合物に対して0.1質量%以上溶解するものを「△」、0.25質量%以上溶解するものを「○」、0.5質量%以上溶解するものを「◎」として、溶解性を評価した。
試験した蛍光剤の全てがシリコーン化合物に対して、適度に溶解することが分かった。また、その中でもクマリン系蛍光剤A〜C及びナフタレン系蛍光剤B、Cは特にシリコーン化合物に対して溶解性が高いことが分かった。
よって、実施例1〜7の離型剤によれば高温の金型における離型剤の付着状態を簡易に確認することができると考えられる。また、その中でも実施例1、2、6,7の離型剤が特に優れていると考えられる。
次に、シリコーン化合物に対する蛍光剤の含有量の変化による発光の変化を検討した。試験方法は次のとおりである。高温の鋼板に離型剤を吹き付けた後、金型に対して紫外線を照射し、離型剤の発光を目視で確認した。目視で発光をかろうじて確認できたものを「△」、発光を明確に確認できたものを「○」、発光をより明確に確認できたものを「◎」として評価した。表5、図4に結果を、表6に試験条件を示した。
試験に用いた離型剤は次のように作製した。まず、ナフタレン系蛍光剤Bをオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に溶解させた。得られた溶液中の蛍光剤の含有量は表5のとおりである。次いで、界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(EO イソデシルエーテル))及び水を用いて上記溶液を乳化させた。このとき、蛍光剤及びシリコーン化合物の含有量が離型剤全体を基準として25質量%となるように行った。界面活性剤の含有量は離型剤全体を基準として0.1質量%であった。
実施例8、9の離型剤は発光がかろうじて確認できる程度であったが、これは上記実施例3,4の300℃における結果と同様に、付着量が少なかったためであると考えられる。一方、蛍光剤の含有量が0.25質量%である実施例10の離型剤では発光が明確に確認できた。蛍光剤の含有量がさらに大きい実施例11、12では発光がより明確に確認できた。
ここまでの検討は、蛍光剤を水性の離型剤に用いた場合である。よって、ここでは油性の離型剤に蛍光剤を含有させた場合について検討した。
試験方法は次のとおりである。高温の鋼板に離型剤を吹き付けた後、金型に対して紫外線を照射し、離型剤の発光を目視で確認した。目視で発光を確認できなかったものを「×」と、発光を明確に確認できたものを「○」として評価した。表7、図5に結果を、表8に試験条件を示した。
試験に用いた離型剤は次のように作製した。まず、蛍光剤をオルガノ変性シリコーン化合物(C12アルキル基(ドデシル基):C9アラルキル基(2−メチルフェネチル基)=4:1、25℃における粘度1500mPa・s)に溶解させ、蛍光剤の含有量が0.2質量%である溶液を得た。次いで、炭化水素系溶剤(パラフィン類)を用いて上記溶液を希釈した。このとき、蛍光剤及びシリコーン化合物の含有量が離型剤全体を基準として15質量%となるように行った。
表1の結果と同様に、6/6員環の縮環構造を有さない蛍光剤を用いた比較例5では、発光が確認できなかった。一方で、6/6員環の縮環構造を有し、かつ、分子量も大きい蛍光剤を用いた実施例13では、明確に発光を確認することができた。
よって、本開示の蛍光剤は油性の離型剤においても使用できることが分かった。
Claims (7)
- 前記蛍光剤の含有量は前記シリコーン化合物及び前記蛍光剤の合計を基準として0.1質量%以上3.0質量%以下である、請求項1に記載のダイカスト用離型剤組成物。
- 前記シリコーン化合物の含有量は前記組成物全体を基準として5質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載のダイカスト用離型剤組成物。
- さらに炭化水素系溶剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
- さらに界面活性剤及び水を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
- 乳化されてなる請求項5に記載のダイカスト用離型剤組成物。
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